
侗族は、日本ではトン族と表記されるようです。
中国語の発音表記では "Dong"なので、出合ったオランダ人は"Dong tribe"と呼んでいましたが、ドンというよりはトンに近い発音です。
彼らについて詳しい知識も何もなく
貴州まで行ってしまったので、いまさら「トン族」で検索してみると、たくさんの情報が得られることに気付きます。
貴州省を中心に270万もの人口があるようです。
想像よりずっと多い。
小さな国家ができるくらいはあるでしょうが、特に独立運動とか政府との衝突といったことはないようです。
彼らが歌を愛する民族であることが、侗族を有名にしています。
以前、テレビで紹介されていましたが、適齢期の女性が1列に並んで合唱し、中の女性が意中の男性をその歌に込めて唄うという、歌による集団見合いのような古い伝統が残っているのだそうです。
そんな様子を伝える実演(中国語で表演と言われます)が、ここ車江の村の広場で行われていました。
観光バスが到着するなど、人が集まるとおもむろに歌が始まります。
こういった表演は、踊りなど動的なものが連想されますが、侗族では演劇的要素はあるものの、もっぱら静かに歌い上げるというスタイルで、逆に音楽的な洗練度が高く、目を閉じれば山村の風景を連想させる爽やかなものに感じられました。
ただ、侗族には独自の言葉があって、それは中国語の方言ではないし、文字も漢字ではなく音をアルファベットで表記するものなので、聞いていても歌詞自体はまったく分かりません。
交通の便の悪いこの地方には、そう頻繁に観光バスが来てくれる訳ではありません。
表演は少なく、みんなヒマそうにしています。
だったら、コミュニケーションをとらない手はないでしょう。
言葉が通じるか、恐る恐る話しかけると何のことはない、全員中国語普通話は通じます。
学校では普通話で授業をするので話せて当然ですが、未就学だった一定年齢以上の特に女性は普通話ができないそうです。
ですから、家庭では侗語で会話します。
英語はさすがに誰もできません、と思ったら中学では英語の授業はあるそうです。
ただ、知っている単語は、ハローとバイバイくらい。一体どんな授業なんでしょう。
国慶節休暇の1週間だけ車江で表演をするために比較的(と断るのは車で2時間くらいかかるそうなので)近くの村から来たそうです。
男性ふたりと女性10名に音楽の先生やら村長(?)も帯同しています。
おとなたちの方がシャイで、ほとんど女の子たちとばかり話し込むことになります。
ここでも、お互いの生活のこととかですね。
もうひとつよく話題にのぼったのが、日本語を教えてくださいというもの。
你好は? 謝謝は? 再見は?
なかなか覚えてもらえず、わたしには教師としての才覚がないことを知らしまれます。
じゃあ、それぞれを侗語ではなんと言うのか、逆質問です。
你好は? 「ニャーライ」、謝謝は? 「??」、再見は? 「???」
侗語には「こんにちは」はあっても、「ありがとう」や「さよなら」はないそうです。
翌朝も、約束したとおり彼女たちを訊ねました。
「やあ、ニャーライ」と声をかけると、あぁ、本当に来たわ、本当だ、くすくす、そんな風に言われていたようで恥ずかしいものですが、昨日にもまして大歓迎というか、旧友との再会の雰囲気です。
意外にも多くの女の子たちが、昨日教えた日本語を覚えていました。
夜、一生懸命勉強したのかもしれません。
午前中はずっと彼女たちと話したり、表演があるとサクラのように大拍手をしたり、近くを散策したりして過ごしました。
昨日から気になっていた女の子がいました。
小柄で華奢ですが、切れ長の目が魅力的なひと際光り輝く少女でした。
もし、学生時代にこんなシチュエーションにでもなったら、このまま旅を続けることができただろうかなどと感傷的想像をしていました。
「僕といっしょに日本に来て欲しい」
「それはできない。侗族の掟があるの」
「では、夜迎えに行くからいっしょに逃げよう」
「分かった。あなたを信じる」
月明かりの中必死に逃げまとったが、追っ手がわたしめがけて放った矢を身代わりに受けて倒れた彼女は、侗族にはさよならという言葉がないのは、いつか必ず再会できることを知っているからなの、と言い残して息をひきとったのだった。
チャーリーさんの影響からかフィクションを挿入してしまいしまたが、これはひとり旅の感傷というものでしょう。
さて、そろそろ次を目指して村を出る時間が来ました。
みんなが、昨日運転手と握手してわかれた門口まで付いて来て、手を振ってくれました。
バスに乗り込むや、わたしも手を振り返しはしましたが、やはり「再見」と言うことはしませんでした。
テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真
- 2008/10/11(土) 20:44:15|
- Old Delft Alfinar 50mmF2.8
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今回は写真といい、文章といい、いつもより力がこもっていますね。非常に良い出来です。
- 2008/10/12(日) 14:38:31 |
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- ksmt #GCA3nAmE
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驚くような奥地(中国人にすれば田舎の観光地かもしれませんが)にゆかれて、その解説だけでcharleyさんの空想ばなしに匹敵する、想像力をたくましくさせられます。まるで、日本の田舎に出かけるような中将姫さんの足取りにいまさらながら驚嘆です。学術でもなく、ましてや時代考証でもない撮影には、oldレンズの個性に感性を託し気ままな画面ずくりがよさそうです。 ワグナーの『二ュールンべルクのマイスタージンガー』の歌合戦のような風俗に、あるいはフィリピン人がサン・パギータの花にたくす想い、日本の万葉集の歌言葉等、おもいを伝えるかたちはいろいろありますが、民族の根っこが写真と文章からよみとれる様です。さらなる探索、期待しています。
- 2008/10/12(日) 15:04:46 |
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- Treizieme Ordre #-
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今日はお疲れ様でした。
そして、遅くまでだらだらお話し会お付き合い戴き有難うございました。
な~るほど、昼間当てずっぽうで、どこか中国の人跡未踏の地で、「酋長」の娘御にゲッチュされて、そのまま、酋長娘婿となって、ブログが一週間どころか、未来永劫更新されない事態になるんでは・・・と言って、満更でもないご様子だったのは、この手前の「ミムラ」みたいな美少女との魂の交流があったからなのですね!? う~ん、納得(笑)
でも、よく、W老師に殴る蹴るの暴行を受けなかったものです・・・他人事ながら心配してしまいました(爆)
ところで、Mixiの案内状を出そうと思ったら、ここ以外のネット上での連絡先を伺っていないことに気が付きました。
弊ブログの管理人だけにお報せのところへ記入して戴ければ幸いです。
- 2008/10/13(月) 00:19:41 |
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- charley944 #SFo5/nok
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いやあ、中将さんも中国ではなかなか大胆に行動されますね。ぜひ次回は日本でもそのようにしていただいて、私にもおすそ分けを(笑)。空想ぶりもcharleyさんよりはだいぶ古風(失礼!)ですが、私にもついていける路線で助かります。
- 2008/10/13(月) 02:36:38 |
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- kinoplasmat #lpavF/Xw
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ksmt さん、他人様には面白くもない話な上に誤字も多いものを過分に褒めていただき恐縮です。
レンズとは関係ない話を書いていて、不要とのご意見もあるかも知れませんが、1週間の旅行中の出来事を書きとめておかなくてはと思い、記録のつもりです。
去年夏の四川、年末年始のシルクロード入口、今回の貴州と立て続けに中国を歩いていて、こんなことでも書いておかないと忘れてしまいそうということがあります。
ただ、このあとの滞在は特になんという出来事もなく話はますます退屈になってくることを予告します。
- 2008/10/13(月) 19:03:41 |
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- 中将姫光学 #sKWz4NQw
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Treizieme Ordre さん、たびたびのコメント、ありがとうございます。
charleyさんはしっかりプロットの練られた小説レベルの作品ですので、影響は受けますが、同列に論じられることは許されません。
>学術でもなく、ましてや時代考証でもない撮影には、oldレンズの個性に感性を託し気ままな画面ずくりがよさそうです
bこのご意見に全面的に賛同いたします。
わたしの技術でそこまでの撮影ができれば、大満足。それ以上は望みません。
足取りについてはまったく慣れの問題です。
日本でもそうですが、田舎へ行くほど人の心が素朴で親切、まったく危険は感じません(車の運転除く)。
よろしければ、いつかごいっしょにいかがでしょうか。
マイスタージンガー、フィリピンの歌、万葉集…、なるほど考えてもいませんでしたが、場所と時代を超えて、同様のことがあるものですね。
そういった点を結んで線にして紡いでいけば、より理解が深まるでしょう。
もう1週間ほど、このシリーズを続けます。
- 2008/10/13(月) 19:17:49 |
- URL |
- 中将姫光学 #sKWz4NQw
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charley944 さん、こんばんは。
昨日は、たいへんお世話になりました。
「ミムラ」ですか? 知りませんでした。
検索してみると、確かに写真によっては雰囲気が似ているものもありますね。
しかし、この子は15〜6歳くらいで、この子のお母さんも恐らく20代なのだろうと思われます。
さすがの村長(酋長はいません!)も日本の淫行罪をご存知だったのでしょう。
こういうケースでは自分が大学生位だったらなあと想像するしかありません。
駆け落ちの夢想をしましたが、この村に住人になった方がよかったですね。
老師には祝福してもらえそうです。
案内状、お手数ですが、よろしくお願いいたします。
- 2008/10/13(月) 19:28:51 |
- URL |
- 中将姫光学 #sKWz4NQw
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kinoplasmat さん、こんばんは。
旅に出ると人格が変わるとよく言われます。
20代の頃は、ウィーンとリスボンでの2回、旅先で知り合った女性に声をかけて、いっしょに旅を続けてその後文通したことがありました。
それ以上のことはありませんでしたが、外国でなければ絶対こんなことはできません。
この前お会いしたとおりの小心者ですので。
ですから日本では無理です。
中国あたりまでごいっしょいただければ、がんがんいきますよ。
ただ夢想しただけで、この子たちに何も悪いことはしていません。
誤解なさらないよう。
- 2008/10/13(月) 19:53:12 |
- URL |
- 中将姫光学 #sKWz4NQw
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