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116年前が目の前に

E.Rokkor 50mmF4.5
泣いても笑っても旅の最終日、青春18きっぷが切れる今日中に実家まで戻らないと行けません。
酒田からでも自宅最寄りの寒川町の門沢橋駅まで帰ってこられますが、寄り道の時間をつくるため昨夜のうちに新庄まで移動しておきました。
最後の宿泊は少しだけ贅沢して、おかわり自由の庄内米の朝食付きの宿でしたが、それでも1泊3900円ですから、今回の旅の宿の安さにはいずれも恐縮するばかりです。

朝の各駅停車に乗って新庄から4駅目の蕎麦で有名な大石田で下車しました。
小さな町ですが、ここの駅にもやはり小さな観光案内所があって、町歩き用の地図をもらいます。
残念ながら、香川のうどん屋のように午前中から開いている蕎麦屋はないとの情報も教えてもらいました。
大石田にはめずらしい釈迦涅槃像が安置され斉藤茂吉の墓のある乗舩寺を楽しみましたが、歴史民俗資料館は模様替えのためしばらく休館中でしたし、蔵造りの店舗がある町並みは古民家が散見できる程度でどうもいまひとつです。
蕎麦が食べられず代わりに行ってみたお団子屋さんは大正解で、注文を受けてからつくって焼く団子はとろけるような美味しさでした。
こんな田舎の団子屋さんだというのに、平日の午前中からお客さんがひっきりなしで、午後には行列になると言います。
山形方面へ行ったらぜひ足を伸ばしてほしい店でした。

山形と福島でそれぞれ乗り継ぎの時間にどんどん焼と冷たい蕎麦をいただきました。
どんどん焼はお好み焼きを箸に巻き付けたようなもので、立ったままでも食べられ、山形のソウルフードと称されます。
どんどん焼の起源は東京の屋台で、そこで修行を積んだ山形の人が故郷へ持ち帰って流行するようになり、独自の発展をとげたそうです。
福島の蕎麦は都路が有名ですが、会津全体にたいへんおいしいですし、福島、郡山、白河、いわき等々どこへ行ってもレベルが高く、福島県といえばわたしには一も二も蕎麦を思い出すくらいです。
乗り継ぎ時間が20分だったので駅中で蕎麦屋がないか調べると、立ち食いなのに手打ちのしっかりした蕎麦が食べられる店がありました。
かつて食べた他の店とは比較にならないかも知れませんが、いやそれでも十分旨く、通過だけの福島県で蕎麦を食べられたことに感謝です。

レンズのことに少し言及しておきます。
千代田光学のE.ロッコール50mmF4.5はEとあるように引き伸ばし用のレンズで、製造番号11644番の恐らく1949年くらいに製造されたレンズではないかと思われます。
3群3枚のトリブレットタイプですが、同時期に普及機として発売されたミノルタメモというカメラの標準レンズもロッコール50mmF4.5のトリブレットだったことから、両者は同一のレンズだったと思われます。
1950年代くらいまでの国産引き伸ばしレンズは、蛇腹カメラや簡易カメラのレンズと同じということがしばしばあります。
性能の好い引き伸ばしレンズがあったので撮影用にも転用したのか、撮影用レンズが先にあって設計はそのままに引き伸ばし用の鏡胴にそのまま組んだということなのでしょう。
F値が暗いレンズの多くがそうであるように、このレンズも開放からシャープで、引き伸ばしレンズらしい解像力の高さと何より階調の豊かさが、ライツ・フォコターを意識した設計だったのではと考えさせられました。

さて、本日の作例ですが、峠駅の駅弁販売の現場です。
米沢発福島行きの奥羽本線の列車は、まだ雪が当たり前のように残っている山中を徐行しながら走り続けて、峠越えの難所を通っていることが実感されました。
景色が美しかったので時折り写真を撮る姿が見られたのですが、突然ほとんどの乗客が立ち上がって撮影準備に入ったのでどんな絶景があるのかとわたしも窓の外を見やりました。
間もなく列車は駅に到着し皆が撮影し出すのですが、そこは絶景とは逆に雪除けのトンネルの中で見晴らし悪く何故? と思いました。
よく見れば撮影しているのは景色ではなく駅弁売りです。
誰ひとり乗る人も降りる人も無いような無人駅で、駅弁売りが声をあげて売り歩き、1分もない停車時間のうちに窓を開けて駅弁をもとめる人までいるという光景を目の当たりにして衝撃を受けました。
峠駅とあったのでこれが峠の釜めし? などと考えましたがあれは確か軽井沢の手前の横川駅だったようなと腑に落ちません。
福島駅が近くなってようやく携帯の電波が入るようになったので検索してみると、116年続いている峠の力餅の立売りとしてウェブサイトがあり、衝撃の余韻の中で熟読させていただきました。
停車時間が短い中、写真を撮るのに手いっぱいで力餅を買えなかったのが残念で、事前に調べておけば段取りよく買って好い位置で撮影もできただろうにと考えます。
しかし、何も知らなかったことで、突然の駅弁売りに強い感銘を受けたことの方が、自分の旅らしくよかったなあと思い直しました。
いつか峠の力餅を食べ、秘境の温泉に浸かるためにこの路線を再訪しようと誓うのでした。
【Alpha7II/E.Rokkor 50mmF4.5 F4.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Minolta E.Rokkor 50mmF4.5 | trackback(0) | comment(0) | 2017/04/10 Mon
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