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キヤノン最初のレンズだった?

R-Serenar 5cmF1.5
早起きして、ハノイの町を歩きました。
ホテルを出たすぐ先にホアンキエム湖という小さな湖があって、周囲は散策路のようになっています。
地図を見ると2キロくらいありましたが、のんびり1周してみました。
朝からバイクががんがん走っているのを眺めていると、大きなケージを荷台に取り付けて10羽以上のニワトリを運んでいるのに驚かされますが、恐らく市場に売りに行くのでしょう。
公園では、何組もの男女が一対になっているのが見えますが、近づいてみると早朝だというのにタンゴのようなダンスを踊っていました。
公園の植木で職人さんがなにやらこさえているのですが、作成しているのはシカなのか、昨日、奈良から着いたばかりなのでなんだか歓迎してもらっているような気分です、とこんな具合でした。

昨日と今日の作例のレンズは、R-セレナー5cmF1.5です。
このレンズは1940年代早々に設計されましたが、新種ガラスを用いずに4群6枚の構成でF1.5にしてしまったオーバースペックという点でおとといのヘクトール7.3cmF1.9に似ています。
この2つのレンズは言うまでもなくクセ玉で、ボケの暴れ方や予期できないような発色をすることがある点など、共通点がいくつかあります。

R‐セレナーについてさらに知りたくて、朝日ソノラマ「精機光学キヤノンのすべて」上山早登著を取り寄せてみました。
よくあるカメラについてのみの解説本で、レンズのことなんかちらっとしか書かれてないんだろうなあと期待もせずの購入でしたが、予想を裏切ってR‐セレナーにも言及の多い、わたしにとってたいへん価値ある1冊でした。
それどころか、設立当初からの精機光学の内情がしっかり記載され、試作レンズなどについても設計者などの取材に裏付けを取った、望みうるかたちでの最良の書とも呼べる内容です。
資料的価値の高さ、ファンが読んで楽しめる満足度といずれも一級品と推薦いたします。

R‐セレナーが、いかに時代の波に翻弄されたレンズであるかが、同著を読むとよく理解できます。
まず、精機光学研究所が1933年に発足してしばらくは、零細な組織でレンズはおろかファインダーや距離計も自社で設計できず、日本光学から供給を受けて、ハンザキヤノンなどの35mmカメラをほそぼそと組み上げていました。
すべてを自社で製造するために光学の技師を採用することになるのですが、他ならぬ日本光学へ要請して、幸運にも大家・砂川市の弟子だった古川氏の獲得に成功します。
しかし、精機光学がまだ独自にレンズ設計する技術を持たなかった中で、ハンザキヤノンのレンズを日本光学がテッサ―やゾナーからコピーして供給したように、精機光学でもテッサ―やゾナーのコピーから開発が始まります。
時すでにヨーロッパで戦争が始まり、イエナのショット社からのガラス供給がストップするという限られた硝材のみの厳しい条件のもとでした。

試行錯誤の末、最初に完成したビオター4cmF2のコピーを改良して、5cmF2としたレンズをR‐セレナーとしてX線撮影装置とともに海軍に納入します。
その後、海軍からレンズをF1.5にするよう要請があり、もはやあらたに設計し直す時間もない精機光学は古川氏にF2と同じ構成でF1.5まで明るさを引き上げるよう命じます。
そんな経緯から完成したR‐セレナー5cmF1.5は、収差の多い性能不十分なレンズながら量産されてしまいました。
不本意だった古川氏は精機光学を去ってしまいます。
R‐セレナーF2とF1.5がキヤノンという大会社の歴代最初の自社レンズということになるようですね。
なんと不思議な運命のもとに生まれたのでしょうか。
日本光学のニッコール5cmF2に対してツァイスからゾナーのコピーだとクレームがついたそうですが、さすがに精機光学へはR‐セレナーはビオターのコピーだと文句を言うことはなかったようです。
【Alpha7II/RSerenar 5cmF1.5 F1.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Seiki-Kougaku R-Serenar 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2016/06/20 Mon
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