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名前に魅せられて

R-Serenar 5cmF1.5
Cairouanと書いてケロアンと読むのだそうですが、スースのツーリストインフォメーションの女性が勧めてくれたのがこの町でした。
なんと魅力的な地名でしょう。
響きがカエルのかぶり物をしたキャラクターのようですし、カイロの女性形のような綴りもいわくありげです。
日本でカメレオンを飼うようになったら、ケロアンと命名しようと思います。
スースから30キロの至近に位置していて、バスで1時間かからないとのことです。
スースのバスターミナルはホテルから5キロ離れていてタクシーで行くように言われましたが、タクシーにはメーターがついていて、料金は120円、ケロアンへのバスも180円で、都合300円の旅に出発です。

ケロアンのバスターミナルで、明日、スースに戻るバスの時間を確認して、旧市街への行き方を聞くと、やはりタクシーだといいます。
メインストリートに出てまごまごしていると、通りがかりの若い女性がどうしたのか尋ねたので説明すると、大声でタクシーを停めてくれメーターで旧市街まで行くよう話してくれます。
礼を言うと当たり前のことのように去って行きましたが、彼女がヨーロッパ人なのだったらともかく、ヘジャブの女性が異邦人の手助けなんてあまりにも意外でした。
今回の旅でいちばんの驚きだったかも知れません。
人が正しい行動ができるか否かは、宗教や地域によるのではなく、環境や教育によるのだと思いますが、だとすればケロアンは期待できるところに思えてきました。
タクシーをつかまえてくれただけで何を大げさなと感じられるかも知れませんが、過去の体験からムスリムの女性ほど他人がどうあろうと無関心な人はいないと感じていたので、目から鱗が落ちた思いでした。

タクシーはスースと同様120円で旧市街の入り口まで行ってくれました。
入り口の反対側にツーリストインフォメーションがあるのを運転手が教えてくれたので、地図をもらいに行きます。
地図の中にケロアンのすべてのホテルが一覧になってるとのことです。
インフォの前でどのホテルにするか悩んでいると、ホテルを探しているのですかと、今度は男性が声をかけてきて、安くてきれいなこの近くのホテルはこの3つと教えてくれます。
そのうちの1軒はひとつ星で、他は星なしとのことでしたので、ひとつ星に行ってたずねると、スースのホテルと同じ1800円で質的にも同様だったので泊まることにしました。
ホテルを説明した男性に礼を言うと、今までのイスラム社会の経験ではホテルに連れてって紹介料を取るなりしていたのに、マイプレジャーと言って立ち去ったのが、感動的にすら感じました。
ホテルのレセプションの青年は礼儀正しく爽やかで親しくなりましたし、お昼を食べたレストランも英語のメニューがないと恐縮しながら一点ずつ料理を説明してくれました。
ケロアンは他のイスラム社会では考えられない、素晴らしいところのような気がしてきました。

ただイスラム社会らしいというか、案内してあげようと言って観光案内しつつ土産物屋に連れて行き、最後にはガイド料を寄越せと言ってくるオヤジもいました。
土産物屋に連れて行かれた時点でいつもなら逃げているのですが、ケロアンで会った人はこれまでみな良かったので、この人も善意でやってるのかもしれないと、ガイド料請求されるのを覚悟で、おとり捜査のように最後まで黙っていたのですが、やはり全員が全員、善意だけで行動している訳ではないと確認できました。
しかし、連れていってもらった中では、カタルーニャの小さなロマネスク教会に伍するような美しいモスクが印象的でした。
また、グランドモスクという大きなモスクがあって、ケロアンの象徴になっていると聞きました。
イスラム教徒以外は中に入れないそうで、ガイドオヤジは近くの建物に連れて行き住人にお願いして屋根に上らしてもらい、上からモスクの内部を見させてくれました。
やるなオヤジと感心するもつかの間、この建物ではさっきまで善意の住人だった人がここで絨毯屋をやっていて、わたしを捕まえるやいかにハイクオリティで安い絨毯かということを延々としゃべっているのでした。

ガイドと別れた後、あらためてケロアンを散策してみます。
メディナは規模こそスースよりずっと小さいですが、建築の様式などは同様のもので、コンパクトな分歩きやすいですし、町に対する親しみは反比例するように大きくなります。
何よりスースに比べて観光地化しておらず、実際ここでは観光客の姿を1度も目にしません。
今回の旅のいちばんのお気に入りの町になりました。

ただし、ちょっとやばいこともありました。
今日は町のハロウィーンフェスティバルなので、音楽演奏があり酒も自由に飲めるから案内するという青年が現れました。
遠くで陽気な音楽が演奏されていて、わたしは興味を惹かれ彼について行きました。
メディナの入り組んだ路地を歩いて行きましたが、途中から音楽とは違う方向に向かっているのに気付きます。
彼はさらに細い路地に入って腰を降ろし、わたしにも座るよう促しながら、あらかじめ用意してあったビールをどうぞと手渡されます。
この路地は真っ暗で彼の表情がまったく読み取れないほどですが、こんなところに連れてきた理由が何か悪いことを考えているとしか考えられません。
とりあえず乾杯してビールを少し口に含んでみましたが、睡眠薬かなにかが仕込まれているような苦みが感じられるようであり、単に気のせいのようでもあり、判別付かない味でした。
疑心暗鬼になっては、ビールの味すら分からなくなるもののようです。
ただ、一定量以上飲む勇気はなく以降は飲んでいる振りをしながら様子を伺います。
ここにいても仕方ないから音楽を聞きに行こうというと、我々はビールを飲んでしまったので公衆の前に出るのはまずいと、動かない構えでした。
走って逃げることも考えましたが、複雑な道から抜けられずにぐるぐる走っているうちに彼と鉢合わせする姿が想像され、しり込みします。
トイレに行きたいと言ってみました。
するとあっさりどうぞと言って好きにさせてくれましたが、かえってそれが不気味でした。
急ぎ足でここから出ようと思いましたが、この迷宮のような場所から脱出できるのか…。
しばらく歩くと少し明るい場所があって、若い男性とすれ違いました。
どうしたのか聞かれ道に迷ったというと、ホテルの名前を聞いてその方向にいっしょに歩いてくれました。
途中に彼の家があってちょっと休憩していきましょうと、家に招じ入れられました。
先の青年がそこにいるのではとどきどきしましたが、さすがにそんなこともなく、彼のお母さんが出てきて、あら日本人なのとフランス語で言いながらていねいに挨拶してくれほっとしました。
300年前の建築だという古い家の中を案内してくれた後、コーヒーとお菓子をご馳走してくれます。
近くでカフェを代々経営しているそうでよければ明日来て欲しいといいます。
行くことを約束してお暇しようとしましたが、ホテルまで送ると言って譲りません。
メディナの中をひとりで歩くのは安全でない、わたしがいっしょなら大丈夫だとのことです。
さらには聞こえてくる音楽は結婚式のパーティーのものでハロウィーンとは関係ない、そもそも我々はムスリムなのでハロウィーンなんか祝わないときっぱり言い、だとするとさっきの青年は何を考えていたのかと気になりました。
男性は町の名士のようで、歩き始めるとすれ違う人すべてが彼に恭しくあいさつし、わたしのことを日本の友人だと紹介していました。
ホテルに着くと、レセプションの青年がここまでいらしてくれたのですかと言うようにあいさつしたのに対して、日本の友人を送りに来たんだよとでも答えて、去っていきました。
レセプションの青年はもともと丁寧でしたが、この件以来、わたしをVIP待遇のように接してくれました。
暗い路地に誘った青年、送ってくれた若者、わたしにとっての気に入りの町で、対照的な正体不明のふたりに出合った不思議な1日はこうして終わりを告げました。
【Alpha7/R-Serenar 5cmF1.5 F1.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Seiki-Kougaku R-Serenar 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2015/10/23 Fri
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