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牧童の親たち

Nikkor 5cmF1.5
今日は終日、修道院を巡るツアーに参加するはずでしたが、予約していたアメリカ人が次の日にずらしてくれと言ってきたとのことで、ツアーは明日に順延になってしまいました。
単独でもツアーを催行することは可能ですが、その場合80ユーロ、明日まで待てばひとり30ユーロだというので、1日延ばすことにしたのです。
ツアーは9時から5時までなので、戻ってから移動することは難しくなるため、ペンションにトータル3泊することになってしまいました。
昨日のうちに近隣を廻りつくした感のあるわたしをオーナーは気の毒に思ったのか、知り合いに交渉して郊外を廻る車のチャーターを40ユーロで受けてもらいました。
わたしが農村を見たいと言ったからですが、本当はバスで往復する安上りなものをお願いしたかったものの、交渉してもらった話では往復200キロ走ってこの値段なのでかなりの破格値ですから断る理由はありません。

やって来たのは、まだ30代半ばに見える青年で、名前を何度か聞き返したので省略してデンと呼んでくれと言われました。
英語は片言程度だったのではっきり分からなかったのですが、どうやらメインの仕事は大型トラックの運転手をしていて何度もトリノまで往復しているようでした。
数日非番なところ、第2子が生まれたばかりで、ありがたい臨時のアルバイトと考えてくれているようです。
乗って来たのはSEATというスペインのメーカーのワゴンでもう15年も乗っていると言いますから、就職と同時に買って、今までずっと乗り続けているのではと思われました。
彼は日本車のファンですが、当時は安かったSEATにせざるを得ず、エンジンはVW聖なのでトラブったことはないとのことです。
さすが普段はトラックを運転するだけにスピードを出さない燃費重視の安全運転で、おしゃべりしながらでも安心して乗っていることができました。

スチャヴァからはまっすぐ西に向かう道で、これは彼が仕事でも使う通称ヨーロッパへの道だとの説明です。
目的地に着く前にオープンなカフェで休憩があり、彼はタバコを吸いだしました。
車の中など密室ではタバコを吸わない、彼なりの気遣いだったようです。
その後、最初に訪れたのがエッグ・ミュージアムです。
タマゴの殻やタマゴ型の石などにペイントしたイースターエッグのミュージアムで、あまり期待していなかったのですが、すばらしい展示でした。
個人のコレクションにも関わらずコレクションは70ヶ国にも及んでいて、日本をはじめとしたアジア各地やアフリカ各国にもイースターエッグがあるのが意外でした。
ヘッドホンによる英語の解説が牧歌的なしゃべりでわたしにもどうにか聞き取れます。
オーナーはブカレスト在住のアヤコさんという日本人女性と親交があるそうで、日本のこともよく知っているというか、かなりの日本贔屓と感じさせる方なのが、ルーマニアのこんな田舎でという意外性を高めるのがまたよかったと思います。

次に入ったのは民芸品を中心に展示するミュージアムでした。
旧ソ連の南部一帯には木の工芸文化があり、その最東端がモルドヴァなのだとの話を少し聞いていたのですが、このミュージアムがそのことと関係あるのではないかと考えられます。
主に19世紀末から20世紀半ばくらいまでの間に当地で作られた木の製品が展示されていましたが、テーブル、いす、ベッドなどの家具はもちろん、バケツや馬車の荷車のシャーシ部分などまで金属をほとんど使わずに木で作られていて、この地が森や木とともにあったことを教えてくれます。
彫刻も見事ですし、この地でよく知られたヴァイオリン製作者もいたようで、製作過程が展示されていました。
ここでデンとはいろいろな話をすることができました。
わたしが94年のワールドカップでのルーマニアの活躍は凄かったと選手の名前をずらっと10人くらいあげるとさすがに驚いていましたが、サッカーの話題はだいたいの男性なら話が弾むのでコミュニケーションを深める助けになります。
彼の話しでいちばん意外だったのが、ルーマニア人のチャウシェスクの好き嫌いはフィフティー・フィフティーだという言葉でした。
理由はよく分かりませんでしたが、あまりにあっさり処刑されたチャウシェスクは暴君とのイメージが強かったものの、好い面もあったのかも知れません。

再び出発して田舎道に入ると湧き水があり、地元の人がタンクに水を汲んでいました。
わたしも少し飲ませてもらうと、水は冷蔵庫に入っていたかのように冷えていて、しかも甘みを感じるような味でとても美味しく飲めます。
2リットルのペットボトルに残っていた水を捨てて、この地の天然水を満タンにしました。
すぐ近くにマス料理のレストランがあったのでふたりで入りました。
さすがプロの運転手、ビールなどはオーダーしないのでわたしも見習って、先ほどの天然水で乾杯します。
クリームソースのマスは美味しいのですが、ナイフ・フォークさばきは難題で、終了後の皿を見比べればふたりの力量の差が歴然としていました。
この辺りの景観は左右が急傾斜の山で、杉のような常緑樹の森になっており、木のないところは芝地で牛が放牧されていて、アルプスの山々を連想させます。
美しさに陶酔しながらも、あんな急勾配を牛が上がれるものなのか、降りるとき足を滑らせればすごい勢いで落ちてきて民家などなぎ倒すのではなどとくだらぬことを考えてしまいます。
頂上のみ二股の大岩が露出した山の入り口まで行って、登ってみるかと聞かれましたが、時間を気にして戻ることにしました。

夕方の帰り道は、こんなにいたのかと驚くほど、干し草を満載した荷馬車とすれ違います。
作例はそれでいこうかと思っていたのですが、最後の最後に車から見えて停めてもらったヒツジの群れの中にいた羊飼いの子どもたちにしました。一家4人で飼っているヒツジは800頭もいるそうです。
牧羊犬が2頭いて、繋がれた方はわたしたちに向かって盛んに吠えますが、もう1頭は尻尾を振って懐いてきます。
これではヒツジを統率できそうもありませんが、新米の犬だと判断します。
小高い牧草だけの土地に小屋がいくつかあってうちひとつは10メートルの井戸だそうです。
さきほどの湧き水もそうですが、この一帯は水がよくて、それが野菜の味を好くし、ひいては肉や魚も美味しくさせるのだろうなあと牧歌的風景を前にぼんやり考えます。
それにしても子どもにばかり作業をさせて両親はどうしたのだろうと思ったら、小屋の陰でふたりで酒を飲んでいました。
いっしょにどうだとわたしに向かってビンを振りかざしたので一瞬、誘惑にかられましたが諦めました。
真面目なデンはきっと拒否するに違いなかったので。
【Alpha7/Nikkor S・C 5cmF1.5 F1.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
未分類 | trackback(0) | comment(0) | 2015/09/02 Wed
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