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好辣

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
訂正しなければいけないことがあるのに気付きました。
"Ruo-Optik"と刻印されていると書きましたが、厳密にはわずかに違っていました。
"u"の上に2つ点があって、これはドイツ語でウムラウトというそうです。
ドイツの都市、Dusseldorfのuの上にも付いていて、これはデュッセルドルフと表記するので、Ruoもリュオがより近くなるでしょう。
以降、リュオ・キノと呼ぶことにします。

もしかしたらと思い、RudersdorfではなくRuedersdorfで検索すると、Ruedersdorf bei Berlin という地名が見つかりました。
ウムラウトは、英語表記ではueになるので、まさにこれに違いないでしょう。
Frrankfurt am Meinと同様、ベルリン近郊のリューダーズドルフという意味なのだと思います。

ただし、分かったのはここまでです。
ツァイスレンズの電話帳と呼ばれる、"Produktionbuch Photooptik Carl Zeiss Jena"という細密なシリアル番号表がありますが、この著者(編者?)である Hartmut Thiele は、他にも何冊ものレンズに関する出版物を発刊しています。
そのうちの一冊が、"Deutsche Photooptik von A-Z"というドイツレンズの詳細な一覧です。
かなりマイナーなメーカーやレンズも掲載されていて、リュオのレンズも14種が出ているのですが、残念ながらキノという名前は見当たりません。

それでも、よく見ると"Caleinar"というレンズがヒントを与えてくれそうです。
F値F1.5-F1.8、焦点距離25-250mm、レンズ構成4群4枚、初出1930年、使用目的"lichtkstarkes objektiv"。
スペックや年代が一致しているので、このカライナー(?)とキノが同じレンズである可能性はそれなりに高いと思われます。

使用目的の"lichtkstarkes objektiv"というのがよく分かりません。
英語にすると恐らく strong light objcctive で、たぶん明るいレンズという意味になるのだと思いますが、これでは使用目的とはならないので、ここは単に備考としてそう書かれただけなのかも知れません。
Thiele氏にも何のためのレンズかは分からなかったのでしょうか。

ちなみにリュオでは、"Paritar"というレンズが、F値F1、焦点距離50、75、100mm、レンズ構成5群5枚、初出1933年、使用目的35mm映画または写真用として掲載されています。
貼り合わせのない5枚のF1の超大口径で35mmフルサイズのレンズが、1933年に発売されていたというのは脅威です。
4群4枚のエルノスター、つまりはこのリュオ・キノに1枚付加して改良したのでしょうか。
たいへん興味深いですが、こんなレンズほんとうに世に出たのか、検索しても手掛かりすら得られません。


さて、今日の作例ですが、お昼前に野菜を切って料理のお手伝いをする女の子です。
背中を向けていたので、すぐ隣に腰掛けてずっと観察させてもらいましたが、5~6歳と見える少女にも関わらず、慣れているのか手さばきが見事で、驚かされました。
なにより真剣な後姿に惹かれます。
ひとりっこ政策の中国では子どもは甘やかされてばかりですが、地方ではまだまだ家の仕事を手伝う小さな子たちの姿を目にすることが多く、ときに胸を熱くすることもあります。

レンズ描写も、F2になると開放よりはだいぶ先鋭ですが、それでもハイライトの滲みはだいぶ残っています。
また、これまであまり感じられなかった4隅の同心円状の流れがわずかに見えてきています。
しかし、この1枚は、このレンズの使い方についてある示唆を含んでいました。
それに気付くのはまだしばらく後のことです。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F2】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2012/02/04 Sat
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