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小芥子鏡頭

Gaudin 10cmF3.5
いま、女性の間でこけしがブームなのだそうです。
いやこれは不純な話ではなく、お土産用の大量生産品でない職人が1本1本手作りしたこけしにはひとつひとつに個性があって、素朴な表情と木の温もりに癒されるというのがその理由だということです。
仕事を終えて帰宅してから、こけしを手に取って語りかけるなどして愛でる若い女性の姿のリポートも見ました。
1本手に入れるとまた別のタイプのこけしが欲しくなり、コレクションは100本以上にもなってしまったと紹介されています。

この話、こけしをレンズに置き換えるとわたしの姿にそのまま当てはまります。
特にペッツバールを集め出してからは、こけし愛好女性よろしくレンズを愛でています。
ペッツバールのずんどうでフード部分がふた回りくらい広がった鏡胴はこけしの形態そのもので、真鍮のやわらかな質感は金属にあって木の温もりにもこけし愛と通ずつところがあると言えます。
さすがに語り掛けるということはありませんが、今度、こういう旅をしてそのときにはこのレンズを持っていきたいなどと考えるのは、同様の行為といえるかなと思います。

少なくとも現行のレンズに対してこんなことをする人はいないでしょうし、ペッツバールよりもあとの35mm用レンズに対しても同じような感情は湧かないような気がします。
小型レンズの親指と人差し指でつまんでせいぜい中指をサポートに添えるようにして持てるようなサイズのものと、手のひら全体に包み込むように持つようなものとでは、持ちうる感情もおのずと違ってくるのかも知れません。
これに気付いたカメラ女子たちが現行のレンズを捨ててペッツバールに興味を持ち始める日が、近い将来やって来ることでしょう。
帰宅後愛でるだけではなく、お気に入りのポートレイトスナップを撮ろうとペッツバール付ミラーレスを手にした女性が、週末の町中を行きかっているような日が。

よさこいを見物に行ったこの日は、まだペッツバールで撮影していたのはksmtさんとわたしだけでしたが、その共通点がそうさせたのか、ksmtさんがこの日のよさこいの写真でホームページにアップされた写真の中に、わたしの今日の作例の女性とおとといの作例の女性が登場していて驚かされました。
同じ日の作例とはいえ、ksmtさんとわたしとでは違う場所で撮影していましたし、わたしの撮った写真はほとんどがピンボケでその中でもマシなものを選択の余地なくピックアップしたのですが、ksmtさんは恐らく数多く撮影された中から熟慮の末選んだ写真のうち2枚に同じ踊り手を写したものだったのですから。
ペッツバールが自ら選ぶ被写体があるとか、ペッツバールが結び付ける何かがあるのではと信じたくなりました。

さて、熱気あふれるお祭りを見ていると案外とすぐに疲れてしまうもので、少々早めにお疲れさん会に向かうことにしました。
会といっても予約しているとかそんなことではなく、前にこの辺に店があったのでという記憶をたよりにアジア料理のレストランを見つけ出してなだれ込み、疲れと酷暑から一気に解放されます。
最後にちょっと失態だったなあと思ったのが、お昼にカレーを食べていたのをすっかり忘れて、お得コースの中から選択したのがタイのグリーンカレーだったこと、それと、撮影中ドリンクが調達できなくて喉カラカラで、これまたお得キャンペーンで大ジョッキが安いと言うので安易に頼んでがぶ飲みしてしまったことでした。

干からびた全身に水分と同時に流れ込んだアルコールが駆け巡るスピードは速く、いつにもまして早々に酔っぱらってしまいました。
そのときknpmさんが最近入手されたという希少レンズを見せてくれたのですが、わたしはかなりぞんざいに扱ってしまったような気がして今気が引けているところです。
前に書いたことを翻すようですが、ペッツバールではないから愛情を持てなかったということではありません。
あくまで酔っていたために、慎重に触れなければならないという集中力が欠如していたのだとお詫びしたいと思います。
【X-E1/Gaudin 10cmF3.5 F3.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gaudin 10cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/31 Sat

刺客登場

Gaudin 10cmF3.5
7月のことだと思いますが、深圳を訪れた際にいつものようにカメラ修理屋の順平さんのところに顔を出した時のことです。
持っていたペッツバール型レンズのゴーダンレンズを自慢げに見せたところ、ほおッと感心した後に、よければ絞りを作ってあげましょうかと言います。
ペッツバールの時代の絞りはウォーターハウス絞りと言って、鏡胴のスリットに丸穴の空いた金属板を差し込むことで絞り込むことができるというシンプルな仕組みです。
穴の大きさの違う何枚かの板を使えば任意の絞り値で撮影できるので、瞬時に絞り値が変更できる現在の虹彩絞りより時間では劣りますが、機能としては劣るものではありません。

そんなウォーターハウス絞りの板を、F4、F5.6、F8、F11と4枚セットで作ってくれるというありがたい話でした。
しかし、言うまでもなくわたしはペッツバールを絞って使おうとは考えていません。
そもそも、ウォーターハウス絞りが発明されたのが1858年と言われていて、ゴーダンレンズは1840年代前半の製造ですので絞り用のスリットがありません。
スリットも開けてあげるよと言ってくれましたが、丁寧にお断りしました。
わたしのペッツバールの中ではダルマイヤーのみにスリットが開いていますので、これ用に絞り板を作ってもらえば、絞り値による描写の変化が分かりますので、そういう興味から絞り板を作ってもらおうかとは考えています。

実は、今日書きたかったことはこのことではなく、このとき順平さんが紹介してくれた中国人のレンズファンのことでした。
なかなか恰幅のいい男性でしたが、見かけどおりに裕福な人らしく、メインで使っているニコンのデジタルカメラプラス多くのレンズシステムをキャリーバッグ型のカメラケースに入れてアメリカやヨーロッパ、日本などを旅行して撮影を楽しんでいるとのことでした。
驚くべきは、最近特に嵌まっていることで、19世紀の真鍮レンズを集めて、いずれもニコン用に改造して撮影に使っているということです。
ペッツバールレンズを入手したが、絞りが付いていなかったので順平さんに絞りを作ってもらい、F8で撮ったところ素晴らしい写りでペッツバールにほれ込んだと嬉しそうに語ります。

わたしも早速X-E1に付けたゴーダンで撮影し、液晶を拡大したりしてみてもらいましたが、その写りには不満だと言わんばかりに表情を曇らせていました。
理由を聞くと、こんな古い時代のレンズは絞らなければ良好な結果は得られないからだと言うのですが、わたしがこのレンズには絞りのスリットがないと鏡胴を見せたうえで、ウォーターハウス以前のレンズだからだと説明しようとしましたが、絞り用のスリットを開けてもらえばいいのにと言ってこちらの説明には興味がなさそうでしたので、話はそれきりになりました。

前月雲南に行ったとき、ゴーダンレンズのコバに手書きのサインなどがあったことからたいへん古いレンズだったことが証明されたという説明をして中国人たちにたいへん受けたので、それも自慢するつもりだったのですが、馬の耳に念仏になりそうでやめました。
こう書くと、この中国人が成金のイヤなヤツのように誤解されそうですが、実際の性格は1度あっただけなので分からないものの、会話から感じられる雰囲気では成功者にも拘わらず腰が低く誠実そうなタイプの人です。
ただ、自分がこうと決めたことは絶対に曲げたくないという、意志の強さも持ち合わせているという人なのかも知れません。
そういえば、風景写真が得意ということで、何月に中国に来たらどこそこへ行くと素晴らしいといろいろな撮影場所をアドバイスもしてくれました。
きっと、いつか彼がわたしのブログの写真なんかみたら何だこりゃと怒り出してしまうかも知れませんね。

さて、困ったことというのは、いま、中国でも最新のカメラとレンズのシステムに飽き足らず、独特の描写を楽しもうという人々が急速に増えているという話を聞いたことです。
この方は19世紀の金ぴかの真鍮レンズを集めているとのことですが、金好きの中国人ということと関係あるのか、同じように集めている人はけっこういるよということを聞きました。
先日、欲しかったペッツバールレンズを購入できなかったことや購入したものがかなり高価だったということを書きましたが、その理由の説明がついたような気がします。
先に火がついていた希少レンズなどと同様、ペッツバール等の歴史的レンズも中国人たちと少ないパイを求めて闘わなくてはいけない状況なのでしょう。
このときの滞在では、古いレンズを愛好する人と知り合えた嬉しさよりも、その古いレンズは自分のもとに来ることはほとんどなくなって彼らがどんどんと入手してしまうんだろうないう絶望感の方が強く残るものになってしまったというわけです。

今日の作例は、よさこいの会場からですが、ペッツバールなどとは違い絞らなくても高性能の最新レンズで、つまりはIphoneで撮影していた女性を撮影するという、一種の劇中劇(?)です。
しなやかな動作が目を引く女性でしたが、よさこいの踊りよりも彼女の方がずっとすごいダンスをみせてくれそうな雰囲気でした。
ひとりで歩いていたので、わたしにもうちょっと語学力があれば、ぜひよさこいの感想を聞いてみたいところでした。
【X-E1/Gaudin 10cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gaudin 10cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/30 Fri

不容易買的

Gaudin 10cmF3.5
昨日、ペッツバールが6本になりましたと報告しましたが、実はもう1本ペッツバールがマウント改造のスタンバイ状態になっています。
この先もペッツバールは増殖していきそうな勢いですが、今後はそうそう購入することは難しいだろうと覚悟しています。
昨日も書いたようにわたしが求めるペッツバールの焦点距離は100mm以下なのですが、19世紀に人物撮影用として製造された、このクラスのペッツバールはとても数が少ないからです。
それに、最近はこれら焦点距離の短いペッツバールにも魔の手が伸びて来たようで、見つかっても入手は難しくなりつつあります。

先週、これぞという出物が某オークション上で立て続けにあったのですが、いずれもわたし個人の想定価格を大きく上回って入札を断念せざるを得なくなりました。
最近入手できた2本も、レンズ自体がかなり珍しいので価格の装丁も困難なくらいでしたが、案の定、かなりの高額になってしまったので、以降はオークション価格が高騰した場合あっさりと手を引かなくてはならないという自己ルールを作らせたのでした。
ペッツバールは製造数が少なくて、この機会を逃したら2度と手に入れることはないだろうという、強迫観念と戦わなくてはなりません。

ペッツバールタイプのレンズそのものを見つけ出すことも簡単なことではないということも強調しておきます。
ペッツバールの時代のレンズは、少なくとも19世紀のあいだ、名称が付けられなかったということがあります。鏡胴には、メーカー名と所在地が"Darlot Paris"のように刻印されていますが、レンズ名は無くあとは製造番号があったりなかったりです。
レンズを探すには、メーカー名で検索するしかなく、そうやって探す手間はたいへんな労力です。

前述のとおり刻印には、焦点距離がありません。
説明の中で、実測した焦点距離やF値を記載しているケースがあって、こういうものには間違いも多いのですが、入札しやすいのはこのパターンです。
何が根拠なのか分からない書き方でおよそ何ミリだと記載してあるものは、リスクを覚悟しなければなりません。
全長、レンズ径の記載があれば、これもリスクはありますが、手持ちのペッツバールと比較してこれならよいかと手を付けることはできます。
推定焦点距離が150mm以上だったり、上記のような情報が一切ないために、わたしの場合は入札するまでにいかないケースがほとんどになります。

しかし、ひとたびレンズを入手すると、それは古文書のようなもので、レンズのプロファイリングをする楽しみはひとしおでしょう。
さきほど書いたように製造番号すら刻印されてないレンズが多いので、刻印の字体やレンズ形態の類似性から製造年を推定します。
またレンズのコバ部分に書き込みがある場合などは、一気に事実が明らかになった事例もあり、最近ではもっとも興奮したできごとでした。
さらには、当時使われていたカメラの資料と突き合わせて、どのカメラでどのように使われていたかも推定できるかも知れません。

ペッツバールは、写真術とカメラの発展と並行するので、入手できるダゲレオタイプやアンブロタイプでの描写にペッツバールの痕跡を求めたり、当時の欧米社会や市民生活に思いを馳せたりということも可能です。
研究し甲斐のある分野といえるでしょう。
オールドレンズに押しなべていえることですが、ペッツバールではとくにその描写以上に秘めた背景があって、雄弁な時代の証言者なのです。

本来は、入手したレンズでは撮るものこそが大切なはずですが、よさこいでは依然苦戦が続いています。
今日の作例はかなりいい線をいっていると思ったのですが、こうしてアップしてみるとやや前ピンでした。
ちょっと残念ですが、美しい女性がよさこいに陶酔する姿がとらえられたことで満足するしかありません。
【X-E1/Gaudin 10cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gaudin 10cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/29 Thu

Petzval的未来

Gaudin 10cmF3.5
MSオプティカルに最高ともいえる評価をいただいたレンズは、Dubloniというメーカーのものです。
ksmtさんがたくさんの写真とともにレンズ評価もされたうえで、わたしに手渡してくれました。
次回の旅行の時にでも、中将姫光学デビューさせようと考えていますので、このレンズの詳細についてはそのときまでお待ちいただきたいと思います。
待てないという方は、もちろんksmt.comをご覧いただければ詳しいことは分かります。
この時点でわたしのペッツバールは6本になりましたので、一覧にしておこうと思います(入手順)。

1.Dallmeyer London 114mmF3.6 1866
2.Voigtlander Braunschweig 100mmF2.3 1900
3.Lerebours et Secretin Paris 85mmF3.4 1860?
4.Darlot Paris 100mmF3.3 1860?
5.Gaudin Paris 100mmF3.5 1842?
6.Dubloni Paris 100mmF3.5 1850?

わたしのペッツバールの最初がダルマイヤーだったのにはちょっとした理由があります。
そのきっかけは、knpmさんがダルマイヤーのペッツバールをEOSで撮った写真を見たことだったのですが、特に協会の中で撮影されたものがとても美しく、19世紀半ばのレンズの写真がこんなによく写るものなのかと驚きました。
同様のレンズで焦点距離が短かいのがあればMSオプティカルでライカ距離計連動に改造してもらうんだけどなあと何気なく某オークションを覗くと、まさにこのレンズが出ていて案外と安い値段で落札することができたのです。
114mmという焦点距離はかなり無理がありましたが、何とか連動するようにしていただけました。
恐らく世界初のMマウント・ペッツバール距離計連動だつたのではと思われます。

その頃は75mmくらいの長さは使いやすい焦点距離としていましたが、まだ90mm以上は長すぎて使いづらかったのでダルマイヤーは歴史的レンズとしての位置づけでたまに使う程度でした。
そのため、2本目のフォクトレンダーの入手までには長いブランクが訪れます。
入手のきっかけは今度はksmtさんで、当時ksmtさんは早くもペッツバールにのめり込んでいて、"Voigtlander Wien"と刻印のある、つまりはペッツバール博士とのトラブルをきっかけにブラウンシュバイクにも拠点をつくり、そのため"Wien & Braunschweig"という刻印に移行するのですが、それより前の最初期のフォクトレンダーを探していると公言されていました。
それに協力すべく探していた時に見つけたのが、まさに2番目に購入したペッツバールです。

自主性もなく他力本願でレンズを購入している自分が情けないですが、3本目以降は積極的にペッツバールを探す中で見つけて来たレンズたちです。
奇しくも4本ともフランスのレンズですが、1本目イギリス、2本目ドイツと20世紀の感覚で光学の中心地と思われがちな両国よりも、ニエプス、ダゲールに端を発したペッツバールの時代のレンズの中心はパリにこそあったので、フランスレンズが続くのは自然の流れだと言えるかも知れません。

わたしのペッツバール・コレクション(?)で特徴的と言えるもうひとつのことは、4本が焦点距離100mmで他も85mmと114mmと、ペッツバールとしては短焦点に揃えられていることです。
これがとても重要なことで、もちろん単に焦点距離は短いほど使いやすいということがあるのですが、ペッツバールの時代のレンズは焦点距離がカメラの大きさを決めていたということがより大切な問題になります。
焦点距離が長いということはレンズサイズも拡大し、それがそのままイメージサークルの大きさに比例するということを意味します。
巨大イメージサークルの中心の一部だけを使うより、ギリギリのフォーマットで使った方がレンズの味わいがより分かりますし、他の35mm用に設計されたレンズとの比較においても公平性が保たれます。

35mmフルサイズにふさわしい焦点距離、中判の645や67、69にふさわしい焦点距離を見出さなければと考えています。
5インチ(約125mm)のペッツバールは4x5をぎりぎりカバーしないと聞きました。
100mmはそれよりイメージサークルが小さいので、6x7くらいがちょうどよいのかも知れません。
6x7がぴったりフィットということになれば、中判用のデジタルバックを使うのがよさそうですが、価格を見れば腰が引けてしまいます。
ロールフィルムバックが取り付けられるフォーカルプレーンシャッター付の大判が今のところ理想的ということになりそうです。

しかしまだ、距離をどう合わせるかの問題があります。
距離計連動のカメラもありますが、ペッツバールを付けて連動用に改造可能なのかを確認していません。
去年からずっとこんなことを考えていますが、悲しいかな実行力がなくて進展していかない現状があります。
とりあえず、その前段階の改造依頼はしてあるのですが、それが成功したら、次のステップと1歩1歩進んでいくしかなさそうです。
とはいえ、雲南の旅でM6の撮影が実に愉しく感じられたうえに、撮影結果も想像以上だったということもあって、勢いでロールフィルムまでいけるかも知れないという予感もあります。
ペッツバールを持つことで少し方向性が拡大していることを実感しているのです。
【X-E1/Gaudin 10cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gaudin 10cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/28 Wed

她贏了

Gaudin 10cmF3.5
よさこいの見物の前、実はksmtさんを伴ってMSオブティカルを訪問しました。
久し振りに訪れたMSオプティカルは周辺の雰囲気が若干変わって見え、案内役のはずが迷ってしまいおふたりに迷惑をかけてしまいます。
しかし、久々の工房に入ってみると、何も変わっていないような懐かしさが感じられました。
もちろん宮崎さんも全然変わらずで、まったく歳をとらない人だなといつもながらに感心させられます。

昨日は、knpmさん、ksmtさんとの夕方の打ち上げが楽しいと書きましたが、真昼間のMSでのレンズ話も多岐にわたって楽しくて仕方ありません。
後悔したのは、knpmさんを無理にでも連れてこなかったことです。
収差の話が突っ込んで聞け、大いに盛り上がったことでしょう。
なぜレンズのことを未だよく分かっていないというのに、その分からない話を聞いているだけでこんなにも楽しいのでしょうか。

ここで聞いた話をそのまま書き写していけば1週間分のブログネタにまったく困らないくらいでしたが、企業秘密的な話も多かったので、残念ながら書くことを遠慮しなければなりません。
そこで、今回もうひとつ盛り上がった、レンズ干渉計テストのことに触れることにしましょう。
宮崎さんの作業机の上には手製の干渉計がスタンバイされていて、わたしたちもこれから撮影に行くところだったのでレンズを何本か持っており、さっそく片っ端から球面収差のテストをしてもらったのです。

宮崎さんの手持ちのレンズも含めて10本ほどは干渉計のスリットを覗いたでしょうか。
エルマーやニッコールなど防湿庫に置かれた難敵を軽くおさえて、美しい干渉縞を見せ栄えあるグランプリの栄冠を手にしたのは、わたしのフランス製のペッツバールでした。
わたしのと書きましたが、実際には、手に入れてすぐksmtさんにマウント改造とレンズ評価をお願いしていたレンズで、ちょうどksmtさんがわたしに渡すべく持参していたので最初にテストしてもらったものです。
もともと撮影していたksmtさんの評価も最高レベルでしたが、干渉縞はある程度細かくあいまいさのないびしっとした直線が伸びていて、宮崎さんからはすばらしいという評価を得ました。

ペッツバールは他にも数本あって、上述のレンズと互角の写りをするレンズもあったのですが、球面収差においてはまったく叶いませんでした。
他のレンズも望遠としてはなかなかの性能をうかがわせる干渉縞でしたが、見慣れないわたしでも上述レンズとはあきらかな有意差があってワンランク、ツーランク上だという言葉が自然と浮かんできました。
実は、他のペッツバールの評価も100mm以上のレンズとしては、なかなかに優秀と言えるレベルでしたので、グランプリレンズがどれだけ優秀かは推して知るべしです。

再来週くらいにその作例をお見せできると目論んでいますが、www.ksmt.comであればすでに多くの写真が公開されていますのでぜひご覧いただければと思います。
Dubloniという名前のレンズです。
それにしても、フリントとクラウンを組み合わせたシンプル構成のペッツバールで、かなりの性能差が観られたのは興味深いことでした。
いや、シンプルだからこそ、ちょっとした違いが大きな差となって現前するのでしょうか。
ペッツバールの時代からすでに球面収差軽減の研究はかなり進んでいたと宮崎さんから教えていただきましたことを付記させていただきます。

作例は、予告通り早速のピンボケで申し訳ありません。
それこそグランプリ級の美女ですが、見とれたからというわけではないのですが、近距離にピント合わせが追い付かないかたちになってしまったようです。
よさこいは、みな実に楽しそうに笑いながら踊っている姿がほとんどてしたが、時おり緊張の場面でこんな美しい表情を見ることもありました。
動きが激しい場面ではなかっただけに返す返すも残念です。
【X-E1/Gaudin 10cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gaudin 10cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/27 Tue

加勒比海盗

Gaudin 10cmF3.5
昨日今日と関東は気温が下がって凌ぎやすくなっていますが、まだとても暑かった先週末の土曜に原宿表参道スーパーよさこいというイベントを見物に行ってきました。
ぼけっと見ているだけでクソ暑い1日でしたが、踊っている方はもっと暑いわけで、彼らよりもずっと楽な状況にいるということで自分を叱咤して、今週1週間分の作例を撮ってきたという次第です。
ひとつのイベントだけで7日分の作例写真というのは、わたしの撮影技術では厳しいものがありますし、事実、ピンボケ連発で、こんなの作例にしますかというのも登場するかと思いますが、酷暑と酷寒の時期は仕方なきところです。
どうかご容赦ください、そうあらかじめお断り申し上げます。

そのピンボケについてですが、これはカメラの責任にすることはできません。
むしろ、レンズ交換ができるミラーレスカメラは、アダプター使用レンズのマニュアルフォーカスに対応するようフォーカシングのアシスト機能がどのカメラにも付いていて、各メーカーの心の広い対応に感謝しなくてはいけないくらいです。
今日の作例のカリブの海賊さんのように立ち止まっているケースでは、献身的なカメラの機能を使えばピントはどうにか合わせられました。
このメイクや衣装もかなり暑苦しくて、ご本人はかなりきつかったのだろうと思われますので、最初の作例に採用することで頑張りに敬意を表させていただきます。

さて、わたしにとっては、行先やイベントよりもずっと重要だったのは、knpmさんとksmtさんが同行だったことです。
6月にnrbtさんとknpmさんとは同行の機会がありましたが、この時はksmtさんが出張中でしたので、このおふたりが揃っての撮影の機会は2月の小村井以来半年ぶりということになります。
3人の撮影スタイルには人物を取り入れたスナップという共通点かあるので、同じ場所で撮影していて誰かが撮るものがないと手持無沙汰になるようなことはないので、もっと同行撮影の機会があるといいのですが、皆さん忙しくて日程がなかなか合わないのが残念です。

しかし、いざ同行の機会があれば、これはもうすごいことになります。
撮影後の打ち上げでは、初めて見るようなめずらしいレンズを見せてもらったり、こんな企画を進行中ですといった話を愉しそうにするのを聞いたり、レンズ入手の裏話を披露しあったりと、わたしにとってはこれ以上楽しい時間は今の自分の人生には考えられないくらいです。
クソ暑い中で撮影にいそしんだ後に、ビールをがぶがぶやれるだけで十分に至福なんですが。

撮影のあとの打ち上げで器材の話となると通常はカメラがメインになるのでしょうけれど、メンバーはそれぞれ違うカメラを使ってますし、それぞれが長く同じカメラを使っているのが普通とやはりレンズが主でカメラは従という関係であることは間違いありません。
デジタルの時代になって、レンズが主と言ってもカメラはより重要度は増しています。
ミラーレスのフルサイズ機が近々お目見えという話がありますし、わたしもksmtさんに19世紀レンズの距離計非連動のマウント改造をお願いしていることもあって、今後はカメラの話が少しずつ盛り上がっていくかも知れません。。
X-E1/Gaudin 10cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gaudin 10cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/26 Mon

F8或者F11

Sonnar 5cmF1.5
最後の作例は、またゾナーに戻りますが、このゾナーはまた新規に入手したものだと言えばきっと驚かれるでしょう。
このレンズが初期のブラック&ニッケルで、しかも最小絞りがF8の最初期型だと言えば、さらに驚かれることでしょう。
残念ながらこのレンズには前玉にキズがあって、逆光などでは影響が出る可能性を感じますが、オークションの出品者はその旨明記してくれていたおかげで、覚悟をもっての入札でしたし、落札額もたいへん安く助かりました。
オリジナルの写りが期待できないレンズには手を出さない方が良いのだとは知りつつも、F8ゾナーはたいへん珍しいので、心のいやしいわたしは安ければという条件付きで手に入れてしまうのでした。

F8ゾナーは以前にも購入していて、そちらはくもりやキズのない良好な状態ですので、もはやキズのあるゾナーが必要とは思わないところです。
しかも、両者はシリアル番号14158XXと同じ番号帯に収まっていて、当然同じロットです。
ツァイスの"電話帳"によれば、イチゴのゾナーは130万番台の最初の3本が単発で製造された後、55本という小さなロットで発売されたものが実質的に最初の量産品と思われます。
今回手に入れたF8イチゴゾナーは、その直後に製造された300本のロットの中の1本ということになります。
イチゴゾナーの199番目の製造で、先に手に入れていた方はそれより製造番号が39番後なだけです。

まったく同じに思われそうな2本ですが、実は決定的な違いがあります。
今回手に入れた方は普通に最小絞りF8なのですが、先に手に入れた方は刻印数字は8までで、その次に点のみが刻印されているのです。
絞りはその点のところまで動かすことができて、その位置はまさにF11と一致します。
F8イチゴゾナーとして手に入れたのに、実質的にF11イチゴゾナーだったという訳です。
ところが、今回手に入れたF8イチゴゾナーはF8より絞りは動きませんし、もちろん点は刻印されていません。
同じロットで製造番号が39違うだけの2本に、このような違いを発見して驚かされました。

これまでF8ゾナーだと思っていたのに、刻印はF8でもF11位置に点が打たれてそこまで絞れるとなればF8(F11)イチゴゾナーとでも表記しなくてはならなくなりました。
F8(F11)イチゴゾナーは、F8イチゴゾナーとF11イチゴゾナーの過渡期に少量作られたレンズなのでしょうか。
少し穿った見方をすれば、F8ユーザーがF11登場後にツァイスに改造させ、そのため"11"の刻印が入れられなかったということも考えられます。
それでもF8(F11)イチゴゾナーも他で見たことがありますので、たまたま刻印が漏れたエラーバージョンという訳ではなさそうですが、F8の製造数も含めてそれ以上のことは一切不明です。

カメラボディの方は研究が進んでいるのか、コンタックスI型のバージョン違いなどが細かく記されたサイトなどを見ることができます。
レンズの方がよほど簡単に見つかりそうなものなのに、全体の製造番号表である"電話帳"以外にレンズの資料が未だ発見できていません。
もし、資料がないということであれば、自らの手でイチゴゾナーバリエーション年表を作成したいですね。
実は、F8ゾナーを手に入れた直後西ドイツイチゴゾナーも立て続けに2本入手していまして…。


さて、今日の作例が大芬での最後のものになります。
ちょっと後ピン気味でゾナーのびしっとした絵にならなかったのががっかりですが、なだらかでうるさくならないボケがゾナーらしくて好きな1枚になりました。
ノンコートでも、ガウスタイプよりは影響を受けにくいはずで、太陽に向けて撮るような最悪の状態でもない限り、キズ有ゾナーもそのキズの存在をうかがわせることはなかったと報告しておきます。
問題はむしろカメラの扱い方で、この作例では光源を拾ったために青かぶりしてしまいましたが、レンジファインダーと違う一眼レフタイプの利点を活かせていない結果となったことをお詫びします。
同じところからもう3枚撮りましたが、それらは角度を微妙に下げることでナチュラルな発色になっていますが、残念ながら彼女の顔と手にしたスマートフォンがはっきり分かるこちらを採用いたしました。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/25 Sun

老地方買茶

Cine-Unilite 35mmF1.9
わたしはコーヒーが苦手だったせいか、子どものころから紅茶が好きで、長じてからは日本茶が、さらに中国に行き始めてからは中国茶が好きになりました。
中国茶のバリエーションはあまりに多く、大型中国茶点になど行ったら何を飲んでいいのか皆目分からなくなるくらいですが、深圳で愛好されているのはウーロン茶が多くそれなら日本でもなじみがあるし、何より美味しくて体にもいいというので、わたしは迷うことなくウーロン茶の愛好家になりました。

そのウーロン茶もあまりに種類が多くて、目が回りそうなくらいですが、例えば台湾のものは高級すぎて日常飲むには厳しいですが、福建省安渓の鉄観音は品質に比してリーズナブルで深圳には専門店も多いことから必然的にこのお茶を日常茶とすることを決めました。
昨年から原料目的でプーアル茶の方がメインになってしまいましたが、安渓鉄観音の方が好きだということは変わっていません。

中国では食品の安全性の問題があって、エキスを抽出するように飲むお茶は農薬とかニセモノとか、あとから味付けしたとか危険を感じるもののひとつです。
そこまでひどくなくても、お茶は鮮度が命なので一定期間売れ残ったものを缶などにパッケージしなおして高級茶だとして売りなおすということが行われているそうです。
それらのことを踏まえて、わたしは友人から紹介された住宅街にある安渓茶専門店で、試飲しながら勧められた何種類かから味と値段を比較して購入するようになりました。
かれこれその店とは7~8年のお付き合いです。

その店の何がいいのかといえば、彼ら自身が安渓の出身で広大な茶畑も持っています。
店のお茶はすべて自分たちのところで採れたお茶で、その後の鉄観音になるまでの工程もすべて彼らの一家でおこなったもの、聞けばかなりの高山なので虫が少なく農薬の必要はないですし畑が起伏に富んでいるので場所場所によって個性の違うお茶になり、だからこうしていろいろなタイプの鉄観音を愉しめると説明してくれます。
あまりお客さんが来ないので心配すると、基本的には深圳を中心にレストランや茶商が商売相手で、自分たちが暗いためにここで小売の商売をしているので生活に影響はないのだと言います。
なるほど自分たちが住んでいるマンションの1階は商売には地味な場所ですが、その分家賃は安く、近所の人がたまに買ってくれたり、わたしのような個人的に付き合いもできたような人などが結構まとめて買ってくれたりして商売が成り立っているようです。

さて、いつものように店に入ると、久しぶりね、いつこっちに来たのというようにあいさつが始まり、今日はどんなのを飲むかなどと聞かれます。
茶芸店に必ずある大きな木の株を細工して作ったテーブルの前にかけながら、今日は、自分のではなくてお世話になっている友達の分なのでまあまあいいやつをお願いしますと返事しました。
鉄観音畑で働いてきた一族であることを証明するかのような色黒の彼女は、保冷庫に行ってお茶の入った袋を2種類取って来て、茶葉をざるにあけてわたしに差し出します。
丁半賭博でサイコロを開始前にチェックするように、茶葉の色を見て香りを嗅いでからOKの合図をして、いよいよ試飲スタートです。
わたしのような素人にはどうでもよいことですが、中国茶愛好家にはお茶の外観確認は大切なことですし、この神聖な儀式がお茶の試飲の開始を告げることなのでしょう。

わたしは、店にとって大きな利益を生む存在ではありませんが、恐らく唯一の外国人ですから、大袈裟に言えば日中の茶文化をつなぐ国賓のようなものです。
最高級の鉄観音は1斤(500グラム)あたり1500元もしますが、これが500元のものより3倍美味しいかといえばそんなことはなく、もっぱらこんな値段のものもあるという宣伝的な意味を持っておかれているようで、200~500元のものを高級茶として勧めてくれます。
けっして外国人だからとコストパフォーマンスに劣るもっと高いものを買えと言ったりはしません。

試飲中はいろいろと感想を言ったり特徴を聞いたりしますが、こういうところはわたしの語学力では歯が立ちません。
ワインのそれほどではありませんが、微妙な違いを表現する抽象的な言葉は言うのも理解するのも容易ではないのです。
2つのお茶はタイプが近かったので、もうちょっと違うものをともう2種類試飲させてもらい、4種の中から2種選択して半斤ずつふたり分パッケージングしてもらいました。

専用の缶があるのでそのまま入れてもよさそうなものですが、それでは缶を開けるたびに酸化が進んで早くダメになってしまいます。
すごく手間がかかりますが、わざわざ1回分8グラムずつに小分けして、小さな袋に真空パックして10個をひとつの缶に詰めてくれました。
お茶をつくる手間を知っている彼女だからこそ、ベストの状態で飲んでもらいたいという気持ちがそうさせるのでしょうし、ひとつひとつのパッケージには安渓人のプライドが籠っているとも感じられます。

鉄観音は嗜好品なので、誰でも美味しく感じられるわけではなく、そもそも中国人の中には鉄観音は薬のようなものだと忌避する人がいるくらいです。
淹れ方でも味が変ってしまうと言われ、わたし自身も家で飲むより現地での方が美味しく感じられるのがちょっと残念です。
ただ、何より店の人が一緒に何杯も飲んで買ったお茶は試飲できない店で買うそれより信頼感がありますし、大切な人に差し上げるものであればそれなりに自信をもってお渡しできるほとんど唯一ともいえる中国の農産品です。
あとはただ、お口に合うことを祈るばかりです。
【X-E1/Cine-Unilite 35mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wray Cine-Unilite 35mmF2 | trackback(0) | comment(4) | 2013/08/24 Sat

英国第二鏡頭公司

Cine-Unilite 35mmF1.9
「Wrayのレンズですが…」、と言うと、「例のレンズって?」と話が噛み合わないことがしばしばです。
レイは、ロス、ダルマイヤー、テイラーホブソンと並ぶイギリスの4大光学メーカーと言える存在ですが、イギリスレンズがもてはやされる昨今でも、今一つ知名度の上がらない地味な地位に甘んじています。
いちばんの老舗であるロスは1830年の創業で、そこから独立したダルマイヤーが1860年に設立されますが、テイラーホブソンはずっと遅れて1887年の発足です。
レイができるのは1850年ですから、これはロスに次ぐ歴史があることを意味しますし、創業当時は色消し単玉やペッツバールを製造していたのですから光学史を体現したレンズメーカーです。

しかし、その単玉レンズを見ることはあってもペッツバールの方はとんと見ることはありません。
その後のラピッドレクチニアの時代のレンズは時たま見かけるもののF値が暗く、焦点距離の長いものばかりで欲しいと思うようなモノはまずはでてこないようです。
20世紀の大口径時代には、ユニライトというF2レンズを出しますが、採用されたのは自社のレイフレックスという変わり種一眼レフとシネレンズだけで製造量はかなり限られたものだったと思われます。
F1という超高速レンズも製造されましたが、これはバックフォーカスがミリ単位で煮ても焼いても食えないレンズですし、あとは大量生産された引き伸ばしレンズが潤沢に市場にあふれるばかりです。

35mmF3.5というスペックのレンズがライカマウントで少量生産されたようですが、まずは見かけず、出てきてもそのスペックに対してかなり高価です。
レイのレンズを使おうと思えば、必然的にレイフレックスを使いづらいのを我慢して楽しむか、50mmF3.5の引き伸ばしレンズをライカマウントなどに改造するかしなければなりません。
わたしは、レンズが降下になってしまうよりだいぶ前にCマウントのシネ・ユニライトというレンズが捨て値で出ているのを見つけ、またカメラが壊れて動かないレイフレックス付のユニライト50mmF2をそれぞれ購入してMSオプティカルに改造してもらいましたが、そのようなタイミングの好い発見がなければレイのレンズを使う機会は一生なかったかも知れません。

さて、ユニライトはレイのワインが設計した4群5枚のレンズで、ちょうどダブルガウスの3群目の貼り合わせを1枚に減じた形になっていて、ダブルガウスの省略形と呼ばれています。
ユニライトが登場するのは戦時中の1944年で、設計の経緯などを知る由はありませんが、戦後すぐに日本を中心にガウスタイプは枚数を増やしてさらに大口径化を目指していく流れにはあらがえず、レンズ史に残る優れた設計にも関わらずキングスレークが自著に取り上げられなければ世に知られることのないレンズになっていたのではと想像されます。

ところで、ユニライト自体が製造数の少ない地味レンズだというのに、頭にシネを付ける意味がどこにあったのか分かりません。
作例のように、シネ・ユニライトはたいへんよく写るレンズですが、35mmフルサイズはカバーしません。
残念ながらマウント改造して使うにもAPSサイズのミラーレスユーザーまでです。
せっかくのX-E1ですからもっと使いたいと思いますが、もし、ライカMかM9を入手した暁には出番がなくなるかも知れません。
しばらくそんなカメラを買う余裕はないのでしばらく安泰そうですが、ソニーがフルサイズのデジタルを発売するという噂もあるようで、シネ・ユニライトも戦々恐々としてしているようです。
【X-E1/Cine-Unilite 35mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wray Cine-Unilite 35mmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2013/08/23 Fri

她們的老郷

Cine-Unilite 35mmF1.9
ここ大芬油画村を歩いていて面白いなあと感じるのが、中国全土のさまざまな地方から人が集まっているのを知るときです。
幼児もない相手にあなたはどこのご出身ですか、などと聞くわけにもいかないので推測が多く入りますが、ここで働いている人の過半数は広東省外から来ているのではないかと思えます。
もともと深圳は全国から労働力を集めている町なので不思議ではないですが、打工と呼ばれる出稼ぎ労働者の多くは地理的理由から湖南、貴州、広西が大半ですが、大芬ではより広いエリアに拡散しているようです。
以前知り合った画商は上海人で、ここでも紹介したことがある絵を習いながら働いていた目のくりくりした女の子は西安出身でした。
前者は深圳同様の都会である上海で働くのが普通ですし、後者は言葉のことなどを考えれば北京で働くのが一般的なので、やはり中国絵画界で大芬は全国区的な名声があるという裏付けなのかも知れません。

全国的名声というのはさすがに冗談ですが、それでもこれまで何度となく足を運んで絵や額を買ったり雑談したりした中で広東出身の人はただひとり湛江出身の水彩画家だけです。
もともと湛江の漁港近くの村で生まれ育った彼は、水彩の滲みを駆使した海辺の風景を得意にしていますが、ライフワークとして取り組んでいるのが中国各地の古鎮の風景です。
彼は年に何回か奥さんと小さな子を店番に残して古鎮巡りの旅に出るのですが、絵は現地で製作するのではなく写真に収めてきて帰宅後店番に戻りつつ時間をとって描き始めます。
そのときに必ず人物を点景のように取り入れるようにしており、彼の絵でよいなと思うところです。
功夫の師範のような個性的な外観の彼ですが、古鎮巡りの共通の趣味を通じてわたしの大芬での唯一の友人とも呼べる存在になっています。

大芬に限らず、中国で話をする機会があると、相手はわたしの中国語があまりにひどいのでたいがいあなたはどこから来たのかと聞いてきます。
当然日本からと答えるのですが、ではあなたはどこからと、わたしは必ず聞き返すようにしています。
出身地が自分の行ったことのあるところであれば素直にそう言うと相手も喜んでくれますし、そうでなければどんなところで面白いところはあるかと聞きます。
すると、まずたいていは非常にいいところだ、どこそこは面白いのでぜひ行ってみてくださいと説明してくれます。

日本人と中国人の考え方のようなものは共通点がとても多いと感じていますが、相違点はこういうところかなと思うのは、日本人だと贈り物するときつまらないものですと言うように謙虚に自分のいなかも何もないところだというように説明するケースが多いのではと思うのですが、中国では逆にそれほどのところではなくとも一生懸命によいところだと自慢するような傾向があるようです。
例えばわたしであれば、近くに鎌倉があるので自慢したいところですが、若い人が行ってもあまり面白くないかも、だいいち人が多すぎで行っただけで疲れちゃいそうですが、興味があればどうぞくらいのことを言ってしまいそうです。
しかし、中国人はまずは自慢ばかりでこういう物言いは聞いたことがありません。

そんな話を聞いて出向いてみると実際に説明通りに好いところだったというケースは稀で、だいたいが話と違うじゃんと失望する場合が多いような気がします。
長らく帰省していないことが、彼らの故郷を美化させてしまうということなのかも知れませんが、いずれにしても郷土愛の強さを感じることは間違いありません。
中国はあまりに広くて省ごと、町ごとに大きく環境がことなることを裏付けているとも言えそうです。

作例の女の子たちではありませんが、別のギャラリーの若い女性は陝西省西安に近い宝鶏市出身だということでした。
深圳からは高速鉄道がつながってだいぶ近くなりましたねと言いましたが、先月帰省したという彼女はその高速鉄道ではなく、ましてや飛行機でもなく、バスでまるまる2日かけて2000キロのかなた陝西省から帰ってきたそうです。
バスの方が安いので節約するのですが、そんな遠くから来ていても飛行機に乗ったことがないという人は深圳では多数派のようです。
当たり前のように航空便や高速鉄道で往復するようになったとき、彼らも、うちのいなかなんてたいしたものはありませんからと謙虚に故郷を語るようになるのかなあと思ってしまいました。
【X-E1/Cine-Unilite 35mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wray Cine-Unilite 35mmF2 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/22 Thu

可以進来

Sonnar 5cmF1.5
大雨の恵州の帰り道に寄ったのは、深圳北部の大芬油画村でした。
推定で東京ドーム2個分のエリアにこれも推定で300軒の絵画屋や関連の店が集まる、中国らしい、でもそんな中国にもそうはないだろう不思議な町です。
北京近郊にも絵画村があるようですが、若いアーティストが集まって形成された村だと聞いています。
大芬の方は、アーティストと言える人も何人かいるのは間違いないですが、多くは模写や肖像画、あるいは自称アートの絵を廉価で売るような商業的絵画村と言った方が事情にあっています。

ゴッホやクリムトの模写はいたるところで見ますが、ちゃんと額装してあっても在庫がだぶついているせいか、500円程度から買うことができます。
本か何かを持ち込んでこれを模写してくれとオーダーすると、サイズや出来不出来にもよりますが3000円くらいで可能です。
一方で、中国の農村を背景にたたずむ民族衣装の美少女の絵が気に入っていくらかと尋ねると20万円相当の人民元をふっかけられたこともありました。
巨大な絵ですので持ち帰るのがたいへんですし、そもそも家には飾るスペースはありません。
でも、それが気に入ったのは自分が撮影しているモチーフに似ているからだと後で気付いて、思わず苦笑してしまいました。

こんな村が成り立っている理由を考えてみると、ひとつは香港に隣接して中国の南のゲートウェイと言える新鮮ですが、感光するところはほとんどないので、いかにも外国人が物珍しげに訪れる観光地になっているということがあります。
もうひとつは、華南地域の経済発展にともなってマンションが恐ろしい勢いで建築され続けましたが、家を購入した人が内装を考えて絵を購入に来るということがあると思われます。
また、オフィス、レストラン、ホテル等々の開業に合わせて絵を買いに来るということもあるでしょう。
100室のホテルをオープンすれば、似たような絵が100枚売れるという構造ができているということです。

北京の絵画村では、なんでこんな絵にこの値段という価格高騰があったようですが、ここ大芬でも同様の現象があって投機目的の購入などもあったのかも知れません。
その影響か分かりませんが、わたしには陳腐にしか思えないアートでござい風絵画を並べたところなどもなくはありませんが、多くの人が一瞥してバカにしたように通り過ぎているのが現状に見えます。
経済成長が失速している中では、そうそう甘い商売はないのかなあと思いました。

そんな中で、純粋に絵が好きで気に入るものを探して、部屋に飾って楽しむという中間層も現れているのではないかとも考えられます。
作例の女性などは、犬を連れてギャラリータイプの店を除いては次にという目立つ行動をしていたので観察させてもらいましたが、少しゆとりがあるので部屋にお気に入りの絵を飾って、休日は音楽を聴きながらゆったり過ごしているんじゃないかと想像させる雰囲気がありました。

日本でもバブルの頃、絵を買うのが一部の人に流行していたと聞いています。
都内ではあちこちに仮説ギャラリーみたいなものができて、最新技術を駆使したミュシャの子孫によるリトグラフの焼き直しとか、クジラなどの海洋リトや天然パーマのおじさんの気球リトなどの作られたアートが結構な値段で売れていたようです。
わたしの目にはクズにしか見えないものが、将来、何倍もの値段がつくからなどとの甘い言葉とともに判断力を失った若者たちに次々と買い取られたとか。

彼らはすぐに後悔したのでしょうが、いい社会勉強だったでしょう。
わたしの大学の友人も騙されてイルカのリトを買ってしまったのですが、この絵はたったの10万だったけど、5年経つと確実に30万にはなるんだってと目を輝かせていたのが、なんともむなしい気分にさせたことをよく覚えています。
犬を連れた彼女は、自分の目で気に入った絵を探しているところがバブルの友人とは一線を画します。
犬をギャラリーに立ち入らせているということは、彼にも少なくともバブルの友人以上の審美眼があるということなのでしょう。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(2) | 2013/08/21 Wed

義工的意思

Sonnar 5cmF1.5
豪雨の中を遠回りに回って深圳に戻ってきたのは、もう5時になっていました。
滞在中、空いている時間がもう無く、このままでは今回の旅のブログに使える写真は1枚で終わってしまいます。
いつものように東門まで行って適当にスナップして、せめて1週間分の写真は確保しようと考えました。
しかし、このバスは深圳市内に入ると数か所下車できるように停車してくれるのですが、実に都合の好いところで停車してくれたので、急遽、予定変更でバスを飛び下りました。

作例は、その近くの信号のある交差点でのひとコマです。
深圳では、というか恐らく中国全土でも、歩行者は信号を守る人はいません。
青でも赤でも関係なく、左右をよく見て車が来ていなければさっさと横断してしまいます。
それではいかんと考えたのか、信号の要所要所に赤いチョッキの人たちが立って、赤の時は渡らないでくださいねと札で制するなど交通整理をしています。
みんな従っているのがちょっと意外でしたが、中国人、やればできるじゃんと素直に思いました。

よく見るとチョッキには"Volunteer"と書かれていて感心もひとしおです。
ほとんどがおばちゃんボランティアでしたが、ここだけ兄妹でしょうかずいぶんと若い男女ががんばっていました。
あるいは夏休みの課外活動のような位置づけなのかも知れません。
ペットボトルの水が置かれていたのは、ボランティアとは言えこのくらいの配給はあったということであれば、熱中症を気遣ったと考えられ、ずいぶんとこの国も人間的になったものだとますます感心しました。

また、チョッキにはボランティアを示すのでしょう「布吉義工」と大きく書かれていました。
布吉は地名ですが、義には正しいことという意味があり、工には中国語では工業関係に限らず労働や労働力というような意味があります。
正しい労働力といえば、確かに何となくボランティアの意味だろうことが想像でき、いま調べてみると義工はボランティアだと中国語の辞書に出ていました。
日本の感覚ですと工には労働力の意味はないですし、義という字からは義理とか義務とか恩義といった熟語が連想できるので、積極的でないとか見返りを期待しているようなイメージになってしまい、自発的なボランティアとは結びつかないような気がします。

中国では、四川大地震での義援金を赤十字の役員が個人流用されたとの話が根強くありますし、商店街で車に挽かれた女の子が誰からも助けられずに放置されて亡くなったりと、ボランティアどころか人間としてどうなんだと日本では思われていることでしょう。
実際、人口が多いこともあってモラルの低い人はとてつもない数に感じられます。
ところが、そればっかりではないということもあることはあるのです。
深圳には、なんと50万人近いボランティアが登録されているということですし、バスに乗っていて老人や子供を抱いた母親に席を譲る若者の姿を見ない日はありません。

日本ではほとんど報道されなかったと思いますが、こんなニュースがあったことを思い出しました。
2年前の震災の時、世界中から記者が東北の取材に訪れましたが、中国の記者から中国国内に配信されたリポートで、記者が着の身着のままたいへんな取材を進め、現地で食事をもらいながらわたしもがんばっていますと書いたところ、読者たちから批判の嵐を受けることになります。
食事にことかく被災地でご馳走になるとはなにごとか、現地で役に立たないばかりか現地で迷惑をかけるとは等々のコメントが相次ぎ、この新聞のインターネット版はいわゆる炎上をしたということです。

ちっぽけなニュースやちょっとしたできごとから拡大解釈をするという気は毛頭ありませんが、正常な考え方をしている人はかの国にもちゃんといるということはどうやら間違いないのではと、感じ始めています。
先週、日中共同意識調査で中国に親しみを持っていないと90%の日本人が回答していましたが、これは当然のことですね。
この質問の仕方では、中国政府に対する快投を求めているようなものですので、わたしでも親しみを持てないと回答するでしょう。
中国も日本政府が右傾化しているとキャンペーンを張っているので回答は同様になっているのも当然です。
このような調査に何の意味があるのか、わたしにはさっぱり理解できません。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/20 Tue

水陸両用摩托車

Cine-Unilite 35mmF1.9
2012年7月末のことですから、ちょうど1年ほど前のことになりますが、香港に台風が直撃して予定の飛行機に乗れず、帰国が半日以上遅れて困ってしまったことがありました。
ただ、その時は滞在中、天気がずっと良好だったので、広東省北西のはずれの連州の少数民族の村まで足を延ばすことができました。
今回の滞在では、航空便に影響はありませんでしたが、滞在中の天気が最悪でした。
到着の翌日と翌々日が、自分としては体験したことのないような大雨に降られたのです。
こんな時期に香港方面へ向かうのはリスクをともなうのだということを、1年ぶりに再認識させる滞在になってしまったのが残念です。

到着翌日は予定がなかったので、例によって未踏の古村落を訪れるべく惠州を目指したのですが、これはわたしの生涯で最低の旅となりました。
朝一番のバスに乗ろうと意気揚々とバスターミナルに乗り込んだのですが、ちょうど到着する頃、どんよりした空からバケツをひっくり返したような雨が降ってきました。
もし、天気予報を見ていれば、遅くともこの時点で出発を断念していたはずでした。
恵州方面は、それこそ日本でいう大雨洪水警報が出ているような状況だったようです。

しかし、知らぬが仏でバスに乗ってしまいます。
そして、いつものようにしばらくすると眠たくなってほぼ爆睡モードのまま、バスに揺られ続けたようです。
ハッと目を覚まして時計を見ると2時間経過していてもう着いていてもいい時間なのに未だ高速道路を走っています。
あとで聞いて分かったのですが、通常の道路が冠水していたためかなり先の町まで拘束を走って一般道で戻ってくるような臨時ルートを通ったそうです。
通常2時間ほどの恵州までの旅程が倍の4時間になってしまいました。

ここからローカルのバスに乗り換えて1時間ほどかかると考えていたのですが、これまで見たこともないような大雨で視界が効かず、乗るべきバスの位置が分かりません。
雨の中を歩いて探す気が起きず、まわりの人たちと同様にしばらく様子を見ることにしました。
すると雷雲が急接近したのかドドーン、ドカーンと振動が体に伝わるほどの雷がそれこそ1分間隔くらいで落ちて、まるで戦場の真っただ中にいるような恐怖を味わうことになります。
一方で、雷がどすんと落ちるたびに目の前に駐車している十数台の自動車の防犯用の警報音が一斉になるのがコミカルで、雷が鳴ると同時に恐怖と雨宿りの人が一斉にはははっと笑うという何とも奇妙な体験をしてしまいました。

その後も軽食を摂りながら雨がやむのを待ちましたが、多少弱まってはまた豪雨となるの繰り返しです。
バスターミナルの前の道も心なしか水かさが増してきたのを感じて、ようやくいま深圳に引き返さないと交通機関がすべてストップで戻れなくなるかも知れないと気付き、慌てて深圳行きのバスの切符を購入しました。
やはりバスターミナルの近辺もかなり浸水していたようで、いちばん後ろの座席にいたので状況はよく分かりませんが、何度かUターンを繰り返したり普通こんな細い道をバスは通らないだろうという路地を抜けたりしながら進んでいくのが分かりました。

例によって、途中で寝てしまったのですが、一度だけバスの中がおおっとどよめいたような気配に目が覚めました。
何事かと窓を見ると作例のような状況で、バイクが今にも虫の息といった風情でふらふらと走っていました。
こんな天気の中、古村落を目指して自分をなんと無謀なことをしたのだと反省していましたが、さすが中国、上には上がいるものです。
彼はきっと深圳の海で水上スクーターを見た記憶がよみがえって、オレのバイクもあんな風に水の上をすいすい走れるのではと勘違いしたのでしょう。
帰りも図ったように同じ4時間を要しましたが、往復8時間の長旅の収穫は、この1枚だけにとどまったことを考えると、作例の男性とわたしのどちらが愚かだったかは意見の分かれるところと言えるかも知れません。
【X-E1/Cine-Unilite 35mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wray Cine-Unilite 35mmF2 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/19 Mon

哲学狗

Summicron 5cmF2
知っているようで知らない中国を訪れると、ちょっと驚いてしまったということはしばしばあります。
しかし、かなり驚くというのは珍しいですし、ダブルの驚きというのはまずあることではありません。
沙渓でのちょっとした驚きは、山羊の群れではなく、たった1匹の山羊をひもにつないで酪農家(?)が散策させていたということがありました。
その山羊を見た端から戻ると今度は、村の中心でとんでもなく不細工な犬に出会いました。
この犬の顔つきこそわたしにとっての大きな驚きでした。

基本的にベージュ系の色をした犬なのに、なぜか目から口にかけて真っ黒で、必要以上に長い頬が両サイドにだらんと下がって食事にも影響しないか心配になるほどです。
いっけん強面風で、吠え掛かられるかと思ったのですが、近寄ってもぴくりとも動かず、表情も変化を見せません。
その表情は達観したかのような凛とした涼やかさで恰好いいと言えますが、不細工さとのギャップを強調しているようでもあって、判断はとても微妙です。
あえて名づけるとすれば、彼は、賢者の犬とすれば、見た人の何%かは、ああ、なるほどと納得してくれるでしょうか。

さて、帰国してすぐにフィルムは現像とDVDへの焼き付けまで依頼していたのですが、高いプリントまではいつものように頼みませんでした。
PCは少し前に壊れてしまい、無理してウルトラブックに買い換えたのですが、小型軽量ノートのウルトラブックにはDVDドライバーが付いていないことを忘れていました。
10日近くかかってやっとフィルムは仕上がりましたが、自宅に戻ってPCで再生しようとして初めて、DVDの受け皿がないことに気付きました。

DVDプレイヤーは2万円くらいするというイメージがあって、外付けDVDが数千円からあるなんて知りませんでした。
中古を買うか誰かのおさがりを待つか、どうせ見るのはとりあえずは雲南旅行の写真だけだしとしばらく放っておいたら、すっかりこのことは忘れて1か月以上経過してしまいました。
そしてある日量販店でこんなにも安かったのかと感心しつつ購入して、懐かしい重いで例のDVDを見ることに…。

そこで1~2枚目からORTHO25とズミクロン開放の相性の良さを発見するわけですが、何より驚いたのが件の犬の写真でした。
ずっとほぼ曇天でISO25フイルムでしたので何も考えることなくすべて開放で撮ったはずですが、これは何かのはずみでF5,6くらいに絞り環が動いてしまったのでしょうか。
いや、やはり開放かも知れません。
すごいリアリティというより、何か精密絵画のような描写に見えます。
背景は硬質な木のはずですが、まるで犬の体のような柔らかそうな物体に変質しているかのようです。
犬だって、哲学者のような老人顔はそのままに、体半分は若い犬のようにぴちぴち(?)して見えるのが不思議です。

人物が入った写真のみ掲載という基本的なレギュレーションを破ってまで、作例にあげた今回の不思議な犬ですが、今はこう解釈するしかないかと思っています。
トリウムレンズとORTHOフィルムによる変容だと。
ORTHOは、Iさんによれば「可視光赤色に対する感度は低く、逆に可視光を越えた短波長側にも感度がある」とされていて、これを「赤いものに対しては反応鈍く、紫外線までも捉えることがある」とすれば、UVaフィルターによって大分がカットされた紫外線の残りがトリウムに増幅された画として抽出されたため、見た目とはまったく違うような表現になったということです。

いや、そんな出鱈目を書いてしまい申し訳ありません。
とにかくまずは、この作例をIさんに見てもらって、いっしょに笑ってもらうのが先かなあと思いなおしました。
【M6/Summicron 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summicron 50mmF2 Collap. | trackback(0) | comment(4) | 2013/08/18 Sun

現代的馬之旅

Summicron 5cmF2
前にも書いたと思うのですが、沙渓ではじつに多くの人と出会い、年齢差、国籍の違いを超えてそういう人たちと話をしたのが懐かしくも楽しく感じられました。
語学が得意でないわたしは現地の人とちょこちょこ話すのは大好きですが、そこで知り合った旅人と交流するというのは苦手です。
懐かしさを感じたのは、旅人同士で語らうなんて大学の卒業旅行でヨーロッパに行った時のことを若干思い出したからでした。
青春が少しだけよみがえったというところでしょう、

沙渓で出会った人の多くは広東から来た旅人でしたが、四川、湖北、河南、上海などの人もいて、全国からこの地を訪れる人がいることが分かりました。
彼らに共通しているのが、あまりに人が多くて賑やかすぎる世界遺産麗江は嫌いだという意見でした。
中国人はとにかくにぎやかなところが好きだと思っていたので、そうではない人もけつこういるんだなあと感心し、それだけで話が合うような気さえしました。
考えてみれば、ふだん、人が多くて賑やかなところで生活している彼らが、静かな環境を求めて旅するのは当然でした。
彼らこそ旅人であり、麗江で大騒ぎしているのはグループツーリスト、ということでしょう。

この日沙渓にいた外国人ということでは、バリエーションはなかなかのものでした。
まずわたしが日本人ですし、同宿にマレーシアの華人がいました。
カメラ好きのチェコ人がいて、村中でいちばん目立っていたイギリス人カップルは以前の作例に使わせてもらっています。
軽く会話してSee you later!と言ったのに、その後見かけなかった青年はオランダ人でした。
そして、中でもいちばんインパクトがあったのが、今日の作例のフィンランド人です。
確か名前はピーターだったような…、違っていたらごめんなさい。

では、ピーター(仮)としておきましょう、そのピーター(仮)は、21世紀になった今でも存在したのかというほど、ツボにはまったようなヒッピースタイルでした。
長髪に無精ひげ、首から耳から手指からとあちこちにアクセサリーで、もし、これが日本で会ったとしても避けこそすれど話しかけるなんて考えられないようなヤバそうな外観です。
このときは、わたしの隣の宿に泊まっていたようで、たまたま宿を出たところで見かけて互いに声を掛け合ったという感じでした。

ちょっと話してすぐに分かったのですが、彼は外見ほどヤバそうな人間ではなく受け答えに年上相手の敬意がはっきり現れるかなり真面目な青年のようでした。
驚いたのは彼の目で、薄いグリーンという人間の目にこんな色があってよいのだろうかと思わせるほどの美しい色をしていたことでした。
ぜひ、ポートレイトを撮らせてくれと申し出たものの、これはやんわり断られてしまいました。
中国に来てから、いつもいつも無遠慮に撮影されてイライラさせられていたので、いつからか写真をはっきり断るのをポリシーにしたとのことです。
そういうわけで、今日の作例は、彼の大切なポリシーに背く隠し撮りです。
許せ、ピーター(仮)。

彼が、なぜバイクにまたがっているかと言えば、昆明(だったと記憶しています)で中古バイクを購入し、かつての茶馬古道をなぞらえるようにバイクでチベットを目指す旅の途上だったからでした。
本当かどうか俄かには信じがたいですが、中国で外国人がバイクに乗るには免許が不要だそうです。
途中、警察官に止められたときはパスポートしか見られなかったと言っていました。
もちろん彼は国際免許も持っていませんでしたし、中国は国際免許の加盟国の条約に批准していないので持っていようがいまいが関係ありません。

沙渓からは、麗江、香格里拉と通って半日もバイクを走らせればチベットに入ります。
しかし、チベットには中国政府が発行する入境証が必要ですが、彼は持っていません。
あなたのように中国人と外観が似ていればそのままパスできると思うのですが、西洋人のわたしがチベットに入るのは難しいでしょうね、と言いつつも何か秘策でもあるのか、拉薩まではいくつもりだと張り切っているのが印象に残りました。

あれからもうすでに、2か月が経過しています。
茶馬古道を馬ならぬ鉄馬で進む彼の旅はどうなったのでしょう。
無事、拉薩に着いたことを願ってやみません。
【M6/Summicron 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summicron 50mmF2 Collap. | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/17 Sat

最慢胶圈

Summicron 5cmF2
フィルムで撮影する以上は、使用するフィルムに何を使うかは重要なファクターです。
デジタルに移行する前は、使い勝手こそ重要でトライXがほとんどでした。
ISO400では日中の開放撮影はできませんが、ISO100より2段余裕があるというのは、特に旅の時などには大きなアドバンテージです。
しかし、デジタルと併用ということになれば、暗い場面ではデジタルに譲って、積極的に開放で撮れるフイルムが使いたくなります。

そこでできる限り使うようになるのが、ORTHO25という低感度フィルムです。
これなら、ピーカンでもF1.5クラスのレンズで1/1000でもほぼオーバーにならずに撮影できます。
もとろんISO感度のみを基準に選択したわけではなく、それにもまして粒子性の高さこそがポイントです。
恵比寿にある専門店のIさんは、フィルムに多大なこだわりをもつことで有名ですが、ORTHO25は「屈指の微粒子でおどろくほど尖鋭、繊細な画像が得られます」と評価されています。
もちろん、Iさんのお店にお邪魔して購入したものが今回使用したフイルムです。

レンズの開放描写にフイルムでも拘ろうと考えたとき、最初の選択はT-MAX100でした。
F2ならじゅうぶんいけますし、F1.5も工夫して開放で撮りまくります。
T-MAXはかなり滑らかに表現してくれるようで十分に満足でしたが、Iさんが勧めてくれたORTHOはより繊細で諧調がよく表現されます。
少し高くなりますが、使う機会が多くないフィルム撮影ですので、Iさんと価値観を共有できるとの思いもあってORTHOを常用したいと思います。

ところが、このORTHO25は入手が簡単ではありません。
この時代なのでフィルム自体の製造量が少ないのか、愛好家が買い占めて市うからなのか、入荷してもすぐに売り切れてしまっています。
もとよりそれほど本数を撮るわけではないので、2~3本でいいのでバックオーダーを入れて、いざ使いたいときに入手できないという事態を避けなければいけません。

Iさんの店のウェブサイトはほとんど毎日チェックしていますが、すごしなあと感心するのがORTHO以外の中判用やシートフィルムも含めたモノクロフィルムの数々をはじめ引伸ばし機や引伸ばし用レンズがとてもよく売れています。
特にライツのフォコマートやヴァロイは入荷するやいなや売れている現状がよく分かります。
団塊の世代とかノスタルジーを感じて買う人が多いのかな、と思ってIさんに質問したことがありますが、ほとんどが若い人が購入するということでした。
とくにデジタル世代の若者はフィルムの存在を知って、撮影からフリントまでいかにクリエイティヴな楽しみがあるかを知って競うように引伸ばし機を手に入れるのだそうです。
Iさんの店を起点に、フィルムを知らなかった世代が新たなムーヴメントを起こしているのかも知れません。
すばらしいことですね。

わたしだって御多分にもれず、ライカを入手してしばらくしてから自分でプリントできないかと、何度か引伸ばし機の購入を検討したことがありました。
しかし、サラリーマンにとっては平日の暗室作業は考えられず、土日にプリントするとなれば、いったいいつ撮影に行くのかという壁を壊すことができず、ついにその世界に足を踏み入れることができませんでした。
お試し程度でもかじっておけば、今後、機会が来た時に再開などと称してのめりこんでいたかも知れず、1歩を踏み出せなかったことを少し後悔しています。
そんなこじつけで、今日の作例は村の門を1歩踏み出した農家のお母さんでまとめてみました。
【M6/Summicron 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summicron 50mmF2 Collap. | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/16 Fri

1.5倍的問題

Summicron 5cmF2
デジタルで撮影しているとその便利さコスト安を強く実感します。
170年前のダゲレオタイプの時代はもとより、ライカM3やニコンFの頃でも、カメラはたいへん高価でフィルムや現像、プリントのコストも並のサラリーマンにはとても厳しい出費です。
写真を撮るためには、高価なカメラやレンズを買うだけでは足りず、毎週末撮影にでかけるとすれば月2万3万の固定費が必要になることを意味します。

デジタルに転向して一切のランニングコストがかからなくなったことで、その分をレンズ購入に振り分けられて万事幸せ、自分の居場所も見つかりました。
では、フィルム用の機材はすべて処分してしまったかと言えば、そんなことはなく、実際には今回のようにときどきフィルムでの撮影も行っています。
暗室ワークをしないわたしにも、フィルム撮影にはノスタルジーだけではない魅力が感じられようです。

魅力ということを書き連ねていくと、ライカの捜査官とかフイルムの再現性の高さとか、毎度同じような話になってしまいます。
正しいと思っていることを繰り返し書くことは間違いではないのでそうすべきですが、今回は特に感じられたもうひとつのことがありました。
35mmフイルムのフルサイズで撮っているという感覚です。
M8からX-E1を主力にして半年以上経って、50mmレンズの画角がだいぶ狭まっていたのですが、M6を久しぶりに使って50mmのブライトフレームを見ると、こんなに広かったのかとあらためて驚かされました。

また、M6では同時に75mmのフレームも表示されていますが、まさにこの75mmこそX-E1で撮っている50mmレンズの撮影範囲に他なりません。
この2つのフレームを見比べながら、X-E1を使うことはこの間のスペースを切り捨てている、あるいは自動でトリミングしていることなのだと気付かされました。
そう気付いて以降は、75mmフレームの外側から50mmフレームの内側の部分を捨てて撮影してきたんだ、オレを使う以上はそうはさせないと、M6に言われているような感覚をずっともつことになったのです。

フィルムで撮るということは、もともと35mmフィルム用に設計されたレンズのいちばん特徴の出てくる周辺部を活かすということですし、わたしの所有するデジタルカメラで撮るということはそれを捨て去るのだということを再認識したということです。
そこでまたしても、ライカMが欲しいという話になり、それは、予算的に叶わぬので中古のM9を手に入れたいという願望へと変化していきました。

前にも書いたと記憶していますが、ここ沙渓ではローライを持った青年がいて、その仲間たちにこれがライカかと取り囲まれてもてはやされたのです。
触らせてあげると彼らはその重さに驚き、50年以上前のカメラだと思っていたのに、これはM6といって2000年代に製造されたものだと言うと、こんなカメラが最近造られたとは信じられないという顔をしました。
考えてみれば、彼らは二十台の前半ですからすでにフィルムがどういうものか見たこともない世代です。
かなり真剣にライカのことを見つめていたので、撮影結果まで見てもらうことができれば、さらに認識を変えてもらうこともできたのかも知れません。
【M6/Summicron 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summicron 50mmF2 Collap. | trackback(0) | comment(2) | 2013/08/15 Thu

羊還是山羊

Summicron 5cmF2
ペッツバールレンズをデジタル撮影することに悦びを感じてるのは、周辺を見渡してみてもksmtさんとわたしくらいのものです。
メインレンズとしてペッツバールを常用しているなんて、世界中でもわれわれふたりだけかも知れません。
もちろん、当時の器材を用いて現在のフィルムで撮影する本格派は少なくないでしょうし、ペッツバールレンズは骨董品でもあるので木製カメラと合わせてコレクションしている人はもっと多くいるでしょう。
検索してみると、ペッツバールをデジタル一眼レフに付けて撮ってみました的な作例をけっこう見ることはできます。
しかし、どうもそれらは1回限りのお試しで終わっているようで、ペッツバールに開眼、レンズの原点を発見などと考えるまでには至らないようです。

ペッツバールレンズに対する一般的な興味は、写真がてせきたころに使われていたレンズという歴史的な意味しか認めてもらっていないのが現状です。
そえ思っていたところ、ペッツバールを評価する大きな動きがあることを知りました。
ロモグラフィーによるペッツバール製造プロジェクトです。
現代のレンズにはない写りが魅力的なペッツバールを真鍮を使うなど当時のままに再現するというプロジェクトで、キヤノンeos等用に85mmf2.2というスペックで開発中ただとあります。

販売価格は499ドルを予定しているが、パトロン制度をとっていて先行して3万円以上を支援すれば、レンズができ次第送られてくるというユニークなプロジェクトが展開されています。
今日現在、すでに800万円以上の支援が集まっていました。
3万円で新品ペッツバールが入手できるすばらしい企画、黙って見逃す手はありません。
わたしも早速、支援に加わらせていただかないと…。

慌ててはいけません。
あらためてこのプロジェクトの説明を読んでみることにしたのですが、とても引っかかるところが多く、気持ちはスゥーッと引いてしまいました。
そもそもが○○商法的に出資者を募るというのを信用していいのか。
また、85mmF2.2というのは無理し過ぎというのが作例からありありで、像面湾曲の影響はかなり広い面積に出ています。
この企画を支持する人は多いようなので、これ以上悪口を言うのは止めますが、このレンズはわたしが求めるペッツバールではないと結論して支援は断念することにしました。

ひとつつけ加えると、ペッツバールの魅力は19世紀のシンプルな設計ながらかなりシャープでコントラストも十分あり、フォーマット次第では画面全体に均質で歪曲も見られないなど、現代のレンズに引けを取らない、時としてそれを凌ぐ美点をもっていることにあると思っています。
しかし、ロモグラフィの企画では、中心だけがシャープで周辺が渦巻くようになると、本来レンズの欠点である部分をウリにしているのがわたしには相容れません。
だからこそロモがやるんだなと理解できるのであって、このレンズが欲しくなるか否かの分かれ目はこのあたりにあるということでしょう。
購入した人がすぐに飽きたのしないのを、ただただ祈るばかりです。

さて、今日の作例は、見ての通りの山羊と会話する農夫です。
男性の後ろには彼の奥さんもいて、驚くことに山羊一匹をふたりで散歩させて戻ってきたというのでした。
搾乳するとのことでしたが、中国では夏バテ防止に山羊の鍋を食べる習慣があると聞きます。
山羊肉は臭いと言いますし、かわいらしくもあるのであんまり鍋の具材にはしてほしくありません。
リーダーでつながれていたので、橋を渡って来た時は犬だとばかりおもっていました。
【M6/Summicron 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summicron 50mmF2 Collap. | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/14 Wed

黒白的顔色

Summicron 5cmF2
今週の7枚の作例はすべてM6とズミクロン5cmF2の組み合わせです。
ズミクロンにはいくつかのバリエーションがありますが、今回のレンズはスクリューマウントの沈胴式で製造番号は1042XXX、1952年の製造はこのレンズとしては初期にあたるようです。
エルマー5cmF3.5がLライカの代名詞的レンズなのに対して、ズミクロンはMライカの象徴と言えます。
しかし、エルマーが嫌いという話はあまり聞かないのに、ズミクロンは嫌いだという意見を聞くことがあります。

そのことについては今日は書くことはしませんが、今回のレンズは違う意味で嫌われ者レンズなのでした。
いわゆるトリウムガラスが使用されていて、製造から60年経った今でも放射線を発し続けているからです。
人体に与える影響に対する不安と並んでもうひとつの問題は、トリウムガラスは時を経て黄変してしまうため、カラー撮影で白いものが黄色く写ってしまいます。
危うきには近寄らずが正解ですが、レンズ自身も自らの色で黄信号を発して警告しているようで、ある意味献身的と言えそうです。

そんな危険物でもあるレンズを使用した理由は単純です。
ひとつは沈胴なので携行性がよくなるということ、もうひとつはモノクロで撮るので黄変の影響は受けにくいということがありました。
しかし、こんなレンズですので撮影時以外は体から話すように意識したのは言うまでもありません。
原発事故以来わたしたちは放射能に対してとてもセンシティヴですが、電磁波ともども悪いことは分かっていても影響度合いは不明なままですので、ヤツはズミクロンが原因で亡くなったんだからレンズ蒐集家としては本望だろうなどと言われても嬉しくないでしょう。

さすがズミクロンは、開放でも抜群のシャープネスを見せますし、光線の具合によってはちょっとだけ柔らかな雰囲気も出せますので使い出の良いレンズであることは間違いありません。
F4まで絞ると解像力もバーンと上昇して、このレンズを好きな人々を唸らせます。
ところが、ボケはいただけません。
いちばん二線の曖昧な作例を選んだつもりですが、ぶつぶつざわざわが全面を覆っています。
ただ、この程度ならうるさいとは言えないので、ズミクロン信奉者には十分に良しとする枝と言えるでしょう。

今回、わたし個人が目から鱗と感じたのは、ズミクロンの暗部は必ず潰れるという出鱈目が判明したことでした。
他と同条件で比較すれば明確になるのでしょうが、今回の36枚で暗部がひどい潰れ方をしているというものは一切ありませんでした。
シャドーがハイライトがということは、あくまで画面の中のコントラストの問題で、例えばフィルムがコントラストを重視したものだとつぶれるとか、諧調を意識した露出設定では踏ん張るとか、レンズそのものもコントラストの目立つ現在のものでは潰れがちとか、そういえことなのではと思うのですが、どんなものでしょう。
撮影時はずっと曇っていたということを申し添えておきましょう。

作例のおじいちゃんは、欧陽さんという沙渓が反映した数百年前から豪商として知られた家の末裔です。
いや、末裔はお孫さんがいたので誤りです。
枯れには子どもが確かふたりいると聞きましたが、どうしているのかと言えば広州に出稼ぎに行っているということでした。
その意味ではたぶん最後の栄華を誇った彼は末裔と言えるのでしょう。
プライドがあって帽子やパイプ、着ているものまですべておしゃれな伊達男でした。
あなたの歳とそう変わらない60年前のレンズで撮影させてくださいと頼むと、満面の笑顔でこたえてくれたのが印象に残ります。
とは言え、長年の喫煙で黄変していたであろう彼の歯の色は確かめるすべがありませんね。
【M6/Summicron 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summicron 50mmF2 Collap. | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/13 Tue

最佳男演員獎

Summicron 5cmF2
昨日、日曜は都内で開かれるお祭りを見に行って、今週一週間作例をアップすべく準備していました。
しかし、前夜はあまりに暑くて眠ることができず、それでも7時に起床してニュースを見ると、東京の最高気温は38度まで上がるとか言うので、それは昨日の夕方にも聞いていたはずですが、この時点で気力は萎えて外出を断念しました。
同じニュースで昨夜の最低気温が30度だと言うのですが、最高は40度近くて最低でも30度とは、東南アジアの方が涼ししいくらいではないでしょうか。

6月に訪れた雲南はベトナムやミャンマーと隣接しているので、地理的には東南アジアと変わらなそうでいて、標高が高いので日差しは強いもののそれほど暑くはありません。
その雲南の旅にもっていったM6のモノクロ写真が少し遅れて現像が上がってきたので、今週の作例はこちらで失礼させていただきます。
わざわざM&を持参したのにフィルム1本しか撮影しなかったのですが、それも沙渓と喜洲という2つの古鎮のみで、今回は7枚とも沙渓の作例を出すことにします。
沙渓も喜洲も魅力的な村でしたが、よりコンパクトにまとまっていて歴史を感じられる部分が多く、かつ快適な滞在だった前者に贔屓目あってのことになりますか。

例えば、作例の建物は約500年前に建てられた魁星閣という名前の古劇台とされています。
この向かいには、興教寺という古刹があって、とても古い仏絵が残ることで知られていますが、寺や古劇台を挟んだスペースは広場になっていて村の中心です。
今でも、この周りに安宿やカフェ、売店などが並んでいますが、もともとはチベットを目指して馬に茶などを積んだ一行が、寺を詣でて旅の安全を祈り宿泊したところで、その当時の雰囲気もこうであったかという佇まいのままに建物が維持されています。
茶馬古道の名の通りに馬をつないだ名残もありますし、今でも村のはずれには馬を売る家が残っているというので驚きです。

古劇台では、どんな劇が観られたのでしょうか。
現在の京劇のようなシリアスなものであったかも知れず、住民である白族の伝統音楽を聴かせていたのかも知れません。
旅で疲れた人が楽しむための大道芸やコントのような肩の凝らないようなものだったのではないかと想像するのですが、記録が見つけられずそのあたりの詳細は分かりません。

そういえば、魁星閣のように屋根の先端が上に反り返っているような建物は白族独特のもののようで、旅の間いくつか見る機会がありました。
民俗信仰的な意味合いがあるのかも知れませんが、視覚的には屋根を軽く見せて下にいくほどどっしりした感じをイメージさせる安定感をうまく表現させているように思いました。
高い部分が上を向いているということでは、彼らの向上心とか上昇志向とかを象徴しているとも捉えることができます。
いずれにしても、木と瓦だけのマチリエルからシンプルな美しさを表現していて、かつての彼らが高い美意識を持っていたことは間違いないようです。

実際には彩色もなされていたのですが、中国では珍しく派手に塗りなおしたりはしておらず、枯れるがままに時の流れをも表現するさきは日本人の侘び寂びに通ずるものがあるのかも知れません。
それは同時にモノクロのモチーフとしてもふさわしいものでした。
わざわざフィルムで撮るのに、右の人物は邪魔にしか映らないかも知れませんが、やはりわたしの作例の中では重要な登場人物です。
こんな歴史的な場所にいても一生懸命に携帯を見ているさまは、主演男優賞を贈りたいほどです。
日本人であれば、恐らく自身の文化に誇りを持つ白族の人たちでも、こんなところに長時間腰掛けるなんてできないでしょう。
部隊の袖の出来事ながら、いまいちど彼の無神経さに拍手喝さいをお贈りいたしましょう。
【M6/Summicron 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summicron 50mmF2 Collap. | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/12 Mon

朋友馬上過来

Gaudin 10cmF3.5
愛用していた古いルクルトの時計が壊れました。
メモヴォックスという目覚まし機能が付いた手巻き式で、わたしのは文字盤に12都市の名前が入ったワールドタイマータイプです。
本当は、ジオグラフィックという時計が欲しかったのですが、高くて手が出なかったので、目覚ましというアドバンテージがあるこちらを安く手に入れていたのです。
その後、親しくしていただいているジオグラフィックさんのハンドルネームが同名の時計が由来ですと聞いて、とても嬉しく感じたものてす。

10年くらい年の半分くらい手に付けていたわたしのメモヴォックスが突然不調になってしまいました。
2回オーバーホールに出して大切に使っていたのでちょっとしたトラブルだと思い、深圳に出掛けた折に友人の時計師の瀋さんに修理をお願いしました。
預けた翌日、もう直っただろうかと再訪すると、部品交換が必要だがこの時計は古すぎてあいにく部品が調達できないと返品になってしまいました。
しかし、日本の部品をいっぱい持っている修理屋なら問題ないと言うので、どうにかホッとして帰国します。

そこで帰国の翌週、修理をお願いするために浅草に来たのでした。
伝法院通りにある中古時計の店ですが、修理やオーバーホールも受けてくれるし腕も確かです。
以前のレンズ仲間に教えてもらったのですが、さすがレンズやカメラのセンシティヴな修理調整にこだわる人たちですから、時計の修理も腕利きをよくご存知でした。

くだんの深圳の時計師、瀋さんは、まだ40代ですが、ひとり娘に仕事を教え込ませ、自分は修理から一歩足を引いて中古の時計を売る商売を始めています。
深圳でいちばんの場所で、いち早く時計師の商売を始めたので彼はすでに相当の蓄えがあるようです。
バスで20分のところのマンションの最上階を購入済みですし、よく広東の北のはずれに住む親せき一同を集めては食事会をやっています。

時計を戻してもらったとき、瀋さんは9月に日本に行くのでよろしくと言われました。
えっと驚いていると、日本への観光と時計の仕入れを兼ねて行くので、東京の案内をよろしくと笑っています。
まだ2ヶ月あるとは言え、あまりに唐突です。
カタルーニャのダヴィドは前日にメールで知らせて来たのでそれよりは思いやりある予告ですが、時計の仕入れ先を案内しろというのは業界のことを知らないわたしには厳しいです。
浅草の時計屋さんに相談するしか思いつくことがありませんが、話を聞いてもらえるものかどうか…。

さて、浅草最後の作例ですが、帰り道に見かけたどこにでもあるちょっとした街角の光景です。
ただ、普通と違っていたのは、店の照明でしょうか、彼女の顔全体にスポットライトが当たっていたことでした。
すでにカメラはバッグの中でしたが、慌てて取り出して、3段アンダーにして撮りましたが、もっとアンダーでもよかったかも知れません。
しかし、こういうスナップではしばしばあることですが、彼女がわずかに横にずれてしまったためスポットライトはなくなり、この作例が浅草最後の1枚になります。
それでも、いつもの抜けの好さとは違った、しっとりした落ち着きある描写でゴーダンが応えてくれ、彼女の横顔ともどもお気に入りのショットになりました。
【X-E1/Gaudin 10cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gaudin 10cmF3.5 | trackback(0) | comment(5) | 2013/08/11 Sun

粉紅色的飲料

Gaudin 10cmF3.5
このゴーダンレンズの大化けに気を良くして、他のペッツバールを物色していたところ、面白いレンズを入手することができました。
これは先日も書いたように、ゴーダン同様まずはksmtさんにお渡しして、すでに何本も持たれている他のペッツバールとの比較も含めてお試しいただいているところです。
実はそのレンズ、3インチF3というスペックだとあって大いに期待したのですが、チェックしてみるとダルローやゴーダンより若干焦点距離は短いものの3インチ(=75mm)ということはあり得ず、せいぜい95mmくらいで、F値もダルロー、ゴーダンとほとんど変わらないようでした。

そう分かった時点で返品してやろうかとも思ったのですが、100mm内外のペッツバールはやはり珍しいので、どんなものですかいのくらいの気持ちでksmtさんにお預けし、講評を待つことにしました。
大らかな気持ちで対応したのは大正解でした。
サイトに書かれているようにksmtさんの評価はすこぶる高く、その後のやり取りでも現代レンズに勝る写りとの評価までいただきました。
ちょうどお盆休みでksmtさんは帰省されると思われますので、また、ぜひこのレンズで思う存分楽しんでいただきたいなと願ってやみません。

以前であれば、珍しいレンズを入手すると、まずはみんなの集まりなどに持参して、どうだ、見てみろと言わんばかりに自慢し、その日の撮影結果をブログに乗せるというのが常でした。
ほとんどの人が持っていないか、名前のみ聞く、あるいはそんなレンズの存在すら知らないというものを手に入れたわけですから、まずは自分で使ってみて一番乗りを果たすのを良しとしていたのは無理なきことでしょう。
しかし、今の考え方では一番乗り的な発想にはまったく魅力を感じず、むしろめずらしいレンズを仲間と共有したいという気持ちの方が強くなりました。
レンズの話だけで大いに盛り上がったり、レンズ入手に切磋琢磨する仲間である、ksmtさんやknpmさんにまずは使ってみていただいて、恐る恐るいかがでしょう、お気に召されましたでしょうか、とたずねる方がずっと楽しいと感じるようになりました。

自分でマウント改造できないというハンデがあるということもなくはありませんが、今回ksmtさんに使っていただいているレンズはライカビゾ用のヘリコイドにテープ止めしてうまく無限を出して使えていたレンズだったので、以前でしたらまずは自分で使ってとなっていたでしょうが、ペッツバールの第一人者はksmtさんですし、自分の試写ではかなりよかったので、いかがなものでしょうと見ていただきたくなってしまったのでした。
そして、忌憚なく意見を述べる人であるksmtさんから最高評価に近い言葉をいただけてうれしくないわけがありません。
焦点距離とF値が違っていたレンズは、そんなことはどうでもいいくらいに大化けして、見つけてきたわたしはさしずめトレジャーハンティングに成功してきたかのような気分に浸っています。

かたちはどうあれ、このような歴史的レンズを自分だけのものだと抱え込まず、仲間と共有できるようなスタイルを確立ししたいと考えています。
歴史的レンズの愛好会のようなかたちで、いまのレンズだかで盛り下がり傾向のレンズ界に新風を巻き込めないものでしょうか。
キングスレークの「写真レンズの歴史」という誰もが座右に置く名著がありますが、わたしの夢は、個人では集めきれない同著に紹介されたレンズを、愛好会全体で網羅して、作例と評価を加えたかたちでのリメイク本の制作です。
キングスレークが語るレンズの評価をわたしたちの撮影によって裏付け、あるいは彼の知らなかったことを見出してそれについて論じるなんてことができれば、レンズ愛好家、収集家としては最高の愉しみでしょう。

さて、今日の作例ですが、麦わら帽子のおじさんが路上でラムネを売っていたのですが、若い女の子や子どもたちに囲まれて人気を集めていました。
距離をとろうと路地に入ってカメラを構えますが、人通りが多すぎてシャッターを切る機会は訪れません。
じっとそのまま待ち続けますが、そのうちにラムネを買った少女が路地の角に立ってラムネを飲み始めたため、視野が完全に遮断されてしまいました。
こうなっては彼女の方を撮るしかありません。

わたしも小さなころは駄菓子屋さんなどでよく飲んだもので、子ども心にラムネってビー玉スペースがある上にガラス瓶がやたら肉厚で内容量の少ない飲み物だなあと感じていたことを思い出しましたが、作例を見ると瓶の形状はそのままに透明になって、中の液体がピンクとずいぶん進歩したようです。
懐かしいあの味は変わっていないのか、ビー玉を押し込む器具もあのままなのか、今回は試すチャンスはありませんでした。
【X-E1/Gaudin 10cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gaudin 10cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/10 Sat

直角三角形

Gaudin 10cmF3.5
いよいよ今日、明日と関東の気温もピークになるようです。
夕方6時になっても30度台をキープしていて、風があるものの爽やかさは微塵もなく、ドライヤーで熱せられているかのごとくで歩いているとボーッとなってしまいそうです。
この暑さだったとしたら浅草の散策はできなかったでしょう。
今週末もどこかへ作例撮りに行かなくてはならないことを考えると気が重いです…。

その浅草では、前にも書いたように散策時それほどの暑さではなかったものの、誘惑に勝てずかき氷をいただきました。
昨日の作例ですが、若いお嬢さんがかき氷をオーダーするのを撮影していた時、氷を削るシャカシャカという音に惹かれ、いかにもこの場所で長く商売やっているよというお母さんのしゃべりに魅せられ、思わずわたしも彼女に続きました。
かき氷屋さんは浅草寺側にもあって、場所の優位からコンスタントに売れているように見えたのに、場末のお母さんの店はなかなかお客さんが訪れないようです。
どちらも暑い中同じようにがんばっているのですが。

氷はアイスボックスではなく、大きな普通の発砲スチロールに入っていて、なんでこんなんで解けないんてすかねえ、さあ、なぜか知らないけど昔からこうしているねえ等々、緩い会話をするのが氷を買うための流儀みたいな感じでまた良いのです。
お母さんの店で買うアドバンテージは、すぐ後ろにある木陰の石に腰掛けられることで、食べ終わったら入れ物はここに捨てに来てと優しく声をかけてもくれます。

さっきの御嬢さんの横にでも腰かけて会話しながら食べられれば最高ですが、さすがにそんな行動力はありません。
無断で写真撮って隣に行ってではストーカーで訴えられかねないでしょう。
仕方ないので離れたところに腰掛けたのですが、これが別のささやかな幸運につながりました。
華をつんとさせながら氷をかじっていると、向かいの大岩と看板の陰に着物の女性が現れてなぜか化粧直しを始めました。

昨日の作例では、風であおられたのれんの隙間から女性の顔が除きましたが、今日のは岩と看板の間の直角三角形スペースから着物女性の上半身が出ています。
そういえば、おとといの作例はシャッターを押すタイミングが遅れて顔が出てしまいましたが、扇子で日差しを遮るポーズの女性の顔も隠れていました。
顔が隠れたりのぞいたりと、この日はなぜかそんな写真が続くのが不思議でした。
表情の見えない女性たちシリーズとでもすることにしましょう。

かき氷のお母さんのおかげで、日照り続きの作例からどうにか2枚とりあげさせてもらうことができました。
涼ませていただいた氷と合わせて感謝です。
言われたとおり、ごみを捨てさせてもらいに立ち寄ったとき、もうそろそろここは辞めようかと思っているのなどと言っていたので、がんばって続けてください、少なくとも僕は浅草に来た時は必ず寄りますからと懇願してしまいました。
【X-E1/Gaudin 10cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gaudin 10cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/09 Fri

他家的評論

Gaudin 10cmF3.5
そろそろ9月にとる予定の夏休みの計画を立てなければいけません。
今年は、おととしに続いてバルセロナとカタルーニャを訪れようと考えていたのですが、ブラジルの若き至宝であるネイマールがバルセロナに加入したことで、絶対に実現しなければいけないものに変わりました。
スペインリーグの日程も計算してスケジューリングまでしていた矢先、わたしは大きなミスをしてしまい、スペイン行きはあきらめることになってしまいました。

計画は、今日時点でまだ宙に浮いたままですが、やはりスペインは無理なので、今回も中国の内陸部を歩くということになるでしょう。
数日間の旅行であれば、航空券分割高になるアジアの旅も、1週間以上となるとホテル代や食事代など滞在費の安さが俄然力を発揮します。
これだけの時間がないと行けない奥地であることも考えれば、やはり中国が第一の選択ということになってしまいます。
1週間どのあたりを歩くか考える楽しみも合わせて、来週までには結論を出しておきたいと思います。

バルセロナに行けないと決断して、いちばん残念だったのは、友人のダヴィドに会えないということでした。
彼はラテンの血から来るのかメールをしてもなかなか返信を寄こさないルーズな男です。
去年、日本に滞在した時は、散々わたしに電話してきたくせに、です。
そういえば、ホームページを開設する予定だと言っていたので、気になって検索してみました。
残念ながら、まだ彼のレストランのホームページはできていませんでしたが、替わりに世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」に紹介されているのが見つかりました。
口コミはまだ4件で、1件はかなり悪い評価でしたがスペイン語のためサービスが悪いという程度のことしか分かりません。

しかし、イギリス人からのコメントは、わたしがダヴィドに出会ったシチュエーションに似ていますし、このレストランとオーナーであるダヴィドを愛する理由を要約したような内容です。
“Everything local”、うまいタイトル付けがされてもいます。
長さもちょうどいいので、そのまま転載して紹介させていただくことにします。

It was Sunday night and all the other suggested restaurants were close and we found Mallador by chance, it´s right next to the Roman church.
We wondered in and we didn´t expect much of the place but we probably got one of the best meals we´ve had in Catalonia.
The waiter spoke perfect English and was happy to talk about the source of our food.
We had their homemade pate, handmade sausage made by a local lady (botifarra) making it in a traditional way, three very unique tasting icecream (thyme, raspberry/balsmic vinegar, walnut/local liquor, Ratafia) and we finished up with a shot of Ratafia each, that is made in a local village.
Our night turned out to be an amazing culinary experience.
I can really recommend this place for everybody.

便りがないのは良い頼りということでしょう。
彼は、相変わらず自分らしさを前面に出して頑張っているようです。
でも、こんな文を読んでしまうと、むしろ出かけていきたくなってしまいますね。
今年は断念しましたが、彼や姉のコンセル、友だちのチャビがいつか日本にやって来るより前に、こちらから出向かなければいけません。
【X-E1/Gaudin 10cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gaudin 10cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/08 Thu

東京的伊朗人

Gaudin 10cmF3.5
大和の阿波踊り会場から飛んで、今日からは先日の土曜日に訪れた浅草の作例になります。
一見すると強い日差しの猛暑の中のように見えるかも知れませんが、日本各地で35度の酷暑とか熱帯夜、はたまた集中豪雨の被害が出る中で、先週の関東は割合と凌ぎやすい日が続いていました。
さすがに今日になって、東京も35度の猛暑になったので、やはり先週はまだ涼しかったんだと再認識しました。
暑い暑いと言いながらも、平気で歩き回っていられたのですから。

天気の上では恵まれていたと言えた関東地方ですが、水不足はかなり深刻なようです。
ただし、わたしの住む神奈川県は水瓶が別にあって、例年よりは少なめですが心配する必要はまったくないので水の使い方に変化はありません。
ところが、取水制限が始まっている東京の人と話をしてみても水の使い方を気にする風ではありません。
推測するに、2年前に国中が節電だ節電だとやって暑い夏を凌いだのに、翌年はさほどの節電もせずに電力不足は訪れずだったので、節電や節水は大袈裟に言っているだけなのではと疑心暗鬼になっているようですね。

参院選のときも感じたのですが、一度振れた振り子は加減することなく同じ幅だけ反対側に振り返すものです。
この振幅をいかに小さく抑えるかが社会にとって大切で、政治はそれを心掛けて来たのでしょうし、日本国民もそれを肌で感じて実践できたからこそ今の繁栄と安定があるのだと思っています。
熱しやすく冷めやすい国民性は振り子の振れ幅がすぐに小さくなるのを助けたはずですが、ここのところ摩擦係数がゼロになっしまったかのように振り子が際限なく行ったり来たりしているうに感じられます。

アヘベノミクスで株価と為替レートが大幅に動いたのは、このこととは関係ないのでしょうか。
わたしは経済のことはからきし分からないのでまったくの想像でしかありませんが、近いうちに株価も為替レートももとに戻ってしまうのではないかという気がしています。
そうならないようにぜひ現政権にはがんばらないと、期待も高かっただけに揺り戻しで崩壊も早くなってしまいます。

さて、土曜の浅草はやはりすさまじいまでの人出で今回もびっくりでした。
スカイツリー人気は周辺への高い経済効果が期待されましたが、いざふたを開けてみるとお金が落ちたのは浅草だけだったなどと報道されましたので、全国から国民が集結しているのでしょう。
そして、相変わらず外国人の数もすごいことになっています。
尖閣問題以降中国人観光客が激減しているはずですが、浅草を歩いていて中国語が聞こえてこないところはありませんでした。
それと、店内の写真を撮らないでとか、飾ってあるもは壊れやすいのでと中国語のみで書かれているのを見かけましたが、ヨーロッパの観光地には中国語のみの注意書きがあって我々のマナーはそんなにも悪いのかと彼ら自身を傷つけているそうですので、浅草を訪れた彼らも身をわきまえるように感じることでしょう。

残念ながら今回は中国人と話をする機会はありませんでしたが、わたしのゴーダンを見たイラン人青年とイタリア人夫婦から声をかけられました。
どこから来たのかというやり取りの中で、わたしも観光で来たと思われたようでどこからかとたすげねられました。
わたしは地元ですが、このレンズのテストのためにきているのですと答えます。
レンズは当時の人物撮影用ですが、ポートレイトを撮らせてくれるモデルの知り合いがいないので、ここで世界各地からやってくるいろいろな人を最近性能のよくなったデジタルで撮っているんですというと大いに納得してくれました。
古き伝統と新しいテクノロジーがうまい具合に融合しているし、それを実践するヤツがいるのが日本だった…。わずか3人だけでもそう感じて帰国してもらえれば望外の幸せと言えます。
【X-E1/Gaudin 10cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gaudin 10cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/07 Wed

認真的眼晴

Gaudin 10cmF3.5
江戸時代に製造ながら高性能に驚かされたダルマイヤーの114mmに始まって、ソフトフォーカスの超大口径フォクトレンダー90mm、写りに問題の見られるルルブール85mm、プロジェクター用かも知れないダルロー100mm、無銘のホロレンズが実は歴史的名玉だったゴーダン100mと、わたしのもとには5本のペッツパールレンズが集まりました。
いま、6本目として入手したペッツパールはksmtさんの手許にあって、マウント増築と撮影が行われているところです。撮影結果は想像以上にすばらしいもので、レンズ性能と100数十年間の保存状態の良さがとてもよく分かりました。

ペッツパールの設計は驚くほど完成されていたようで、19世紀中ごろに生産された同タイプのレンズは構成も使用ガラスもほとんど違いがありません。
そのためか、高いレベルで製造されたレンズ同志には、想像した以上に写りに差がないように思われました。
むしろ写りの違いは、コンディションによるところの方が大きいようです。
何しろ最初の製造からすでに170年の時が経過しているのです。

そんなことを考慮しつつも、ペッツパールにもレンズによる性能差はあるはずで、そういった差異を見出していければと考えています。
上述のわたしの5本では、ダルマイヤーの性能がやや他を凌いでいると感じていますが、ksmtさんの手許のレンズがそれを上回るのではと密かに期待も持っています。

とは言え、ノンコートでシンプルな構成のペッツパールは、ちょっとした撮影条件の変化で大きく写りが違ってくるというセンシティヴさを秘めています。
逆光では激しくコントラストを下げますが、うまくハレ切りできれば魅力的な逆光の画になり、その中間の写りということも当然ありうるので、常に安定してベストの状態で撮影できているとは言えず、単純にレンズの比較ができないのが実情となると、ち密な比較調査が必要となるでしょう。

また、ボケについても特に中間距離でのペッツバールのそれはとてもきれいと言えるものではありません。
周辺では、ぐちゃぐちゃになってしまいます。
ほーとレイトでは、今日の作例のように背景を溶かしてしまえば問題なくなります。
各レンズにはF値の差がそれほどないので焦点距離の違いを加味しながらポートレイト等に適切な距離を計測したいと思います。

さて、作例に戻りますが、前にも書いたようにミラーレスカメラで100mm以上の望遠を使って動くものを撮るのはなかなかのたいへんな作業です。
後方のボケを溶かす作例を1枚はものしたいと考えていたので、接近戦でのピントはさらに困難を伴います。
この作例は2枚目か3枚目だかのものですが、比較的ゆっくりな阿波踊りの歩調でも目の前を通り過ぎるのはほんの一瞬のことなので、意図も簡単にピントが合ったのは奇跡のようなものです。
置きピンにすればと考えますが、同じ位置を通ることはありませんでしたので、それでもやはり幸運に期待しなければならないでしょう。

数メートル以内のものでピントが合ったのはこれ1枚きりでした。
このくらいで撮ったものには、一瞬を切り取ったような緊張感もいっしょに写り込んでいるような気がしてなりません。
彼女が目を開いている瞬間だったのも幸運だったと言えるでしょう。
ビールがとても美味しく感じる見ているだけで暑い黄昏時でしたが、踊る方はもっと暑くてたいへんだろうと思っていたのに、意外なほどに涼しげな表情をしているのに気付かされた作例になりました。
【X-E1/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(4) | 2013/08/06 Tue

这条路最好的

Gaudin 10cmF3.5
今日の作例は、徳島ではなく、地元の大和阿波踊りのものです。
7月27日・28日と大和駅周辺の道路を通行止めにして行われた、参加団体30を超えるなかなかの人気イベントです。
人気というのは、参加者だけでなく見学者もかなりの数が繰り出しているからで、わたしも見に来たのは2度目ですが、見物しているだけでも意外にけっこう楽しめる催しと言えます。

子どもの頃、夏休みの地域的な活動というと、町内会レベルでは朝のラジオ体操と夜の盆踊りを思い出す程度です。
あとは自治体主体の花火大会くらいなものでしょうか。
もう大昔のことと比較してはいけないのかも知れませんが、今では、毎週末にさまざまな地域であまりさまざまでないイベントが開催されています。
どこを見ても、よさこい、エイサー、どんたく、サンバ、それとこの阿波踊りくらいなもので、7月8月は毎週末このどれかのイベントが関東だけでも複数開催されている盛況ぶりです。

本来が地域に根差している踊りをまったく違う土地でやって意味があるのかという否定的な意見も多くあるようです。
それはそれで一理ある考え方なのでしょうが、こと阿波踊りに関しては動きがあまりにユーモラスで、現代のダンスの洗練とは対極にある恰好を見るにつけ、お年寄りや子供でも気軽に参加できてそれこそ観衆が飛び入りすることもゆるされるところから、熟練の腰の座った幻術的踊りまで実に奥の深い世界が素人にも感じられて、参加してよし見てよしの類例無きスタイルを確立していると思えてなりません。
老若男女みんながみんな楽しんでますというチームがやって来ればば微笑みとともに見る側も楽しめるし、我々はこの日のためにたゆまぬ訓練の成果を見せるんだというチームにはそれを感じ取って大きな拍手を贈れる、そういう分かりやすさが好いかたちになったイベントと評価したいと思います。

大和阿波踊りでよいところは、会場が数か所あって駅付近では大勢の見物客で盛り上がっているのに対して、離れていくにつれて人もまばらになってじっくり見物できる場所に居座ることもできるということです。
人の多いところの方が熱気による相乗効果でより熱いパフォーマンスを愉しめるかも知れませんんが、わたしははずれでのんびり見る派です。
ちょっと奮発してコンビニでロング缶のプレミアムビールを買い、地べたに腰を降ろします。
ビールはちびちび飲んで、飲み終わったら潮時と退散することにしていました。
終わりまでいると帰りの電車が混雑しそうですし、7時以降は暗くなって、今回唯一持参したペッツパールレンズでの撮影には不向きだからです。

みんな歩道に用意された椅子や自ら持参した折り畳み椅子に腰掛けて見物しているので、撮影はちょっと前に乗り出すだけでよく、X-E1に100mmレンズを付けて動きのあるものを撮るよい練習になります。
しかし、時おり動きの激しいチームやユニークな動作で湧くシーンなどでは、みんなよく見ようと立ち上がってしまい、こうなると撮影は厳しくなります。
でも作例のように立っている人が映り込んでいるということは、パフォーマンスが盛り上がっているという証拠でもあるので、あえてそういう写真を作例に持って来ることにしました。

人物撮影用レンズながら無限遠あたりでも好い描写をすることが分かりますし、前ボケの具合も見て取れるので作例写真としては好適といえるでしょう。
とはいえ、この阿波踊りだけ手で1週間作例を出し続けるのはつらいものがあります。
1日のブログで阿波踊り写真を7枚並べることになんら不自然さはありませんが、7日間1枚ずつ出していくと途中からしつこくなってしまうでしょう。む
何か周辺の模様を混ぜ込むなど工夫をすればよいのですが、今回はこの位置以外で何も撮っていないので、明日の作例で阿波踊りシリーズ完了予定です。
【X-E1/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/05 Mon

鉄路是不是安全

Mamiya-Sekor 48mmF1.5
昔からよく言われることのひとつに、航空事故は一度起こると連続して起こる、というのがあります。
統計上ほんとうにそうなのかは知りませんが、わたしの印象では、確かに1度航空機が事故を起こしたりすると数日間以内に別の事故のニュースを見てきたように思います。
先日のロスアンジェルスのアシアナ機の事故の後には何も起きていないではないかと突っ込まれそうですが、きっとあの事故の死者は消防車にひかれたことが原因だからなのかも知れません。
何にせよ、どこかの空や空港で事故が起きたと報道されると、その直後に飛行機に搭乗するときはいつも以上に緊張を強いられています。

鉄道の事故はどうなのでしょう。
鉄道は安全な乗り物でめったに事故なんて起きませんし、あったとしてもインフラが弱くてとんでもない数の人が乗り込んで頻繁に遅延するインドの話だけのように思っていました。
それが、少し前に中国の高速鉄道事故で、開発を急ぎ過ぎた余りの大惨事ということもあるのだということを知りました。
それでも鉄道の重大事故を起こすのは、ますば発展途上国での話しだろうと高をくくっていたのです。

フランス、スペイン、スイスとヨーロッパの鉄道が立て続けに事故を起こしたというのに驚かずにいられません。
鉄道網の発達した先進国で、しかも連鎖反応的に鉄道死亡事故が起こるなんて。
しかし、わたしはすっかり忘れていましたが、日本でも福知山線事故のような大惨事があったわけですし、JR北海道が繰り返し何度もトラブルを起こすという問題も発生しています。
日本の場合は、橋やトンネルの老朽化の問題もクローズアップされていますし、もはや鉄道は安全な乗り物と考えてはいけないのかも知れません。

運転士などの人為的なミスは絶対に起きないとは言えませんし、その場合でも列車を安全に運航させるシステムは新幹線のものが有名ですが、すべての国、すべての路線で取り入れられている訳ではないことはそれぞれの事故のあとの検証でイヤというほど明らかになってきました。
スペインやイギリスではあったのではないかと記憶していますが、航空機より警備が手薄な鉄道を狙ったテロの危険性も指摘されて来ていましたが、それの対策が行われているという話もあまり耳にしません。

航空業界でよく聞くのが、世界一安全なのがイスラエルの航空会社だということです。
テロの危険に備えて国家の威信をもって徹底的に航空機や荷物を検査するし、何か不安要素があれば時間を遅らせたり欠航したりは全然お構いなしという徹底した姿勢を貫いているということです。
これは本当か知りませんが、テルアビブの空港では、検査が厳しいので出発の4時間前にチェックインが締め切られるし、X線検査ではわずかでも不審な点があれば、別室で全裸になって自爆テロ犯ではないことの確認が徹底的に行われると聞きました。
だからこそ安全なのだそうです。

中国では、新疆などに問題を抱えていて、バスの爆破テロなど時々交通にかかわるテロが起きているとされます。
そういうこともあってか、中国では鉄道を利用する際、改札の前に空港にあるのと同様のX線による荷物検査とボディチェックを受けなくてはなりません。
また、先進国とは違って列車がどれだけ遅延しようが、料金を払い戻すという制度はないようで、ちょっとした理由で鉄道はちょくちょく遅れます。
大きな鉄道事故で世界中から批判を浴びたこととも相まって、上記理由を加味すると中国の鉄道は案外と安全なのかも知りません。

航空機も同様なことが言えるかと思いましたが、航空業界はキャリアが乱立気味で価格競争が激しく、その意味で鉄道より安全ではないと言えるような気がします。
中国で絶対安全なんてあり得るわけがないので、列車なら最後尾に乗れば後ろから追突されない限り先頭車両よりも万一のときの生存率が高いと考えるのですが、あいにく今の発券システムでは何両目と指定することはできないようです。
時速300キロで走る高速鉄道では、無理にでも安全だとの理屈をこねたりしなければ、恐怖のあまり車内でおちおち居眠りすることすらできません。

作例は、帰りの郴州西駅で見かけた美女です。
湖南省はかわいらしい女の子の多いところだと言うのがわたしのみならず、一般の認識になっているのですが、どういうわけか今回の旅ではそういう女性を見る機会が皆無でした。
陽山のひとりの美少女を除けば美人を見なかったなあと思っていたところ、最後の最後に美人を見つけたのですっかり仕舞いこんだカメラを取り出して1枚失敬させてもらいました。
湖南省でも郴州は最南端なので、広東省に人種が近いとか美人がいない理由があるのかも知れません。
切符が取れず帰りは高い一等車になってしまったのですが、その服務員こそが旅のいちばんの美人でした。
あとで頼んで写真を撮らせてもらおうかなどと考えているうちに、いつの間にか眠ってしまいそれは果たせませんでした。
中国の高速鉄道にわたしが恐怖を感じていたとすれば、今日の作例はその美人服務員になっていたはずです。
【X-E1/Sekor 48mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Mamiya Sekor 48mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/04 Sun

現金輸送中

Angulor 28mmF3.3
これは明らかに判断ミス。
早めに郴州に戻って来てしまったことを後悔しましたが、今さらどうにもなりません。
あのまま村にバスの時間までとどまるか、むしろ田舎町の桂陽に行った方が散策は楽しかったでしょう。
バスを降りた場所も何の特徴もないエリアで、勘の悪さを嘆くばかりです。
しばらく歩いてから、わたしのカメラを見て自分もフジのX100を愛用しているのでと声をかけて来た男性がいましたが、わたしの事情を聞いてだったら来たのと反対の方向に歩けば何とか広場とか面白いところがあったのにと言われて、、ますます勘の悪さを思い知らされました。

市場を出ると歩道に沿って店が並んでいる通りがあったのですが、ちょうど歩道部分だけ日陰になって歩きやすかったのでそこをゆっくり歩くことにしていました。
暴騰申し上げたとおりでなにも面白くない通りでしたが、たまに子どもが遊んでいたりするのでレンズを広角に切り替えてノーファインダーで撮影しながら歩くことにしたのです。
妙に化粧が濃くてセクシーなお姉さんが椅子に座っていたので撮ったりもしたのですが、その数軒あとの何屋か分からないような店のドアにおばさんが立っていて、人差し指だけでわたしを手招きしました。
偶然歩いた何にもない通りは、日中からお姉さんたちが商売するやばいところだったようです。

さらに先を歩いていた時、歩いているわたしの目の前でちっちゃな女の子がおもむろにパンツを下ろして道端にしゃがんでおしっこを始めました。
反射的にシャッターを切ってしまいますが、先の商売女性の写真もおしっこ少女の写真もさすがにブログに掲載するのはためらわれます。
特に少女の方はおしりをこちらに向けているので、先日のニュースで児童ポルノの写真をやりとりした等の罪で全国で60人だかが逮捕されたと報道を聞くと、こんなんでも捕まるのではと不安を感じます。

作例は銀行の小さな支店前、現金輸送車にジュラルミンケースを積み込んでいるところです。
運搬する人が2名、小銃らしきものを構える人が1名、迷彩服にヘルメットの出で立ちで作業しています。
彼らは警察官ではなく、警備員に過ぎないようなのですが、銃器の携行が許可されているのでしょうか。
ちょっと日本では考えにくいですが、治安面では不安のある中国では当たり前のことのようで、わたしは何度か見たことがありますが、撮影チャンスが来たのは初めてでした。
例によって、腰ダメでカメラを腹に据えて、やや左にカメラを調節して通りすがり際にシャッターを2回切りました。

やはり銃のプレッシャーが影響したか、レンズが思ったより下向きですし、左にターンしすぎたか当然入れたかった銀行の入り口は写らず、代わりにまったく関係ない三輪車が入り込んでいます。
さすがに銃を構えるまでには至っていませんが、警備員がわたしを注視しているのも今になってはたいへん木になります。
どのような状況の時に銃を構えることが許されているのか、また、発砲は。
わたしのX-E1には不似合いなほどに無骨なデザインのベルティオのレンズが付いていましたが、彼がカメラ型の武器ではないかと判断したらどうなっていたのでしょうか。
あいつ、正面見て歩いているけどレンズはこちらを向けてるし、なんかあやしくないかと考えたとしたら。

かなりこじつけがありますが、そのような推定から、この作例はわたしが生命を賭して撮ったもっとも危険な1枚に認定したいと思います。
この状況を克服できたことで何か一線を越した気分です。
この結果に満足することなく、次回は、よりディープな世界に挑戦したいと考えています
【X-E1/Angulor 28mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Angulor 28mmF3.3 | trackback(0) | comment(6) | 2013/08/03 Sat

和家人聊天

Mamiya-Sekor 48mmF1.5
遅めの食事を摂ったころから日が出てきていちだんと暑くなったので、周辺の散策は早々に切り上げてもう一度村に戻りました。
ちょうどお昼を食べた家の人とすれ違って、スイカを割ったので食べていってと誘ってもらいました。
狭い部屋に入っていくと、大の大人が7~8にだらーっと椅子に座ったりゴロリとなったりと、スイカをかじりながらアンニュイに時を過ごしていました。
わたしが入っていくと寝そべっていたおじさんが起き上がってスペースをつくり、気だるい一団の仲間入りをさせてもらいました。

日本について質問攻めにあいますが、ちょうど参院選の投票日だったこともあり、中国のニュースでも報道されていた選挙の話題がひとしきり続きます。
中国では例えば町中などでは政治のネタを公然とすることはある種のタブーですが、家の中など限られた空間ではむしろそういう話題が好きな人が結構いるようです。
日本にもスイカはあるのかとか、日本のお金は中国で使えるのかなど子どものようなことを聞く一方で、日本の政治や歴史についてけっこう詳しかったりして脅かされます。

ナチスに学んだらどうかね、発言が出る前でよかったと、今、ホッとしています。
日本ではマスコミの意思が反映しているとはいえニュースは客観的に伝えられますが、中国では中共の情報操作も加味されてニュースがアレンジされるので報道直後はたいへんなことになっていたでしょう。
麻生さんがナチスに学ぼうがマンガに学ぼうが勝手ですし、政治家皆さんは終戦記念日にどこにでも参拝する自由はあると思いますが、それによって海外に赴任するビジネスマンや家族が危険に晒されたり不快な思いをする可能性があることはどこか配慮してほしいと思います。

日本の話題が途切れたところで、地元の話を聞いてみることにしました。
7時の電車で広州に戻ることになっていて、残りのおよそ5時間をこの村でどんより過ごすか、近くに何かあればそこまで出掛けるか考えていたところだったからです。
近くにもうひとつ古村落があると聞いて色めき立ちましたが、詳しく聞くとそれは先に訪れた小埠古村の方と分かってがっかりです。
山を登ったところに瑶族の村があるとも教えられましたが、10数キロの山岳路をバイクで行くので80元かかるということですし、ごく普通の村なので行っても面白くないだろうとのことです。
そう言いながらも彼らの誰ひとりとしてそこには行ったことがないというので、どこまで信用していいのかは分かりません。

やはり10キロほど離れた山に美しい湖があって、そこへはみんな行ったことがあると勧めてくれますが、酷暑の中で景色を見に行く気は起りません。
瑶族の村への行き方を尋ねたときに、バイクの運転手を呼んでしまったので、その人に乗せてもらって郴州の町まで戻ることにしました。
この村には4時ごろ近くではいちばん大きな町である桂陽に行くバスがあり、桂山から郴州行きのバスは10分間隔で出ているとのことでしたが、それでは菅官房長官そっくり顔をしたの女々しいバイクのおじさんに悪いかなと思ったこともあります。

郴州の町中には特に何があるわけでもないことは菅さんが教えてくれたので、適当に散策して最後に食事してから駅に向かえればいいやと、○×市場という名前だけで判断してバスを飛び下りてみました。
これはどうも失敗だったようで、午後の市場に行っても売り手も客もほとんどなく閑散としています。
外れで農民らしきおばさんが自分とこで作った野菜を売っているようなところをせめて写すことにしました。
遠くに塔のようなものが見えていましたが、郴州の町は山の中にあった陽山古村よりも暑く感じられて、あそこまで行ってやろうという気は起りませんでした。
【X-E1/Sekor 48mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Mamiya Sekor 48mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/02 Fri
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