藍色的雨傘

Sonnar 5cmF1.5
滞在中1日は例によって古村落の訪問にあてます。
その日は予報は大雨、当日起きてみたら今にも泣き出しそうなどんよりした天気でしたが、運が良ければ降り出す前にひとまわりできるかもと出発しました。

行先は、東莞市の清渓鎮清廈という古村落です。
地図を見ると清渓は、東莞の最南端でほとんど深圳と接した位置にあります。
深圳からはもっとも近い古村落・古鎮と言えるでしょう。
深圳市内には大鵬所城という古鎮がありますが、ここは東のはずれのはるか遠方で市の中心からは清渓の方がずっと近いのです。
わざわざ遠方に出向いて大雨ではがっかりなので、近場で済ますのは止むを得ない選択です。

深圳駅から高速鉄道で25分、ひとつ目の樟木頭で下車します。
駅前から路線バスに乗り5分で着いた樟木頭汽車站で下車、ここが樟木頭のバスターミナルで清渓方面行きのバスはそれこそ3分くらいで頻発しています。
約20分で清渓汽車站着、最後は清廈へ行くバスに乗り換えですが、これは文化広場を通る路線バスに乗ればよくほとんどのバスがここを通るのでおよそ10分で文化広場には着いてしまいました。

乗り継ぎ自体は事前のリサーチが生きてすこぶる順調でしたが、近いと思っていた清渓まで1時間半近くかかってしまい、やはり大鵬へ行くのとどっこいどっこいでした。
通常、古村落は交通不便なところにぽつんと残っているという類のものなので、バスは1日数本とかむしろ公共交通手段はないというケースが多いのですが、清廈は町中にあるおかげで面倒な乗り継ぎが恐ろしいほどにスムーズで中国を移動しているとは思えないほどです。

予報は大雨で今にも降り出しそうな天気にも関わらず傘を持ってきてなかったので、雨にならないよう祈りつつ降ってきたらその場で買うつもりでいました。
しかし、あっけなく電車で移動中にはすでに霧雨のような状況に変わり、それでも傘がなくても大丈夫と移動し続けたところいよいよ樟木頭のバスターミナルで本降りになってきました。
ここでも傘は売られていたようで買おうと思ったのですが、バスがあっさり着てしまったのでそのまま乗り込むと、わたしの座った座席の真下に傘が転がっていました。
誰かが忘れていったものでしょうが、失敬することにしました。
中国で傘は安く、バスに忘れてもその場で気付かない限りみなわざわざ探そうとせずに諦めてしまうからです。

これは非常に助かりました。
傘が無いままでも、清渓のバスターミナルでもすぐに路線バスに乗っていたので文化広場のバス停付近で買えばよいと考えたと思うのですが、文化広場は中国式の広いスペースに数百メートル四方何もない広場になっているようなところで、バスを降りたら大雨の中最初の屋根を求めてダッシュしないといけないような状況だったからです。
また、雨はほとんど1日降り続いたので、その傘はずっと手放せず重宝しました。
とは言え、拾った傘をその後もずっと使い続けるのは忍びなく、その日最後に乗ったバスの中にそっと置いてきました。
傘を持たない誰かが気付いて、役立ててもらえればありがたいと、いちおうは考えたからです。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(2) | 2013/05/31 Fri

和田的小妹

Sonnar 5cmF1.5
夜、深圳の町中でなかなかの美女を見つけました。
作例の彼女は何歳くらいに見えるでしょうか。
体つきでも判断できるように、たぶん小学校2年生くらいです。
カメラを向けると誰が教えたのか妖艶ともいえるような顔でレンズを見つめる姿は年齢よりもずっと大人びて見え、光がうまくとらえきれずにアンダーなものの割とあどけない雰囲気で写っているこの写真が、前ピンなのを割り引いてもこの少女らしくて今日の作例として取り上げることにしました。

夜の路上で何をやっていたのかと言えば、お兄ちゃんといっしょに家の仕事を手伝っていました。
あふれるくらいのクルミや干しぶどうなどが満載された屋台で店番していたのです。
その干しぶどうと彼女の東部でピンと来る人がいれば鋭いと思います。
頭に巻かれたスカーフ状の布はいわゆるヒジャブで、彼女たち一家は新疆ウィグル自治区のホータンという町からやって来たトルコ系のイスラム教徒なのです。

ホータンは、現在の中国のほぼ西のはずれにあって、新疆ウイグル自治区首府であるウルムチよりもタジキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、パキスタンの国境の方がずっと近い場所に位置しています。
それらの国々の通商の要衝にあたる場所なので混血が進んで、美男美女が多く生まれる地なのではと想像されます。
しかし、もはや中国の一部だと言われても、民族の血も顔つきももはや漢族とは似ても似つかず、やはり中央アジアか中東、あるいはトルコ人と言った方がしっくりときます。

むかし、深圳で泊まったホテルのそばに新疆のラーメン屋があってそこの娘が飛び切りの美人でした。
向うも日本に興味があるようだったので今度映画でも見に行かないかと軽く言ってみたところ、イスラムの女の子をデートに誘うには父親の許しをもらわなきゃダメなんだけど言うだけの勇気はあるのといかつい親父を指さしながら言うので、もちろんあると余裕で答えました。
すると彼女は続けて、1回でもデートをするということは結婚を前提としたお付き合いだから、あなたはイスラム教に改宗することはできるのねと畳みかけてきました。
冗談だったのかも知れませんが、わたしはまじめに交際してから考えると答えたところ、いま、結論を出してと困惑するわたしをけむに巻いて厨房の中に消えてしまいました。

新疆女性とは遊びは絶対に許されないということのようです。
成人女性は、写真を撮ることも許されません。
彼女の家は、かなり厳格なイスラム教徒だったようで、近くの店で商売していた母親は例のヒジャブで顔をすべて覆っていて、その奥で大きな眼だけがじっとこちらを見据えるのが印象的でした。

新疆を旅できないものかと計画しましたが、このエリアは想像していた以上に広大でした。
首府のウルムチまでは中国国内線で6時間ほどですが、ウルムチから西端の聖地カシュガルまでまる一昼夜かかり、カシュガルからホータンまでまた1日の行程です。
1週間の旅では、それぞれの町に1泊してそのままとんぼ返りしなくてはいけません。
できることならシルクロードの街道に沿ってゆっくり西をめざし、国境も超えてみたいものですが、それは夢というものでしょう。
急ぎ足でも最低2週間なければ、旅する気分も味わえないくらい、新疆はあまりに遠く広く、その土地からやって来た女の子の瞳の中にそれを想像するしかありません。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/30 Thu

広角的Ektar

Sonnar 5cmF1.5
昨日、おとといと新レンズのエクターでの作例でしたが、今日からはずっとゾナーになります。
しばらく使っていたかったエクターですが、作例をご覧いただければお分かりいただけるとおり、レンズに問題があることに気付いて使用するのを止めてしまったのです。
おとといの作例では左側の子どもはピントは少々怪しいもののまずは無難に写っているのですが、右側のお母さんはブレたような激しいボケですか、今回もまた偏心が出てしまっているかも知れません。
修理が必要かも知れませんが、どうして、使う前によく確認しないのだと反省しきりです。

もともとこのブログはレンズを入手して、そのままに作例を紹介していくという趣旨なので、問題があればあったでそのまま掲載して修理後も作例をあげれば、修理の効果が比較によってより明確になる意味があります。
楠渓江でのゾナーはまさにそんな意味があって構わず使っていたわけです。
しかし、今回のエクターは事情が若干違いました…。

女の子たち6人が並んだ写真やいちばんの美少女の写真を撮った後すぐに近くの証明写真屋に持って行ってプリントしてもらい、またUターンで女の子たちに差し上げたのですが、あきらかに彼女たちの反応が違います。
みんな口々に喜びの声をあげているものの、前回撮った辞めちゃった女の子と店長の写真できれいと言っていたのにこちらではお礼程度のリアクションしかありません。
ルルブールの周辺が乱れながらもパステル調・ソフト朝の写真は大うけだったのに、エクターは見劣りするということのようです。

そこで初めておかしいと思って写真を見せてもらって、レンズの欠陥に気付いたという次第です。
慌ててこれはレンズの問題でわたしの技術とかそういうことではありませんと言い訳してみたのですが、そんなレンズでわたしを撮ったのかと、品性を疑われるドツボに嵌まっていったかも知れません。
次回のリベンジを約するまでです。

さて、そのエクターは希少カメラとして名高いコダック・エクトラの広角レンズです。
よくエクトラの生産台数は2000ほどと言われますが、本当であれば、この35mmF3.3も1000~2000程度の生産量ではないかと想像されます。
そういう貴重なレンズをこういうかたちにしてよいのか、ライカマウントに改造してもらっています。
ただし、改造は中国の職人さんの手によるもので、マウントを継ぎ足すだけのようなかたちなので距離計に連動しませんし、もとに戻すことも可能です。

エクトラ用のレンズでは50mmF1.9の評価が高く、中心部はとてもシャープで全体にクリアな描写、しかし周辺にぐるぐるが出るレンズとしてよく知られています。
35mmF3.3も同様な傾向のレンズだろうと想像されましたが、確かに描写の雰囲気の傾向は似ていると言えるものの、F3.3ながらシャープネスはもの足りず特徴にも乏しいようです。
以前、レンズに詳しい方がいち早くライカマウントに改造されていたので感想をうかがいましたが、絞ってもシャープにならないがっかりなレンズというような評価をされていました。

エクター名を冠するだけに高性能レンズの期待を持たされる中では確かに平凡という印象です。
中判用エクターのような味わいもあまりなさそうです。
しかし、ここで非難をしてはいけません。
もともとシャープなレンズに魅力を感じないわたしにとっては、例えばモノクロで撮って諧調に痺れるとか再評価の日が来るかも知れないので、ここは問題を修理してじっくり使ってあげるべきと思っています。
なにしろこのレンズ、ぎざぎさしたロボット朝の外観がX-E1のような未来風カメラに実によくフィットしてかっこいいのです。
先にあげたゾナーとともにレンズをオリジナル状態に修理してここに再登場させることを楽しみに待つことにします。

今日の作例は、そばを食べたときに後ろのテーブルに座っていた女の子です。
距離を適当に合わせてから、自分は違う方向を向いてノーファインダーで撮ってみました。
たぶん北の方から来たのでしょう、深圳ではめずらしい面長の美形タイプです。
河南省あたりの出とみました。
ルックスで判断したのと、爪楊枝をくわえたままのお行儀の悪さがわたしの河南のイメージと合致したからです。
喧嘩っ早い土地柄と聞きますので、やはりノーファンインだーでこっそりが正解だったと思っています。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(2) | 2013/05/29 Wed

迷你裙子小妹

Ektar 35mmF3.3
夜は、雨の中、深圳の原宿と呼ばれる東門に向かいました。
途中、小さな証明写真屋さんに寄って、4月に撮った写真をプリントしてもらいます。
東門の繁華街でのプリントは高く、物価の安い中国で1枚2元も取られましたが、10分仕上げなので助かりました。
プリントしてもらった写真は4月に東門で撮った女の子のもので、その写真を進呈することで、また撮影させてもらいついでに親しくなって専属モデル契約を結ぼうという大作戦を敢行します。

威風堂々例の店に行き見渡しますが、件の女の子が見当たりません。
ベテランの女の子がいらっしゃいと近づいてきたので、前回撮ってあったその子の写真をまず手渡し、契約すべき女の子の写真も見せて彼女はどうしたのかと聞きました。
彼女だったら辞めたよ、今どこにいるかって、さあ分からないねえ、との悲しい答えが返ってきます。
あんた、あの子に惚れてるねとは言われませんでしたが、港のヨーコヨコハマヨコスカのようなことになってしまいました。
4月21日のブログにここ東門では、なかなか長く働く女の子はいないと書いたばかりでしたが、まさかその時の写真の子がすでにいなくなっていたとはまったくの盲点でした。

しかし、何も知らずに写真をプリントして持って行ったことは、まったくの無駄という訳ではありませんでした。
いまや店長に昇格していたベテランの女の子が自分の写真と行方不明の女の子の写真を自慢気にみんなに見せたことで、わたしたちも撮ってという声が沸き起こり、まだ営業中で客もいるというのにみんなで撮影タイムとなってしまったのでした。
そして、またその写真をプリントしてあげたりしたことがきっかけで、終業後の食事に誘われるという思わぬ展開になっていきます。

本来なら願ってもない話ですが、翌日、朝早くから用事があったわたしは悩まざるを得ませんでした。
この店の閉店時間が12時だというので、6時に起きるつもりのわたしは一端は断るつもりでしたが、やはり本能にはあらがえませんでした。
ぴちぴちの若い女の子に、朝早いんなら無理しなくていいんですよお、などと言われると条件反射で、いいや全然大丈夫と答えてしまうのです。

また12時に出直していくと遅番は4人だけで、作例の女の子たちでは左側の3人ともうひとり写っていない子の4人で、近くの屋台に中国式の焼き鳥を食べに行きました。
作例左端が、無理しないでいいのよおと言ってきた女の子ですが、彼女がアイドルのようなルックスの美少女だったので、わたしは断れなかったのですが、無意識にも自分は美少女だという自覚があるせいか写真を撮ってもらいたくてしようがないようです。
モデル契約の口約束をしたいところですが、ありがちなパターンで基本的にこの店では休みが月に2回しかなく週中でないと休めないとわたしのスケジュールに合わせるのは残念ながら難しいようでした。

話をしていて驚いたのが、彼女が9人兄弟の末っ子で姉が6人もいるということでした。
しかもいちばん上の姉は40歳で姉は全員結婚しているといいます。
彼女自身は15歳というので、またびっくりです。
店では厚化粧をさせているので、年が分かりにくいのですが20歳くらいかと思ったらまさか15歳とは。
お姉さんと25歳離れているというのがよく分かりませんし、そもそも中国はひとりっ子政策をしているのでは。
余計なことは聞かず、前回の例があるので行方不明になっても追跡できるようにと携帯番号を聞くと抵抗なく教えてくれました。
彼女とは再開できるでしょうか。
【X-E1/Ektar 35mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kodak Ektar 35mmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/28 Tue

亜熱帯的雨季

Ektar 35mmF3.3
まだ5月だというのに、九州、中国、四国の各地で梅雨入りとのニュースでびっくりしました。
週間予報を見ると東京でもびっしりと雨のマークが並んでいて、関東も梅雨になってしまうかも知れません。
沖縄ではもう2週間も前に梅雨入りしていますが、緯度が少々下がる広東エリアではその頃には雨季とも呼べるシーズンに入っています。
先週末訪れた深圳はまさに毎日雨が降り続く、日本の梅雨のような気候でした。

11月から4月までの半年はたいへん過ごしやすい深圳も、この時期から地獄のような天気とお付き合いしなければいけません。
地獄というと少々大袈裟ですが、東京より気温が5~10度も高いので、到着してから体が順応できません。
外に出れば眩暈するほど熱く、室内では冷房キンキンの震える寒さではすぐに体調がおかしくなります。
おまけに暑さで冷たいものをがぶがふ飲んですぐにお腹を壊しますし、温度調節できない体で汗が止まらなかったり、夏バテ状態なったりロクなことがありません。

雨が降るともうひとつ困ることがあります。
写真をすっかり撮らなくなることです。
今回は、モノクロを試すべくライカM6を持参していましたが、結局、フィルムを通すことすらなくそのままお持ち帰りになってしまいました。
これではレンガをもって旅してきたようなものですね。

デジタルなら撮ったかといえば、撮ることは撮りましたが、やはり枚数は激減します。
雨中でも、傘をほほと肩で挟むように固定してピント合わせをしつつ強引に撮影を試みましたが、とても疲れてすぐにやめました。
雨を生かした写真を撮る名人もいらつしゃいますが、晴撮雨読がわたしのスタイルのようです。
軟弱者とお笑いください。

さて作例は、用事を済ませた夕方、雨がすっかりあがっていて、道すがらスナップして歩いた時のものです。
腰ダメという撮影法があって、ピントを3メートルほどに固定しカメラも下腹あたりにぐっと抑え込んでのホールディングしながら歩いたまま撮影します。
被写体は向かいからやってくる人物で、目測でその距離に捉えた瞬間何事もなかったかのようにシャッターを切ってそのまま歩き去るものです。
この腰位置でぐっと溜めるというのが、ホールド性や水平性の維持にぴったりなだけでなく、相手からは撮影している雰囲気を消し(相手の下半身を気にするよう人が向かいから来ればばれるかも)、かつ子低い視線でスナップ的臨場感を出したり子供目線になるなど、普通の位置とは異なる絵を作り出してくれるのです。

作例では、少女の顔よりも、その視線の先の繋がれた手の方に力点があるように見えて、彼女が母親からの愛情を手のひらいっぱいに感じつつ、大都会の中を歩いているようにわたしには見えました。
あまりにも撮影数が少ないので、こんなことを書きながら何でもない1枚の字数を稼ぐしかありません。
やはりわたしにとって、雨は邪魔者でしかないようです。
【X-E1/Ektar 35mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kodak Ektar 35mmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/27 Mon

用頭采光

Darlot 10cmF3.3
蒸し暑い中、100円のコーヒーを啜っていると、これはどこからどうみても本物のジャマイカンだという兄さんが闊歩していきます。
彼のポートレイトこそ今回の明治神宮~代々木公園散策の最後を飾るに相応しい。
そう思って、カメラをバッグから出そうとしますが、紙コップのコーヒーを片手に持っていてはうまくいきません。
火傷覚悟で一気飲みするか捨ててしまってあらためて買えばいいのを、依然コーヒーを啜りながら彼の後を追いました。

たぶん彼だったら頼めば喜んで撮影に応じてくれそうです。
でも、ジャマイカ人には何語で話しかければよいのだろう。
中米だからスペイン語かな、いやアメリカ文化圏だから英語が通じるだろう、いや日本語が堪能かも知れない…。
などと考えながら歩いているうちに彼を見失ってしまいました。
あれだけのドレッドロックヘアにサングラス、国旗の黄・緑・黒のトリコロールのシャツ、これ以上目立つ出で立ちはないはずなのに探せど探せど見つからず。
彼のポートレイトは幻となってしまいました。

ジャマイカのイベントをやっているので彼のようなジャマイカ人がいっぱいいてもよさそうなものですが、どうしたことかそれ以降ひとりも出会いません。
普通のTシャツを着たジャマイカ人ではと思われる青年はちらほら見ますが、それでは意味がないとは言わないものの、先ほどの青年のインパクトが強大だったのでものたりないことおびただしい。
一方で彼と同様かそれ以上のスタイルの青年がたまに見つかるのですが、おおっと心ときめかしてよくよく見ると、それはジャマイカンフリークの日本人なのです。
日本人に日本人が写真撮らせてもちょっと言いづらいです、こんな場では…。

典型的なジャマイカに固執しなければポートレイトになってくれるような被写体はいっぱいいました。
髪をジャマイカ風に結ってもらう少女、ブラックレザーボンテージのおばさん、ぐるぐるサングラスを自らかけて売る金髪のお姉さん、みなさん実に絵になります。

ここでは、ジャマイカとは関連性を見出せないすっきり美少女をとりあげることにします。
ジャマイカと関係ないばかりか、最前列にいながらこれっぽっちも音楽に関心を示さない姿勢が気に入りました。
ただ、光の状態のよくない場所だったのに、レフ版代わりの光源がよく効いていて、顔の影が消えているようです。
期せずして、この日いちばんのポートレイトになりました。
【X-E1/Darlot 10cmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Darlot 10cmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/26 Sun

鲍勃

Darlot 10cmF3.3
代々木公園には隣接して特徴的な建築の体育館があるようです。
片側二車線道路を陸橋で超えていくのですが、この道路はたぶんかつての竹の子族がダンスに興じた場所ではないかと思い出しました。
というのは、この周辺でダンスの練習をする若者のグループが何組もいたからです。
このあたりは今でもダンスの聖地として名をはせているのでしょう。

そんなことを考えながら陸橋の先を見やると何やらイベントが開催されているようで、これまた若者たちが大集合しています。
ジャマイカに関する催しだそうで、入場無料というので覗いてみることにしました。
ジャマイカ料理の屋台が出ていてグリルの香ばしい煙が立ち込めていて、お腹を刺激されます。
ところが、かなりの列ができていて、目で追うと最後尾はココと書かれた看板を手にしたお兄さんが立っていて、あそこまで並んで食べる気にもなれないとあきらめました。
phoneの発売日のように徹夜するかしないと食べられないような美味だったかも知れませんが。

ビールの屋台もあってこの暑さにはぴったりでしたが、ジャマイカン・ブルーマウンテン1杯100円に呼び寄せられてしばし悩まされます。
誰が言ったか知りませんが、昼間飲むビールはよく効きます。
わたしはすぐ顔が真っ赤になるので、夜ならまだしも白昼堂々赤ら顔でカメラをもってうろうろしてはあまりに不審すぎると自制することにしました。

ほどなくしてステージでライブが始まりました。
ボブ・マーリーの写真が中央にあるのを見ればきっとレゲエライブだろうと想像するところですが、温覚はゴスペルでした。
レゲエは、夕方以降のメインステージで演奏されるのでしょう。
わたしはゴスペルのことはよく分かりません。
まず歌詞が聞き取れないですし、音楽もメロディではなく歌詞に抑揚をつけているだけに聞こえてしまいます。
黒人霊歌というと悲しみの感情も歌われていそうなのに、ニコニコと楽しそうに最後までずっとフォルテッシモ…。

何かきっかけがあれば、ある日突然ゴスペルが好きになるかも知れませんが、いまはまだその時期ではないようです。
ブルースは分からないながらもそれなりに好きで、マディ・ウォーターズとかジャズで聴くことがありますし。
今回のコンサートも、ステージ上ではなく残響の長い教会の中で聴いたらすぐに気に入っていたかも知れません。
でも、歌唱そのものはたいへんすばらしかったと思っています。

ペッツパールのことになりますが、無限に近い15メートルくらい胃炎の距離でピントが見づらいということに初めて気づきました。
ファインダーを覗いていて、ソロ歌手にも、合唱隊にも、後ろのボブにもすべてピントが来ているように見えてしまうのです。
前回の西ドイツ製ゾナー85mmF2なら、フォーカスリングを少しずつ動かしながらそれぞれにピントが合っては次第にずれていくさまがもっと明確だったでしょう。

どうもこのペッツパールではピントが合っているような合ってあっていないような、まあいいや合っているでしょうとなってしまい、結果合っていなかったというケースが多く出てしまいました。
レンジファインダーなら、ぎりぎり無限手前で二重像を一致させて撮影できるだろうと思うのですが、一眼レフだと一定のレンズに対して無限近くは難しいのでしょうか。

これが大判になってくるとピントはよりシビアになるのでしょう。
実は、昨日の健康診断で視力が0.5と診断されてがっくりとうなだれているところです。
1枚1枚を慎重にピント合わせして大切に撮影する大判は憧れでしたが、わたしには身体的に一歩遠い存在になってしまったようです。
【X-E1/Darlot 10cmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Darlot 10cmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/25 Sat

紫色的玫瑰花

Darlot 10cmF3.3
とても広いからしょうか、代々木公園にはバラ園がもう1か所ありました。
こちらの方が入り口に近いせいか、ひっきりなしに人が訪れ写真を撮っている姿が見られました。
しかも、その多くが外国人です。

円安が始まって以来外国人観光客がうなぎ上りに増加して、浅草やらどこやらの観光地の土産物屋さんなどがうるおっているとニュースで盛んに取り上げられています。
円安は、製造業に大きな恩恵をもたらしとても好いことだとマスコミがアベノミクスを持ち上げるばかりですが、生活必需品の価格が上がるとか、わたしたちのように外国から直接モノを買っている人間には大きな痛手になっているなどのネガティヴな報道はほとんど軽く扱われています。
こんなんでいいいのかと思いますが、いくら国家権力の前では骨抜き状態の日本のマスコミでも、中国や北朝鮮よりはずっとマシなのですから受け入れるよりほかないのでしょう。

外国観光客は世界遺産や有名観光地を見てその国を評価するように思っていましたが、立て続けに来日したスペイン人のダヴィドや香港人のアニーが日本を歩くのに同行したり、感想を聞いたりするうちに、彼らの評価が観光地の感動度合いではなく、街並みの親しみやすさだったり、食べ物の相対的な美味しさだったり、人々のちょっとした接し方だったり、日常生活のレベルでとても好いとか気に入っていると感じることが、国全体の評価になっているのだということに気付きました。

例えばイギリスが好きな人は、若い時呼んだシャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロがきっかけかも知れませんが、より好きになる理由は大英博物館がルーブル美術館より優れているからだとか、ストーンヘンジが高松塚古墳よりロマンに満ちているからということではなく、普通の田園風景とそこに暮らす人の生活がのんびりして美しく感じたとか、町中でも人々の接し方がしっくりとするとか、そんなところにあるのではないかと思われます。
少なくとも外国人には母国という比較対象があるのですから、目線の先でこれは我々にはないことだけれど実に好いと感じられるということが大切だということですね。

明治神宮を訪れていた外国人を見ていても、花嫁衣装に伝統を守ろうとする日本の若い女性の姿を感じたでしょうし、本殿の細部の意匠にディテールにこだわる日本的美意識を発見したでしょうし、着物女性の仕草に日本女性の立居振舞の美しさを見出したと思います。
クールジャパンのPRやら1件でも世界遺産を増やそうという活動も、外国人観光客を増やすために大切なのかも知れませんが、我々の周りには十分に魅力的なものがふんだんにあって外国人の目はしっかりそれらを捉えているのだから、彼らを信じてどうぞ日本の日常を自由に見てくださいというキャンペーンでもやってみてはどうかと思います。

さて、昨日のモデルさんはわたしのペッツパールに遠くから気付いて笑みを送ってくれましたが、今日の女性はこんな至近なのに金色の真鍮レンズには目もくれません。
それほど、この薄紫色のベルベットのような質感が増加のようなバラがきになったようです。
出身はブラジルと見ました。
ブラジルの女性は旅好きが多いらしく、ヨーロッパやアジアでもひとり旅するブラジルのお姉さんに何度か会っているからです。
【X-E1/Darlot 10cmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Darlot 10cmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/24 Fri

我的模特

Darlot 10cmF3.3
代々木公園ではバラ園があって、今が盛りと何種ものバラが咲き誇っていました。
さまざまな色が並んでいますので、これを背景にポートレイトを撮るといかにも華やかになりそうです。
などと考えていたら、モデル撮影隊がまさにバラ園付近でスタンバイしていました。

こういう撮影はふたつのパターンが考えられそうです。
ひとつは、モデルさんの方がメインというか、例えばグラビア撮影等で彼女のためにカメラマンやスタッフが招集されているパターンです。
もうひとつは、逆に撮影者側がメインで、アマチュアカメラマンの楽しみのためにモデルが雇われるというパターンです。
遠目から観察してみても、わたしの鈍い感覚ではそのどちらかの判別はできません。
いずれにしても、モデルさん美人でしょ、どうぞいっしょに撮影していってください、とはならないでしょうからそれ以上詮索しても仕方ありません。

いくら遠くからでも部外者がモデルを撮ってはいけないのでしょうが、公の場で行われていたことを意図なしに全体をぱっと撮るのはスナップのひとつとして許されるだろうというのが今日の作例です。
もし、プライヴェイトモデル撮影会だとしたら、オレ達はモデル料10万円払ってるんだから、お前も1枚撮ったのなら1000円寄こせくらい言われかねないかも知れませんが、それこそ1000円払うからバラをバックにチャーミングなポーズをとってもらえますまいかなどと答えたくなります。

しかし、モデルさんはプロでした。
だいぶ離れて立っていたというのに、わたしがカメラを構えているのに気付いて、なんと向きを90度変えて、こちらに向かってくれたうえにポーズまで付けてくれました。
もうお金はもらっているから1枚でも多く撮ってもらいたいという、モデル魂なのでしょうか。
わたしの金色のレンズを見て、あっ、ペッツパールだと気づいたのかも知れません。

先にモデルの撮影にはふたとおりのパターンがあると書きましたが、もうひとつ双方に幸せなパターンというのもあります。
実は、今週末撮影会に誘われたのですが、非常に残念なことに所用で参加できません。
その撮影会こそ、モデルさんは料金なんか取らないけど撮ってもらいたい、オールドレンズならなお歓迎という人で、もちろんペッツパール等人物用レンズを使うわたしたちは、ぜひぜひ撮影させてもらいたいという関係です。

この撮影会は不定期ですが、年に何回か行われるようです。
次回は何としても参加して、許可をもらったうえでこのブログに紹介したいですね。
そういえば、だいぶ前にコンパクトレフ板を購入しているので、撮影会では作例の青年のように同時に裏方でも働きたいと思っています。
いままでのボーットレイトとは違う、人物撮影法を勉強しておかなくてはいけません。
【X-E1/Darlot 10cmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Darlot 10cmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/23 Thu

新緑的公園

Darlot 10cmF3.3
明治神宮をお参りしてから散策を続け、代々木公園に出ました。
被写体ということでは明治神宮でも十分でしたが、公園に行った方がボーットした人が多いでしょうからより撮影を進むでしょう。
液晶であきらかに不自然さが分かったタナーをあきらめ、ここのところのフェイヴァリットレンズになっているダルローに変更します。

広い公園では望遠くらいがちょうどよいです。
天気が抜群に良く、ところどころ花などの色彩のアクセントも取り入れながらの緑を背景にした広角的な使い方ができます。
19世紀のペッツパールは、曇天時にくすんだような冴えない色になってしまうことがあって、がっかりさせられることがありますが、天気が好いと抜けの良さを地で行くような美しい発色をするようです。

このレンズはほぼ10cmの焦点距離ですが、イメージサークルはかなり余裕があるようで、周辺の前後ボケにクセのようなものは見られません。
全体的なボケもスペックなりのとても素直なものです。
よく言われるように、とても19世紀の半ばに設計・製造されたレンズとは思えません。
現代の100mmレンズならよりシャープでもっとコントラストの高い表現をするのでしょう。
そんなレンズを日常使われている方には冴えないレンズと思われるのかも知れませんが、わたしはそういう現代レンズが嫌いでオールドレンズを使っていいるので、これだけ写ってくれれば申し分ないと考えます。

そういえば、某インターネットオークションでダルローの100mmクラスのペッツパールが出品されていました。
そこでは6×7もカバーすると書いてありましたが、レンズ自体はわたしのものより二回りくらい小さく、焦点距離もイメージサークルも本当であればすごいことだと考えられました。
当然欲しいレンズでしたが、残念ながら価格はあっという間に高騰して、昨日の落札価格は15万円を超えてしまっていて、入札を諦めざるを得ませんでした。

欲しいレンズが入手できないのは残念ですが、このレンズが落札者の手によってデジタルや中判で撮影を楽しんでもらえるのなら、それはそれで嬉しいことです。
ペッツパールのような歴史的レンズは、まず骨董的価値が優先してしまって、実用に供される機会が少ないのが実情だと思います。
当時のカメラや撮影法を使ってこそ意味が大きいとは思いますが、デジタルでもレンズの描写を知ることができるのですから、ぜひそのような作例が増えてくれることを願うばかりです。

さて、作例ですが、5月の新緑のまぶしさを表現したくてかなり露出オーバーにしてあります。
そのせいか中央の木が緑かぶりしてしまったようです。
右の木は邪魔なのではと言われるかも知れませんが、実はこの背後に強面のスキンヘッドのお父さんがいたのです。
怖いお父さんを避けながらになるとどう構図を作っていいか分からずこんなかたちになりました。
左側にも何かあればバランスが保たれたかも知れません。
【X-E1/Darlot 10cmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Darlot 10cmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/22 Wed

拍被拍?

Tanar 5cmF1.5
少し前にハイパーゴンをNEXで撮影した写真が出たと思えば、立て続けにブッシュのGlaukar80mmF2のLマウントレンズが出てきたりと、"www.oldlens.com"では前触れもなしにすごい試みやレアレンズが出現して、いつも驚かされてばかりです。
その後は以前から持たれていたレンズの最新の写真をアップされたりと、しばらく落ち着いたかとホッとしていたところ、これまた突然に田中光学のタナー5cmF1.8というたいへん珍しいレンズが出てきて、またびっくりしました。

さらに写真を見るともっとびっくりです。
13枚並んだ写真を見比べてもレンズの特徴が見えてこないのです。
特徴がないレンズなのかとといえばまったく逆で、普通ではない写りをしています。
ところが、偏ボケしているのではと思えるほど部分的に激しくボケている写真があれば、全体がおおむね均一にシャープに写った優等生風あり、全体にピントがはっかりしないような激アマあり…、まったく捉えどころがありません。
撮影してみないとどんな結果になるのか分からないとレンズのように思えました。

全体に二線ボケの傾向が強そうですし、周辺にいくにつれてボケの激しさが増すところは元来のF2ゾナーを強引にF1.8まで引き上げたところに起因するのでしょうか。
また、ハイライトはよく滲むようですが、前ボケはきれいに見えますし、トータルではボケ全体が個性的でたいへん面白いレンズではないかと思われます。
初めて見るレンズの表現として、少なくとも私にとっては期待通りのものを感じることができました。

田中光学では、わたしもF1,5とF2の標準レンズを持っています。
どちらもなぜかライカの距離計とぴたり連動してくれないため、長らく出番がありませんでした。
しかし、X-E1では距離計は関係ないので、F1.8に刺激されるかたちで、今回の明治神宮ではF1.5のタナーを使ってみることにしました。

ところが、昨日の作例でご察しのとおり、このレンズはものすごい滲みがあってピントが合わせることができません。
花嫁さんのところでは、おかしいおかしいとフォーカスリングをあちこちまわしながら何枚も撮りましたが、ピントが合っているといえるものはまったくありません。
過去の作例を見るとこんなではなかったのですが、どうなってしまったのでしょうか。

作例のように2~3メートル以内ですとピントは問題なくなります。
そうなるとトレードオフでボケは激しくなり、人物がまるで海の天使の異名を持つクリオネのような姿に化けてしまっていました。
田中光学恐るべしです。
5cmF1.8、F1.5はかなりめずらしいレンズですが、F1.2というレンズもあって存在すら確認されていないのですが、これがどんな写りなのかは想像しただけで怖くなっしまいますね。

さて、作例はクリオネではなく、別の結婚式の組が記念撮影をするときのもので、その記念撮影を撮影しようとしている外国人観光客を、またわたしが撮影しているという、劇中劇のようなもの(?)です。
あるいは、ベートーヴェンの第9交響曲の第4楽章冒頭で1~3楽章の旋律が音楽の中の音楽として流れてくるのと似ているといえるかも知れません。
わたしは前後に鏡があって、自分が無限に並んでいる姿を見ながら髪を切られた床屋さんを思い出しました。
【X-E1/Tanar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tanaka Kogaku TanarH.C. 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/21 Tue

酷日本

Tanar 5cmF1.5
ゴールデンウィークは遠く過去のこととなってしまい、拙ブログも今週は近隣の散策から作例を出すことにいたします。
昨日の日曜日に半日の時間をとって明治神宮に行ってみることにしました。
明治神宮には訪れたことがなく、ずっといつかはと思っていてなかなかその機会がなく、今回もまた鎌倉にしようと考えていたところ、直前になって初めて鎌倉も明治神宮も自宅からの所要時間が変らないなと気付き出掛けてみることにしたのです。
小田急の定期が有効なので、表参道から行けば交通費がゼロというのも好いです。

ただ、表参道から行くとかなりの距離を歩くのですね。
一直線で本殿を目指せばたいしたことはないのかも知れませんが、武道場や宝物殿の方をまわって行くとかなりの距離を歩いて、明治神宮の広さを体感させてもらいました。
新宿の隣に御苑以外にもこんな広いところがあったとは、歩いてみて初めて気付くことはあるものです。

歩いているのは林の中で、車の音すら聞こえてきません。
立ち止まって耳をすませば騒音に気付くのかも知れませんが、それにしても都会の真ん中でこの静寂はすばらしいと思いました。
五月晴れの好天でしたが、木陰を歩くので半袖シャツで爽やかな気分を味わえます。
中国ではPM2.5の影響で依然空気の悪い日が多いと聞くので、こんなことにも中国ではなく日本に生まれ育ったことに感謝の気持ちすら湧いてくるものです。

考えることはそんな程度で、リラックスしながら歩いていくとようやく本殿が近づいてきました。
結婚式が行われていたようで、花嫁さんがロンドンタクシーのような黒い車に乗り込もうとしていました。
ありには外国人がたくさんいて、着物だけでも珍しいのに、花嫁衣装の女性がしずしずと車に向かって歩いているものですから、みな一心に目で追っています。
そういえば、昨年12月に友人ダヴィドが来日したおりには、新宿御苑や六本木ヒルズには行ったようでしたが、明治神宮に行くよう勧めるべきだったですね。
日本の伝統的結婚式はぜひ見させたかったと少々後悔しています。

花嫁さんの髪型は文金高島田というのでしょうか、いま念入りにかたちを整えています。
そしてよく見たら、車も文金高島田仕様なのでしょう、ルーフがドアの幅に合わせて上に跳ね上がっているではないですか。
むかしガルウィングという形状のドアの開き方をするスーパーカーがありましたが、この車もそんなところからヒントを得たのでしょうか。

万一髪をぶつけてしまったら問題ですし、腰をかがめるなり頭を下げるなりすれば大丈夫なのでしょうけれど、それだときっと花嫁の所作として美しくないということなのでしょう。
一生一度の晴れ舞台ですから、美を優先こそすれ、車の方を加工してしまった方が好いと判断されたということですね。
推定30人ほどいた外国人はみな思ったことでしょう。
日本車のテクノロジーがすごいことは知っていたが、花嫁用のこんな車があったとは、日本はなんてクールなんだ
と。
【X-E1/Tanar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tanaka Kogaku TanarH.C. 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/20 Mon

多謝多謝

Sonnar 5cmF1.5
先にゾナー5cmF1.5にも問題があってということを書きましたが、それはレンズの偏心です。
横位置で撮った場合、上が手前に下が奥にずれて写ってしまうため、不自然な絵を連発してしまいました。
今日の作例はその典型例です。
ピントは左の少女に合わせましたが、正面の黄色い建物の上部にもピントが合ってしまっています。
一方で黄色い建物の下方にいる子供たちは、はるか遠方にいるかのようにボケています。

左の女の子は建物の段の上に乗っているので、向かいにいる地面に立った少年より高い位置にいて両者の大きさがデフォルメされたように見えます。
後方右の男性はやはり段の上に乗っいる上にすらりとしていて、左側のふたたりの少年との大小のバランスがおかしく見えてしまいます。
また、無彩色の中に赤、青、黄を乗せた非現実的なカラー世界のように目に映らないでしょうか。
全体に、騙し絵のような、4枚の写真のパッチワークのような不自然さに、気分が悪くなってくるような気さえしてきます。

昨日の作例や林坑での作例では木の緑が流れまくっていた今回使ったイチゴのゾナーはつい先日手に入れた謎のライカマウントレンズです。
通常、ライカマウントのゾナーはアルミの鏡胴ですが、このレンズは真鍮にニッケルメッキが施されています。
にもかかわらず、レンズの製造番号は240万番台で、1930年代初期ではなく第二次大戦中の製造のようです。
鏡胴は絞り表示部分が傘のように張ったキノコタイプのデザインになっているのがたいへんユニークです。
(同じロットと思われるレンズが大阪のカメラ店で販売されていてその特徴ある鏡胴を見ることができます)

戦中ゾナーですのでレンズ銘板部分には赤いTマークが付いているのですが、どうしたわけかレンズにはコーティングがありません。
その理由はよく分かりませんが、偏心があるということでいえばあまりそうは考えたくないですが、戦前の別のレンズのエレメントを無理やり押し込んだということかも知れません。

このレンズがオリジナルのツァイス製ライカマウントレンズということであれば、かなりの珍品ということになります。
しかし、1941年製造を示す製造番号にニッケルの鏡胴というのはあまりに不自然です。
ただ、他に類例のない鏡胴デザインがなされているということは、戦中に連合国側が製造していたライカコピー機のためにコンタックスマウントのイチゴゾナーの鏡胴を作り直したレンズということになるのでしょうか。
あるいは戦後のイタリア製ライカコピーでF2のゾナーが使われていたものがあったようですので、さらに明るいレンズを求めて少数だけイチゴゾナーを転用したのか…。

ドイツレンズを安く買う裏ワザを考えて、このレンズも比較的安く入手することができました。
安く買ったと思っても、今回のように修理が必要となればかえって高くついてしまうかも知れませんが。
金欠も甚だしくてレンズ購入を控えることにしているのに、5.8cmF1.5とか6cmF1.5とか謎のニッケル鏡胴とか、怪しげなゾナーを見ると欲しくなってしまうというのはゾナー病が進行してきたということのようですね。

さて、ここ鶴盛は周辺ではいちばん大きな村ということもあって、伝統的な木造の家はわずかにあるばかりですし、石垣の塀に至っては通行の邪魔になると考えられたのか、すっかり取り払われてしまっているようでした。
ちょっとがっかりしながらその数少ない古建築で写真を撮っていると、青年から声をかけられました。
親切な青年で、わたしを日本人だと知ると村のことを説明してくれたり、古建築ばかりの古い村があると教えてくれたり、まるで彼は優秀なガイドのようでした。
そこで、むその古建築の村まで車をチャーターして行ってみると、そこは林坑そっくりの観光客がどっと押し寄せて食事しする村だったのでそこはがっかりさせられました。

帰りの駅に着いてから無事着いたことを知らせる電話をして、観光のための村であそこは好きになれないと言ったところ、持つと奥まで行けば開発されていない村がある、だからまた来ればいい、案内してあげるよと言ってくれます。
再訪したくなるような言葉でした。
彼の名前は、逢渓村の親切な老人と同じ謝クンでしたので、このあたりには謝という名字が多いのかも知れませんし、もしかしたら親戚なのかななどと想像しました。
そういえば、会話をしていて親しくなったきっかけが彼の質問で、またしても、温州から来たのか、と聞かれたことでした。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/19 Sun

謝謝謝老師

Sonnar 5cmF1.5
東臬から逢渓へは川と小麦畑の間の道を歩いて、言われた通りの20分で到着しました。
村の入り口から石垣と古建築が見られましたので、こちらの方が古村落としての保存状態は良いようです。
村としての規模はそう変わらないと思われるのですが、こちらの方が山寄りにあるので自然との一体感もあって古村落としての好感度は高いと直感的に思いました。
新しい建物もかなり経っているのは分かりましたが、それでも逢渓村は訪れた甲斐のあるところだと感じて報われた気持ちです。

古民家の写真を撮ろうとかなり大胆に庭の中に入っていくと老人に声をかけられました。
侵入者として咎められるかと一瞬冷や汗を流しましたが、そうではなく、古建築を見学に来たわたしを歓迎してくれていたのでした。
東臬から歩いてきたのか、それは疲れたでしょうと部屋から椅子を出してきて庭に座るように勧めてくれます。
やはり200年くらいは歴史があるだろうと思ったその家は、75年前に建てられたそうで、村の中では新しい建物に属するとのことです。
生まれて間もなくこの家が建って、幼心の記憶としてそのことを覚えていたので、竣工の年が正確にわかるのだそうです。

いちばん古い家は恐らく250年くらい前に建てられていると伝承されているらしいのですが、記録がないのではっきりしたことは分かりません。
本当であれば、75年前というのはずいぶんと新しく感じますが、細部の作りなどは別として、木や瓦の外観の年季の入り具合は両者でほとんど見分けがつかないほどです。
ただ、それが最も新しい木造の家だということであれば、ここには同じ家を建てることはもはやできないでしょう。

老人は謝さんと名乗り、やはり恩讐から来たのかねと聞かれますが、日本だというとここでも腰を抜かさんばかりに驚かれてしまいました。
翌日、杭州でタクシーに乗ったとき、運転手にあなたは福建の人かと聞かれましたが、理由をたずねるとわたしのつたない中国語は福建省の訛りのように聞こえるということでした。
温州は福建省と隣接しているので、ここで温州から来たのかと聞かれたのと関係あるのかも知れません。

そんなに遠くから来たのならぜひもっと古い建築を見て行ってもらいたいと、謝さんが案内をかってでると言ってくれました。
背中がぴんとしているので気づきませんでしたが、75年前の家よりも先に生まれていたのですかと愚かな質問をすると79歳だと笑っていました。
中国には不摂生が原因か農村の過酷な労働によるものなのか、実際の年齢より老けた人がほとんどですが、それにしても来年80歳ときいて、今度はわたしがびっくりする番でした。

謝さんは自分が木の家とともに育ったこともあってか、古建築に対してたいへんな誇りを持っていることが分かりました。
プロの観光ガイドは知識も高く話術にもよほど長けているのでしょうが、自分が80年近くも過ごしてきた村と家々に対する並大抵ではない愛情は、言葉が理解できないところがあっても十分に伝わり本物だと感心させられます。
住民がすべてこのような気持ちをもっていれば、村もずっとこの状態が保たれるのでしょうが、東臬同様未来は厳しいと言わざるを得ません。

推定築250年という村でいちばん古い家を案内してくれた時、そこに住んでいる中年婦人が、せっかく遠くからここまで我が家を見に来てくれたのだからとお昼にどうぞと麺をつくってくれました。
土地の索麺でしたが、小エビで出汁をとった地元のスープは今まで味わったことのない不思議なコクを出していました。
とてもやさしい女性で、鶴盛まで歩いたらたいへんと村の三輪タクシーを呼んでくれ、村民料金の8元で行くように指示してくれました。

村によってはいろいろな事情があると思いますが、古民家がたくさん残っていて誇りに思う住人のいるところは、一介の旅人でもそれを感じることができるものです。
旅も終盤になって好い村との出合いがあったことに感謝するばかりでした。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/18 Sat

老人家与孫子

Sonnar 85mmF2
ここでバスを降りたのは正解だったようです。
飛び石を渡りきったところの建物と建物の間に木の門のようなものがあり、自然とそこを通らなくてはとの気持ちになるのですが、それからさらに少しばかり歩くと石垣と木の古建築がさっそく見えてきました。
道もアスファルトではなくしつかりとした石畳で、楠渓江近辺の典型的な古村落ということのようです。
楠渓江まで古村落を見る来るという人はけっして多くはないのかなと思いますが、数少ない古鎮ファンが楠渓江にやってきても芙蓉村、麗水街、蒼坡村と隣接する3つの古村落をセットで見てしまえば概ね十分で、わざわざ鶴盛まで足を延ばす人はほとんどいないということのようです。

訪れる人がなく生活に不便な古い家は、残念ですが住み人を失って朽ちていくか新しい家に建て替えられる運命が待っているようです。
恐らく20年前かせめて10年前に来ていれば、素朴で美しい村だったはずですが、今は新しい建築の間に古建築の一角があるという寂しいことになってしまっていました。

作例は、そんな村人たちの生活する様子の一端といえるものです。
農業しかない小さな村では、若者は職を求めて都会に出てしまいます。
この老人の息子夫婦であり、子供たちの両親である若い夫婦は温州に働きに行っています。
恐らく、彼らのためにと必死になって、夫婦は最低限の生活をしながら金を貯めようとしているでしょう。
娘たちにとって本当に必要なのはそのお金なのか、両親の愛情に見守られながら成長することなのか、わたしにはよく分からないですが。

しかし、仕事が順調でだいぶ金が貯まったからとその使い道になるのは、新しい家に建て替えることかも知れません。
両親の世代は自分たちが育ってきた伝統の木造家屋に愛着と誇りを感じているようですが、自分たちは周りが家を新築するのを指をくわえて見てきました。
中国全体が経済発展でどんどん新しくなっていく中で、自分たちだけが粗末な木の家に住み続けるなんて御免です。
そう考えて200年前の文化遺産のような家をあっさり壊そうとしても、誰にもそれを止める手立てはないでしょう。
老人が亡くなりこの子たちも嫁いでしまうであろう20年後には、残念ながらもうこの家は残っていない可能性が高いだろうと考えざるを得ません。

老人に温州から来たのかと問われ、日本からだと答えると腰を抜かさんばかりに驚いていたのが印象的でした。
言うまでもなく外国からここへ来る人なんてほぼ皆無なのは承知していましたが、車で1時間少々の温州から村を見学に来る人はゼロではないようです。
もうちょっと景色が良かったり温泉が出るとかということであれば、東洋のユダヤ人である温州のお金持ちが古民家を買い取って別荘にして保存するという手もあるかも知れないと思いました。

この村は、東臬(このような字に見えましたが実際は違うかも知れません)というそうで、20分ほど歩けばもうひとつ逢渓という古村落があり、そこからさらに30分で鶴盛の村に着けるということでした。
最初に考えていたとおり、途中の村を眺めながら鶴盛まで歩いてみることにしましょう。
【X-E1/Sonnar 85mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 85mmF2(W.Germany) | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/17 Fri

村境橋

Sonnar 85mmF2
昨日と話が前後してしまいますが、夜になってほとんどの観光客が立ち去った林坑は静寂に包まれて、願ってもないほどに熟睡できました。
林坑から岩頭に戻るバスは1日2本しかないと聞き、時間を尋ねると6時50分と11時と言います。
岩頭から1時間半かかる永嘉駅5時発の高速鉄道の切符を買ってあったので、11時のバスだと岩頭でお昼を食べて2時間ほど散策して終了ということになりそうです。
それはそれでのんびりてきてよいのですが、貧乏性のわたしはさらにもう2~3箇所をめぐるべく、5時半起きして6時50分のバスに乗り込みました。

1時間ほどで岩頭に戻ってきますが、手前の蒼坡村で降ろしてもらい、この村にある古建築を見て歩きました。
入場料が必要な蒼坡村ですが、前日岩頭村の麗水街で購入済です。
チケットを握りしめて村に向かったのですが、さすがに8時前とあってゲートは無人状態でがっかりです。
もっとがつかりだったのは村に朝食を摂れるところがなかったことで、地元の人に聞くとはずれに食事できるところがあるけどまだオープンしてないだろうから、門をどんどん叩いて開けてもらって麺でも作ってもらうといいとアドバイスをもらいました。
行ってみるとずいぶんと立派なレストランで、こんなところで時間外の麺をつくれと言う勇気はなく、すごすご退散するばかりでした。

結局、蒼坡村を早々に切り上げて岩頭に戻り麺をすすることにしました。
先日お話しした索麺はすでに2回食べていたので、たまたま見かけた温州麺店というところに入ったのですが、深圳で食べている麺とも違いの分からない、中国ではどこでもある麺でした。
特徴なく少しがっかりですが、そういう平凡な麺でも美味しいのが中国の庶民の味です。

まだ余裕の10時前でしたので、岩頭から30分ほどだという鶴盛とその周辺の村を歩いてみることにしました。
昨日、林坑に向かうときに小さなバスターミナルに鶴盛行きのミニバスが停まっていたので、時間等を確認しておいたのです。
今も鶴盛行きバスは停まっていて、出発時間を聞くとすぐ出ると言います。
しかし座席に腰かけて15分ほど経っても出発しません。
そうかと、いつ出ると聞いてすぐと答えたバスのパターンがあることを思い出しました。
時間を気にしないローカルばかりが乗るミニバスは、空気を運んでも仕方ありませんから、満員にならないと出発しないのです。
それで、時間がはっきりしないし、分からないなどと答えて降りられても困るので、すぐ出ると必ず回答するということのようです。

まだ座席が半分も埋まっていないと思えば、客は来るときは一斉に来るものらしく、一気に10人くらいが乗り込んだら運転手は、よっしゃとばかりにバスのエンジンをかけたのでホッとしました。
しかし、この手のバスはそのあともちょっとした儀式をおこなうことがしばしばあります。
せっかく満員になったというのにバスターミナルから商店街が切れる500メートルほどの距離を、オレも乗せてくれえとばかりやってくる乗客を期待して、自転車以下の超低速で走らせたのです。
そして運転手の思惑通りおばあさんが年齢からは信じられないくらいのスピードで駆けてきてバスに乗り込んできました。
この運転手はちんたら走行で、鶴盛までのおひとり様50円也を見事に稼ぎ出したということになります。

さて、鶴盛では帰りの時間から逆算して約4時間半の滞在時間が与えられており、事前情報では中心の鶴盛村の周辺に4つの小さな古村落があるとのことです。
頭の中では鶴盛の手前の古村落のところで下車して村を眺めながら鶴盛に向かうかたちで2つ3つを見て歩ければいいかなとの計算でしたが、古村落の名前までは覚えていなかったのでバスをどこで降りるかが問題でした。
バスの車掌というか料金徴収のおばさんがいるので、鶴盛の手前で鶴盛まで歩けるくらいの距離にある古村落まで行きたいと説明したのですが、おばさんはきょとんとしてわたしがどこで降りたいのか理解できないと怖い顔をしています。

逆に終点の鶴盛まで行ってから歩いて古村落を目指せば同じことですが、それだと途中からバスに乗るので通りかかるバスはすでに満員になっているはずですし、いつ来るか分からないバスを路上で待つ不安感を考えるといやだなと思いました。
心配なのはバスが完全に満員だと乗れないからとそのまま通過してしまうことがあることでした。
わたしは深圳などでこれを何度も経験しています。
バスの頻度は20分から30分に1本は出ていそうですが、1本乗れずだと最大1時間バスを待つことになり、しかもそのバスに乗れるという保証がないのです。

バスは川沿いの道を順調に走り、途中の村落でひとりふたりと客を降ろしていきました。
時計を見た限りではあと5分も走ると鶴盛に着くだろうと思われたタイミングで、横に座っていた若いお母さんとちびっこの娘が降りますと言ってバスを停止させようとしました。
そのとき、目に飛び込んできたのが、作例の橋(?)です。
川幅はゆうに100メートルほどもあるというのに、ただ石を一定間隔で並べただけの飛び石(?)だけが見え、それが唯一の村への道のようです。

きっとあの先に古村落があるに違いないと信じ込んで、わたしも下車してみることにしました。
石の向こうには5階建てくらいの普通の建物が並んでいるのが見えていましたが、その背後にきっと村があるように思えたのです。
先に降りた母娘でしたが、バスの中で寝ていたのでしょう歩くのを嫌がる娘とそれをなだめすかししていたので、わたしの方が先に革を渡ってしまいました。
川は浅いので危険はありませんが、石の並びは大人の歩幅くらいで、女の子はここを歩いて渡るのが怖かったのかも知れません。
振り返ると、母親が娘を抱え上げながらこちらに向かって進んで来るのが見えました。む
【X-E1/Sonnar 85mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 85mmF2(W.Germany) | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/16 Thu

草苺的哥哥

Sonnar 85mmF2
関西のある個性派写真愛好家の方は自らの撮影手法をロボグラフィと名付け、そのスタイルを確立したブログを綴っています。
ロボグラフィと辞書を引いても出ていなかったので、ロボットのように自分の感情を消して正確に撮り進めることなのかと思っていたら、そうではなくて、路傍に人目につかずに存在する日陰者を撮る行為だと言われました。
人によっていろいろと解釈できる実に懐の深い言葉だと感心させられました。

そのロボグラフィから遅れること何年か、わたしはモノを撮ってもヘタクソでどうにもないないので、スナップの人物を撮ろうと決心しました。
ただ、今の世の中人物を撮るのは容易ではなく、ましてや顔がはっきり写ってしまうとブログに掲載するのはいろいろと問題になる時代でもあるので、後ろ向きとか点景とするとか別のものにピントを合わせたボケ像でごまかすとか、せっかく人物を撮る面白さを失うことになるばかりです。

そその欲求不満を晴らすのが中国での撮影で、彼の地でも人物撮影は必ずしも容易な訳ではないのですが、それを克服するために現地でボーッとしている人をこっそり撮るという手法を確立しました。
それをわたしはロボグラフィに対抗すべく、ボーットレイトと名付けてみたのですが、言葉の深みどころか面白くもなんともないのですっかり忘れ去っていました。
しかし、蒼坡村でボーッと1点を見つめる老婆を見つけて、久しぶりにこのつまらない言葉を思い出したという次第です。

さて、先にも書きましたが、今回の旅でメインで使用したのがこのゾナー85mmF2でした。
ビオゴン21mmF4.5、ゾナー5cmF1.5とツァイスレンズ3本という気合の籠ったラインアップで臨んだはずなのですが、いざ現地に着いてみるといずれもトラブルが発生してしまい、ゴロゴロとマウントが外れてしまうゾナー8.5cmF2が一応は無限遠から最短までピントが合ういちばんまともな状態だったことからメインレンズに格上げされたという経緯があります。

このゾナーは、戦前イエナのものとは違う、西ドイツ製コンタックス用の望遠レンズです。
戦前イエナにも85mmF2のゾナーはありますが構成が違っていて、戦前のものは3群5枚のテレゾナータイプだったのが、戦後西独型では3群7枚と50mmF1.5と同様の構成に転じています。
この3群7枚はコンパクトながらも高性能なイチゴのゾナーと同構成なのですから、写りが悪かろうはずはありません。
コーティングの効果もあって現代レンズに引けをとらない描写ですが、初出は1950年で最後のものも1950年代に出て、そのままコンタレックスの同スペックレンズに引き継がれています。

この3群7枚は、設計も戦後の西独だと思っていたのですが、戦前ないしは戦中のイエナにすでに登場していたようです。
ビオゴン35mmF2.8は、小型化した西独コンタックスへの装着の問題があったので東西でレンズ構成が異なっているのとは、事情が違うようです。
ゾナーでは、50mmF1.5、50mmF2、135mmF4の3種も東西で発売されていたレンズですが、レンズ構成はまったく同じと思われます。

しかし、ガラスや曲率を改善するなどの設計変更がまったく行われていないのかたいへん気になっています。
終戦時にロシアに接収されたツァイスの資料のうち、コンタックス用レンズのものが一部戻らず、設計しなおした可能性もあるのではと想像をたくましくしてもいます。
その調査のためには、両者のレンズを保有していないといけないと考え始めました。
イエナのものはビオター以外はだいたいそろっていますので、西独ものを手に入れようとしているのです。
今頃になって、ツァイスに関心を持ち始めるというのはあまりにも遅いですが、その分資料はいろいろとあるようで、それを探すのも楽しみですね。
【X-E1/Sonnar 85mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 85mmF2(W.Germany) | trackback(0) | comment(2) | 2013/05/15 Wed

岩坦索麺的故事

Sonnar 85mmF2
芙蓉村を散策してひとつ驚いたことがありました。
まだゴールデンウィークの最中だというのに、稲穂を干しているところがあったからです。
楠渓江近辺の気温はわたしが日本を出て来た時ととほとんど変わらないと感じましたし、冬場雪が少し降ることもあると言っていたので、気候的には東京とそうは違わないのだと思います。
それなのにもうコメがとれるのでしょうか。

ところが、林坑の翌朝訪れた蒼坡村へ向かう道すがらの借入風景を見て、稲ではなく小麦だということに気付きました。
麦ってこんなに早く収穫するのか不思議でしたが、大昔に何かで読んだ麦秋という言葉を思い出しました。
秋という言葉が入っているが、初夏を意味する季節のあいさつに使われていたと記憶しています。
やはり、小麦は初夏に収穫され、稲に見立てて麦秋という表現をするようです。
ただ、小麦は稲ほどには頭を垂れないようで、まるで稲が日本で小麦が中国だなと苦笑させてもらいました。

中国では、長江を境に北は小麦を南は米を主食にしています。
南に位置するこの地域で小麦畑が多くみられるのは理由があります。
このあたりでは、索麺という麺があってこの地方ではとてもよく食べられているのです。
饅頭や餃子も食べないではないので100%ではないのですが、小麦のほとんどは索麺の原料になっているようです。

ところで、長崎県の五島列島に五島うどんというたいへん美味しいうどんがあるそうです。
実は、この五島うどんのルーツは、楠渓江の村のひとつで、わたしが訪れた芙蓉村と林坑村の間にある岩坦で作られていた岩坦索麺であり、遣唐使によって伝えらたという説があるそうです。
遣唐使の時代ですので、日本の麺のルーツでもあるとも言われています。

ただ、この話はどうも眉唾です。
五島にも岩坦にも何も記録は残っておらず、岩坦以外にも楠渓江一帯どころか浙江省全体にも索麺はあるのに、どうやらNHKの調査で簡単に特定してしまったことが誤解のもとになっているようです。
こんなことになってしまった原因は、ひとつは日本と温州の深い結びつきがあるようですが、もうひとつは麺を木の枠に8の字にかけていく製法がそっくりだということがあるそうです。
ただ、索麺の索の字が木にかける製法を意味しているので、浙江省中で同様の作り方をすることもあって岩坦に結び付けることはできません。

索麺は、中国語の読み方でスゥオミェンですので、発音はほぼそうめんと同じと言えますので、五島うどんのみならず、日本のそうめんとのゆかりは間違いないようです。
実際、現地でいただいた索麺はそうめんのような細さと味でしたので、浙江のいずれかの索麺がそうめんの起源となったことは間違いなさそうです。
食べ方としては、ラーメンのような食べ方で、日本の夏のそうめんのようなつけ麺ではありませんでした。

以前関西を訪れたときにいただいた三輪素麺の方がずっとおいしかったというのがわたしの感想ですが、これについては芙蓉村の人の話で、一部の人がつくるもっと麺のうまい索麺もあると聞いたことを付記しておきます。
ただ、三輪素麺、揖保乃糸、五島うどんさらには讃岐うどんが日本では名物として君臨して実際に美味しいのに対して、浙江の索麺は名物と言うまでにはいたっていなくて、乾麺として各家庭で買い置いてあってお昼などにつくるインスタントラーメン的な位置づけにあるようにみえました。
そう知って少し残念に感じた反面、伝わって来た麺を発展させてより美味しいものにしてしまうという、日本ならではの好さを再認識もできて、誇らしい気持ちを感じたりもしたのでした。
【X-E1/Sonnar 85mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 85mmF2(W.Germany) | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/14 Tue

両個都拍牛

Sonnar 5cmF1.5
じっとしているのにも疲れたので、夕方、日が落ちる前に林坑をぐるっと歩いてみることにしました。
未だ観光客はかなりの数で、5時過ぎくらいには早くもそこここで宴会が始まっています。
石の道をはしゃぎまわる子供たちがいて、てっきり土地の子かと思い写真を何枚も撮っていると、宴会している両親のところに走っていったので、この子たちも観光で来ていたのかとがっかりしてしまいました。
この村には、レストランであくせく働いている人たち以外に地元の人はいないのではと文句のひとつも言いたくなってきます。

しかし、昼間気付かなかった村の外れ近くにこの一角だけ俗化していないいう空間があって、観光客でなくジモティおじいさんたちのコミュニティになっていました。
彼らの姿を見るだけでは、村にお金がいっぱい落ちて喜んでいるのか、変貌してしまったことを嘆いているのかは分かりません。
静かなままで豊かになれればいちばんいいとは思っているでしょう。

とは言え、ここに見た光景は、本来の林坑らしい姿をいちばんとらえているように思います。
林坑の作例は昨日と今日の2枚だけですので、普通に山間の鄙びた古村落にしか見えないかも知れません。
切り取り方次第で俗っぽい部分は隠すことができてしまうのですね。
実際に足を運んでみなければ分からないこと、見えないことというのは世の中にはいくらでもありますが、中国では往々にしてあって、最初に訪れた芙蓉村が期待以上だっただけにここでの失望もそれ以上でした。

それからまたしばらく散策を続けると、向うから牛を引きながら青年がやってきました。
山の中の村なので、作例のような石段が多くあり、彼らもゆっくりと一歩一歩進んできます。
続けて現れた美しい光景にカメラを構えました。
続けて撮るうちにファインダー越しに朴訥な青年のはにかんだ笑顔が見えたので、撮らせてもらったことの礼を言うきっかけになりました。

すると、息せき切らしておばさんが階段を上がってきました。
こんなところでなかなかハンサムな青年が牛を引いているというので、やはり写真を撮りに来た観光客のようです。
止まって止まってと少々強引に写真を撮って、嬉しそうに立ち去りました。

考えてみるに、このおばさんは観光客で、わたしそうではないと言えるのでしょうか。
青年からみれば、わたしがちょっとマナーがいいだけで両者には差はないはずです。
林坑にとっても、村にやってきて、食事して、宿泊して、写真を撮るわたしは観光客のひとりに過ぎません。
何をひとりかっかとしゃかりきになっていたのか、少し頭を冷やされた思いです。

実は、林坑では牛はもちろん、豚や鶏などの家畜は一切見ることなく、青年も村を通り超してさらに進んでいくのが不思議だったのですが、その理由は楠渓江を去るときになって分かりました。
永嘉駅に向かう白タクの運転手にわたしが林坑はつまらなかったと言うと、こう教えてくれました。
林坑はふたつあって、あなたが行ったのは有名なほうだが、もうひとつの方はちょっと離れた隣にあって、観光客が全然来ない美しい村だというのです。
情報を得るのがあまりに遅すぎでした。
また、次の機会をつくって行くべきだということでしょうか。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/13 Mon

温州商人

Sonnar 5cmF1.5
車が林坑に着いたとき、恐らくわたしの顔はかなり曇っていたのでしょう。何か文句でも言われると思ったのか運転手も少し不安顔です。
約束の150元をを手渡すとさっさと岩頭にとんぼ返りしてしまいました。
期待の林坑でしたが、素朴な山間の寒村ではなく、完全に観光地化した失望の村だったのです。
わたしが堕ちた古鎮と呼ぶ典型でした。
古建築がざっと30棟ほどの小さな古村落に、その数倍の車が停まり、本来水流の音のみが響く静かな渓谷の村がどこかの駅前のような賑やかさでした。

昨夜、温州から芙蓉村まで乗ったタクシーの運転手が、温州は中国一外車が多い町だとすれ違う車を指さしながら教えてくれました。
温州の人間はみんな商売がうまいからと笑っていました。
温州商人という言葉もあって、彼らは東洋のユダヤ人とも称されます。
そんな彼らが愛車を駆って週末遊びに来るのに絶好の位置にあるのが、ここ林坑というところなのでしょう。

わたしもさっさと引き揚げたい気持ちになりますが、聞けば、ほとんどの客は夕方には帰ってしまうので、夜はとても静かだよということでそれまで我慢することにしました。
作例写真からはまったく伝わらないと思いますが、木造瓦屋根の古民家のほぼすべてがレストラン兼民宿をやっていて、もちろん食事や寝場所に困らないありがたさはありますが、そんな状況には古民家ランドという遊園地に来てしまったかのような違和感を感じます。

見晴らしの良いベランダ部分でみな食事をして、終わればそこがそのまま麻雀卓に変身します。
確かに夕方には多くが撤収していきましたが、午後にやって来たと思しきグループたちはここで夕食をとって帰るので、賑わいは8時ころまで続きました。
訪れたのは土曜日でしたが、平日であればまた印象はずいぶん違っていたでしょう。
しかし、また行きたいかと問われれば、残念ながらもう結構と言わざるを得ません。

宿はそれこそより取り見取りでしたが、見晴らしが楽しめるだろうと上り詰めたいちばん高いところにある古民家は、前の家の屋根が邪魔して意外にも期待外れでした。
隣の部屋が若いカップルなので、きっと夜の営みの声が薄い古民家の壁を筒抜けになるだろうことも考えて、必死に引き止める主人を制して下の方の宿に向かいました。
結局、作例の真ん中の建物のトイレ、シャワー共同の部屋に言い値100元から20元引いてもらって泊まりました。

この宿のベランダでまどろんでいたかっのですが、周りが騒々しいので、向かいの宿にいってビールをもらいのんびりさせてもらいました。
こちらは商売熱心でWi-Fiまで完備されていたので、ビールの好いで半睡状態になりながら、レンズ仲間のサイトなどを覗いて過ごします。
さすがに連休中なのでみんな更新されておらず、ブログ関係は政府の規制によるものでしょう接続することができません。

文庫本でも持ってくればよかったかなと少し後悔したものの、シンガポールや香港、台湾の客はよく来るが日本人は珍しいと女主人が話相手になってくれて退屈はしませんでした。
林坑の開発は2002年に始まったとのことで、そのとき率先して家を改築したりPRしたりしたのが自分なのだと彼女は誇らしげです。
わたしは、そんなことしてくれるなと恨みごとを言いかけて止めました。
相手は東洋のユダヤ人、とてもわたしなどが太刀打ちできる相手ではありません。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/12 Sun

公交車只有一次

Sonnar 5cmF1.5
芙蓉村は過去に見たどの村とも違う面白いところでしたが、旅の最大の楽しみは実は別の村にありました。
林坑という山里の村で、芙蓉からは30キロくらい離れていてバスで1時間かかるようです。
この日の夜は、林坑に泊まるべく芙蓉を後にすることにしました。

小型のスーツケースは邪魔になると思い、宿のおかみさんに頼んで翌日まで預かってもらいました。
喜んで引き受けてもらえたのは、この宿が100元と法外に高かったからかも知れません。
民家の1室にベッドとテレビを入れただけの民泊のような宿は普通はとても安くて50元くらいから泊まれるはずです。
わたしも100元と聞いて驚きましたが、深夜11時着で迷惑をかけたのでそのまま支払ってしまいました。
おかみさんも恐縮してか、もとから含まれていたのかは分かりませんが、朝、お腹がすいたというと麺をつくってくれて、別途料金を取ることはしませんでした。

おかみさんによれば林坑行きのバスは1時に出るとのことです。
まだ2時間近くあるので、隣町の岩頭にある有名な麗水街を訪ねてみることにしました。
バスか三輪タクシーのような乗り物があるのですが、芙蓉村から町は見えていて、歩くとたった10分で到着します。
麗水街も町に入ってすぐに見つかりましたが、ここでは入場券を買わないといけないようです。
40元と大きく書かれていて高いのでやめようかと思ったのですが、では1時までどこで時間をつぶすかも分からないので、なくなくチケットを買うことにしました。

すると20元でいいと言うではないですか。
よく見ると売り場に中国のゴールデンウィークである五一休暇期間中は入場料半額と小さな字で書かれていました。
繁忙期に料金が倍というのは中国では普通にありますが、何を考えてのことなのか半額なんて長く中国を旅していて初めての経験です。
しかも、このチケットは芙蓉村と蒼坡村の近隣2村にも入場できると書いてあります。
芙蓉村には深夜に着いたので気づきませんでしたが、日中に出入りする場合やはり40元のチケットを買わなければいけなかったようです。

麗水街は、小川に沿って150メートルくらいの木の屋根が連なった昔のアーケード街のようになっていますが、建物に風情がなく、期待したほどには面白いところではありませんでした。
徒歩5分くらいのちっぽけなバスターミナルに行って、林坑行きのバスを待つことにします。
ところが、ここで聞くとそんなバスはないと言われました。
ここの人がウソをついているのか、おかみさんの勘違いだったのか、あるいは別の場所からバスが出ているのか、答えは分かりませんでしたが、やはり1時になってもバスは現れず、別の手段で林坑を目指さなければなりません。

こんな田舎ではタクシーは存在しません。
白タクを探さないといけないのですが、さすがにバスターミナル前なのでそれはすぐに見つかりました。
林坑まで30キロなら100元くらいで行ってくれるのではと思っていたのですが、200元だと言って値下げに応じません。
どうやら岩頭から林坑は200元のFIX料金ということらしいのですが、やはり高すぎると思い断って歩き出すと、そのやり取りを聞いていたのか別の親父が登場して、オレが150元で行ってやるとプッシュしてきました。
それでも高いので断ったのですが、他に白タクらしき人が見つかりません。
150元親父に交渉しましたが、びた一文負けないばかりか、オレの車は新車だとかいろいろ言いくるめられて150元を飲まされてしまいました。

そのままではちょっと悔しかったので、林坑を調べていた時に時間があれば寄るべしと書かれていた与(実際の字は山へんに与です)北という村に立ち寄ってもらいました。
作例はその時のものですが、この村は芙蓉村をスケールダウンしたようなところですが、自然はより豊富で何よりこの運転手自体が初めて来たというくらい外から訪れる人の少ない村なのがナチュラル感が感じられてよかったです。
バスで向かえば10元程度で行けた林坑ですが、150元かかっていることを考えると、この村に140元分の価値を見出さないわけにはいかなかったのです。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/11 Sat

大概二百年前的

Sonnar 85mmF2
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芙蓉村に向かうタクシーの運転手の話ですと、楠渓江の水はたいへんきれいで、そのまま飲むことができるくらいだとのことでした。
また、野生の動物がたいへん多く、いろんな動物を見ることができるだろうとも言っていました。
しかし、運転手の話が本当だとしても、それらは今回旅したあたりから相当に奥地まで入っていかなければならないだろうとすぐに気づきます。
川の水はきれいではありませんでしたし、野生動物が見られるような自然は見渡した限り近隣にはないようでした。

白タクの運転手からパンフレットをもらい、郊外に有名な自然公園のようなところが3つあることを知りました。
石桅岩景区、石門台景区、龍湾譚国家森林公園とそれぞれ立派な名前があって、清流や奇岩、瀑布、吊り橋、キャンプ、野生の猿などの写真が踊っています。
白タクは盛んにひとつでも行けと勧めますが、わたしにとってこれらは写真で見ることができれば十分です。
やはりこの地域のもうひとつの特徴といえる、古村落を見て歩くことに専念したいと思いました。

あらためて古村落の特徴をあげていくと、民家は木の家で瓦屋根の2階建てで高い石垣に囲まれており、その石垣と隣家の石垣の間は幅の狭い道ですべてが石畳になっています。
お金持ちだったと思われる家は四合院形式の中庭のあるタイプもありましたが、一般的には建物がコの字型になっていて、各辺に一世帯が住んでいるというパターンが多くみられました。
どのくらい古い家か聞いたところ、200年以上前から80年前などの答えが返ってきましたが、全体に言えば150年以上経過しているものがほとんどのようです。

建築様式の知識がないので専門家から違うと言われるかも知れませんが、このような古民家はこれまで多くの地域で見てきました。
むしろ特徴的なのは石垣の方ではないかと思います。
村自体が岩頭鎮という地域に属していてその名前から、岩が豊富で地元の木材と岩を利用して村を形成していった様子が想像されます。
中国の小さな村の多くはもともとひとつかふたつみっつの大家族から形成された親戚ばかりの村のため各戸がオープンなケースがほとんどなので、排他的とも思える石垣の塀には圧倒されるものを感じました。

しかし、あらためて現地での写真を見ると、古民家そのものや石垣そのものが写しているものはありますが、両者が同時に写っているものがないという事実に気付きます。
期待のビオゴンが不発だったことに加え、石垣が高すぎて全体を撮るのが困難だったことが原因でしょう。
それよりなにより、わたし自身が子供たちやじいちゃんばあちゃんぱかり撮っていて、村の様子を記録しようという意思が希薄なのが最大の問題なのですが。

そこで今日の作例は、子供は勉強に集中して顔を上げてくれず、左のお母さんは編み物か何かでそっぽを向いてしまっていて、ボツにしたピンぼけ写真を復活させることにしました。
何か理由があって石垣が上半分削り取られているような状態だったため、カメラの販促用カットモデルのように、石垣塀越しに古民家を見られる唯一の写真だったからです。
撮影位置が広場のようになっていたので、このようにだいぶ距離を置いて85mmレンズで撮影できた幸運な1枚でもありました。
【X-E1/Sonnar 85mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 85mmF2(W.Germany) | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/10 Fri

喝着走露

Sonnar 85mmF2
今回は、レンズで大失敗してしまいました。
いつものように、広角、標準、望遠と3本のレンズを持参していたのですが、信じがたいことにその3本すべてに致命的と言える問題があることが、現地で使用してから分かったのです。
いつもいい加減な準備で旅をして忘れ物することはしばしばで、10年ほど前にはソウルを旅した時、旅行鞄を持っていくのを忘れたことがありました。
愛用していたM6やパスポートが入った小さなカメラバッグだけしか持たずに来てしまったことに成田で気付きましたが後の祭りで、この時は3日間でしたから現地で下着を調達するなどして特に問題なくそのまま旅を続けられました。

こんな調子ですから、カメラのバッテリーを忘れた、充電器を忘れた、携帯を忘れた、など小さなミスの経験に事欠きません。
実は、先月の中国ではカメラにSDカードが入っていなくて、たまたま見つけたスーパーで現地調達していたくらいです。
幸いこれまでに、パスポート、財布、カメラとレンズの3つだけは忘れたことはなく、それだけは自慢できるかと自負していました。
しかし、今回は買ったばかりのレンズ、しばらく使っていなかったアダプターの動作確認をせずのぶっつけ本番で、大失態を演じることになります。

まず、初日の紹興酒の写真を撮った21mmのビオゴンですが、ピントが2~3メートルくらいまでしかこない状態でした。
これはビオゴン購入時に付いていた非連動のコンタックス・ライカ・アダプターが何とも怪しいものだったので高さがややオーバーで無限遠が来ないのかも知れません。
芙蓉村のように石垣と古民家の組み合わせでは広角が活躍するはずでしたので、これは大いにがっかりでした。

標準レンズの問題については、今後、作例を何枚か出しますので、そのときにお話しさせていただくことにします。
望遠のこのゾナーもこちらは距離計連動タイプのコンタックス・ライカ・アダプターを介して付けているのですが、とんでもない問題があって、ずっと悩まされることになりました。
それは、このアダプターがどうももうひとつ付けているライカ・X-E1・アダプターと相性が悪かったようで、うまくロックされないのです。
ピント合わせにレンズを右に回そうとするとヘリコイドとともにロックされていないレンズ全体が回転してしまい、30°くらいも回すとポロッとはずれてしまうのです。

レンズマウント部分を左手の小指と薬指でカメラに固定しつつ、残りの3本の指を使ってフォーカスリングを回すという器用な技を使わなければならない状態です。
何かの拍子にレンズが外れて落ちてしまうかも知れず、常にそれを意識していなければいけないのも面倒でした。
それでも、まだ、持参した他の2本より状況はずっとよく、何よりこのレンズの性能が素晴らしいことに気付いて、85mmF2ゾナーはほとんど旅のメインレンズとして活躍してくれました。

明るい中望遠レンズは使っていて楽しく、そういうときにはいろんな被写体が飛び込んでくるものです。
その時も、おしゃれな服を着た女の子が、ペットボトルのジュースを飲みながら歩いてくるではありませんか。
カメラを向けると、普通は飲むのを止めてなに撮ってんだよと睨まれるか逃げられるかしそうなものですが、彼女は平然とこちらに向かって歩いてきました。
あるいは、わたしのレンズ扱いがぎこちなかったので、あれではわたしを撮ることはできまいと高をくくっていたのかも知れません。
彼女は、将来、大酒呑みになりそうな顔に見えないでしょうか。
【X-E1/Sonnar 85mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 85mmF2(W.Germany) | trackback(0) | comment(2) | 2013/05/09 Thu

路程到古村落

Sonnar 85mmF2
広い中国もここ数年の高速鉄道の開通で徐々に狭くなってきた感があります。
温州市にある楠渓江もその恩恵に預かっていて、停車する列車は少ないものの比較的近い永嘉駅があり、幸運なことに帰路はこのあたりから客を乗せて来た白タクが、帰りみちなので半額でいいとわたしを駅まで運んでもらい、たいへんスムーズに杭州まで戻れました。

しかし、広い以上に人口が多いということを忘れると痛い目にあいます。
杭州空港からまず紹興に立ち寄ったのは、紹興を短時間観光してから紹興駅に行って5時台の高速鉄道に乗り9時前に温州南駅に到着するという計画だったわけですが、空港リムジンバスが紹興駅に着いてすぐに切符を買いに走ったもののすでにその日の温州方面行の切符は売り切れだと断られてしまいました。
短時間の旅でその日のうちに着けないというのは、絶望的な失敗です。
いちおう翌日いちばんの切符はあるとのことでしたが、これだと温州到着が10時過ぎてしまい、楠渓江に着くのは午後になってしまうでしょう。

大きく落胆して紹興に1泊するしかないと駅に荷物を預けて歩き出そうとすると、長途汽車售票処という小さな窓口が目につきました。
駅にあって汽車とは分かりにくいですが中国語の汽車はご存じのとおり自動車のことで、この場合は長距離バスの切符売り場の意味です。
聞けば、17時50分初の温州行きがあって、座席に余裕があると言います。
どのくらいかかるかと聞くと4時間とのことで、だったら高速鉄道とそれほど変わりません。
これはラッキーとバスで行くことに決め、同時に5時までの約2時間を紹興観光に費やせることも決まりました。

温州へ向かうバスの中から、あらかじめ調べておいた芙蓉村にある古建築の民宿にその夜の予約の電話を入れました。
いまどこかと聞かれたので、まだ紹興を出たところでバスで温州に向かっていると説明すると、それなら○×という高速出口でバスを降ろしてもらえば村から近いので迎えに行くよとも言ってもらいます。
まさに災い転じて福、でした。

ところが、まだまだそう簡単にはものごとは運んでくれません。
いつもの広東では普通にやってくれる高速道路の途中下車を運転手は認めないの一点張りでどうにもなりません。
周囲の乗客からも、今日は温州市内に泊まって明日朝行った方が楽ですよと進められる始末です。
もう宿を予約してしまったのでと言うと、温州ではもうタクシーで行くしかないが、交渉をしてあげようと買って出てくれた青年がいます。
タクシーの運転手も最初は400元と言っていましたが、交渉のうまい青年の力もあってか280元で行ってもらえることになりました。
バスが高速出口付近でわたしを降ろせば、まったく不要な出費ですが、温州のバスターミナルから芙蓉までは、いま来た高速を戻って50キロ以上もあることを考えれば、物価の安い中国でもかなり安いと言えると思います。

タクシーの運転手と話していて分かったのですが、夜の10時過ぎで帰りはそのまま戻らなければいけないことを考えれば、400元でも安いくらいだそうです。
しかし、この人自体が温州市内と芙蓉の中間くらいのところに住んでいるため、芙蓉からの帰りはそれほど負担でないことから思いきって安くしたそうです。
また、外国人を乗せたのは初めてだそうで、ご機嫌で地元のことをいろいろと教えてくれたのは真っ暗で長い道のりを退屈せずに済み助かりました。
結局、楠渓江までの道のりは落胆したら喜んだりの繰り返しでしたが、総じて言えばそれほど悪いものではなかったようです。

さて、今日の作例は、お姉さんの不思議な仕事ぶり、です。
棒の先に計測器のようなものを括り付けて、各戸の電気メーターにあてがってはチェックするを繰り返していましたので、浙江電力(という会社があるかは知りませんが)の職員の方なのでしょう。
同時に料金徴収はしていなかったので、中国でも振込みなのかなあ、1か月どのくらいかかるのかなあと気になりました。
彼女にくっついて行けば村のすべての古建築をくまなく見ることができるかとも考えましたが、さすがにそれは実行しませんでした。
【X-E1/Sonnar 85mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 85mmF2(W.Germany) | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/08 Wed

浙江的古村落

Sonnar 85mmF2
杭州から紹興を経て向かったのは同じ浙江省の楠渓江というエリアです。
楠渓江というのは温州市の北東部を流れる川で、清流として知られまた周辺の景観ともあいまって、自然を楽しめる地域として人気があるようです。
もうひとつは、このエリアには古村落があちこちに点在していて、独特の木の家を見ることができます。
もちろん、わたしの目的は自然ではなく古村落の方ですが、自然豊かなところなので景観の好いところに位置している村もあるようで、双方を楽しむことができるかも知れません。

候補地は他にもいくつかありました。
浙江省は古い町の多い省で、杭州から向かえる古鎮は非常に多いのです。
誰しも考えるのが江南水郷ですが、すでに有名どころはいくつか訪れていて新鮮味がないこと、せっかく4日間の滞在なのでなかなかいけないようなところまで足を延ばそうと考えてすぐ却下となりました。
かなり前から行きたいと考えていた安徽省の黄山付近の古村落群はかなり慎重に検討しました。
杭州から直通バスがあることを知っていたので具体的なスケジュールまで立ててみたりしたのですが、いかんせんバスが満席だったら距離が離れているだけにすべてが瓦解してしまいリスクが大きすぎます。

金華ハムで有名な金華周辺や海沿いの寧波周辺にも古鎮が集中しています。
特に前者には、諸葛孔明の子孫がつくって暮らしているという諸葛村はかなり魅力的なところです。
最終的にこの金華一帯と楠渓江でぎりぎりまで悩むことになります。
最終決断の理由は、食べ物にありました。
そのことについては、また別に記したいと思います。

今日の作例は、深夜に楠渓江に到着したので、その翌日早朝から散策を始めた芙蓉村での一コマです。
エリアの中心になる岩頭という町から1キロほどしか離れていない小さな村ですが、全体が古い建物ばかりで古鎮の風情を色濃く残しているすぱらしいところでした。
瓦屋根に木の建物が独立して建っているのですが、それらはみな石垣で囲われていて、木と石の織りなす美しさが際立っています。

道はどれも幅が狭いのですが、そのほとんどが石畳です。
石畳は美しい反面でちょっと歩きにくく、とくに走るのは危険なくらいです。
家の前や石垣沿いには作例のような長椅子タイプの腰掛がところどころあって、くつろいでいたりおしゃべりしていたりの場になっていました。
そこにいるのはほとんどが老人ですが、ここは高校生くらいに見える女の子がふたり、何やらひそひそ話をしています。
近くでレンズを向けたら逃げられてしまうかと思い、距離を置いてから井戸越しに撮影してみました。
真剣な表情で話し続ける彼女たちは、将来の進路について、あるいは恋愛について語り合っていたのでしょう、真正面から撮影しても気付く気配は無いかのようでした。
【X-E1/Sonnar 85mmF2 F2】
Zeiss Sonnar 85mmF2(W.Germany) | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/07 Tue

黄金週下半場

Biogon 2.1cmF4.5
ゴールデンウィーク後半の4連休は、大方の予想を裏切ることなく、またしても中国に行っていました。
わたしの立場から正確に言えば、中国に来ています、になります。
PC故障を期に、かなり無理をして軽量のウルトラブックを購入したので、せっかくの旅行の機会に持参して、このブログも現地の宿で入力しているからです。

重量が800グラムほどのPCなのですが、当然タブレットより重くて大きく、ライカ用レンズでその重さとなるとズマレックス相当くらいになるのではないかと思うのですが、意外なほどに重さとかかさばるという感覚がありません。
旅に持って行ってはいけないものの筆頭はと聞かれたら、重さや盗難の不安、時間が空いたときは液晶を見るより外に目を向けるべき等々の理由から、PCだと答えていたわたしでしたが、どうやら考えを改めるべき時が来たようです。
下準備をしてから旅するというのが苦手なわたしにとっては、PCに必要なことをメモ的に書き込んでおいて当地で見返すことができ、より情報が必要になったらWI-FIができるところで自由に調べごとができるというのはなんて便利なことだろうと遅まきながら気づいたのです。

このままではウルトラブック礼賛で終わってしまいそうですので、肝心の旅の行先のことに話題を転ずることにしましょう。
今回はいつもと違い、まずは飛行機で杭州の空港に降り立っています。
何もなければいつも通りに香港経由深圳からというパターンになっていたはずですが、今年はFCバルセロナのチャンピオンズリークの観戦に行きたいと思ってこの時期の日程がなかなか決められず、気付いたら香港行の航空券はノーマルに近い値段のものしか残っていなかったのです。

他のディストネーションも同様の状況で、このままでは4連休はどこへも行かずかと考え始めたころ、マイレッジの無料航空券でどこか行けないかと片っ端からチェックしていったところN社の杭州便のみが行きは空いていて帰りもキャンセル待ちに入れることができました。
こういうケースでは必ず搭乗しますのでとプッシュしてもらうとだいたい帰りも予約が入るということを経験的に知っていたので楽観視していたところ、思ったとおり数日後に帰りもOKになりましたとのメールが来たという展開になりました。

同社の中国便は本数が多いのですが、どうしたことか杭州便のみが上述のような状況で、たとえば杭州から電車で2時間とかからない上海はまったくダメでしたのでこの差はなんなんだろうと気になりました。
実際に搭乗してみると737-700というずいぶんと小さな航空機で、それも半分埋まっていない様子です。
乗客はざっと50人くらいで、半分は中国人というところでしょうか。
杭州は上海よりも観光にはよいところですし、杭州を起点とした郊外や少し離れた浙江省の町や村もすばらしいので、たいへんもったいないことだと思います。
また、どうでもよいですが、この機材は787のトラブルのためにあつらえたものなのか、映画は見ることができず、イヤホンジャックが違うために音楽もモノラルでしか聴けなかったのはサービスも中国レベルなのかと残念でした。

さて、今日の作例ですが、空港からまっすぐ向かった紹興での休息のひとこまです。
日程のことは後日触れさせていただきますが、どうしてもタイトスケジュールにならざるを得ない中で、半ば強引に紹興に短時間滞在して古い街並みをちらっと歩いて、有名な紹興酒をいただいたのでした。
誰もがそうするようにこれまた名物の茴香豆をつまみにしています。
場所も、紹興観光の定番中の定番、魯迅の「孔乙己」が通い詰めた咸亨酒店です。
その孔乙己の銅像が店頭に立っていて、いかにもな観光スポットですが、観光客が町にあふれている中で店はなぜかがらがらです。
豆と紹興酒で500円もするので、みんな写真を撮るだけで立ち去ってしまうからのようでした。
【X-E1/Biogon 21mmF4.5 F4.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Biogon 2.1cmF4.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/06 Mon

皮包的誘惑

Lerebours et Secretin 8.5cmF3.4
鎌倉散歩の最後には、いつものレザー&シルバー・クラフトの店に立ち寄りました。
以前にも書きましたが、X-E1のためのレザーストラップをオーダーしていて、それが完成したので取りに行ったのです。
ストラップのことを書いた時に、実は思わぬ展開になっていて、もうレザーストラップは不要ともいえる状況になり、まずはそのことを報告しなくてはいけなかったのですが、PCが壊れた影響で後回しになってしまっています。
このことは、近いうちにこの場に書かせてください。

あと同時に頼んでいたものもあったのです。
ひとつは、シルバーのソフトレリーズボタンで、以前にM8用に中将姫をデザインしたものを作っていただいていましたが、今度は別のデザインで依頼していました。
それはイチゴのかたちのレリーズボタンで、もちろんソナーわはじめとしたわたしが愛するF1.5レンズたちに因んでのものです。
デザインするだけの能力はありませんので、ただただイチゴのかたちでとお任せしていたところ、まさにイチゴそのものというボタンに仕上げていただきました。
中将姫の時のように凝ったものではないので、シルバーながら価格も安く済んでいます。

もうひとつ頼んでいたものが実はありまして、それはX-E1用のカメラケースなのですが、三脚穴で固定する革のケースは先に購入済みで、今回のものはケースというかカメラ全体を包むものをオーダーしていました。
レンズ次第で大きさが変ってしまうためぴったりフィットのケースは作れないので、レンズに対応してフレキシブルに包める巾着にし、ふたまわりくらい大きなM8も収納できるようなサイズにしてもらっていました。
この巾着が実にすばらしい出来で、すっかり気に入ってしまったのです。

カメラとレンズ保護のためのものなので、厚い革でとお願いしていたので初めて鹿皮のアイテムとなったのですが、その触感やカメラを守ってくれそうか適度な重厚感が痺れるくらいによかったのです。
あまりに好いので、手にすると安っぽさが隠し切れないX-E1には合わないのでは、これはM型ライカ専用にした方がいいのではないかと思えるほどです。
鹿皮ということはセーム革とも通ずるでしょうから、内側を使ってカメラを吹いたりするのにもよさそうです。

さて、そこで困ったことになってしまいました。
あまりに気に入ってしまい、同じ素材でカメラバッグを作ってもいたいという考えが頭をもたげ始めたからです。
巾着でもかなり高価だったのに、現行のカメラバッグと同程度のものを作れば大出費となってしまいます。
それに、この重厚な素材でバッグにすればかなりの重量になることが想像できますし、革素材では雨に弱く夏場には汗で汚れがつくという心配があります。

と思いつつも、そんなバッグで散歩したらより楽しくなるだろうな、などと考えると居ても立っても居られません。
先般買ったばかりのウルトラブックは今のバッグですとかなりぎりぎりで入る感じで、これが自然に収納できるようなバッグが欲しいと考えていたことも思い出されました。
バッグもすでに5年ほど使っていて、そろそろ買い換えたとしてもバチはあたらないでしょう。

そんなことで、せっかくバッグをオーダーするとすれば、どのようなものが好いのか、完璧を目指して構想を練ったりしているところです。
いくらくらいかかるか聞くと、いま使っているバッグの3倍くらいになってしまいますが、完璧なバッグができれば一生モノになるので、それはそれでけっして滅茶苦茶に高いものではないとの言い訳も思いつく始末です。
そういえば以前、knplさんがカメラバッグをオーダーされた話をご本人から聞き、その素材はカメラバッグとしてはあまりに意表を突くものだったために感心し、それが今回のバッグを作りたいという気持ちに直結しているような気もします。

はい、まだオーダーはしておりませんので、ご安心ください。
でも自分なりにどういうものにしたいか固めているところだったりもしますので、そういうところが自分でも怖いなと思っています。
今日の作例は、その店のシンボルともいえるわんチャンですが、その首に巻かれたベルトもこの店のお手製です。
当然ながら実によくできていて、これらアイテムをみてしまうと、どうしてもオーダーがとなってくるものなのです。
レザーのすばらしさに痺れましたが、世界でただひとつのしかも自分のアイディアが活かせて、カメラライフにしっくりするバッグが作れるとなると、のめり込んでしまう人はこの世界では少なくないと言えると思います。
【X-E1/Lereboures et Secretin 85mmF3.4 F3.4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Lerebours et Secretin 85mmF3.4 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/05 Sun

世界遺産簡介

Lerebours et Secretin 8.5cmF3.4
散歩では北鎌倉から歩いて鶴岡八幡宮を経て、小町通りでお香を購入しました。
次はどうしようと考えますが、円覚寺、長寿寺と拝観料を支払っていましたので、ノータイムで海蔵寺に向かいました。
海蔵寺は長寿寺よりもさらに小さなお寺さんですが、花の寺として知られていて、季節ごとの花々と鎌倉らしい静かな雰囲気を味わうことができます。

静かといっても訪れる人がとても少ないという訳ではありません。
規模が小さいので団体さんが来ないということと、大声で話をしてはいけないという空気をみなさん感じとるからなのでしょう。
広い京都にはこのくらいの寺社は少なくないかも知れませんが、鎌倉ではとても貴重です。
これはみんなで守るべきものでしょう。

鎌倉市は未だ世界遺産になることに未練があるようです。
その理由がはっきり分からないので、世界遺産に登録されることの意味について調べてみようと思い立ちました。
ところが、調べるまでもなく、世界遺産のメリットと検索すると、ほぼ知りたいことのすべてが分かる論文が簡単に見つかります。
正確には論文ではなく講演なのですが、実際にユネスコから依頼を受けて登録される前後の実地調査をおこなったW大学教授の話は実に的確で分かりやすく、これを読むと鎌倉の世界遺産登録に係わった人がどう感じるか聞いてみたくなってきました。

まず、世界遺産に登録されることで大きく3つのメリットがあるとおっしゃっています。
ひとつは、国内あるいは地方でしか認識されていなかった遺産が、世界基準となることでむやみに改築されたり開発されたりということを防ぐことができるということ、つぎに、あまり知られていない遺産が、世界の人々に知ってもらえるようになるということ、最後に、特に開発途上国では観光開発によって大きな径座的な効果が得られることがあげられています。

逆にデメリットとしてメリットが行き過ぎて起こる問題があると語られています。
ひとつは、外部からの開発が入り込んできて地元には経済的メリットが還元されないこと、我も我もと開発が進むことで本来その遺産が持つ姿がゆがめられてしまうこと、キャパシティ以上の人が訪れることで遺産が踏みにじられあるいは目が届かないことで破壊や盗難が防げなくなることがあげられています。

世界遺産は次のようなきっかけがあったそうです。
1960年代のエジプトで大型のダムを建設する計画が持ち上がり、近くの遺跡がダムの底に沈むことになってしまいました。
遺跡を救済するため、ユネスコが移築のための技術と費用を世界中から集め、その経験をもとに基金を設立したということです。
世界遺産が自国だけでは守り切れない遺産を世界で助けようという発想からのスタートだったことが分かります。

また、日本が世界遺産条約を批准するにあたっては、分外保護法や自然に関する国内法があるのになぜ同様の条約に批准する必要があるのかという議論が起こるなどして、最終的に批准に至るまでに20年近くかかっているそうです。
世界遺産は、国内法が整備されていない国や国内法があっても実際には政府や役人の一存でどうにでもなってしまうような国にこそ適用されるべきだということを意味していそうです。

以上のことを考えると、鎌倉はもとより先進国では世界遺産は不要だと思うのですが、いかがなものでしょう。
日本で世界遺産になってもメリットよりデメリットの方が心配で、わが国には世界遺産がいくつあるとか、わたしの町は世界遺産だぞどうだと自慢したい人にしか意味がないように思えてなりません。

ところで、この講演はそういうことを言っているネガティヴなものでは全然なく、世界遺産になったことで乱開発されてしまう実態やユネスコが登録後のケアをしていない問題点などをあげたうえで、大学などの研究機関がネットワークをつくることで、本来守られるべき状況にしていこうという活動を紹介しているポジティヴかつすばらしい内容です。
先にも書いたように、ぜひ鎌倉を世界遺産にと考えてきた方々に読んでいただいと思います。
そして、今までの活動のエネルギーの一部でも、現在問題を抱えている世界遺産を守るための活動に転じていただけないものかと願います。
【X-E1/Lereboures et Secretin 85mmF3.4 F3.4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Lerebours et Secretin 85mmF3.4 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/04 Sat

香味照片

Lerebours et Secretin 8.5cmF3.4
最近、といってもここ数か月くらいですか、わたしにとってのちょっとしたマイブームがあります。
ときどきお香を焚いて気分をリフレッシュすることです。
お香といっても効能やら嗜みといったことは一切分かりません。
ただ、お香によって室内の空気が変わることで、気分も一新できたように錯覚しているだけというレベルです。

きっかけは鎌倉でチベットアイテムを扱うショップを経営する友人から勧められたことですが、チベットの寺で修行僧が手仕事につくるお香は深みのあるありがたさの伝わるような香りに気持ちが引き立ちますが、国内のものはもっと甘い香りでリフレッシュとかまったりするとかということでいえばそちらの方が向いていると教えられ、鎌倉で買い求めました。
中国では、これもチベットでつくられているそうですが、かなり安価で長時間使用可能な心を落ち着かす草原のような香りのものと買い求めました。

これらを、ローテーションのように使い分けて、自分なりのお香を楽しんでいます。
伝統的なものですから、正しいやり方や合う合わないなどの決まりごとがあるのだと思いますが、いずれ学びたいとは思いつつもそのままです。
気に入ることになってきっかけに、夜、お香を焚いてレンズをクリーニングした後、さて、寝るかと2階の寝室に上がるとその部屋もうっすらとした香りに包まれているのに気付いたことがありました。
当たり前のことですが、煙は高いところに行くのでこういうことになるのでしょうが、1度のお香で2回愉しめると知ったのが新鮮な驚きでした。

最初にチベットのお香を手にしてから、日本のものも試そうと思ったとき、お香ってどこで売っているのかすら分からずとまどいました。
調べるとネットショップはいくつもありますが、意外と専門店は多くなく、仏具店などでも買えることが分かりました。
しかし、さらに調べると鎌倉に専門店があり、場所も小町通りの中だと言うではないですか。
なるほど行ってみると、今まで女性がこぞって入っているようでしたので着物屋さんかなと思っていた建物が、そのお香のお店だったのです。
わたしのお香ライフは鎌倉と切り離せないようです。

以前、エリック・サティやフランス4人組を家具の音楽が表現されていて、家具の写真と呼ばれるような写真を撮りたいと書いたように記憶しています。
それにならえば、もうひとつ香具師の写真ではなかった、香りの写真を撮りたいなあなどと考えたりもしてみました。
自然に立ち上り幸せな気分にさせてくれるけれどそれは片時のこと、というような写真のことですが、このルルブールのレンズであれば撮れるような気がしています。
今日の作例は、まだまだ香りの写真ではありませんが。
【X-E1/Lereboures et Secretin 85mmF3.4 F3.4】
thema:花・植物 genre:写真
Lerebours et Secretin 85mmF3.4 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/03 Fri

香港小姐再来

Darlot 10cmF3.3
昨夜、香港からアニーが5日間東京を観光すべく来日しました。
彼女は去年の12月に白川郷で出会って以来の友達ですが、相当な日本びいきらしく、香港のゴールデンウィークの5日間をフルに使って幼馴染だというふたりをともなってやってきました。
1回目の旅行で春の京都・大阪を旅し、前回は冬の黒部・飛騨・名古屋という外国人とは思えないコースを歩き、今回初めて東京にやってきたそうです。

せめて1日横浜か鎌倉を案内したいところだったのですが、1日2日は仕事で、3日以降は逆に中国旅行の予定で何にも役に立てないということは先日も書きました。
ところが、すでに2回の旅で日本を手の内にしてしまったのか、もともとそんな案内など必要ないと考えていたようです。
女の子3人で来たので、今回は東京を観光するよりも、ショッピングやらグルメに歩き回る方がよほど楽しいということもあったようです。

それでも、わたしを白川郷での命の恩人と義理堅く考えて、昨夜のみ食事することになっていました。
英語がわたしより達者な彼女に対抗すべく、こちらも友人の英語の得意なジョニーとマリーナに同行してもらって会話がスムーズになるようにしました。
ジョニー&マリーナと言ってもふたりとも日本人で、香港には英名で呼び合う習慣があるので、当日、待ち合わせの時に間に合わせで命名したイングリッシュネームです。

ジョニーはニュージーランドに留学歴があり、マリーナは横浜のお嬢様女子大の英文科卒業と聞いていましたが、ふたりとも期待に違わぬ言語力を発揮してくれて、わたしのしょぼい英語を助けてくれました。
感謝です。
終電の時間まで食べて飲んでおしゃべりして、しかもみんなはずっと年下の若者たちなので、自分もその頃に戻ったかのように我を忘れられる楽しい一夜でした。
次回は、ぜひ彼らを引き連れて香港と深圳を案内してあげたいなと思っています。
連れていくというのは難しいので、ぜひ航空券代くらいを貯めておいてくださいね。

さて、今日も長寿寺からの作例です。
このダルローはもとより、恐らくペッツパールタイプの19世紀レンズ全般にいえることなのではないかと思うのですが、晴天下で撮ると色抜けの好さが際立ってコーティングがないことも忘れられるくらいに鮮やかに発色します。
特に昨日の作例がそうでしたが、春を表現しようと思ったらこれらレンズは最適なのではないかと思います。

一方、曇天の下では、アンダー目にすることで、なんとも渋い表現をするというか、色が冴えなくなることがしばしばあります。
それは、もう破たんしていると言っていいくらいで、むしろこちらの方が現代レンズではできない表現として珍重されるべきかも知れません。
そんな仕上がりを見たとき最初はかなりがっかりしましたが、今回の鎌倉行ではあえてそれを狙おうと思ったにもかかわらず、すばらしい天気のため逆方向にレンズが作用してしまったのです。
室内ならよいのではと思いましたが、ガラス越しでもやはり明るく表現します。
この辺のデリケートさというか、予想を裏切らない加減のようなところがまたおもしろいのですね。
旧ガラスのフリントとクラウンだけの組み合わせなのに実に奥が深いんです。
【X-E1/Darlot 10cmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Darlot 10cmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/02 Thu
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