瑞士制造

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ライカからスタートしたわたしのカメラ趣味ですが、いつの間にか大きくレンズ方向にシフトして、ついにはこんなブログを続けているようなことになっています。
きっかけになったレンズはいくつかあります。
原因になったカメラはただひとつしかありません。
それがアルパです。

アルパは、すばらしいレンズ群の揃った最高のメカニカルカメラだ、使いづらいという欠点さえ克服できればとの但し書き付きでし紹介されるカメラです。
興味を持ったのはこの時点ではカメラの方で、やはり使いにくいと言われるバルナックライカをメインにしていたのでアルパもどうにかなると思っていました。
手に入れたのは11elという後期タイプだったので、実際に使いにくいというほどのことはありません。

何より痺れたのがマクロスイター50mmF1.8の描写でした。
例えば、マゼンタの発色がとても鮮やかなこと実物以上に思われ、開放でも絞ってもすごく立体感をともなって写ります。
廉価なカラーネガで撮って、ポジをルーペで見るような絵です。
宝物を手に入れたような気持ちになりました。

ところが、やはりアルパのボディは問題がありました。
あまりに重くてパルナックライカはもとよりM6と比べても、少なくとも旅に持ち出す気持ちにならないカメラと感じたのです。
ストラップや交換レンズが手に入らなかったのも問題でした。
アルパのストラップは専用のプラグがないと付けられず、これはどうにか木ネジで代用できたものの、インターネットで海外からカメラやレンズを購入するというのがまだまだマイナー手段だった当時では、銀座や新宿などの中古カメラ店を何度も訪問して探さねばならず、クラシックカメラ初心者の青年には簡単なことではありません。

では、どうしたかといえば、マクロスイターのようなライカで仕えるレンズを求めて探しもとめることになったのです。
そこで買ったのが、ヘクトール、ズマール、ズミクロン、ゾナー、ニッコールなどです。
標準レンズばかりですが、それもこれも、もしアルパが旅で使いやすいと思えるカメラであれば、わたしのレンズはマクロスイターで完結し、せいぜい日を追ってアンジェニューやオールドデルフトが追加されるに過ぎなかったでしょう。

ライカで仕えるマクロスイターに匹敵するレンズは見つかりませんでしたが、それよりももっと好いものがあることが分かりました。
マクロスイターをライカで使うためのアダプターです。
かなり高価でしたが、そのまま改造なしにライカで距離計連動するという魔法のアダプターです。
即座に入手し、わたしの夢は現実のものとなりました。
アルパを入手したとき以上の喜びです。
当然に満足して、わたしのレンズを求める旅は終結したはずだったのですが、どうやらそうはならなかったということのようです。
【R-D1/Switar 50mmF1.8 F1.8】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Switar 50mmF1.8 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/31 Thu

好久不用

RD-1/Switar 50mF1.8
桂林の旅でライカM8のシャッターが壊れたことを書きました。
そこで今回持ち出したのが長らくお蔵入りしていたエプソンR-D1です。
M8を購入した元R-D1ユーザーの多くはそのR-D1を売却してしまったと思われ、手許に残した人のほとんどはM8と併用していたことと考えられます。
わたしのように使いもせずに飼い殺しにしたR-D1ユーザーは珍らしいと自覚していましたが、M8のトラブルによって少なくともブログの継続のためには役に立ったようです。

R-D1を最後に使ったのは2008年12月のことで、何とまる4年間のご無沙汰でした。
使い方の単純なレンジファインダーカメラですので、直前まで準備を怠っているといくつかの問題が発生して慌てさせられます。
まずSDカードをどこに挿入するのか分からなくなっていました。
見つけるまでに30分近くかかり、こんなとこだったっけと発見してからも俄かには信じられず、あげくに自分の記憶力を呪うことになります。

本当に困ったのはこのあとで、R-D1は2GB以下のカードでないと使えないようなのです。
もはや4か8GBのSDカードしか使っていなかったので、これは大いに困りました。
中国に着いてから買うしかないかと思ったものの、検索で様子を探ると、すでに世の中では2GBのカードはレアアイテムになっているとの記載があります。
そうだと思いだしたのは、いま使っていないコンパクトデジタルのことで、これをゴミの山から見つけ出して祈る気持ちで開けてみると、幸運にも2GBのカードが入っていてそのまま使うことができました。

間抜けだったのは、R-D1には28、35、50mmの3つのファインダーフレームしかなかったことで、今回は85mmをメインに使うつもりだったので当惑すること甚だしい。
さらには、持って行ったレンズ2本にはわざわざ、UV/IRフィルターを付けてしまっていました。
4年間の習慣は簡単になおるものではないようです。

こんなことを延々書いていたらキリがないくらいなので、今日の作例でも、あきらかな致命的ミスに言及するに止めましょう。
ホワイトバランスですね。
これがどのように調整するのかまったく思い出せず、あちこちぐちゃぐちゃ動かして違う設定をどんどん変更してしまったようです。
使用したスイターでは、発色のすばらしさを取りあげるつもりだったのですが。

シャッタースピードが1/2000までしかないので、日中レンズを開放で使えないという大問題もありました。
開放が使えない場面ではF4に絞ることだけを決めます。
そのおかげで、少年の顔とスミイカ、それに彼の小さなスミイカの3つが識別できる作例になりました。
【R-D1/Switar 50mmF1.8 F4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Switar 50mmF1.8 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/30 Wed

吃海鮮去海辺


今回、まず足を運んだのは深圳東南部にある南澳という海の町です。
前回は冬休みで桂林まで行くことができましたが、今回は1日半の空きがあったものの遠出は避けて市内を歩くことにして南澳に行ってみることにしたのです。
よく出掛ける大鵬へはE11という快速バスを利用していますが(EはEXPRESSの意味だと思われますが、香港などではXを使っていてこれが一般的なので違和感があります)、その終点が南澳で、海鮮料理が有名と聞いたことがあったので、お昼をここで食べて大鵬に向かう計画でした。

土曜の午後、市街からバスに乗ってE11に接続できる帝豪酒店まで行き待つこと数分でE11がやって来ました。
この先4つほどのバス停で満席になり、そのまま高速に乗ってノンストップ走行します。
並行して走る一般道を行くバスもありますがそれでは2時間かかるのですが、さすがE11は1時間かからず大鵬に到着します。
いつもならここで降りるのですが、今日はそのまま乗り続け、およそ15分後に南澳に着きました。

終点ですがターミナルにはなっておらずバス停の表示があるだけです。
ただ、脇の道の先には市場が見えていて、まずはそちらを目指せばいいということが分かりました。
この市場のことは後日記すつもりですが、肝心の海鮮レストランが見つかりません。
ぼんやり立っていた警備のおじさんに聞くと、海鮮レストランに行くなんてもったいない、市場で魚を買ってどこか食堂へ行けば安くあがりだと言ってまともに取り合ってくれません。
別のおばさんに聞いても同じ回答で、勘で探すことになりました。

地元の人で少なくとも庶民は利用していなさそうな様子なので、そういうエリアを歩いても海鮮レストランは無いでしょう。
幹線道路に出てみると思った通り、レストラン通りになっている一角があり、ここだと観光客相手かなと感じつつ、中ではいちばん地味な外観の店で食事しました。
確かに美味しくはありましたが、せっかくここまで来たからといろいろ頼んしまい費用的にはけっこういってしまいました。
深圳市内にも海鮮レストランはいくらでもあるので、それらの店と比べてどれだけ安いのか見当もつきません。
こう言っては身も蓋もありませんが、わざわざここで食事した意味が分からなくなりました。

レストランの前は道路を挟んですぐ海だったのですが、その鄙びた港の様子を写したのが今日の作例です。
前方の島が何かに似ているような気がします。
もしかしたら、深圳の人はここが尖閣だと誤解しているんじゃないかと思いました。
【R-D1/Switar 50mmF1.8 F4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Switar 50mmF1.8 | trackback(0) | comment(2) | 2013/01/29 Tue

天気很温和

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桂林のシリーズを3週も続けたので、あれ、もう? という感じですが、また深圳まで出掛けて来ました。
現地に着いて驚いたのが、妙に気候が温暖だったことです。
作例の女の子は、ダウン風ベストを着ていますが、半袖シャツの人もけっこういて気温を確認すると最高が20度を超えています。
わたしは長袖のポロシャツでしたが、日中はずっと腕まくりしていなければいけないくらいでした。

亜熱帯に位置する深圳は1月でもこのように暖かいことが多いのですが、一方で大陸からの冷たい風に吹かれるからか、東京と同様にセーターとコートを着ていてもぶるぶる震えていた時もありました。
夏はひたすらずっと暑いだけですが、冬場の深圳の気温には注意が必要です。
夜もそれほど気温が下がらなかったので、持って行った上着の袖を通すことはなく無駄になってしまいました。

いま、北京を中心に中国の大気汚染が日本でも話題に上っています。
深圳に関してはまだニュースで見るような視界までぼんやりするような影響はありません。
しかし、工場が林立していて車の量も尋常ではないので、空気はかなり汚れています。
恐らくは、湿度がかなり高いことと海に面していて常に大気が循環しているので、北京や武漢などの都市ほど深刻ではないというだけのことなのでしょう。
これほどまでに報道されている以上、今後、健康被害の可能性があるようであれば渡航についても真面目に感が得ないといけません。

とは言え、この時期の深圳の気候は東京からひとっ飛びすると、たいていは暑くなく寒くもなくで結構快適です。
市街地は空気が悪いので、郊外にでも家を持てれば、老後も寒さを気にせず、夏場は冷房の効いた室内で過ごせば、それなりに好い生活ができるのではなどと不埒にも考えたりしてしまいます。
ただ、もともと広東や香港の人は、この気候の中で暮らしてきているので、じゅうぶんに寒いらしくときどき毛皮のコートやら気温20度度近い中でもマフラーをしている人を見かけます。
気温は絶対的なものでも、体感温度は相対的に過ぎないということを教わる瞬間です。

さて、いきなりピンボケの作例で恐縮ですが、最近、深圳でとてもはやっているのが焼烤と呼ばれる串物です。
この店は新疆から来た人たちの店なので羊肉だったようですが、店によって鶏、牛、貝、野菜、イカ、その他なんでも串刺しで焼いてもらい食べます。
だいたい1元か2元と安く、若者たちがおやつのように食べる姿をよく目にします。
作例手前の串は食べ終わったやつを捨てているゴミ箱で、ウチはこんなに売れているぞとアピールしているようです。
女の子ではなく、串の方がメインと言うことであれば、作例も串にピントがあっているように見えなくもないので、まあこれをアップしてもいいかなとこんなものからスタートしたという次第です。
【R-D1/Nikkor 8.5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor S・C 8.5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/28 Mon

梯田的魅力

M6/Angulor 2.8cmF3.3
こんなにゆっくりと歩いたことは後にも先にもけっしてないと断言できます。
宿から1時間離れた下の村にあるバス乗り場までの道のりでのことです。
この日の夜の便で桂林から深圳まで飛び、早朝香港からのフライトで東京に戻ることになっているので、田頭賽付近を昼頃まで散策する余裕があるはずでした。
わたしにも馴染みが薄い瑶族の村なので、関心は尽きません。

しかし、朝一番で宿を飛び出してみると、雪がうっすらと積もり、昨日からの霧があらゆるものを氷の世界に変えています。
昨日よりもずっと歩きにくくなっていましたが、来た時は午後だったので凍っていない歩けるスペースがところどころ見られたのですが、それすら完全に凍ってもう足の踏み場はなくなっていました。
それでもなんとか踏ん張って外に出たところで、老婦人が作業しているのを見つけ話をしようとだいぶ近づいたところで滑ってしまい、そのお婆ちゃんに大丈夫かと助けられるに及んで散策を断念せざるを得なくなりました。

霧は依然として深く、宿は部屋から見える棚田の絶景がウリだったのですが、ただただ真っ白で視界ゼロに近い世界です。
仕方ないのでテレビをつけると、広西省のローカルニュースをやっていて記録的な寒波であちこちで積雪があり、道路は凍結して桂林市街でも事故が相次いだと、不安をかきたてるような内容でした。
これは一刻も早くここを出ないと日本に帰ることができなくなってしまう、と慌てて帰り仕度にかかります。
おととしの正月休みは貴州で大雪にあい、空港への道路が閉鎖されたため、夜行バスで深圳まで戻ったことが脳裏をよぎりました。

そして、宿からしばらくはスローモーションのように足幅分ずつ進んで行くしかありません。
階段では横向きになって超スローなカニ歩きをし、それでもつるつる滑りながら1段1段降りて行きました。
このままでは、バス乗り場まで2時間かかるか3時間かかるか分からないくらいですが、実は、宿のおかみさんが助け船を出してくれていました。
彼女の家の納屋が先の方にあって、中に藁が干してあるからそれを束ねて靴に巻けば滑らなくなるからと言うのです。

この村では、白いご飯が美味で、食後に飲んだリンゴジュースのようなフレッシュ味の米酒に好いしれ、そしていま藁を装着したおかげでほぼ普通のスピードで歩くことができるようになりました。
わたしはこの村で楽しみにしていた棚田の絶景を見ることは叶いませんでしたが、そこの収獲には確実に堪能させられたのです。
普通に歩けるようになってからは、1歩1歩歩くごとに米のありがたさに感謝しないではいられませんでした。

さいわいバスは動いていて、昨日の崖崩れ現場でまたしても20分間の停車を余儀なくされ、幹線道路に出てから乗り換えた桂林行きのバスもかなりゆっくりな安全運転だったものの、無事桂林まで戻って来ることかできました。
市街は風が強く感覚的に棚田の村よりもずっと寒く思われ、市内の有名な公園に行ったりするのもやめて足のマッサージに行ったりお寺に行ったりのんびりして早めに空港へ向かうことにします。

空港行きのリムジンに乗っていると、この旅最後の愉快な出来事が待っていました。
興坪で会い、田頭賽で偶然再会したインド人のラケシュが、そのバスに乗り込んできたのです。
棚田の村でそうしたように互いに指差して、アッと小さく叫びました。
ピエールが言ったように中国はほんとうに狭い。
今度は、彼が勉強している北京まで遊びに行ってみようかしら。
【M6/Angulor 28mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Angulor 28mmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/27 Sun

晩飯吃両次

M6/Angulor 2.8cmF3.3
ようやく辿りついた山頂の田頭賽で、フランスふたり組みが予約していたのはユースホステルでしたが、水道管が破裂したとかでお湯が出ないことが分かりました。
仕方ないので、わたしは2軒先の旅館に荷を解き、彼らはもう1軒あるというユースに向っていきました。
同様の旅館が6~7軒ありましたが、彼らがあくまで英語の通じる宿にこだわったのはこれまでの旅の宿で痛い目にあってきたからなのかも知れません。

お湯の出ないユースには、それでも3人の宿泊者がいたのですが、そのうちのひとりがわたしを指差してアッと言いました。
遅れてわたしもアッと返します。
彼はインドからの留学生とラケシュ君で、陽朔の先の興坪で彼が休んでいるところをわたしがハローと声をかけたのがきっかけで5分ほど話す機会がありました。
それから3日後になって、こんな山奥で再会したのでお互いびっくりとなったのです。
ピエールが、へえ、そんなことがあるんだ、中国って意外と小さい国なんだなあと言うと、みんなで一斉に笑いました。

さて、昨日も書いたとおり、田頭賽まで来たのは大いに後悔するところとなります。
霧がひどくて、唯一の目的だった棚田の風景がまったく見えなくなってしまったのです。
昨日の作例がいちばん視界のよいときで、以降は、数メートル先の人物すら薄ぼんやりのナチュラル・ソフトフォーカス状態です。

それ以上に深刻だったのが、予報通りにやって来た寒波のために霧が路面で凍りつくのか、とても滑りやすくまともに歩けなくなったことでした。
手すりもない坂道は腰をぐっと下げて、足を一歩ずつゆっくりと下ろさなければ、たちまち転落して棚田までまっさかさまです。
霧の晴れたところを目指して歩いてみるというのも不可能になって身動きすら取れなくなってしまいました。

フランスふたり組みは、ではすぐ後でと別れた後、そのまま行方不明になってしまい残念でしたが、彼らの無事を祈るばかりです。
夕食は、ユースの3人を誘ってわたしの宿でとることにしました。
その移動はわずか数十メートルですが、転ばないように棚田に転落しないように慎重に歩いたため5分以上かかる始末です。
実際、みんなつるんつるん滑っていましたし、転んでいるものもいて誘ったのが悪かったかなと思えてきました。

インド人のラケシュはもちろん牛肉がダメで、香港在住のふたりは菜食主義ということでオーダーが少し困ったものの食事はたいへん美味でした。
香港在住といっても彼女たちは、それぞれスペインとベルギーから来たという独身女性でしたが、野菜炒めにあった白い物体をおいしいおいしい、でもなにこれと聞かれタケノコと答えるとかなりびっくりしていたのが印象的でした。
ヨーロッパにはないのか、それに香港に住みながらこれまで食べていなかったのか…。
ところで、スペインから来たラウラは、自己紹介のときわたしの胸を指差して、わたしはここから来たと意味あり気な言い方をしたのですが、わたしの着ていたジャケットがFCバルセロナのものだったからで、バルセロナ出身のカタルーニャ人と聞いてわたしはしきりにダヴィドのことを思い出しました。

コーヒーを飲んでから彼らは去っていきましたが、まだ8時で時間を持て余すと思っていたところ、それを察したのか宿の人がおいでおいでと部屋に招いてくれました。
これから家族で夕食なのでいっしょにどうかというのです。
満腹でしたが、旨そうな鍋がぐつぐついっていて、仲間にいれてもらうことにしました。
スープだけいただいたのですが、その絶品は忘れられないものです。
棚田を見ることができなかったわたしは、そのスープを飲むためだけにここに来たのだと言ってもよいほどでした。
旅の最後の夜はとても寒かったのですが、彼らのもてなしのおかげで胃袋だけはあたたかくなって眠ることができました。
【M6/Angulor 28mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Angulor 28mmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/26 Sat

向天上村落

M6/Leica Sonnar 5.8cmF1.5
M6に切り替えてから昨日までの3日間、使用したレンズはズマールでした。
美しいニッケルの個体ですが、希少な固定鏡胴ではなく一般的な沈胴の個体です。
購入時、拭きキズだらけだった格安の個体を見つけて、当時すでに何本かの修理で信頼をおいていた山崎光学で研磨をお願いしました。
悩んだ末でのコーティングも付けてもらっています。
これは、もう1本固定鏡胴を入手するつもりだったので、邪道だと言われそうですが、1本はコーティング付きで透過率を高めた高性能ズマールを味わってみようと考えたからでした(固定ズマールは未だ入手できていません)。

山崎さんがすばらしい個体と言ってくれたレンズだけあって、この3日間のズマールはズマールらしい球面収差にともなうフレア感を残しつつも、立体感と色再現にすぐれたリアルな絵を作り出してくれました。
さすがとしか言いようがありません。
ズマールにも、もちろん、山崎さんにも。
しかし、今日の作例を見ると、ズマールに鋭いシャープネスを加えたような、より高いレベルのレンズであることが感じられます。
このレンズはコンタックス用のゾナーとは違いますが、コンタックスがライカの向こうを張って登場したとき、レンズの優位性でライカを凌駕したという逸話が実感として迫るようでした。
ただ、それでもズマールは7.3cmのヘクトールと並んで、ライツの中では個性あるすばらしいレンズであることは変わりません。


さて、旅の続きですが、龍勝から乗ったバスにはもうふたりの客が乗っていました。
上海在住のフランス人エマニュエルと彼と旅するためにやって来たパリ人のピエールです。
ふたりは、クリスマス休暇を利用して貴州省貴陽から桂林までバスを乗り継いでのふたり旅をしているところだとのことです。
棚田のエリアは広く見どころやホテルはあちこちに点在していましたが、彼らが大賽という村に向かうというので付いていくことにしました。

もともとバスの中で車掌の言うことを翻訳して助けてあげていたので、向こうも同行を歓迎してくれます。
棚田のことやこれまでの旅のルートなどを説明してもらいましたが、こうやって情報交換したり助けあったり、それまで他人だった人たちと交流することは旅の愉しみです。
ただ、中国語から英語に切り替えるとなかなか単語が思い出せずで、コミュニケーションには難儀するのですが。

昨日の作例のように途中崖崩れでしばらく立ち往生したところではカナダ人一家と、オランダ娘も合流して、さらには吉林省から来た中国人青年も加わり多国籍軍となって推移を見守りました。
最初、英語ができると言っていた吉林青年には情報参謀を命じたのですが、しゃべれるのはあいさつ程度と判明し、結局、彼の次に語学レベルの低いわたしが同時通訳するというお粗末な集まりになってしまいます。
この時、崖崩れ現場の前後に2台ずつバスが止まっている状況だったので、人間が歩いて移動して相互に反対側のバスに乗り込めばそのまますぐに発車できると提言したところ、外国人たちからはグッドアイディアと声があがりましたが、運転手にはダメダメとあっさり断られ、ひたすら待つことを余儀なくされました。

ようやく大賽に着いたものの、景観が好いのはさらに徒歩で1時間山を登ったところにあると言います。
バスが到着したあたりにも立派な棚田があって旅館もいくつも並んでいます。
ピエールがどうすると聞いて来ましたが、1時間くらいの山登りなら望むところでしたし、ちょぅどそこまで行くという村人がいたので付いていけば迷う心配もないので、合計5人で山を登り始めました。
登るといっても登山のよう厳しいものではなく、しっかり踏み固められところどころ階段もあるような道を歩く、軽いトレッキングです。
しかし、これは案外無謀な選択だったと後で少々後悔することになろうとは知るよしもありませんでした。
【M6/Sonnar 5.8cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summar 5cmF2 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/25 Fri

泡冷泉

M6/Summar 5cmF2
ほんとうは程陽から奥地の村へ分け入って行こうと考えていたのですが、また寒波が来て気温が下がり山間では雪が降るとのニュースを見て方向転換することにしました。
雪の降る夜に、着の身着のまま布団にくるまって震えながら寝る自分の姿を想像して気力が萎えたということもありますが、奥地を目指して雪山で遭難などというのも冗談とは言い切れなくなりました。

こんなこともあろうかと、第2案のルートは考えてありました。
龍勝に戻ってこの地の有名な棚田を見て、これもよく知られた温泉に浸かるというものでした。
いや、正直に言えば、こちらが第1案で根性が出たら奥地まで行ってみるかと考えていたというのが本音です。
今回はずっと楽な旅をさせてもらいましょうか…。

バスを乗り継いで龍勝のバスターミナルに戻り棚田方面行のバスを探しますが、なかなか見つかりません。
何人にも聞いてみますが、ある人はあっちだと言い、別の人はこっちだと言い、また別の人は知らないと言いで収拾が付かなくなりました。
ようやく見るからに人の良さそうなおばさんが、事務所に行って聞いてくれたところでは、道路事情が悪く運行がだいぶ遅れているようだとのことです。

そうこうしているうちに温泉行きのバスがやって来ました。
その場の判断で予定変更です。
最後の日にまつたりと温泉に入って帰国の途にと目論んでいたのですが、うっかりすると棚田に行けないかも知れない状況では最初に来たバスに乗るのが正しそうです。

この町の名前と同じ龍勝温泉を名乗っていますが、龍勝から50キロ近く離れているとはバスに乗ってから気付きました。
超満員バスの運転席の後ろの出っ張りに腰かけての1時間半はやたらと長く感じられます。
龍勝温泉には自家温泉をもった高価なホテルが3軒とそれらの温泉に入場券を買って入る安宿が数軒立ち並んでいます。
いちばん評判のいいホテルは1泊550元とびつくりするくらい高かったのですが、日本の安い温泉旅館と同程度なので好しとしました。

その温泉はとんでもないところでした。
すべて露天の岩風呂が10個所ほどあるのですが、全部ぬるくて体が温まりません。
水温表示まで丁寧にあってほとんど35~42度などとなっていましたが、まったくの大ウソ、たぶん30度前後ではないかと思います。
ぬるくても長時間入っていれば温まるのではと頑張りましましたが、これでは風邪をひくとはやばや撤退せざるを得ませんでした。
ホテルでは何度でも入浴できるというのが売りなのですが、朝からこの温泉にいけば心臓麻痺でも起こしかねません。
朝一でチェックアウトして、今度こそ棚田を目指すことにしました。

龍勝行きのバスでターミナルに戻るとまさにそのタイミングで棚田行きのバスが出るところです。
これは幸運だとバスに乗って30分も走ったところで、自分はちっとも幸運ではなかったことに気付かされました。
昨日聞いた道路事情とはこれのことだったかと、激しい土砂崩れを前方に見ながらため息が出ます。
これは引き返すべきでしょう。
しかし、これは道路が開通するまでは意外にもわずか45分しかかからず、旅は続けられることになります。
【M6/Summar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summar 5cmF2 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/24 Thu

普通橋

M6/Summar 5cmF2
程陽の夜はとても寒く軟弱と言われても暖房付きの旅館にして正解だったと思います。
小雨までパラつくようになった中、夕飯はちっちゃなレストランでとりました。
レストランは6~7軒あって迷ったのですが、外国人も多く訪れることからどこも英語の看板などがあって迎合し過ぎではと思われるなか、そこだけが家庭的な雰囲気を貫いているところに好感をもったからです。

このレストランは、寒さにも関わらず扉が開け放たれているにも関わらず、もちろん暖房などはありません。
おかみさんの娘と友だちが3人でテーブルを囲んでいていたのですが、このテーブルだけ布団を掛けてあってみんながその中に入っているさまは、椅子付きのこたつにあたっているかのようです。
彼女たちがいっしょにどうぞと言ってくれ、遠慮なく足を入れると中には金属の鉢にいくつも炭火が置かれていて暖かく、本当にこたつそっくりでした。

この店、地元の料理が旨く、女の子たちとの他愛のない会話も楽しかったのですが、ひとつだけ苦言を呈したいというか、実際に呈したことがあります。
壁に、釣魚島是中国的と大書されたカレンダーが掛かっていたのです。
外国人がいっぱい来るこの村にこんなの掛けてたら、みんな中国人は異常だと思うから剥がすべきだと忠告したのですが、分かった分かったと言うばかりで翌日もそのままでした。

冬の夜は長いので、その後も土産物屋のおばさんや、宿の奥さんとも長々と雑談してしまいました。
時間が長いのは地元の人にとってはもっとそうなのでしょう、飛び込みの話し相手ができて嬉しそうです。
このふたりが共通の話題にしたのが、ここに日本人の女性が住んでいたことがあるということでした。
そして驚いたのが、このふたりが言う日本人女性は別々の人だということです。
ひとりは何年も前に長期滞在していた学校の先生で、ひとりはつい最近までいたという留学生とのことです。
ふたりに共通するのは、しばらく暮らすうちに侗族の言葉を話せるようになったことと、それもあって村人からたいへん慕われていたということです。
このような先人がいてくれたからこそ、わたしのような軟弱な放浪者がのこのこ出掛けて行っても歓迎してもらえます。
まったく無関係の人でも、奥地では日本人というだけで何かつながっているような気がしてくるのが不思議です。


さて作例は、寒い中でもがんばって朝から洗濯するお母さんです。
村には80年代後半に電気が来て、すぐさま白黒テレビを買った家が3軒あり、みんなそのどれかの家に行ってかぶりつくようにテレビに見入ったという話しを聞きました。
それから20年以上経過したわけですが、洗濯機を購入した家は未だないような気がします。
着ているものは数日間替えなかったり、毎日の洗濯ものが恐らくは少ないだろうと思われることもありますが、やはり朝は洗濯場に女性たちが集まって、あれこれ話しをする場を失くす訳にはいかないという事情もありそうです。

それと、お母さんの横に3本の円柱が横たわっていますが、これが何だか分かるでしょうか。
はい、全員正解、これはこの小川を渡るための橋です。
程陽は、風雨橋があまりに有名で、実際、迫力あるすばらしいものでしたが、おじいさん、おばあさんもちょっとふらふらしながらも軽快に渡っていくこちらの橋の方が、わたしにとってのお気に入りになりました。
【M6/Summar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summar 5cmF2 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/23 Wed

露出的問題

M6/Summar 5cmF2
過去に2度ほどモノクロフィルムの作例を載せた週があったことは記憶していますが、恐らくカラーネガの作例は今回が初めてのことだと思います。
M8とM6の画像の差はどのくらいのものなのでしょうか。
わたしはこの絵を見た瞬間、やはりフィルムの方が再現性は高いと直感的に思いました。
女の子の顔のリアリティが抜きん出たように思われ、彼女全体の立体感も傑出していると感じたからです。

しかし、しばらくの間眺めていると、いや、M8で撮ってもそう変わらないのではと思えて来ました。
むしろ違うのは発色の部分や解像度なのではと。
そのいずれにも根拠はありませんし、やはり同条件のものを比較しないで論ずるのは危険を伴うような気がします。
そもそもこの絵も、プリントではなく、プリントをスキャンしたものに過ぎないので、同じデジタルだということにもなってしまい評価してはいけないのかも知れないのです。
特に右上の木のボケ方がデジタルそのもので、興醒めしてしまいました。

久々にカラーネガで撮って思ったもうひとつのことは、プリントの露出があまりに均一に揃えられてしまっているということです。
この女の子は背景より明るかったので、浮き出させるべくM6露出計より2段アンダーで撮ったのですが、いわゆる適正露出になっているように見えます。
極端な例は、ブラケット露出した際の2枚の露出がほとんど変わらなかったことで、フィルムのラチチュードがなせる技か、あるいはプリント時に機会が勝手に適正化してしまうのか、これだともう露出を計算する意味そのものが失われたことになっているようです。

すっかり忘れてしまいましたが、ネガとはもともとこういうものだったでしょうか。
露出のコントロールは撮影と表現のの楽しみの大きな部分を占めると考えているので、同様に考える人たちがあっさりとフィルムからデジタルに以降してしまったのが今さらながらに分かるような気がしました。


繰り返しになりますが、発色の面ではネガにずっと分があるようの思えます。
これは解像度と関係があるのでしょうか、再現性ということとそれ以上にハーフトーンのような変化を映し出しているように見えてなりません。
それこそ比較してみたいところです。
フィルムにこだわる人のひとつの大きな理由と言っていいのでしょうか。

ところで少女の額に付いている青点はスキャン時のゴミではなく、何か理由があって実際に付いていたものです。
それなにと指さしながら近づいたところ、女の子はびっくりしたのか急に泣き出してしまいました。
慌てて、ごめんごめんとなだめようと近づくと、泣き声がいっそう大きくなってどうにもできなくなります。
フィルムとデジタルよりも、村の女の子の方がよほど扱いは難しくコントロールできないということをまずは知って行動すべきでしたね。
【M6/Summar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summar 5cmF2 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/22 Tue

柯達黄金胶卷

M6/Summar 5cmF2
我が旅の友M8は動かないままです。
これには大いに動揺してしまいました。
以前、M8のシャッターが壊れたとき修理費用が8万円かかったこともありますし、旅はまだ半分行程が残っていて、今後撮影せずにいくのかか悩みどころでした。

実はもう1台カメラを持って来ていて、カバンの中にはずっとM6が入っていました。
しかし、フィルムがありません。
もともとは今回もモノクロ撮影するつもりでM6を持って来ており、途中、トライXを買うつもりだったのにすっかり忘れてしまっていました。

深圳に着いたとき、いつものカメラ修理屋の順平さんのところによってメンテナンスを依頼しつつ、隣りのカメラ屋でフィルムを買おうと思っていたのです。
ところが、なんと順平さんは病気で入院してしまっていて、慌ててお見舞いにいって病状などを聞いているうちにすっかりフィルムのことなど忘れてしまいました。
ちなみに中国では公的医療保険は無いようで、すでに1週間の入院で医療費が8万円かかっていると頭を抱えていました。
彼のことを気遣いつつも、では早く治してわたしのレンズをばんばん修理して費用を工面しないといけないねと言ったのは、ちっとも気遣いにはなっていなかったでしょうか。

いずれにしてもM8の故障でモノクロを諦めれば済んでいたところが、フィルムの入手を迫られました。
入場料60元の村なので土産物屋が何軒かありましたが、さすがにフィルムなどは中国人にとって過去の遺物のようで、どこに聞いてもそんなものは無いと冷たくあしらわれてしまいます。
最後の1軒にここにはないけど三江まで行けば売っていると言われ、悩んだ末、買いに出掛けることにしました。

程陽から三江までは片道30分ですが、バスがどのくらいの間隔で来るのか分かりません。
それにすでに3時過ぎで、三江でもたもたしていると程陽に戻れない可能性すらあります。
しかし、この決断は正しかったようです。
バスこそ本数は多くなかったものの、この区間はけっこうな頻度で面的と呼ばれる軽ワゴンが客を乗せて往復していて、料金は変わらず時間は早く三江まで行くことができました。
ただし、狭い軽ワゴンに運転手も入れて11人も乗るという超ギュウギュウ詰めだったのですが。

地域の中心とはいえこんな田舎の町にカメラ屋があるのか不安で、実際聞く人ごとに首を傾げられていたのですが、ここでもわたしはたいへん幸運でした。
前方のホテルで結婚式があったらしく、玄関で新郎新婦を取り囲む親族に混って一眼レフを構えるカメラマンがいました。
忙しく撮影する彼を捕まえて、すみません、近くにフィルムを売っているところはありませんかと聞くと、なんだいきなりと怪訝な顔をしつつもあそこに売っていると店を指差してくれます。

それが、ホテルの真向かいだったのです。
その店も結婚式などで撮影を請け負うところだったようですが、わずかのカメラとほんのわずかのフィルムが売られていました。
コダック・ゴールド200が1本25元とのこと。
3本もらいましたが、わたしはあまりの嬉しさに、聞く気のない店主にこれまでのいきさつを説明までするという興奮具合でした。

帰りの面的も簡単に見つかりこれだけの作業に1時間弱で往復できたのは脅威としか言いようがありません。
作例は、おかげでその日のうちに撮れた程陽での1枚です。
おっと、それよりもわたしは村への入場券を持っていなかったので、面的に頼んで着いたときと同じ場所で下車させてもらったのでした。
運転手は外国人のお前がなんでこんなところで降りるのだと、訝し気な顔をしているところに8元を突き出しながら。
【M6/Summar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summar 5cmF2 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/21 Mon

門票優恵

M8/Leica Sonnar 5.8cmF1.5
桂林から龍勝を経由して三江へという道は、は昨年5月に高定という村を訪れたときにやはり通ったルートです。
龍勝は桂林市の北端でここから道は左右に分かれ、右は通道から湖南省へ行き、左はその三江を過ぎると従江から貴州省へ行く、いずれも少数民族の村が無数に存在するエリアになります。
広西、湖南、貴州が接する一帯は、彼らが伝統的な様式で暮らすさまを見ることができ、ゴールデントライアングルと名付けたいと思います。

高定に行ったおり立ち寄ろうとして時間の関係で果たせなかった程陽が今回の目的地です。
程陽は三江からローカルのバスに乗って30分ほど、風雨橋があまりにも有名な侗族の村です。
観光化が心配されたとおり、入り口でふんぞり返った男に入場料60元のチケットを買うよううながされました。
普通なら少数民族の村の入場料は10元か20元というところで、いくら著名な村でも60元とはあまりに法外です。
風雨橋はその位置からでも見えますし、わたしは別の村に行っても特段かまいませんので、しばらく橋や村の外観を外から眺めて別の村に向かうつもりになりました。

ふらふら歩いていると車に乗った親父さんに声をかけられます。
半額の30元出せば村に入れてあげようと言うのです。
いや30元でも高い20元でと言うと、中をとって25元でと決着しました。
その値段でチケットをくれるのかと思えばそうではなく、親父さんの車に乗せられてずっと先にある別の入り口から入場させられました。
さすがに裏口入場は気が引けると断ろうとすると、この親父さんは村人でこれで生計を立てているのでと言って、村を案内もするから頼むと懇願するのでした。

では、ここに泊りたいのですが、旅館まで案内してもらえないかとお願いします。
宿は十件以上あると言うので、暖房のある宿はないかと聞いたところ、新たにオープンした好い宿まで案内してもらいました。
なるほど、宿はいかにもできたての真新しさですが、この村の伝統的な建て方をされた木造建築です。
作例の右上に顔を出している建て物と同様のものです。
ただ、木はニスで黄色っぽい色をしており、20年か30年経たないと作例の手前のような黒っぽい好い色には変わりません。

上階の見晴らしのいい部屋は150元と高めだったのですが、後で他の暖房がないところで80元と倍近い料金です。
これは景観料+新築+暖房費と割り切るしかありません。
当然ながら一般の家には暖房などなく、みな上着を着たまま寝ています。
わたしも何度も経験していますが、これだとリラックスできず、ズボンはしわくちゃになって翌日の行動に影響あること少なくありません。

さて、目的地に着き、宿も確保できたので、あとは日が暮れるまで散歩するばかりです。
意気揚々と部屋を飛び出したのですが、入場料を払わなかった報いでしょうか悲劇が待っていました。
M8が壊れました。
エラー表示が出たままシャッターが動かなくなったのです。
急激に寒いところに出たからかと思い、しばらく置いたりしてみましたが、M8のシャッターは動かず、レンズをはずしてみると幕が1枚とれてしまっていました。
【M8/Leica Sonnar 5.8cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leica-Sonnar 5.8cmF1.5 | trackback(0) | comment(9) | 2013/01/20 Sun

従陽朔経興坪到三江

M8/Leica Sonnar 5.8cmF1.5
陽朔から先のルートはまったく決めていません。
心地よかった陽朔のホテルにもう1~2泊するという選択肢を振り切り、先に進んでいくことにします。
その前に、前夜の宴会でジャネットとグラハムに薦められた興坪に立ち寄ることにしました。
ジャネットは香港のスピード社で働くファンキーな香港娘で、グラハムは英語教師としてイギリス南部のサザンプトンからやって来た寡黙な青年ですが、ファンキーと寡黙はこんなにもフィットするのかと驚かされるカップルです。

そのふたりが、というよりはジャネットがひとりで喋っていただけですが、興坪でのトレッキングがすばらしかったというので、前回の滞在時にも訪れたその地を再訪してみることにしました。
ちなみにその時に書いてもらったメールアドレスから、みんながずっとグラムと呼んでいた彼氏の名前がGrahamだと分かりました。
グラムとグラハムどちらの表記が正しいのでしょう?

陽朔のバスターミナルから興坪までは、30キロほどにも関わらず、途中の未舗装路もあって1時間半近くかかりました。
それに到着するやいなや客引きが大挙してクルージングなどをすすめる、中国のツーリスティックなところ独特のイヤな部分を見せられ、この地への気持ちがしぼんでしまいます。
古い町並みを少し歩いてから中国の20元札の絵柄のモデルになった風景を見てから、北を目指して進んでいくことにしました。

あとといと昨日の作例は、その興坪の古い町並みを撮ったものです。
かたや頑固に商売のかたちを変えないおばあちゃん、かたや未来の商売の担い手になるのだろう幼女たち。
2枚並べると対称的で面白いなあと思います。
ベテランのおばあちゃんだけでなく、まだ学校に行く前くらいに見える女の子まで商売人の顔をしているのがよいですね。

そうして興坪のバスターミナルに戻って桂林行きのバスに乗ったのですが、これがダイレクトには桂林には行かず陽朔経由だったうえに、客で満席になるまでなかなか発進しない利益優先バスだったのです。
桂林で乗り継いで三江まで行こうと、当地の好いホテルを陽朔のホテルで聞いていたのですが、とても辿りつけません。
桂林市内で1泊することにします。
メイン通りの中山路周辺は中級ホテルがずらっと並んでいますが、シーズンオフのこの時期は2000円せずにかなり立派なホテルに泊れて明日以降の英気を養いました。
翌朝はいちばんのバスで三江を目指します。
【M8/Leica Sonnar 5.8cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leica-Sonnar 5.8cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/19 Sat

酒店的烟花

M8/Angulor 2.8cmF3.3
夕飯後は8キロの道のりを自転車で帰ります。
のんびりと平均時速16キロで走っても30分で着いてしまうのでどうってことのない距離ですが、問題は自転車にライトが付いていないことでした。
いなかの小道には街灯などもちろん無く、民家すらもほとんど無い畑と山だけの真っ暗の中を走らないといけません。

幸運なことに、香港で女の子たちと食事をするときに、やや早めに着いて有名な男人街の夜店でなぜか10元のLEDのミニライトを買っていたのが多いに役立ちました。
ところが、向かいからたまに車が猛スピードでやって来るのですが、みんな上向きライトなので眩しくて何も見えなくなります。
ガードレールのような目印がないので、いきなり崖から転落も有りうる命懸けのシチュエーションです。
このまま年を越せなくなったではシャレにならないので、持っていたミニライトを高速点滅させて即席パッシングを試みたのですが、なんと対抗車は事情を察してくれたようで、みなライトを下向きに変えてくれました。

それでも車が通らない時はずっと闇夜なので、寂しいし正直怖かったので、大声で歌をうたいながら自転車を漕ぐことにしました。
何を歌うかと考えて時節柄これでしょうと思い出したのが、むかしある機会で歌ったハッピークリスマスです。
ところが、それはおおむかしのことだったので歌詞がいっこうに思い出せません。
Very Merry Christmas, and Happy new year. They said someone......, without any fears.
そう、恐れる物は何もないと必死に漕ぎ続けホテルにたどり着いたのです。


ホテルの前の道路で2013年を迎えました。
オーナーのカリーさんが、新年を祝うために花火をごっそり用意してきていて、年が明けるや一斉に打ち上げを始めます。
50センチくらいの立方体の箱から出た導火線にカリーさんが火を付けると、その箱から5秒間隔くらいで20発ほどの花火が次々と打ち上がりました。
こういうキット化された花火が中国では売られているのですね。

高さや派手さでは劣りますが、花火大会を見に来ているのとあまり変わらない凝った花火たちが真っ暗空に広がって、新しい年の到来を祝います。
全部で3箱、5分ほどの花火が終わると、ゲストとスタッフ10数名みんなでハッピーニューイヤーと声をあげてホテルの中に戻ります。

続いてバーベキューとビールそれに白酒で宴会になりました。
炭火焼きの中国式バーベキューは孜然(クミン)で香り付けしてあって旨いのですが、それ以上に飲まされてしまい不覚にもダウン寸前、ふらふらしながら部屋に戻ってそのままパタンと眠ってしまいました。
翌日は、お世話になったホテルに別れを告げて、次の目的地に向かい移動しなければなりません。
【M8/Angulor 28mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Angulor 28mmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/18 Fri

売火柴小姐

M8/Angulor 2.8cmF3.3
龍譚から自転車を漕いでホテルに戻りますが、夕食は陽朔の町中でとることにしました。
まず、鄙びた楊作にはあまりに不似合いな西街に行くと、観光客とそれを目当ての客引きやらモノ売りやらでたいへんな混雑ぶりです。
さすが、中国の竹下通りとも言われるだけのことはあって落ち着きません。
自転車は乗ってちゃまずいと路上に停めようとすると、おっさんが駐輪代20元出すようにとどこからともなく飛んで来ました。
誰が払うかと日本語で怒鳴りつけて、自転車を押して歩きはじめます。

その時、雑踏の中で見た光景に胸を強く打たれました。
17~8歳くらいに見える少女が、道の真ん中で玩具を売るために人々に懸命に声をかけているのですが、まったく無視され、時に背後から来た人にぶつかってなじられ見ていて気の毒に感じずにいられないものでした。
しかも、彼女の発する声は言葉になっておらず、耳が不自由だということが分かります。
そんな状況でも彼女は笑顔で、必死に次から次へと声をかけては、誰からも相手にされないでいました。
まるで幼いころ見たアンデルセンの童話のアニメの再現のようです。

わたしは彼女の前に進み出て、玩具を見せてもらい幾らかと聞きます。
彼女はわたしの質門を理解したようで、両手の人差し指を交差して十字をつくり、それが10元だということを示しました。
同時に耳と口を指差して、聞くこととしゃべることができないとジェスチャーで知らせようとします。
幼児のおもちゃで値段は高くも安くもない設定ですがその場で10元わたしてひとつもらい、彼女の手をギュッとって頑張ってねと伝えました。

すると背後から外国人がやって来て、同様にひとつ求めました。
オーストラリアから来た彼も、彼女の姿に打たれてわたしの後に続いたようです。
3人で握手しあったりしてひととき盛り上がります。
そうしている間にも、わたしたちに続けとばかり次から次へと玩具を求める人が列をつくり…、ということはなく、彼女はまた必死に売ろうとしてむなしく無視され続けています。
ただ、このときにはもう気の毒だとは思いませんでした。
彼女と"会話"した時にその目に意志の強さと自信を感じたからです。

食事は、そこからほど近い、しかし、人通りはずっと少ない路地の小さなレストランでしました。
竹筒飯をメインにしている店で、これがとても旨いということをきいていたからです。
教えてくれていたのは、むかしお付き合いのあった王老師という桂林出身の美人です。
桂林は竹で有名な土地で、竹製の割りばしの多くはここでつくられて日本に輸出されているくらいですが、竹筒飯は名前から想像される通り、竹の中にもち米と野菜や肉等々を詰めて炭火で焼いてくれる料理です。

竹の節と節の間にご飯等が詰め込まれているのですが、竹は外側にほどよい焦げができていてとても好い香りがしていました。
中がもち米主体なので熱によって少しもちのような粘りも出て、味だけでなく食感もよく焦げ竹の風味も感じられ、なるほどこれはとても美味です。
お酒は店で作っているというやはりもち米製の米酒を頼んだのですが、ほんのり甘いそれは、同じもち米だからでしょうか竹筒飯と意外にもよく合いました。
こうして2012年最後の食事は、思いで深く終わりました。
【M8/Angulor 28mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Angulor 28mmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/17 Thu

最難拍的

M8/Angulor 2.8cmF3.3
昨日の作例は、わたしの中ではアンギュロールを使って納得できる1枚になったと自負しています。
同じ龍譚村の作例を続けますが、今日は完全な失敗作になってしまいました。
昨日と同様のコンセプトで撮ったものですが、手法が同じでも結果は同じになるとは限らないことを思い知らされる作例です。

あらためて思うのは28mmは難しい画角だということです。
この作例が典型ですが、いかにも広角で撮りましたという背景を簡単につくってしまいます。
人物をしっかり捉えたうえで、背景の建物を自然に見せるのはかなりの困難をともなうものだとつくづく思います。

明るい標準レンズでは、被写体にピントを合わせて背景が好いものであれば、レンズが勝手に面白い絵を作ってくれることがしばしばありますが、28mmではピントはそこそこでよしとして、むしろしっかり写り込む背景の方の表現に気を配らないといけません。
逆に28mmレンズは、21mmが当たり前の画角で、12mmとか15mmも普通に使われる今の時代にあって、意外と広くないレンズだと言う気もしました。
35mmフルサイズで無いこともありますが、作例でも失敗しているように思ったより画面から切れてしまうものです。

よく、21mmとか28mmレンズを使って標準レンズのような写真を撮る人がいますが、こういう人こそ写真の名人と呼びたくなります。
動くもののスナップの場合では、考えて構図を決めていたのでは間に合わないので、自然といろいろなことがらがしっかり収まるようレンズが体の一部になっているということなのでしょう。
到底、わたしには真似できません。

オリジナルのライカマウントの28mmレンズでは、ヘクトール、ズマロン、エルマリート(初代)、エルマリート(2代目)、ロッコール、オリオン等を使いましたが、その中で好きなのはヘクトールです。
初代エルマリートは、制約が多くて購入後早々に手放してしまい、よく分かっていないのですが、長く使っている2代目の方は、どうも同スペックで小型軽量のロッコールに劣って感じられてしまい、その大きさのせいもあって旅には不向きという理由も重なり印象はいまひとつです。

そのロッコールは、CLE用のたいへん優れたレンズですが、外観が安っぽくてクラシックレンズらしさがないのと、例のちっちゃなつぶつぶの大量発生でちょっと距離を置いてしまうところがあります。
そう言えば写りも現代的というか、発色が明るくからっとしたところが顕著なのも趣味ではないと敬遠させる理由になっています。

赤ズマロンは、人気が高く性能も高くで、未だ高価なレンズですが、よく写り過ぎて特徴が見出せません。
構成がライカでは唯一と思われる、いわゆる分離ダゴール型という4群6枚の対称型をとっています。
言わば古い設計のレンズなのですが、写りは開放からかちこちのシャープさで、むしろモダンな印象を受けるのが面白いところです。
すごくトーンの出るレンズのようですので、愛好されているのは皆さんモノクロなのかも知れません。

結局、わたしがいちばん好きな28mmはヘクトールということになります。
赤ズマロンほどシャープでなく、解像力もかなり低いのですが、その性能の悪さの分独特の表現をしてくれるように思えるからです。
特に発色がどうしたことか派手に出て、とても気に入ってしまいました。
こう書くとガサツなイメージを喚起してしまいそうですが、意外なことに表現は妙に繊細です。
特徴は、アンギュロールにも通ずるところがあるかなと思いました。
もちろん、今ではアンギュロールも好きな広角レンズになりつつあります。
【M8/Angulor 28mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Angulor 28mmF3.3 | trackback(0) | comment(5) | 2013/01/16 Wed

復活鏡頭

M8/Angulor 2.8cmF3.3
ベルティオのアンギュロールはわたしの持っているライカマウントのオリジナルのレンズのなかでは、もっとも高価だったレンズと記憶しています。
まだレンズに関心を向け始めたころ、当時、名前のみ聞くような希少レンズをちょくちょく店頭に出していた赤坂のカメラ店で、思い切って購入してみたものです。
その時は、ズミルックス35mmF1.4がメインのレンズで、28mmで長く愛用できるレンズを探していた時だったのです。

その後には標準レンズが主流になるのですが、M6で撮影を始めた頃はスナップや旅の写真で35mmを使うのが当たり前で、評判のズミクロンを手に入れたものの非現実的な写りもこなすズミルックスこそ自分のレンズだと思い、28mmでも同様の写りのレンズを探してまだ見つけられないでいた頃の話しです。
ライツで言えば、エルマリートはでかすぎで、ヘクトールは暗過ぎ、ズマロンはかっちり写り過ぎのうえ高過ぎでした。

アンギュロールを選んだのには、本の一節やや誰かが言ったことを信じて、さらには自分で勝手に想像を膨らませたフランス・レンズの写りという迷信にとらわれたことによります。
ツァイスやライツなどに代表されるドイツ・レンズが質実剛健な描写をするのに対して、アンジェニューやベルティオなどのフランス・レンズはやわらかで発色もパステル調、さらにはアンニュイな情感表現と、両者はまったく異なるのだというものです。
赤坂のカメラ店の店主は、強くこのレンズのことを勧めましたが、今考えるとけっしてフランス・レンズはどうこうというというようなあいまい表現は使っていませんでした。

レンズのデザインは個性的でかっこよく見え、クロームのM6とよくフィットしています。
しかし、いざ使って見ると、何これ? 期待は大きく裏切られました。
4隅はケラレたように黒くなり、逆光に滅茶苦茶弱い、やわらかさこそイメージに近い雰囲気だったものの、いちばん楽しみにしていたパステル系の発色とは正反対に枯れたような渋いを通り越した発色をきちんとしないと思えるほどのものです。
高価だったので無理にでも使おうと持参はするものの、積極的に使うことからどんどんと遠ざかって、レンズ庫のお宝のような地位に成り下がるまで時間はかかりませんでした。

それからは、アンジェニューやキノプティックなどのフランス・レンズの写りを知るようになって、先に書いたようなイメージは誤解で、いわば風評被害にあっていたのだということをほどなく知ることになります。
そもそもベルティオは軍事産業と結び付いていた光学メーカーなので、甘いレンズを作るなどという伝統がいちばん起きにくかったはずなのです。
意欲作である50mmF1.5の開放描写や程度の悪いクモリ玉などの描写を誰かがこれぞフランス・レンズだと言ったことが広まってこのようなイメージが定着してしまったのでしょうか。

さて、アンギュロールには、このレンズの写りを熟知したふたりの名人がいます。
ご本人たちには無断で、このレンズの特長のことをこっそり転載させていただこうと思います。
それは、ある条件の時にすごいシアンが出て驚くべき画像になるということ、逆光に弱いレンズで光を入れない工夫が必要だということ、そして、雨や曇りの時に格別の情景を描出するということだそうです。

今回の撮影では、これら3つの特性を意識して、かつ自分なりにも模索しながら撮影することに専念しました。
最初の葬儀の作例はなんの工夫もなく面白味のないレンズのマイナス面が露見してしまい、その後も暗中模索が続いていますが、光を味方に付け、明暗差のある場面で露出をコントロールし、なるべく寄ったところで撮ったものに、ようやく好みのものが現れ出したように思います。
まだまだ使いこなせているとはほど遠いですが、遥か彼方にあったアンギュロールとの距離感はグッと近づいたような気もしています。
【M8/Angulor 28mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Angulor 28mmF3.3 | trackback(0) | comment(2) | 2013/01/15 Tue

古鎮的門票

M8/Angulor 2.8cmF3.3
旧県でランチの後は、もうひとつの古鎮を訪ねてみました。
その前にいったんホテルに戻り自転車をみてもらったのですが、ホテルスタッフは木切れでぱこぱこ叩いて、たぶんもう大丈夫と太鼓判を押してもらって、またよちよちと漕ぎ出します。

実は、2回不自然なチェーンの外れ方をして、1回目は難なく復旧できたのですが、2回目はかなり複雑に絡んでしまい大苦戦していると、同じく自転車でやって来た青年のグループが手を貸してくれてどうにか直すことができました。
彼らはドイツから来たんだと自己紹介し、君は日本人だろだから助けたんだと言って立ち去ります。
あっという間の出来事で唖然としているうちに彼らが漕ぎ出したので、きちんとした礼が言えず、なぜ日本人と分かったのかも聞けず、仕方なく大声でダンケ・シェーンと叫ぶと、笑いながらビテ・シェーンと手を振りながら行ってしまったのでした。

スタッフにチェーン周りを叩いてもらって、かえって悪化する心配がありましたが、以降はチェーンが外れることもありませんでした。
落ちていた木切れで修理してしまうとは、このホテルのスタッフはさすがです。
ただ、また会えるのではと期待して同方向に進んだのですが、残念ながら2度と彼らを見つけることはできませんでした。

ホテルから再出発の際にどこへ行くかと聞かれたので、古鎮と答えると薦められた村がありました。
そこが良いからと薦めた訳では無いようです。
時間と自転車の性能、それにわたしの脚力を値踏みして、行くならそのあたりにしておいた方が好いですよ的に薦めたに過ぎないようですが、結果的にその龍譚村へ行ったのは正解でした。
小さなこれといった特徴もない村でしたが、寄り道しながら着いた時間帯に太陽が絶好の角度で村を金色に照らしていて、古風で色彩感に乏しいはずの村をいちばん美しく輝かせていたからです。

ちょうど農作業していた人たちが家に戻る時間にぶつかるという幸運にも恵まれたようです。
日中であればあまり人気もないところだっただろうと知れましたが、歩く先々で野良仕事帰りの人とすれ違い、軒先で人心地ついて孫を見ている老人に声をかけられ、夕御飯の支度をするお母さんの後ろ姿を見つけたりしました。
作例はそんな1枚で、実に光がいい具合だったので、誰か通ってきてくれないかなあと思っていたところ、その思いを聞きつけたかのように鍬を肩にしたおじさんがやって来たのです。

ところで、龍譚村は奥行きのある細長い村なのですが、そのいちばん奥が古鎮になっていて、その入り口で20元の入場料を取られます。
村の規模等考えるとお金を取ること自体がどうしてだと言いたくなるほどなのに、5元とか10元ではなく20元というのはかなりの暴利です。
だいぶ前に書いたことがありますが、この国では麺は5元、チャーハンやその他定食も10元くらいから食べることができるので、20元は朝食+昼食に相当してしまうからです。

そういえば、帰るときに入り口でふたり組の若い観光客と入場料徴収おばさんが揉めていました。
遠路はるばる自転車を漕いでやって来たら、入場料が高いので文句を言っているということのようです。
わたしは、その女の子に20元の価値があるところだったかと聞かれました。
一瞬回答に窮しましたが、こんなに古い家が並んでいるのをたった20元で見られるのだから外国人にとってはたいへん面白いところだったが中国人がどう感じるかは分からない…、そう答えてみます。
すると、やはりというべきか彼女たちは入場をあきらめ、そのまま元来た道を戻って行ってしまいました。
どうやら、わたしの答えは彼女たちにとっても、おばさんにとっても最悪なものだったようです。
【M8/Angulor 28mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Angulor 28mmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/14 Mon

無線網路

M8/Angulor 2.8cmF3.3
Kindle Fire HD というタブレットを年末に買ったことは、どこかで書いたような気がします。
キンドルというタブレットで何ができて何ができないのか未だ分からない状態でしたが、少なくともフリーのWi-Fiが飛んでいるところでならインターネットで何かしら旅の情報を得ることができるでしょう。
無料の本も何冊かダウンロード済みなので、どこかで読む機会もあるはず。
旅のお供に連れていくことにしました。

タブレットひとつが荷物に加わったことをわざわざ書くことはないのだろうと思います。
ただ、わたしはどちらかと言えばオールドスタイルの旅人を自認しているので、旅をあまりに便利にしてしまうツールを導入するのにはかなり慎重です。
M8という便利なデジタルカメラは日常でも使っているので旅にも持ち出しますが、コンパクトデジタルは必然性なく持って行ったことはありません。

同様に、中国の携帯は現地でのやり取りの必需品になっていますが、国際ローミング可能な日本の携帯は不要です。
国際電話は基本的にかけないからですが、ほぼ唯一かけたのが、その国際ローミングできる携帯を中国でスラレた時で、その携帯をストップさせるために現地の固定電話から携帯会社へ発信したときのことです。

陽朔を皮切りに、今回旅したルートは外国人が比較的多く辿るせいか、ほとんどの宿でフリーWi-Fiが設置されていました。
キンドルではWi-Fiを勝手に受信してくれるので、あとは宿にパスワードを教えてもらうだけです。
カフェも同様でしたし、空港ではタブレットで一端受信したあと携帯の番号を入力して送信すると折り返しショートメールが届いて開くとパスワードが分かるというシステムでした。
もちろん、一般的には月極有料のWi-Fiが普通ですので、町中で何度か試してもつながることはありませんでした。

いちばんの目的は、現地で撮った写真をキンドルに保存してかつ写真そのものを見るということだったのですが、SDカードから例えばUSB経由で直接取り込めず、その目的は果たせていません。
ところが、意外な発見があったので、このことについてはぜひ記しておきたいと思います。

この国ではFC2もExciteもブログは見ることができません。
新聞社に党のための記事に差換えるよう命令するくらいですから、何としても情報は国家として管理し、国家にとって不都合な真実が市民のもとにさらされるのを防ぐためです。
FC2にもExciteにも中国批判のブログはあったはずで、確か北京オリンピックのちょっと前くらいから突然閲覧できなくなってしまいました。
当局の問題視する対象ブログだけでなく、面倒くさいので全部まとめて見られなくしちゃえとやったようです。

にも関わらず、当局の検閲は無線のWi-Fiにはかかりづらいのか、キンドルでは見ることができたのです。
ホントかとばかりに、レンズ仲間のサイトやブログをチェックしましたが、すべて閲覧可能でした。
自分のブログを見に行ってみると、kinoplasmatさんから日本では紅白をやってますと実にタイムリーなコメントをいただいたりしています。
ところが、取り急ぎ過去のコメントに返事を入れたところ、ブログは見られなくなってしまいました。
返事を投稿した瞬間に、検閲の網に引っ掛かったということでしょうか。

ただ、翌日からはまた見られるようになりました。
また、ブログではなく写楽彩さんのサイトへのコメントは問題なくでき、その後も閲覧可能だったのですが、shasindbadさんのブログにコメントしたところ反応がなくなり、何度も送信ボタンを押してもダメだったのであきらめてしばらくしてみたところボタンを押した回数分の投稿がされてしまっていました(ご迷惑をおかけしました)。
問題があるとはいえ、中国でのタブレットには、まだまだ試してみる楽しみがあるようです。
【M8/Angulor 28mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Angulor 28mmF3.3 | trackback(0) | comment(2) | 2013/01/13 Sun

秘密花園

M8/Angulor 2.8cmF3.3
旧県の古鎮の中に、わたしが宿泊しようか悩んだもうひとつのホテルがありました。
中国名は秘密花園酒店、英語ではSecret Garden Hotel。
名前がなんとも魅力的ですが、古建築を内部改装した建て物はより魅力的です。
実は、わたしが泊った水雲閣酒店のオーナーと秘密花園酒店のオーナーは親しく、わたしがどちらに泊るか悩んだことを告げると、だったら見に行ったらと場所まで教えてくれたのです。

なるほど、このホテルも内装では水雲閣と互角で、両者を比較してもどちらに泊るべきか悩むところです。
水雲閣ではホテルからの景色が、秘密花園では古鎮の中の古建築に滞在できることが両者の差ですが、恐らくどちらに泊っても後悔はないでしょう。
門と玄関の間にいくつかテーブルが並んでいて、そのひとつだけが太陽の直射を受けていました。
ここでの昼食にあまりにおあつらえ向きで、泊ることはできませんでしたが、美味なランチとコーヒーが味わえて満足です。

まだ若い女性オーナーにここまで来たいきさつを説明すると、この素敵なホテルは南アフリカの男性と共同経営しているそうで、そのイアンに部屋を見せてもらい次回は滞在してみてくださいとすすめられます。
もちろん、でもその時はランチは水雲閣でとらないといけませんねと言ってホテルを後にしました。

この村には広西でいちばん古い橋がある、そう旧県の村人が教えてくれました。
歩くとかなりあるようですが、自転車なら10分もかからないので行ってみてはと薦められます。
村人が指差す方角へ、車が通れるか通れないかというような未舗装の農道をふらふらと漕ぎ出してみました。
何度も転倒しそうになりながら進んでいくと、先方に川があることが分かります。
ホテルの近くでも流れていて、そこでは竹でつくった筏で川をのんびりくだることができるのですが、その少し上流ということでしょう。
広西一古い橋ももうすぐのはず。

ところが川べりに立ってはるか見渡すも橋らしきものはまったく見当たりません。
運好く筏を移送中の人がその筏に乗って現れたので、どこにあるのか聞いてみると、橋はこの川ではない、この道をあっちに進んだ途中にあると教えてくれます。
それは、いまわたしが通って来た道です。
おかしいと思いつつ道を引き返すと、ちっちゃな橋をそれと気付かず通過していました。

橋と聞いててっきり普通の川にかかるものを思い描いてしまい、田んぼの水路のような水の流れにかかっているなんて想像もできなかったことが橋の発見を遅らせました。
自転車で通ったときは確かに見落としましたが、こうして横から見るといかに古い橋かが分かります。
いま調べると、

「古橋桂仙橋は宋の紹興七年(1137)以来、約900年の年月で、長さ25m、幅4.5mの橋の中央部はわずか青石板1枚分しか敷いておらず、それを9組の石組アーチを並列させるという工法によって支えているのです。旧県村はかつてこの桂仙橋と同じ桂仙村といったのだそうです」

と説明がありました。
わたしは、せいせい2~300年前のものを想像しましたが、ヨーロッパていうところのロマネスク期の橋が残っているのですから、これはすごいなと思います。

そんな歴史的建築物には、なんら案内も出ていませんし、保護されているということもありません。
親切な村人が教えてくれなければやってくることはなかったし、何かの間違いで通りかかっても歴史的重要性に気付くことなく通り過ぎてしまう。
観光地化した陽朔中心の西街は、なんにもないのに観光客どっと押し寄せ、意味ある地にはほとんど訪れる者などない、陽朔はとても不思議なところでした。
【M8/Angulor 28mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Angulor 28mmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/12 Sat

金色的甜的東西

M8/Angulor 2.8cmF3.3
陽朔がある桂林市は、深圳市のある広東省の西隣りにある広西チワン族自治区にあります。
広東は真冬でも最高気温が20度くらいある日はざらで、その隣りであれば、それほど寒くなかろうという判断でこの地を訪れました。
実際、陽朔の案内には冬場も暖かい云々と気候の説明があり、その言葉は魅力に満ちています。

しかし、冬は国中が雪に覆われる国や赤道直下で年中気温の変化の乏しい国の人々ならいざ知らず、北海道から沖縄まで気候のバリエーション豊富な日本で生まれ育って、なぜに暖かいというあいまいな表現を鵜呑みにしてしまったのでしょう。
首都北京でも最低気温マイナス10度、北に向かってハルビンへ行くと最高気温がマイナス20度になる国では、東京より寒い気温0~5度でも相対で言えば暖かいと言って間違いではないことを。

ホテルにチェックインした日、寒い寒いと言うわたしに生姜入りの烏龍茶を運んできたレセプションの女の子が、あなたは運が良い、なぜなら昨日はもっと寒くて雪が降ったのだからと言います。
ところが次の日になると、どんよりした雲はなくなりほとんど快晴の好天気になり、朝、あいさつをかわした昨日の女の子の返事は、あなたが来たから天気が急によくなったのかも知れない、昨日までずっと太陽が出ていなくてものすごく寒かったんだから、でした。

その彼女の説明では、ホテルにはレンタサイクルがあって、宿泊客は無料で借りられるとのこと。
前日の天気だとかなり辛かったと思われる自転車も、これほどの上天気だと気分も上々で漕ぐことができます。
小山が無数に連なる陽朔エリアは坂も多いだろうと思われるかも知れませんが、あまりアップダウンがなくしっかり舗装されているのでレンタサイクルは至るところにあります。
マウンテンバイクが主流ですが、ふたり乗りタイプはもちろん、3人乗りなんてものまでありますので体力に自信のある人がひとりいれば自転車に乗れないふたりがいっしょでも楽しめますし、体力がまったくない3人が力を合わせてかなりの郊外まで遠征に出ることも可能です。

気分よく漕ぎ出したので、葬儀の現場に出くわすとお祭りだと勘違いしてしまうほどでしたが、その村こそわたしが目指していた旧県でした。
旧県は、中国古鎮遊という本の広西の巻に掲載されている村で、小規模ながらも古建築が並んだエリアは、背景の小山の連なりとも相まって特徴ある古鎮と評価できるものです。

作例は、紅薯を剥く老夫婦です。
中国ではサツマイモのことをさすがに薩摩芋とは言わず紅薯と表記しますが、やはり冬場に人気のある食べ物です。
撮影していると、食べてごらんと剥きたてをひとつ手渡してくれました。
これは収穫したてのナマで、このまま食べるのかと聞くとどうぞと言うので試してみたものの、かすかに甘みは感じられこそすれどもナマのニンジンをかじるのとほとんど差がなく、サツマイモも野菜だったんだと思い起こさせるだけのものでした。

剥いたやつはそのまま食べるのではなく、干しイモをつくるのだそうです。
これは以前食べたことがありますが、日本のそれと変わらない味でした。
そういえば、日本では干しイモってあまり見かけなくなりましたが、素朴な味わいが受け入れられなくなったのでしょうか、それともイモの値段が上がってしまったのが原因でしょうか。
イモの値段が上がったのは焼酎ブームが一因だと聞いたような気がしますが、なんでもブームになるとそれで儲ける人が出てくる一方で、人知れず衰退してしまうものがあることに注意を払いたいものです。

さて、ふたりななぜ家の中ではなく外でイモを剥いているのか。
答えは、たぶん冒頭書いたとおり、天気が好かったので日にあたりながら気持ち好くイモを剥きたかったからなのだと思います。
だいぶ時間が経ってからまたここを通りかかるとわたしを覚えていて、いま、ちょうどイモが蒸し上がったからと、今度はおばあちゃんが1個手渡してくれました。
暖かい日とはいえ、冬場の戸外で食べる黄金色のイモは絶品で、旨い旨いと瞬く間にたいらげます。
2012年最後の朝食は、タダでいただいたナマと蒸したおイモということになりました。
【M8/Angulor 28mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Angulor 28mmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/11 Fri

水雲閣酒店

M8/Angulor 2.8cmF3.3
旅の話しに戻りましょう。

陽朔ではホテルを2泊予約していました。
旅の自由をうばうので、滞在型の旅を除いては基本的にあまり事前にホテルの予約はしません。
ただ、今回は30日到着なので2泊すると、この地で新年を迎えることを考えると、みすぼらしい所でよりも意味あるところで年を越したいと思いました。

もうひとつは、前回泊った5年前とは陽朔の状況が変わったということがあります。
当時は、検索しても特に魅力的なホテルはなく、川の前でみはらしのいい中国的旅館のようなところで我慢するしかなく、近くには悪名高い西街という安宿、バー、喫茶、土産物屋が並ぶエリアがあって、周辺一帯は昼となく夜となく賑やかで落ち着かないことこのうえなかったのです。
それは陽朔の風光明媚さと相容れないもので、静かで落ち着いた宿を求める人のためのホテルが郊外にぽつりぽつりとてきてきたようだったのです。

調べると山のてっぺんにあるホテルなんていうのもあって、360度のパノラマが見られるのをウリにしていたのですが、残念ながら満室になっていました。
1泊25000円などという中国では信じられないような値段のホテルも却下して、候補を2つに絞りました。
悩んだあげくにプロモーションでスイートルームが1泊4500円の格安プランを出していたのに目が眩んで、そちらを選択します。
結果的にはそれが正解でしたし、翌日に泊らなかった方のホテルも見に行ってそちらでも正解だったと知ることができました。

これらホテルの特長は、部屋数が少ないことで、調べたところはみな10室前後しかありません。
予約が取りにくくなるデメリットがあるものの、落ち着いた環境を求めてやって来る客しか泊らないので、中国のホテルでよくある建物は立派なのに中は騒々しかったり、レセプションでは四六時中けんかが起きていたり等はあり得ず、安心して身を預けることができました。

部屋数が少ない分、ひと部屋ごとに払われている内装の美しさはなかなかのものです。
木や石を多く取り入れ、またファブリックも分厚いコットン全面採用で、自然の中にあるホテルにいることを常に思い起こさせてくれます。
わたしが気に入ったのは見たことがないほど高さのあるマットレスのベッドで、とても固くてわたしの体重でも死沈むことなく支えてくれるため、腰を痛めることなく爽やかな目覚めを得ることができました。
もうひとつ付け加えると、陽朔の美景を眺めながらリラックスできるベランダがすばらしく思えたのですが、さすがに冬場は10分も座っていると暖房の効いた部屋に戻らざるを得なくなります。

そんな働き口に合う人を選んできたからか、働いているうちに変化してくるものなのか、恐らくその両方だと思いますが、スタッフの対応にもまた安心感を高めることができます。
礼節をわきまえながらも明るくフレンドリーで、仕事ではきびきびと雑談の相手としては旅の仲間のように接してくれるというのは、なかなか類例のない接客態度と言えます。
もちろんスタッフはコックを含めて一定程度の英語を話すことができます。
あきらかに宿泊客の過半数が欧米人なので、熱心に働けば働くほど英語も上達するでしょうから遣り甲斐もあろうと言うものです。
彼らのそんな様子が伝わって、宿泊客も幸福に感じさせてしまうそんなホテルでした。

作例は、そのホテルからとなりの村まで行ったときのもので、打楽器や笛の民俗調の音楽が聴こえてきたので、お祭りだこれはラッキーと撮影したものです。
撮ってすぐに服装から祭りではなく葬式だと気付きましたが、悲劇的な雰囲気はなくむしろ明るく爽やかな空気があって誰かが亡くなったという感じではありませんでした。
伝統的な葬儀のスタイルが保たれているのだと思いますが、この直後に彼らは散会して集団での食事が始まりました。
大往生、天国からのお迎え、ピンピンコロリ、自宅で家族に囲まれて眠るように…、好い亡くなり方をされたのではと想像することができました。
【M8/Angulor 28mmF3.3 F3.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Angulor 28mmF3.3 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/10 Thu

他也喜歓喝啤酒

M8/Leica Sonnar 5.8cmF1.5
今日は、持参したメインレンズのことを書かなくてはなりません。
なぜなら、明日の作例から違うレンズに切り替えてしまっているからです。
カメラとの連動が合致せずに後ピンになっていましたが、この3日間のような動きのほとんどないものではどうにかなります。
だいたいこの辺でと勘でおおむね許容範囲でしたが、それでも一応ピントが合っているのか確認するわずらわしさがありましたし、せっかくのライカで動きのある町角スナップのようなことができないのには不満があったので広角レンズに交換しました。

ピントが合っていないことを承知でメインレンズとして使ってみたものの、結局、広角レンズに引き継いだということは、故障中のエースを先発させたものの思うようなピッチングをできず、早々に2番手投手をリリーフさせたようなものでしょうか。
大切な試合であれば、監督であるわたしのミスで致命的なビハインドを背負うとか、そんなマイナスですが、わたしの旅は常にテストマッチに過ぎませんので、こんなことはまったく問題ではありません。

そのレンズは、銘板部分に"Leica Sonnar"と刻印された、もともとライカの距離計連動の鏡胴を持つ謎のレンズです。
構成は、推測になりますが、一般的な5cmF1.5と同様であることは、レンズ面に映り込む蛍光灯がまったく同数で左右に動かすと同様な動きをすることから間違いないと思います。
また、正確な焦点距離は分かりませんが、少なくとも5cmのゾナーよりも画角が狭く刻印通りの5.8cm程度と想定されることから、5cmのゾナーそのままのレンズの転用でないこともあきらかです。

面白いのは、このレンズの銘板部分がクローム、文字がブラックというところで、ライカのレンズではスクリューマウントのエルマー90mmに同様のものがありますが、コンタックス用レンズでは鏡胴はクロームでも銘板がブラックなのでかなり異色な印象です。
しかし、分かるのはここまで。
そこで、同類の、あるいはまったく同じtも知れない2本と外観的な比較をしておこうと思います。

"Sonnar 1:1,5 f=5,8cm Nr.1407119" 最短1m 最少絞りF11 ヘリコイド回転ライカと同じ方向
"Sonnar 1:1,5 f=6cm Nr.346118" 最短0.9m 最少絞りF16 ヘリコイド回転ライカと逆の方向
"Leica-Sonnar 1:1,5 f=5,8cm Nr.1407343" 最短0.9m 最少絞りF11 ヘリコイド回転ライカと逆の方向

上記のように3者には"Zeiss"や"Jena"等の刻印が無いという共通項を除くと、統一性が見られません。
鏡胴デザインも、アルミが使われている以外、似ているようでかなり違っていますし、サイズに至っては3者3様です。
まるで、ツァイスで試作された5.8cmという焦点距離のゾナーレンズのユニットが、3個所の工場へ流出してそれぞれがコンタックス・ゾナーを参考に独自にライカ連動レンズに仕上げてしまったかのようです。

ニセモノの可能性も高く、集める必要性が甚だ疑問な謎のゾナーが3本も揃ってしまい、嬉しくて仕方ありません。
これ以上わたしに分かることはなさそうですので、ぜひ、この3本での比較をしてみたいと思っています。
また、専門家に見ていただいて、所見を得る計画も持っています。
【M8/Leica Sonnar 5.8cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leica-Sonnar 5.8cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/09 Wed

従香港出発

M8/Leica Sonnar 5.8cmF1.5
年末年始に出掛けたのは、中国の桂林でした。
いつもこういう書き出しになって芸がないなと思いますが、国内線航空機が高くなく、あまり寒い土地でなく、1週間楽しみに変化を持てて、等々考えたら消去法的に桂林が残ったという程度のところです。
桂林はかなり面積の大きな市で、南の陽朔から北の龍勝までバスを乗り継いで3時間かかり、距離も200キロを超えます。
今回は7日間で陽朔から龍勝まで廻ろうと考えてみました。

旅が陽朔から始まったというのは間違いで、厳密に言えば自宅を出た瞬間なのかも知れませんが、やはり旅先ということで言えば、今回に関しては香港からスタートしています。
成田からの便が香港に着いたからではなく、香港に着き深圳に移動して1泊した翌日、また香港に向かいました。
11月にカタルーニャからやって来たダヴィドと飛騨高山を旅した際に知り合った香港人、AnnieとCatherineと食事する約束だったからです。

彼女たちは、ニューヨークタイムスが世界の101のレストランに選定した飲茶のローカルレストランに連れて行ってくれたのですが、その点心の旨さよりもふたりの美女に囲まれているというシチュエーションの方をより味わわせていただきました。
それに、香港女性のドライで実利的なイメージをくつがえす心優しきふたりのおかげで、次の日の桂林への出発の力になってくれたのは間違いありません。

桂林の空港からは時間のことを考えてタクシーで陽朔まで向かうつもりでいました。
5年ほど前にも同様にタクシーを使っていて約100キロが200元とかなり安かったからです。
ところが、この間の月日が交通に関わる費用を1.5倍に引き上げてしまったようで、運転手は最低300元だと言って一歩も譲りません。
日本円で言うと、2800円が4200円に上がったということになります。

それでもタクシーで行くべきだったかも知れませんが、強気の運転手の態度に業を煮やしているところに空港バスがやって来たため、バスで一端町中に出て陽朔行きのバスに乗り継ぐことにしました。
タクシーで行っていれば郊外に予約しておいたホテルでちょうどお昼を食べられたのですが、バスコースではだいぶ遅れての陽朔到着で、3時近い町中での昼食になってしまいました。

ホテルのチェックインは4時になり、近くをあちこち散策するプランは崩れ、ホテルスタッフのアドバイスで近くの埠頭まで徒歩で往復するにとどめることになります。
作例は、その途次に出合ったおばあちゃんですが、何をしているのかと問えば、昨日から急に寒くなって家の前で薪になる枝を集めているとのことでした。
いかにも寒そうな服装にいかにも寒そうな仕草ですが、比較的暖かいことを期待して来た陽朔で確かにかなり寒かったのです。
かなりピンボケですが、着いた日のこんなはずでは感を象徴する画になっています。
【M8/Leica Sonnar 5.8cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leica-Sonnar 5.8cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/01/08 Tue

大家、新年好!

M8/Leica Sonnar 5.8cmF1.5
明けまして、おめでとうございます。
拙ブログも年末年始の長い休みをいただき、今日から再開させていただくことにいたします。
遅いごあいさつになりますが、今年もよろしくお願いいたします。

2006年2月にこのブログはスタートしましたので、来月には8年目を迎えることになります。
よくもここまで続くものだなと、自分のことながらあらためて驚いています。
もっとも長さばかりで、内容、とくに作例の質が進歩していないことの方に驚くべきなのですが…。

年初めなので、なにか今年の目標をと思ったのですが、考えてみても思いつくところがありません。
無理に言えば、今年早々にも発売が予定されているライカMを頑張って手に入れたいということになるでしょうか。
もうひとつの目標は、ライカMを手に入れることに大きく関連しますが、レンズの購入を控えることを挙げたいと思います。
防湿庫はレンズで満杯で、以前に使っていたケースもスペースが限界に近付いていてもう置き場がありません。
レンズを買わないというのはネガティヴな目標ですが、その分、今あるレンズの出番が増えるので、それを楽しみたいと思います。

さて、今年1回目の作例を見ればもう説明の必要なく、今回も年末年始をいつもと変わらぬ中国の旅に出ていました。
作例も昨年までと変わり映えのない凡庸なものですが、実はこの1枚を2013年最初に使おうと意識したものになっています。
距離は約2メートルで後ボケがどうなるか想像しながら、前ボケも取り込もうと低い姿勢をとって手前にあった年代モノのミシンのような器械もフレームに入れています。
あくまでレンズを見る作例なので、前の物体は邪魔ではないのですが、50mmではなく58mmとやや狭い画角だったために予想より前ボケが小さくなるという失敗をしてしまっています。

なぜ1枚目かこの作例かと言えば、旅に出て到着地でバスに乗り込もうというタイミングで肩から提げていたカメラバッグのストラップが切れてしまい、今年最後の悪い出来事を振り払うべく新年最初はそれを直してもらっている作例にすれば縁起が良いと考えたからです。
切れたのはストラップではなくそれを留めていた革だったのですが、到着地で見つけたベテラン靴修理職人に持ち込むとちょちょいのちょいで直してくれました。

思えば、今回は少しタフな旅を想定していて、カメラバッグは以前に長く愛用していてかなりポロくなっていたFOGGで、もし日本でこのような事態になればそのままゴミ箱行きだったかも知れず、中国で壊れたことでその寿命を永らえさせることができたと思っています。
この親父さん、バッグを見ながらいいものだなとばかりにうなづいて、丁寧に革部分を縫いあげてくれましたが、お代を聞けば4元だと言い、10元ではないのかと聞き返すも、4元、つまりは50円しか受け取りません(中国語の4と10は発音がやや似ていて時たま間違える)。

わたしはこの瞬間、災い転じて福となった好いスタートだと確信しました。
実際、旅はその後好調で予感は正しかったと思われたのですが、その後状況は一転、ストラップが切れたのは悪いことの前兆だったとようやく気付かされます。
もっとも、旅にあってわたしは、お金やパスポートを失くしたり、大怪我をしたりというのでなければ、好くないことが続いたとしてもそれを受け入れるだけの寛容さは持ち合わせていて、今回もその程度のできごとがあったにすぎません。
そうでなければ、中国なんぞへこうもちょくちょくは足を運ぶことはできないでしょう。
【M8/Leica Sonnar 5.8cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leica-Sonnar 5.8cmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2013/01/07 Mon
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