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復活鏡頭

M8/Sonnetar 50mmF1.1
到着してからどのくらい経っていたでしょう。
2時間、それとも3時間か。
ようやく遅ればせながらピントがおかしい理由はこれかと思い出しました。
いったんレンズを外し、リアレンズをの目盛りを反対側にひねってから、またカメラに取り付けて試写してみます。
やはりF1.1とピントが浅いと小さなディスプレイでははっきり分かりませんが、あきらかに結果は改善していました。
ホッとすると同時に、今までの無駄は何だったのだと全身の力が抜けてしまいました。

ピント精度は飛躍的に向上しましたが、同時にレンズの描写もかなり安定したようです。
一般的なオールドレンズにF1.1のボケを加味したようで、すばらしいレンズであることをやっと認識することができました。
一方で、2枚ほど作例をお出ししたしっとり描写は、まったく影を潜めてしまいます。
これは単にコマ収差機構を変化させたことによるものだということでしょうか。
ここは落ち着いて、機構を動かしながら各距離での撮影を比較するなどしなければ、性能のことを云々できないとは思いましたが、旅の途上にあってはその余裕はありません。

今日の作例はわたしの好きな中間距離で、前後のボケを見るのにちょうどよい作例なのではと思っています。
このレンズは前ボケがきれいなのを見ていたので、何か手前に置きたかったのですがうまくいかず、手前の植物を見ると前方に対しては見かけの深度がかなり深いのかなと思わせるボケ具合に見えます。
一方の後ろボケはうるさくなりがちな植物ですが、おとなしくまとまっていますし、建物については美ボケと評価したいと思います。

高い樹の葉にクセらしきものが見え、面白い表現になっているようです。
ただ、周辺についてはぐるぐるしていませんし、教えていただいた放射状のボケも感じられません。
少なくともこの距離で撮る分には、ボケに悩まされるということはなさそうだと言えます。

ゾナー型のメリットであるヌケの良さは、実感できるかといえば判断つきかねますが、きっと良いのだろうと思います。
コントラストは微妙なところですが、フレアに関しては予想よりずっと少なかったと言わせていただきます。
F1.1前後のレンズでは出色だと思いますが、当然ながらマルチコーティングの影響があるので、例えばズノー5cmF1.1と比べてどうかということは何とも言えないですが。

書いたことはほとんど直感的な感想ですし、1枚の写真は雄弁ではあっても、すべてを語る訳ではないことも承知しています。
あせらずじっくり使っていろいろなことを見出せればそれがいちばんです。
高価なレンズなのですから、使って1日ですべてが分かってしまったらむしろもったいないくらいです。
今後もいろいろと発見があるだろうことを期待したいです。

発見といえば、この時撮影してから少年がサンダルをそばに脱ぎ捨てて裸足になっているのに気付きました。
どういう意味があってのことかよく分かりません。
敢えて言えば、目立つ行動をして撮影してもらいたかったということかも知れません。
撮ってもらいたい、でもそういうのはちょっと恥ずかしい。
彼の姿にそんな仕草が現れているように思えるのですが、いかがでしょう。
【M8/Sonnetar 50mmF1.1】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
MS Optical Sonnetar 50mmF1.1 | trackback(0) | comment(4) | 2012/11/26 Mon
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