速度鏡頭

NEX 3/Speed Anastigmat 2.5cmF1.5
これは昨日の作例の翌日だったかも知れませんが、もう1枚だけスピードの作例を出させていただきます。
バスの中の美女から、特に何も考えずに続けて出した5枚ですが、いずれも部分的なものを除けば例のぐるぐるボケが出ていません。
放射線状とも言えないかも知れませんが、どちらかといえば周辺はそんなボケになっています。

また、一見あまり目立たないですが、左端の方のガラスに写り込んだ縦ラインのものを見ても分かるように、かなり糸巻型の歪曲があります。
建築物の垂直線が端に入った写真ではこれが顕著で、ものによっては見るに堪えない歪みになります。
作例のようなボケとも重なると、もう気持ち悪くなってしまうでしょう。

点光源を見ると、特に左上と右上の点の伸び方に放射線状の非点収差が出ているのがよく分かります。
一方で、その内側に出ている光源の形状は同心円状に見えます。
コマについても、内側のものは内向きに、外側のものは外向きに発生しているようです。
複雑な修差が入り組んで、独特の暴れ方をするのでしょう。

さて、レンズの紹介が最後になってしまいました。
ライカのズマールよりも高かったのに、安いと錯覚して買ったこのスピードは、ブラックペイントにクロームの滑り止めローレットが付いたフォーカスリングと絞りリングが2段で付いたCマウントのレンズです。
NEXに付けるアダプターは、探すと送料込みでわずか1200円で売られていて、これで何も問題なく撮影できています。

英国式のフィートの距離表示なのでメートル換算が面倒ですが、こういうレンズでのスナップはおおらかに×3してピント固定しました。
ぴったり1cmの高さがあるフードが付いていますが、これでケラレるということはないようです。
薄いものの真鍮でできたフードは、がんがんとスナップで使うときに、レンズの保護に大いに役立ってくれます。
製造は、1936年か37年と思われます。
戦前と言えば戦前ですが、想像より後に製造されたレンズでした。

レンズにはコーティングがあります。
恐らく製造当時のオリジナルではなく後からのものと思われますが、シアン系の他のダルマイヤーレンズのコーティングとよく似たものなので、同社によるものではないかと想像できます。
ただ、例のダルコーティングのマークの刻印はありません。

先にCマウントと書きましたが、撮影用機材は不明なものの、当時、映画撮影用器材を所有していたとすれば定期的にメンテナンスをしていたはずで、所有者が依頼したかメーカーのサービスでコーティングがなされたと考えるのが自然です。
ということは、このレンズが少なくともその時には現役で使われていたということになります。

このレンズもマイクロフォーサーズのフォーマットであれば、だいぶ安定して使用することができそうです。
だからといって何もオリンパス・ペンを慌てて買ったりする必要はありません。
NEXでもライカでも、マイクロフォーサースのフレーミングを意識して撮影して、後処理でマイクロフォーサーズサイズにトリミングしてしまえばいいのです。

2インチ、3インチのスピードはほとんど見ませんが、1インチはネット検索する限り潤沢に市場に存在するようです。
残念ながらバカ高なのがいけません。
常識ラインの1~2万円で取引されるようになって、マイクロフォーサーズのカメラが広まったのと同様に、広く使われるようになることを願いたいと思います。
【NEX-3/Speed Anastigmat 2.5cmF1.5 F1.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer Speed Anastigmat 1inchF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2012/06/30 Sat

両個女孩子

NEX 3/Speed Anastigmat 2.5cmF1.5
せっかく文博宮なる施設までやって来たので、何か買ってみるかと思っていたところお茶さんがいくつかありました。
最近はまっているプーアル茶の専門店もあります。
プーアル茶の在庫は我が家にまだありますが、他とは違い鮮度が落ちるとか関係ないお茶なので好ければ購入しようと考えました。

ところが、店の入り口に立つや、待ってましたとばかり店番がやって来て中へ入れとすごい迫力で迫って来ます。
直感的にこれはダメだと思いました。
恐らく彼はすぐにわたしが外国人と見抜いて、思いっ切り吹っかけてくるでしょう。
高いと文句を言おうものなら、クズを買わされることになるに違いありません。

そもそもわたしは、普段は初めての店ではまずお茶は買いません。
中国はあらゆる食品で安全性が問題になる国です。
農作物であればポストハーベスト農薬の危険がありますし、ものをよく見せようと着色していることだってあると聞きます。
お茶がそんな細工と無縁とは誰にも言えません。

わたしはお茶を買うところはいつも決めていますし、それでもいっしょに大量に試飲して店員もがんがん飲んでいるお茶ならようやく安心して買うことができます。
いま、飲んだのといっしょの袋から取り出して、量り売りしてもらうのです。
悪質な店だと、さらにこっそり袋の中身を粗悪なものに取り換えたりもされそうですので、何度も買っている信用の置ける店でいつも買うようにしているのです。

結局、何か買おうというのは諦め、早々に文博宮を後にしました。
撮影するものもないし、超観光向けスポットに長居はごめんです。
かわって、バス停までの道すがら例の腰だめですれ違う人をノーファインダーで撮りまくってみました。
さすがF1.5のせいか、思ったよりピントが浅くて失敗が多かったのですが、街路樹が陰影と奥行き感を同時につくっていて、このレンズらしい流れのある妙なスナップが意外なほど楽しめました。

陰影で思ったのは、彼写体を明るいところで捉えれば、露出補正を若干アンダーにすると面白い効果が出せそうということでした。
スピードレンズ使いの今や名手と言えるホロゴンさんの真似です。
ただ、これは向かいから歩いてくる人を木陰から出た瞬間に中央で捉えなければならず、1枚も成功しませんでした。
名人と凡人の差を思い知らされました。

その中のいちばんマシな方と言えそうなのが今日の作例です。
後ピンぎみになっているものの、周辺は同心円ではなく放射線型に流れていて、やや女の子を浮き立たせているように見えますし、頭上の緑のボケがなんとも特徴的です。
なにより、左の樹に女の子を見ているような髪の長い裸体の女性がレリーフのように浮かび上がって見えなくもないところが、ホロゴンさんのさらに真似をしたかのようです。
【NEX-3/Speed Anastigmat 2.5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer Speed Anastigmat 1inchF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2012/06/29 Fri

文博宮是什么

NEX 3/Speed Anastigmat 2.5cmF1.5
深曙V市内にあって、前々から気になっていた場所へやって来ました。
郊外の文博宮という名称のところです。
名前自体は、道路標識などで見かけて気になっていたのですが、先月湖南省に行くとき深曙V北駅へ向かうタクシーの車窓から中国式の大きな宮殿風建築群が見え、あれはなんぞやと運転手にたずねた回答こそ、文博宮でした。

深曙Vに古代宮殿なんかあったのかと一瞬目を疑いかけましたが、よくよく見ればところどころ建設途中ですので、どうやら宮殿風建物を模した何かの施設のようです。
文博宮とはいったいなんぞやと再び尋ねるも、運転手は首をひねるばかりなりで、観光施設でありながらタクシー運転手すらその実体を知らない謎の宮殿として、わたしの記憶に刻み込まれました。
どうせテーマパークか何かだろうとタカをくくってはいたものの、その謎を解明すべく文博宮を訪れてみることにしたのでした。

謎などともったいぶるほどのものでもなかったので、先に答えを書いてしまえば、ここは骨董品屋や中国の伝統的なものを売る商店が100店以上集まった市場というか、ショッピングモールというか、骨董品屋街が中国宮殿風建物の中にすっぽり収まったところと言ってご理解いただけるものでしょうか。
中国は骨董ブームですし、巨大にすることで大型バスでどどーっと一般の観光客まで集められるそんな新観光スポット的目論見の施設と思われます。

確かに他省からの観光客と思しき団体が2組くらい見受けられましたが、主に家族連れで来ている彼らは骨董などに興味はなく、もっぱら宮殿風建物などをバックに記念撮影するばかりで、店を冷やかすことすらほとんどありません。
一方、地元の骨董ファンが三々五々やってきているかと言えば、どうもそれも皆無のようです。
なにしろあらゆる分野にニセモノが跋扈する中国なのですから、骨董などは本物の方がずっと少ないくらいのはずで、仮に本物の骨董っぽいものがあっても相当な眼力があるか店が絶対に信用できる以外購入にまで踏み切れないだろうと容易に想像つきます。
骨董コレクターがこんなところにのこのこやって来ることは無いということです。

気の毒ですが、出店しているところの売り上げのほとんどはゼロに近いのが現状でしょう。
中国の店員はどこも必要以上に熱心に客にアピールするものですが、ここではどこも諦めモードというか、店内を重い空気が支配しきっているというか、これでは欲しいものがあっても素通りしかねないような負のスパイラル状態を体現してしまっています。
オープン1年以内くらいと思われますが、すでに何店舗かが看板は残されながら店の中はもぬけの殻になっていて、こういうところは一定期間の賃貸契約をするだろうことを考えると、きっと夜逃げでもしたのだろうなあとこちらまでが暗い気持ちになってきました。

さて、昨日の作例は、書道屋さんの店頭で客寄せ用に筆の試し書きができるようになっていて3人が熱心に筆を動かしていたのを超接近して狙ったものです。
客と思われた3人は、その店の子どもと隣の骨董屋の親子と分かり、ため息が出てしまいました。

今日の作例は、漢方屋さんか何かでしょうか、店頭で大音量の音楽を鳴らして、初老くらいに見える男性ががんがん踊りまくっています。
毎日、漢方飲んでいるのでこんなに元気とアピールしているのかと思いますが、漢方とは縁のなさそうな子どもに大人気で、まあ、これは好しとするか的な雰囲気でした。
暴れ玉のスピードには、こういう作例が実にフィットすると分かった貴重な1枚です。
【NEX-3/Speed Anastigmat 2.5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer Speed Anastigmat 1inchF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2012/06/28 Thu

不要鏡頭

NEX 3/Speed Anastigmat 2.5cmF1.5
F1.5の標準レンズを集めようというアイディアはけっして悪いものではなかったと思っています。
史上初の大口径レンズであるゾナーがあり、希少レンズの代表であるキノ・プラズマットがあります。
ノクトン、フロール、クセノンといった名玉があり、国産でも日本光学、キヤノン、東京光学などが同スペックのレンズを出していました。
ライカマウント以外でもF1.5は何種もあり、これらをライカマウント化することで、F1.5標準レンズは探せば探すだけ見つかるようでした。

しかし、そんなことが長く続くはずもなく、ついにネタは尽きます。
ここで止めてしまえばいいものを、焦点距離を変えてF1,5を継続蒐集してしまいました。
キヤノンの35mmとかズマレックス85mmなどすばらしいレンズを所有していましたし、58mmと60mmのゾナーなどというのもありました。
ただ、こちらもネタがなくなってくるまでに長くはかかりません。
ここで、本当に打ち止めとすべきなのですが…。

Cマウントのレンズに1インチ(25mm)F1.5というスペックのレンズが多くあるようです。
ただし、これらは35mmフォーマットをカバーしていませんし、APS-Cのサイズでも中央から遠ざかると画面が激しく流れておどろおどろしい画面をつくります。
使ったことがないとなれば1本くらいと考えても好いでしょうが、キノ・プラズマット1inF1.5、パン・タハー2.8cmF1.8、シネマトグラフ2inchF1.9とすでに所有しているわたしが、同傾向のレンズを増やす理由は見当たりません。

そこにポロっと登場してきたのが、ダルマイヤー・スピード・アナスティグマット1inchF1.5(以下"スピード"と略します)です。
キノ・プラズマットと同構成のためミラーレス・ユーザーに人気のレンズですが、ヤフオクを覗くと4本出品されていて、驚くことに96,000~168.000円と超高額です。
さすがに、このレンズにこれだけ出す人はいないと思いますが…。

わたし自身はスピードの2inch、3inchを探していますが、まずは出てこないですし、オークションなら3,000ドルとか4,000ドルとかしてしまうでしょう。
3inchは4本、2inchはわずかに1本存在が確認されただけです。
まずは入手困難レンズと断言できます。

そんな中、スピードの1inchがヤフオクの安い方の価格の3分の1ほどで、某カメラ店のカタログに掲載されていました。
欲しい焦点距離は手に入ることはまずないが、これなら相場よりずっと手に入れることができる、そんな欲が頭をかすめた次の瞬間には、すでにオーダーへと進んでしまっていました。

冷静になればヤフオクの価格は売れればラッキー値付けでけっして相場ではなく、いつの間にか価格が独り歩きを始めて我こそ相場なりとあぐらをかいているのを忘れています。
ずっと以前にキノ・プラズマットの1inchは100ドル程度で買っているのですから、スピードは相場の3倍でオーダーしてしまったと恥じるべきでした。
ただでさえ、無数に増えているレンズ群に、ライカマウント外が加わったことに、再度、猛省を促しているところです。
【NEX-3/Speed Anastigmat 2.5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer Speed Anastigmat 1inchF1.5 | trackback(0) | comment(1) | 2012/06/27 Wed

巴劇

NEX 3/Speed Anastigmat 2.5cmF1.5
この時期、暑いし、天気は悪いし、自宅でゆっくり欧州選手権を見たいしで見送りたかった今月の中国行きですが、週末、止むなく出掛けて来ました。
着いてみると、やはり蒸し暑くて、ずっと曇りで突然豪雨が降ったりの天気と予想通りです。
気温は30度まで行ってなかったようですが、湿度がかなり高くて外を歩くのがイヤになります。

ただ、ユーロはもちろんあちらでも生中継で見ることができます。
地上波の中央電視台が放映しているので、視聴者には日本よりよほどよい環境と言えそうです。
そればかりか、広東省では広東語放送の広州電視台でも同時に放送しており、日本でもハイレベルな大会を子どもたちが等しく観戦できるようにしないと、将来、代表チームの力が中国に追い越されてしまわないか心配になります。

それはそれとして、いつもなら事前に深圳からのショートトリップを計画して旅立っていたのですが、今回は、冒頭書いたような事情で、何にも作戦を練っていません。
あんまり遠出をしたくもないので、前々から気になっていたところへ行ってみようと考えました。
深圳市内なので路線バスに乗ります。

路線バスは、環境に悪いは事故も起こすはで、いまや社会の敵となりつつあるようですが、わたしとしては大好きな乗り物です。
満員混雑はご免ですが、バスの車内は時としてドラマが生まれる人間劇場と言えます。
すでにバスの運転自体が傍若無人で、我先にと車線変更を繰り返すのでまわりの車が避けてしまうくらいですし、車内でのトラブルは絶えず、今日この時間もどこかで運転手が乗客がドラマを演じていることでしょう。

今日の作例は、そんなトラブルとは無関係ですが、わたしから見ればひとつの小ハプニングと言えます。
前方の座席は足元が一段高くなっているため、ハイヒールの女性がそこに足を置かずにこちらに向けて来ました。
見るともなく見ていると、爪先を上げ下げして、まるでわたしに撮ってと誘っているかのようです。
これなら遠慮はいらないと思って、カバンの奥からカメラを取り出しノーファインダーで1枚失礼しました。
いきなりこんなスナップからスタートする今回も、せっかくの中国での貧果を予想させるには十分でしょうか。
【NEX-3/Speed Anastigmat 2.5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer Speed Anastigmat 1inchF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2012/06/26 Tue

蘑鏡頭

M8/Makro-Plasmat 5cmF2.7
ついに作例のネタが尽きたので、今日は作例写真にレンズの写真をあげることになります。
電話ボックスの鏡で写したので左右が逆像ですが、カメラが好きな人が見ても、ああ、いかにもライカの古いレンズですね、程度の感想しか持たないでしょう。
角度が悪いのでノンライツに詳しい人もパッと見てスルーしてしまうかも知れません。
ごくごく一部の人が、あっ、と声を上げる程度の知名度のレンズです。

もともとレンズ名は下に書いていましたし、沈胴だということにも触れましたので、まったく隠しておいたわけではないのですが、それでもオープンにするのにはためらいがありました。
先の某オークションで400万円近い値段で落札された、すでにレンズではなくなって骨董品ともいうべきレンズです。
もちろん、その落札者はわたしではありません。
価格もその20分の1以下で売られていたので、購入に踏み切りましたが、相場からすれば法外に安かったものの、古ぼけたレンズの値段としてはとんでもなく高かったと言えるでしょう。

レンズは、フーゴ・マイヤーのマクロ・ブラズマート5cmF2.7です。
わたしとしてはめずらしく、Cマウントの同名レンズのマウント改造ではなく、オリジナルのライカマウントレンズです。
同社のキノ・プラズマート5cmF1.5と双璧とも言えるレンズですが、やはりキノの方がハイスペックで描写も特徴が漲っているので人気や価格は大きく上回っていると思われます。
しかし、マクロ・プラズマートも、愛称キノコの美しいデザインが高く評価されています。

描写についての評価はよく写るということ程度しか聞いていませんでしたが、一昨年、今年と関西に赴いた際、ジオグラフィックさん、T-REXさんのご厚意で滞在中にお借りする幸運に恵まれます。
その時の印象とおふたりの評価から、よく写るだけのレンズではないということが理解できました。
解像力の高さとトーンの出方、そしてキノ・プラズマート同様の立体感です。
これらについては、ピンボケの今回、実感にまでいたりませんでしたので、来週また試すことで検証できたらと考えています。

さて、このレンズ事情があってksmtさんにまず届けられたので、浅草で渡していただき感動の対面となりました。
そのニュースを聞いたknpmさんも、それはお祝いしなくてはと、大切な用事の合間にわざわざ浅草まで出向いてくれました。
入手したわたしのお祝いではなく、レンズそのものの歓迎会を開催したかたちです。

へそ曲がりな書き方で申し訳ありませんが、ここにお書きした皆さんのおかげで手許にやってきたレンズであって、この場で深くお礼したいと思います。
いみじくもknpmさんから、一夜にしてクルマを手に入れたのといっしょですよ、と言われました。
マクロの名前から中間リングをかませて近接にしてとった今日の作例は、クルマではなく、やはり古ぼけたレンズに他なりません。
【M8/Makro-Plasmat 5cmF2.7 F2.7】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Makro-Plasmat 5cmF2.7 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/25 Mon

没有陽光

M8/Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8
沈胴レンズの方がピントがダメになってしまったので、止むなくレンズ交換することにしました。
先週も使ったダゴールこと、ドッペル・アナスティグマートです。
雨振りの日には、F値の暗い望遠は使いずらいのですが、このレンズだけがたまたまカバンの中に入れっぱなしになっていたので仕方ありません。

お昼の浅草から出発して長國寺まで歩き、友人が合流するということで、浅草まで戻って来てしまいました。
その友人はknpmさんのことなのですが、ひどく面喰いなことで知られており、ミス○○がきれいなのでと言っても、きれいな人なんてどこにいますと真面目に聞き返すほどハードルの高い方です。
ですが、今回の秋田観光レディならいけるだろうとksmtさんもわたしも共通意見になったので、どうせカメラをもって来るだろうから竿灯祭りの現場で落ち合うことにしようとしたのです。

実は、この日浅草で竿灯祭りのイベントは時間を置いて3回行われたのですが、ksmtさんとわたしは先の2回を見ていて、友人も合流する3回目でフル観戦になってしまいます。
観光レディにあの人たちストーカーだわと思われるのは是が非でも避けなければいけませんが、なにしろknpmさんに美人のポートレイトを撮ってもらいたいので、あえてその危険を冒したのでした。

しかし、紹介した観光レディに対するknpmさんの反応は冷ややかでした。
あいさつこそかわしたものの、撮影時はあちらの方がいいなあなどと言いつつ、観光レディの背後の恐らくは南米から来たと思しき金髪観光客を撮影するではありませんか。
またしてもわたしたちの目論見は当てが外れる結果となってしまいました。

さて、ドッペル・アナスティグマートではピントは問題ないものの、やはり手ブレばかりを量産しました。
普通の祭りではこんな状況では被写体ブレも起しますので、ブレブレでどうにもならなくなるでしょうが、竿灯祭りは比較的動きが少ないので、その点は救われました。

被写体はどうにかとどまっているようですが、真ん中をすたすたと歩くお兄さんはブレています。
なにかその姿が、せっかくの祭りにも無関心に通り過ぎていて、ユーモラスに感じられます。
かなりの美人でも反応のない友人に竿灯を持ち上げる技に目もくれない青年。
すべての人を惹きつけるのは簡単なことではないということなのですね。
【M8/Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8 F6.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Goerz Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8 | trackback(1) | comment(2) | 2012/06/24 Sun

沈胴鏡頭

M8/Makro-Plasmat 5cmF2.7
毎日毎日ひどい写す真を作例としてあげているので言うまでもないと思いますが、今回はさらに一段とひどいものばかりで、すばらしいレンズをこれだけ集めさせていただきながらたいへん申しわけありません。
ただでさえ、雨振りで撮影が厳しところに、恐るべき大失態を演じてしまったのです。
使ったレンズは沈胴レンズだったのですが、途中、一度引っ込めた鏡胴を再度引きだしたとき、完全に出さなかったためピントが狂ってしまいました。

たぶんコンマ何ミリか引っ込んだ状態なのでオーバーインフ、つまりすべて後ピンになってしまったのです。
昨日の作例は、アジサイにピントを合わせてksmtさんの顔がボケて分からないようにするつもりで液晶の確認をしたところ、なぜかだいたいレンズとksmtさんあたりにピントが来たていたので、次のカットで顔をフレームの外にしなくてはならなくなりました。
今日は、この大きな香炉(?)にピントを合わせたら中間の中途半端な位置にピントがきてしまいましたが、他に出すものも無いので、前ボケ、後ボケ、歪曲を見るためのテスト撮影だということにさせていただくことにしました。

わたしが、もう何年も前にライカを始めるぞと、いわゆるライカ本で機種選定したとき、まずボディはクラシックなデザインのパルナックが欲しくなり、どの型がいいのかてんで分からず、悩んだ末に著書がすすめるⅢfにしたのに対し、レンズはひと目見てこれしかないとエルマー5cmF3.5に即決しました。
理由は、それが沈胴でコンパクトになり、撮影時にいちいち引き出すのがいかにもライカっぽいではないかと思ったからでした。

それは初心者には甘い考えだったようです。
購入してすぐ沈胴を試そうと引っ張って固定しようと時計周りに回転させたところ、それはくるくると空回りするばかりでいつまでたってもセットできませんでした。
さらに、おかしいと力を入れてしまったものですから、クロームの美しくメッキされた部分に、擦った跡を付けてしまったのです。
沈胴レンズでよく見るリング状の跡です。

1枚も撮る前にキズ付けてしまい、やはりわたしにはライカなんて無理なんだと大きくへこんだことを思い出します。
その後立ち直ったものの、レンズの沈胴はトラウマで、基本的にはいじらないことにしています。
もともと、沈胴できるのが嬉しくて買ったエルマーですが、それができないなら出番はなく、ほどなくして買った、ジュピター50mmF1.5ばかりで撮影するようになって、やがてはレンズにばかり興味がいくという偏ったコレクターのようになってしまいました。

また、沈胴のズミクロン50mmF2というのもありますが、あれはちょこっと引っ込むだけで、なぜにそこまで沈胴にこだわるのか、という不可思議なデザインをしています。
その後の固定鏡胴のズミクロンのデザインがあまりにかっこいいので、沈胴ズミクロンは好きになれず、結局のところ、何にせよ沈胴を避けるようになってしまっていました。

そんなわたしが、つい先日、高価な沈胴レンズを購入してしまいました。
さらには先にかいたようなミスまでして、もうこのレンズがイヤになるんではないかと心配されるかも知れません。
ところが、今回は全然そうはなりませんでした。
理由については、また後日ということにさせていただきます。
【M8/Makro-Plasmat 5cmF2.7 F2.7】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Makro-Plasmat 5cmF2.7 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/23 Sat

欧洲還没很熱

M8/Makro-Plasmat 5cmF2.7
サッカーの欧州選手権は早くも予選ラウンドを終えて、昨夜から決勝ラウンドが始まりました。
ワールドカップより出場国が少ないために、予選があっという間に終わる印象がより強くなるようです。
その分1試合ごとの内容が濃いというのがユーロのウリでした。
でしたというのは、どうも、今回のユーロはけっして濃いゲームが続いていないように感じられてならないからです。

今までのユーロやワールドカップでは、興奮のあまりテレビにかぶりつくという試合が予選からいくつかありました。
今回は、試合の中で何分間かそういう時間が続くことは体験できたものの、1試合終わって、興奮のあまり寝ることができなかったというような充実感に襲われることが未だないのです。

連覇を願うスペインからしてダメです。
ボールの保持こそスペインらしさは出ていますが、予期できる範囲でしか回っておらず、サイドバックや前線の選手たちの動きが少ないのでポゼッションのみに終わっています。
3戦目は運好く勝つしかなかったクロアチアが後半に前掛かりになったので勝つことができましたが、うっかりすれば予選敗退してもおかしくない状況です。

いまひとつ盛り上がらない理由は何でしょうか。
ひとつは選手たちの疲労でしょう。
長いクラブのリーグ戦を戦い終えて、体は休みを求めているのに、立て続けにナショナルチームの激戦となって、気持ちは戦っているのに体はそうならなくなっているのではないか。

最低でも2点差以上の勝利が必要だった後のないオランダは、第3戦でポルトガル相手に最高のパスワークで試合を支配しました。
早々に先制して、なおも奇跡を起こす勢いでしたが前半途中から失速して、哀れ逆転されての3連敗で大会に汚点を残しました。
最初の20分だけ大会最高のパスワークを見せたオランダが、突然、別のチームになってしまった理由を説明するのは、疲労としか言いようがありません。

とはいえ、これからはノックダウン形式の決勝ラウンドになるのですから、必ずや、かつて味わった身震いするような興奮を感ずることができるのでしょう。
そうであってこそ、寝不足の中でがんばって3時半に起きて、ぽんやりした頭を奮い立たて視るだけの意味があるのです。
大いに期待しましょう。
4年前からずっと楽しみにしていたのですから。
【M8/Makro-Plasmat 5cmF2.7 F2.7】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Makro-Plasmat 5cmF2.7 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/22 Fri

可能拍勃拉姆斯了

M8/Makro-Plasmat 5cmF2.7
浅草からほど近い長國寺であじさい祭りをやっているというので、足を伸ばすことにしました。
お寺さんであじさい祭りと聞くと、鎌倉の明月院のように境内にたくさんのあじさいが咲き誇っているようなイメージを持ってしまいましたが、実際に着いてみると、そうではなくて鉢のあじさいがたくさん集められ即売されたりしているお祭りでした。
出店も並んでいて、本来なら多くの人出で活況を迎えているのでしょうが、残念ながら生憎の悪天候で客足が鈍いという表現通りの状況です。

おかげで、無料で振舞われていた、きゅうりのお吸い物を並ぶことなくいただくことができました。
これは、コブと椎茸の精進だしに特注栽培したという薬膳キュウリを入れていただくのですが、薬膳キュウリは生のはずなのに漬物のような味わいがあり、おだしはとろみの付いたしょうが風味仕立てで甘みとしょっぱみをうまくまろやかにしてあります。
いかにも喉に良さそうだと思いましたが、夏バテ予防によく効くのだそうです。

お祭りと銘打ったイベントでは、名物などがよく無料で振舞われますが、たいてい行列ができていて並んでまで食べたいとは思わないとみすみす旨いものを逃すことが多かったので、今回は幸運だったと思います。
浅草あたりのレストランでも出せば受けるのではと思わせる、意外な掘り出しものでした。

きゅうりのお吸い物レディが手持無沙汰ということで、ksmtさんがレンズについて説明しています。
例のフォクトレンダー・ウィーンのとても古いペッツパールです。
金色の外観からして注目度が高いのですが、これは江戸時代のレンズですとか聞くと、みな一様にびっくりした顔をするので、こちらも楽しくなってしまいます。
たぶん、そんなに古いレンズだと、なんとなく記憶にあるダゲレオタイプ時代のもやもやした暗いモノクロ写真を連想してしまうのではないかと思うのですが、現在のレンズとまったく変わらない写りを見て、またまたびつくりするのが愉快です。

ところで19世紀のウィーンといえば、会議は踊るのウィーン会議がありますが、これはレンズが製造される40年近く前になるようです。
ウィーンと言えば音楽家ですが、モーツァルトは前世紀に没してますし、ベートーヴェンも1827年に亡くなっています。
レンズが製造された1950年頃のウィーンは、古典主義からロマン派に移行したときで、例えばブラームスは、1833年にハンブルクで生まれ、1897年にウィーンで逝去しているので、彼を写した何枚かの肖像写真はもしかしたらksmtさんの手にしているフォクトレンダー・ウィーンのレンズで撮ったかも知れないなどと夢想することも可能です。

ペッツパール型のレンズは19世紀中頃に数多くのメーカーが製造していますが、何と言ってもペッツパール博士が設計したオリジナルがフォクトレンダーですし、恐らくはこのメーカーが当時の光学分野の頂点に立っていたはずです。
時代の寵児たちを撮るための最高級レンズとして使われたのは、すべてフォクトレンダーではと考えざるを得ません。
レンズが製造された土地に必ずしもとどまるわけではないですが、ウィーンのオークションで落札しているのですから、その可能性は否定できないでしょう。
レンズの地産地消ですね。
【M8/Makro-Plasmat 5cmF2.7 F2.7】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Makro-Plasmat 5cmF2.7 | trackback(1) | comment(2) | 2012/06/21 Thu

用英文開玩笑

M8/Makro-Plasmat 5cmF2.7
昨日、竿灯祭りを楽しみに浅草へ出掛けたと書きましたが、これは、ちょっとウソと白状しないといけません。
竿灯自体はすばらしいもので、アクロバティックでもあるので撮影向きでもあります。
しかし、はるか頭上にそびえる竿灯は、やはり広角レンズ向きで、わたしもペッツパールのksmtさんも竿灯の好さを伝える写真に苦戦します。

むしろ浅草に来た目的は、竿灯に帯同して来たあきた観光レディの方になってしまいます。
彼女たちはあくまで観光大使のような存在で、ミス○○のようにコンテストで選出された美女というのとは違うのかも知れませんが、それでも、秋田はこんなにレベルが高いのかと唸らされるような美しい女性でした。
さらには、外国人から話しかけられて、英語のジョークで返して笑いをとるユーモアも兼ね備えて、これは秋田とは言わず、世界に出て活躍してほしいと願って止みません。

ところで、ksmtさんはペッツパールはもともとがポートレイト撮影用のレンズなのだからということで、かなり積極的にポートレイト撮影しています。
ダゲレオタイプの撮影でのポートレイトのほとんどがそうであったように、ksmtさんの撮るモデルはレンズを見つめているのですが、この点について仲間内で以前、少々の議論がありました。

レンズを見つめることこそポートレイトであるというのがksmtさんの主張で、自然の表情を撮ったものこそポートレイトに良さが付加されるとの反論をしました。
まあ、どうでもよいことですが、例えばアイドルの写真集を見れば、レンズを見据える写真と自然の目線の物と両方の写真があるはずでしょうから、どちらでもいいということなのでしょう。
ただ、今回気付いたのは、ふたりを撮影して一方がレンズ目線もう一方が自然目線だと、どうにもならないものになってしまうということです。
もし自然の方を撮るなら、ひとりひとり撮った方がよさそうです。

と、今回の失敗作例の言い訳を書いてきたのですが、たまには、ポートレイトではないスナップ風の美女というのも悪くはないのではと思うのです。
いや、やはりこれだけきれいだったのだから、目線がどつちにあろうときちっとポートレイトで行くべきだったか。
世には、モデル撮影会なる行事があるそうですが、こんなんではわたしは参加してもなんにも撮れないのでしょうね。
【M8/Makro-Plasmat 5cmF2.7 F2.7】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Makro-Plasmat 5cmF2.7 | trackback(0) | comment(2) | 2012/06/20 Wed

维也纳的鏡頭

M8/Makro-Plasmat 5cmF2.7
先月のヴェストリヒト・オークションに出品されていたヌル・ライカが、2,160,000ユーロで落札されたことで話題になりました。
いくら希少な最初期ライカとは言え、普通に見たら小汚いカメラになんと2億円です。
他にもレアなカメラやレンズが軒並み超高値を記録したそうで、、もはやこのオークションは一般の方は立入禁止です、という高嶺の花になってしまいました。

と思っていたら、そんな中でksmtさんがレンズを1本落札していました。
さすがですが、ライヴ・オークションを見ていたというksmtさんには、ここで落札するための秘策で望んでいたそうです。
残念ですが、秘策なのでここに公開するわけにはいきませんが、オークションはいわば数字の世界てせすので、理系頭脳のksmtさんは、思いがけない方法でこのオークションを制していたのでした。

その祝勝会も兼ねて、土曜日に浅草でお会いして散策と撮影を楽しんで来ました。
予報が悪かったので、撮影向きではなかったのですが、浅草なら雨でも撮るものがあるだろうと考えたのと、秋田竿灯祭りのイベントがあったので、何よりそれが楽しみでした。

ksmtさんが落札したのは、フォクトレンダーのかなり初期のペッツパール・レンズです。
フォクトレンダーの真鍮レンズは、Voigtlander Wien und Braunscweigと刻印があり、後のものではWienが消えてBraunschweigだけになります。
一方、最初期のものはWienのみが地名として刻印されているのです。
さらに遡ると刻印そのものもないものが多いため、Weinだけの刻印のレンズはほとんど見ることがありません。

Weinのみの刻印には、実は、レンズ史的な意味が含まれています。
ペッツパール博士がレンズを設計しフォクトレンダーのカメラに付けて販売している中で、報酬の問題で両者は仲違いしてしまい、フォクトレンダーは狡猾にもペッツバールガ特許申請していなかったドイツのブラウンシュバイクで継続製造したのです。

刻印がいつから変わったのかわたしには分かりませんが、キングスレークによれば1849年にブラウンシュバイクに移っていたと書いているので、これと同時かやや後になってWien und Braunscweigになったのだろうと推測できます。
ksmtさんは自身のサイトに1851年製と書かれていますが、これは1949年と見做していいのではないかと思います。
出典は不明ですが、フォクトレンダーの製造番号年表を見ても1849年または1850年となっているのも、それを裏付けています。

さて、このフォクトレンダー・ウィーンのペッツパール、とてもとても良く写ります。
このタイプのレンズによくある像面湾曲もほとんど見られないようです。
よく言われることの繰り返しになりますが、この160年間のレンズの進歩とは何だったのでしょう。
ksmtさんには、おめでとうを言わなくてはいけません。
【M8/Makro-Plasmat 5cmF2.7 F2.7】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Makro-Plasmat 5cmF2.7 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/19 Tue

倍他一起玩

M8/Sonnar 5cmF1.5
これももう先週のことになりますが、友人のsummimomuさんに案内してもらい散策してきました。
summimomuさんはまだ若いですが、気配りのしっかりした心優しい青年で、誰からも愛されているのが分かります。
交友関係もプロの写真家からわたしのようなレンズ蒐集家まで幅広いですし、ここのソバが旨いとかあそこのエリアに不思議な喫茶店発見とか街角情報にも通じているのもまた彼らしいと言えます。

この日はまずギャラリーでカロタイプの写真を拝見しました。
カロタイプとか発明者のタルボットとか聞いたことのある名前でしたが、調べてみると、ダゲレオタイプのダゲールと同時代で当然競合したものの、ダゲレオタイプがフランス政府に特許を買い取らせて誰でも自由に使えるようにしたり、カロタイプはポートレイト向きではないので写真館で採用されなかったりで、カロタイプはマイノリティに甘んじたようです。
その独特の味わいに新鮮な魅力を見出されたのでしょう、あえて手間をかけてカロタイプにチャレンジされているのを目の当たりにして、写真術の原点に大いに興味を惹かれました。

続いて渋谷のギャラリーではオリンパスペンの写真展の見学です。
主宰されるマツケンさんに説明いただき、ペンによる一大オムニバスを楽しませていただきました。
圧巻は、スプールフリーにしたペンをカメラ固定で巻戻しクランクを回転させることで電車を1編成まるまる流し撮りした力作です。
こんな技があったとは。
ところで、名簿にれんずまにあさんの名前があったのですが、いくら探せど作品は見つからずでした。
残念。

続いてフォトシャトンへ、2度目の訪問です。
ちょうどフランスへの仕入れ旅から帰ったばかりの整理に忙がしい時だったにも関わらず、前回同様にいろいろなお話しをおうかがい
することができました。
大判用レンズなどで何かライカに転じられるものはないか探しましたが見つからず、しかし、何か他の物でもと物色した中で、面白い写真を見つけました。

名刺サイズの小さな女の子の写真ですが、凝縮されたような不思議な魅力があります。
こういう古い写真はこれで見るといいんですよと、ルーペを手渡され見てみるとなるほど濃縮感の源が見えてくるようです。
年代はどれくらいか尋ねると、奥さまが服装などから1930年前後ではないかと推測されました。
意外と新しかったのですが、これは密着プリントですねとご主人。
さらには、よく見てください周辺の非点収差の出方とか前に深く後に浅いという特徴からヘリアーで撮ったんじゃないかなと思ってるんです、との説明が決め手になり、1930年頃の女の子はわたしが連れ帰ることになりました。
撮影レンズが推測できる写真、なんて楽しいんでしょうか。

途中、summimomuさんの知り合いが働いている骨董屋さんに顔を出すと、そのお知り合いの美女、その週で辞めてフランスに留学するとのことです。
てっきりフランス語にあこがれての短期語学留学かと思えば、ユゴーの研究のため向こうの大学院に行かれるのだそうで、できれば研究者として現地でずっと頑張っていきたいと決意を語られています。
そんな才媛とも友だちとは、やるなsummimomu。

最後は、自由が丘のポー・トロワで夕食をとりました。
ほとんどの食材について産地や特徴を説明してくれる小さなお店です。
そういう所は得てして食材の好さに溺れて調理そのものがはてなマークだったりすることもしばしばですが、ここはその食材が旨いのではなく料理が美味のしっかりレストランを名乗れるだけのすばらしいところでした。
恐らくこういう料理を作りたいがそれに合うベストの野菜はと探求して出来あがった一皿一皿を提供してくれているのではないか、ご主人の皿をテーブルに置きながらの説明にそんなことを思いながら舌鼓を打ち続けました。

1日訪問した、忘れられたカロタイプを今に復活させるギャラリー、ペンをこよなく愛するマツケンさん、レンズとプリントに情熱を傾けるフォトシャトン、フランスに夢を託す美しきユゴー研究家、旨い食材を探求し理想の料理と結び付けるレストランオーナー、いずれをとってもこだわりという点で皆ひとつに繋がっているのに驚きました。
わたしもそうですが、彼らのように頑張ってください。
summimomuさん、楽しい散策、ありがとう。
【M8/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(1) | comment(1) | 2012/06/18 Mon

超便宜鏡頭

M8/Sonnar 5cmF1.5
この日は雨こそ降りませんでしたが、どんよりと曇っており、夕方暗いレンズでは厳しい状況でした。
1/30、1/15は、90mmレンズでブレずに撮りたいシャッター速度ですが、実際の歩留まりはいまひとつです。
とくに液晶上ではうまくいったように見えながら、拡大して見ると微妙にブレていたというがっかりを量産してしまい、修行不足を痛感させられました。

夕方用にはゾナーも持ってきていたので、無理せずレンズ交換します。
F6.8からF1.5に変えれば4.5段くらいシャッターが早くなるうえに、焦点距離も短かくなると、かなりの余裕を感じられます。
それに、全体がかっちり写るドッペルより、周辺が犠牲になっても中心がすばらしいというようなゾナーの方が、わたしの場合自然な表現と見えてしまうのが恐しいです。

今回使用した5cmF1.5のゾナーは、ブラック&ニッケル鏡胴の光喜タイプです。
コンタックスⅠ型は、カメラ自体がブラック塗装でしたので、レンズもそれに合わせてブラック塗装とニッケルメッキがなされています。
カメラの方は細かく型が分かれているようですが、レンズの方はどうなのでしょう。
わたしが知っている分類は、初期型最小絞りF8、初期型最小絞りF11、後期型(絞りはすべてF11まで)の3種類という分け型です。

もともとブラック&ニッケルの5cmF1.5のゾナーは、製造数が多いとは言えないと推測されます。
コンタックスⅠ型の製造は、1932~36年のおよそ5年間で、36700台しか世に出ていません。
一方、コンタックス用の5cmレンズはテッサー2種とゾナー2種があって、明るくなるほどぐんと高価になりますので、もっとも安価で写りにも定評があったテッサー5cmF3.5の数が圧倒的に多いはずです。
かたやゾナー5cmF1.5は、開放だとテッサーみたいにびしっとしないから結局絞ればテッサー使うのと変わらないので、わざわざあんなに高価なレンズを使う必要があるのかと考えた人が多かったに違いありません。

中古市場を見ているとたまにF1.5ブラック&ニッケルも出てきますが、えらく高いか程度の悪いものがほとんどです。
わたしの後期型もまさに後コーティングされた怪しい個体を安く入手したものだったのですが、先日のeBayでかなり好いものを前回と同程度の格安で手に入れることができました。

どうやって見つけたかと言えば、Ⅱ型にこのレンズが付いていたのを安く落札したのです。
説明の写真が暗く、一見するとニッケルには見えないのですが、斜めの写真に鏡胴の一部が黒っぽくなっているのが見え、製造番号がNr.1628404となっているのが見え、これがわたしの怪し気なゾナーと99番違いだったので、きっとニッケルだろう、もしかしたら同ロットかも知れないと判断できたのです。

出品物はカメラのことはよく分からんと書いている人で、どうもシャッターがちゃんと動いていないようだと説明
しているので入札者はほとんどなく、わずか200ドルほどで落札してしまいました。
その代わり送料は50ドルも取られましたが。
なるほどシャッターがすごく粘ってますし、ファインダーの見え方も辛いものです。
でも、これらは中国へ持って行けばなんとかなるでしょう。

問題はレンズでしたが、これはある程度楽観していました。
というのは、説明には書いていませんでしたし、写真でも分かりにくかったのですが、レンズにはフィルターが付いていたのです。
恐らくオーナーは、レンズにほこりが付いたり、それを拭ったためキズ付けたりするのを恐れてフィルターをずっと付けっ放しにしていたのではと想像しました。

予想通りキズは無かったですし、クモリやカビなども見られません。
とても好い買い物になり、そういうときは早く使いたくて、今回、着くや否やで持参したということなのです。

ただ、作例で分かるようにピントがいただけません。
素盞雄神社で神事が行われていたので撮影してみたのですが、まったくピントが合いませんでした。
ずいぶん前ピンのようですが、レンズを修理しなくてはいけないかも知れませんが、もしかしたらわたしのピント合わせが失敗だったのかも知れません。
後者のような気もしますが、今になっては、もう思い出せないのです。
【M8/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/17 Sun

丹麦人做的鏡頭

M8/Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8
レンズの説明が後回しになってしまいました。
このレンズは、例によってオリジナルのライカマウントではありません。
レンズヘッドとブラックのエルマー9cmF4を、中国の改造屋さんにコネクターで接続してもらつたものです。
もともと、エルマーはキズ玉だったので、ネジ止めなどでつなげてもらってもよかったのですが、アルミ削り出しの中間リングのようなコネクターを作ってもらったことで、もとのエルマーのレンズヘッドと簡単に交換できるような改造になっています。

ブラックペイントがかなり剥がれた鏡胴ですが、下地の真鍮が金色に出ていてレンズヘッドも同様に金色の真鍮なので実にフィットしています。
ただ、基部と距離表示まわりのクロームメッキは燻し銀風なのに対し、コネクターのアルミの銀はいかにもアルミという白いシルバーなので、この部分は合っていません。
このコネクターを渋く汚すなどできれば、金、ブラック、クロームの一体感が出て、オリジナルのレンズに見えるのではないかと思っています。
このとおり、外観はたいへん気に入っています。

レンズの鏡胴には、「DOPPEL-ANASTIGMAT D.R.P.Serie Ⅲ/00 F=90m/m C.P.GOERZ BERLIN No.60885」と刻印されています。
F値は記載がありませんが、資料によればドッペル・アナスティグマット・セリエⅢにはF7.7とF6.8のふたとおりがあり、距離の短かい方はF6.8だったようです。
それは他のライカエルマーとの比較でもおおよそF6.8くらいと実証されたので、間違いないと言っていいでしょう。

前面にフィルターネジが切ってあって、27mm径のフィルターが少し入っていきます。
径自体は27mmで、ネジピッチが現行のフィルターとは違うということだと思われます。
オリジナルと思しき虹彩絞りが付いていますが、クリックストップが無いのはもちろん、F値の表記も一切なく、M8のようなTTL測光できるカメラならともかく、使われていた当時のカメラでどのようにF値を設定していたのかよく分かりません。
最小絞りにするとエルマーとの比較F25くらいになっているようでした。
もともと暗いレンズで絞りを使うことは考えていませんし、ましてやF23など無用の長物ではあります。

ドッペル・アナスティグマットは1892年、エミール・フォン・フーフによって設計され、ツァイスに持ち込まれますが、大会社ツァイスではこれを採用してもらえず、当時新進の光学メーカーだったゲルツ社に認められ、欠員していたレンズ設計主任の座も獲得しました。
レンズ構成は、球面収差、色収差、非点収差を補正した三枚貼り合わせのレンズを絞りを挟んで対称に置いた2群6枚です。
貼り合わせレンズがすでに球面収差と色収差を補正しているのでアナスティグマットを名乗れるのですが、それがダブル(ドイツ語ではドッペル)に配置されているのでこの名が冠せられ、それによってコマも失くすという優れた設計です。

これより2年早い段階で、ツァイスのバウル・ルドルフが2枚貼り合わせのアナスティグマットを設計していて、それはすぐに3枚貼り合わせを含むいろいろな形のバリエーションに発展していたので、フーフの申し出が断られたのかも知れません。
実際、ドッペル・アナスティグマットの発売直後にはツァイスでもほとんど同様のレンズを出していたということです。

ドッペル・アナスティグマットは発売当初からたいへん評判のよいレンズで、1904年には長すぎる名前をダゴールに縮めています。
ゲルツ社自体は皮肉なことにドイツ光学企業のツァイス傘下に入ってしまいましたが、アメリカに別途ゲルツ社が設立され、なんと未だにダゴール銘のレンズは製造が続けられているそうです。
超ロングセラーのレンズですね。

設計したフーフは、元来がデンマークの貴族で、ドイツの工場に働きそこで独学によってレンズを設計したそうです。
ゲルツではツェローというレンズも大判・中判用としてよく知られていますが、これもフーフの設計です。
そして何よりゲルツと言えば、ハイパーゴンがありますが、これもフーフが1900年に設計したレンズで、彼の天才振りが理解できます。
残念ながらその2年後には健康上の理由でゲルツを去ってしまい、その後彼の名前がレンズ史に登場することはありませんでした。(以上、キングスレークの「写真レンズの歴史」より)

ダゴールは、F値が暗いのを除けば、文句なくよく写るたいへんすばらしいレンズです。
小型カメラ用のレンズは、20世紀に入って百花繚乱の時代を迎えますが、大判では改良されて製造が続いたことを考えれば、いかに優れたレンズなのかが分かります。

製造番号を見るとこのレンズは1901年の製造で、まだダゴール銘にはならず、フーフもゲルツに在籍していたときの貴重な個鯛です。
セリエⅢとありますが、これはドッペル・アナスティグマットの最初に出たレンズのシリーズで、なぜⅢなのかはよく分かりません。
00というのはもちろんシャッターのことですが、今でいう35mmとほぼ同等サイズのフォーマット用に設計されたレンズのようです。

作例を見てくると適度にシャープで、太陽位置に気を配ればこの年代としては良好と言えるコントラストを得ることができるようです。
ボケも自然で設計に無理がないことが理解できます。
発色もナチュラルだと思いますが、例えば子どもたちの顔が赤っぽくなるのは、この時代のレンズの特徴なのでしょうか。
90mmながら小型で全体のデザインのいいこのレンズは使っていて心地よさを感ずることができますが、くだらない締めをさせていただければ、これぞフーフ円満と呼べる愛すべきレンズです。
【M8/Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8 F6.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Goerz Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/16 Sat

神輿振

M8/Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8
向島にも長いできず、最後の目的地、南千住を目指すことにしました。
目指すのはいいですが、このあたりまで来ると交通に不案内で、どうやって行けばいいのかよく分かりません。
私鉄の1回乗り換えくらいで行けるような気がしますが、歩いてもたいしたことはないだろうと道路標識に従うかたちで進んで行きました。

途中、少年野球を見たり、ガード下で読書するおじさんを目撃しつつ、結局45分ほどもかかって南千住に着きました。
素盞雄神社というところで例大祭があるとのこと。
これなんて読むのかと検索すると、スサノオ神社と書かれています。
西暦795年、翁に姿を変えて現れたスサノオ大神の御神託により創建された神社と説明があって、立派な歴史に期待感も高まりました。

もう夕方になって着いたので、神社周辺はかなりのにぎわいです。
すぐわきの路地に早速、神輿を発見しましたがメインストリートに出る手前で神社を目指す人の流れが切れないためにずっと足止めされていました。
担ぎ手たちが早く進みたくて前のめりになっているのを、前方のお偉方が待て待てと止めているような状況に見えます。

これは絶好のチャンスとぱかぱかと撮影させてもらいました。
かなり陰っていたうえに狭い小道で暗かったので、撮ったうちの半分以上は手ブレになってしまいましたが、何枚かは一部被写体ブレの好ましい写真になったので、今日3回目の神輿の撮影はこれでよしといたしましょう。
担ぎ手から直視されるという感じではなかったのは、神社のすぐ脇で人通りが激しかったのがよかったようです。
前の2か所が多勢に無勢だったのが、ここで多くの援軍を得た格好です。

ところが素盞雄神社のサイトによれば、祭りは天王祭という名前で神輿振りという有名な所作があったようです。
神輿を地面すれすれまで左右交互に倒し振り合う大変荒々しく勇壮な情景と書かれていて、なるほど大勢の人が固唾を飲んでいるのが分かる迫力ある写真が見られます。
そういえば、別のところでそんなシーンを見ましたが、遠く撮影したのみでした。
交通の面もそうですし、由来も知っていれば見方も変わるし、こんなこともあったりもするので、やはり事前調査の上で出掛けるのが懸命のようです。
この日の行動はよい教訓になりました。
【M8/Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8 F6.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Goerz Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8 | trackback(0) | comment(0) | 2012/06/15 Fri

好吃嗎

M8/Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8
ダゲレオタイプに名を残す写真の発明者とも言える人の名はダゲール、ヌーヴェルバーグの旗手にして孤高の映画監督はゴダール、ガンジーらとイギリスからの独立を目指したインドの詩人にして思想家はタゴール…。
ややっこしくて恐縮ですが、今回使用したレンズはダゴールと言います。
レンズ名としては少し奇妙に響くかも知れませんが、Double Anastigmat Goerzの頭文字をとってDAGORとしたことはあまりに有名です。

しかし、よく見ると本来ならDAGOERの方が正しいのではと思えるのですが、Eは省略されてしまっています。
もともとドイツ語の名称がGörzとoの上に点々が付いたオーウムラウトであるため、外国語に表記するときにはGoerzとウムラウト付きのoをoeにするルールから来ているものと思われます。
つまり、もともとはDAGöRだったものが転じたのではとの考え方です。

それに、そのままDAGöRとかDAGOERとしておくと先述したダゲレオタイプのダゲールと紛らわしいということも配慮したのかも知れません。
もっともわたしにしてみれば、ダゲールもダゴールもゴダールでさえも同じく聞こえてしまうので、意味がないですが。

さて、今回手に入れたのは、製造番号から1902年製造と推定される比較的初期のダゴールです。
このレンズの刻印を見れば、上記のEが省略された理由が見えてくるのではと思いました。
実際、Doppel-AnastigmatとDoubleではなくドイツ語のDoppelが使われています。
しかし、残念ながらメーカー名はGöRZではなく国際的な表記のGOERZになってしまっていました。
ドイツ語のDAGöRから転じてDAGORになった説はもろくも崩れ去ってしまったようです。

長いレンズ名を省略するのはユーザーにはいいことのような気がします。
ライカのレンズは比較的短かい名前が多いですが、例外もあるのでダゴール式に縮めてみましょう。
Super Angulon Schneiderは、SASCH、サッシュに。
Apo Macro Elmaritは、AMELM、アメルムに。
Apo Tele-Elmaritは、ATELMです。
ライツの略号風ではありますが、レンズ名としてはかっこよくありませんね。

とここまで書いて、そうかと思い出しました。
Ernst Leitz CanadaをELCANと、すでにライカでもやっていました。
マツケン的な愛称を付けるような略し方は案外ドイツでもポピュラーなのでしょうか。
【M8/Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8 F6.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Goerz Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/14 Thu

金魚名人

M8/Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8
蔵前には20分もいたでしょうか。
あれれ、何か無かったっけなどとひとりごとを言いながら歩いているうちに浅草まで来てしまい、そのまま地下鉄に乗って向島へ出ます。
ここでも例大祭があるのですが、蔵前より規模が大きく、神社にも出店がいくつも並ぶとありました。
その神社の名前も白髭神社とあって、いかにも曰くあり気で期待大です。

確かに神社まわりはかなりの人出で盛り上がっていました。
ただ、神輿の方は町内会で出すせいでしょうか、やはり蔵前同様、ギャラリーは身内ばかりで外来の見学者はゼロです。
もちろん、お祭りを撮りに来たのですからカメラを構えますが、逆に神輿の担ぎ手たちになんでオレたちを撮るんだろうと不思議そうに見られたり、あの人誰かの親戚だったっけ誰のだろうとしげしげと見られたりしている気がして、見る側と見られる側の主客逆転が起こっているようで恥ずかしく感じ、とてもその場に長くとどまれなくなってしまいます。

わたしは小心者なので女性に声をかけて写真を撮ったり、今回のように撮る側の方が浮いてしまうようなシチュエーションではとても冷静さを失って、撮影どころではなくなることしばしばです。
いずれのケースでも余裕で撮影しているksmtさんには尊敬の念を禁じ得ません。
わたしがこんなときに逃げ腰で撮っているのがバレてしまうような作例を上げる中で、ksmtさんは彼女や彼らと一体になったかのように一番のタイミングでシャッターを切っているのがよく分かります。

今日の作例のようケースはいかにもわたし向きと言えるでしょう。
距離がある程度とられている上に角度もあって、余裕が持てます。
そのうえ、画面に登場している人すべてが金魚の方に神経を集中させているので、こちらに気付く心配はまったくないのです。
唯一気になったのが無数に泳ぐ金魚に見つかってしまうことでしたが、自宅の金魚たちがわたしを見るとエサをくれと暴れるのとは違って、ここでは彼らからとがめられることもありませんでした。

ところで、自分が子どもの頃の金魚すくいって、どんなにえまくても3尾までが限界で、4尾目をすくおうとすると必ず網が破れたとはっきり記憶しています。
しかし彼女、手つきはとてもいいとは思えないのに、見ている前であれよあれよと軽く6尾もとってました。
紙の製造技術が発達したからなのか、最近では金魚の元気もなくなっているからなのか、なにか金魚すくい事情が激変する理由があったのでしょうか。
【M8/Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8 F6.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Goerz Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8 | trackback(0) | comment(0) | 2012/06/13 Wed

蔵前国技館

M8/Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8
ここ数日、睡眠不足が続いています。
東欧の地で、4年振りのサッカー欧州選手権が開幕したからです。
金曜日から毎晩1時と3時半の2試合が組まれていて、金曜と土曜はともかく平日はかなり厳しくなります。
2試合とも観たいのはやまやまですが、体力とも相談して1試合だけ観戦するかしないかを日曜、月曜と続けました。

ただ、内容的にはすごくハイレベル、というところまでいっていないようです。
各国のリーグ戦が終わったばかりで選手のコンディションが好くないとか、ピッチの状態が悪いとか、新しいボールに慣れてないとか、決勝ラウンドに向けてペースを落としているとかいろいろ理由はあるのでしょうが、ほぼ10ヶ月間、毎日練習し、毎週試合するクラブチームのようにはすべてうまくやることはできないというのが最大の理由でしょうか。

それでも、遠く離れた地の熱戦をライブ放送で楽しめる幸福を噛みしめながら、ワンプレイワンプレイに一喜一憂したいと思います。
折しも大会が始まった日に関東は梅雨入りしましたので、雨の夜長に最高の愉悦に浸ることができます。


さて、今日からは、一気にドメスティックな作例が続く、東京下町散策シリーズになります。
一週前の6月2日はまだ梅雨入り前で、いまのうちにいろいろ撮影して、雨によるブログの中断が起きないようになどと考えて出掛けたものです。
ちょうどksmtさんのサイトにお祭りの写真が立て続けに出ていたので、そうだ、例大祭の季節だなと思い調べれば下町エリアにいくつかお祭りありとの情報を得たので、その方面に適当に向かってみました。

蔵前でもお祭りがあるとのことでしたので、やや遅れて午後2時くらいに着きました。
ちょうど神輿が近くを通るところでしたが、観衆は家族と思しき人が数人でちょっと寂しい空気が漂い、盛り上がっているという感じではありません。
照れの見られる神輿もそれはそれで面白くなくもないですが、今日は、たまたま見つけた雰囲気溢れる本屋さんの方にしました。

少し通りがかっただけ程度の蔵前なので皮相な印象ですが、ぽつりぽつりと古い建物が点在するうえに、駄菓子屋さんや花火屋さんなど懐かしいお店もあって、そういうものを求めに訪ねるのも愉快なのではと思われました。
もっといろいろと見どころがあったと怪しい記憶があったのですが、それが見当たらなかったのが不思議でした。
これは帰ってから分かったのですが、記憶違いの記憶は両国の方です。
たぶん蔵前と両国は相撲の関係で混同してしまったと思うのですが、こんないい加減な記憶力で、散策するので今後も好いことはありません。
撮影している時間より、あれ、どこだっけとひとりごちながらさまよっている時間の方がずっと長かった散策でした。
【M8/Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8 F6.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Goerz Doppel Anastigmat Ser.III 90mmF6.8 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/12 Tue

長沙的麗人

M8/Serenar 8.5cmF1.5
10時に友だちが合流してきたものの、結局、最終日も中途半端に時間を浪費するばかりでした。
無駄話しをしながら散策し、スーパーで買い物、最後はお昼をご馳走になり、最後はあっけなく湘譚を後にすることになりました。

スーパーでは、ぜひ日本へのお土産に買っていくよう勧められた土地の特産があります。
麻油辣腐乳と書かれた瓶詰めで、いかにも辛そうなオレンジの液体の中に豆腐のようなものがたくさん入っています。
液体の入った瓶詰は機内持ち込みできないので買うべきか悩みましたが、いちばん小さな瓶で110グラムというのがあって、これでも10グラムオーバーですが、その程度なら見逃してくれるかも知れないし、没収されても大した額ではないのでダメもとで購入してみました。

運好く、香港空港での荷物検査はパスできて、日本まで持って帰ることができました。
さっそく、翌日開封して口に含んでみると…。
おえーっ、これはとても食べれた味ではありません。
字面から好物の臭豆腐のようなものを想像していたのですが、そんな生易しいものではありませんでした。
味を表現するなら腐った牛乳にセメダインを混ぜてトロトロになった液体に半年漬けたブルーチーズと言えばなんとなく理解いただけるのではという、かなり刺激の強い超口撃的な掟破り食品と言っておきます。
もちろんひと口で即捨て。

湘譚からの帰りは長沙まで白タクを使ったのですが、これが遼寧で体験したのと同じユニークなシステムだったので紹介しておきたいと思います。
湘譚から長沙まで50キロあるのですが、交渉で100元で行ってくれることになりました。
友だちから相場は120元と聞いていたのにです。
車は普通の、と言っても中国の乗用車で、燃費を10km/リッターとすると往復100kmなので10リットル、1リットルは6.8元と言っていたので、燃料代だけで68元かかり、往復2時間で400円ほどの儲けにしかなりません。
いくら中国でも、それでは効率悪過ぎです。

チップとかふっかけられるのではと不安で乗り込みましたが、30分ほど走ったところで安い理由が理解できました。
中間地点にもう1台の車が待ち構えていて、そちらの客がわたしの乗ってきた車に乗って湘譚へ行き、わたしは待っていた車に乗るよう言われそれで長沙を目指します。
つまり、車は中間点まで行って客を入れ替えるので燃料代も時間も半分で済んでしまうのです。
各地の白タク仲間が携帯で連絡を取り合うことで、成立するたいへんユニークな方法です。
指定された場所で客が入れ換わる様は、まるで敵対する二国間での人質交換のようで、意味もなくスリルを感じもしました。

いいことのまったくない旅でしたが、とくにセレナーを昨日の一時を除いて使っていなかったのがたいへん気になっていました。
長沙の駅で20分ほどの待ち期間があったので何か撮るものはないかと思ったものの、出発直前までホームには降りられないし、美女でもいないかと探してみたものの見当たらずですっかりあきらめました。
コンビニでドリンクを買ってベンチで飲もうと腰を降ろすと、その視線の先に、先ほど来探せど探せど見つからなかった美女が。
セレナー8.5cmF1.5のポートレイトレンズとしての優秀さを示す絶好のチャンスでしたが、席を発ってまで撮りに行く行動力も時間もわたしには残されていませんでした。
【M8/Serenar 8.5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Canon Serenar 8.5cmF1.5 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/11 Mon

癖之権

M8/Xenogon 35mmF2.8
昨年9月、10月と続けて使ったシュナイダーのクセノゴンですが、前玉にフキキズありで全体にフレアがかったような絵になってしまっていました。
いったんこれはダメだとなったのですが、よく見ると中玉にクモリがあって、フレアの原因はむしろそちらのように思えました。
わたしは分解清掃など一切できない不器用な人間なので、これは深圳の修理屋の順平さんにクリーニングを頼むべきだろうとお願いしていました。

先月、いちおうできたけどと順平さんから連絡があり受け取ったものの、クモリは完全には取れないとのこと。
もちろん、キズがなくなることもないので、写りがどれだけ改善したかは未知数でした。
あまり変わり映えしてないかも知れませんが、遠出する今回、試してみることにしたわけです。

作例は昨日と今日の2枚だけですが、かなりくもりの影響が減少していることは分かりました。
コントラストはややよくなりましたし、少なくとも合焦部分のハイライトは滲まなくなったようです。
しかし、昨日の作例では手前のバイクの金属パーツがわずかに滲んでいますので、ボケ部分は滲みが出るのは避けられないようです。
今日の作例はいわゆる腰だめのノーファインダースナップで、レンズの状態をみるものとしては不適切ですが、高性能のはずのこのレンズで背後の樹の流れが非点収差の流れを見せていてどうにも気になります。

数ヶ月待って数千円かかっての修理としてはちょっと微妙な結果になりました。
このレンズには、もうひとつフォーカスノブがM型ライカのフレームセレクターレバーに引っ掛かるという問題があるので、このまま所有し続けるかはさらに微妙です。
もともと広角レンズはあまり好きではないので、ちょっと考えたいと思います。

レンズを見る作例としてはパッとしませんがあえてこれを選んだのは、この狭い通りが気に入ったからでした。
昨日、この辺りは整備されてしまって面白くないと書きましたが、歩きまわって、唯一開発を未だ逃れている一角を見つけたのです。
恐らくはほんの200メートル四方くらいの狭いエリアでしたが、古い建物がそのまま残り、そこがクランクのような小道を形作っているのが好い感じでした。

短かい通りなので普通に歩いたら、あっという間に通りぬけてしまいました。
そこで、またUターンして今度はゆっくり歩き、すれ違う人をキャンディッド狙いです。
そういうときに限ってあまり人が通らなくなり焦りますが、ここで立ちどまってしまうのも不自然なのであとは運任せですが、またUターンはできればしたくありません。

そこへ運好くあらわれたのが作例の母子でした。
3メートルにピントをセットすると、だいたい頭から足がぴったり入るので、フレーミングガズレ無いようカメラをももにぐっと押しつけました。
あらためて見てもやはり採用するのに悩むスナップでしたが、子どもの手がママの腰を抱いているのがまあまあユニークなのでこれでいいかとしたわけです。
お母さんのボディラインはまだ保たれているようなのがそれとなく分かりますが、それは、湖南省が世界一とうがらしの消費量が多いことと関係あるのかも知れません。
【M8/Xenogon 35mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Schneider Xenogon 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(0) | 2012/06/10 Sun

過馬路

M8/Xenogon 35mmF2.8
湘譚、そう言っても、知る人はほとんどいないでしょう。
湖南省の省都の南西50キロほどに位置していることは、前夜、長沙の高速鉄道駅からの帰り道で知りました。
これといった名所のない退屈な町だとは、到着した夜のタクシーの運転手が教えてくれました。
また、毛沢東の故郷である韶山が近いとは、友だちが事前にメールしてくれていました。

湘譚で知るのはこれだけですが、それで十分です。
韶山に行きたいかと聞かれましたが、日本では毛沢東は悪人で人気が無いから行きたくない、できれば張谷英村に行きたいと言って、それなら2時間半くらいだからちょっと遠いけどと聞いたので出掛け、結局片道5時間もかかって時間を無駄にしたのはこれまで書いたとおりです。
湘譚という地名から、湘南と譚(物語の意)で湘南物語という言葉を連想したわたしはかなり愚かだったのだと気付かされました。

朝、ちょっと遅めに目を覚ましてホテル周辺を散策しますが、まったく楽しくありません。
町の中心地だつたこともあって、中途半端に整備され過ぎていてこの町らしさのようなものを感ずることができないのです。
作例は、ホテルの近く、脚が全然来なくて退屈し切る、バイタクと三輪車タクの運転手たちの姿です。

こんなならいっそそのタクシーに乗ってどこか古い町並みが残るところまで連れてってと頼むか、路線バスにでも乗って雰囲気の良さそうなところでぱっと降りるかすればよかったのですが、1時間後に友だちと待ち合わせしていたので近場で何か見つけようと歩いたのが失敗でした。

失敗といえば、こんなことがありました。
ホテルを出てまさにその前の通りを車が切れたところで横断したところ、いきなり笛がピーッと鳴って、老人ふたりに捕まってしまいました。
訛りのある言葉でよく聞き取れませんが、道路を横断することは違反だ、20元払え、と言っているようです。
老人はボランティアでしょうか、町の交通が乱れないよう監視しているようで、市政府発行の道路横断規程のような紙を見せて、罰金部分を読み上げています。

規程があるのてせあれば、わずか20元ですし罰金を払わざるを得ません。
が、片側一車線の危なくもない道路には、どこを見渡しても横断禁止の文字は見られず、旅行中の外国人かせそんなことを分かるはずもありません。
相手が警察ではないこともあって、あなたの言っていることが分かりませんと英語で返し、立ち去ろうとしてみました。
すると、老人が逃がしてなるかとわたしの腕を掴み、何やらまくしたてだしました。

わたしは半ば20元は払ってもいいかくらい思っていたのですが、思いの他強く腕を掴まれたのと老人がたばこを吸ったままだったのに腹が立って、その腕を振り払いまたホテル方向へ通りを渡って行きました。
振り替えると老人ふたりは、口をあんぐりと言う顔つきで追って来ることなく呆然としています。
何かがっくり来たような表情にも見えました。

その後の散策で、町のあちこちで同様に交通監視しているのを見かけました。
すべて老人で、かなりの人数です。
あれだけの人数では市も給料までは出せないだろうから、たぶん引退した老人たちがボランティアでやつているのだろうと想像したのですが、であれば、違反者からの罰金がそのまま彼らのお小遣いになるのではと連想できました。

規程を知っている地元の人が捕まるはずはなく、かと言って退屈な町を訪れる外来者は少ないので、罰金をとる千載一遇のチャンスがやって来たのに、そいつはなにか分からない言葉を吐きながら逃げてしまったと落胆したのかも知れません。
急にあの老人たちが気の毒になってしまいましたが、旅にあってこういう失敗はしばしば起こることで、後悔してももうどうにもならないのです。
これが、わたしの湘南物語だったのかも知れません。
【M8/Xenogon 35mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Schneider Xenogon 35mmF2.8 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/09 Sat

初高鉄

M8/Elcan 2inchF2
岳陽のバスターミナルに着いてから慌てて湘譚行きのバスを尋ねますが、5時前だというのにもう無いと冷たく言い放たれました。
友だちは激しく動揺しましたが、わたしは全然落ち着いたものです。
湖南まで来るときに高速鉄道に乗っていて岳陽にも駅があるのを確認してあったので、駅まで出れれば夜遅くまで列車はあると考えていたからです。

この後に及んでも岳陽には高速鉄道の駅などないと友だちが寝ぼけたことを言うので、彼女をともなってバスの案内所で高鉄の駅にはどういくのか聞くと、タクシーでわずか5分とのこと。
それでも半信半疑の顔をする友だちを納得させるため、車を停めて駅まで向かいましたが、できたばかりですと主張するかのような真新しい駅舎を見ても、まだ間違いを認めない彼女の強情さにはわたしが舌を巻くしかなく、長沙行きのチケットを手にしてようやくわたしを信用したかのようでした。

この頑なさっていったいどこから来ているのでしょう。
実は、彼女は岳陽の出身で卒業までこの地の郊外に暮らし、いまは叔父が経営する会社で働くため彼ら一家とともに湘譚で生活しています。
どうもその叔父が年頃の姪を危険にさらすわけにはいかないと、門限を設定したり休日も外出をなるべくしないようしむけているようです。
箱入り娘というやつでしょうか。

休みの日や仕事から戻ったら何をしているのかと聞けば、家の手伝いとそれ以外はずっとテレビを見ていると言います。
ただ、やはり見るのはドラマやバラエティのようなものばかりで、ニュースはまったく見ないと平然と答えます。
では、情報はどこから得るのかと言えば、勤務先や家庭で人から教わるから問題ないと胸を張ります。
こんなことでは、世界はもとより、中国国内や地元でさえ何が起こっているかなんて、把握する方が無理というものです。

これは何も彼女ひとりが特別なのではありません。
中国の地方で普通に育てば多かれ少なかれこんなふうな生活になってしまうようで、本当にみんな視野が狭いと感じます。
余計なことは知らず、知ろうともせず、管理されたところから流される情報だけ信じる彼らは為政者からも都合がよい人たちです。
この日の夜、わたしはシリアで大量虐殺があったという中央電視台のニュースを見ましたが、よもや国連での制裁決議に中国自らが反対したことがこういう結果を招いていると想像する余地すらつくらせないのは当然のことでした。
もっとも、こんなニュースを彼らは見ていないのだし、シリアなんて国の名前も知らないという人はかなり多いことでしょう。

さて、乗りたくないから知らぬふりをしているのではと思えるほどの冷徹な反応の彼女でしたが、いざ乗車となると初の高速鉄道体験に興奮を隠せません。
張谷英村では使わなかった携帯で座席周りを撮影し、すごい勢いで流れ去る車窓の風景に目を瞠っています。
バスでは1時間半かかるそうですが、その3分の1の時間で着いてしまって、まだ乗っていたかったようなことまで言っていました。
未知のことは自らの体験をもってしてやっと理解するというのが、かれらの典型パターンということですね。

作例は、その彼女とは関係なく、ホテルの向かいにあったデパートのテナントで、軽食が食べられるジューススタンドのような店の店員の女の子です。
道路に面しているためデパートが9時に閉まってもそのまま深夜まで営業を続けていたので、2日続けて涼麺を食べに行きました。
涼麺は湖南ではよく食べられている汁なし麺で、麺に出来あいの具材を何種類も混ぜてかきまぜるだけのものですが、これが抜群に美味しいので日本でもこれを導入すれば冷やし中華は駆逐されるのではないかと思うくらいです。

夜遅くで他に客も無かったので、彼女たちと無駄話しをしました。
近くの村から出てきて半年くらい、長時間の立ちっぱなしはたいへんだけど慣れてきた、もっと都会で働いてもみたいけど、ここならいつでも実家に帰れるし、環境も悪くないし…。
彼女たちにシリアのアサド政権の問題がどうこうと話しても無駄なことで、なにより疲れて家に帰ってテレビを見たとしても、なにも考えずに見られるドラマとかでじゅうぶんなのだろうなあと思わされました。
明日、日本に帰るので記念にと撮影させてもらいましたが、うまく撮れませんでした。
ほんとはふたりとも、かなりの美少女だったんですけれど。
【M8/Elcan 2inchF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Elcan 2inchF2 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/08 Fri

回去

M8/Elcan 2inchF2
はるばる張谷英村までやってきて、着くやいなや散策することおよそ20分。
それから食事にまた40分ほど。
まだ1時間程度でこれからがんがん歩くぞと気合を入れ直したところで、同行の友だちがもう帰らなくてはいけないと言いだしました。
用事でもあるのと聞くと、いま戻らなければ帰れなくなるかも知れないとの答えです。

ここ張谷英村からバスで近くの大きな町である岳陽まで2時間かかりますが、岳陽から湘譚までのバスがなくなってしまうというのです。
うながされてバス停に行くとちょうど岳陽行きのバスがこれから出るところでした。
よく見れば来るときに乗ってきたバスです。
車掌のおばさんがすぐに気付いて、えー、もう帰るの、つまらなかったのと聞かれて、申しわけない気持ちです。

今回の湖南滞在は深夜着の2泊3日で、明日の午後には深圳に向かうため、実質的にはこの日のみがゆっくり過ごせるはずだったのですが、とんでもないことになってしまいました。
朝8時に湘譚のホテルを出て近くのバスターミナルから8時20分のバスで岳陽へ。
1時間半くらいで着くと聞いていたのですが、到着は10時半になり、隣接するバスターミナルからの張谷英行きも30分くらいと聞いていたのに2時間ちょっともかかりました。

リサーチ不足と言えばそれまでですが、やれ1時間半で着く、30分で着くと聞いていれば、ぜひ行ってみたいと思うわけで、片道5時間かかる、しかも、帰りのバスの時間を考えて現地滞在はせいぜい1時間だと知っていてのこのこ出掛けていくはずはないのです。
がたがたよく揺れるバスの中で、わたしはすっかり意気消沈ですが、わずかな時間でも行ってみたいと思っていた目的地を見れた友だちの方は大満足で、わたしの落胆が理解できないようでした。

実務的に困ったのが、これではブログに掲載していけないという問題です。
中国に行って写真を撮りまくり、2週間にわたってだらだらと毎日ブログを更新させるのを慣例にしていますが、撮影枚数自体が25枚程度で、もちろん失敗も何枚かあるので、このままでは枚数が足りなくなるという不安があります。

そこで、車窓からの風景も採り入れようと撮ったのが今日の作例です。
ふだんは、バスから撮るなんてことはまずないですし、寝ていることの方が多いのですが、この日は田植えのシーンとか撮れればと外の風景にかぶりつきでした。
ただ、中国のバスはかなりのスピードで飛ばしますし、通路側の席ですので、前方の状況を見てスタンバイするというのもできず、案外苦戦を強いられました。

無限遠にセットしていたつもりが、どこかでずれたのかずいぶんと前ピンになってしまいましたが、農夫の姿は何ものにも代え難く、これを採用いたします。
できれば、背負われた大きな農具をどのように使うのか見てみたかったのですが、それも叶わぬあっという間の風景でした。
そんなわたしの姿に、この日本人は何て写真好きなのだろうと笑っているようです。
友だちだというのに、最後まで理解いただけなかったと思うと寂しいものですね。
【M8/Elcan 2inchF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Elcan 2inchF2 | trackback(0) | comment(0) | 2012/06/07 Thu

糖和鞭子

M8/Serenar 8.5cmF1.5
3日ほど前、セレナー8.5cmF1,5は、ガウス型と思っていたらゾナー型だったので購入したのだと書きました。
ところが、キヤノンカメラミュージアムというサイトでこのレンズの項を見ると「4群7枚構成によるガウス型の大口径・中望遠レンズで、1951年発売のセレナー85mm F1.9Iの発展型である」と書かれています。
おやっと思い、同サイトに掲載されている構成図を見ると、確かに後群はゾナー分離とか言えない3群目の最初が凹レンズになっていました。
3群7枚ゾナーの改良というのは、どうやら誤解だったと気付きましたので、お詫びと共に訂正させていただきたいと思います。

ただ、書かれていたように、ガウス型と言いきるには抵抗があります。
少し前に出て並行して販売されていたセレナー8.5cmF1.9の発展型ということでガウス型と分類しているものと思われます。
それよりも、2群目が3枚貼り合わせになっているのは、あまりにも有名なシムラー(トプコール)5cmF1.5とまったく同じかたちですので、ゾナー+ガウス折衷型と呼ぶべきではないのか。
しかも、セレナーの方が3年早く発売されている…!

シムラー5cmF1.5は、すでに戦時中に有名な富田氏が設計して特許を取っていましたので、やはりこちらの方が早く世に出たことになります。
セレナーも発売できたのですから特許に触れることはなかったのでしょうが、東京光学の後塵を排しているところから8.5cmF1.9の発展であって前群もゾナーではないと突っぱねている感がなくもありません。
設計もキヤノンではあまりにも有名か伊藤氏なので、大先輩かつライバルだったであろう富田氏の真似をしたと思われることがないようガウスと言いきっているとは言えないのでしょうか。

前群が2群で1枚目にメニスカス、2枚目に3枚貼り合わせの場合、何をもってゾナーかガウスに1枚追加したものかを判断する理由を知りたいものです。
このままでは、偉大なる伊藤氏にあらぬ疑いをかけたままになってしまいます。

それはそうと、このレンズの抜けの良さはどうでしょうか。
85mmレンズ同志で比べてみても、新種ガラス前のズマレックスやノンコーティングの戦前ゾナーよりもいいのは当たり前ですが、以前に使ったキヤノンの4種の同焦点距離のレンズの中でもいちばんのように思われます。
キヤノンの中ではガラスの数が1枚多いはずなのですが。

また、それと関係するのか、このスペックのレンズにしては被写界深度が深く感じられます。
50mmF1.5で撮ったくらいに見えるのですが、いかがでしょうか。
写りが素直で、ピントも良い、さらに深度も深いとたいへん使いやすいレンズですので、昨日、オールドレンズ女子に愛用されるべきレンズと書いたのも、それほどウソではないと思えてきました。

木陰からこっそり狙ったカットでしたが、この1枚の直後に彼女にばれて何やら文句を言われます。
よく聞き取れないのでそのまま撮り続けると、ふたりして起こりだしてしまいました。
勝手に撮るなと言っているようです。
そんなのは慣れっこです。
いやいやボクは中国語ができないんでもっと撮ってと言っているのかと思ったんだ、ごめんごめん、と日本から持参の飴を差し上げると途端に仲好しになってしまいました。

いつものパターンですが、未知の国から来た人間がその国の品物をくれたというだけで、わたしたちのとはどう違うんだろうと興味津津になってくれるのです。
誰が名付けたか、勝手に撮りまくって文句言われると飴をあげるところから、ムチとアメ作戦です。
ただし、ちっちゃな子にはたいへん有効なものの、大人の女性に成功したためしはありません。
【M8/Serenar 8.5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Canon Serenar 8.5cmF1.5 | trackback(1) | comment(2) | 2012/06/06 Wed

老鏡頭女子

M8/Serenar 8.5cmF1.5
5月21日、金環日食で日本中が湧きかえったと思ってたら、昨日は部分月食があって、なんと明日は金星が太陽の前を通過する現象が見られるとか。。
きっと天体ファンにとっては、お盆と正月が一度に来たようなたいへんな状態なのではと思います。
なにしろ、どれもが千何年ぶりとか、次に見られるのは百何年後とかいうのですから、スケールの大きさに圧倒されます。

この状況をほっておくはずがないと思っていたら案の定、今日のニュースで紹介されました。
宙ガールと書いて「そらがーる」と読む、天体を愛好する若い女性がめきめきと増えているのだそうです。
映像に登場した女性たちは、ガールと呼ぶには厳しいものがありましたが、空のロマンを語らうさまは、この世界も圧倒的に男性ばかりと聞いたことがあっただけに、なかなかうらやましく感じられました。

同様のものに、山ガールとか釣りガールとか墓ガールとかあるそうで、いずれの分野も女性はマイノリティだったはずが、何かのきっかけで彼女たちが一気に進出してブームを作り出しているようです。
写真分野でも、何年か前にカメラ女子という言葉が生まれて、日常からカメラを持ち歩く女性が激増し、ミラーレス一眼レフの大ブームの引き金になったのは記憶にあたらしいところです。

ミラーレス一眼といえば、マウントアダプターで古いレンズを使うのがはやりましたが(過去形でよいのか分かりませんが)、これはもっぱら男性の嗜好のようです。
ましてや、ノンライツレンズマニアとかマウント改造までして古いレンズで撮影する女性は皆無に近いでしょう。
とすると、もしかすると、近い将来、オールドレンズ女子とかクラシックレンズガールなどというブームが起こるかも知れません。

「ブラナーⅠ類a50mmF3.6の写りってかわいすぎる。これでテッサーより前に設計されたなんて、この100年のレンズの進歩ってなんだったのー」
「なに言ってるの。ルドルフ博士ならキノ・プラズマートでしょう。よくぐるぐるがどうこうばかり言う人がいるけど、やっぱあれは、立体感とぬめっと濡れたような表現よね」
なんて会話が横浜のワインバーあたりで語られる日が来るのを心待ちにしたいと思います。

万一、その日が来ても上述の超レアレンズを彼女たちが手にする機会はなかなかないでしょう。
オールドレンズ女子に人気が出るとしたら、案外とこのセレナー8.5cmF1.5も有力なのではと思っています。
なぜなら、全面光沢のクロームとシアン系のコーティングがなされた大きな前玉が、宝石やアクセサリーのような感覚で美しいと感じられるだろうということがあります。
それにミラーレスカメラのCMでは自由にボケをコントロールできると強調していましたので、ボケの大きなこのレンズは魅力に写るはずです。

ただ、このレンズは760グラムと超ヘビー級です。
愛用する女子がいるとすれば、やはりヘビーな彼女たちということになってしまう可能性は少なくないです。
【M8/Serenar 8.5cmF1.5 F1.5】
Canon Serenar 8.5cmF1.5 | trackback(0) | comment(3) | 2012/06/05 Tue

另外的一本

M8/Serenar 8.5cmF1.5
いまのキヤノンとニコンのどちらがより多くのレンズを発売しているかは分かりませんが、どちらにしてもより多い方が世界一多くのレンズを提供しているメーカーということになるでしょう。
戦後のレンジファインダー期ということであれば、それはキヤノンで間違いありません。
なんと34種ものレンズを発売していました。
キヤノンでは、例えば50mmF1.8はⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型のように別れていて、そういうレンズが多数あるのをひとつに数えてでもです。

35mmは6種あり、50mmではなんと11種もありました。
これらは改良されて新しいものが出ると古いものが発売中止になるのが普通ですが、中には同じ焦点距離でF値が違うレンズが並行して発売されたりということもあって、ユーザーにはなかなかに悩ましい選択があったりしたのかも知れません。

85mmですら4種もあって、それは下記のとおりとなります。

85mmF2.0 1948-52年
85mmF1.9 1952-61年
85mmF1.5 1953-61年
85mmF1.8 1961-71年
 
F1.5のみF1.9と販売期間がほぼ重なっています。
それ以外を見ると、F2がまず発売され、5年後にF1.9にとってかわり、さらに10年後にF1.8に切り替わっていることが分かります。
恐らくこの3本はガウスタイプで設計されていると思うのですが、なぜかF値が0.1ずつ明るくなるようなバージョンアップをさせているのが面白いところです。

ただ微妙に明るくなっただけでなく、性能面でも向上していると思うのですが、どの程度のものかはまったく分かりません。
この3本とも少しずつ使ったことがありますが、いずれも性能は高かったと記憶しています。
大雑把に言って、少なくともゾナー85mmF2と遜色あるものではなかったと思います。
そうなると、よりよいレンズが出来たからそれを使ってもらいたいんだというよりも、売らんがためのモデルチェンジだったのではなどと疑いがでないでもありません。

前述のように85mmF1.5はこの流れとは一線を画するレンズで、例えばツァイスがゾナーF2とF1.5を並行して出していたように、F1.9と8年以上同時に販売していたのですから、その意味についてはよく考えてみる必要があるでしょう。
レンジファインダー時代に中望遠レンズが2種というと、コンタックスにゾナー85mmF2とトリオター85mmF4があった例をすぐさま思い浮かべますが、性格はかなり違うような気がします。
F2とF4は描写にかなりの違いが出ますが、F1.9とF1.5は違いがより小さいということがあります。
F4を持っているユーザーがF2もと考えるパターンは、F1.9を持っているユーザーがF1,5もと考えるよりずっと多いでしょうから。

近いのは、ライツのズマレックス85mmF1.5とズミクロン90mmF2との関連でしょう。
ただ、これも先に出たのがズマレックスでソフトな印象のレンズなのに対し、ズミクロンは新種ガラス採用でだいぶ写りが変わっているので、やはりキヤノンの85mmペアとの比較には無理があると感じます。

そこで想像するのが、85mmF1.5はキヤノンを代表するレンズとしての位置付けにしたかったのではないかということです。
REXには王様の意味があるのでズマレックスとはライツのレンズの王様のような意味が込められていると聞いたことがありますが、それと同スペックで性能で上回るキャノンの85mmF1.5は王様中の王様だと主張したかったのではないか。
あるいは、50年代になってグラフ誌などがひんぱんに出版されると、ポートレートの需要は一気に高まり、プロ仕様だとアピールすべくキヤノンは85mmF1.5を使わせたかったのではないかとも考えられます。

いずれにしても、F1.9とF1.5の2本がある中で製造数は圧倒的にF1.9の方が多かったようで、F1.5は中古市場でそれほど目にする機会のないレンズということから、F1.5が高価で持つ人の少ないレンズだと分かります。
それを遠慮なくスナップに使うという当時には考えられなかった贅沢を味わえるのが、現代このレンズを使う最大の意義かも知れません。
【M8/Serenar 8.5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Canon Serenar 8.5cmF1.5 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/04 Mon

佳能鏡頭

M8/Serenar 8.5cmF1.5
昨日の午後はカメラを持っての散策だったのですが、使ったレンズのうち1本がゾナー5cmF1.5でした。
夕方の順光をとらえた写真があまりに好い感じで、ゾナーの印象はあまりに鮮烈でした。
そのため、夜、ブログをしたためていて、ほんとはセレナーのことを書きたかったのに、導入にコンタックスがゾナーがと書いているうち、すっかりゾナーのことに終始してしまいました。

気をとりなおして、本日はセレナーの紹介です。
レンジファインダー・キヤノンには、2種の85mmF1.5レンズがあります。
一般には初期型とⅡ型のように分けられていますが、1953年から61年間販売されていた同レンズは、58年からⅡ型に切り替わったようです。
初期型は全面クロームメッキなのに対して、Ⅱ型は一部にブラッククロームが使われて、外観上ははっきりと両者の違いが分かるようになっています。

ただ、レンズ構成は4群7枚で、構成上は変わっておらず、硝材等の設計変更があったかどうかは分かりません。
4群7枚というのがクセモノで、これはズマレックス8.5cmF1.5と同じということで、また比較的古い設計のレンズということもあって、どうせズマレックス・コピーだろうと考える方が多かったようですし、実際わたしもその話しを信じていました。
しかし、あらためて調べてみると、キヤノンの方はゾナー5cmF1.5の後群3枚貼り合わせの最後の1枚を分離させたようなかたちで、れっきとしたゾナータイプでした。
そう判明したことが、今回セレナーを入手するきっかけになりました。

というのは、わたしはⅡ型の方を所有していたことがあって、ご多分にもれずズマレックスと比較などしてみたのですが、結果はキヤノンの圧勝でした。
シャープネスがずっとあって、発色ではキヤノンがクリアなのと比較すると、ズマレックスは濁って見えるほどです。
さらにズマレックスではハイライトがわずかに滲み、全体にやわらかな印象です。
当時は、85mmF1.5レンズを2本も持っていてもしようがないと、迷うことなく、使って楽しいズマレックスを残して、キヤノンを売り払ってしまいました。

それが6~7年前のことでしょうか、こんなことはすっかり忘れていたのですが、今回セレナー8.5cmF1,5が安く出ているのを見て、そういえばⅡ型の方を持っていたことがあったなあと思い出しました。
1回売ったレンズであれば、また買い戻すようなことはなかったでしょうが、いま出ているのは初期型の方で、しかもセレナーの銘が付いているのでこのレンズの中でも初期の製造だろうと思われたのが食指を動かしました。
もしかしたら、以前に持っていたⅡ型とはまったく違う写りかも知れない…。

作例を見る限りでは、どうもⅡ型と遜色ない実力あるレンズのようですね。
ズマレックスも案外シャープに写るレンズですが、セレナーはそれをしのぎますし、少々の半逆光くらいならフレアが出ることなくクリアな表現です。
以前の印象どおりの描写力と言えるでしょう。

ちょっと後ピンになってしまいましたが、今日の作例のテーマは駆け抜ける少年でも赤い家でもなく橋です。
観光客のためにすっかり整備された表通りではなく、一本裏側を歩くとより当地の生活に近づくことができますが、毎日毎日地元の人が何回も通る小さな橋を支えているのが、こんなにアンバランスに積まれたわずか3つの石とは驚きました。
この橋をつくった人のユーモアなのか、風雪がひとつまたひとつと間の石を崩壊させたのか、これを見て呆然とするしかありませんでした。
ここへ来る直前にはウィグル人の会議を東京で開催したことに猛抗議していましたし、フィリピンとは海洋上でにらみ合いを続けるなどしていた中国の外交の危うさを象徴するかのような橋に見えました。
【M8/Serenar 8.5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Canon Serenar 8.5cmF1.5 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/03 Sun

大口径戦争

M8/Serenar 8.5cmF1.5
ツァイス・イコン社が1932年にコンタックスを発売したとき、同時に6本のレンズを用意したそうです。
いまの感覚で類推してしまうと、2.8cm、3.5cm、5cm×2(暗いのと明るいの)、8.5cm、13.5cmではないかと思ってしまうかも知れません。
しかし正解は、5cm×4、8.5cm、13.5cmという偏った6本でした。

当時としては、カメラを買うときに標準レンズとセットで買うのが当たり前でしたのでこういうラインアップになったのでしょう。
だとすれば、コンタックスを買おうという人には、テッサー5cmF3.5、テッサー5cmF2.8、ゾナー5cmF2、ゾナー5cmF1.5の4とおりの選択肢があったということになります。
誰しもF1.5のゾナー付きが欲しかったに違いありませんが、それはとんでもなく高価で、多くがF3.5テッサー付きかF2のゾナー付きで購入されたケースがほとんどだったと、現在の中古市場の出現率から想像されます。
F1.5は高嶺の花だったのでしょう。

1932年当時のライツの方は、標準レンズではまだ、F2.5のヘクトールが最高速で、翌年、F2のズマールが登場してどうにかF2のゾナーには対抗できました。
ところがF1.5の方はようやく1936年になって、しかも、他社品であるクセノンをもってF1.5のゾナーにぶつけていきます。
コーティングが無かった時代では反射面が6面のゾナーに10面のクセノンでは到底太刀打ちできなかったでしょうが、これが35mmカメラにおける最初の大口径レンズ設計競争といえるでしょう。

1922年に出ていたキノ・プラズマートを別格とすると、戦後もしばらくはゾナーやクセノンを手本にしたのか、5cmF1.5というスペックのレンズが世に出てきました。
そして、やがて国際絞りの基準から50mmF1,4へと置き換えられ、それも大口径ではなく一般的なスペックとなっていくのです。

1950年代までの5cmF1.5レンズはほとんどがライカマウントになっており、いずれも個性的な描写のレンズばかりです。
それらを集めてみようと思い立ちます。
高千穂光学やベルティオなど希少過ぎて目にする機会がないものもありましたが、シュナイダーや日本光学、田中光学など比較的珍らしいものも比較的簡単に入手できましたし、ノクトン、セプタックなどなかなか見つからなかったものは他のカメラ用のものからマウント改造して、リストに丸を付けていきました。

そんな中、3年近く前から、ほぼ毎月出掛ける中国で5cmF1.5レンズたちを順繰りに使う試みを始めます。
すぐに終わるような企画でしたが、F1.5はシネ用や国産コンパクトなどもあって、これらを登用することで回を重ね続けました。
いよいよそれも尽きてくると、今度は、5cmの垣根を取っ払い焦点距離無制限でF1.5を使い続けています。
そこまでする意味が自分でも分かりませんが、もう、ただただ執念ですね。
バカだと思います。

先はもう見えていますが、それでも年内は持ちそうです。
今回も、まっとうなレンズを持って行くことができましたし。
さらに寿命を先延ばしする手立てを打つことにしました。
それは、最初にあげたゾナーのバリエーションを使うということです。
やはり、F1.5の原点はゾナーなのだなあと思っているところです。
【M8/Serenar 8.5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Canon Serenar 8.5cmF1.5 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/02 Sat

午餐吃本地菜

M8/Serenar 8.5cmF1.5
大きな家屋をぐるっとひとまわり見学すると、お昼をいただくことにしました。
到着して20分も経っていませんでしたが、すでに1時半になっていて、ともだちもわたしもかなり空腹だったのです。
見学した中の1室が食堂のようになっていて、数百年前の家の中で歴史を感じつつの食事も可能でしたが、別に並んでいた食堂では室内でも野外でも食事がとれるというので、天気もからっとさわやかということもあって、庭でお昼にしました。

観光客の招致にはかなり力を入れていると見えて、本来なら洗濯物を干してあってもよさそうな日当たりの好いスペースに樹が植えられ地面もきれいに芝が張られています。
そこにテーブルとイスをしつらえてもらうと歴史的建造物に囲まれて、ちょっと贅沢気分のアウトドアのランチになりました。
ほんとはビールでも飲んで、芝生に寝っ転がりたいところですが、友だちの手前、自重せざるを得なかったのが残念です。

こういうところで出てくるのは、農家菜とか家常菜などと呼ばれる料理です。
農家の家庭料理と訳せばいいでしょう。
とんでもなく旨いというほどのものではありませんが、どれも外れなく美味しいのは、いずれも近くで採れる食材をふんだんに使うからで、油を多用する中国料理にあってヘルシーにすら思えてきます。

油豆腐というのが名物だと聞いたので頼みましたが、これは豆腐と油揚げの中間のような食べ物で、トリ出汁のスープに入った味はなかなかに旨く、これだけでもご飯が何杯も食べられそうです。
あと、きのことブタ肉の炒め物と昨日の作例の干した野菜をトウガラシと炒めたものと、どれも高級レストランで食べるのとは違う田舎ならではのご馳走でした。

そういえば、翌日、スーパーでこれが旨いからお土産に買っていけばと友だちから手渡された瓶詰めがありました。
「麻油辣腐乳」という食べ物で、前日食べた油豆腐との関連を想像してこれも旨いのだろうと期待していたのですが、今日早速食べてみると、とんでもない超刺激的まずさで涙を流しながら飲み干すと言う、びとい食品でした。
以前、腐乳は食べたことがあって、旨いとは思いませんでしたが、ここまでひどい味ではなかったと記憶しています。
ほんとに美味だからと薦めたのか、わたしを騙すつもりだったのか気になるところです。

作例は、食べ物をオーダーして、出てくるまでの間、早く来い来いと念じながら何気なく、空腹を紛らわそうと撮った1枚です。
友だちと雑談しながら、レンズ交換してそのピントをチェックするために撮ったようなものですが、その後友だちの意見からこんな写真でも撮っておいてよかったと思わずにいられなくなることになります。
中途半端で恐縮ですが、その意見については、また後日とさせていただきます。
【M8/Serenar 8.5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Canon Serenar 8.5cmF1.5 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/01 Fri
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