吹長笛的音楽家

M8/Arm Lee Docte 110mmF4
昨日、川崎駅前で反省会をしたと書いたので、このシリーズは終わりのはずでした。
しかし、慣例からすると1枚足りなかったようですので、もう1枚、Arm Lee Docte 110mmF4 の作例を載せてから終了とさせていただきます。
ちょうどタイミング良く、川崎駅でミニライブが行われていて、すでにオピックはお返しした後だったので、110mmF4レンズで撮るしかなかったのでした。

商店街の中の光量が厳しいところでしたので、1/8、1/15で手ブレ被写体ブレを連発しましたが、唯一この1枚が生き残ったかっこうです。
右下が周辺減光に見えなくもないですが、前の人の頭が入ってしまったようです。
この写真では気にすることもないでしょう。

右側がやや明るくて服の色がまずまず出ているのはいいですし、腕の肌色や質感もいい感じだと思います。
しかし、今度はピントがどこに来ているのか分からないあいまいさが気になります。
顔には合っていないようなので、前ピンということでしょうか。
もうちょっとだけ眼にピントが来ていて、おっ、このレンズもいいところがあるじゃないかという、作例を1枚くらいは出したかったのが果たせず、少し落ち込みました。

この Arm Lee Docte 110mmF4 というレンズは、ベルギー製であるということ以外、詳細がまったく分かっていません。
せめて製造年代が特定できないかと、あらためてキングスレークの本を読み返してみました。

まず、ダゲレオタイプ用に最初に1群2枚のメニスカスレンズを設計したのは、かのシュバリエで、カメラの発売は1839年とあります。
ペッツバールが後にペッツパール型と呼ばれることになるレンズを試作したのが1840年のことですから、それほど古い設計ではないと言わざるを得ません。

ただし、ペッツパールやシュバリエ自身が設計したフォトグラフというレンズは人物用の明るいレンズで、メニスカスレンズの方は、風景用レンズとして設計されています。
もともとがF15と暗かったので、当時の感度の低いフィルムでは、人物撮影にはとても向かなかったという事情があります。

風景用メニスカスは、コマ収差が出たので、これを絞りによって補ったのがシュバリエの開発したレンズでした。
その後、同じフランス人のゴーダンが設計したレンズは、絞り位置を変えて画角を広げた一方でコマ収差の発生はそのままにしたようです。
シュバリエは、メニスカスの角度と絞り位置の関係から、より画角の大きいレンズを設計し、以降、このタイプのレンズが主流となりました。

いわゆるフランス型風景用レンズで、その後1世紀近く、多くの設計者によりいろいろな形で用いられたと記載があります。
また、1857年にイギリスのグラブが、球面収差を取り除いたメニスカス風景用レンズを設計しています。
2枚をクラウン+フリントの順で貼り合わせたことによりますが、絞り位置がレンズの前に来ていることに特徴があります。

これはまさしく Arm Lee Docte 110mmF4 と同じ形で、その後もメニスカスタイプのレンズは3枚になったり、2群に増えたりなどの試行錯誤が続いていますから、あるいはグラブのレンズを模したものではないかとも思われます。
根拠はあまりに薄いですが、そうであれば1860年前後のレンズということになるでしょう。
ペッツパールなどの明るい人物用レンズに比べて、風景用の暗いレンズはずっと以前の設計だと漠然と考えていたのですが、案外と同時並行して開発が進んでいたのだと気付かされました。
わたしにとって、レンズ史の意外な一面でした。
【Arm Lee Docte 110mmF4 F4】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Arm Lee Docte 110mmF4 | trackback(0) | comment(2) | 2011/07/31 Sun

白天喝酒

M8/Opic 3.5cmF2
風鈴が鳴り過ぎる日があれば、またある日は全然鳴らなくてがっかりというようなことを先日書きました。
するとどうでしょう、これを買いている今、まさに何分かに一度、ちりーん、ちりーんと美声を聞かせてくれる風流の極みのような状況です。
しかし、新潟や福島で大水害が起きているニュースを見ていただけに、なかなかそれを喜ぶというわけにもいきません。

さて、サンバは川崎大師の駅前で終了したのですが、終わりましたねなどと言っているところへ京急の列車がやって来たので、あわてて信号を渡り出発直前の各駅停車に滑り込みました。
川崎駅に着くと、まだ4時前とだいぶ早いですが、暑い中たっぷり歩きまわりましたので、そのまま反省会へなだれ込みました。
knplさん、ksmtさんはさすがレンズのみならず話題が豊富で、聞いているだけで楽しくなってしまいます。
暑かったこととと話の楽しさ、それに時間が早く半額だったこともあって、ビールがどんどん進んでいきます。

この日いちばんの話題だったのが、knpmさんの使用したカメラ、ライカⅡDデジタルでした。
否、Dが付いているからデジタルとあえて書かなくてもいいですか。
このⅡDは、もちろんライカの新製品などではなく、knpmさんが自ら製作された1930年代のⅡDをベースにしたデジタルカメラです。
スクリューマウントのレンズ交換ができるところなど、ⅡDそのままの外観ですが、なんと裏側には液晶画面が付いていて、ライブビューでデジタル撮影ができるというとんでもないカメラなのです。

これ以上の詳しいことは差し控えますが、正面から見るとペイントが絶妙な剥げ具合のブラックペイントⅡDにしか見えないのに、実はデジタルカメラだったという、エキセントリックで美しい傑作です。
これこそknpmさんのアイディアと製作努力が結実した珠玉の逸品です。

そのknpmさんから、次なる新しい構想が語られました。
これも、この場で明かすことはできませんが、これまたユニークなアイディアで、完成すれば世界初の快挙となるでしょう。
先日いただいたコメントからは、設計プランが一歩前進していることがうかがえ、このアイディアも夢物語ではないことが伝わってきます。

knpmさんは、そのとき、わたしたちに向かって、次は何をやろうと考えていますかと話をふりました。
そういえば、以前に会った時はいつも今度はこれを入手したいとか、そんな願望を話し合ったりしたものです。
しかし、わたしは今回、まったく答えることができませんでした。
なにもアイディアも持ち合わせていませんでしたし、もちろんその場で思い付きで言えるようなこともありません。

以前に何度か言及したように、レンズ市場の相場が一気に上がってしまい、戦意喪失のような状況だっのが主な理由です。
わたしが何もアイディアを出せなかったことは、knpmさんを大いにがっかりさせてしまったことと思います。
このままでは、レンズ方面から心が離れてしまうのではとの不安も、そこはことなく感じられてきました。
次回お会いするまでに、knpmさんや、NEXで新境地を開きつつあるksmtさんに対抗できるようなプランを考えないといけません。

さて、今日の作例ですが、これを出していいものかやはり少し考えたのですが、伝統的な踊りに対してためらうことはありません。
レンズの特徴もよく出ています。
好みからすると、もう少しアンダーに撮りたかったですが。
【M8/Opic 3.5cmF2 F2】
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Cooke Anastigmat Series O 3.5cmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2011/07/30 Sat

狂歓節

M8/Opic 3.5cmF2
メインイベントが始まりました。
見るからにラテンな服装と楽しげなノリは、サンバの行進です。
煽るようなリズムが遠くから聞こえてきましたが、それはみるみる近づいて、今目の前を次々と通り過ぎていきます。

音楽は、姿が見えないときからかなりの力強さでしたが、身近で聞くとものすごい迫力に圧倒されます。
生で聞くのは初めてでしたが、サンバの音楽はもっと軽快なものを想像していたのですが、とんでもないです。
重厚過ぎて腹にどしんどしんと響いてくるので、暑苦しいくらいです。
しかし、気温が高いからこそ、この暑苦しい音楽が効いて、何かを覚醒するのではないかと思いました。
自然と体を揺り動かす力を感じます。

サンバというとリオのカーニバルを連想しますが、カーニバルですから毎年2月か3月くらいにやっているはずです。
やはり冬の行事なんだろうなあと思いましたが、ブラジルは南半球なので、やはり夏に行われているのですね。
川崎大師でも夏に実施することに納得です。

カーニバルと言えば、大昔、卒業旅行のときドイツで見ました。
そこでもパレードでしたが、装飾した車に乗った十二使徒たち(?)が、キャンディを撒いているくらいのことしか記憶にありません。
ドイツでは謝肉祭というよりは、春の訪れを祝う行事が起源だと言われているからでしょうか。
ちょっとブラジルのカーニバルとは同一の祭りとは思えません。

ただ、お祭りはお祭りのようで、ちょっと良いこともありました。
何人か出合った現地の大学生くらいの女の子が、次々とハグしてくるのです。
また、バーへ行くとハグしてくれるばかりか、大学生の客人と歓迎してくれたからかビールまでご馳走してもらいました。
当時ハグというものを知らなかったわたしは、いきなり何人もの金髪の女の子に抱きつかれチュッチュッされたと照れつつも感激たようです。
日本にもぜひこの文化を取り入れていただきたい。

さて、昨日の作例では、1920年、突如として登場したF2という大口径レンズにもかかわらず、中心部のシャープさはすばらしいものがありましたが、反面、フィルムフォーマットの違いから周辺はかなり崩れていました。
近距離で撮った今日の作例では、周辺崩れはだいぶ目立たなくなってきています。
意外にもハイライトの滲みもまったくありません。

ところが、35mmレンズをM8で使っているので、35mmフィルム換算で47mm相当くらいの焦点距離にも関わらず、超広角レンズのような写りになっています。
中心部が大きく、周辺が小さく写ることを言っていますが、この位置で彼女の足がふんなに小さく写りこんでいるのを見ると21mmくらいでの撮影に思えます。

また、わずかに周辺光量落ちも認められます。
わたしであればまったく気にも留めない程度ですが、気になる人には気になるでしょうし、フルサイズで撮影した場合のケラレなども心配になって来ます。

それでもやはり、中心部のシャープさとオールドレンズらしい柔らかさの同居は何ものにも代えがたい味です。
こういうレンズであれば、必死になって見つけ出して、わざわざライカマウント化の改造までしてもらった甲斐があろうと言うものです。
【M8/Opic 3.5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Cooke Anastigmat Series O 3.5cmF2 | trackback(0) | comment(1) | 2011/07/29 Fri

昔之娘們

M8/Opic 3.5cmF2
お昼はみんなでおそばをいただきましいたが、夏バテぎりぎりの暑い散策にはそばがいちばんです。
ただ、大盛りを食べればかなりの満腹感ですが、なぜか腹もちはよくないです。
暑いし、小腹が空いたしで、茶店で休憩をとりました。
たのんだのは、川崎大師名物の葛餅です。

あまり期待していなかったのですが、量はけっこうあるし、もちが寒天ともちの中間くらいの歯ごたえがあって美味しく、これはわたしたち一同お薦めのおやつになりました。
ただ、静岡の安倍川もちや甲府の信玄もちとどういう違いがあるのか分かりません。
また、きな粉を思いっ切り吸いこんでむせないように注意してください。
わたしは毎度これをやってしまいます。

さて、この葛餅休憩には時間調整の意味もあって、お腹一杯になったところで、今日のメインイベント会場に繰り出したのでした。
狭い通りで繰り広げられるこのイベントを110mmレンズでは厳しいかなと思っていたところ、それを察してかknpmさんが35mmレンズを貸してくださいました。
それが先述したシリーズOこと、クックのオピックです。

オピックのことは何度か書いていますが、とにかく数の少ないというか、ksmtさんのものとknpmさんのもの、わたしのを除くと他で見たことがありません。
けっしてそこまで希少なレンズというほどでもないのかも知れませんが、見かけない理由を考えると、なんといってもオピックではなくシリーズOと書かれていて、そのレンズがオピックだと認識されていないと言う事実があると思います。

真鍮時代のレンズは、シリーズⅠとかⅡとか表記したので、このレンズはシリーズゼロと読まれたかもしれません。
しかし、正しくはシリーズオーです。
恐らくオピックの頭文字からシリーズオーとしたのだと思いますが、このネーミングが現代のレンズ蒐集家を苦しめているという一面があるわけです。

また、オピックが世に出たのが1920年頃ですが、それからすぐに、今度は有名なスピードバンクロが同じような設計で発売されます。
本格的シネカメラが出てきたころで、クックはこの機会にとオピックとかシリーズOとか名乗るよりも、もっと業界人受けしそうないかにもな名前にして、実際に商業的な成功も勝ち得たのでした。

スピードバンクロは数が多いので、数年前までは非常に安く売られていたレンズですが、残念ながらシネレンズブームの波に乗ってしまい、とくに2インチ、3インチのものなど、とても手が出る価格ではなくなりました。
マルチコーティングの後期タイプが描写の先鋭性で高い人気ですが、わたしは初期のノンコートのものを探し、未だに入手できないでいます。

それが、スピードバンクロよりずっとレアなオピックの方を先に手に入れてしまったのだから皮肉なものです。
そして、今回3.5cmを触らせてもらえるという、またとない機会を得ることができました。
まずは、メインイベント会場にいたものの、やはりメインではない、昔の娘の皆さんを撮影させていただきました。
彼女たち、わたしたちを撮りたいの、でも顔は向こうを向いていて背中の文字を撮りたいんだよね、はい、とわざわざ一列になってもらいましたのでこれは採用してあげないといけません。
【M8/Opic 3.5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Cooke Anastigmat Series O 3.5cmF2 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/28 Thu

南部鉄的声音

M8/Arm Lee Docte 105mmF4
出掛けた先の川崎大師では、風鈴市で賑わっていました。
楽しみにしていたイベントはこれではありませんでしたが、この時期の風鈴市はじゅうぶんに愉しめるものです。
さほど広くないスペースに、全国各地のご当地風鈴が文字通り所狭しと並んでいます。
風も多少はありましたので、時おり、当地の音を響かせています。

どこの何々風鈴というように地名と名前が掲示してあるのですが、ちょっと感激だったのは、東北のものが多く売り切れていて、来場者もせっかくだからこんなことでも被災地に貢献したいと言う気持ちが売り上げに作用していそうだったことです。
ksmtさんもひとつ書いたいと言いますし、わたしもお気に入りを探してみることにしました。

ひととおり聞いて廻って感じたのは、やはり金属の風鈴の方が高く澄んだ音を出すので清涼感を感じましたし、音楽的に感じられました。
たいへんオーソドックスですが、南部鉄のものが音量もあって特にすばらしい音を響かせていました。
これはksmtさんも同意見だったようで、早々に買い求めていましたが、わたしが選んだのも南部鉄の風鈴だけで30種類くらいあった中で、そのksmtさんが選んだものと同じだったのは何か波長が合うところがあったのかも知れません。

釣鐘型の風鈴は、我が家の南側に吊るされています。
昨日は風があって、一晩中うるさいくらいにちーん、ちーんと鳴りっぱなしでしたが、今日は無風で一音たりしません。
風鈴のイメージは、縁側にあって時たま微風とともに、ちりーんと爽やかな音色と共に涼をを届けてくれることですが、どうも現実はうまくいかないようで、涼しい日には鳴りっぱなし、暑くなると沈黙と、わたしの選択したやつはわがままです。

作例は、風鈴を品定めする浴衣美人。
ですが、これはどうみても縦位置で撮るべきでした。
いえ、次のカットは縦になっているのですが、顔がはっきり写ってしまっていて仕方なくボツになってしまいました。
お祭りなどの行事ならかまわず顔も出してしまいますが、市井の人のプライベートのシーンで顔はっきり掲載してしまうのは控えるようにしています。
今日のは、その限界ぎりぎりということとさせていただきます。
【Arm Lee Docte 110mmF4 F4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Arm Lee Docte 110mmF4 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/27 Wed

紹介他們的鏡頭

M8/Arm Lee Docte 110mmF4
もちろん個性的レンズを持参してきたのはわたしだけではありません。
ksmtさんは、最近入手してすぐさま改造したというシネユニライト150mmF1.9を少し自慢げに披露します。
ユニライトはほとんど幻のレンズと言えるくらい珍しいレンズですが、なんでも150mmという焦点距離は各種資料にも出ていないということです。
まさに新発見のレンズです。

しかし、このレンズ、150mmF1.9のスペックからもうかがえるとおりのでかいレンズです。
かなり太めの短鏡胴で、5Dの重さともあいまって、なかなか取りまわしがたいへんそうです。
それでもksmtさんは、クソ暑い中で平気で撮影しているので、いつもながらに頭が下がります。

knpmさんも負けていません。
F3.6とやや暗かったブラナーをF2まで引き上げた、クックのシリーズOの3.5cmというとんでもなく珍しいレンズを持って来ていました。
このシリーズOは他でまったく見たことがないレンズですが、わたしも2インチF2を持っているのが自慢ですし、ksmtさんに至っては望遠系を3本も持っています。
ものすごいことです。

knpmさんの所有するレンズは、歴史的価値のあるものばかりです。
しかも、ひとつのレンズでもなるべく初期の個体を探して入手されたりしていて、わたしのように節操のない集め方をする人間から見るとそのポリシーに圧倒されてしまいます。
今回は、そんなレンズをしのぐすごいカメラを持って来ていたのですが、そのことについては、また別の機会に言及できればと思っています。

さて、わたしのレンズは、昨日105mmと書きましたが、110mmの誤りでした。
また、当日おふたりに、レンズ構成はメニスカス単玉と自慢していましたが、ちゃんと色消しのための貼り合わせになっていました。
合わせて深くお詫びしたいと思います。

そのせいか、今回撮影したものは色収差感じさせるものが一切ありませんでした。
この点はさすがですが、いかんせんコントラストが低過ぎますし、御覧の通り色収差以前に暗部ではちゃんと発色してくれないと言う問題があります。
枚数が少ない分色抜けが良いのではという期待は、まつたく裏切られました。
それでも、思っていた以上にシャープです。
たくさん撮ることで、このレンズをどのようなシチュエーションで使うのがいいのか見極めたいと思います。
【Arm Lee Docte 110mmF4 F4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Arm Lee Docte 110mmF4 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/26 Tue

比利時鏡頭

M8/Arm Lee Docte 105mmF4
先週末、わたしにとって黄金メンバーといえる、knpmさん、ksmtさんと連れだって散策して来ました。
この前同じメンバーが集合したのは、4月の鎌倉だったので、3か月前ということになります。
このペースが続けば年間4回、季節毎にお会いできるので、それもなかなか風流なことのように思います。
ずっとこのくらい以上の頻度で散策したい、すばらしいレンズ仲間です。

行き先はいつも悩みます。
暑い中の散策なので、延々歩くようなのは勘弁願いたい。
適度に撮るものがある場所で、空調のある中で休憩できる環境があって、なにかイベントでも開かれていればまずは言うことなしです。

そういう所を探すのは本来わたしの役割のはずですが、この点、まったく役に立てません。
資料探しなどの得意なksmtさんが、条件ぴったりの目的地を見つけて来てくれたので助かりました。
当日は、駅前に集合です。
すると、その駅前には地元美人姉妹アンサンブルがライブを行っています。
炎天下で日陰のない気の毒な環境でしたが、わたしたちにとっては、いきなりの被写体に感謝しないといけません。

ずいぶんと低コントラストのソフト描写になっていますが、今回は初日からレンズのことを言及したいと思います。
謎の真鍮レンズですが、恐らく100mmF16くらいのレンズだと言うのを某所から入手しました。
そんなスペックのレンズでは使い道なさそうですが、まず気に入ったのが、Arm Lee Docteというレンズメーカーがブリュッセルにあったということでした。
溜まりに溜まったレンズはかなりワールドワイドな編成で、オランダ、スイス、オーストリアなどの小国のものも所持していますが、さすがにベルギーというのがなかったので、それだけでもかなり魅力的でした。

そして焦点距離です。
100mmくらいといういい加減な表現でしたが、もし本当に100mmなら市場にあふれているキヤノン100mmF3.5のくもりあり激安レンズを入手すれば、レンズ移植で簡単にライカ連動を可能にします。
しかし、これは入手後にテストしてみましたが、わずかに焦点距離が長かったようで、キヤノン100mmではうまく連動してくれませんでした。

がっかりしていたところ、ロッコールに105mmがあったなと思い出し、ジャンクが無いかと探すとちょうど8千円ほどの傷玉が見つかり入手できました。
そしてテストしてみれば、暗いレンズだけに正確とは言えませんが、この鏡胴でほぼ間違いなく連動していることが確かめられました。

L39のエクステンションチューブでじゅうぶん使えましたが、もうちょっと突っ込んで改造してもらうアイディアを考えました。
このレンズには、もともとローリングホイール式の絞りが付いていますが、これを取ってしまえば、F16どころかかなり明るくなるはずです。
絞りを取ってしまうと写りは相当厳しくなるでしょうからと考えたところ、さきのキヤノン100mmの絞りは簡単に移植できそうだと分かりました。

そして2か月前、ベルギーのレンズヘッドとロッコールの鏡胴、キヤノンの絞りユニットの3点セットを持って深圳へ行き、これらをひとつにまとめてほしいと依頼したのでした。
そんなことできるかなあと厳しい顔をされてしまいましたが、翌月また深圳ら行くと、あれできたよと手渡されたのがこのレンズでした。

すばらしい、考えたとおりの仕上がりです。
ちょうど、knpmさん、ksmtさんとお会いするタイミングと重なっています。
この集まりでは、レンズ自慢の機会がありますので、まさにこのレンズデビューの絶好の機会でした。
レンズテストも兼ねて、このレンズ1本で出発しました。
【Arm Lee Docte 105mmF4 F4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Arm Lee Docte 110mmF4 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/25 Mon

登記己関了

M8/ZK 5cmF1.5
昨日言及した中国の高鉄の事故の報道が、今日の各社のニュースで大きく取り上げられていました。
当然ですが、報道のされ方として、それ見たことかという論調が根底には流れているようです。
起こるべくして起こった事故ということですね。

しかし、中国政府はかなり強気で、脱線した車両を早々に撤去してしまい、明日にも運転再開しようとしていると報じられていました。
現場検証がなされたのかと現地の特派員が憤っていましたが、そういっても何にもならないのが中国なのでしょう。
あれはたまたま雷で制御装置が故障してしまった偶発の事故です、高鉄は絶対安全でもうこんなことは起こりませんから、皆さん、安心して利用してください、と政府は言っているように言っているようです。
あれっ、どこかでわたしたちも聞いたような…?


さて、深圳の滞在ももうあと2時間ほど。
写真用のフレームを受け取る予定の時間に戻ってみましたが、作例の通り、まだ呑気に作業しているところでした。
えー、早くしてよとせかしますが、別の仕事を優先させていたようで、申し訳なさそうに急いでくれます。
実際、フレームを作る作業時間自体は、けっこう早いもので、見ているうちに次々と完成して行きましたが、結局20分以上待たされることになりました。

1時間半くらい暑い中で撮影していたので、大汗をかきました。
そのまま帰国の途に向かってもいいですが、さっぱりして移動した方がスマートですし、機内で熟睡もできそうです。
先月同様、シャワーとリラクゼーションを求めて、フットマッサージを受けに行くことにしました。
しかし、いつもそうなのですが、タクシーがなかなかつかまらず、ここでも10分以上ロスして、もともとぎりぎりでタイムスケジュールを組んでいたのに、すでに30分も遅れてしまいました。

深圳中心部から香港空港へ向かうにはいくつか方法がありますが、一般には、羅湖のイミグレーションを超えて地下鉄に1駅乗り、空港バスに乗り換えるリーズナブルルートと、皇崗のイミグレから直通のシャトルバスに乗る楽チンルートの2種類があります。
いつもは安く前者利用でしたが、今回、時間が無いこともあって直行で早い後者のルートで空港を目指すことを余儀なくされました。

しかし、この変更は裏目になりました。
まず、シャトルバスの運転手が大馬鹿モノで、何度も時間が無い、3時半のフライトだと言っているのに携帯のゲームに夢中で、問題ない問題ないと返事するばかりです。
そして、いざイミグレーションに着いてみると香港入境の車は長蛇の列ができていて、こりゃ1時間はかかるはと言いだすので、それじゃ間に合わんじゃないかなにが問題ないだと怒ると、そんな話は聞いていないととぼけ始めたのでした。
さらにどうしてくれるのだと食い下がると、歩いて国境越えしたらと言うので、さすがに腹が立って奴の持っていた3人全員分のパスポートをもぎとって、こいつはオレがあずかるとすごんで歩き始めると、さすがに運転手も詫びを入れてきて、そんなことされたら僕は首になっちゃうくらいの涙目で、車は先に国境を超えているから、あなたたち3人で入境事務所に掛けあってみてくれと泣きを入れてきます。

結局、他の乗客と香港出入国管理局の皆様にご迷惑をおかけしつつ、なんとか香港に入りましたが、やはりあの運転手は大馬鹿モノで、なかなか香港側にあらわれず、ずっと待たせておいてのこのこと車をわたしたちの前につけました。
このロスがたいへん大きく、さすがの奴も異例のスピードで運転したにもかかわらず、空港のチェックインカウンターに着くと、もうクローズしたと言われました。
しかし、座席自体はがらがらのフライトで、この客を振り変える次の便もないので、なんとかしようとあちこち電話して手を打ってくれました。

もう搭乗開始している時間でしたが、強引にボーディングパスヲ発券し、わたしに付き添って荷物検査と入国審査を最優先させ、搭乗口まで運んでくれたのでした。
フレームを受け取った時点で遅れていたのですから、シャワーなんかあきらめて真っ直ぐ空港へ向かえば、こんなにも迷惑をかける必要は無かったのです。
さんざん走り回って、自分の座席に着いたときは汗だくだくでしたから、シャワーを浴びた意味すらなくなっていました。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/24 Sun

高鉄的問題

M8/ZK 5cmF1.5
たった今入った報道によれば、中国の高鉄(中国版新幹線)で重大事故が起きたようです。
浙江省で脱線事故があり、詳細はまだ報じられていませんが、死者も出ている模様です。
恐れていたことが、早くも発生してしまいました。

6月くらいから中国の高鉄の周辺は、日本でもかなり騒々しくなっていました。
鉄道省のトップが切られたり、世界最高速で北京・上海間を営業運転するはずが急遽速度を落とすことになったり、今度の高鉄は中国の技術で作ったとアメリカに特許申請して世界中から非難を浴びたり、その北京・上海路線が開通すると初日から細かいトラブルが発生して早くも安全を危惧する声が上がったり、ついに列車がストップする事態になって怒った乗客が車掌に暴言を吐いて車掌が泣き出しそれを外国人が仲裁する場面の映像が流されたりと、何かが起こるような空気が出揃っています。

もし本当に中国の技術で作られた高鉄であるならば、非常に危険であると言わざるを得ません。
日本やヨーロッパの高速鉄道が何十年とかけてたどり着いた技術と同じレベルのものが、中国独自で短期間に実用化されているとすれば何かしら犠牲になった部分があるはずと考えるのが自然でしょう。
速度を最優先にしているなら安全面を多少犠牲にして、軽量化していることは誰でも想像できることです。
実態は分かりませんから、少なくともしばらくは様子を見るべきだと思います。

しかし、広い中国を移動するのに、飛行機は怖い、バスだと遅いし酔ってしまう、やはり高鉄だと利用する人が多いのでしょう。
しかし、高鉄は中国製、航空機は以前こそイリューシンとかツボレフとかあったのでしょうが今やボーイングかエアバスです。
高鉄は中国政府に近いところでの運行管理、航空路線は外国のアライアンスに参加している開かれた民間航空会社が運営。
同じ路線があるなら高鉄よりも空の旅を選んだ方がずっと安全なような気がします。

そう言えば、これは以前聞いた韓国の話です。
以前、韓国の地下鉄車両は日本製が使われていましたが、韓国でも国産できるようになり順次切り替えが進みました。
その矢先に追突事故が起こります。
被害は甚大で非常に多数の死傷者が出ましたが、その原因になったのが車両の作りだったと言います。
日本の車両をコピーして製造されていたはずの国産車両でしたが、その理由が理解できなかったのか単に軽量化するためだったのか車体の剛性をずっと落としてしまったことで事故の時に激しくつぶれてしまったとのことでした。

韓国にしてその程度であれば、中国独自の技術(?)で製造された車両がどういうものかは推して知るべしです。
それでも、中国独自と言ってくれる方が、日本の技術で作った車両で事故が起きたと損害賠償請求されるよりはいくらかましかも知れません。
それよりも関わらないことがいちばんだったのは言うまでもありません。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2011/07/23 Sat

千夜一夜物語

M8/ZK 5cmF1.5
シェヘラザードというと泰西名曲の定番中の定番で、この曲が好きだなんて言おうものなら、バカにされかねません。
じつは、わたしはけっこう好きで、かつてレコードも10枚くらい持っていました。
というのも、どこかの学生オーケストラの演奏会で聴いたのですが、そのオーケストラはコンサートマスターが女性で(女性の場合はマスターではなく、コンサートミストレスと呼びます)、そのいかにもアマチュアらしい線の細いソロが、王に殺されるまいと物語を弱々しくも懸命に聞かせる王妃の役柄にぴったりに思えて、すっかり気に入ってしまったからでした。

学生オーケストラといっても音大ではなく、普通の総合大学でコンミスの女性も恐らくは子どものころから長くヴァイオリンを勉強してきた実力者なのだとは思いますが、それでも普段は英文科かどこかで音楽とは無縁の生活をおくるか弱き少女です。
そんな彼女が、千数百の観衆を前にオーケストラと対峙するようにソロを弾くさまは現代のシェヘラザードそのもので、たちまちに同世代の大学生だったわたしの心を捉えてしまったのでした。

リムスキー・コルサコフの音楽はシェヘラザードというタイトルでしたが、原典のペルシャの書物は千夜一夜物語といったと思います。
シェヘラザードが毎晩一話ずつ王に語って聞かせ、その話の面白さに王は改心し、王妃を殺すことなく仲睦まじく
結ばれたというストーリーです。

それとおんなじ手法でブログを続けたら、しかもそれをレンズの話として、毎晩ひとつのレンズをその作例写真とともに語ったら、なんとも楽しく夜になるのが楽しみになるのではないでしょうか。
そんなブログが存在します。
いえ、正確には存在しましたと言わなくてはならなくなってしまいました。
スタートして一か月ちょっとの始まったばかりのブログでしたが、昨晩、突然の終了宣言がありました。

ブログを継続するのはたいへんな労力で、諸事情あれば突然の終了も止む無きことかとあきらめます。
しかし、これは真実ではないかもと考えつつも、その最終夜の文章の中に、どのレンズのことを書こうかと考えた時にそれは無駄なことなのでは、時間と労力と心の無駄だと考えたとありのがたいへん気にかかりました。
訳あってホームページを休止するとか、ブログを閉鎖せざるを得ないと聞くと、まず残念という感情が先に立ちますが、今回はそれを通り越して悲しい気持ちしか感じられませんでした。

お願いですから続けてくださいとか、いつかは復活を望みますとか書きたいところです。
しかし、面識のない方にどうしろああしろと意見するのはたいへんに失礼な話で、今回は率直な感想として、悲しいです、とだけ書かせていただきます。
あと963夜を残して、シェヘラザードは王に殺されてしまいました。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2011/07/22 Fri

会去西班牙?

M8/ZK 5cmF1.5
おととい、今年の夏休みはライカでモノクロで挑戦したい、できたらそれを自分の部屋に飾りたい、と蛇足のように書きました。
しかし、実は、ここ2週間以上、その夏休みの行き先をどこにするかでかなり悩んでいて、最近の最大の関心事になっています。

今日現在、候補地は3つに絞られていて、中国1箇所、欧州2箇所で検討しているところです(韓国のピョンチャンは入っていません)。
この行き先で悩むことは、かなり楽しいことで、いつまでも悩んでいたいくらいに思っています。
ただ、航空券は早めに購入しないと、時間が経つごとに価格が上がっていってしまうので、近いうちに最終決定しないといけません。

中国の候補地は、チベットです。
これまで四川省、雲南省まで足を延ばしてきましたし、少数民族の村をいくつか訪問して来ました。
その間何度か調査計画しては、目的達成できなかったのがチベットです。
今回も、それまで何度か見送られてのと同じ理由で行けるかどうかがたいへん微妙です。
情勢不安定なのとあまりに遠いということです。
ただ、治安上の問題であれば渡航してしまってもいいのですが、外国人には入域許可が降りないという可能性があって、その場合は四川に行き先変更するなどの柔軟な対応が必要です。

欧州その1は、ルーマニア&ブルガリアです。
実は、社会人になって最初に旅行したのが、当時開かれたばかりのハンガリーで、味をしめた翌年もチェコに行き、その後何年かしてからマケドニアにも行っています。
東欧は物価が安い上に、田舎ののんびりした空気があって、撮影をメインにしたゆったり旅にぴったりなディストネーションです。
困るのは、英語がまったく通じない人が多いことと、アクセスが不便ということでしょうか。

最後に欧州その2ですが、ここがもっとも有力になっているスペインです。
スペインには過去2度ほど行っていて、新鮮味という意味ではいまひとつです。
逆に現地に知り合いがいるので、その人たちとの再会をひとつの目的にするという楽しみはあります。
また、長年FCバルセロナのファンを続けていますので、いま絶頂期にある彼らの試合を観なくてはとの思いもあります。

過去2回のスペイン滞在は、やはりバルセロナを起点に2度ともカタルーニャのロマネスク教会が点在する村々を訪れました。
より有名なトレドとかロンダとかサンチャゴデコンポステラなどは行ったことがありません。
それでも、今回スペインに行くとすれば、またぜひカタルーニャの田舎を目指したいと考えています。
バルセロナが起点ですと、広範囲に廻れないという事実もありますが、それ以上にカタルーニャには魅力を感じています。

バルセロナも意外と日本からのアクセスの良くない都市ですが、前回の訪西と違うのはLCCという格安航空会社が台頭していることです。
例えばロンドンまで飛べば、バルセロナまでLCCで最安2000円で飛ぶことが可能です。
そういうことを調べていくと、なおのことそのルートでバルセロナとカタルーニャの旅を目指したくなってしまいます。
最終結論をいつ出すか、いまはそんなことに悩んでいるわけです。

さて、今日の作例は、絵画ギャラリーを開店しようとする少女です。
分かりにくいかも知れませんが、彼女はたぶん中学生くらいの年頃で、学校が休みで家の仕事を手伝っているのだと思います。
白いワンピースに、赤の椅子の踏み台とヘアバンドがなかなか効いています。
ただ、けっこうプライドの高い少女のようで、撮影しながら声をかけたのですが完全にそっぽを向かれてしまいました。
そのため、顔が分かるカットは最初のこれ1枚だけなのはいかにも残念です。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/21 Thu

五个理由

M8/ZK 5cmF1.5
先日、レンズ愛好の友人たちと話していた時に、ひとりが、アンジェニューのS21という古いレンズを以前に6万円ほどで購入したと話されました。
わたしが、必死に探していたレンズです。
その当時としても、かなり安かったのだろうと思いますが、それは常識の範囲内の価格でしたし、わたしもそのうちいいのが出てきたら買うかくらいの優先順位にしてしまっていました。

しかし、その後レンズ市場は状況が一変してしまいました。
大きな原因を5つあげるとするならば、最初の理由は猫も杓子もこのわたしまでも、ブログを開設できるようになってしまい、それまでせいぜい名前が知られる程度だったレンズが、作例入りで紹介されるようになってきたことがあります。
その作例が無加工で撮ったそのままの写真なのかは怪しいところもありましたが、それを見た人々は写りに特徴があるレンズほど関心を持つようになり、そのようなレンズをこぞって探すような傾向が生まれました。

第2としては、MSオプティカルに代表されるマウント改造のプロが現れ始めたことです。
それまでは、自分の持っているカメラと同じマウントのレンズしか使えませんでしたし、マウントアダプターも存在しましたがかなり限定的でした。
せっかくの名レンズもマウントがなくて使えないという問題は解消し、非常に多くのレンズがライカの距離計連動というかたちですら対応可能になったことの意義はたいへん大きいものです。

第3番目は、そのライカマウントのデジタルカメラの登場です。
せっかくレンズをたくさん所有しても、仕事を持ったアマチュアの写真愛好家がそうそう撮影できるものではありません。
例えば同スペックのレンズを比較するなどといったことはフィルムでは無駄をともないますし、デジタルではその場ですぐに確認できるメリットがあり、さらにその場で自分のブログにアップできるという速効性があるのはレンズコレクターの強みです。

そして4番ですが、それは続くミラーレス一眼レフカメラの台頭です。
ご存じの通り、マイクロフォーサースカメラが登場したことで、マウントアダプターを介してシネ用レンズを使って撮影することがブームにまでなりました。
Cマウントの25mmF1.4クラスのレンズは、それまでゴミ同然の扱いだったのが、ズマロンやズミクロンよりも高価なレンズになってしまったのです。
また、それによって何だか分からないレンズだけどマイクロフォーサーズなら使えるだろうと、もっとゴミとも言える無名レンズまでが明るいという理由だけでとんでもない価格になったりするなど、レンズ全体の値段が一気に底上げされてしまったようです。

最後は、お金持ちのこの分野への参入です。
一気に経済発展したために発生した成金の皆さんですが、そのごく一部がカメラやレンズの世界へなだれ込んできたようです。
お金の重みとか相場観などの概念が存在しないような自由な発想の方たちが多いようで、大口径レンズ、フランス製レンズ、超レアレンズなど出てこようものなら根こそぎ持ち去られてしまいます。
冒頭に書いたS21は、大口径フランス製ややレアレンズですので価格は大噴火してしまい、いまや50万円ほどで取引されているそうです。

わたしたち日本人も過去にそれに近い買い方をしていなかったとは言えないので、非難するつもりはありません。
資本主義の世界では、お金を持っている人ほど有利なことも言うまでもなしです。
まだ、知られざる名レンズがひっそりと安価に売られているかも知れませんので、ひたすらそんな掘り出し物を探すしかありません。
それにしても作例のおばさん、椅子の使い方が撮影者をバカにするかのようです。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/20 Wed

又去油画村

M8/ZK 5cmF1.5
先月同様、最終日は大芬油画村で過ごすことにしました。
やはり先月記したようにフライトの時間の制約で、最終日は12時くらいには深圳を発たなくてはいけません。
のんびり過ごしてもいいですし、もっと気合いの入った撮影地に出向くことも可能です。
しかし、思案してみると、短時間でアクセスできて、適度に撮影もでき、残った時間にフットマッサージへ寄れて、そこでシャワーを浴びてすっきりできる大芬がベストとの結論に達します。

せっかくですから大芬では、また写真用のフレームをオーダーすることにしました。
たまたま東京の画材屋さんに行ったとき、フレームが置かれていたので物色したのですが、写真用は平凡なものしかなく、おまけに高価でやはりオーダーするのが魅力的だと結論できたからです。

ただ、前回3つ作ったフレームはプリントを入れてみたものの、いまだ部屋に飾っていません。
写真にしても絵にしてもそうですが、家の中に飾るというのはかなりセンスを問われ、複数枚となるとそれが枚数乗に難しくなるような気がします。

今回、また3つの同サイズのフレームを作ってもらいましたが、前回の失敗をふまえてスーツケースのサイズを計測し、中に入るぎりぎりの大きさにしてもらいました。
計測といってもメジャーも何もなかったので、大きな紙袋を手で切って少し歪んだぎりぎりサイズの長方形にしたものをフレーム屋に手渡しただけですので、フレーム屋の方もこれでやれってかのような反応ながらも、しっかりとぴったりサイズのフレームに仕上げてもらえたのは助かりました。

無事、日本まで持ち帰ったフレームですが、中に入れる写真はまだありません。
いま考えているのは、オールドレンズの関係で知り合った仲間が何人かできましたので、皆さんのいちばんお気に入りのレンズで撮った写真をプリントして分けていただけないかと思っています。
私財を投げ打って集めてきたレンズ群は財産ですが、その過程で得ることができた同好の仲間はそれ以上の財産です。
ふだんなかなか会うことができない方々ばかりですが、その写真を譲っていただいて部屋に飾ることでより身近に感じられないかと考えました。

それともうひとつ。
1枚は、自分で撮影したものを部屋に飾りたいと考えています。
そこで今年の夏休みは、モノクロフィルムを詰めたライカを持ってどこか旅して来たいと考えているところです。
また、中国の奥地か、長らく行っていないヨーロッパで検討しています。
写真は、場所では無いとは分かっているつもりですが。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/19 Tue

我們冠軍

M8/ZK 5cmF1.5
女子サッカーのワールドカップで日本がPK戦を制してまさかの優勝を果たしました。
たいへんな快挙です。
まさかと言えば、前後して行われていたコパアメリカの準々決勝で、地元アルゼンチンと3連覇中のブラジルが続けて敗退しました。
奇しくも、延長の末のPK戦での敗退で、不思議な符合を感じます。

コパアメリカと言えば、日本が参加予定だった大会で、震災の影響で参加辞退となつてしまいましたが、もし無理してでも参加していれば、優勝なんてこともあり得たかも知れないなどと想像します。
サッカーにはFIFAランクというのがあって、測りづらい実力差をランクの上下できめつけようというマスコミの風潮がありますが、実際の試合ではそんなものは尺度にすらならず、試合結果はその場の状況や、選手のモチベーション、集中力の持続、運不運などふたを開けてみないと分からない要素によって左右するからです。

サッカーでホームチームが圧倒的有利な理由のひとつは、声援が選手を後押しするということでしょうが、震災という非常に厳しい状況を克服しようという集中力はホームの声援にも勝る力で後押しされていることになると思います。
実際、女子サッカーの優勝に、その要素が影響したことは否定できないのではないでしょうか。
ひいては、東北地方の復興に直結していくことを期待したいと思わずにいられません。


さて、先週、万年筆に関心を持っていると書いたのですが、文字の国である中国では万年筆の製造が盛んと聞いて、深圳の状況を見てみたいと考えました。
前日撮影をともにした楊さんや王さんに聞いたところ、万年筆の専門店のことを知らないが、文具の卸街があって、そこに中国製万年筆の専門店があるはずだと教えてくれました。
場所を確認して、ひとり出掛けてみることにしました。

到着直後は卸の店がどこにあるのか分かりませんでしたが、どういうわけか、傘屋さんと文具屋さん、スポーツ専門店がいっしょに入ったビルが数軒並んでいることを発見しました。
入口に大量の傘を置く店がでんとあって、中に文具屋がずらーっと並んでいるとは最初気付かなかったのですが、用は無いと思っていた傘屋に大いに助けられることになります。

そう、前日に続いてこの日も大雨が来たのです。
この日も携帯にメール着信のメロディが鳴って、見てみるとまたもやすでに雨が降っているのに、今日は出掛ける時は傘を忘れないようにと、不敵なメッセージが書かれていました。

折りたたみ傘を買おうとしましたが、あまりに種類があり過ぎてどうしたらいいか分かりません。
店員をつかまえて、いちばん安いのを1本くれと言うと、いかにも握りの安っぽい茶色の傘を手渡されました。
その場で使うだけの傘選びに時間を使うわけにはいきません。
きちんと開くことを確認して、すぐに20元払って移動しました。
しかし、この傘、よく見るとどこかで見たようなロゴが入っています。
タクシーに乗り込んだ時に見直すと、アクアスキュータムとはっきり書かれていました。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/18 Mon

可能真的

M8/ZK 5cmF1.5
毎月の深圳行きには、50mmF1,5レンズを持参することにしています。
もう20ヵ月くらい続けていますが、さすがに玉が尽きてきました。
そこで、今月はかなり苦し紛れのレンズを投入して、この場をしのぐことにしました。

ZKは、ゾナー・クラスノゴルスキーを意味するようで、イエナのツァイス工場にあったゾナーレンズのガラスが敗戦によってロシアに持ち出されクラスノゴルスクの工場でアッセンブリされたレンズとしてよく知られています。
同時にロシアはゾナーをコピーしたレンズをオリジナルとして設計し、ジュピターの名前で大量生産しました。
これが本当であれば、ZKはゾナーそのものであって、あえてゾナーと分けて登場させていいものかという問題があります。

このケースに近い形態として、レンズメーカーの製造したレンズを自社のものとしてOEM化したものがあります。
知られていないだけでこんなケースはいくつもあるのでしょうが、ぱっと思い出すところではライカコピーのぺりフレックス用レンズはメーカーのコーフィールド銘にこそなっていますが、マウント側にはエナが製造したことがはっきり書かれています。
これをエナのレンズとして扱うことも可能ですが、わたしは普通にコーフィールドのレンズとしてカテゴライズしました。
その例にならえば、ZKをゾナーではなく、ロシアのレンズとして扱うのは辛うじて許されてもよいことではないかと考えます。

しかし、本当の問題は別のところにあります。
そんな経緯でできた特別なレンズのZKはかなり希少な存在のはずですが、市場では一定の頻度で出現する希少性の薄いレンズなのです。
ZK銘レンズのほとんどは、ジュピターの銘版だけをすり替えた偽物の可能性が非常に高いということです。
ゾナーのガラスでできたZKは、ジュピターにコピーされ、そのジュピターをもとにしてZKにコピーされると言うと、何だか訳が分からなくなりそうですが。

玉は以前に出しているイエナゾナーじゃないかという問題と、そもそもがジュピターベースのニセモノじゃないかとの二重の問題がありますが、ここはとりあえず、独立したZKであるということにして、このレンズのみでずっと開放作例を続けていくことにします。


コピーだ、ニセモノだと言えば戦後はロシア、今は中国ということになるのでしょう。
深圳の海岸は、湘南海岸をコピーしたのか、烏帽子岩のニセモノが海に浮かんでいました。
中央の円陣の女の子たちは、雨で濡れてヤケクソになったようで、着替えもないだろうに服を着たまま海に入っていって、友情を確かめ合うようにみんなで肩まで水に浸かっていました。
でも、女の子の内過半数は、かなりためらっているのが見てとれます。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/17 Sun

摩西出来

M8/ZK 5cmF1.5
それは突然というほどには急なものではありませんでした。
雲行きが怪しくなって来たかと思うと、風も吹きつけるようになってきたので、ひと雨来るなと心構えはできていました。
ただ、ぽつぽつと来てからスコールのような豪雨になるまでがあっという間で、海辺にいた人がいっせいに屋根のある施設の方へ一気に大移動する騒ぎになりました。

女性の多くは日傘と兼用の傘を持っている深圳なので、それでも案外みんな落ち着いたものです。
しかし、今まで泳いでいて全身が濡れている女性までもが、傘をさして歩いている姿には微妙な違和感を覚えたりもします。
むしろ、せっかくの無料のシャワーで海水を洗い流すべきと忠告のひとつもしたくなってしまいました。

傘を持たないわたしは、すでに満員状態の売店の屋根に割り込ませいもらいます。
降雨が屋根にたたきつけて轟音がするので、まわりの人たちは隣と会話するのにも大声を出したりして、なんとも騒々しい雨宿りです。

そんな中、携帯にメールの着信がありました。
なんだろうと思ってみると、契約している中国の通信会社からのメッセージで、今日、深圳では大雨が降るので出掛ける時は傘を忘れずにと表示されていました。
日本では地震が発生した瞬間に緊急地震速報を流して地震が到達する前に注意喚起してくれますが、中国でも同様に雨が降り始めの瞬間にこういう情報を流してくれるのでしょう。
ただ、言うまでもありませんが、こんなのはもっと前にやってくれなければ何の意味もありません。

楊さんや王さんは難を逃れられたのでしょうか。
離れ離れになっていたので、ふたりがどうしたのかはてんで分かりません。
ひとりでぼんやり雨宿りするのは退屈でしたが、しばらくすると小降りになってきたので、多くの人が離れていって、少なくとも屋根の下から撮影するくらいのスペースができてきました。

そんなタイミングで現れたのが、母親のTシャツを着て歩いている子どもでした。
シャツの丈がちょうど足首くらいまで来ていてワンピースというか、黒い色ともあいまってなにか宗教的な衣服をまとっているかのようです。
右側の肩だけ露出している姿に、わたしは勝手にモーゼ少年と命名しました。
しかし、ちびモーゼが歩いていっても海が割れることは無く、雨がよけたり、止んだりすることもありませんでした。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/16 Sat

太近

M8/ZK 5cmF1.5
日本のような島国で生まれ育って、海を見たことが無いという人はかなりの少数派になると思います。
しかし、国土が広大で、ましてや十年ちょっと前まで移動することがそんなに容易でなかった中国では、見たことがないという人はかなりいるはずです。
恐らく、人口13億人のうち2億とか3億とかという人が、海を見ることなく生涯を閉じてしまうのではないでしょうか。

そういえば、いなかから出て来て海に面している深圳で何年も働いているのに、海を見たことが無いという人に会ったことがありました。
また、何人かと連れだって今回来ているのと同じ大梅沙海岸に行ったとき、そのうちのひとりが生まれて初めて海を見たとぽつりとつぶやいたのを聞いたということもありました。
こういうことがあるたびに、中国はひろいとつくづく考えさせられます。

そこまで極端ではなくても、一般に内陸の中国人が海水浴に行くというのはかなり特別なことのようです。
海を見たとき、海辺へ着いたとき、海に入るときのテンションがすごいです。
日本でも、子どもだったら思いっきりはしゃぎ暴れますが、中国では老若男女が同じノリになるので、こちらもつられて楽しくなってしまいます。
人間のプリミティブな姿を見るようです。

もうひとつ、海辺に着いた人々は、脱いだ靴や着替えなどをかなり波打ち際ぎりぎりに置いてから、海に入っていきます。
おだやかなべたなぎですので、それでもまあ当初は問題ありません。
それでもたまには少し大きな波が来たりして、荷物を濡らしたり、靴を流してしまいます。
そのたびに大騒ぎが起こります。

それに彼らは忘れてしまっているのか、知識としてないのか、海には潮の満ち干があります。
それを考えずに、なるべく海のそばにと荷物を置いて、だんだんと波が近くまで来るのに気付いてあわてたりするわけです。
食料の配給を受けるために我先に前に出たりする記憶がそうさせるのかも知れません。

アメリカ人かヨーロッパの人か分かりませんが、西洋人の姿を何人か見かけます。
彼らは、中国人の群衆から距離を置いて、場所取りしていました。
もう海は眼の前なので、波際に荷物を置くのはおろかだと承知しているし、何より騒々しい中国人の中に入り込んでいくのは賢明ではありません。

ところで、彼の背中の刺青の文字は、どういう意味があるのでしょうか。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/15 Fri

到海辺拍照

M8/ZK 5cmF1.5
辛い四川料理のお昼を食べてから、海水浴場を目指すことにしました。
暑さの中、寝不足状態で歩いたので、わたしはもちろん、スタミナのありそうな楊さんまでもが、夏バテ状態で食事があまり喉を通りません。
ところが、ひょろっと細い王さんは、ぜんぜん堪えている風ではなく、注文した4皿の3分の2以上をひとりでたいらげる食欲を見せました。
やはり只者ではありません。

今日は楊さんのVWポロではなく、王さんの車で移動です。
ビューイックのマークが貼られた内装が全部革張りになった、ちょっとした高級車です。
わたしは車のことはよく分からなかったのですが、ビューイックというのはメーカーというよりも、GMのひとつのブランドのようです。
さすがアメ車という感じで、後部座席でも広くてゆったりしていますし、エアコンも独立していたので快適な移動でした。

30分ほどのドライブで着いたのは、大梅沙という深圳ではたいへん有名な海水浴場です。
わたしも1度来たことがありますが、そのときはもちろん撮影のためではなく、いちおう女性連れで海水浴にやってきたのでした。
しかし、今回は、むさくるしい男3人がカメラを持って、海水浴客でごった返す砂浜をうろうろするという異様な
状況です。
日本ではあり得ないというか、たぶん湘南海岸とかでそんなことをしたら、すぐに警察が飛んできて最寄りの交番まで連れて行かれてしまうことでしょう。

しかし、中国では、今のところそんな心配はいらないようです。
去年、尖閣問題で体当たり船長の身柄を拘束したところ、報復で日本人会社員が北京だかで捕まった事件がありましたが、その理由は軍事施設を偶然撮影していたからとかそんな話だったと記憶しています。
中国人が尖閣諸島周辺で性犯罪を犯して日本に身柄を押さえられない限り、日本人が海辺て水着の女の子の写真を撮っていても捕まらないということなのでしょう。

と期待させつつも、作例写真は水着の女の子ではなく、ふつうの服装の女の子になってしまいます。
わたしのような小心者は、いきなり露出度の高い水着を堂々と撮影などという、大胆な行動にでるのにはいささか無理があったようです。
それでもがんばって、この日大梅沙海岸に来ていた中でいちばんの美少女だろうと思われる女性を撮影したので、どうかご容赦いただきたいと思います。

もともと楊さんが撮影地に海水浴場を選んだのは、水着の女の子が目当てではなく、あくまで開放的な場所でいろいろな面白いシーンをスナップできるからというのが理由でした。
実際、楊さんを観察していると、あっちこっちと歩いて傑作スナップをものしている様子です。
わたしはと言えば、師匠の期待にもこたえることができず、かといって自分の写欲も満たすことができず、冴えない頭で広い海岸を右往左往するばかりでした。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/14 Thu

我還健康

M8/ZK 5cmF1.5
あまり日本では目にできないようなシーンに出合いました。

病院の前に人だかりがあって、何やら緊張感が漂っています。
近寄って見ると、ひとりの男性が入口に貼り紙をしていました。
ポスター大の紙に延々と手書き文字が書き込まれていますが、人垣でなんと書いてあるのかははっきり読めません。
続いて、扉の両端に「わたしはまだ健康だ」「黒…」(やはり読めない)の文字が書かれた紙を対聯のように貼り付けました。

想像するに、ここで診療を受けたこの男性が、医者から重篤な病にかかっているが、助かりたければこれこれの診療を受けなさいとか診断されて言われるままに診療し続けたが、どうも騙されたようだと気付き抗議にでたのではないかと思われます。
たぶん直接訴えたが聞き入れられずで、やけくその貼り紙攻撃を敢行したのでしょう。

ちょっと驚きだったのは誰も止めないのはもちろん、病院の警備員と思われる人も愉しそうに推移を見守っていたことです。
さらには中を覗くと、看護服姿の女性たちまでもが、その行動を見るばかりで止めさせようともしません。
男性の訴えが真実だったとしても、営業妨害的な行為としてその場でもみ消されそうなものなのに、近くにいた大勢の人に内容が知れ渡ってしまってよかったのでしょうか。

中国の医療は信頼度が低く、医師もかなりの薄給のため、しばしばトラブルが発生しています。
急患で運ばれて来てもまずは医療費の支払い能力があるかを確認しないと診察しないそうですし、よりよい診察を受けるために袖の下をわたすのは当たり前でそうしないと病院に相手にされないなどと聞きます。
以前、ともだちの奥さんが出産の時にお祝いに病院に行ったら、産科病棟のスペースが足りないとかで、廊下のベッドに寝かされていたのにはぶっ飛びました。
医療については、世界の常識が中国では通用しないという最たる例でしょう。

しかし、少し考えれば分かりますが、これは医療に限ったことではなく、むしろこのことは現在の中国の象徴と考えるべきかも知れません。
問題発生しても、相手が金持だったため地方政府も地元警察も骨抜きにされていて、抗議したところ逆に捕まったとか、賄賂を拒否した妊婦が警察にいじめられたことをきっかけに暴動に発展したとか、そんなニュースが日本でも毎日のように報道されています。

経済成長率が8%とか二桁とか言っていれば、物価はがんがん上昇していきます。
一方で人口がとんでもなく多い中国では、労働力がありあまっているために賃金はなかなか上がりません。
富裕層が拡大している一方で、生活に困窮する労働者も増加の一途です。
これだけ格差が広がれば労働者の不満が蓄積されるのは当たり前のことで、毎日中国中で何十件もの抗議行動や暴動が起きていると報道されているのは納得がいきます。

深圳のような成長著しい成功モデルの都市では、なかなか体験できない中国の真実。
病院に騙されたと抗議している青年のちょっとした後ろ姿を撮影したに過ぎないようにその時は思いました。
しかし、政府がひた隠しにしようとするダークな部分を見ることができた、貴重な体験だったのかも知れません。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/13 Wed

地平線相機

mM8/ZK 5cmF1.5
今回は、スペシャルゲストではないですが、楊さんの他に友人だという王さんも参加しての3人態勢でした。
楊さんとは、写真を通して知り合ったそうで、撮影スタイルは影響を受けているようです。
年齢的にも、楊さんと同世代くらいのようで、かなり楊さんとウマが合っているのが分かりました。

王さんは、単独行動派でしたので、どのように撮影しているのかは見れませんでしたが、休憩時にカメラバッグを開けてもらうといろいろなものが出てきます。
ニコンのコンパクトデジタルカメラ、キヤノンの古いフィルムAFカメラ(オートボーイ?)、ロシア製パノラマカメラ・ホリゾント、ペンタックスのスポットメーターの4点。
いったい、何をどのカメラでどのように撮っていたのか。

しかし、マクドナルドで休憩中、やはり楊さんとおんなじスタイルだと思わせることがありました。
少し離れた席でべたべたしていたカップルに向けて、王さんが煮込んでさっと撮影しました。
すかさず、王さんは液晶を見せてくれましたが、そこに写っていたのは、べたべたカップルが隅にあって、それを迷惑そうな顔で見ているちっちゃな子どもの顔でした。
幼稚園くらいの子どもがずつとそんな顔をしていたはずもないでしょうから、絶妙のタイミングを捉えたものだと思います。
さすがなのは、すっかり絵として構図がまとまっていたことです。

楊さんによれば、王さんは少し前まで深圳市郊外のエリアの区長をしていたそうです。
現職が何なのかは聞きませんでしたが、長となっているのなら少なくとも共産党の幹部でしょう。
かなり気になりましたが、余計なことを言ったりしないよう気を付けました。

そういえば王さんで気になることがありました。
うだる暑さの中で長袖のシャツを着ていながら、わたしや楊さんのように汗をかくことがまったくありませんでした。
それに常に冷静で、あまり感情を表に出さないタイプの人だというのが、楊さんとは正反対です。
いつも別行動だったのに、ここぞという時には戻ってましたし、楊さんが撮影している姿は何度も見たのに、王さんの姿は1度も見かけませんでした。
それに、マクドナルドでも見せた鋭い観察眼…。
王さんとは何者なのか、やばい方向に想像が膨らんで行きそうでした。

さて、わたしの作例の方は、あいかわらず平々凡々です。
昨日の路上床屋さん以上に邪魔だった軽自動車越しに作業する図々しい親父を撮影。
鋭い観察力も工夫も何もありません。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/12 Tue

人行道的障碍物

M8/ZK 5cmF1.5
暑さのピークになる7月も深圳を訪れ、恒例となった楊さんとのスナップを敢行してまいりました。
さすがの楊さんも6~9月はスナップなんてほとんどしないそうで、ほんとに来たのかとあきれつつも、わたしの根性に一目置いてくれてもいるようです。
猛暑の中、文字通りの熱烈歓迎で迎えてくれました。

楊さんはフリーランスの写真家ですから、ある程度はわたしの日程に合わせて時間をつくってくれますが、それに甘えていていいのかという疑問も感じています。
この日もそうでしたが、電話がかかって来て、仕事の打ち合わせをしていることがときどきありますし、なにしろマミヤのデジタルパックを100万円近くかけて新規購入したということは、それをペイさせるだけの仕事を受けなくてはいけないはずです。
楊さんだってライフワークとしてやっている路上スナップですが、もともと休止していた夏場は遠慮することにして、とりあえず来月はやらないということを決めました。

いつも8時集合ですが、今回は8時半集合で朝食は各自済ませること、と前日連絡が来ました。
特に疑問も感ぜずその通りにしたのですが、楊さんは前夜に用事があって就寝がそうとう遅かったようでした。
それなら集合も昼からにしようと言えばいいのですが、絶対にそうはしないのが楊さんです。
ちょっと辛そうな表情を隠せずに、時間通りにやって来たのでした。

今回は海辺へ行ってスナップしようと話していましたが、さすがに朝から海へ行っても仕方ないと、まずは比較的近いところから撮影を始めました。
曇りの日の深圳は気温だけみると東京とさほど変わりませんが、湿度はなぜか梅雨の東京より高く感じます。
わたしも昨夜遅くに到着して数時間の睡眠で来ているので、この蒸した感じにはかなり気力をそがれます。
なかなかがんばってスナップするという元気がでないのですが、今日の作例のような動かぬ被写体が登場してくれると非常に助かります。

中国では路上の床屋は一般的で、わたしも何度か紹介したかも知れません。
ただ、普通は公園とか、ひさしがあって常に日陰になっているところが一般的です。
なんで、通行量の多い、狭い歩道で商売しているのかよく分かりません。
人が多く通れば客足も絶えないと思ったのでしょうが、こんな暑い中、公衆の面前で髪を切られるのは中国人だってかなり抵抗があるのではないでしょうか。
このお客さんは、どういう経緯があってここに座ったのか、少し気にならないでもありません。
【M8/ZK 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zorki ZK 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/11 Mon

手動門的電梯

M8/Hexanon 50mmF1.9
モンブランではPixを何本か所有していることで、わたしは大満足でした。
万年筆は奥が深すぎるというイメージが強かったですし、そもそも字がヘタクソなので万年筆など使ったら読める字は書けないと思っていました。
それに何より高価だというのが、関心が向かない最大の理由です。

もともとは万年筆には興味があったのです。
就職してから最初にヨーロッパの旅に出た時、ブダペストの文房具店だったと思いますが、いきなりパーカーの万年筆を購入しています。
とはいっても、これは数百円のカートリッジ式の学生用でした。
コストパフォーマンスはきっと良かったのだと思いますが、ボールペンと比べると何しろ字が書きにくく、たまにインクが暴発したりとします。
翌年はもうちょっと高価なものを買ったり、少しばかり努力はしてみますが、結局、万年筆はわたしに向かない筆記具として却下されることになったのでした。

それと並行して、昨日も書いたようにペンシルの古モノを買ったりしましたので、万年筆はもうわたしには縁のない筆記具との烙印を押されていました。
いましたが、それから何年も何年も経って、ある方からこれはペン先を調整されたすばらしい書き味のモンブランだと触らせていただく機会がありました。

それがどうしたと思いつつ、試し書きしたのですが、これがPix初体験をしのぐ衝撃です。
さらさらっとしたペン先の動きから、文字が生き物のように生まれて来ました。
もちろん字はヘタクソですが、それすら個性的な何かに感じさせる不思議な愉しさがあります。
万年筆は、英語でファウンテンペンと言いますから泉のペンの意味で、インクを足すことによって鉛筆のようにどんどん短くなることなく泉のごとく使えるということから来ているのかと思っていましたが、ペン先からインクがほとばしるように出るさまが泉のようだと言う意味なのではないかと思われるほどでした。

Pix用の1.18mmの芯は、内外で細々と製造されているようですが、その最高峰は銀座の店で売られている芯だと言われています。
先々週土曜日、その芯を買いにいくべく銀座まで足を運んだのに店は休みでした。
あらためて確認すると翌週の土曜は営業すると言います。
芯を買うことを口実に、その店のメインであるオーナー自らがペン先を調整する万年筆も見せてもらうことにしました。

往時の銀座のビルはみんなこうだったのだろうかと想像たくましくさせる古いビルにその店はあります。
何しろエレベーターの扉が蛇腹とドアの二重になった手動式です。
モノクロ映画そのものの世界と言えます。
店内に入ると、万年筆博士と呼びたくなるような、意外にも知的で温和な印象のオーナーが出迎えてくれました。

少しのやり取りの後、万年筆を見せてもらいましたが、その結果は言うまでもないかも知れません。
先日、触らせてもらったもの以上の素晴らしい書き味です。
そのままお買い上げで持ち帰ってもなんら問題は無いように思えたのですが、クリーニングとペン先の綿密な調整をするのだそうです。
その期間、なんと1か月。
すでに1週間が経過しましたが、最初の万年筆への思いは日増しに強くなっています。
【M8/Hexanon 50mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Konishiroku Hexanon 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/10 Sun

深圳在谷中

M8/Hexanon 50mmF1.9
昨日の写真は、谷中銀座商店街から日暮里方向にずっと進んだところにある坂でした。
夕やけだんだんという愛称があるようです。
懐かしのテレビ番組をもじったのでしょうか、いや、テレビの方がこの商店街に敬意を表したネーミングだったのかも知れません。

そしてその夕やけだんだんを登りきったところに、深圳という中国料理屋さんがあってびっくりしました。
まだ開店前で仕込みの真っ最中のようでしたが、オーナーのお母様と見られる女性が店の前に出て来たので思い切って、どうして深圳なんですか、あちらの方ですかと訊ねてみました。
意外にも、女性もオーナーシェフも日本人で、もともとは国内の中国料理店で働きながら修業しましたが、広東料理店をやるにはどうしても現地で覚えなければいけないことがあると、深圳でも働いて、ついにここで店を出すに至ったのだそうです。

あちらで勉強したのだし、深圳という名前のレストランはなくて、最初のネーミングとして縁起も良いのでズバリ深圳という店名にしたと聞き、このオーナーシェフにもいろいろと話をうかがいたかったのですが、開店まではだいぶ時間があったので次回食事させてくださいとその場を去ることになってしまいました。
残念でしたが、この次来る時の楽しみができました。

話は飛びますが、おととい書いたようにわたしは古モノが好きで、旅をしてもあまり買い物しないにも関わらず、蚤の市とか骨董品屋などを見つけるとついつい覗いてしまいます。
日本の骨董屋さんはいかにも敷居が高いところばかりですが、中国はもちろん、ヨーロッパあたりでも意外に入りやすかったりしますし、骨董ではなく古いものということならけっこうリーズナブルに買えるものもあるものです。

ひょっこり買ったもののほとんどがガラクタですが、以前に書いたことがあるように古い腕時計を買ってずっと使っていたことがありますし、古いエッチングなども部屋に飾っています。
しかし、実用ということでいえば、いちばん使っているのはペンシルです。
ペンシルと言っても鉛筆ではなく、モンブランが製造していたPixというシリーズのシャーペンのようなスタイルのものです。
芯が1.18mmと馴染みのない太さのためスペア探しに苦労しましたが、今は通販などで簡単に手に入ります。

Pixは独自の機構を持ったペンシルで、1920年代にデンマークの会社が開発しました。
モンブランはその権利を買い取り、独自の軸に入れて販売しました。
1930年頃に発売したようですが、すでにペンシルとしての形態は完成されています。
その頃のものも見つけて買い求めましたが、昨日としては完璧で、芯の太さから、一般的なシャーペンとはひと味もふた味も違った書き味が楽しめます。

それとノックした感触が重厚で、機構的な精密感が指先に伝わって来ます。
似ているわけではないですが、ライカを操作しているときに感じる精密感に通ずるものがあるとわたしは思っています。
最初に買ったのは1950年代のPixでしたが、すごく小ぶりながら重量感があって、この時初めてノックしてみて前述の重厚感覚にしびれ、即欲しくなってしまいました。
恐る恐る価格を訊ねると、わずか数千円です。
多少汚れていますが、もう半世紀も前の感動品のモンブランがそんな価格なのかと驚きました。

これは後で知ったのですが、モンブランはやはり万年筆にこそ価値と人気が集中していて、Pixなどしょせんペンシルは不人気でかなり安いようでした。
ペン類は万年筆とペンシルがセットで販売されるのが普通で、万年筆と同等クラスのペンシルが対のように存在します。
当時の販売価格は分かりませんが、中古市場価格ではペンシルは万年筆の半額~数分の一というのが普通のようです。

製造本数は万年筆ほどではないようですが、それでも不人気も手伝ってか蚤の市や骨董品店でしばしば見かけます。
積極的にコレクションしようとまでは思いませんでしたが、見つけて値段が安ければ買い求めるようにしたため、Pix5~6本がわたしの机の上に置かれる状態にまで購入していました。

年代によって、また高級度合いによってデザインが異なるので、そういう違いを見極めつつ手許で比較したり、もちろん実際に字を書いたりと実用的でかつコレクティブルな古モノとしてはレンズ関係と双璧と思われました。
何となく見つけては買っているうちに何本かが集まりましたが、けっしてコレクションだという認識ではありませんでした。
ペンシルはいくらデザインが違っていても、芯が同じである以上、ほぼ同じような字が書けるだけで、レンズのような個性が際立たないということが理由のひとつだったと思います。
【M8/Hexanon 50mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Konishiroku Hexanon 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/09 Sat

夕焼段段

M8/Hexanon 50mmF1.9
古いレンズを集めて、ときどき使っては悦に入っているくらいですから、わたしは典型的な古モノ好きです。
現在のプラスチック鏡胴のレンズよりはライツのクローム鏡胴に惹かれますし、それよりも19世紀の真鍮鏡胴にはもっと痺れます。
ガラスから鏡胴から刻印まですべて人の手で作られている工芸品です。
素材だって最高級の物を選りすぐって使っています。

しかし、性能では最新のものにはかなわないからなあと人は言います。
確かにその通りなのでしょうが、対象を正確に写し取ることがアマチュア写真家にとってそれほど大切なことなのかと疑問を感じます。
ほとんどの撮影者は撮影結果が現実に近いほど良いことだと思うのかも知れませんが、正確に写っていないほうが面白いと感じる人だって少しはいるでしょう。

そういうと極論過ぎるかも知れませんが、少なくとも絵画の世界では写実主義がロマン派や抽象主義より劣るとか優れているとかという話にはなっていないと思います。
収差を限りなくゼロに抑えたレンズと対照的なソフトフォーカスレンズしか認めないという人ばかりではないという話も、最近よく聞くようになっています。

そういえば、つい先日、ジャンルー・シーフの写真集を購入しました。
ホロゴン158さんが推薦する写真家のうえに、わずか1094円と、200ページ近い大型ハードカバー本が信じられない安さです。
しかも書籍は、送料が無料と来ています。

さっそく到着した写真集を眺めましたが、さすがに素晴らしい写真衆と感じます。
ただ、シーフというと人物写真が多いですが、スナップではなくモデルを使ったもので、わたしにとってはブレッソンやアーウィットとは同列に見ることができない写真家でした。
今回、廉価版の写真集が出たことで、シーフのような撮影スタイルも理解できるようになれば良いと願います。

シーフのプリントにはナチュラルな要素がほとんど見られません。
プリントのことはまったく分かりませんが、シーフのようなスタイルであればレンズにシャープネスは求めてもコントラストは問わないように思われますし、レンズ性能に対しても問題にしないように思われます。
写真の巧い人はレンズ性能にこだわったのかも知れませんが、プリントの名手はどうでもよかったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
【M8/Hexanon 50mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Konishiroku Hexanon 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(2) | 2011/07/08 Fri

懐古愛好

M8/Hexanon 50mmF1.9
世の男性諸氏には、新しモノ好きと古モノ好きに大別できるようです。
男性とことわるのは、女性はあまり古モノ好きはいないと思われるからで、レトロチックなものを愛好したり、古い町並みを選んで訪れる女性は多いとは思いますが、モノとして古いものをあえて愛玩するという趣味はもっぱら男性のものではないかと思います。

ですから、谷根千などの古い町並みは男性も女性も好んで訪れますが、ただ古いというだけでない面白さに女性は惹かれるのでしょうし、男性の方は古さのみに惹かれて訪れている人が多いんじゃないかと思ったりします。
カメラの世界でいえば、クラシックカメラのほとんどは男性なのでしょうが、クラシックカメラを愛用するのは女性にも普通に見られます。
それは、古いからではなく、マニュアル的としての操作の楽しみがあって、撮影結果にも現代のカメラとは違う趣が得られるからで、同じ喜びを感じていても男性の方にはオールドカメラだから好い、歴史的名カメラだから使う、今では製造されていないカメラだから愛でるといった要素が濃厚に反映するのではないかと思われるのです。

その証拠、というには根拠不足かも知れませんが、わたしの知っているクラシックカメラを愛用している女性は、撮影していてカメラのことで話しかけられるのを嫌っています。
カメラのことは第一次的問題ではないので、話しかけられるのがうざいという感覚のようです。
しかし、わたしもそうですが、クラシックカメラを使っていて、そのことで声をかけられると嬉しくなってついつい話し込んでしまったりするのは決まって男性だと言えそうです。

さて、冒頭にあげたのは、男性か女性かではなく、新しモノ好きと古モノ好きのことでした。
わたしの周囲の一般的な人でいえば、ほとんどが古いものになんて強い興味は示しません。
せいぜい、ああ、懐かしいですねえとか、ずいぶん古いですがいつ頃のものですかと、社交辞令的に確認する程度です。
しかし、そういう人も自分の得意分野では、携帯電話だったり、PCだったり、その他趣味全般について、最新機種のことをよくご存じです。

一方で古いモノを愛好する人がそれなりに存在するのは周知のことです。
いや、古いからではなく、モノとしていいから好きなんだ、と言われるかも知れませんが、そうは言っても古いからこそ良いとか、それが最新のものだったらそれほどのめりこまないだろうというフシがあったりとやはり古モノ好きとカテゴライズせずにいられない人種の人が日本にはすっかり根づいています。

先にカメラをあげましたが、クルマ、バイク、オーディオ、時計等々、細かいところまであげていけば、かなりの分野までカバーしていくのは間違いなさそうです。
わたしもオールドレンズ趣味があるくらいなので、古モノは大好きですが、能力や経済力がいろいろなことに手を出すことを禁じていますので、あとはせいぜい古いカメラと時計を数個ずつ所有している程度です。

レンズの世界があまりに広大で深遠だったため、他の分野に手を染めることなどあり得ないとも思っていました。
しかし、その禁を犯してしまうことになりそうです。
その最初の一歩を谷根千に出掛けた日に踏み出してしまったのでした。
できればそれが最後の一歩であってほしいと願いつつも、今日、2歩目まで足を延ばしています。
愉しんでいるくせに、不安を感じていて自己抑制を考えているところだったりします。
【M8/Hexanon 50mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Konishiroku Hexanon 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(2) | 2011/07/07 Thu

谷中的銀座

M8/Hexanon 50mmF1.9
谷中銀座商店街では、ビールを一杯飲んでまた来た方向に戻りましたので、たぶん20分くらいしかいなかつたと思います。
にも関わらず、ここがすっかり気に入ってしまいました。
次回来る楽しみのために、先に進まず反対に戻ったくらいです。

なぜか風通りのある商店街で、ちょっと涼んで美味しくビールをいただけたからだけが、ここが気に入ったわけではありません。
銀座で用を済ませて、また銀座と名の付く商店街にたどり着いたので気に入ったというわけでももちろんありません。
人の流れがいいと感じられたのがひとつの理由です。

ローカルな商店街ですから地元の人が買い物とか散策に来ています。
家族連れ、おじいちゃんおばあちゃん、犬の散歩、近所のガキたち、単独で歩く猫、誰もが明るくいい表情をしています。
それに、谷根千散策目当ての外来者が加わります。
これも、若いカップル、若くないカップル、エネルギッシュな青年、疲れているけど好奇心あふれる中年、興味津津の女の子同士、これまたみんな表情がいきいきです。

通行する人が商店街をより魅力的な空間にしています。
もちろん人が集まるのは、商店街自体に人を引き付ける力があるということです。
ビールを出す酒屋さんと隣の肉屋さん以外にも、きっと個性的なお店が並んでいるのだと思います。
お店も訪れる人も、被写体としてたいへんに魅力的でした。

魅力と言えば、ビールを飲んでいる間、となりで展開されていた会話がじつに楽しいものでした。
ラフなかっこうの青年が、地元のおばちゃんたちに囲まれるかたちでずっと話し込んでいたので、聞くとはなしに聞いていました。
この青年のお母さんの実家がこの近くらしく、そのおばちゃんたちが、何それちゃんの息子なんだと言って盛り上がっているのです。

青年は誠実に母親の近況報告をし、まわりのおばちゃんたちの話も熱心に聞いて母に伝えると言っています。
そんな話を聞きつけた別のおばちゃんが飛び入り参加したり、通りがかりのおばあちゃんに、○○さんの息子さんだってよと紹介したり、輪が少し広がったりもしています。
最後は、また来てよとみんなに言われ、必ず来ます、毎週来たいんですが、いま東北の被災地でボランティアしているので次はちょっと先になりそうですけど、などと返答していました。

日中飲んだビールはよく効くようです。
こんな人情話を聞きながら、すっかりわたしも心打たれてしまいました。
これぞ谷根千。
【M8/Hexanon 50mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Konishiroku Hexanon 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(2) | 2011/07/06 Wed

白天的啤酒

M8/Hexanon 50mmF1.9
どこをどう歩いたものか、見覚えのある千駄木の駅近くに来ました。
通りに不忍通りとありましたので、南方面へ向かえば上野公園の不忍池へ出れるのでしょう。
ここは駅周辺を歩いてみることにします。

もう3年くらい前でしょうか、当時は親交のあった方々がシネレンズの写真展をやるというので見学に行ったのが谷中で、そのときに周辺を案内してもらったことがありました。
その時、撮影して歩きながらいいところだなあと思いましたが、その後すっかり忘れ去ったかのように訪れることが無かったのが自分でも不思議です。

一方のシネレンズ通の皆さんとは親しくお付き合いさせていただき、教わることも非常に多かったのですが、その後加入したメンバーがわたしに難癖を付けて突っかかって来るようになりました。
相手にしなければよかったのですが、わたしの友人たちにまで非難の矛先が向いてきたので、友人たちにまで迷惑はかけられないと、このグループの一切との交流を断念することにしました。

写真関係のグループは、自分がいちばんいい写真を撮りたいというエゴイズムの世界があって、案外人間関係がギクシャクしていたりすとも聞きますが、レンズ愛好家では趣味性が高すぎるせいかマイペース派が多く自分勝手な人はいなくて、むしろ人の趣味に対して理解を示す紳士的な人たちばかりです。
他人を公然と非難する人がいたのはこの時が最初で最後ですが、その対象がまさにわたしだったというのは寂しい限りです。

もっともよく考えてみると、その人物は特にレンズに強い関心を持っているわけではないようでしたので、なんでレンズのグループに参加してきたのか、受け入れてしまったのかと、今になって疑問に感じないではありません。
それに、今でもときどき自身のブログで他人を中傷したりして、お前は何様のつもりだと怒られたりもしたそうです。

それはいいとしまして、すっかり深い溝ができてしまったこのグループとの再会はありえなさそうですが、千駄木の再訪はやっと実現しました。
不忍通りの一本内側が、よみせ通り商店街という名前からして魅惑的な通りになっていました。
さらに途中、日暮里方面へ折れる細道が、かなりの人で賑わっていて何とも好い雰囲気です。

谷中銀座商店街と書かれています。
入ってすぐのところにお肉屋さんがあって、何を求めているのか多くの人が行列しています。
わたしはお昼を食べたばかりなので、どこかカフェに寄ろうと考えていたのですが、肉屋さんの隣が酒屋さんで、店頭にビールサーバーを置いてさあ飲んで来なさいとばかりに誘いかけて来ました。

店の左右にはビールケースがいくつも並んでいて、どうぞお座りくださいと言っています。
日中のビールは、撮影に悪影響がある、がわたしの持論ですが、この暑さにビールの誘惑とあっては、撮影どころの話ではなくなります。
ビールケースにどっかと腰掛けて、ゆっくりとゴクゴクゴク…。
至福の時間です。

撮影はしばらくいいやと思っていたのですが、人通りのおおい商店街をぼーっと眺めていれば、子どもにばあちゃん、自転車、犬、外人さん等々、次々とかっこうの被写体が通り過ぎていきます。
腰掛けている状態のローアングル具合が、子どもの視線といっしょでしたので、今日はこの写真を採用します。
少女のおだやかな表情が本日の最高傑作です。
なにしろ、他の写真は全部人物の背中しか写っていないのですから。
【M8/Hexanon 50mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Konishiroku Hexanon 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(3) | 2011/07/05 Tue

開始就迷路

M8/Hexanon 50mmF1.9
レンズは、幸運な経緯で入手できたヘキサノンに決まりました。
では、行き先はどうしましょう。
銀座には行かなくてはならないので、月島、佃、築地とぐるっとひと歩きしようかと考えましたが、この暑さで町に人影もないのではとの懸念がありました。
人手がありそうというのを念頭に、谷根千はどうかとのアイディアが浮かび、そのあたりの散策を決断しました。

谷根千などと知ったような書き方をしましたが、実質的にこのエリアには行ったことがありません。
谷中のギャラリーで写真展を開催した知り合いがいて見に行ったのと、去年のつつじのシーズンに本郷に行った時に谷中神社に足を延ばしたのみです。
散策に愉しいところだと聞きますのでいつかは出掛けたいと考えているうちにすっかりわすれてしまっていたのでした。

ところで、谷根千とはたまに聞く言い方ですが、一般的な言葉として定着しているのでしょうか。
散策中、看板に谷根千の文字を2、3度見ましたので、地元では浸透している言葉かも知れません。
谷中、根津、千駄木の頭の文字をとってひとつのエリアの呼称にしたのだと思いますが、あまり響きが好いとも思えませんし、何かの単語とひっかけているのかそのへんの事情を探る必要もありそうです。

わざわざ書くまでもないかも知れませんが、谷中は上野公園の北方向、日暮里駅の西側に広がります。
台東区になるわけですが、根津、千駄木は区をまたいで、文京区になります。
まったく無責任な認識ですが、台東区というとごみごみしたところ、文京区というと学問の中心みたいなイメージがあって、どうもその両者が結び付きません。

そのせいではないのですが、日暮里で下車するところを地図を見間違えて鴬谷で降りてしまい、大きな時間のロスをしてしまいました。
昨日、おとといの作例は、自分がどこを歩いているのかも分からずに、自分は谷中の中心を歩いていると誤解して撮ったものです。

歩き進んで東大に出てしまい、そのとき初めて道を間違えていることに気付き、軌道修正してどうにか谷中に戻って来たところで撮ったのが今日の作例です。
谷中に入ったのは好いのですが、はて、どこへ行ったらいいのかすっかり分からなくなってしまっています。
もともと目的地も何もないので、谷根千エリアという言葉から連想されるような古い下町のような町並みを歩くつもりが、簡単にはそういう場所まで達することができないのでした。

前方のカップルも、典型的な谷根千散策を楽しもうとしているように見えます。
しかし、かわいそうにやはりわたしと同じように適当に歩いて、ちっともいいところに出ないので、どっちへ向かって歩くか意見が割れているようでした。
谷根千は案外と排他的で、一見様には楽に歩くことを許してくれません。
【M8/Hexanon 50mmF1.9 F1.9】
Konishiroku Hexanon 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/04 Mon

太黒買

M8/Hexanon 50mmF1.9
先週出掛けた銀座は、先方の問題で用を済ますことができず、この土曜日再訪することになってしまいました。
なんにしろ電話などでの確認は必要です。
おかげで、今週は銀座にからめてどこに行くかと思考する愉しみができましたし、先週レンズで失敗したので今度は何を持っていくかと悩む喜びにも浸ることができました。

レンズ選びの方でいくと、小西六のヘキサノンを入手していたのでこれを持っていくことにしました。
このレンズは、オークションで入手したものですが、カメラのことは分かりませんし、ましてやこんな古いものは勘弁してくださいという低姿勢の出品者から落札したものでした。
コンディションや稼働の状態には触れられておらず、トラブルがイヤなのでジャンクとして出品しますという感じです。

最近オークションをのぞく機会があまりなくなりましたし、もともとライカで検索することもなかったのですが、どういう経緯からか、そのときはこの出品を見つけ、ボディはクロームの恐らくⅢcでレンズにはヘキサノン50mmF1.9という有名なレンズが付いているのを写真から確認しました。
フィルターも付いているようでしたので、キズはそれほどないだろうと判断し、レンズ単独でも5万円以上することから4万円で入札してみました。

結果は38000円で落札ということになり、これでガラスがキズだらけのレンズが来たらがっくりですが、くもりがある程度ならクリーニングしてもらえば、安く入手できたことになるとカメラの到着を待ちました。
結論を言えば、ライカⅢcはシャッターも快調な問題のない状態でしたし、レンズに至ってはキズもくもりもなく、鏡胴に一部メッキのはがれがある程度の実用には最適のものがやってきました。

せつかくですからカメラも使うべきですが、その機会なく2万円ほどで売却してしまいました。
結果として28000円で購入した、レンズ状態の良いヘキサノン50mmF1.9が手元に残ったことになります。
ハイリスクで失敗も多いオークションですが、これはなかなかリーズナブルに、相場の半額程度でレンズを入手できたと言っていいでしょう。

さて、一見して問題の見つからなかったヘキサノンですが、さすが、名レンズの誉れの高さを証明するように中心部が開放からたいへんシャープですし、色抜けも抜群です。
ところが、周辺部は激しく滲んでいて合焦もしていません。
左の張り紙の文字が、あれだけはっきり書いてあるのに、よく読めなくなってしまっています。

これはレンズの特徴でしょうか、あるいは偏ボケがあるようにも感じられます。
安く入手できた喜びから早くも暗雲が差して来ました。
そんなにうまい話はないんだよと、天空で何者かがささやいているようです。
【M8/Hexanon 50mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Konishiroku Hexanon 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/03 Sun

阿根廷的孩子

M8/Hexanon 50mmF1.9
昨日から7月ということは、もう今年も半分が過ぎたことになります。
3月の震災とその後の復興のことがあるからでしょうか、ずいぶんと早い半年だったような気がします。

7月はわたしにとってスポーツ不毛のシーズンなのですが、今日1日で2つの大きな試合を生中継で見ることができました。
ひとつはテニスのウィンブルドン女子決勝で、もうひとつはサッカーのコパアメリカ開幕戦です。

テニスは、シャラポワとクビトバの対戦です。
わたしはテニスをやったことはないですし、関心もなかったので、試合を見たことがありませんでした。
夜、たまたまNHKのニュースを見ていたら、そのまま中継が始まって、何気なく見ていたところスピーディな展開が面白く、結局終了まで見入ってしまった次第です。

女子テニスは球速が遅く積極性のないラリーが延々と続くというイメージがあったのですが、とんでもない偏見でした。
かなり力強いボールがコートのすれすれを行きかい、緊張感の高さが伝わるゲームが展開しました。

さすがにシャラポワの名前は知っていましたが、クビトバなんて聞いたこともありません。
美人のシャラポワを応援しようかと思って見ていると、クビトバはチェコの21歳の新鋭でやはり美人だったのと、シャラポワサイドは婚約者が何度も画面に映し出されたので、クビトバ応援に転じました。

それにしても一打一打が強烈なのですが、なんとシャラポワが188センチ、クビトバも183センチもあります。
ウィリアムス姉妹も調べると185センチくらいのようですので、いま、女子テニス界は180センチ以上の長身でパワーがあって、かつテクニックが無いと頂点まで登りつめるのは難しいのかも知れません。
見ごたえありました。

コパアメリカは、開催国アルゼンチンとボリビアの対戦です。
本来、この組には日本も入っていて震災の影響で出場辞退したのはご存じのとおりです。
格から言えば、アルゼンチンの圧勝かと思っていたのですが、互角の内容ではなかったもののアルゼンチンがボリビアを圧したというほどの試合にもなりませんでした。

バチスタ監督はメッシ中心のチームを公言しているようですが、ワールドカップのとき不発だったメッシがその翌年に爆発するには、チーム全体がどこか変わる必要があるのではないかと思います。
各選手たちはヨーロッパのリーグを戦い終えたばかりで疲労が残っているのか動きはやや重たい印象でした。
メッシ中心のチームということであれば、まわりのサポートする選手がかなり高いレベルで働かなければいけませんが、動きは凡庸でしたし、戦術的にもスター選手の親善試合のような中身でこれでは厳しいと感じます。
試合を重ねるごとに進歩していくのを期待したいところです。

スポーツ浸けの1日のようですが、実は昼間お出掛けしていました。
行き先についてはまた明日、と思ったら作例写真に住所まで書いてありますね。
【M8/Hexanon 50mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Konishiroku Hexanon 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(0) | 2011/07/02 Sat
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