初一的月亮

M8/Soligor 35mmF3.5
ウィキペディアによれば、ソリゴールは1955年頃に始まっているレンズブランドのようです。
いちおうそれを信用すれば、時代は、ライカM3は前年に登場していて、ペンタックスやトプコンなど国産一眼レフが生まれる前夜という時期です。
ライカマウント(コンタックスも)の交換レンズを発売すべく立ち上がったものの、すぐに一眼レフが台頭したことでその専用レンズにシフトしたということかも知れません。

このころには本家のライカは別として、あまたあるコピー機は性能で行き詰まり、価格競争を経て淘汰されていくころですので、レンズは安価でそれなりに性能の高いものを供給しようとしたはずです。
一から設計して製造組み立てしていたのでは、コストも時間も後塵を拝しますから、OEM供給を受けるのは当然のことでしょう。

しかし、同じライカマウントの交換レンズをそのまま他社へ流すのは自分の首を絞めることになりかねず、乱立の時代になかなかそういう太っ腹なメーカーも無かったと想像します。
現実的なのは、レンズシャッターカメラのレンズエレメントの供給を受けて、自前の鏡胴に入れてしまうのが手っ取り早そうです。

35mmF3.5レンズを付けたレンズシャッターカメラはかなりありそうです。
ざっと検索して、最初に出たのがオリンパスのDズイコーで、1955年発売とあったので、おっと思いましたが、これはテッサー型でした。
天下のオリンパスがレンズを売るというのもちょっとあり得なさそうです。
まだ、それらしきものは見つかりませんが、こうやって調べていけば手掛かりが出そうなので、ただいま鋭意調査中です。


すっかり忘れていた鎌倉のルートを記しておきましょう。
風情ある大仏次郎旧邸の路地を抜けて、昨日の作例の蛭子神社で復興祈願しました。
かたわらのミニが落ち着いたベージュで、まわりの雰囲気に溶け込んでいるのがいいです。

そのままはす向かい方向へ進むと安産の大巧寺があるので、ここでも復興祈願。
さらに1分も歩かずに着くのが今日の作例の本覚寺です。
まずは、本堂に手を合わせ、この周辺では比較的広い境内を歩くと、早咲きの桜に人が集まっています。

この日は曇りがちでしたが、ちょうどまた日が射して来て、うまい具合に桜をぱっと明るくしました。
何も考えずに撮って液晶で露出確認すると、見事にフレアで真っ白になっています。
レンズが引っ込んだ位置にあってフードいらずなどと言っていましたが、実はかなり逆光に弱いレンズと分かりました。

わたしの所有するオールドレンズのほとんどが逆光に強いとは言えないので、ただ油断していたというだけで、驚くということはありません。
むしろ作例写真のように花に強い光が当たっている状態で、滲んだりしないことの方に驚いてしまいました。

作例の女性は、あの位置からの桜がそうとうに気に入ったのでしょう、なんとも美しいフォームで撮影しています。
その全身のポーズがメニスカスレンズのように見えてしまうわたしも、ちょっと危ない領域に片足が入りつつあるようです。
【M8/Soligor 35mmF3.5 F3.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Soligor 35mmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/31 Thu

只幾個生産的

M8/Soligor 35mmF3.5
一眼レフの経験が無いわたしはソリゴールと聞いても、はて? という感じですが、意外とマニアックなファンの多いメーカーなのかも知れません。
ざっと検索すると一眼レフ用交換レンズが次々とヒットします。
ウィキペディアにもソリゴールという一項があったので、読んでみましょう。

ソリゴールはもともとメーカーではなく、日本のメーカーがOEMしたブランドとあります。
レンズだけではなく、中判や一眼レフなどのカメラ、ストロボ、露出計などのアクセサリーにもソリゴール銘を付けたものがありました。
前述の通りレンズは一眼レフ用のものがほとんどのようですが、マウント交換式をいち早く取り入れていて、タムロン、シグマなどのレンズメーカーの先駆となっていたようです。

ソリゴールミランダというミランダカメラ向けの一連のシリーズが合ったようです。
残念ながらここの部分の記載がわずかで詳細はまったく分からないのですが、ミランダはドイツの商社に買収されてしまって、そのときにソリゴールブランドもいっしょにドイツへ移転してしまい、以降のソリゴールレンズは製造国はともかくとしてドイツレンズの扱いでした。

ミランダの結びつきといって唯一思いつくのが、ズノーレンズとの関連です。
最初期のミランダTというカメラの標準レンズには、ズノー50mmF1.9が付いていたのはよく知られています。
その類推から、このソリゴールも帝国光学ないしはズノー光学が設計に関わっていると考えたくなりますが、両者を結び付けるものは何もないようです。

検索を続けると意外なところからおもしろい情報が出てきました。
写楽彩は、レアものレンズの掲載では右に出るもののないサイトですが、なんとコンタックス用レンズのページに、ソリゴール35mmF2.8が掲載されていました(http://www.syarakuse.com/Contax/solgol35.html)。
シリアル番号の桁数を見ると製造年代がだいぶ違うようですので、比較にはなりませんが、前玉が小さく引っ込んでいるところに共通点があって、これも対称型ではと思われます。
サイトの中でも、ガウス型のタナー35mmF2.8と形状がそっくりでOEMではと推測されています。

そうであれば、このソリゴール35mmF3.5もタナー35mmF3.5のOEMではないかとの仮説が成り立ちそうです。
しかし、タナーの方は、情報によれば3群4枚のテッサー型で対称型ではありません。
タナーではなく、別のレンズのOEMなのでしょうか。

ここで無理な推測を試みることにしましょう。
レンズのシリアル番号ですが、「11XXK」と4桁の番号の後ろにKという記号が付されています。
番号がたいへん若い上に「K」と付いているのが、なにかプロトタイプ、というよりは実験的に少数生産されたという雰囲気を醸しているように思います。

ソリゴールはもともとそういう名前の会社がレンズを製造していたわけではなく、レンズメーカーがOEMしたレンズをソリゴール銘で販売していたのです。
ここからかなり強引に推測すると、どこかのメーカーが試験的に少数製造したプロトタイプを、埋もれさせるのが惜しいとそのまま製品化したと考えることができなくもありません。

あるメーカーがレンズを数本作ってみたものの、どうも思ったような性能が出ずお蔵入りしてしまいます。
捨ててしまうのもなんなので、このたびスタートしたソリゴール銘にして売ってみてはどうか。
しかし、一眼レフ用にするには後群がミラーあたりしてしまうので、ライカマウントでいこう。
評判が良ければ量産してもいいし。

時すでに一眼レフの時代で、ライカコピーはほとんど姿を消し、ライカボディを使う人が怪しげなコピーレンズを欲しがるはずもありません。
どこからも引き合いが無いままに、当初の数本が残されたまま、結局のところお蔵入りとなってしまった…。
所有者の身勝手な空想ですが、もう少しましな情報が出るまでの間は、自作のこの説に固執しようかなと思っています。
【M8/Soligor 35mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Soligor 35mmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/30 Wed

未知的鏡頭

M8/Soligor 35mmF3.5
なんとも悩ましいレンズを入手してしまいました。
SOLIGOR 35mm f:3.5 No.11XXK と銘板に刻印されている、純正のライカマウントレンズです。
鏡胴に japan とも刻印されていて、国産ではあるのでしょうが、珍しいレンズであることは間違いなさそうです。
価格はノンライツレンズとしては異例の安さで1万円を大きく切っていました。

スペック的には地味でテッサー型っぽいですし、外観は、コムラーなどによく似た印象で、全体に価格相応の印象が強いです。
実は別のレンズを購入するときに、このソリゴールが同じカタログに出ていて安かったので、ついでにオーダーしてしまったのが事実です。
そのうち使おうと思ったまま棚に置かれ、すっかり忘れてしまっていました。

実は先月、大きな防湿庫を購入して、レンズを移していたときにひょっこりソリゴールが現れたのでした。
「Soligor」という筆記体のロゴのレンズキャップがずいぶんと主張していて、これなんだっけと手に取ると、購入時に気付かなかった不思議な点が見えてきました。
それでは、近々使ってみなくてはと思った次第です。

まず、35mmでも50mmでもF3.5(F2.8も)レンズのほとんどがライカ規格のA36(36mmかぶせ)のフィルター仕様になっていますが、このレンズは少し大きくて合うフィルターが見つかりません。
37mmのものが合いそうでしたが、少し緩かったので、テープで留めて使いました。
多くがアクセサリーの汎用性を利用したノンライツにあって、この規格外はかなり意外です。

レンズも前玉が1センチに満たない小さなもので、フィルタースレッドからずいぶんと引っ込んだ位置にあって、鏡胴がそのままフードにもなってしまうようです。
レンズ構成では行き詰ってしまいました。
レンズの反射面を見ればテッサー型でないのは一目瞭然で、貼り合わせ面が2つ見えましたので、オルソメター型かと思いました。

しかし、空気に接するレンズ面が4つしかなく、これでは間違いなくオルソメターではありません。
類例が思いだせないので想像ですが、貼り合わせが並んだ2群4枚対称型ということになるのでしょうか。
シュタインハイルのオルソスティグマットというライカマウントの隠れた名玉があって、これは3枚貼り合わせが並んだ2群6枚対称型ですが、これを簡略化したということになるのかも知れません。

こういう自分の乏しい知識を超える構成を見ると、俄然どういう写りをするのか気になります。
解像力は期待以上に高かったですし、対称型だからでしょう歪曲はありませんでした。
しかし、ひと目見て分かる特徴として、軸上色収差が顕著です(作例の画面サイズではほとんど見えないかも知れません)。
昨日の作例では木の葉の周囲に、今日のでは植物に覆われた建物の左側のラインに沿って青い色が滲んでいます。
わたしのオールドレンズ基準で言えば開放から十分にシャープで、コントラストも適当に感じられますが、設計自体には少し無理があったのでしょう。
【M8/Soligor 35mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Soligor 35mmF3.5 | trackback(0) | comment(2) | 2011/03/29 Tue

復興雲遊

M8/Soligor 35mmF3.5
毎日毎日被災地の映像を見て心を痛めるばかりですが、そうやって沈んでいるのがいちばん良くないことです。
技術を活かして被災地で活動できるのがいちばんですが、それができなければ、募金でも何でも支援したいと思います。
それ以外のことが思いつきませんが、積極的に行動することで、気持ちだけでも被災した方を引っ張るつもりでいるつもりになりたいと思います。

わたしの活動としては、日記ブログを休まず継続させるということがまずあります。
この日曜日で深圳シリーズも終了したので、どこか撮影に行って、1週間分のネタを撮って来なくてはいけません。
そこで思案したのが、鎌倉へ出掛けて、お寺さんや神社で撮影しつつ、そのすべてで復興祈願するという試みです。

子どものような発想ですが、土日も用事があって短時間しか外出できないうえに、そろそろと思われた桜の開花も関東では間に合わず、イベント類は震災を考慮してことごとく中止とあっては、鎌倉で撮影してくるほかありません。
まずもって鎌倉行きが決まり、せっかく行くのなら行く先々で被災者のための願掛けをしてくればというのが、普段とは少しだけ違う撮影の趣旨です。

日曜の午前中は用事があって、家を出たのは2時過ぎでした。
自宅のある藤沢は鎌倉市には隣接していますが、駅まで出てから、小田急、東海道線、横須賀線と乗り継がなければなりませんので到着はほぼ1時間後です。
わたしにとっても初めての3時からの散策開始になりました。

今日も人通りが多くてうんざりの小町通りは通らないで、若宮大路の真ん中を北上していきます。
開花が間に合えば、ここも多くの人でごった返すところですが、あいにくまだつぼみが見られるかどうかといい感じでした。
そのまま八幡さまには向かわず、宝戒寺方面に右折します。

そこで路地の先に見つけたのが、朱塗りも鮮やかな小さな小さな神社でした。
申し訳ありませんが、名前を忘れてしまいました。
いえ、名称の表記があったかも思い出せません。
写真を拡大してみましたが、「○○社」と読めるものの、○○の部分がどうにも読めませんでした。

まずは、ここから撮影と復興の祈りをスタートさせます。
小さな声が被災地まで届くことを願って。
【M8/Soligor 35mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Soligor 35mmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/28 Mon

楊先生的工作

M8/Summaron 35mmF2.8
楽しかったスナップ行ですが、そろそろ終了の時間が近づいてきたようです。
深圳の商業の中心、東門にほど近い順平さんのカメラ修理店からスタートした、スナップはおよそ6キロの行程を歩いてまた順平さんが待つ修理店へ戻って来ました。

その直前、帰り時間を意識し出したところで、気付くと楊さんがカメラを構えていました。
子どもを抱いた両親を撮っているようでしたが、当初はどうして撮っているのか分かりませんでした。
しかし、考える間もなく、背後にある大きな広告写真に気付き理解できました。

広告は、西洋人のカップルがベッドの上で今や口づけせんという場面の写真でした。
その後、愛を交わしあい、1年も経って子どもを授かったというようなシチュエーションが頭に浮かびます。

楊さんは、1、2枚撮影したところで、母親と眼が合ったようで、今度は、子どもにキスしてとか言いながらカメラを構え続け、幸せいっぱいの母親もそれに応えていました。
意図通りの写真が撮れたでしょうし、コミュニケーションをとりながらさらに写真のバリエーションを作っていっているようでした。

わたしとのところに戻ってきた楊さんは、説明を始めましたが、想像した通りのことです。
中国でよく流されている痩せる薬のテレビCMのことを例えに出して、わたしはビフォー・アフターですねと返すと、楊さんも顔を崩していました。

社会主義中国では企業による広告は禁止されていました。
それが開放政策によって緩和されて広告は許され、さらに青少年に刺激が強いような広告もいつのまにか町に出現するようになっています。
若い世代にはそんなものも当たり前なのでしょうが、恐らく楊さん世代には新しい現象として、写真で表現するための大きなモチーフになっているのではないかと思われました。

楊さんは、深圳のみをフィールドにスナップを撮り続ける写真家です。
深圳は、変化の激しい今の中国にあって、その最先端を行く町ですから、それを追っていく限りスナップが可能でしょう。
そして、それを時系列に並べていくことで、深圳の発展の流れを再現することになります。

東京スカイツリーを毎週定点撮影している人がいると言います。
土台からスタートして、徐々に高さを増して、ついには完成するまでを撮り続けているのです。
その写真を一気に見ていけば、スカイツリーが着工から竣工するまでの歴史を一瞬で体感することができます。
それと同じようなことを深圳という町全体で行っているのが、楊さんのライフワークなのかも知れません。

スカイツリーは、2012年に完成するようで、それを撮り続けるのもあとしばらくのことです。
しかし、深圳は変容し続ける町であって、完成することはないでしょう。
楊さんは、いつその仕事を終えるのでしょうか。
そして、それを集大成することはあるのでしょうか。
【M8/Summaron 35mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summaron 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/26 Sat

長距離歩行

M8/Topcor 5cmF1.5
街中スナップを撮る方法はふた通りあると思います。
歩いて撮るか、待って撮るかです。
ここぞという場所を見つけて忍耐強く待った方が、面白い写真が撮れるような気もしますが、やはり歩いて撮った方が楽しいとは言えると思います。
じっと待つのはかえって辛いことですし、歩くことは体にも良さそうです。

さいわい楊さんも歩くのは大好きなようです。
数時間のあいだに6キロほど歩きましたが、お互い疲れた様子もありません。
歩いた距離は写真の質と因果関係を持ちませんが、ほどよい足の張りは充実感の指標になっているような気がします。

東京より夏の長い深圳では、5月には日中気温が30度を超えてこんなに歩くことができなくなってしまいます。
楊さんは、来月もまた来れるなら、今度は違う場所でやりましょうと、わたしを誘ってくれましたが、この機会を逃すとしばらく難しくなりそうなことを思えば、なんとか4月前半に日程のやり繰りをしたいと思っています。

歩いたということでは、3月11日の大地震の日、東京で仕事していたわたしは、鉄道各社が運行を見合わせる中で徒歩での帰宅を余儀なくされました。
鉄道の復旧を待つために会社に寝泊まりした人もかなりいたようですし、都内の公共施設が臨時の避難所として一昼夜開放されたので利用した人も少なくなかったのでしょう。
ただ、幹線道路を歩く人は驚くほど多く、徒歩で帰宅を目指した人が大部分だったのではと思わせます。

阪神淡路大震以降、会社から自宅までのルートを確認しておくとか、その時のためにスニーカーを勤務先に用意しておくとか、地震に対する備えを自らとるように言われてきました。
そんな日が来るのか疑心暗鬼なところもなくはありませんでしたが、ついにその備えが役立つ時が来たという印象でした。
直撃では無かったものの大地震が来て鉄道がストップする半ばパニックを想像させる状況の中で、誰もがじつに冷静に自宅目指して歩いていました。

ただ、普段歩きなれていて、自宅まで45キロも離れたわたしには、大集団が比較的ゆっくり歩いている中を帰宅するのは辛い状況でした。
自動車の方は大渋滞を起こしていて、ほとんど進んでいなかったので、本当はいけないんだろうなとは思いつつも歩道から降りて道路の端をがんがん歩いて行きました。

なるべくひとりにならず、グループで買える方がいいのは分かっていましたが、歩くペースが速いわたしは長距離歩くにはマイペースの方が楽だと思い単独で歩きます。
自転車を買うかとかレンタカーは借りれないかなどと考えたりもしましたが、誰もが考えるのは同じようで、途中見かけた自転車屋さんもレンタカー屋さんも混雑していて、待っている間にも歩いていた方がいいと感じられました。

都内の道路はほとんど分からないので、大部分、国道など幹線道路を歩きましたが、国道20号線から246号線へ移る間の5キロほどは、歩行者が歩きやすいと思われた自動車が一方通行の幅員のせまい道を選びました。
地図を見ながら歩きましたが、途中の五叉路で分からなくなってしまい、角にあった八百屋さんで道を尋ねました。
地元の人でも分かりにくいところだったようで、ここで丁寧に地図を書いていただきました。
また、このとき初めて東北を大津波が襲ってたいへんなことになっていると教えてくれました。
揺れによって品物が少しダメになったとおっしゃってましたが、親切な対応にふたたび歩き出す力が湧いてきます。

45キロを平均時速5キロで歩いて9時間で、5時半から歩き始めましたので、深夜3時には到着するかなとの計算になります。
しかし、こんな時には自宅に戻ってすることがあるはずで、もっと早く家に着きたいと少しはあせりもなくはありません。
都内は渋滞していて無理ですが、神奈川県内に入ったら車で迎えに来てもらおうと目論んでいました。

ですが、携帯電話は集中してしまっているようで一切繋がりません。
比較的かかりやすい公衆電話は、都内では少なくなってしまったうえ、どこも行列ができています。
東北がたいへんなことになつていると聞いたので、少なくとも東北に実家や親戚がある人が優先して使用するべきでしょう。
公衆電話に並ぶことはやめて、その間もひたすら歩くことにしました。

ようやく多摩川を渡って神奈川県に入りましたが、渋滞はあいかわらずです。
一方でようやく携帯がつながって自宅は問題ないことが分かり、渋滞のないところまで歩くので迎えに来てほしいと依頼しました。
ただ、そんな場所までどのくらい歩くのかは分かりません。
なおもひたすら歩くだけでした。

困ったのは4時間近く歩きづめでそろそろ休憩したかったのですが、川崎市内が停電していて頼りのマクドナルドが閉店していたことでした。
コンビニもトイレを求める人で行列ができていました。
さすがに神奈川県に入ると歩いている人の数はぐっと減りましたが、それでもドリンク休憩している間の2~3分の間に3~40人の人が通りました。

しかし、わたしはたいへん幸運だったようです。
横浜市に入ってしばらく行くと国道と平行して走る田園都市線の江田駅が見えました。
停電してないもののレストランなどは閉まっていましたが、駅はトイレを一般に開放していてくれました。
そこで一息ついて、もう少し頑張らなくてはなどと考えていたところ、電車が復旧したとアナウンスがありました。

そこで再度自宅に連絡し、田園都市線の終点、中央林間駅まで迎えに来てくれと依頼しました。
ほどなく列車は到着し、徐行運転でしたが、中央林間まで運んでもらうことができました。
これは後で分かったことですが、田園都市線は首都圏で最初に復旧したそうで、しかもその一番電車に乗れたようです。
9時半頃のことだったと記憶しています。

これも後で分かったのですが、歩行距離は約25キロで、自宅までの半分ちょっとを歩いたに過ぎません。
しかし、ほぼノンストップで歩いたことで左足に靴ずれができ、それをかばって歩いたため右足の膝に痛みを感じるようになりました。
この調子で全行程歩けたものか…。

わたしは大した距離を歩くことなく自宅に戻れましたが、もっともっと歩いて帰宅した人も含めて、誰もがそのことに不平を感じることはできなかったことでしょう。
その後、みんなニュースを通じて本当の地震の被害というものを知ったからです。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/26 Sat

和歌

M8/Topcor 5cmF1.5
あれば又 
無きを数えて 
世の人の 
足れりと思う 
時やなからん
(行誡作)

ksmtさんが、奈良を旅した時に、九品寺で見つけて来た和歌だそうです(www.ksmt.com)。
解説は無く、調べてみても詳しいことが分からなかったということですが、自分のことを言われているようだとksmtさんは直感したようです。
レンズの検証に対しては即物主義的に感じられるksmtさんですが、旅先でこんな歌を見つけて自らを戒めたりするなど風流なところがあるのに感心しました。

わたしもこの歌に同じような思いを感じました。
もう尋常じゃない数のレンズを持っているのに、このレンズは無いからと言ってはまた手に入れて、まったく飽くことがありません。
もうレンズは足りていると思っていますが、キングスレークの本を見ては、アルディスのスチグマチックやダゴールが無いとか、1900年より前のブラナーが欲しいとか考えるのですから、やはり足れりと思ってはいないのですね。

今回、撮影をともにした楊さんは、だいぶ違うようです。
カメラはライカを2台所有していますが、レンズも35mmと50mmの2本のズミクロンしか持っていません。
2本はいずれも購入当時最新バージョンだった、普通の球面タイプのレンズです。
35mmズミクロンでは8枚玉という最初期のものがすごいということを知識として知っていて15000元くらいするらしいことも分かっていましたが、とても手の出る値段では無いと購入意思はないようでした。

20年近く前に、当時世界でいちばん安かった香港のものを、友人のつてをたどって買ってきてもらったようですが、今では外観はぼろぼろに近い状態です。
それでもモノクロ1本ですから、フィルターは常着しているので、レンズ自体はきれいです。
ヘリコイドオイルが切れても、修理名人の順平さんがメンテナンスしてくれます。
実用上なんら不満は無く、おそらく今後もずっと使い続ける2本になるようです。
蒐集家とは違って、撮影師の楊さんは、足れりと思って、あるいは、足れりと思う時が無いなどとは想像もせずにいることでしょう。
わたしは、また、反省です。

さて、作例ですが、コーラ片手にパンを貪る男です。
中国では、案外立ったままで食事する人を多く見ます。
少し前まで、労働者の食事はホーローの器にご飯とおかずが一緒になっていて、椅子など無い中で立ったまま食べるのが当たり前だったからでしょうか。

それにしても、この姿勢で食べるのは野生を感じさせます。
あるいは無理してポーズしていような不自然さを。
ちょっと身の危険を感じつつシャッターを切りましたが、それも楊さんが安心して撮るように口を酸っぱく言ってくれていたおかげです。
ただ、よくよく見ると、この男の眼はじっとこちらを見ていました。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2011/03/25 Fri

万民招待所歓迎你

M8/Topcor 5cmF1.5
昨日は、ゆっくり仕事を終えてから駅に向かったところ、たいへんな混雑に巻き込まれました。
2日続けてはイヤだと思い今日は早めに切り上げると、電車の混雑具合はそけほどでもなくやれやれと戻って来れました。
しかし、1時間後、列車が駅に到着すると、どこかヘンです。
駅前が真っ暗で、はじめて今夜、計画停電だったことを思い出しました。

昨日だって列車が大混雑だったのは、計画停電による列車本数削減が原因だったのに、今日、自宅周辺が停電するかどうかに関心が向いていなかったのはあまりに間抜けです。
ロウソクのもとでの食事は、どうしてもゆっくりになってしまうので、かえってスローフード(?)を実践できましたが、食事が終わるとやることが何もなくなるのには困りました。

日中の停電なら、本を読むことだって可能ですし、やれることはいくらでもあります。
しかし、暗闇になるとこうもできることがなくなるのでしょうか。
ノートPCは立ち上がりますがネット接続は不可ですし、音楽、TVはもちろんダメ。
本を読むわけにはいかないので、前回は、ごろんと横になってipodで80年代ポップスを聴いて過ごしました。
闇の中で、昔のことを思い出してみようという試みでした。

今回は、用事もあったのでMSオプティカルに電話したところ、レンズのことで盛り上がって長話ししてしまい、あっと思ったら突然、通電しました。
計画よりも1時間以上早く停電を切り上げたようです。
宮崎さんのおかげて、停電の不便をまったく感じることなく、生活が元に戻りました。

トプコールの偏ボケの原因は、一発で分かりました。
宮崎さんは、前後からレンズを見て、すぐに偏芯に気付いたと言いますのでさすがです。
わたしも、念のためシムラーと比較しながら偏芯ではないかとじっと見てみたのですが、修行不足で分かりませんでした。
最後群の1枚が前後逆になっているわけではなかったようです。
もちろん、修理をお願いしました。

ところで、計画停電をすると言ってしなかったりとばたばたしたことで、無計画停電と憤っている人が多いのが非常に残念です。
もともと輪番停電と言っていたのに、無計画停電と言うシャレを使いたいために、計画停電という言葉の方が定着してしまったかのようです。
怒りの矛先になっている東電では、最初の輪番停電の前日、供給できる量は決まっているので、節電していただいて需要量に応じて輪番で停電しますというような説明をしていました。

この言葉は、節電が予定を上回れば、停電しなくても済むということを暗に示していましたので、停電中止される可能性は高いとわたしは踏んでいましたので、実際そうなった時やはりと思いましたが、世間の多くの反応は停電すると言っていながらしないのを無計画だと非難しています。
腹立たしいのは、原発対応に対する不信と一体にして東電を無計画停電と責任感なき報道をしたマスコミです。
東北ではあれだけの災害の中でパニックを起こさず冷静に行動して世界中から称賛されたのに、関東では停電をしなかったということだけで一部の人がパニックに近い反応をして冷静をよびかけるべきマスコミが油を投じたと言われても仕方ないでしょう。

停電についても腹を立てている人をみかけますが、その関東の電力供給基地が破壊されてより大きな被害を受けているのが、わたしたちではなく、東北の人だということを忘れてはいけません。
福島県の人たちに申し訳ないという気持ちを持って停電と向き合わないといけません(そういうわたしも上記のように音楽聴いたり、電話して過ごしてますが…)。

それに、避難所の生活と比較すれば、限られた時間電気が止まることは一般家庭において大した障害ではなく、むしろ電気が使えることを感謝すべきなのはわたしが言うまでもありません。
無くなって初めてそのもののありがたさが分かるというところですが、ニュース映像で見た避難所のおばあちゃんがボランティアのつくったおにぎりを食べながらこんなありがたいことはないと言った言葉は、本心から出たのだと理解できます。
早く元の生活に戻れるように、わたしたちは不平よりもまず支援をしないといけませんね。


さて、今日の作例ですが、昨日のハローワーク付近にたむろする怪しげなおじさんたちです。
「万民招待所」とありますが、招待所は日本では安旅館のような施設です。
政府が要人を招待するための宿泊施設も招待所と呼びますが、そういう類でないのはあきらかでしょう。

恐らく彼らは、地方からやって来てハローワークで職探ししている人に、今晩泊まるとこあるの、清潔で安い宿あるよ、と言って勧誘するのでしょう。
条件が合えば、自転車の後ろに乗せて宿まで連れて行ってくれそうです。
エコ版ホテルリムジンですね。
ただ、こういうおじさんの言うことを信用して付いて行っていいものかは、よく判断しないといけません。
昨日の険しい顔した女性は、もしその日の宿がなかったとしても、勧誘に乗らなかったと信じたいと思います。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/24 Thu

人才市場的美人

M8/Topcor 5cmF1.5
自分がどんなものに興味を持ち、どうやって撮るか。
楊さんのそんな話を聞きながら歩き、彼が実際に撮影するところを見ていると、わたしがやりたいと思っていたことをすでに体現していることが分かりました。
やりたいと思っていたというよりは、今まで考えていなかった、わたしがやりたかったことがこれなんだと分かったと言った方がよいでしょう。

散策して向こうからやってくる人を観察します。
普通の人であればそのままやり過ごしますが、なにか面白いと感じるところがあれば、積極的に撮影します。
栄養失調のようなひょろっとした人が丸々とした巨犬を散歩させている、女の子3人組がおんなじ仕草でアイスクリームをぺろぺろしながら歩いている、歩道を長いパイプがじゃましていてみんな迂回しているのに勇敢な女性がジャンプで飛び越えようとしている、クラクション禁止の道路標識の真下でふたり組が何やら大声で会話している…。
急いで歩いていると見過ごしてしまいそうなそれらが被写体です。
次から次へとというほどではありませんが、さすが深圳の街中を歩いていると、困らない程度には写したくなるものが出てくるものです。

最初、楊さんは、その撮影意図を説明していましたが、わたしにはすぐ飲み込めましたので、すぐにこれはという人を見かけると説明不要にお互いのアイコンタクトで、よし撮りましょうとなりました。
わたしには興味深いものでも楊さんには響かないものもあります。
逆に楊さんがこれはと撮影姿勢を撮ってこちらを見るのに、わたしには彼の意図が分からないということもありました。

外国人に面白く感じても地元の人にはそれが理解できないということがあります。
たとえば服装ですが、みんな上着を着ているちょっと寒いくらいの日でしたが、なぜかシャツ1枚でしかもそのボタンを全部はずして太鼓腹丸出しで歩く小太りの青年がいましたが、これはお互いに面白く撮影。
一方、ジャケット、スカート、ブラウスがみんな柄物でコーディネートとか調和とかにまったく気を使わないOL風女性をわたしは撮りましたが、楊さんにはその理由は分からなかったようです。
恐らくジャケットもスカートもブラウスもいちばんのお気に入りで、これからデートか就職の面接でも受けに行くのではないかと思いましたが、あまりにも不釣り合いなので、わたしは写真のタイトルを「1+1+1=0」にしたいなどと説明してなんとなく分かってもらったりします。

作例写真は、中国語で人才市場と呼ばれるハローワークのようなところで、たくさん貼り出された求人案内を多くの人が真剣な目で見つめています。
写真は、なかなかきれいな若い女性でしたが、そんな彼女の顔をここまで曇らせるほど深圳の求人は物価の上昇に追い付いていないことを示す社会的な作品、のつもりです。
やはり、これらも楊さんの関心を惹くモチーフではないようでした。

わたしのそんなセンスも楊さんのセンスも、スナップと言う枠組みの中では理解されるものだろうとは思います。
じっさい、楊さんの作品は、中国各地で展覧会にのぼり始めていて、じょじょに注目されているようです。
ドイツでは、何枚かのプリントが売れて数十万円を手にしたと言っていたので、あるいはヨーロッパの愛好家などには評価されているのかも知れません。

展覧会を開いた中国での反応はどうだったのでしょうか。
深圳、広州、北京と広がって言っているようですので、一定の評価があることは間違いないと思います。
しかし、他の出展者を見ると作風はまったく違っていて、大雑把にいえば見てもなんだか分からないアート風というカテゴリーに入りそうな写真がほとんどですし、中国のインテリ層に受けているのもそんな写真のようです。
たぶん楊さんの写真は市井の人を撮った平凡な写真とみなされているケースが多そうな気がします。
本国ではほとんど認められず、海外のごく一部の愛好家から評価される異端の写真家と言えるかも知れません。

言うまでもありませんが、楊さん自身はけっして異端な人でも風変わりな人でもありません。
ちょっと強面で、撮影時の眼光鋭さとか、意志の強さなどはひしひしと感じられますが、カメラを置いて雑談している限りは、絶えない笑顔が逆に印象に残っています。
今になって思えば、撮影中のわたしに対する気配りは徹底していて、楊さんの優しさに慣れないスナップを安心して楽しめたのでしょう。
今回の大地震で海外の友人・知人からもメールを何通かいただきましたが、真っ先に心配してメールしてきたのが、この楊さんでした。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/23 Wed

草莓妹

M8/Topcor 5cmF1.5
昨日の作例写真は、説明がないとごちゃごちゃしていて何がなんだか分かりません。
ショッピングセンターの前のちょっとした広場で、靴のワゴンセールをやっていて、とつかけひっかえ見ている二人組の女の子がいました。
スナップ向きのシーンに見えたので、カメラを構えましたが、楊さんは関心が無いようで仁王立ちしています。
そんな楊さんの姿が姿見に写っていたのがむしろユニークでとっさに撮った1枚でした。

スナップ転じて楊さんのポートレイトになりましたが、ちょっとソフトな描写で彼の鋭さのようなものが表現されていません。
楊さんには、スナップ・シューターとしての鋭い眼が備わっています。
目で見、感じたものをすばやくとらえて撮影するスタイルですので、眼が鋭いのは必要条件のようです。

楊さんと並んで歩いているときはずっと話をしていました。
しかし、話している中でも、眼はつねに周囲を観察し続け、これはというものを見つけるとただちに撮影姿勢に入ります。

対象は人物ですが、こっそり撮ったり隠れて撮ったりということは一切ありません。
その人に正面から向き合い、気付かれる前のタイミングで撮り、気付かれても必然性があればさらに撮り、必要であればなおも話しかけたりしながら撮っていきます。
サッカーに例えるなら、気付かれまいとこっそり撮るのが守備的なカウンターサッカーなのに対して、楊さんの撮影スタイルは超攻撃的と言えそうです。

意識される前に撮った方がいいケースがほとんどですから、静かに被写体に近づいていくのですが、それは怪しげなところのない堂にいったものです。
わたしに対しても、堂々と行けと進めますが、なかなか簡単にまねができません。
大丈夫だ、ずっとこうやって撮ってきたが問題になったことはない、何かあればわたしが説明するからと、わたしには気配りを忘れません。

日本と中国では肖像権とか突然撮られることに対する抵抗感のようなものがまったく異なるということは理解していました。
むしろ、それだからこそ、日本では今できない、しかしその日本でもかつては行われていた積極的なスナップをしてほしいと言います。
恐らく自ら考えて身に付けた撮影スタイルだと思いますが、それは、世界中で行われてきたスナップの王道であるということをじゅうぶんに意識していました。

路上でイチゴを売っていた美少女にわたしが反応したのに、楊さんは気付いたようです。
彼は関心ないようですが、わたしに撮れ、撮れとうながします。
それまで、臆病者のように気弱にスナップしては叱咤されていましたので、今度こそはと気合を入れてカメラを構えます。

いきなりのことに少女は顔を手で覆って後ろを向いてしまいました。
失敗かと一瞬あきらめましたが、楊さんが彼女に向かって話しかけると、不思議なことに照れながらもこちらを向いてくれました。
何と言ったのかは聞き取れませんでしたが、彼のスナップのやり方が少し分かって来るようでした。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/22 Tue

帯我一起拍照

M8/Topcor 5cmF1.5
今日から新しい場所と新しいレンズでスタートさせるつもりでしたが、この間どこへも出掛けなかったのでネタがありません。
さいわい、蜆崗と黎槎の翌日、深圳の街中で撮ったスナップがありますので、今週はこれで凌いで行こうと思います。

深圳の写真家、楊俊坡さんと会って食事した話は、去年の8月に紹介しました。
そのときに一緒に撮影をしましょうと誘われたので、じゃあ、翌日行きますかと返事したところ、暑すぎるので涼しくなってからとやんわり断られました。
そして、7か月経った3月になって、ついに同好撮影が実現したというわけです。
一緒に撮影をというのが社交辞令だと思っていたので、時を経た意外な実現が楽しみ感を増していました。

久しぶりの再会を祝って昼食をとった後、3時間半ほどの撮影をともにしました。
ちなみにその昼食は、華北料理のレストランで、深圳では実に久しぶりに餃子を食べました。
大雑把に言うと、中国は長江を境に華北と華南に分かれ、前者では小麦が、後者では米が主食になります。
餃子は小麦でできた主食なので、基本的には華北料理として深圳多い、広東、四川、湖南料理のレストランでは食べることができません。
楊さんが、華北の河南省出身だったため、つるつるもちもちの水餃子に舌鼓を打つことができました。

さて、楊さんについてですが、かれは自らを自由な写真家だと称していました。
中国で写真家は撮影師と言いますが、撮影師のほとんどが企業やスタジオに属して、顧客の依頼に応じて撮影することを職業としている人のことです。
そこにはクリエイティブな要素が希薄なことが、楊さんをしてわたしは自由な写真家と言わしめているようです。

依頼仕事というのも時々はあるようです。
そんな時は、仕事の内容に応じて、中判を使ったりデジタルを使ったりもするそうです。
しかし、ほとんどの撮影は、深圳の街中でスナップしています。
しかも対象はほとんど人物で、日々発展する深圳の街並みを背景とすることも大切にしているそうです。

スタイルは常に決まっています。
小さなカメラバッグには、カメラ2台に露出計とフィルムだけ。
カメラは、ライカM6とM4-2、レンズはズミクロン35mmと50mm、セコニックの露出計にTri-X数本。
それがすべてです。

わたしも、せめてM6で参戦したかったのですが、機材はいつもどおりです。
M81台にレンズは、トプコールとズマロン。
まずはトプコールを付けて、途中でズマロンに切り替えることにしました。
せめてとの思いで、M8のカラー設定をモノクロにしました。
ただし、JPEGのまんまです。

さあ、日中合同スナップ散策にご案内いたしましょう。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/21 Mon

己過10天

M8/Topcor 5cmF1.5
蜆崗と黎槎という広東の地味な村を歩いた旅の話も、2週間になるので、今日で最終回といたします。
毎度平凡で、目的すらはっきりしない小さな旅ですが、はじめて歩く土地へのわくわくするような思いがあって、好奇心を刺激する何かがあって、またちょっとした出合いや別れもあって、いつも多かれ少なかれ満足を得ることができます。
記憶力の悪いわたしは、それを備忘録にとどめるために、日記ブログに書き込みしているようなものです。

帰国してから毎晩PCに向かい、写真を見ながらその時のことを思い出して文章にしていきます。
しょせんは備忘録のレベルですから大したものではありませんが、意外に楽しい作業だったりします。

旅の先人はかつてこんなことを言いました。
旅に3つの楽しみあり、ひとつ旅を準備する楽しみ、ひとつ旅をしている間の楽しみ、ひとつ旅から帰って思い出す楽しみ、と。
旅をしている間が楽しいのは間違いないですし、わたしは旅の計画や準備がそれに劣らないものだと思っています。
しかし、帰ってきてからの楽しみはほとんど残されてなく、せいぜいおみやげや撮ってきた写真をみることくらいと思っていました。

それがブログを始めたことによって、旅のアフターも楽しみに感ぜられるようになってきたように思います。
少なくとも、旅から帰った瞬間が次の旅の始まりだった、以前とはだいぶ違います。
深夜PCに向かい、何ごとかを書くというのは、多くがかなりの面倒と苦痛をともないます。
ですが、それは旅の楽しみを思うことで克服してきました。

今回の旅では、その楽しみよりも辛い気持が勝ってしまって、ほとんど文章を書くことができませんでした。
自分の意志の弱さを痛感した10日間でした。
明日からは、頭を切り替えていかないといけません。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/20 Sun

池端做菜

M8/Topcor 5cmF1.5
迷路のような黎槎の村の中をやみくもに歩いていると疲れてきます。
方向を見失い、うろうろするうちに何度も同じ場所に出てしまいます。
何組も参観に訪れている人たちがいて、人の往来は比較的多いですが、円周状の道に面していない内側の家には長い間住む人がいなくなってしまっているようです。

そこには寂寞感と言うのでしょうか、不安を誘うような気配を感じずにはいられません。
生活の匂いのしないつくりものの村を歩いているようなバーチャル感覚に襲われたりもします。
行けと言われても、ちょっと夜ひとりで歩く勇気は起きないでしょう。

小さな橋を渡って、黎槎村の外側に向かって散策してみました。
バイクが通れる程度の小道に沿って民家がならんでいますが、どれもコンクリートの新しい家で風情はありません。
しかし、そこここに村民がいて笑顔を見せてくれたり、どこから来たのと声がかかったりします。
平凡な家でも暮らしがあるのと、住む人を失った古民家と、わたしにとってどちらが大切なのか分からなくなってしまいました。


さて、もうそろそろレンズのことに言及しないといけません。
今回、帯同したレンズは、"Topcor 1;1.5 f=5cm Tokyo Optical Co."と刻印された、いわゆるノンライツ・ライカマウントレンズです。
これまでの作例写真から、何か特殊なレンズを使ったのではと思った方がほとんどではないかと考えられますが、ごく普通のレンズです。
では、コンディションが悪いのだろうと言えば、そうでもありません。
前玉にわずかに拭きキスがある程度で、鏡胴、レンズとも状態良好と言えます。

では、トプコール5cmF1.5は、オーバースペックの写らないレンズかと言えば、そんなことはありません。
"TOPCON CLUB"という情報豊富で楽しく読めるサイトがあります。
サイトを主宰されている方にお会いしたことがありますが、見識のしっかりしたすばらしい人でした。
わたしが説明するまでもなく、サイトをよくご覧になれば、運営者のレベルの高さ、真摯な態度がすぐに分かるでしょう。

その「Lマウントトプコールレンズ」のページで、トプコール5cmF1.5はかなり高い評価を受けています。
「テストレポート Lマウントトプコール」のページでは、ライカマウントレンズでは国産最高性能と評されることも多いトプコールS-5cmF2に準じるレンズとされていました。
この2つは、ノンライツ・ファンにとっては必読と言えますので、未読の方はぜひご覧ください。

実は、このトプコン・クラブこそ、トプコール5cmF1.5を入手したきっかけでした。
同じ東京光学のシムラー5cmF1.5というレンズは、かなり以前から愛用していて、5cmF1.5シリーズでは開放から抜群に写るレンズとしてたいへん気に入っていました。
そのシムラーの後を継いだのがトプコール5cmF1.5でしたが、この2つはレンズ名こそ異なるが、まったく同じ設計、あるいはまったく同じレンズの名板をとりかえただけのものと言われていました。

わたしもそう信じていたのですが、実はトプコール5cmF1.5はシムラー5cmF1.5から設計変更されてできたレンズだと教えてくれたのがトプコン・クラブのサイトだったのです。
さっそくシムラーを凌ぐと期待されるトプコール5cmF1.5を探すことになります。
しかし、シムラーが市場で多く見つかるのに対して、トプコールは希少な存在でした。
もともとレオタックスの標準レンズだったトプコールですが、後期になるにつれてカメラの売り上げが落ちたり、5cmF2.8の廉価なレンズラインアップが加わるなどしたことにより製造数がかなり少なかったようです。
東京光学自体が、トプコンRという一眼レフカメラの開発に入っていたということも影響しているかも知れません。
いずれにしても、探せど見つからない、有名ながら姿を見ないレンズだったというわけです。

そして、ついに見つけて購入して喜び勇んでいたところ、この仕打ちでした。
MSオプティカルに相談したところ、そんなにひどいのなら、もしかしたら前後逆に玉が入っているのがある可能性があるとのことです。
そんなことってあるのかと思いましたが、MSの宮崎さんはその可能性があるとすれば最終群で、この両凸レンズのみ前後逆になっているかもしれないと即答しました。

なるほど構成図を見返すと、ここだけ左右対称に近い両凸で前後逆になっていそうです。
そうであれば、前後入れ替えるだけで修理完了なのでたいへんありがたいのですが。
それにしても、電話で質問したとき真っ先にレンズ構成を思い浮かべたうえで、すぐに可能性に言及できるところがさすがです。
わたしのトプコールは、しばしのあいだMSオプティカルの診断を受けることになったのでした。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(3) | 2011/03/19 Sat

間隙或者小路

M8/Topcor 5cmF1.5
昨日の鴻運八卦台に出るためには、周囲の円周状の道から中心に向かう細い道を通らなければいけません。
道と言うよりは、御覧のように家と家の隙間ですね。
太った人でも通れる広さはありますが、すれ違いは苦労します。
中国人はなぜかすれ違い時に避けてくれない人が多いのです。
これも中華思想なのでしょうか。

また、角のところで鉢合わせしてあわや衝突なんてことがしばしばですし、前にすれ違った女の子を別のところでまた見かけさらに行ってまた会うなどということもあって、先方がカメラを持ったわたしをストーカーと思っているのではと恥ずかしくさえなりました。
実際、彼女たちの写真を撮ってもいましたので…。


さて、昨日と同じくニュースを見ると、セリーグ3月25日強硬開催はさらにおおきな問題として報じられていました。
昨日とは別の解説者が、「プロ野球をやることが勇気を与える? それは時と場合によるのであって、国民大多数が反対するこの時期にやってそんなこと言うなんて、おこがましいもいいところ。思い上がりも甚だしいです」と強い口調で批判しています。
確かに多くの被災者はテレビのない、あるいは電気すら来ていない避難所にいて、野球の結果を知らされるだけでしょうから、試合そのものが何かをもたらすというのは無理があります。

びっくりするような説明がなされました。
昨日は開幕戦3試合ともナイトゲームで実施すると断言していたのですが、文科省から東北・関東電力管内でのナイターは許さない、デイゲームでも管内での実施はなるべく避けるようにと通達を受けて、急遽実施場所と時間帯の再検討に入ったと言うのです。
あれだけ強硬な態度だったので、ナイター実施の許可等の調整は済んでいたと思っていたのですが、それも裏切られたとファンは嘆いているでしょう。

一方でサッカーの方は、代表選を一旦中止にして、ニュージーランドとの親善試合開催を模索、これが実現できなくなると日本代表対Jリーグ選抜のチャリティマッチを3月29日にナイトゲームで開催すると、同日発表がありました。
セリーグ開幕と似たような日程ですが、こちらは批判は起きていないようです。
それより前の代表選を中止していること、夜と言っても大阪で開催すること、そして何よりチャリティマッチと目的を明確にしていることが理由でしょう。
それより前にJリーグの開催を延期したということもあり、代表選も中止させているので、ファンもサッカー開催を強く願っている中での決定なので一定の評価を受けたという訳です。

ただし、代表対選抜のような変則的な試合は、高いレベルでの真剣勝負といったことは望めません。
海外で活躍する代表選手は、とくに疲労やコンディションなどの問題があるのでなおさらです。
ですが、楽しい試合でしたらできるはずです。
だから最初からチャリティマッチと位置づけて、試合の内容で被災者を勇気づけるなどと思い上がったことは言っていないのではないかと思います。

昨年のワールドカップを制したスペインが、日本と親善試合を行う考えがあることを表明しています。
試合が実現して、そのスペインに対して必死に戦いそれが伝わるような内容になれば、その姿に勇気づけられる人が出てくるかも知れません。
試合開催自体が多くの困難をともないますが、それを乗り越えて実現できれば、「日本と共に」と今言っているのが本当だったのだと感動できるでしょうし、勇気を与えられるかどうかは日本の代表選手次第ということになるでしょう。

毎年行っているプロ野球のリーグ戦をまったく同じにやっても、それを楽しむ人はたくさんいるでしょうが、勇気づけられると言ってくれる人がどれだけいるのか…。
もちろん、必死のプレーを積み重ねることで、勇気をもらったと喜ぶ被災者も出てくるでしょうから、今はそれを期待するしかないでしょう。
このままでは、勇気を与えられるどころか、このプロ野球機構と選手会、ファンが対立したりする混乱具合が、失望感を与えているだけで終わってしまいそうです。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/18 Fri

八卦台

M8/Topcor 5cmF1.5
黎槎のど真ん中に鴻運八卦台という舞台があります。
八卦図が描かれていて、村のミニチュアのように見えました。
ただし、これは八卦村という呼称をもとに後から作られたもののようで、歴史あるものではないそうです。
恐らく春節など特別のときにステージになって、お祭りや獅子舞などが行われています。

しかし、ふだんは観光客の撮影スポットとなっているようですね。
八卦の中で写真を撮ると縁起がいいようです。
6人組の女の子たちが来て、うち3人がカメラを持っていて、3組に分かれて一斉に写真を撮ろうとして混乱状態になったのが、なかなかに面白かったです。


話は変わりますが、いま、ニュースを見ていると、プロ野球セリーグの開幕が当初の予定通り3月25日に実施すると発表されたと伝えていました。
野球を知らないわたしが驚くまでもなく、ニュートラルな報道をすべきニュースキャスターが否定的な見解を示し、解説者に至っては怒りをあらわにしています。

プロ野球はファン不在などと報道されて久しいですが、今回は、選手会も延期を主張していて、パリーグは開催を2週間遅らす発表が同時にありました。
プロ野球ファンの90%以上が今回のセリーグの決定に反対しているとのことですので、今回もやはりファン不在の決定と言えるでしょうし、そればかりか選手までもが不在の決定だというのがさらに問題を高めています。

被災者のためを考えて開催を決定したということですので、その理由は明かされませんでしたが、あるいは被災者を何万人か招待するとか、試合の収益すべてを義捐金として寄付するとか、きっと被災者のための何かが用意されているからこそ強行するのでしょう。
そうとでも考えなければ、被災者はもとよりプロ野球ファンもゆりきれないでしょう。
選手自体が、このまま試合をやれる気持ちになれないとか、モチベーションが上がらずコンディションもベストに持っていけないと言っているのですから。

プロ野球には関心が無いという人も、こんなことを聞いたら、びっくりしてセリーグ開幕を注視しなくてはならなくなると思います。
セリーグの開幕戦はすべてナイターなのだそうです。
ニュースではナイター1試合でおよそ3500世帯分の電力を消費すると説明していました。
デイゲームに変更で調整中という話がでると思ったのですが、関係者の話ナイトゲームで進めていますが、政府の意見にはもちろん従いますとのことです。
いや、政府はすでに節電につとめる通達を出しているはずなんですが。

某お金持ちチームの球団社長は、記者に囲まれながら、もし電力が厳しくなればとうぜん試合を中止するわけですから、と言い訳がちに語っています。
開幕戦が見たいと頑張ってチケット入手して、交通機関の乱れをどうにかしのいで球場に来てみたら、はい中止でしたでも、ファンは引き続き温かく見守ってくれていると思っているのでしょうか。

わたしは相撲のこともまったく知りませんが、状況はそっくりなのではと思います。
ファンや選手がないがしろにされて、組織が勝手に判断して進めていく状況が。
国技である相撲は危機に瀕していますが、準国技ともいえる野球が同じ轍を踏んでいるように見えます。

世界は、日本がこのような震災にあっても国民が一つになって、略奪やパニックを起こさずいると称賛しています。
スポーツ界も日本支援を表明していて、一例としてサッカーの欧州チャンピオンズリーグでは試合ごとに「頑張れ日本! 僕らは君と共にいる」という横断幕をかかげ、1分間の黙とうをささげてわたしたちに勇気を与えようとしています。
そんななかで、日本を代表するスポーツが一つになれず、ファンと共にいれない状態なのです。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2011/03/17 Thu

小休止

M8/Topcor 5cmF1.5
計画停電のため、関東エリアの鉄道の運行状況がかなり流動的になっています。
今日は、その影響で帰宅がたいへん遅くなってしまい、このブログに何か書く余裕がなくなってしまいました。
自分の確認ミスもあるので申し訳なく思います。

ただ、そのことに腹を立てたり、電力会社や鉄道会社を批判したりということは避けようと思います。
建設的な意見ならいいですが、この状況で素人意見を述べることは、本人が溜飲を下げるだけで意味あることには思えません。
いろいろな報道を見る中で、必死に避難生活する人、それを支える人の姿を見て、そう感じました。
通勤地獄と怒ったり嘆いたりではなく、通勤できる喜びを持つことができなくては、これから何か手助けすることなんて無理だと思います。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/16 Wed

做名片了

M8/Topcor 5cmF1.5
黎槎に入るとお年寄り率がいちだんとアップします。
昨日の写真で全体鳥瞰図が大きく掲示されていたように、黎槎はある程度の観光化がなされています。
入場料が20元必要なのにはちょっと驚きました。
邦貨で250円ですが、恐らく中国の庶民感覚ですと500~1000円くらいに感じられるはずです。

村の方でもちょっと高いと意識しているのか、道をきれいに舗装したりしています。
また、ところどころ中国式の赤い紙の飾りを木にいっぱて掛けたりしていますが、これは過剰装飾であってまったく余計なことです。
こういう気持ちの空回りのようなことは中国の田舎っぽくて、ほほえましく感じられないでもないのですが。

あと、これも有料入場者へのサービスなのでしょうか、ぽつぽつとですが、住民がわざと目に触れるようなところで作業をしているようです。
といってもそれはすべて老人で、そのため冒頭にお年寄り率アップと表現したという訳です。

作例の女性は、ワラ様のものをうまく荒く束ねていって、縄を次々と作っていっています。
同じ手づくり縄で薪を縛ってあるのをたくさん見ましたから、これは生活の必需品と言うことのようです。
薪がいっぱいあるということは、たぶんガスは来ていないのだということでしょう。
釜で調理するのでしょうが、火力の弱さで調理はたいへんかも知れませんが、きっとご飯は美味しく炊けることでしょう。


話はまったく変わりますが、今回の深圳滞在で名刺を作ったので報告いたしましょう。
ビジネスで使うものではない、なんちゃって名刺ですが、「中将姫光学研究所」とわたしの名前、ブログのアドレス、電話番号などを記入したものです。
2年ほど前に深圳で100枚作ったものが無くなったので、同じ印刷屋さんに再作成を依頼しました。

前回、自分でSDカードに作成して持っていったものを加工してもらったのですが、その原稿はもう残っていませんでした。
しかし、ラスト1枚の名刺を渡すとスキャンして簡単にラフ原稿ができあがります。

ここで問題になるのが、日本語のフォントと中国語のそれとに違いのあるものがあることで、「将」「姫」「所」にそれが当てはまります。
中国簡体字では「将」「所」はそれぞれ微妙に違っていますし、「姫」の字は和製漢字なのか中国のコンピュータにはそもそも存在してないようでした。
これは外字等を駆使することで案外簡単に加工できてしまいます。

この間10分ほど、むしろサンプルを渡された紙選びの方に時間がかかってしまいました。
前回は、ちょっと和紙っぽい風合いのベージュ系の色の紙にしましたので、同様の雰囲気の色違いを考えていました。
しかし、都度100枚ずつ頼むのも面倒くさいので、色違いで100枚ずつ3箱作ることにしました。
うす灰色、桃色といずれも前回同様の和紙風仕様で、もう1点はマットブラックに金文字のVIP仕様(?)です。

翌日仕上げとのことでしたが、金文字は型押しになるので1週間かかるそうで、これは次回訪中の際にピックアップすることにします。
翌日取りに行ってあれれっとなってしまいました。
サンプルには欠品中の紙もあるとのことで、なければ似たようなもので間に合わせてもらって構わないと一任したのが失敗でした。
なんと2種類とも欠品していたようで、イメージとだいぶ違うものを受け取るはめになりました。
うす灰色は光沢紙になっていてほとんどシルバーですし、和紙風桃色はサーモンピンクになって来ました。

文句のひとつも言うべきところですが、あまりの変容ぶりにおかしくなって、いいやとそのままOKしてしまいました。
中国で何かをオーダーしたら、広い心で接しないとストレスを感じるだけです。

さて、料金ですが、名刺ひと箱100枚入りで基本10元です。
約120円と言うところです。
最初に話した黎槎の入場料の半額、と言っても比較にならないですか。
1枚1.2円だというとやはり安い気がします。
日本で作るといくらくらいなのでしょうか。
駅の名刺作成マシーンは20枚で1000円でしたが。

シルバー光沢は高級紙だそうで、プラス5元とられました。
勝手に変えといて1.5倍の料金を取るのは納得しかねるところですが、これが中国式と笑い飛ばします。
ブラックに金文字は1箱20元と、堂々の2倍します。
どんなできになるのか不安、いえ、楽しみです。
てぎあがった名刺は先着100名様までお配りしますので、ご入用の方はぜひおっしゃってください。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/15 Tue

今天再開始

M8/Summaron 35mmF2.8
3日間もさぼってしまいました。
いつまでもへこんでいる訳にはいきません。
わずかですが急ぎ義捐金の送金を済まし、PCの使い過ぎも節電の妨げですのでそれを意識しながら、当ブログも再スタートさせていきたいと思います。

蜆崗を後にしてバスを乗り継ぎ、20キロほど離れた黎槎にやって来ました。
蜆崗と黎槎はよく似たところがあるのですが、その最大のところは、村の形状です。
それを示すのが今日の作例で、航空写真が展示されているのを見ればよく分かると思います。

湖の中に円形の陸地があって、家屋がひしめくようにびっしりと並んで建っています。
周囲はほぼ正円の道が囲んでいて、建物の間の門から中へ進んでいくことができるようになっています。
まっすぐ進んでいくと中心を通り、そのまま反対側に到達します。

この形態が、中国易学の八卦に似ていることから、蜆崗も黎槎も八卦村の別名があります。
日本人には、迷路のパズルが連想されるかも知れません。
いえ、実際に歩けるのですから、むしろかつて流行した迷図を思い起こすことでしょう。
なんとも不思議な空間でした。

黎槎のことは、今後、しばらくお伝えしていきますので、今日は過去3日間の作例写真について簡単に説明したいと思います。

まず11日の作例は、蜆崗で見つけた赤い紙が壁中に貼られた家です。
扉の左右にあるのは縁起ものの対聯と思われますが、他の文字の意味が調べられておりません。
もう1軒同様に赤い紙が多く貼り出された家があり、どちらも住んでいる人がいるようだったのですが、あいにく留守でどのような意味があるのか確認できませんでした。
これも八卦と関係あるのではと想像しています。

続いて12日の作例は、蜆崗の公共テレビです。
オープンな集会所のようなスペースになぜかテレビがあって、これまたなぜか最前列の椅子の上にしゃがんで熱心に見入っている青年がいました。
壁の煉瓦とよく似た上着を着ているため、まるで木の葉に隠れる昆虫の擬態のように見えたのが面白いというよりも、少し恐怖を感じさせました。

最後に13日の作例は、蜆崗の中心近い廃屋になった高い建物からの眺望です。
3階建ての民家の扉が半開きになっていたので、勇気を奮い起して潜入してみました。
密集具合がよく伝わると思います。
35mmズマロンに切り替えて撮っていますが、もっとワイドが欲しかったです。
ほとんど蜆崗の真ん中だったため、ぐるっと360度同様の屋根の連なりに迫力を感じました。

ksmtさんが次回のパノラマ写真のネタに困ってらっしゃるようでしたら、ぜひご案内させていただきます。
もちろん、パノラマ写真に関心がなくても、この村を訪れたいという方は、お連れすることも、行き方をご教授することも可能です。
村に住む人が完全になくなって廃墟になる前の今が最後のチャンスかも知れません。
【M8/Summaron 35mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2011/03/14 Mon

必需節電

M8/Summaron 35mmF2.8
時間の経過とともに地震と津波の惨状が伝わってきています。
申し訳ありませんが、今日も写真は出しますが、文章は少しだけにいたします。
お気楽な旅行のことを書くのを自粛するということではなく、何か書くためのモチベーションが上がらないため、キーボードを前にして手指がぴたっと止まって動かないためです。

地震のことについても、いまは言及しないことにします。
被災地に対して何もできない現状で、わたしごときが素人評論家になっても仕方ありません。
何よりPCは適宜閉じて、節電に協力しなくては。

国内での災害にもかかわらず、多くの国から支援をいただいています。
各国から災害救助専門部隊が来日し、早くも活躍していると報道されています。

野球やサッカーなどの国際的な選手が活躍しているスポーツでは、日本支援のメッセージが伝えられたり、喪章を付けてプレーが見られました。
海外著名人からの激励のコメントも多く寄せられています。
このような状況下でスポーツ観戦やコメントを読むどころではないと思いますが、被災地の方が少しでも勇気づけられることを期待します。
【M8/Summaron 35mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summaron 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(2) | 2011/03/13 Sun

還在休息

M8/Topcor 5cmF1.5
申し訳ありませんが、今日も何か書くという元気がありません。
けっしてわたし自身や親戚・知り合いが、地震の被害にあったりしたわけではないのです。
朝からずっと痛ましいニュース映像を眺めていて、被災地の悲劇的現状がつらく、それを見ても何もできない自分自身の無力にへこんでいるに過ぎません。

ただただ被害に遭われた方のご冥福をお祈りし、孤立している皆さんの救出が速やかにおこなわれることを願い、これ以上の被害の拡大がないことをお祈りするばかりです。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/12 Sat

休息

M8/Topcor 5cmF1.5
文章を書く力が起きません。
たいへん恐縮ですが、今日は、写真のアップだけでお休みさせてください。

これ以上被害が大きくならないことを願うばかりです…。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/11 Fri

戦場撮影師氏

M8/Topcor 5cmF1.5
昨日、蜆崗の名前の由来を適当に記しましたが、ちょっと調べると全然違っていました。
冒頭からお詫びで恐縮ですが、次のように訂正いたします。
西江という大河沿いに自然にできた湖の中に小高い土地がありましたが、それがシジミの形に似ていたから、だそうです。
なるほど空中写真を見ると、ほぼ四方を水に囲まれた中にシジミがぽつんと横たわっているように見えます。

蜆崗のはじまりは700年前にさかのぼるそうで、民家も清代のものが多く見られます。
長く栄えた大きな理由のひとつが、この土地が風水学的にたいへん良い場所だったからだそうです。
狭い狭い土地にひしめくように民家や祖先を祀る祠堂が並んでいます。
もっもと多いときで人口は1万人を超えていたと言います。

しかし、その密集が仇になったのでしょう。
通路が狭いために、建て替えや水道・ガスなどのインフラ整備がままならず、最近になって家を出てしまうケースが急増したようです。
わたしが歩いた印象では、民家の95%以上が廃墟になっていました。
人の暮らしがある家も、ほとんど老人しか住んでいないようです。
雰囲気は、ここ数日アップした作例写真からも察していただけるのではないかと思います。

わたしは、おじいさん、おばあさんを写真に撮るのが好きなので、一過性の旅人としてはけっして悪い気はしません。
でも、あと5年10年と経ったころに蜆崗に住んでいる人がいなくなってしまうのではという大きな不安を感じます。
観光化しきれない古鎮を歩いていて、しばしば目にすることです。
ただし、シジミの外側は新しい家もかなり建っていたりして、人口は減っていないそうです。

これも後で知ったのですが、蜆崗の名物はパパイヤだそうです。
昨日の作例写真の深緑色の物体がまさにそれですが、おばあさんが出荷前の枝落としをしているところでした。
ところで、パパイヤは中国語では木瓜と書いてムーグワと発音します。
日本ではキュウリを木瓜と書く場合がありますが、これは誤りです。
中国語でキュウリは黄瓜と書くので、恐らく日本ではこれをキウリと呼んでいたのがキュウリと訛り、その後漢字で書くときに木瓜と書き表してしまったのでしょう。

面白いのが、スイカの例で、スイカは日本でも西瓜と表記しますが、中国語でも西瓜と書きます。
西方の瓜だからなのでしょう。
西瓜の中国語の発音はシークワ(スィークアと書いた方が近いか)ですが、これは日本語のスイカに近い発音です。
つまり、黄瓜と西瓜は字は似ていてたぶん両方とも中国から伝わったのでしょうが、前者は漢字を日本語読みしてキュウリと、後者は中国語読みにならってスイカとそれぞれ日本名が定着したところが面白いです。

さて、今日の作例ですが、祠堂の前に腰かける老人が最近親しみを感じている顔のように感じられ、思わず立ち止りました。
誰かに似てないかとしばし考えて気付いたのですが、そうだ戦場カメラマン氏でした。
それっぽい帽子に、軍用にも見える上着、カメラマンのはずですがテレビでもカメラを提げているのを見たことが無い等々、顔つき以外にも共通点をいくつか見出せます。

戦場カメラマン氏の数十年後だとかイメージしつつ声をかけて撮影させてもらいます。
しかし、その応対で聞いた彼の言葉は、思いのほか早口でした。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/10 Thu

不到4個小時到

M8/Topcor 5cmF1.5
長距離バスに乗るとなぜか眠くなります。
新幹線でもそうです。
早朝とか疲れた夕方とか、もともとが眠たい状況で乗り込んでいるので当然なのですが、バスと新幹線にはそれにも増して人を眠りに向かわせる力があるとしか考えられません。

この日も乗車して地図など見ながら考え事をしているうちに、いつの間にか眠りに落ちていたようです。
突然目が覚めてまた眠るを繰り返したのですが、目的地の肇慶まで20キロの標識を見たときには完全に目が覚めました。
一般道を走ってはいましたが、バイパスのような片側2車線の信号のほとんどない道路で、このままなら15分後には到着すると思われたからです。

はたしてぴつたり15分後、バスは肇慶のターミナルに到着しました。
時計を見ると11時まであと数分あります。
車掌嬢は4時間かかると言っていたのに、3時間半で到着してしまったことになります。
普通は短くサバ読むもので、3時間半と言っていて4時間かかるのが中国のバスの常識ですので、これは嬉しい計算ミスというところです。

肇慶は広東の町としては、割合と有名なところです。
町の中心付近に宋代の城壁が残っていますし、駅前には山と湖が不思議な風景をつくる七星岩というエリアがあり風光明媚さから小桂林の異名も持っています。
何より肇慶を高名にしているのが端渓硯がここで生産されていたからで、以前に鑑定番組で宋代の端渓硯が二千万円などと評価されていたくらい、書道家にとっては垂涎の硯のようです。
肇慶ではいまでも硯を製造直売していますが、肝心の端渓石はもうほとんど採れなくなってしまっているそうです。

じつは、もう何年も前に肇慶を訪れたことがあって、一般的な観光コースをひととおり歩いています。
今回は、高要古鎮を2つまわるつもりで、時間の関係から肇慶をパスしました。
ほとんどの人がいつもの古鎮なんかよりも、肇慶の景色のほうに関心を持ってもらえると思うのですが。

そんなわけで、長距離バスを降りたわたしは、間髪いれずに路線バス乗り場へ向かいます。
高要市は、西江という大河を挟んで肇慶と向かい合った町で、多くの路線バスが肇慶のバスターミナルを起点としているようです。
バスにあった表示を見ると、並んだ2台のバスの経由地がそれぞれ2つの目的地ということがすぐ分かりました。
こんな簡単に見つかってしまうとは。
奉公的にも近いようでしたので、今日は楽勝で古鎮巡りできることになりました。

どちらを先に行くかはどうでもよかったのですが、バスが先に発車する蜆崗が先と言うことになりました。
蜆崗とかいてシェンガンと読みます。
蜆はしじみという字で、崗は日本語では岡と同じです。
海からは何百キロも離れているので、ここで蜆の化石がいっぱい出たとか理由があるのかも知れません。

30分ほどで蜆崗に到着すると、バイクタクシーが待ち構えていたので古鎮の村まで連れて行ってもらいました。
言い値の5元(70円くらい)は1キロほどしか離れていなかったのでやられたかと思いましたが、飯屋があるかと聞くと古鎮内の食堂まで乗せて行ってくれたので、運転手にも申し訳ない気持ちがあったのかも知れません。
11時半に着いてすぐ昼食でしたが、次の目的地へのアクセスも分かったのでできた余裕の食事です。
そして、蜆崗からまわったのは、結果的に大正解でした。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/09 Wed

坐大巴去

M8/Topcor 5cmF1.5
今回、深圳を起点にした古鎮巡りで、高要というところに行ってきました。
同じ広東省内で、広州の北西隣にありますが、距離は300キロ近くも離れていて日帰りにはきびしそうなところです。
しかし、調べると交通の便はすこぶるよさそうで、早朝出発、夜間着のスケジュールなら余裕ができそうです。
ということで、昨日の航空機つながりではないですが、今日はバスのことを少し記すことにします。

かつてタイムテーブル集めに難儀した、深圳からの長距離バスですが、いまやこれを検索できるサイトが登場して古鎮巡りはだいぶ計画的に行えるようになりました。
ただ、調べたスケジュールは思ったほど正確でなかったりしますし、帰りのスケジュールは検索できませんので、完全な計画にはなりません。
計画がある程度適当なところこそが、旅の面白さと思っているので、そのくらいの緩やかさはよしとしています。

ただ、調べたところ7時にあるはずのバスが、6時50分だったりして、次の便まで1時間待たないといけないと言うのでは、せっかくの早起きが無駄になるので、ある程度の正確性は求めたいところです。
適度に間違いがあったりしている方が中国らしくていいような気がする、というのは致命的な失敗がまだない余裕があるからの放言ですが。

このバス検索サイトは深圳市内のすべてのバスターミナルを網羅しています。
たとえば広州と入力して検索すると、深圳市内の広州行きのバスがどこから何時に出るかバスターミナルごとに一覧表示されます。
ターミナルは20以上あるので、アクセスが良く、望む時間のものを選んで当日出掛けて行けばよいわけです。

高要に近い肇慶行きのバスで時間帯の良いものは、羅湖バスターミナルから出ていることが分かりましたので、始発の7時に乗ろうと向かいますが、大幅に遅刻してしまいました。
約10分に1本と書かれていましたが、次のは30分後で、その便がまさに出発せんという時間に到着したので、タイミングとしては得した気分でバスに乗り込みました。

ターミナルにはチケット売り場があって基本的には事前購入しないといけません。
しかし、ぎりぎりの時間到着の場合、空席があれば車掌から直接チケットを買えることを経験的に知っていましたので、無駄な時間が省略できました。

そのとき所要時間を尋ねると4時間だとの返事でした。
300キロ弱でほとんど高速を走るのに4時間もかかるのかと少々がっくりきましたが、くだんの検索サイトで分からないのが料金と所要時間です。
このルートでは115元でしたが、300キロを1400円ほどでしたので日本的感覚ではかなり安く感じられます。
時間は、地図を見てルートを類推し、距離から想像するのですが、3時間で行くと思っていたのが4時間と言われたのは、確認すると最短ルートをとらないということが分かりました。
予測がはずれとがっくりきますが、仕方ありません。

さあバスに乗り込むと、ここ羅湖バスターミナル固有の儀式があります。
服務員が乗り込んできて、出発前にビデオでひととおり乗客を撮影します。
これは希望者に分けるとかそういうことではなく、防犯的な意味があるようです。
かつて乗客がバスジャックしたり、他の乗客を恐喝したりという事件があったため、乗客の顔確認のため撮影するようになったとのことでした。
撮られること自体が気分のいいことではありませんし、かりに犯罪が発生した場合、当事者の乗客には後の祭りにしかならないでしょう。

おもしろくもないことをだらだらと買いてしまい申し訳ありません。
バスは、ようやく深圳を出発して高要を目指します。
作例は、高要でお葬式の集まりがあって、会堂に座りきれない人たちが周囲に座り込んでいる様子です。
昨日の爆竹のごとく、人間までもが一列に連なっているのでした。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/08 Tue

为什么这么便宜

M8/Topcor 5cmF1.5
先週末、いくつか好いお誘いをいただいていたのですが、残念ながら先約がありました。
月課となっている華南への旅でした。
重要度で言えば、お誘いいただいた方がずっと高い位置を占めているのは承知していましたが、航空券代数万円を棒にするのが惜しくて、やはり機上の人となってお断りしてしまったことを地上に向かってお詫びした次第です。
この場であらためて懺悔申し上げます。
今後も、同様のチャンスがあれば良いのですが…。

世界的に見て、恐らく日本の国際線航空券価格はもっとも安く設定されているのではないかと思います。
というのは割引航空券の話で、航空料金は出発国の物価を基準にしているので、正規料金で言うと本来日本発は世界一高くなっているようです。
それが、ツアー用ディスカウントチケットのばら売りや60日前までに購入などの正規値引き料金ですと、条件を厳しく縛ることで大幅な値引き率になります。

よく中国人に航空券の値段を尋ねられますが、普通に答えるとたいがいの人がそんなに安いのかとびっくりします。
東京~香港の往復航空券は、それよりも少し距離の短い深圳~北京の割引航空券を買うよりも安くなるからです。
そういえば、よく行くレストランで服務員の女の子と雑談していると春節に成都の田舎に帰っていたと話を聞きました。
列車の切符を取るのがたいへんでしょうと聞くと、飛行機で往復したとのことで、大繁忙期なので片道1200元したと聞きますとそれでは、今回のわたしの東京~香港の航空券の方が安いということになります。

よくなぜそんなに安いんだと突っ込まれますが、理由は分かりません。
しばしば言われるように、チケットが売れ残って空気を運ぶよりも安くても値段を下げて乗客を乗せたほうがいいとか、東京~香港間は、5~6社のフライトか飛んでいて、厳しい競争があるからなのかも知れません。
いずれにしても、利用者にとってはありがたいことです。

ありがたくないのは、条件で縛る格安航空券では、早めに予約を入れないと安いチケットはなくなってしまいますし、後日日程変更したくても一旦キャンセルしてから予約のし直しになります。
今回のように、航空券購入後にお誘いをいただいて、地団太踏むこともしばしばです。

さて、作例ですが、ソフトフォーカスレンズが2週続いたので、今度はシャープなレンズをと待っていればまたソフトレンズかよと言われそうな絵になってしまっています。
その辺のことは後日考えてみようと思いますが、写真の上に引き上げている装飾的な赤いモノがなんだか分かるでしょうか。

中国通なら即答でしょうが、答えは爆竹です。
地元のお年寄りが亡くなったとのことで、集まりがあって、その中で爆竹が激しく鳴らされました。
これを撮影後1時間ほど歩いてかなり離れたところで、パンパンパンと爆竹が鳴っている音を遠くで聞きましたが、驚くべきことにそれは5分ほども続いていました。
近くで多くの人たちが宴会をしていましたが、耳は大丈夫だったのでしょうか。
【M8/Topcor 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Tokyo Opt. Topcor 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2011/03/07 Mon

年軽的時候

M8/Verito 2inchF3.5
ウォーレンサック・ベリートの最終回です。
レンズをお貸しくださった方がF4.5の描写がたいへん美しいとおっしゃっていたので、できればF4.5で女性ポートレイトで締めたかったのですが、ネタは尽きていました。
逆にこんな地味な路地写真になってしまい、非常に残念です。

この作例ではF3.5とF4.5の差を実感できるまでになっていませんが、中年になった主人公が生まれ育った下町の雰囲気を回想するシーンのような描写が気に入っています。
なにもきれいなお姉さんに固執するよりも、草野球の少年でも撮って、自分の幼少を思い出すよすがとした方がずっとよかったのではと思えてきます。

メニスカス2群が向かい合うかたちの対称型レンズのベリートはフランジバックが十分にあるので、一眼レフ用にマウント改造することも可能でした。
しかし、ソフトレンズのようにピントがどこにあるのか分かりにくいレンズを一眼レフのファインダーで合焦させるのは至難の業です。
そこに距離計連動でピント合わせするライカの利点が活きてきます。

作例のような逃げていく自転車もライカであれば、追っかけながらピント合わせ可能です。
ただし、この場合どうしてもピントを合わせたい自転車が中央に来てしまうのが避けられません。
いかにもな日の丸構図がかっこ悪いと言えば悪いので、そこはもう一歩熟達させて、ピント位置を若干先まわりさせることでフレーミングの調整などできるようにならないといけません。

レンズ趣味というのはよくしたもので、今回のようにカメラボディが共通であれば、レンズの貸し借りが可能です。
実際、正真正銘コレクターというタイプの人はけっして人に貸したりしないのかも知れませんが、どちらかというと皆さんどうぞ使ってみてくださいとおっしゃる方が多いように思います。
すばらしいレンズの描写を自分だけが独占するのは申し訳ない、ぜひ同好の士にも味わっていただきたいという仲間意識あってのことではないかと推測します。

仲間といってもけっして同じやり方をしている人はいないのが、この世界の面白いところでもあります。
わたしのように闇雲にレンズを蒐集したがる人間がいれば、必要なものを厳選して集める方もいます。
マウント改造すれば使えるのでと純正にこだわらない人がいれば、ライカマウントとして発売されていたことの意味を尊ぶ人もいます。
フィルムのみの人がいれば、デジタルでも構わないという人がいる。
こんなことをあげていくときりがなくなってきます。

こういう相反する人たちがそうでない人を批判しているかと言えば、けっしてそんなことはありません。
趣味の世界ですので、ほとんどの方が広い心で接していて、自分がやっていることがベストであると思っていたとしても、周囲の人のやっていることにも理解を示すことができます。
わたしはまだまだレンズ趣味の入口を入ったばかりのレベルで、この世界の多くを知るわけではありませんが、独特ともいえる紳士的な仲間意識というものがあるのだと感じられるようになりました。

どんなことでもそうですが、趣味でやっているものですから、まずは自分が愉しむことがいちばん大切です。
ここ1年間、トラブルにあったり、かなり不快な思いを耐えてきたりしましたが、ようやく払拭できた思いでいます。
広い意味で仲間と呼べる方々やこんな日記ブログでも見てくださる方に、感謝の気持ちでいっぱいです。
【M8/Verito 2inchF3.5 F4.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wollensak Verito 2inchF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/06 Sun

防火水槽的故事

M8/Verito 2inchF3.5
ksmtさんも、わたしもかなりの健脚で、歩き出せばそうとうの距離をものともしません。
この日も、亀戸駅を出発して、小村井、押上、浅草、東向島と歩きましたので、ざっと8キロくらいを平然と歩いています。
8キロ歩くこと自体はまったくたいしたことはありませんが、撮影が目的で、けっこう重量のある機材を持ってきているのに、あれよあれよでこんなに歩いてしまうのが、なかなかすごいなあと振り返ってみて感心します。

作例は、向島にある風情ある商店街のそばの井戸です。
カップルがポンプを汲み上げると、しばらくして水がさーっと出て歓声が上がりました。
説明プレートが付いていて歴史あるものだと分かりましたが、文章を読みませんでした。
たぶん木造住宅や商店がむかしから密集しているエリアなので、防火用のものと思います。

実はこのあたり、ちょうど1年前にも来ています。
当時たいへんお世話になっていた散策会の皆さんとご一緒したのですが、浅草からこのあたりに差し掛かった時、おもわず皆さんの顔がまぶたに浮かび、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
ともに行動していて心地よさを感じられるすばらしいメンバーの方々だったのですが、事情があってあいさつもせずに散策会を辞めてしまったからです。

この散策会以前に、わたしは別の写真クラブというかレンズ愛好会というか、かなり個性的な集まりに参加していました。
レンズ趣味というものはかなりマニアックなものだったりしますが、そんな知識にたけた方が多いこのクラブでは、いろいろと勉強させてもらっていました。

しかし、その中のメンバーからなぜか突然に激しい非難を受け、その非難はわたしの仲間にまで及んだものですから、その人とはいっしょにやっていけないと追い出しにかかりました。
ところが他のメンバーは、そんなことには無関心でむしろ擁護するような対応だったものですから、わたしの方で抜けることにしました。
愉しみでやっていることなので、不愉快なことがあれば改善に努力しますが、効果がなければ辞めてしまうしかないでしょう。

ちょうどそんな折に散策会の方から、よかったらいっしょにいかがですかと声をかけていただいたので、参加させていただいたのです。
散策会の皆さんは、若干歳が上でしたし、みなさん人格者で写真のことはもちろん、多方面で感心することが多く、毎月の例会が愉しみでした。

その矢先に前に所属していたクラブが合同の例会というかたちで参加してきました。
問題の人は参加していなかったので、かまわないかとも思いましたが、立場上、クラブを脱会したわたしがそこに参加し続けるのもおかしなことです。
また、一部に問題の人物を仲間だと擁護する人もいましたので、心情的にそんな中に付き合っていく気持ちにはなれませんでした。

世の中には、自分が受け入れない人を非難することで溜飲を下げるような人間がいることは承知しています。
それを本人や周囲に指摘したところで、どうにもならないことも分かりました。
無駄に労力は使いたくないので、わたしの方から離れてしまうしかありません。
かなり不快感を味わいましたので記憶から抹消したいですが、それも無理なのでなるべく忘れるようにしようと心がけるばかりです。

それによって、お世話になった方には非礼を働くことになりますので、お詫びして事情説明するほかありません。
これまでそれを怠ってきました。
向島を歩いて、それは避けることができないのだと、ようやく気付いた次第です。
【M8/Verito 2inchF3.5 F4.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wollensak Verito 2inchF3.5 | trackback(0) | comment(4) | 2011/03/05 Sat

Verito簡介

M8/Verito 2inchF3.5
ベリートはソフトフォーカスレンズという特殊分野ながら、ちゃんとキングスレークの本にも掲載されています。
第4章「初期の2枚玉レンズ」の項ですが、シュバリエのレンズ、ペッツパールのレンズに続くのがこの第4章で、レンズ設計はまだまだシンプルな構成だったところを示しているところです。

この章の白眉はゲルツのハイパーゴンで、レンズ発展の途上にあって唯一後に名を残したレンズと言えるでしょう。
また、わたしが昨年の小村井の梅まつりの時に使用したロスのダプレットも4枚ながら2群構成ということで、ここにカテゴライズされています。

シュタインハイルのペリスコープというレンズは、曲率の高くないメニスカスを左右対称に置いた2群2枚ですが、これを基本とした2群の対称型をペリスコピック型と呼んでいます。
歪曲収差やコマ収差、倍率色収差が自動的に補正されるというメリットがあるのがこの型ですが、一方でメニスカスを2枚並べただけでは、明るいレンズの設計は難しいようでペリスコープはF15でした。

このペリスコピック型を発展させてソフトフォーカスレンズにしたのがベリートとのことです。
絞りによってソフト効果の調節ができたとの記述がありますが、残念ながらどのような工夫があったのか、どんな構成になったのかは記載はありません。

そこで資料を探すことになるのですが、さすが人気レンズのベリートは簡単に見つかりました。
An Illustrated Guide to Antique and Classic Soft Focus Lenses Part 2英文ですがオールドレンズの記載が多い、"Antique and Classic Cameras"です。
"An Illustrated Guide to Antique and Classic Soft Focus Lenses Part 2"に"Wollensak Verito Lens"の項があります。

構成図を見ると、メニスカス単玉と両凹レンズ+両凸レンズを貼り合わせたメニスカスが対称に並んだ2群3枚でした。
なるほど形態はぺりスコピックです。
発売されていた当時の古いレンズ紹介記事が添付されていますが、それによれば、焦点距離は5インチから18インチとなっています(1つだけ9インチからとなつているものあり)。
また、F値も初期はF5、すぐにF4に変更となっています。
どこにも2インチもF3.5も記載がありません。

以下に少し抜粋させていただきましょう。

「だいたい1911年頃から始まったベリートは1950年頃までカタログに掲載されていた人気の高いレンズだった。
1912年まではF5だったが、1912/13年のカタログを見るとF4に若干の改良がなされたようだ。

1920年の写真雑誌にこのことが詳述されている。
『ハイスピードのF4になった新しいベリートは、それまでの最高のレンズベリートよりも良くしようと努めてできたレンズだ。
F4になったベリートのソフトネスは、以前のベリートのF6に匹敵する。
二線になったりハロやぼけぼけになることなく、グランドグラスに写るイメージそのままの描写を見せる新しいベリートは、他のソフトレンズたちとは一線を画している』

F4からF8まではさまざまなソフト効果が得られ、F11からはかりかりとシャープな像になっていきます。
像を変化させる性能、明るさ、ソフトからシャープまでの幅広さにおいて、もっとも高い支持を得たレンズと言えるでしょう」
(歯がゆい訳で申し訳ないです)

というわけで、今日の作例はF8のソフトとシャープの境目を狙ってみました。
解像力は低いのですが、なるほどシャープにはなりきらず、変にソフトが残ったような不思議な味わいがあります。
F3.5ではソフトすぎ、F8ではソフトの雰囲気が足りないというところで、この中間が気になってきますね。
【M8/Verito 2inchF3.5 F8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wollensak Verito 2inchF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/04 Fri

撮影会也不用緊

M8/Verito 2inchF3.5
亀戸天神から小村井の香取神社までは徒歩10分ほどです。
途中道が入り組んでいるので昨年はだいぶ迷いましたが、その教訓あって今年はストレートにやって来れました。
実は、香取神社は亀戸天神のすぐそばにもあって、去年はそこと勘違いしたために迷ったことを、歩きながら思い出しました。
ここも、スポーツの神様として、参拝する方は多いようで、採用には至りませんが少しスナップしていきます。

小村井の香取神社はどの程度知名度があるのでしょうか。
神奈川県民で、山手線より東側の地名がさっぱり分からないわたしには、小村井という名前を昨年初めて知りました。
ここが墨田区と言うのも去年知りましたが、墨田、江戸川、足立はどのように並んでいるのか未だ頭の中に入っていません。

知名度について問うたのは、この香取神社があまりにも小規模な神社だからです。
たしかに梅香園が併設されていたり神楽があったりしますが、たとえば面積でいえば、恐らく亀戸天神の4分の1か5分の1くらいしかなさそうです。
来訪者でいえば、面積比以上の大差があると想像されます。

きっと地域に根差しているという事実があるのだと思いますが、小規模な香取神社が梅まつりを開催し、その中ですみだ親善大使の撮影会をおこない、邦楽演奏会を催し、白酒や梅パンを販売し、本格的な野点まで見ることができるというのはすばらしいことだと感心します。
先週の熱海の梅園でも同程度の企画があったわけですが、規模がまったく違います。
非常にコンパクトにまとまった、手作り感のある、間近で体感できる梅まつりです。

ksmtさんには、そんな事情を説明して、ともすればしょぼい梅まつりに感じられてしまう危惧を感じつつも、それでよろしければ行ってみませんかとお誘いしました。
この点を実によく理解していただけ、ksmtさんにも愉しんでいただけたようで、先週の由井での失敗をカバーできたかなとホッとできました。

事情を察したksmtさんは、すみだ親善大使の撮影でも、的を射た撮影を敢行されたようです。
モデルだってお高くとまることのない身近な存在ですから、親善大使になった経緯を聞いたりとか、着物は成人式のときのものを引っ張り出して着ているとかということをおしゃべりしながらシャッターを切っています。

撮影会という名前から連想させる、カメラとレンズの放列的なイヤな雰囲気もありません。
もちろん熱心に撮りに来られる方もいるようですが、近所から遊びにやってきた風なアマチュアが何枚か撮っては退きするような友好的な撮影で、場所取りとか、どけじゃまだ的な我先にといったイヤな空気とも無縁です。

カメラを持った人がそれなりに多く集まりながら、けっして不快な思いをすることなき撮影会。
これが、小村井の梅まつりの雰囲気を雄弁に語っているように思います。
【M8/Verito 2inchF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wollensak Verito 2inchF3.5 | trackback(0) | comment(2) | 2011/03/03 Thu

不是我的鏡胴

M8/Verito 2inchF3.5
13日の日曜に続いて19日の土曜も、ksmtさんと同行の撮影行になりました。
前回、熱海のときのペンタックス67の220フィルムがまだ若干余っているということだったので、じゃあ翌週もポートレイトをやりましょうとなったわけです。
調べると、小村井・梅香園で梅まつりがあるので、亀戸駅に集合としました。
ここには去年も行っているので、少しあやふやな記憶を頼りに案内も買って出てみたいと思います。

作例は、梅香園のまえに訪れた亀戸天神ですが、ちょうど結婚式の撮影があってありがたく撮影させていただきます。
シャープなレンズでは顔がはっきり出てしまいますが、ソフトフォーカスレンズではよい具合にぼやかしてくれます。
しかし、ここも梅まつりの最中でかなりの人手だったのですが、この荘厳な雰囲気が野次馬を引きよせないところがすごいのですね。

いつもはレンズ紹介を出し惜しみして週の中盤以降に持ってくるようにしています。
今回は、実はお借りしたレンズですので、何か誤解があってもいけないので、初日から説明させていただきます。
レンズは有名なウォーレンサックのベリートですが、真鍮のレンズヘッドをエルマーのヘリコイドにマウントしてあります。

エクステンションチューブというかコネクターがレンズとヘリコイドをつないでいますが、細工がきれいでプロフェッショナルの改造かも知れません。
この部分は恐らくパルナックライカと同じグッタペルカが貼られています。
そういえば、ヘリコイドですが、ロシア製のエルマーコピーではなく、れっきとしたエルマー、しかもニッケルのものが使われています。

気合いが入った改造と分かりますが、それは、やはりレンズがベリートということが理由なのでしょう。
ベリートは、肖像写真用レンズとして昔から人気がありましたが、それは今も変わりません。
ところがベリートと言うと大判用かせいぜい中判用しかなく、焦点距離は、短くて7インチ、一般的には9、11、18インチとライカに転用できそうなものはほとんど見つかりません。
しかもF4と決まっていて、F3.5というのも他にはなさそうです。

このレンズを貸していただいた方は、すでにライカマウントに改造された状態で購入したとのことでした。
どういう経緯で、人の手を渡ってこの方の手許にやってきたのか分かりません。
ですが、このレンズヘッドを発見した誰かは、そのすばらしさに驚嘆し、ぜひライカで撮影できるようにしたいが、できうる限り最高の意匠をもってマウント改造するよう努めたことが想像できます。

自分ではけっして所有できない、ほんとうに希少なレンズです。
それでもお借りして、自分のカメラに取り付けたことで、レンズ発見者、レンズ改造者、レンズ所有者の喜びが指先に伝わって来たような気になれます。
いつもの、自分のレンズで撮影する愉しさとは違った、レンズを介して人と人が繋がったという愉しさを感じられた1日になりました。
【M8/Verito 2inchF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wollensak Verito 2inchF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/02 Wed
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