神石

M8/Summicron 35mmF2
作例写真の内容とは関係ないことから始めます。
今週水曜日、サザンオールスターズの桑田さんが、自身の食道がんを告白しました。
初期段階だったので大きな心配は無いようですが、日本を代表するミュージシャンのがん告発は、衝撃的なニュースとして大きく取り扱われていました。

サザンと言えばわたしの住む藤沢のとなりは茅ヶ崎出身ですので、学生自体は地元のミュージシャンとしてたいへんな人気でした。
しかし、ませたというかスノッブだったわたしは、外国の音楽を良しとした学生時代を過ごしていて、サザンの曲は知っていますがレコードを購入したことはありません。

それが、今回の中国滞在の時、CD屋に南方之星という名前でサザンの懐かし曲を集めたCDを置いていたので、なんとはなしに買って帰ったのでした。
水曜の出張の時、新幹線の中で聴いたのがそのサザンのアルバムです。
ほとんどが何年振りかに聴く懐かしい曲で、いつもより新幹線の時間が短く感じらる心地よさでした。
まさにその夜にあのニュースですから、何かに導かれたのではと思うような驚きだったのです。


さて、話は陸豊の旅に戻ります。
石塞最大の名所が作例写真の場所です。
この大きな岩は神石と呼ばれ、文字通り土地を守る神のような存在のようです。
確認するのを忘れましたが、この石があったので石塞という名称が生まれたのかも知れません。

神石は、建物を除くと石塞のもっとも高い位置にあります。
石塞を形成する段階で出土した岩を高い位置に掲げたのか、あるいはいちばん高い位置にあった岩をあえてそのまま残して神としたのか、いずれかということではないかと思われました。

この神の石が見下ろす風景は、石塞でもっとも美しいといえるものです。
建物は、恐らく清代とさほど古くも立派なものでもありませんが、連なる赤っぽい屋根、少し見える白い壁、くねった階段の路地がヨーロッパの中世の町を思わせるものがあります。
夏の昼下がりの静かさも、中国ではないどこかのような気にさせました。

何か不思議な気持ちを感じることのできる神石でした。
パワースポットというのはこういう場所なのかも知れません。
ここに導いてくれた、地元大学生の黄クンに感謝、です。
【Summicron 35mmF2 F2】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summicron 35mmF2 1st | trackback(0) | comment(1) | 2010/07/31 Sat

一样服装的老人家

M8/Summicron 35mmF2
石塞の門の中は、日陰ですし、高台のために風がよく通るので、意外なほど涼しい空間です。
わたしが入っていった時も、老若男女が涼んでいるところでした。
いえ、わたしがではなく、わたしと女子中学生軍団が入っていったというべきでした。
入るや否や、なんだなんだと声がかかりました。

中国は、どこにも方言があって、家郷語と言います。
ここの人たちが話すのは陸豊語と呼ばれるもので、土地柄、広東語がベースとなっているため、わたしにはまったく理解できません。
これに対して北京官話がもとになってできた中国の共通語が普通話です。
共通語ですから漢族ならほとんどの人がしゃべれるのですが、以前の教育制度の問題で多くの老人は普通話を話すことができません。

そんな訳で理解できなかった、老人からの質問は、大学生の黄クンが翻訳してわたしを助けてくれました。
中学生軍団はこの石塞内に住んでいるわけではないようで、門を入ってからは少し遠慮勝ちになってしまい、代わって黄クンが仕切ってくれるようになったのでした。

黄クンはいかにも誰からも好かれるタイプの好青年で、老人たちからもよくできた孫のような信頼された存在だったようです。
普通であれば、男の子よりも女の子たちから案内された方が嬉しいですが、ここまで連れて来てくれた彼女たちとバトンタッチして、以降は黄クンの案内に委ねることになりました。

作例は、村の長老ふたりが仲良く語らっているところ(?)です。
山下清風の方のおじいさんが笠智衆似のおじいさんにえらい剣幕で口論しているように見えなくもないですが、これはあくまで地顔であって、本当に七十年来の友人が親しげに会話している様子はほのぼのと良い雰囲気でした。

それが証拠に、ふたりの短パンとサンダルがお揃いです。
山下・笠のペアルックコンビは、村の生き字引でもあって、その後いろいろな情報を教えてくれるのでした。
【Summicron 35mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summicron 35mmF2 1st | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/30 Fri

Slightly? out of focus

M8/Nokton 5cmF1,5
女の子たちに連れてきてもらい、石城に着きました。
別名、石塞ともいい、石の城(町)、石の要塞、どちらもなかなか言い得て妙なネーミングです。
女の子たちの来ていた服に「石塞中学」と書かれていたので、石塞の方が一般的なようですし、以降、石塞と書くことにします。

女子中学生4人に事情を察して合流した別の4人組が加わり、4+4という4輪駆動車のような状態で、なおも後から着いてきました。
ただでさえ目立つカメラ持参の余所者が、さらに大量の少女を引きつれたハーレム状態とあっては、平穏な村にあってこの日いちばんの話題を提供したようなものだったでしょう。

石塞の門のところで、美人姉妹(?)とすれ違いましたが、姉は異様なものを見る目で、妹は好奇心をいっぱいに湛えた目でそれぞれじっと見られたのが妙に印象に残りました。
作例写真は姉妹ですが、その時の表情でないばかりか、顔すら写っていません。

それに、昨日に続いての超ピンボケで、なぜ2日続けてこんな写真を使うのかという疑問を感じられることでしょう。
昨日も記したように、今回、レンズのピントがおかしくなってしまっていました。
本来固着してあったMLリングを変えてしまったのが原因のようで、MLリングのねじ切りの位置がずれているためフランジバックがコンマ何ミリが前に出てしまったということのようです。

さすがのわたしも、液晶画面で気付いたので、ピントをずらしながら撮ったり、他のレンズに換えたりして問題回避しました。
しかし、ピンボケ写真を連続採用する理由は別のところにあります。
今回の最大のミスだった、スペアバッテリーを忘れたことで、散策半ばで撮影できなくなったからなのでした。

それでもなお、連ボケになるのは、石塞の重厚な門と壁をお見せしたかったからです。
そして、個人的に気に入ったのが、下部が4層の横縞になっているところです。
ローアングルに構えたわけではなく、石塞の門が高台になっているため一段低い位置から撮ったため地面に表情ができました。

黄色っぽい線は、収穫したばかりの米です。
暑い広東省では、二期作が普通で、七月下旬にして早くも一期目の収穫が終わったところのようです。
今回の滞在は少し早かったようですが、8月早々には新米が食べられるということですね。
【Nokton 5cmF1,5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Voigtlander Nokton 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/29 Thu

糖和鞭子

M8/Nokton 5cmF1,5
交通事故で1時間も遅れてしまったのに、さらに不運というか、確認ミスが続きました。
バスの行き先は、目的地の陸豊で、何とかという経由地も表示されていました。
高速を降りてすぐに停止したバスターミナルはその経由地だと思ったのですが、実はこここそが陸豊で、通過してから20分もしてどうもおかしいと気づき車掌に確認してこの恐るべき事態を知ったのでした。

さいわい陸豊に戻るバスはひんぱんに走っていたので、簡単には戻れましたが、やはり1時間近いロスです。
予定を2時間も遅れて、目的地に到着と相成りました。
しかし、さらにふたつの致命的なミスがこの後のわたしに襲いかかろうとは、世界中の誰も気づかなかった事でしょう。

目的地付近でタクシーを降ろしてもらい、石塞の村を歩いて目的地を目指したのですが、早くも道に迷いました。
その様子を察したのと、カメラを持った人が珍しいということからでしょう、女の子がどこへ行くかと声をかけてきます。
事情を話すまでもなく、この村にカメラを持つ人が行くような場所は1箇所だけでしょうが、やはり女の子らしく先走らずに事情を確認するところが素晴らしいと思います。

さて、行きたい場所を告げると、どうも発音が不標準だというので、どこから来たのかと聞かれます。
東京からと答えると、日本人か、そうだ、どうやってきた、飛行機に乗って香港経由で、どうしてここへ、古い村が好きだから…、というもうおなじみのやりとりになりました。

いつもと違うのは、その女の子が友達を呼んで、4人になったところでわざわざそこまで案内するといってくれたことでした。
案内までは申し訳ないので辞退するところですが、相手が女の子たちとあっては、否、外国人に接したいと思っている勤勉な学生とあっては快く受けるのが外国人の旅のマナーというものでしょう。

質問攻めに合いながらも、5分で到着しました。
ここがそうと言いつつも、まだここで立ち去りたくないという顔で立ち尽くしています。
そこで、まずはお礼にと、日本から持ち歩いていたアメを全員に進呈します。
たいしたことではありませんが、これはかなり受けてくれます。
パッケージに書かれた"ジャージー牛乳"の文字が彼女たちには新鮮ですし、やはり日本の味にも興味があるはずです。

さて、次に写真を撮らせてくれとお願いします。
中国で年頃の女の子は、こういうときの反応が両極端というのが、わたしの経験です。
喜んでVサインまでしてくれたりするケースと、恥ずかしいのか逆にこんな奴にはタダで写真は撮らせんと考えるのかいずれにしても拒否されるケースのどちらかです。

今回も、後者の対応だったようなのですが、アメを進呈したのが効くのかただちに拒否したりせず、ためらいつつやはり撮られたくないというような態度でした。
もうちょっとまとまってくれると良いですが、何があったのかと集まった女の子を加えた上で、一応1枚撮影しました。
アメが効いてその後の撮影に成功させる作戦を、わたしはアメとムチと呼んでいます。

バス停の確認に続いて、すぐに第2のミスを発見しました。
レンズが距離計ときちんと連動していなかったため、このノクトンで撮った写真はほぼすべて後ピンになってしまったのです。
ピントが合わなかったことで救われた女の子もいると思われますが、やはり残念な結果になったことに後悔せざるを得ません。
【Nokton 5cmF1,5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Voigtlander Nokton 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/28 Wed

高速公路上

M8/Summicron 35mmF2
いつかは、こんなことが現実になるかも知れない。
そう漠然と思っていたことが、中国では案外、簡単に起こってしまうようです。

深圳から同じ広東省の陸豊という町に向かう高速道路でのことでした。
バスの中でうとうとと寝ていたのですが、こつんという感触で目が覚めました。
その前に長い、しかしけっして急とは言えないブレーキの後のことでした。

どうしたのだろうと思う間もなく、社内が盛り上がり出しました。
興奮している隣の親父さんに聞くと、訛りがひどくて正確には分かりませんでしたが、前の乗用車に衝突したことは間違いないようです。
やれやれと思う間もなく、乗用車の運転手が怒鳴りこんできて、こちらのバスの運転手と口論になりました。

あくまで、こつん、という程度の印象でしたので、たいしたことはなくすぐに解決するだろうと思っていましたが、携帯で連絡をとっているところをみると警察を呼んでいるようです。
こんな程度でたいへんな時間のロスだと腹が立ちましたが、他の乗客たちといっしょにバスの前方を見に行ってビックリ。
後部のガラスはこなごなになっていて、バンパーも見るも無残に割れてしまっていました。

バスから降りてバス側の損傷を確認しましたが、わずかにバンパーにかすり傷がある程度です。
大型のバスが乗用車に衝突すると、こんな感じなのでしょうか。
わずかな接触に感じて、実はけっこう激しく当たったのか、単にの中国製の乗用車の衝撃吸収機能がお粗末なだけだったのか…。
いずれにしても、わたしがもし中国で車を買うことになっても、このメーカーのものだけは絶対に買いません。

警察は意外にも10分後くらいにはやって来て、検分を始めました。
それはかなり中国的で、100キロくらいの車がびゅんびゅん通る高速道路の追い越し車線を完全につぶしたままで行われます。
発煙筒など当然なく、自己のままの状態で、バスはハザードランプすら点灯していませんでしたが、さすがにその後ろに着いたパトカーは警告灯を出していたので、警官には危険という意識は多少なりともあったようです。

結局、トータル1時間ほどのロスで事故処理は終わり、バスの方は何事もなかったかのように立ち去りました。
乗用車もそのまま発進しましたが、オープンカー状態で、エアコンは効かなかったでしょうからかなり過酷なドライブだったはずです。
それに彼らはまったく知らなかったのでしょうが、鞭打ちの症状が翌日出たはずです。
その後、さらにトラブルになってなければいいのですが。

推測ですが、状況的には乗用車が高速の出口付近でここで降りるんだっけと追い越し車線にも関わらず停止してしまい、それに気付いたバスが止まろうとするも間に合わず追突ということだと思われます。
高速の追い越し車線で停止するバカはいないと思いますが、それでもぶつかったのはバスの方ですから、日本ではどのように処理されるのか難しいところかも知れません。

いずれにしても中国ならではの交通事故ということでしょう。
この時点で死傷者がでなかったのは幸いでした。
今回の旅は、恐るべきスタートとなってしまいました。
【Summicron 35mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summicron 35mmF2 1st | trackback(0) | comment(1) | 2010/07/27 Tue

朋友是什么?

M8/Elmarit 135mmF2.8
一日長くなりますが、横浜散策の最終回です。
やはり花火は見ることなく、来た道を戻るように桜木町方面へやってきました。
ランドマークタワーでハワイアンダンスの催しが、もちろん無料であると聞いたので、締めくくりにその写真を使いたかったのですが、残念ながら撮影不可でした。

撮ってはいけないならここに用はない、などと無粋なことは言いません。
わたしたちは、フラを熱心に見て、すばらしい動きに大きな拍手を送ります。
写真を撮るのが第一の目的ですが、撮れなくても楽しむという姿勢ではわたしたちの考えは一致しています。
ハワイからやって来たのか、その見せる絶妙のメイクなのか分かりませんでしたが、とにかく何人もの美女が普段は見ることのできないダンスを披露してくれるのに黙って帰ってはもったいないという訳です。

ksmt さんは、ライカはまったく使っていないこともあって、使用するレンズが食い違って共通の趣味を持っていると言えばそう言えるし、趣味が違うと言えばそう言えなくもないという微妙な関係です。
しかし、使用するレンズが違うということは、競合することがないということで、ひとつのレンズを取り合うということは原則なく、その意味では非常にいい関係です。

この直前にも、ライカマウントに改造できそうなレンズを扱う店のオーナーにメールを打ってもらい、かなり特殊なレンズを(たぶん)かなり安くオーダーしてもらったりもしました。
この分野では、あんがい勝手な人が多くて不快な思いをしたりして来ましたので、ksmt さんは数少ない気の置けない仲間と言えます。

気の置けない仲間と言えば、西日本にもふたりいますが、なかなか会うチャンスがありません(まだ数回会っただけで一方的に決めつけています)。
もっと遠くにもうひとり気の置けない仲間(やはり二回しか会ったことのない方なのですが)と近くお会いできることになりそうです。
いま、当面の最大の楽しみになっています。
ここから新しくレンズへの視野を広げていけたらとも考えているところです。


さて、最後の作例は、帰り際にワールドポーターズ付近で撮影した、花火大会に向かう人々の信号待ちです。
純正フードの効果もあってか、逆光に滅法強くて滲みも出ない描写に感心していましたが、日の位置が低くなると直接レンズに届いてしまうのかコントラストががくんと落ちてしまいました。
いつものノンコートのクラシックレンズの作例を見るようで、逆にホッとしないでもなかったりするのですが。

しかし、これは人の顔がくっきりしないということで、かえって良かったのではないかと思っています。
中心の白っぽい浴衣があまりに決まっている若いカップルをこれ以上目立たせたくないという、ある種、ジェラシーのような感情も内包されているかも知れません。
ともあれ、まだこの時点ではだいぶ明るかったのですが、もう少しで花火大会が始まる雰囲気を作っているような気がします。

毎日暑いですが、皆さま、体調にはじゅうぶんお気をつけください。
付け足しのようで恐縮ですが、暑中お見舞い申し上げます。
【Elmarit 135mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Elmarit 135mmF2.8 | trackback(0) | comment(1) | 2010/07/26 Mon

還有2個小時

M8/Elmarit 135mmF2.8
外交官の家のコンサートは4時に終わって、港の見える丘公園まわりで山下公園に戻りました。
花火大会は7時から始まるのでしょうか。
港の見える丘公園の高台には、花火を撮ってやろうと三脚の列ができていました。

花火自体にあまり興味がないうえに、それを撮影までしようという人がこれだけいるというのは不思議な気がします。
もちろん、オールドレンズを集めたり、収差の多いレンズでもその特徴に一喜一憂するようなものの方がマイノリティだということは承知しています。
それで人物スナップがほとんどというのは、世界的に見ても数えるほどしかいないだろうことを理解すべきことも知っているつもりです。

少し離れた撮影スポットの港の見える丘公園がそんな状況でしたので、山下公園に着いてみると予想通り、花火大会を楽しもうという人が早くもごった返していました。
そして、この3連休であえて中日の18日にした理由が、きっと浴衣姿の人がいて撮影に好適だという読みがあったからなのですが、当たり前ですがこの時点で読みが的中してどこもかしこも浴衣の男女であふれていました。

いつものとおり標準レンズでしたら、適度な距離を保ちつつ、たくさんの浴衣姿の人たちから面白いスナップを得られたのではないかと自負しています。
実は、8月にお祭りを撮りに行く計画を立てていて、ある程度の混雑から望遠での撮影を余儀なくされるだろうことが予想されることから、その訓練を兼ねてあえて135mmエルマリートを振り回して、スナップに挑んでみます。

お祭りでは動きのあるシーンがほとんどだから、この作例では訓練にはならないのではという指摘はごもっともです。
しかし、祭りでは多くの人が行きかう中を狙った被写体のこれという表情を適確に捉えるということも、わたしの中では求められるはずだと思っています。

この作例は、親子3代揃って花火見物にやって来たと思われるシーンを、成人ふたりの顔が出ないよう配慮しつつ、焼き鳥を手にした子どもを中心に撮ろうと、盛んに通行人が行き来する中で狙ったものです。
3人の動きが連動しているわけではないので、つまらないスナップにとどまっていますが、わたしの意図は達成できたかなというところです。
それに、浴衣が中国の少数民族の衣装を連想させるところも、わたし個人としては気に入っています。

まだ花火大会まで2時間以上あったはずで、焼き鳥を食べ終わった少女が、することもなくなってどんなリアクションを見せたのか気になるところでした。
3人が花火を楽しんで、来年もまた来ようね、と言いあったことを大いに期待します。

それにしても、先週はポスターで「する」の文字が出てしまいましたが、今回は「です」です。
この2文字がばかに主張しているようです。
【Elmarit 135cmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Elmarit 135mmF2.8 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/25 Sun

穿着和服拉小提琴

M8/Switar 50mmF1.4
山手の西洋館では、よくピアノや室内楽のコンサートが開かれます。
洋館の一室を使うので、一度に入れるのは3~40人くらいだと思いますが、先着順で入場無料です。
散策した日は、まさにこのコンサートのある日です。
ksmt さんに相談すると、ふたつ返事でご一緒いただくことになりました。

山下公園から中華街の昼食を経て、猛暑の中ではきつい急坂を登って山手に着きます。
もともとジャズに精通している ksmt さんにクラシックのコンサートに連れ出すためにこんな坂をお付き合いさせる申し訳なさに少し足取りが重くなります。

そういえば、散策の最初のころから ksmt さんは、どうも横浜とは相性が悪くてと言っていました。
横浜市内在住の ksmt さんは、今回のようなみなとみらいコースもしばしば撮影に出掛けるのですが、鎌倉や都内などに比べて成功することが少ないのだそうです。
成功という概念が分かりにくいのですが、撮影結果をまとめて自身のホームページに掲載すると、横浜のものはパッとしないものになってしまうということのようです。
けっしてそんなことはないと思うのですが…。

山手に差しかかると、昨日の虫網の少女と出会います。
それに洋館は一般に無料開放されていて、テーブルに飾られたしゃれた花がいい被写体でしたし、窓越しに見えるフランス式ミニ庭園も絵になる風景です。
大汗かいて坂を登って来た苦労が早くも報われた気がします。

この日は夏の宵のコンサートとして複数の洋館で演奏会が設定されていましたが、わたしたちが選んだのは外交官の家でした。
ヴァイオリンとピアノの二重奏です。
古い洋館は音響が良いはずで、ぜひ弦楽器の響きを聴いてみたいと思っていたからです。

少し写真を撮るのに気を取られすぎていたようで、開演10分前に会場に行くと最前列の席しか空いていません。
その最前列の席につくと目の前には譜面台があります。
狭い会場いっぱいに椅子を並べるため、最前列は立ちあがって手を延ばせばヴァイオリンに手が届くような位置になってしまうようです。

その後も聴衆はやって来て立ち見も出る盛況の中、コンサートは始まりました。
ヴァイオリンの保科由貴さんも、ピアノの張替夏子さんも、美人でびっくりしましたが、浴衣姿で現れたのには二重でびっくりさせられました。
すばらしい演出でしたが、下駄でピアノのペダルは問題ないのか少し気になったのも事実です。

演奏も、すばらしいものでした。
期待した音響は良いとは言えず残響はほとんどありませんでしたが、逆にヴァイオリンのすぐそばで聴いたことで、ダイレクトに音を感じられたことが幸いしました。
もうひとつは、演奏者の表情がすぐ目の前にあることで、真剣なまなざしでフレーズを追う目があったり、音楽の愉しさが顔全体に広がっていたりが、少なくとも最前列のわたしには伝わって来るのでした。

さて、作例ですが、最悪の結果になりました。
これはもちろん演奏中ではなく、終了後に記念撮影していたところでお願いしてヴァイオリンを構えていただいて撮ったものです。
カメラが好きだという保科さんにふたりの機材を注目されて、わたしはすっかり舞い上がってしまい、付けていたレンズを忘れたようです。

隅の方では、流れてしまって美人が台無しになってしまいました。
せっかくリクエストに応えてヴァイオリンを構える際、外してあった肩あてをわざわざ調整しながらつけ直してくれたというのに…。

仕方ないので、ksmt さんのサイトのより好位置で撮影した写真を確認します。
ksmt さんも、この時の写真は思いっきり失敗していました。
横浜では成功しないというジンクスは守られてしまったようです。
【Switar 50mmF1.4 F1.4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Switar 50mmF1.4 | trackback(0) | comment(2) | 2010/07/24 Sat

夏天放暇

M8/Elmarit 135mmF2.8
同行の ksmt さんもいちはやく横浜での作例を自身のサイトにアップされています。
ずっと並んで撮影して歩いたので、見えていたものは一緒のはずですし、実際多くのコマで同じものを撮っているのですが、わたしとの間には以前大きな差異があることが分かります。

例えば、赤レンガ倉庫のライブでは、ヴォーカリストの表情に重きが置かれ、実際、すごくいい表情を捉えています。
自転車の曲乗りでは、緊張感のある瞬間を捉えたばかりか、その緊張がぴんと張り詰めた腕の力強さから来ていることをしっかり表現しています。
もうひとつのコンサートでは、ポジショニングをしっかりして3人の美人プレーヤーを強調させていますが、その配置のバランスが絶妙です。

ふたりともスナップを撮っているので、時間をかけてあれこれ考えたりすることはできません。
ですから、ksmt そさんがわたしより撮影に時間がかかっていることはないのですが、作例の質は有意差があることを認めざるを得ません。
一瞬でものを見分ける目、それをどのように表現するかの判断力の速さ、それを実現させるためのカメラとレンズを操る技術が、少なくともわたしよりは優れているということでしょう。

そんな中、今日の作例の少女については、捉え方が ksmt さんとわたしで異なったようで、まったく趣が違うように見える絵がアップされることになりました。
ksmt さんは、蝶々を追う少女、のように見えますが、わたしの方は夏休みの喜びです。

もちろん蝶がつかまれば嬉しいですが、暑さの中にあっても、夏休みを自由に過ごしていることこそが楽しいという表情をしているように見えました。
そんな表情が捉えられないかと考えますが、いきなりカメラを向ければ顔色も変ってしまうでしょう。
後ろ向きのところを固定位置で追いかけ、振り向いた瞬間を捉えることができました。
表情は、すれ違った時に見たときそのままの、喜びに満ちたものでした。

ピントはピシッと来ていないかも知れませんし、スナップなので背景にも面白みがありません。
それでも、名手 ksmt さんとは違う意図で狙って、それに近い表現ができたことでわたしにとっては、本日いちばんのお気に入りです。
90mmのファインダーフレームを使って撮れるので、135mmレンズでも何とかスナップできるのが新鮮でした。
【Elmarit 135mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Elmarit 135mmF2.8 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/23 Fri

他的問題

M8/Elmarit 135mmF2.8
山下公園にはもうひとつ芝生のステージがありました。
美女の一団が異国のコスチュームで踊っています。
どこの国の踊りでしょうか。

華やかなスカートはアロハ横浜をやっていることもあってポリネシア風に見えましたが、額にビンディを付けている女性がいてインドかと思われましたし、サーベルを持っている女性はアラブチックです。
あらゆるダンスの良いところを採り入れた新しいスタイルなのかも知れません。
しかし、ベリーダンスという言葉が真っ先に連想されたので、アラブとも関連付けるとトルコの踊りなのではと結論することにしました。


今日は、レンズの説明です。
エルマリート135mmF2.8は、恐らくライカの距離計連動レンズの中ではいちばん巨大なものだと思います。
いつもは広角、標準、望遠と3本のレンズを持ち出すことが多いのですが、エルマリートの巨大さで広角を断念して連れのレンズは小型軽量の標準スイター1本に留めことになります。

エルマリートは、レンズ本体がズミクロン90mmF2を凌いでひたすら大きいうえに、カメラのファインダーを補正するファインダーがレンズ側に一体化して重量を増しています。
この倍率を上げるためのファインダーは、90mmのブライトフレームが135mm用として使え、ファインダー倍率が1.5倍になり測距精度が上がります。
100枚撮って60枚しかピントが合わなかったのが、90枚合うようになるかも知れませんね。

レンズの重量は、730グラムもあります。
しかも、ファインダー部分が邪魔するので、ウッドグリップをその都度外さないとレンズの脱着ができず手のかかるレンズです。
しかし、この重量レンズとウッドグリップのマッチングはよく、グリップがないと途端にホールディングが悪くなるためこのコンビでの使用はかかせません。
中国で買ってきたグリップがもっとも活かされるレンズなのでした。

レンズが巨大な分、ピントリングを回しやすいという利点があります。
慣れるとなかなか取り回しのよいレンズに感じられました。
しかし、すぐに問題に気付きました。
絞りにもクリックストップが付いて操作性がよくなっているはずなのに、これがいつもあちこち動いてしまいます。

原因はすぐに分かりました。
ピント合わせをする際、左手はレンズを下側から支える形でホールドしますが、ピントリングの位置がカメラ寄り過ぎてピントリングは親指と中指を輪にするようなかたちで行います。
その時に空いた人差し指が絞りリングのローレットに引っかかって、勝手に絞り値を変更してしまうのです。
絞りリングに引っかからないようにするためには、人差し指を外側にそらす必要がありますが、レンズが太すぎるためそらし続けていると指がつりそうです。

もう絞りには構わないことにしました。
この作例は、F2.8開放としていますが、絵としてはF4くらいに絞られているように見えます。
基本的には、すべて開放で撮るつもりでしたが、F値については正確に表記できていないかも知れないことをお断りしないといけません。

フードの先端に先日買ったばかりの67mm径のUV/IRフィルターをテープで留めてあります。
その効果があって色とりどりの女性の衣装が、適確な色で表現されています。
ただ、コントラストがはっきりしたシャープな絵はわたしの写真らしくない、そんな声が聞こえてきそうです。
【Elmarit 135mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Elmarit 135mmF2.8 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/22 Thu

所以帯長焦距

M8/Elmarit 135mmF2.8
赤レンガ倉庫から山下公園まではゆっくり歩いて15分くらいです。
直射日光を浴びながら歩きますが、海から比較的強い風が吹いてきて思ったほど暑さは感じません。
この前も書きましたが、気温が高い割りには凌ぎやすく助かりました。
山間の鎌倉だったら、もっとじりじりと暑かったのではと想像します。

山下公園の芝生エリアはすごいことになっていました。
この夜花火大会があるため、その場所取りのビニールシートやビニールひもがパッチワークのように全面に広がっていました。
しかし、まだ昼をまわったばかりなので花火待ちの人気はまったくなく、シュールな空間に見えます。

3連休の間わたしたちが歩いたエリア一帯で、すごい数のイベントが開かれています。
そのハイライトは夜の花火大会ですが、同時に「横浜国際マリンエンターテイメントショー」と「アロハ横浜201」が開かれていて、周辺のステージでは音楽ライブとハワイアンの音楽、ダンスその他がいくつも同時に開催していました。

イベントを固めれば相互に集客できるという計算があるのでしょうが、ほとんどの人の目当てが夜の花火ですから、暑いさなか昼間っからライブまで見たりとかやっていては夜にはくたびれてしまいます。
午後の遅い時間にならなければ、人はなかなか集まらないようでした。

それと運営の問題も指摘したいです。
せっかく狭い範囲で多くのステージが立つのですから、どちらが主催とかいうことを抜きにして、複数のライブをはしごできるような案内が欲しかったです。
ホームページで事前に見ても分かりにくかったうえ、現地ではなんの情報もなく、効率よく観客が好きなものを選択しながら移動しつつ見たり聴いたりという環境はまったくありませんでした。
これは当の屋外ライブをしていたミュージシャンやダンサーたちに、気の毒なことだったように思われます。

さて、山下公園で見たステージは、聴いてすぐレベルの高さが分かる素晴らしいものでした。
リーフレットを見るとLiLiという名の地元横浜のバンドのようです。
PAの質の高さもあって、猛暑のなか多くの聴衆を集めていました。

キーボードとギターが男性で、ドラムとベースが女性というのが意表をつく組み合わせです。
ギターのお兄さんだけ偶然できた木陰で弾いていたので、画角的に入らないこともあって作例では省略しました。
バイオグラフィを読むと、メンバーはみんなが知り合いだったわけでなく、人と人とのつながりで集まって結成されたので、Link-Linkの2文字ずつをとってLiLiというバンド名にしたとありました。
知り合いの中国人で麗麗チャンという子がいますが、彼女の中国語読みは同じリリで百合のリリーを連想させることから親しみある名前でした。
彼女と同名で地元のバンド、かつ第一印象がよかったということで、陰ながら応援したいなと思います。
【Elmarit 135mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Elmarit 135mmF2.8 | trackback(0) | comment(1) | 2010/07/21 Wed

紅牛的故事

M8/Elmarit 135mmF2.8
中国のコンビニやスーパーに行くとだいたい金色の缶の"紅牛"という飲み物が売られています。
アルコール飲料を連想させるのですが、ある日気付いてよく見てみるとやはり予想通り、日本でも不可思議なCMで存在だけは知っていたレッドブルだったのでした。
試しに買って飲んでみると、オロナミンCのような味で、滋養強壮清涼飲料のようなドリンクのようです。
CMでは翼を授かるなんて言っているので、ハイになれるかなという期待感がありましたが、しばらく待っても何も起こりませんでした。

ここ赤レンガ倉庫の前では、レッドブルのキャンペーンイベントが行われていました。
のちほど資料配布されていたレッドブルをいただきましたが、キャンペーンのお姉さんに飲んだことがあるか聞かれ、ありますと答えましたが、中国でとは答えにくいのであまり突っ込まないでと心配したところさすがにどこで飲んだかなどとは聞かれるはずもなく難なくひと缶ゲットしました。

1年以上のブランクを経て再飲したレッドブルはあの時と同じ懐かしい味です。
小さな巨人がライバルなのかと思いましたが、このレッドブルってどんな会社なのでしょうか。
缶には原産国オーストリアと書いてあります。
そう言えば、サッカーの日本代表だった宮本やサントスが移籍していったのがザルツブルク・レッドブルというチームだったと記憶しています。
また、バルセロナを対談してアメリカへ旅立ったアンリは、ニューヨーク・レッドブルが移籍先です。
女の子の説明では疲労感をとるアルギニンという成分が入っているとのことでしたが、彼らも試合中にこれを飲んでいたのでしょうか。

ネット検索してみると、このレッドブルと日本の思わぬ関係が見えてきました。
もともとレッドブルの原型はタイで作られたというのです。
タイでは、リポビタンDがコンビニや商店で普通に売られていて、国民の健康飲料のように広く飲まれています。
この人気に対抗する形でタイの実業家によって作られたのが、赤い水牛を意味するタイ語の名前が付けられたドリンクだったのです。

これは縁起をかついでのことか金色の缶に入れて売られたとあります。
つまり、わたしが中国で飲んだのは、タイ版のレッドブルだったというわけです。
ちなみにこのタイ版は飲みすぎると体に悪いとも書かれていました!

その後、オーストリア人の実業家がこれに目を付け全世界の発売権を獲得し、同時に成分を改良して世界初のエナジードリンクとしての地位を確立します。
それは1984年のことと、ずいぶん前から存在していたのですね。
レッドブルの誕生するきっかけだったリポビタンDは、ファイト! 一発! で日本で知らない人がいないほどですし、タイでも国民的人気のようですが、そこでとどまっていたのが悔やまれます。

ドメスティックかせいぜいエイジアンレベルの健康ドリンクです。
全世界を視野に販売に力を注いでいれば、いまのレッドブルのようなインターナショナルな飲み物となって、ザルツブルク・リポビタンとかニューヨーク大正製薬のようなサッカーチームが存在していたかも知れません。
あるいはトヨタと方を並べる世界企業になっていたのかも。

レッドブルで授かった翼で、なんとも壮大な想像をさせていただきました。
よく冷えたレッドブルをいただき、スタッフのみなさん、ありがとうございました。
【Elmarit 135cmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Elmarit 135mmF2.8 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/20 Tue

在紅磚倉庫演奏会

M8/Switar 50mmF1.4
10時半に桜木町駅に集合して、散策スタートすることになっていました。
しかし、ksmt さんもわたしも歳のせいか時間よりだいぶ前に着いてしまっています。
向こうは早く着くなと以心伝心で、自分も合わせてしまうような関係なのかも知れません。
これが、遅刻常習で、どうせあいつも遅れてくるのだからとか考えて、時間にルーズになるケースが諸外国では普通にあることを考えるとわたしたちは日本的なのかも知れません。

駅前の交差点を渡るとすぐに海が見えます。
ランドマークタワーのすぐ傍には日本丸が係留されています。
昨日のカヤックの写真の場所です。
このアクセスの良さは、魅力的です。

そのまま直進してワールドポーターズをやり過ごすと赤レンガ倉庫が見えてきます。
ここまで炎天下を歩きましたので、早くも涼を求めて建物内に入ります。
しばらくして11時になったところで、2階のスペースで開かれているJDAトリエンナーレという美術展を見学しました。
入場無料で冷房の利いた空間での現代アートを見て頭をクールダウンします。

JDAとは、女子美術大学デザイン科アソシエーションのことだそうで、絵画系の展示を期待していたのですが、デザイン系というか造形的なものもあってバラエティに富んでいます。
ベトナムの多くの少数民族を訪れて、それを絵本のように編集している展示かあってわたしは惹かれました。
ksmt さんは、源氏物語に範をとった日本画の美しさにうたれていたようです。
意外に美術にも造詣が深い人だと判明しました。

30分ほどで外に出ました。
赤レンガ倉庫の2つの棟の間で朝からライブが行われています。
このスペースはまつたく影ができませんので、強い日差しの中での演奏でこれはたいへんです。
熱心な聴衆も10名ほどいましたが、彼らも日差しを遮るものがない中で聴いていて、パフォーマーとオーディエンス双方が厳しい環境に置かれ独特の緊張感が漂っていると言えるかも知れません。
ウッドストックのような野外ライブ会場なら水着だったり上半身裸で踊りながら聴いたりもできるのでしょうが、上品な赤レンガ倉庫前でそんなことをしたら警備員が飛んできそうです。

脚の長いヴォーカリストのスタイルを強調するため、真横から狙ってみたのが今日の作例です。
スイター50mmF1.4は、周囲がすごく流れるので、演奏者の激しい動きを演出できます。
よく見ると赤レンガ倉庫が少し反っています。
これは熱波によるものではなく、糸巻型の歪曲が出ただけだと思います。
【Switar 50mmF1.4 F1.4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Switar 50mmF1.4 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/19 Mon

因為梅雨結束

M8/Switar 50mmF1.4
関東を含めた広い範囲で土曜に待望の梅雨が明けました。
以後は暑い日が続くようです。
予報を見ると、館林、熊谷という猛暑で知られる町はもちろん、東京都心なとでも35℃前後の最高気温が予想されています。

そんな日曜日、横浜のみなとみらい地区から海沿いに山手まで行ってまた戻って来るルートで散策してきました。
鎌倉に行くか少し悩んだのですが、結果的にこのルートは正解だったようです。
強い日差しこそほとんど避けられませんでしたが、海の近くをずっと歩いたことで強い浜風をずっと受けて歩いていましたので、実際の気温より体感的には少し涼しく感じられたと思われたからです。

今回は頼もしい相棒の ksmt さんと一緒でした。
涼しいとは言え、夕方にはふたりして酔っ払ったような赤ら顔になっていました。
そして、いま自宅でキーボードを叩く手も日焼けでひりひりしている状態です。

夏休みに入ったからでしょう、横浜ではいろいろなイベントが開催されていました。
暑さで被写体に乏しいこの時期ですので、いくつも開催されていたイベントの様子を中心に、されどけっしてレポートにはならない、散歩のついでに目にしたもの程度に紹介していくことにしたいと思います。

桜木町駅から歩き始めたクソ暑い中で、清涼感を思わせるものがいきなり現れました。
シーカヤックの連隊です。
水面すれすれに漕いでいく姿は、実際のことは分かりませんが、いかにも涼しげです。
暑くなれば、海水を頭からかぶってもいいでしょうし、わざとらしく"沈"するのも良さ気です。

ひとり乗りがほとんどの中で、複座式のものが通りかかったので、ランドマークタワーを背景に、船つながりの日本丸も取り入れて撮影してみます。
海のどんより暗い色に対する黄色は映えますし、絵全体の中でもうるさくならない中で強調されていて良い感じです。

作例も、周辺の流れを強い風ととらえていただければ、モチーフとも相まって清涼感がお届けできるのではと思い、いちばん最初にシャッターを切ったこの1枚からスタートさせていただきます。
できることなら、この横浜シリーズは順風満帆に進められると嬉しいですね。
【Switar 50mmF1.4 F1.4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Switar 50mmF1.4 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/18 Sun

卓別林的背面

M8/Ultrastigmat 50mmF1.9
本郷界隈にはあちこちに古建築が点在していますが、ここがハイライトと思います。
木造三階建ての学生下宿、本郷館です。
散策会の興奮もここに極まれりというところでしょうか、メンバーで建物を取り囲んでしまっています。

本郷館は、1905年に建築され、関東大震災や東京大空襲にも動じず105年の下宿屋の歴史を持ち、またそれは続いています。
残念ながら内部の見学は禁止されていて、それでも侵入しようとする人が後を絶たないことからかなり神経質になっているようです。
気をつけたいものです。


さて、今回使用した Ultrastigmat 5cmF1.9 について、言及したいと思います。
昨年8月、鉄っちゃんと大連・瀋陽を旅したときにデビューさせたレンズで、その際調べうる限りのことは、愚論を挟みつつも紹介したつもりです。
情報は、少なく書くこともほとんどなかったのですが。

1年近くを経ても状況は変わっていません。
ただ、今回、散策会にも参加したH氏が、レンズの歴史的価値と描写のすばらしさに惚れ込んで、ついにウルトラスティグマット5cmF1.9のレンズヘッドを入手されたとのことでした。
わたしのレンズを見てもらうと、まったく同じレンズという判定でしたし、彼の撮影したプリントを見てもわたしのものと瓜二つの写りと判断できました。
知りうる限りでは、世界中で2本だけ、ウルトラスティグマット5cmF1.9が同じライカマウントとして使用されていることになります。

情報は、もうひとつだけ入手できました。
このレンズが付いていたカメラについてです。
もちろんスティルカメラではなく、シネ用の Bell & Howell 2709 というカメラでした。
16mmてはなく35mmシネです。

1911年に世に出たカメラですが、その後1950年頃まで使われていたといいます。
特に、1930年頃までのアメリカの有名な作品のほとんどがこれで撮影されたということです。

ズームレンズのない時代でしたので、焦点距離のバリエーションが豊富だったスピードバンクロも、このカメラに付けて使用されたようです。
しかし、スピードバンクロの登場は1931年ですので、ウルトラスティグマットが設計された1916年から31年まではこのレンズで撮影された可能性は高いと思われます。

この時代のアメリカ映画にはどんなものがあるのでしょう。
時は、まだサイレント映画の時代だったようです。
映画のことはさっぱりなので検索してみると、映画の父と呼ばれたグリフィスがいます。
代表作の「イントレランス」(1916年)、「散り行く花」(1919年)は、ウルトラスティグマットで撮られた可能性があるかも知れません。

さらに20年代に入ると、チャップリン、クララ・ボウ、クラーク・ゲーブルといった有名人が活躍します。
なるほど、そういう時代だったのですね。
もうひとつ想像を膨らませれば、そんなスーパースター達をまさに撮影したそのレンズが、巡り巡ってわたしの手許にやって来たのかも知れません。
こんな勝手な空想も許されるのが、オールドレンズを使う楽しみのひとつだったりします。

【Ultrastigmat 5cmF1.9 F4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gundlach Ultrastigmat 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/17 Sat

長城加来卡加英国鏡頭

M8/Ultrastigmat 50mmF1.9
散策会のランチは外れがありません。
ローライ中心の中判カメラの集まりは、美食家の集まりでもあって必ず美味しいお店が選ばれます。
土地勘のないところでも鋭い嗅覚がはたらくようで、やはり美味しい店が選択されることになります。

本郷では日本の最高学府で教鞭を取られる親族を持つTさんがいて、近隣の名店リストが完成しています。
毛色が変わっているということでしょうか、ベトナム料理のランチになりました。
コーヒー付きのランチが600円とたいへんリーズナブルで、美味しい越南料理を堪能しました。
学生に人気のある店のようでしたが、さいわい土曜日で席が空いていたので、ゆっくりと仲間内のレンズ話ができました。

そんなレンズ話のネタにもなると持参したのが作例のカメラです。
中国製の6×6一眼レフカメラ「長城」と言っても知っている方はほとんど皆無でしょう。
6×6一眼レフと言えば、最高級機のハッセルブラッドが思い浮かぶのが普通と思いますが、長城の方はミラーシャッターにプラスチックパーツの多い普及機です。
見た目、使用感とも安っぽさの感覚はぬぐえません。

しかし、おもしろい点もあります。
マウント部分が39mm径なので、いちおうライカのレンズを取り付けることができます。
もとのフランジバックが短いため、ライカレンズを付けても超近接撮影にしか使用できません。
そこで工夫が必要になって来ます。

135mmヘクトールのレンズヘッドを付けてビゾフレックスに使用するためのアダプターがあります。
これはエッジが出っ張っていて削り取る必要こそありましたが、ヘクトールを付けると無限が出ました。
90mmレンズでは無限まで到達しないのですが、39mmねじのエクステンションチューブなら何種類も持っています。
適当に組み合わせすれば9cmエルマーでも無限は問題ありません。

これで要領を得ました。
手許にある19世紀のブラスレンズを試してみることにしましょう。
Dallmeyer Rapid Rectilinear は焦点距離がはっきりしませんが100mm前後のようです。
これも適当な延長チューブを噛ませてあげると、無限から1.5メートルほどまでピントが来るようになりました。
まずは、この組み合わせでテスト撮影することにしてみましょう。

なんでまた、こんなことをやろうと考えたのか…。
ライカマウントに改造すべく購入した古いレンズが何本かありますが、距離計連動の問題、改造してもF値の暗い地味なスペックの望遠レンズは使う機会もない等、お蔵入りしているのが現状です。

いずれ売却してしまえばいいのですが、散策会がもともとローライクラブのメンバー主体ということで6×6カメラが主流になっているので、自分なりにオールドレンズを活かした6×6を使ってみたいと考えていました。
そんな矢先、中国で長城の出物があって、何か面白いことができるかも知れないと直感したことが始まりでした。

中判でも、レンズ交換可能なカメラならマウント改造で、多くのレンズが使用できます。
しかし、高価なカメラを新規購入したり、レンズの改造を外部委託したりする余裕はもはやありません。
今回紹介してみたのも、既存のアダプターとテープだけで、特別なコストをかけずに完結できたからに他なりません。

ライカマウントの方で、人生を投げ出すようなレンズの揃え方をしてしまいました。
中判では、はやりのエコでスローなスタイルを貫こうと思います。
この方面には、身近に師匠と呼べるような人がいるのも心強いです。
【Ultrastigmat 5cmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gundlach Ultrastigmat 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/16 Fri

対西班牙隊忠言④

M8/Ultrastigmat 50mmF1.9
本郷菊坂のメインストリートは、ここ、きくさかどおりのようです。
名前がひらがな表記なのはいいですが、菊花のマークは、警視庁を連想させてあまり趣味の良いものとは思えません。
この作例では殺風景な通りに見えますが、古い老舗のようなお店も並んでいて、歩いていて楽しさを感じる通りです。

このあたりに習熟している大判のT氏から、途中にある肉屋さんのコロッケが美味しいと聞き、昼前でしたが1個いただいてみました。
空腹だったということもあるでしょうが、これが絶品でした。
揚げたてのサクサク感と中の肉とジャガイモのほくほく感で、幸せ気分になります。

作例をパッと見ると、日中から街灯を点けているように見えないでしょうか。
実際、ここに立ったとき、わたしも渋いランプ風の灯りが点いていると思ったのですが、よく見れば違っています。
ランプの傘が、太陽光を反射しているだけだったのですね。
おもしろい演出に感じられました。


さて、今夜もしつこく、素人のスペイン代表放言シリーズを始めることにしましょう。

ワールドカップ決勝を前にして話題になったことのひとつに、スペインはバルセロナ・スタイルのサッカーを展開しているが、それをたたきこんだのが、かつてオランダでトータルフットボールを掲げていたクライフだということでした。
クライフは、現役時代にアヤックスからバルセロナに移籍して下位に低迷していたチームを優勝に導きましたし、引退後は監督としてバルセロナに戻りドリームチームをつくって4連覇を果たしています。

わたしが、バルセロナのファンになり、世界のサッカーを見るようになったのが、クライフ擁するバルセロナが欧州チャンピオンとして来日してトヨタカップを戦ったときです。
それ以前のバルセロナのスタイルは知りません。
もともと攻撃的なサッカーをするスペインのクラブチームたちですが、それでもやはりクライフが来てからサッカーは大きく変わったのでしょう。
バルセロナをずっと見続けている市民ですら、それを否定しないと言います。

そんなクライフにとって、今回のワールドカップ決勝は特別な思いがあったはずです。
クライフは、かつて何度かオランダ代表の監督に招聘される直前までいったことがあったようですが、結局は一度も監督をしませんでした。
サッカー協会との確執とか、いろいろな噂があるようですが、熱望しているはずの監督を受けなかった理由は謎のままです。

思い入れあるスペインではあっても、優勝してほしかったのはオランダの方のはずです。
ワールドカップ毎に自国の試合に厳しいコメントをするクライフが、今回も手厳しい記者会見をしたようです。
試合前のコメントでは「デルボスケ監督のチームは成長しており、決勝で最高潮に達する。わたしはオランダ人だが、スペインのサッカーを支持する」と言っています。

試合後のコメントはさらに刺激的なもので、少し長いですが引用することにします。
「決勝は、美しいプレーを消すことが唯一の対抗手段と考えるチームと、優勝候補との一戦となってしまった。オランダのスタイルは醜く低俗だった。スペインを動揺させるために、スペースを完全につぶして厳しい当たりを見せただけで、これといった見どころのない内容に終始した。スペインは最初の20分間は素晴らしかったものの、相手の汚いプレーがあまりにも多かったために、自分たちのサッカーをさせてもらえなかった。この状況が続いたことにより、試合終盤までスコアが動かなかった」。

確かに醜いラフプレーは一度ならずありましたが、激しいあたりを見る限りでは、まるで親善試合のようなお互いの怪我を恐れたようなプレーに終始した準決勝のドイツより見ごたえがあったとわたしは思います。
自国オランダに対しては、理想のサッカーをして欲しいという思いが伝わるコメントと解することはできそうです。

じつは、わたしはかなり以前から日本代表の監督にクライフを招くべきだと主張してきました。
今でこそ、スペインの選手は日本人と変わらない体格なので手本とすべきとよく言われますが、ボールを触らせずにパスを回すクライフ流のサッカーは、あたりに弱く細かい技術を持つ日本に適しているからということからでした。

ところが、日本は独自のスタイルを確立することなく、ディフェンシブで面白みのない結果のみを追い求めるサッカーを貫き、ノーマークだった外国メディアからは賛辞(お世辞?)をもらいましたが、それこそ醜く低俗だつたと言わざるを得ません。

クライフが監督を受けるはずはないですが、もしそうなれば、バルセロナが確立したようなスタイルを日本にもたらしたのではとの期待が高くあります。
そのときは、恐らく予選リーグで惨敗していたかも知れませんが、美しく意図のあるサッカーを随所に見せて、今回言われた以上の感動や評価を内外から受けたのではないでしょうか。
汚なく勝ち残るか、美しく散るかです。

それでも、前者がいいという意見が勝るかも知れませんが、ワールドカップの出場国のすべてがそんなサッカーに
なってしまったら、わざわざ深夜に起き出して見るような大会ではなくなっているでしょう。
結果がすべてと、判で押したように日本人は言いますが、わたしにとっては、サッカーは結果ではなく内容です。
【Ultrastigmat 5cmF1.9 F5.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gundlach Ultrastigmat 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/15 Thu

対西班牙隊忠言③

M8/Ultrastigmat 50mmF1.9
菊坂のあたりは家が密集していましたが、それ故でしょうか、軒先やベランダに花を飾ってあるシーンをよく目にしました。
ライカの最短撮影距離の問題もあって、わたしは花の撮影には興味が向きませんが、生活の中にある花はいいものだと思います。

それと、「空は見れど」での花を背景と対比させる美しい写真をずっと見てきましたので、これはそうとう影響を受けています。
物まねになってしまいますが、わたしも早朝から名所に出掛けて、花と背景と空気を写し撮って来たいと考えています。

今日の作例は、散策会主宰のT氏らと歩いていた時に、偶然生まれたものです。
このアジサイを撮影するにあたって背景をどうするかという話になったとき、T氏はこのポスターの女性をボケさせて背景にするのが面白いのではと言われました。

なるほど、ポスターそのものが普通に描写されてはつまらないですが、アジサイと対比させることで面白い効果が出るような気が直感的にしました。
当然文字は外したかったのですが、電柱が邪魔してどうやっても「する」の2文字が写り込んでしまいます。

そのむね再度T氏に説明して、アドバイスをもらおうとすると思わぬ回答が返って来ました。
「するはスルーしてください」
ああ、聞くんじゃなかったです。


さて、しつこいですが、ワールドカップのスペインにちょっと苦言シリーズ開始です。

1998年のワールドカップ・フランス大会で地元フランスが優勝を決めたとき、アフリカ系の選手を多く擁するフランス代表に対して批判が集まるどころか、人種差別を超えたところでチームワークを発揮した点が高い評価を生むことになりました。
スペインには、外国起源の選手はいなかったように思います。
問題としては、カタルーニャやバスクなど独立志向が多少なりともある選手も混じってひとつのスペインとしてチームの和を保っていることでした。

このワールドカップでは、ひとつのスペインは疑う余地なく実現されていたように見えます。
しかし、バルセロナとレアル・マドリードの確執はまったくなかったのでしょうか。
代表チームはバルセロナのスタイルを踏襲していると表現されましたが、マドリードの選手はそれを素直に受け入れたのでしょうか。

そんなことは問題にもならなかったのでしょう。
だからこそ、ひとつに結晶したチームはスペイン初のワールドカップを手にしたのだと思います。
ですが、試合が終了してから、なにかまずいものを見てしまったような気がします。

表彰式の中で優勝トロフィーであるワールドカップは、キャプテンのカシージャスに手渡されました。
彼は、その栄冠を受け取った誰もがしてきたようにカップに口づけします。
そして、続いてそれを手渡したのは、同じマドリードのセルヒオ・ラモスでした。
年長者でチームの軸であったプジョルやシャビが次に受け取ってもよさそうなものですが、まだまだ若いラモスが2番目の栄冠を手にしたかたちです。

その後画面が切り替わったので、どのような順序でカップが受け継がれたのかは分かりません。
次に記憶しているシーンでは、ワールドカップを囲んでメンバー全員で記念撮影しているところがあります。
ここでは、バルセロナの選手ばかりでカップを取り囲んでいます。

いずれも偶然そのようになっただけかも知れません。
とは言っても、テレビに大写しにされてみると、妙に強調されて、確執はあった! と思わせるに十分なインパクトでした。

凱旋パレードは、当然、首都マドリードで行われました。
市民はどのように受け取ったのでしょう。
リーガと呼ばれるリーグ戦に重きが置かれるスペインでは、みんな複雑な気持ちを内包しての祝福だったに違いありません。
スペイン代表チームの今後に遺恨を残すことがなければよいがと、ニュースの画面を見ながら真剣に考えてしまいました。
【Ultrastigmat 5cmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gundlach Ultrastigmat 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(1) | 2010/07/14 Wed

対西班牙隊忠言②

M8/Ultrastigmat 50mmF1.9
本郷三丁目駅を出発した散策は、菊坂近辺をくまなく歩いて行きました。
作例は、凡庸な住宅地の風景のようですが、この周辺は風情があふれていました。
何しろ古い建物が散在していますし、建物は新築されていても、どことなく戦前の空気が残っているように感じられます。

路地を入ると、樋口一葉の旧居も現存しています。
何代も引き継がれたような床屋さんがあって場所をたずねると、接客しながらも地元の自慢をようこそ見に来てくれたと言わんばかりに説明してくれました。

そこは、古い建物と緑に囲まれた一角で、本当に当時のままのような建物に寄り添うように、古井戸が残っているのも素敵な演出のようです。
五千円札ですっかりなじみになった一葉が、玄関の引き戸を開けてすっと出てくるのではとの錯覚をしてしまう、真夏の朝の散策でした。

作例では、「国際インキ」の看板が妙に目立っています。
インクではなくインキと表記されることで察せられますが、インキは英語ではなくオランダ語から派生しているようです。
蘭学が日本に伝わった時にいっしょに入って来たものと言われます。

一方、インクという表現も日本で定着していますが、これには以下のような説があるようです。
すなわち、蘭学とともに輸入されたインキは、書物の印刷などと関連したもので、印刷用の液体をインキと呼びます。
その後、筆記具とともに英語として輸入されたのがインクです。

本郷は、日本の学問の総本山でしょうから、筆記具という可能性もゼロではないでしょうが、ここは印刷工場も見かけたこともありますし素直に印刷用インクなのだと受け入れることにしましょう。
そう書けば、このしょぼい作例からも、どことなく輪転機の音やインキの臭いが感じられないでしょうか。


話は飛びますが、蘭学と言えば今回もあと一歩でワールドカップを手にできなかったオランダが気になります。
バルセロナがクライフ人脈の流れでオランダ人を多く在籍させていて、ファン・ボメル、ファン・プロンクホルストなどは少し前まで主力選手として活躍していましたし、アシスタント・コーチだったデ・プールもバルセロナの一員でした。
さらに、2大スーパースターだったロッベンとスナイデルは、ともに昨シーズンまでレアル・マドリードに所属していました。

しかし、現在はオランダの選手はスペインにはレアル・マドリードのファン・デル・ファールトひとりしか存在しません。
マドリードで言えば、ロッベン、スナイデルは怪我がちであまり活躍できなかったことから追い出され、バルサは世代交代時にオランダ人脈こそ悪であると一切を断ち切ってしまったのでした。
ワールドカップ決勝には、オランダ人のスペインへの報復の意味もあったはずだったのですが…。

それもあってか、選手個々の闘志ではオランダが勝っていたと思います。
逆に準決勝のドイツは、あまりに気合いが抜けた戦いでした。
あきらかにドイツ、オランダの中間のような戦い方が良かったはずで、チリ、パラグアイとの苦戦を考えてもブラジル、アルゼンチンと戦わずに済んだことも含めて、スペインはかなりラッキーに勝ち進んだような気がします。
【Ultrastigmat 5cmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gundlach Ultrastigmat 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/13 Tue

対西班牙隊忠言

M8/Ultrastigmat 50mmF1.9
7月10日土曜日、恒例のT氏主宰の散策会に出掛けてきました。
本郷界隈の散策です。
梅雨の合間の暑い日でしたが、途中、かき氷休憩も挟んでのんびりした休日を過ごしました。

そういうわけで、今週は散策の様子を順を追って記載する予定です。
しかし、今日はその前に書いておかなければいけないことがありました。
散策とも写真とも関係ないことなのですが。

散策会の翌晩、というよりも今朝と言った方がよいでしょうか。
ワールドカップ南アフリカ大会はスペインの優勝をもって幕を下ろしました。
長くて短い1ヶ月でしたが、これでようやく寝不足の日々から解放されます。

中国で購入したスペイン代表のユニフォームをずっとパジャマ代わりにしてきたわたしには、最良の結果だったわけですが、どうも腑に落ちない部分もあります。

そもそもが、クラブチームファンにとって代表チームのサッカーは魅力ではひとつ劣るところがあります。
ブラジル、アルゼンチン、オランダなどは、代表選手が各国のリーグに分散していますので、豪華メンバーが集結するワールドカップでは見ごたえがあります。
しかし、スペイン、イングランド、イタリア、ドイツでは、ほとんどの選手が自国のリーグでプレイしていますので、それらクラブチームより魅力的な代表チームを作るのは難しくなります。

今回のスペインは、その典型です。
準決勝・決勝の先発メンバー11人を見ると、7人がバルセロナ(ビジャは今期から加入ですが)、3人がレアル・マドリード、1人がビジャ・レアルです。
つまり、キーパー、両サイドバック、フォワードの選手を入れ替えると、そのままバルセロナになります。

スペイン代表は、ボールを常に支配してバスをつなぎながらスペースに人が飛び込む、バルセロナの戦術を一定踏襲しています。
確かに両者は同じ方向を向いてはいますが、内容には大きな違いがあります。
かりに違いがなかったとしても、スペイン代表にメッシのドリブル突破や、アウベスの縦のスピード突破などが加わった方が魅力が増すと感じる人が多いのは間違いないでしょう。

デルボスケ監督には、スペイン代表にバルセロナにはない魅力を全面に出して欲しかったのですが、それは見られなかったように思います。
中盤に5枚置くということなら、ユーロ2008に優勝した前後のシルバ、セスク、セナを登用していた時の方が面白かったし、両サイドにヘスス・ナバス、サンティ・カソルラの高速ドリブラーを同時起用するなどの布陣も見てみたかったものです。
あえて言えば優勝したいという執着心の強さが、今回のスペイン代表の最大の特徴だったのかも知れません。
【Ultrastigmat 5cmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gundlach Ultrastigmat 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/12 Mon

新Cyndi

M8/Nikkor S・C 5cmF1.5
レンズ話の続きにして、今回の中国シリーズの最終回といたします。

安易なネット検索ではほとんど得られなかった Nikkor S・C 5cmF1.5 ですが、「クラシックカメラ専科№59」に北条伸氏の解説がありました。
今回も無許可ですが、内容はたいへん興味深いものなので、要旨を転述させていただきます。

まず、よく知られるようにゾナーの同スペックレンズを手本に設計されたのは間違いないようです。
戦時中の1941,42年のキヤノンの雑誌広告に登場しながら、実際に供給はされなかったようです。
終戦直後の1946年にもキヤノン向けに製造するという話が持ち上がりましたが、やはりニコン用優先ということで実現には至りませんでした。
ニコンⅠ型の発売が1948年ですので、まだキヤノン向けに製造も可能のようにも思えますが、何か別の事情が生じていたのかも知れません。
ついぞキヤノンに供給されることはありませんでした。

そして、1950年、ついにレンズは完成します。
1950年は朝鮮戦争が勃発した年で、従軍記者たちに愛用されることでこのレンズとニコンの名声が高まったのはよく知られるところです。
しかし、改良型の 5cmF1.4 が登場すると入れ替わりにこのレンズは製造を打ち切られてしまいます。
足掛け14年かかって開発されたレンズは、わずか1年も経たずして製造を終えてしまったということになります。

シリアルは、905XXX、906XXX、907XXXの3種類のパターンがあるそうで、全面的な設計変更も3回行われたとあります。
わたしの所有する個体は907XXXですので、最終設計変更版に相当する可能性が高いと言えそうです。

ちなみに、ニコン・マウント、ライカ・マウント合わせての製造数は、わずかに798本。
ライカの方が製造本数は多く、日本光学が製造したレンズで、唯一ニコン・マウントよりライカ・マウントの方が多いレンズと言われています。

Nikkor S・C 5cmF1.5 を改良版である Nikkor S・C 5cmF1.4 と比較してみます。
ただし、今回は時間の都合で外観の違いだけにとどめます。

まずフィルターサイズが違います。
F1,5がE40.5サイズなのに対し、F1.4はE43とだいぶ違うのにすぐに気付きました。
前玉の直径も約32mm対35mmと3mmほど大きくなっています。
もともとゾナーのコピーからスタートしたことを考えれば、ゾナーの基準であるE40.5だったのは自然なことで、F値を上げるために前玉が大きくなるのも当然と言えます。

また、シリアル番号の違いが次に気になりました。
F1.5は前述のとおり907XXXですが、F1.4は5005XXXXになっています。
わたしは詳しい法則性を知らないのですが、1940年代は製造年(このレンズの場合設計出図年)の最後の桁がシリアル番号の最初にくるようです。
1950年から5005という番号を頭に付けたようですが、どこかの段階でこの番号はリセットされてしまうようです。

字体こそ違いますが、JapanではなくTokyoが使われていることを含めて、刻印されている情報はまったく同じです。
最短撮影距離も約3.5フィート(1メートル)の距離計連動域を超えて、1.5フィート(約45.7センチ)まで寄れるダブルヘリコイドになっているのも同じでした。
インフィニティストッパーの形状等も同じということを考えると、F1.4の鏡胴はF1.5のそれをそのままスケールアップさせたものと言って構わないと思われます。

描写の違いについては、いつか比較してみたいと思っています。
その時はF2のNikkorとゾナー、ゾナータイプの各レンズも合わせて行いたいものです。

また、昨日、友人が Nikkor S・C 5cmF1.5 をはるかにしのぐ、すごい 5cmF1.5 レンズを見せてくれました。
このレンズについては、正直、入手不可能ですので、いずれお借りして許可いただいたうえで、ブログ上にてご紹介できたらと思っています。


さて、最後の作例は、Cyndi のスナップ・ポートレイトです。
4月に会った時と比較するとずいぶんスリムになりました(http://zunow.blog51.fc2.com/blog-entry-1494.html)。
4月の時点で仕事を解雇されてやせ細ったと記述していますが、ずっと細身になっていますし、大人っぽい雰囲気になっています。

これは、ある意味 Nikkor S・C 5cmF1.5 から F1.4 への変更に似ているかも知れません。
でも、どこが似ているかなんて、わたしには分かりっこありませんが。
では、決勝戦にそなえて、早く寝ることにします
【Nikkor S・C 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor S・C 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/11 Sun

脚是談的

M8/Nikkor S・C 5cmF1.5
いよいよもってネタがないことがご理解いただける状況になりました。
足をネタにすることはアイディアとしては直感的に面白かったのですが、ピントがはっきりしません。
前ピンのようにも、周辺部でうまく結像しないようにも見えて、ここがもう少しシャープでないとテーマもボケてしまいます。

一方で、向かいに座った女性の方は、かたちをうまく残したわたしの好きなボケ方をしています。
ご紹介が遅れてしまいましたが、今日はレンズのことに触れたいと思います。
作例のネタは限界まで来ましたが、文章のネタはひとつ残っていたというわけでした。

今回使用したのは、よく分からないレンズ、ニッコールS・C5cmF1,5です。
オリジナルのライカスクリューマウントで、なかなかに珍しいレンズのようです。
ニッコールS・Cなら5cmF1.4をだいぶ以前から持っているので、わざわざ購入の必要もなさそうなものですが、ウィーンの某ショップのカタログに以前から出てたのが気になっていたところ、急激なユーロ安と夏のボーナス支給が重なって、買ってしまえとオーダーしてしまったものです。

何年か前から5cmF1.5のレンズを集めることをライフワークにしていました。
どうもこのスペックのレンズは個性的な描写をするものが多く、ひとつひとつが思い入れあるな存在です。
元来は、オーバースペックがたたって周辺部に除去しきれなかった非点収差やアウトオブフォーカス部の球面収差は非難すべきものです。

しかし、それに対する中心部の対称的なシャープネスや存在感を際立たせる立体感、女性の肌を魅惑的に見せる柔らかな表現はマイナスを補って余りあります。
全体が平均的に良くて個性が引き出されない、現代レンズよりも評価したくなる理由がそこにあります。

このレンズは、もともとハンザキヤノン用に設計されたレンズのようで、すでに世に出ていたテッサータイプの5cmF3.5を上回るスペックのレンズを目指したようです。
F3.5がテッサーに範をとったように、このレンズではゾナーをコピーしたと言われています。

ゾナータイプのF1.5レンズのボケは概してわたしの好みですが、このレンズもあきらかにその系列にあると言えます。
ゾナーでは、特に戦前タイプなど地味な発色をするものと、オブトンでは逆に少し派手すぎるものがあるように感じていましたが、それらに比べるとニュートラルな色目のようです。

ただ、今回の作例群はいずれも雨中の撮影か室内のもので、これらだけではまだ何とも判断できないことばかりになってしまいます。
せめて、他の方のサイトなどでレンズの特徴を知りたかったのですが、検索すれどなかなか作例写真を見つけることができませんでした。
逆にそれだからこそ、希少と思えたこのレンズの購入に踏み切れたわけでもあるのですが。
【Nikkor S・C 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor S・C 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2010/07/10 Sat

深圳的労働問題

M8/Nikkor S・C 5cmF1.5
いよいよネタが尽きました。
雨宿りに寄った、おなじみコスプレ・カフェの写真にも登場してもらわなくてはならなくなりました。

もう何度か書いていますが、数ヶ月前服務員の大量解雇をおこなったコスプレ・カフェは、あまり魅力的な場所ではなくなりました。
鼻の下をのばして出掛けたことは遠い過去で、あれからほとんど顔を出していません。
それでも近くのスターバックスに行くよりは、おもしろいと言えばおもしろいので、お茶を飲みに行く程度には立ち寄る価値はあるかも知れません。

以前は、写真を撮ってくれとみんながあいさつのように来てくれていました。
それが今は作例のようにこっそり撮るしかないので、少し寂しい感じがします。


解雇ということで思い出しました。
2ヶ月ほど前からでしょうか、中国の外資系企業で働く労働者たちがつぎつぎとストライキを始めて問題になっています。
いちばん報道されているのが、ホンダ系列の工場でのストで、これは日本のニュースでもしばしば報道されたので、ご覧になった方も多いと思います。

彼らはインターネットや携帯電話で情報交換し、どこそこでストをしたところ月給アップしたなどの書き込みがあれば同様の手法を駆使して条件獲得を目指します。
ホンダは、中国では広州本田という法人名で、広州市内に本社を構えますが、下請けの日系企業は深圳にもあるようで、ニュースでも深圳の企業が取り上げられていました。

また、富士康という企業の工場がやはり深圳の郊外にあります。
電子機器のメーカーで、英名のフォックスコンの方が知られているかもしれません。
富士康は中国読みではフースーカンのようになりますが、フォックスコンを漢字表記したということでしょうし、富士という文字をつけることで日本的なイメージを持たせるのにも成功していると思います。

この会社は、労使問題がこじれて、短期間のうちに10人以上の労働者の自殺があったことで話題になりました。
いずれも飛び降りで、以前にも同じ場所での自殺があったことで、呪いではないかとの噂も流れていたようです。
会社が、僧侶を招いてお祓いまでしたことも大きく報じられていました。

マスコミを通じて日本で労働問題が報道されるということは、これらが氷山の一角だということを示していると考えられます。
コスプレカフェの解雇問題も、もう少し後であれば、あるいは労働争議に発展するなど違った展開があったのかも知れません。

あまりに安価に雇用されたり、労働条件が過酷すぎたり、簡単に首切りされたり、この国では労働環境が劣悪に過ぎる話をよく聞きます。
ただ、労働条件が急激によくなり過ぎれば、コストアップで売れなくなったり、企業が中国から撤退したり、ただでさえ元の切り上げが取りざたされる中で、中国人自身の首を絞めることになりかねないでしょう。
まさに両刃の剣です。

もうひとつ思い出しました。
iPhoneガールです。
去年だつたか一昨年だったか、イギリス人が購入したiPhoneの待ち受け画面に工場でテスト撮影されたと思われる中国の女の子の写真が入っていたというニュースがあったのを覚えていらっしゃらないでしょうか。
あれこそ富士康の深圳工場で働いている女の子です。
ニュースを見たとき、深圳まで探しに行こうかどうか悩んだことを思い出したのでした。
【Nikkor S・C 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor S・C 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/09 Fri

巴士的故事

M8/Nikkor S・C 5cmF1.5
ばすていは難なく見つかりました。
田舎のように思っていましたが、幹線道路らしく、バスは次から次へとやって来ました。
その都度メモに目を落とすのですが、肝心のわたしが乗るべきバスはなかなかやってきません。

5分も待てば、さすがに路線番号をそらんじましたが、なんとなく近い番号のバスが来ると、期待感も重なってこれじゃなかったっけとメモを確認し、やっぱり違ったかとがっくり肩を落とします。
これをやってしまうと、その違っていた番号も頭にインプットされてしまい、次にそれが来た時にまた来たかと旨を高まらせ、やがて違いに気付いてがつくりというパターンになります。

ときめきと落胆を繰り返すこと20分、そろそろ不安になり始めたころ、メモ通りのバスはやって来ました。
乗れば乗客はふたりだけで、運転手と車掌、わたしを含めてもわずか5人だけで、マイナー路線ゆえに恐らく1時間に2本程度しか来ないのだろうと察せられました。

車掌が、なかなかきいな女性で、ヒップラインがセクシーでした。
他に客があまりいないことから撮影を試みることにしましたが、不純なきっかけで撮影する時はそれが見透かされそうでカメラを構えるのがはばかられます。
目測でピントを合わせて、ノーファインダーでいってみます。

50/1.5の大口径レンズで縦位置のノーファインダーというのは、かなり無理がありました。
なんとか枠には入り切りましたが、やや傾きましたし、ピントが甘いのも気になります。
露出だけは、ばっちりでした。

乗り換えのバス停が近づいて、美人車掌が声をかけてくれました。
近くなったら教えてねとあらかじめ頼んでおいたからですが、降車時にそのお礼と隠し撮りのお詫びを込めて、頭を下げると手を振って見送ってくれました。
いままで何度も乗った中国のバスで、もっとも友好的な車掌だったと思います。

写真に写っているように、3時前に乗り換えバス停に着き、そこからは高速バスにスムーズに乗りかえられたため、約束した3時半きっかりに深圳に戻ってこれました。
しかもいずれも路線バスなので、トータル費用はわずか12元です。
こうなると行きに利用したのんびりルートが悔やまれます。
大万世居のパンフレットにも、行き方としてこの乗り継ぎを紹介すべきと、また社長に会う機会があったら伝えるつもりです。

それにしても、なんでもない作例写真に、なんでもない文章ばかりで申し訳ありません。
明日、明後日はさらにひどくなると予告しておきます。
【Nikkor S・C 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor S・C 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/08 Thu

羅馬式教堂

M8/Nikkor S・C 5cmF1.5
大万世居の社長がわたしを気遣ってくれて、バスでの帰り方を教えてくれました。
今度は、番号を間違えないようしっかりメモします。
これで抜かりはないはずでしたが、肝心のバス停の位置を聞き忘れていました。
社長にしてみれば、ここまできっとバスで来たのだろうと思っていたのでしょうから、正直にタクシーで来た旨告げるべきでした。

タクシーが通って来た道が大通りでしたので、そちらへ歩き出せばバス停が見えるだろうと歩き始めたのですが、一向に車の通行量は多いのにバスがまったく通りません。
おかしいと思い道行く人に尋ねたら、こっちではなく、あっちだともと来た方向を指さされました。

結局、大万世居の前まで戻って向かいの商店に聞けば、まったく違う路地の方を抜けると別の大通りに出て、そこ
にバス停があると親切に教えてくれるのでした。
20分ロスしてしまいました。
とにかく分からないときは人に聞くべきです。
勘で歩きだすのもいいですが、それは時間のある時に留めなくてはといつも反省させられます。

バス停まで6~7分という距離でしたが、さすが古い建造物の周囲には、同時代と思しき建築がぽつぽつ見られます。
3時半に待ち合わせの約束があって、すでにもう2時を廻っています。
へたすればタクシーを使わなければまずいのではという時間帯でしたが、そういう建築物を目撃するとどうしてもふらふらと近づいてしまいます。
悲しむべき習性です。

作例は、その中のひとつ、T字路を直進しようとすると、その先にロマネスク風のアーチを持った建物が遠くに見えて、思わず近づいていったものです。
こうして全体が見えるとロマネスクはとんでもない誤解と知れますが、もう少し近づいていい角度から撮れば、カタルーニャの11世紀頃の教会だといっても通じるような雰囲気はあります。

いたずらでそんなことでもしようかとさらに近づいたところ、いい顔つきの親父さんが自転車で向かってきたので撮影しました。
おやじさんはともかく、左側の建物と右の「大万香香超級市場」の看板でロマネスク的な香りは微塵もなくなりました。

あ、こんなことをしている時間はなかったんだ…。
【Nikkor S・C 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor S・C 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/07 Wed

対総経理説話

M8/Nikkor S・C 5cmF1.5
お茶をいただいていると、大万世居の社長だという人がやって来ました。
この建物の社長という意味が分かりません。
あいさつをして、話を聞きようやく合点がいきました。

40代後半に見える社長の梁さんは、若いころ香港の布市場で働いていたそうですが、恐らく20年以上前の話でしょうから当時の大陸中国人が香港で働けば地元ではかなりの金額だったはずです。
梁さんは、必死で貯めたお金で商売を始めそこそこの成功します。

さらに金銭的にゆとりができたので、故郷に近いこの大万世居を買い取り、ここを観光の拠点として、客家文化を知らしめる基地として開発することにしました。
そこで、8月にはオープンすべく、急ピッチで改装工事を行っているということのようです。

いただいたパンフレットには、連絡先が「深圳市客家情旅遊発展有限公司」となっていました。
大万世居のために会社を興してしまつたのですね。
だから彼は社長と呼ばれているのです。

確かに古い建築や文化の好きな人には興味深いところですが、深圳のはるか郊外に会社まで設立してそれほどに観光客を呼び込めるものなのでしょうか。
梁さんの目算では、中国ではツーリズムが今後ますます進んでいくので、深圳や香港から観光バスでやってくる団体を見込んでいるのでした。
深圳をめぐるツアーコースに組み込んでもらうよう奔走しているとも言います。

なるほど、中国のあらゆる地方から深圳に観光でやってくる団体は後を絶ちません。
そのほとんどが世界の窓とか歓楽谷といったテーマパークに行きますが、そんな中に深圳のもともとの住人だった客家とその古い文化を紹介する施設を混ぜ合わせるのはよいアイディアかも知れません。
団体ツアーも遊園地みたいなところばかりでは遊びだけかとなりますが、歴史的なものを見ることで少し学習的な要素が生じるでしょうから、ツアーに参加する大義名分が一気に立つことになるでしょう。

成功をお祈りしましたが、梁さんはわたしに対してもぜひオープンの際には来てほしいと誘ってくれます。
わたしは、このあともう1か所、帝田世居というところに行くつもりだったのでそう話したところ、あそこは普段鍵がかかっていて立ち入りできないので、今度来てくれた時にはいっしょに行って鍵を開けてもらえるようにするからと言ってくれます。

また、友人を連れて来てくれれば、客家の祝宴のような料理を食べるコースを検討しているので、ぜひ試して欲しいとも勧めてくれます。
女性同伴なら、客家の伝統的な婚礼体験もさせるつもりだとも。

料金は不要なので、ぜひ来てほしいと言うので、なぜそこまで熱心に誘うのか聞きました。
梁さんは、若い時香港で働いていて、顧客として来る日本人にお世話になった良い思い出があるということを打ち明けてくれました。
わざわざこんなところで会った日本人ですから、ぜひとももてなしたいと思ったそうです。
嬉しい言葉に、再会を約束して、梁さんとケラケラとよく笑っていた少女に別れを告げました。

外に出ると、雨は激しさを増していて、大万世居前の池はもとより、その前の道も川のような流れになっていて、大回りしないと先へ進めないようになってしまっていました。。

【Nikkor S・C 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor S・C 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2010/07/06 Tue

也在改修中

M8/Nikkor S・C 5cmF1.5
改装中でひと気のない鶴湖新居は早めに切り上げることにしました。
つづけて坪山にある大万世居をめざします。
昨夜ネット検索したところでは、この両者はさほど離れていないようでしたので、悪天候で時間がないことを考えてタクシーを利用することにしました。

うすうすとは感じていたものの、だいたいの距離と料金を運転手に聞くと20キロくらいで80元かかると言われて、少しがっくりきました。
隣接する客家の古建築というイメージで紹介しながら、20キロも離れているというのが、まさに中国式距離感覚なのでしょう。

80元の言い値で行くか、メーターを使うか聞かれましたが、いちおうメーターでお願いします。
もしかしたら運転手のはったりで、検索した通りにすぐ近所だったりするかも知れません。
しかし、運転手の言うとおり20キロは離れていたようで、遠回りの疑念のないバイパスをがんがん行って30分かかって到着しました。
料金を見るとぴったり80元となっていて、少しできすぎていますが、これは福建省出身の運転手の誠実さが証明されたかたちになりました。

運転手は、途中、わたしが日本人だと気付き、ワールドカップのことをしきりに話題にしました。
それまでの日本の3試合はすべて見たそうで、調子の上がらなかったカメルーンやオランダとの接戦はともかく、お互いに必死だったデンマーク戦で、強いプレッシャーの中、圧勝したのには感動したと絶賛します。
ほとんどの中国人は同様に思っているんじゃないかと分析していました。

日本人に対するヨイショ部分は割り引いて聞かなければいけませんが、中国で試合をすると反日的な騒動が湧き上がることを思うと、ワールドカップの真剣勝負には、政治的歴史的な反発を超えた感情を見る者に与える何かがあるのかも知れません。
中国東北部や南京でタクシーに乗れば、まったく違った感想や、下手をすると乗車拒否くらい出くわしていた可能性も否定できませんが。

あろうことか、到着した大万世居も改装中でした。
しかし、ここは入場無料で、しかも女性ガイドが付いてくれました。
ここでもすでに開放しているところがあって、熱心に案内してくれるようです。

といっても、案内は、深圳特産一条街と名付けられた作例の通りだけでした。
この通りも現在は客家のお酒を展示販売しているだけで、今後は変化があるかも知れませんが、いまのところ名前負けです。
かわって清代のままの部屋の様子や古い農機具などが展示されていて、これらの説明には力が入っています。

ガイドの女性は、学校を出たばかりだというなかなか知的な雰囲気のある少女です。
ちょっとあか抜けないルックスですが、客家女性の典型のように思えます。
ケラケラとよく笑う性格の良い女の子でした。
見学後は、ちょっと寄っていってと事務所でお茶を出してくれましたし。

風情ある深圳特産一条街の写真を撮ろうとすると、ひょいと身をかわして自分が写りこまないよう配慮してくれるのですが、作例でもご覧の通りで左側にしっかり写り込んでしまっています。
サンダルの写り方を見るとほんとうは写りたかったのかなとも思えますが、それともやはり単に詰めの甘い女の子だというだけのことなのかも知れません。
【Nikkor S・C 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor S・C 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/07/05 Mon

両個中山先生

M8/Nikkor S・C 5cmF1.5
長時間かけてやっと着いた鶴湖新居でしたが、残念なことに改装中でした。
面積でいうと20%ほどは公開されていて、その部分のみ入場可能だがどうすると入り口で聞かれます。
日本からわざわざやって来たので、見ていきますと答えると、日本からだろうとどこからだろうと改装中だから見れんのだと怒られます。
いや、そうじゃなくて、見られるところだけでも見なくては、来たかいがないと言いたいだけなんですが…。

なんだか会話が噛み合わない親父から5元のチケットを買って中に入ります。
入り口には入場料10元となっているので、改装中ということで半額としたのでしょう。
公開部分が2割なので、2元にして欲しいところですが。

雨降りの月曜日、しかも改装中とあっては、他に来場者がいるはずもありません。
洗濯物が干してあるなど、何部屋かは住人がいる様子でしたが、見られる狭い範囲では人の気配は感じられませんでした。
一方で、立ち入りできないように板塀で覆われた中は、工事の音ががんがんと鳴り響いています。

こうなっては、人物を取り入れた撮影は不可能です。
チケットを売ってくれた親父を撮る手もありますが、またがたがた言われそうであきらめます。
どうやら八方ふさがりになりました。

そこで代わりに登場いただいたのが、孫文先生です。
昨日も触れたように、鶴湖新居の建物の一部は客家民族博物館として公開されていて、といってもこの日は改装中で非公開状態でしたが、客家の歴史的人物が解説付きの写真パネルで展示されていました。
その中のいちばんの有名人ということで、孫文を採用したという次第です。

わたしは歴史に疎い人間なので誤解があるかも知れませんが、簡単に孫文のことを書きます。
孫文は清代に現在の東北大学医学部に留学しました。
そこで革命を起こすための学習と資金集めに奔走するのですが、恩師の名字が中山先生だったからか、孫中山を名乗るようになります。
やがて清朝を滅ぼして中華民国を建国した後も、その名前を名乗り続けます。

そのため中国では、孫文ではなく孫中山という名前がが一般的に浸透します。
故郷の町は、1980年代に中山市と改名していますし、作例写真のパネルでも孫中山という名前が確認できるでしょう。

そして話は飛びますが、7、8年前でしょうか。
わたしは、ふと知り合った中国からやってきて日本の中国系企業で働く青年とサッカーを見に行ったことがあります。
FC東京対ジュビロ磐田というカードでしたが、この青年がサッカー好きだと分かったので、いちどJリーグでも見に行こうと誘ったものでした。

故郷の武漢を出て、無錫の大学を卒業し、すぐに東京で働き始めた彼はホームの東京を応援するものかと思っていましたが、どうしたことかジュビロに声援を送っていました。
結局2対1だったか、ジュビロが接戦をものにして、彼はかなり嬉しそうでした。

スタジアムのあるあたりは店とか何もなく駅で解散したのですが、そのあと電車の中でふと気付いたことがありました。
この試合で決勝ゴールを決めたのは中山でしたが、その時の彼の喜びは頂点に達していました。
勝ち越しゴールですから当然だと思いましたが、もしかすると、中山という名前にこそ意味があったのではないか。

故郷を遠く離れてひとり日本に暮らすという、彼と孫中山の共通点。
尊敬する孫文と自分を重ね合わせ、奮い立たせていたのかなという気がしてきました。
そうだとすれば、ゴン中山は、彼に対して最高のプレゼントをしてくれたことになります。

しかし、やはり彼ともその後食事に招いてもらったり、メールのやり取りこそ続きましたが、今では音信不通です。
孫中山とゴン中山との関連に対するわたしの予想も未確認のままとなっています。
【Nikkor S・C 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor S・C 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/04 Sun

自行車的

M8/Nikkor S・C 5cmF1.5
滞在はもう3日目になって、この夜帰国です。
午後まで時間があったので、郊外に出掛けてみることにしました。
さて、どこへ行こう。
前夜、ネットカフェに行って、行き先をリサーチしてみました。

深圳郊外には、囲屋と呼ばれる客家の古い大建築がいくつかあるのが知られています。
いちばん有名なのは、大鵬所城でここは何度か訪れ紹介もしています。
もうひとつ有名なのが、鶴湖新居でここには客家民族博物館も併設されていることから訪れる人も多いようです。
ここも4年前に訪問して、やはりこのブログで紹介していました。

検索してみると、鶴湖新居の比較的近くに少しマイナーな囲屋があと2箇所ほど見つかりました。
とりあえずこの3箇所を廻ることにして、行き方をメモしておきました。
行き方というのは、路線バスの番号なのですが、単純にそれに従ったわたしは大後悔することになります。
深圳市中心から50キロ以上離れているところですので、路線バスでは2時間近くかかってしまったのでした。

しかも、968番が正しいところを見間違えて986番に乗車してしまったため、鶴湖新居の前には着きません。
車掌がここで降りて別のバスに乗り換えて5分ほどだと言います。
そのバスの番号も3桁でしたが、降りるとすぐに忘れてしまいました。
わたしは3桁以上の数字が記憶できない人間のようです。

いつものとおりバイクタクシーで行けばいいかと安易に考えたのですが、バイタクはやって来ません。
そういえば何年か前の1月1日に、深圳市の条例でバイタクが禁止され、前日の31日には街中にあふれていたバイタクが明くる朝ピタリと無くなるという体験をしたのを思い出しました。

待つことしばし、現れたのは別の種類のバイタクでした。
バイクはバイクでも、モーターバイクではなく、人力バイシクルです。
少し考えましたが、ここまで時間を浪費していたので、バスで悩んだり、ましてや歩いていくなど考えたくありません。
鶴湖新居までいくらか聞くと10元だと言います。

バイタクで5元と踏んでいたので、おなじく5元に値切りたかったのですが、自転車タクシーの親父さんは骨と皮ばかりにやせ細ったもう初老とも言えるひょろひょろの人でした。
わたしが自転車をこいで、この人を後ろに乗せて目的地に行くのが、本来の姿のように思えます。
ましてやわたしは最近また体重が増えてデブの領域入りしていますので、とてもじゃないですが、人道的に値切るという行為は許されないことのように思えました。

結局、言い値で乗車して10分ほどで連れてきてもらいました。
予想できたものの、歩くのとそれほど変わらない超低速走行だったのにはがっかりでした。
いまどき中国の都会ではなかなか見られない、スローライフ体験と言えるかも知れません。
それでもバイクのように事故に会う危険がほとんどないということを考えれば良しとしないといけないでしょう。
親父さんに10元渡すと、嬉しそうにすごいスピードで戻っていってしまいました。

さて、鶴湖新居の門前で撮影しようとしていると、別の自転車タクシーがやって来ました。
作例を見ていただければ、ドライバーのみならず、客席にまで雨に濡れることのないよう傘がカスタマイズされたコンフォータプルな設計になっているのがよく分かると思います。

余所者のわたしは素直に10元払いましたが、地元の人なら5元か下手すると3元程度で済むのかも知れません。
日本円で45円というところです。
これだけ遅い乗り物がどれだけ利用されるかということを考え合わせると、さきほどの親父さんの月収が思いやられます。
あるいはバイクタクシーが禁止されたために、法律の網の目を潜り抜けるように生まれた商売なのかも知れませんが、これは法律に寄らずとも自然淘汰される運命かも知れません。
【Nikkor S・C 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor S・C 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(1) | 2010/07/03 Sat

他要快回家

M8/Nikkor S・C 5cmF1.5
さすがに静かな美術館の中で、何枚も写真を撮っている気持ちはありません。
適度なところで切りあげると、雨の小振りになった外に出ることにしました。
美術館のすぐそばに、トイレットペーパーの山を前に何やら激しい口調で論じ合っているカップルがいます。
生活感いっぱいのふたりのように見えますが、美術館を出た直後ですと、このトイレットペーパーを使ったアートでも制作するのではと思えてきます。

ところで、美術館の中は撮影フリーのようでした。
警備員の前で絵画といっしょの記念撮影をしている親子がいましたが、お咎めなしです。
携帯も含めるとあちらこちらで、そんな記念撮影風景があったので、わたしもこれぞというシーンがあればスナップしてみようとは思っていました。
そこで、昨日紹介の面白いシーンに遭遇したという訳です。

しかし、連れだって歩いていた李クンには、そんなわたしの行動は不可解だったようです。
素朴な青年である李クンにとって、カメラとは記念撮影するための道具であって、なんで知らないやつの後ろ姿だとかトイレットペーパーのカップルだとかを撮るのか、まったく理解できないようでした。
ただ、わたしが旅好きで、行く先々で撮影していることは説明してあったので、美術館内外のスナップもそんな1枚なのかなくらいには感じてくれたかも知れません。

そのことと関係あるのか、美術館を出るときに絵はどうだったか聞くと、自分には理解できないときっぱり言い切りました。
いや、わたしだって理解したかしないかで言えば理解なんかできない、あくまで好きか嫌いかということでいいんじゃないかなあ、ともう一度水を向けてみます。
しかし、今度は逆に答えに窮してしまったようで、言葉が出て来ません。

前回、初めて会った時は故郷のことを聞いたり、それなりに話がはずんだように思っていましたが、こうして再会してみると、ほとんどまともに会話が成立していないのに気付きました。
フレンドリーな兄貴だったわたしは、訳の分からない現代美術に時に感心したり、または首をふったりする、実は別次元の男だったのかなどと彼も感じていたのかも知れません。

その後、しばらくして夜に彼女と約束があるという李クンをバス停まで送りました。
バス停までの長い距離を歩いていた時、彼は少し重くなっていた空気の中で、ずっと打ち明けたかったに違いない自分のことを語り出しました。

彼は桂林市から2時間かかる田舎で生まれ育ちましたが、両親が離婚したため父と継母とずっと暮らしてきたそうで、それはときにかなり辛いものだったようです。
すぐにも自立したいと若くして深圳までやってきましたが、都会の空気は田舎より冷たく、両親に少々のお金を送ってしまうとあとは自分が食べていくだけで精一杯です。

このままではいけないと、いつしか将来のことを考え始めていたところ、わたしに出合いました。
そのときも何か資格を取りたいのだがと言っていたのを覚えています。
わたしは、深圳のような経済成長著しい都会で暮らすのであれば、最低限コンピュータを扱えることと、日常会話程度でも英語ができるようなら絶対に役に立つと答えました。
今にして思えば、平凡かつ無責任な返事で、かえって彼を悩ましてしまったのかも知れません。

結局、この間に彼が見出した答えは、まず免許を取って長距離バスの運転手になるということでした。
学歴もないからこんなことくらいしかできないので、そう彼は照れながら言います。
あるいは、わたしが語っていた旅という言葉が、長距離バスには影響しているのかもしれません。
自分の田舎と見知らぬ土地を往復するのは、間違いなく旅であって、そこにはわたしに納得してもらう要素を内包していると言えます。

彼は8月に実家に戻り、まずは普通免許を取るのだということでした。
だから、もし8月以降に中国に来ることがあれば、ぜひ実家に来てほしいと熱心に話します。
住所を紙に書いてわたしてくれました。
果たして訪れる機会があるかどうか…。

中国でも免許をとるには、数万円の費用がかかるはずです。
ぎりぎりの生活ながら、きっと彼は資格取得のための費用をこつこつと貯めていたのでしょう。
もしかすると金を借りるのがわたしに会った目的ではと、ようやく気付きましたが、どうもそうではないようでした。

別れ際、わたしは餞別くらい渡さなければと咄嗟にポケットに手を運びかけましたが、それを察したのか彼はやっと来た目的地に向かうバスまで走って行ってしまいます。
そして、バスに乗った瞬間こちらを振り返り、毅然とした態度で再見と言って、旅立って行ってしまいました。
【Nikkor S・C 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor S・C 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/07/02 Fri
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