対天神祈願

M8/Ross A Doublet 10cmF11
ロス・ダブレットのシリーズ最終回は、湯島天神の参道からです。
この時点でまだ4時前でしたので、予定では春日まで歩いて牛天神、さらに小石川後楽園と2つの梅まつりを廻るつもりでした。
しかし、もう疲れました。

歩いたり立ちっぱなしで見たりもそうですが、なにしろ人混みが苦手です。
浅草の混雑に辟易し、ここ湯島天神の行列にギブアップしたというところです。
湯島からは千代田線で代々木上原まで1本ということもあって、そのまま帰宅の途につきました。
小村井香梅園、向島百花園、浅草隅田公園、湯島天神とめぐって来たのでもうじゅうぶんでしょう。

湯島天神の人波を表現するのに、ロスの望遠レンズの圧縮効果を利用してみました。
なるほど実際よりだいぶ隙間なく人が並んでいるように見えます。
ただ、ボケ量が小さいせいか、手前の何人かの人物の顔の大きさが、不自然に大きかったり小さかったり見えるのは気持ち悪い感じがします。
あともうひとつなにか工夫が必要ということでしょう。

しかし、今回の改造長玉1本持っての散策はなかなかに楽しいものでした。
たまたま購入したレンズに適当にあてがったヘリコイドがぴったりという幸運が導いた、新たな愉しみの発見です。
まだ数本焦点距離不明のブラスレンズが机上に鎮座していますので、次の愉しみも控えています。

また、友人が2インチの Dallmeyer のラピッド・レクチリニアを入手したばかりですし、8×10でオールドレンズを活用する別の友人もいます。
もちろん、この分野の先駆者 ksmt 氏はすでに作例をいくつもアップされています。
暗いとか焦点距離が長いとか、距離計連動をどうクリアするかなど問題はいくつもありますが、この分野の未来は明るいと言えるでしょう。
【M8/Ross A Doublet 10cmF11 F11】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Ross A Doublet 10cmF11 | trackback(1) | comment(4) | 2010/02/28 Sun

両個問題

M8/Ross A Doublet 10cmF11
バーレルレンズといえば大判をやられる方には当たり前に使用するレンズのことですが、35mm判では馴染みが薄いものです。
金ぴかの真鍮の鏡胴の横に筆記体でメーカー名、レンズ名、シリアル番号などが刻印されています。
なぜか焦点距離とかF値などスペックに関する情報は刻まれていないのが普通のようです。

今回使用したレンズも同様で、焦点距離すら正確に分からないので、それを購入して例えばライカマウントに移植するなどというのは、本人にとってリスキーなことですし、傍から見ればかなりの酔狂でしょう。
レンズの歴史について書籍をひもといたり、あるいはWeb上などで作例を見たりなどするにつれ、オールドレンズを我がものにしたいという願望が抑えきれなくなったりします。

このレンズには円盤回転型の絞りが付いているのですが、最大に開いてもレンズ口径の1/3程度にしかなりません。
残りは常時ふさがれた状態で、開放でも常に絞った状態になっています。
このレンズは最初からこういう状態を想定して設計されているのでしょうか。
むしろ、全開にした状態では使い物にならないからという判断がどこからかであって、こういう絞り機構を取り付けたように思えます。

そうなるとどうしても絞り機構を外してみたくなるのですが、残念ながらねじ止めがびくともしない状態でどうにもなりません。
しかし、いつか必ず絞りのない状態で試写してみたいと思います。

そしてもうひとつ思うのが、現代の単焦点100mmレンズをF11に絞って撮影すると、このレンズと同スペックになるわけですが、その撮影結果にどれだけの違いがあるかということです。
そういう撮影をしていないので何とも言えませんが、現代のレンズの方がより先鋭でシャープネス、コントラストが上がるのは間違いないのでしょうが、それが上の作例と比べて優れているのかという疑問を感じます。

色消しにこそなつていますが、アナスティグマット以前のレンズですから、非点収差、球面収差は顕著なはずですが、作例を見てダメなレンズだという印象を持つのは難しいと思います。
それは、レンズの中央だけを使った写真だから当然なのですが、F値こそ暗いもののレンズ口径は36mmほどとかなりの小型レンズで、35mmフォーマット同然のサイズは周辺がどうこうと言う必要すら感じさせません。

結局レンズというのは19世紀のうちに完成していたのかなあと思わせます。
それ以降の進歩はレンズとは違うところで、カメラやフィルムの性能に合わせたり、性能を歌い上げたメーカーの商売のための見せかけのものに過ぎなかったのではと思えてきました。
それにもっとも踊らされたのが他でもないこのわたしで、レンズの深淵を転げ落ちたりまた這いあがろうとしたりを繰り返しているに過ぎないということなのでしょう。
【M8/Ross A Doublet 10cmF11 F11】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Ross A Doublet 10cmF11 | trackback(0) | comment(6) | 2010/02/27 Sat

M8/Ross A Doublet 10cmF11
浅草はほとんどフリーパスのつもりで用事を済ますつもりでしたが、思わぬ混雑に巻き込まれて時間がだいぶ押してしまいました。
それでも迷わず銀座線の浅草駅に出て、そのまま上野広小路まで乗車します。
徒歩10分ほどで着いたのは、ご存知、湯島天神です。
大学受験前の青鼻垂らしていた時代から何十年ぶりに再訪ということになります。

ここの梅まつりも有名どころとあっていろんなイベントが開かれているようです。
わたしが楽しみにしていたのは白梅太鼓の演奏でした。
西洋楽器のティンパニも和太鼓も録音で聴くより、生で聴いた方が何倍も楽しめる楽器です。
打楽器は音を聴くというよりも、振動を全身で浴びるという趣があって、それこそ体感型の音楽と言えます。
最近太ってきたせいか、和太鼓のどーんという振動が腹に直接伝わってきます。
そして、それが小さな津波のように頭のてっぺんからつま先まで伝わっていくのが、なんとも言えない快感になるのです。

3時開演と記されていた白梅太鼓でしたが、到着が3時ぴったりで客席には立錐の余地もありません。
仕方ないかと思ってこれから始まる舞台の方を見ると、驚いたことに演奏者は全員妙齢の女性でした。
8人くらいいるでしょうか、勇ましくも美しい掛け声とともに太鼓の演奏は始まります。

演奏は大迫力です。
目を閉じれば女性が叩いているとは分からないほど力のみなぎった和太鼓独特の低音が響き、目を開ければ彼女たちが舞台を駆けまわって特徴あるリズムを作り出します。

恐らく聴衆は一瞬にして惹き付けられたのではと思います。
ざわざわした感じは消え、跳躍する音を受け止めるかのように全聴衆の動きがひとつになったかのような一体感が生まれました。
痺れるような快感が生まれます。

しばらく体を預けるように太鼓のリズムに神経を研ぎ澄ましました。
しかし、すぐにこれは写真に撮らなければいけない、こういうものを撮るチャンスはなかなかあるものではないと、手にしたM8がわたしを扇動します。

今のままでは人の後頭部ばかりで撮影は不可能です。
わたしは演奏に酔っている聴衆を微妙にかわしながら、少しずつ前方ににじり寄りました。
そして首尾よく小柄なひとたちの後ろくらいにポジショニングすると、演奏同様の火の出るような勢いで写真を撮り始めました。

日が傾きかけた午後のやや暗いステージです。
ISO感度を上げてもシャッタースピードは1/30になります。
ぶれぶれかなあとは思いましたが、もうカメラの設定をどうこうという場面ではありません。
ひたすらシャッターを切るのみです。

熱のようなステージは30分にもおよび、恐らくわたしはその1/3くらいの時間を撮影に費やしたと思います。
100枚近く撮っていました。
そして後でチェックしてみると、予想通り多くのカットがブレまくっています。

しかし仔細に見ると案外手ブレは少なく、多くが被写体ブレです。
それらも雰囲気を伝える写真としてはなかなかのお気に入りになりましたが、写された方はあまりいい感じがしないかも知れません。
そこでいちばんはっきりと写っていたものをここでは採用することにします。
唯一わたしだけにあの時の演奏を思い出させてくれる1枚です。
【M8/Ross A Doublet 10cmF11 F11】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Ross A Doublet 10cmF11 | trackback(0) | comment(3) | 2010/02/26 Fri

野点 Cantabile e Vivace

M8/Ross A Doublet 10cmF11
大道芸を見終わるや競歩のような勢いで東向島の駅に向かいました。
東武線の鈍行に乗ると終点が浅草です。
実はこのルートも1.5キロ程度しかなく、ぜひ歩きたい距離でしたが時間の関係で鉄道になったのが残念です。
途中の橋で相撲をとっていた犬に再会するチャンスもあったのですが。

浅草に来たのは、もちろん梅まつりがあったということがありますが、もうひとつここの時計屋さんに用事がありました。
以前ここで修理してもらったのですが、その時計は翌日また同じ症状で故障してしまい、再修理を依頼しなければいけなかったのです。

時計屋さんは、浅草の観光スポットの真ん中にあります。
たいした距離ではないのですが、ものすごい人出で、ひたすら流れに沿ってゆっくり進んでいくしかありませんでした。
朝のラッシュ時間帯に新宿駅のホームに降り立った状況で、なかなか改札口まで辿りつけないあのもどかしさです。

なんであんなに混んでいたのかよく分かりませんが、ついでに周辺で撮影という目論見は崩れ去りました。
浅草に行くのが億劫というよりは、怖くて行きたくないくらいの気持ちになりました。
でも、時計が直ったら取りに行かないといけない…。

浅草の梅まつりは、浅草寺辺りから少し離れた浅草隅田公園で開かれていたので、むしろ百花園よりも余裕があるくらいでした。
ここでも邦楽演奏があったのですが、時間が合わせられず聴くことはかないません。
かわりに物産展があって、ちらりと見かけたタラの芽を1パック購入して帰りました。

作例は、野点の一場面ですが、全員が同時に抹茶を口にするところが面白く咄嗟に撮影してみました。
逆光できらきらした梅にピントを合わせ、液晶で確認した限りではうまくいったように見えましたが、なんだかどこにピントが来ているのかも分からない、冴えない絵になってしまいました。

前述のとおり、ほとんどカメラもとりだしていないので、浅草ではこの1枚で勘弁していただきたくお願いいたします。
【M8/Ross A Doublet 10cmF11 F11】
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Ross A Doublet 10cmF11 | trackback(0) | comment(2) | 2010/02/25 Thu

大道芸

M8/Ross A Doublet 10cmF11
百花園でもしっかり梅まつりイベントがありました。
江戸大道芸と紹介されていましたので、これは江戸から続く伝統芸なのでしょう。
なかなか見る機会もないでしょうから、ここはじっくり見学してみましょう。

開演少し前にベンチに腰掛けて楽しみに待ちました。
ど真ん中でひとり見るのは気がひけますので、少しはじの方に寄ったつもりでしたが、位置関係を勘違いしていたようで、見事なまでに後ろ向きになってしまいます。

普段の心がけがわるいからでしょう。
むまあいいです、なかなか味わえない後ろからの芸を楽しむことにしましょう。

大道芸というのは、芸そのものもそうですが、その場に居合わせる一体感の空気を楽しむもののようです。
口上がうまく、観衆をうまく乗せて一体感を作りだした即席ステージは、その時点で成功したようなものでした。
観衆の年齢層を見れば分かるように、かつて見た大道芸をなつかしむという空気もあったと思われました。
森山ならぬ、盛上大道でした。

先日、レンズのことを書きましたが、肝心のことを忘れていました。
このレンズは、中将姫光学研究所によるレンズマウント改造第一号だったのです。
その改造の行程を披露することにしましょう。

焦点距離がほぼ100mmと判定されたので、次に必要なのはヘリコイドのあつらえです。
100mmのライカマウントといえば、キヤノンの名玉100mmF3.5があります。
しかもこのレンズ、くもりやすいという宿命を背負っていて、市場ではくもり玉が格安でごろごろしています。
さっそく数千円のジャンク品を買ってきました。
さて、どうやってレンズをくっつけるか。

鏡胴をさわっていると意外なことに気付きました。
レンズヘッド部分が外れるのですね。
これだけでも楽になるのですが、さらに幸運が続きます。

少し鏡胴が短いので、ライツ純正のエクステンションチューブを持ち出して試しに付けるとなぜかレンズのねじ径とぴったりで、鏡胴側はねじには合わないもののほとんど隙間なしにぴったり入りこみました。
そして、その状態でM8で試写すると奇跡的に無限遠が出ています。
焦点距離が合っているなら最短距離も合うはずですが、果たして最短でもピントが来ました。

かくしてマウント移植完了です。
使用工具は、鏡胴とエクステンションチューブをつなげる Shurtape というテープだけでした。
短時間にして会心のできと自画自賛でしたが、十分なチェックを怠りました。
やはり、ピントはかなり怪しいようです。
【M8/Ross A Doublet 10cmF11 F11】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Ross A Doublet 10cmF11 | trackback(0) | comment(1) | 2010/02/24 Wed

梅花様的和服

M8/Ross A Doublet 10cmF11
香梅園を後にして向かったのは、向島百花園です。
直線距離で2キロありませんので通常なら歩くところですが、この日は時間が押していました。
香梅園から目と鼻の先の小村井駅まで歩いて、東武亀戸線という都心のローカル線に乗ってひと駅で終点の曳舟駅に出ます。

東武伊勢崎線に乗り換えて東向島駅が最寄ですが、ここは曳舟駅から歩いてしまうことにします。
途中コンビニで昼食のパンを調達しても徒歩10分足らずで百花園に到着しました。
道に迷うことなく、電車に乗ったり歩いたりの判断をしたりできたのは地図を持っていたからで、今回は新書本サイズの一万分の一の地図が大活躍してくれました。

入園料150円を支払い中に入るとびっくりです。
そこそこの広さのある百花園ですが、すごい人で賑わっています。
みんな梅を愛でにやってきたのでしょぅか、ざっと100人はいそうです。
百五十円、百人園、いや百花園、なのでした。

昼もだいぶ廻っていたので空腹です。
あまり人目につかない奥の方のペンチまで行って、さっそくパンを頬ばりました。
ちょうど陽のあたるベンチでぽかぽか暖かく、目の前には植物と池が庭園を形作っていて、パンとお茶のさもしい食事がずいぶんと贅沢な味に格上げされます。
野外の食事は、なんとも好いものです。

そういえば、前週お伝えしていたスカイツリーですが、この辺りからもよく見えました。
花に囲まれ、池越し、逆光の三拍子揃った好条件下ですが、100mmレンズではすべてを同時に捉えきれず、この中途半端な写真は残念ながらお蔵入りとなりました。

園内には東屋風の建物があります。
花を歌ったりする短歌の会などに使われるのではと思いましたが、中で食事しているのに驚きました。
予約すれば、ここでは食事がとれるようです。
入園者が多くてじろじろ見られたり、ましてや写真を撮られたりするので少し落ち着かないかも知れませんが、都会にあってこんな花に囲まれた中で食事できるなんて、なかなか優雅に思えます。
わたしのパンはやはりさもしかったですか。

さて、作例ですが、その食事の合間を失礼させていただいたものです。
光の感じがすばらしく、窓ガラスに映った梅が黒い服を絣の着物の柄のように見せて、いい雰囲気を出してくれました。
目の所が隠れているのは賛否ありそうですが、ぎりぎりの露出でなにか楽しげな雑談でもしているような表情に見えるのも気に入っています。

望遠のため、垂直線が真っ直ぐ出て、画面的にも安定しています。
個人的には、今回の梅まつりシリーズでのいちばんのお気に入りになりました。
【M8/Ross A Doublet 10cmF11 F11】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Ross A Doublet 10cmF11 | trackback(0) | comment(3) | 2010/02/23 Tue

休息一下

M8/Ross A Doublet 10cmF11
もう1枚だけ香梅園からの写真を見ていただいてから、次の梅まつりに移動することにしましょう。

何かこのあとの催しに参加予定なのか、美少女ふたり組が振りそで姿で時間をつぶしているのが見えました。
次期ミスすみだ候補なのかも知れません。
こういうお祭りの時って、大人はちょっと難しいイベントにくぎ付けになったり、仕事に忙しかったりと何だか相手にしてくけなくなったりします。
ちょっと所在無げにふたりでうろうろしたりしています。

そのうち疲れてしまったのか、足が履物に合わなかったのか座り込んでしまいました。
あーあ、せつかくの着物でそんなところ座ったら、台無しになっちゃうよ。
などと思いつつ、こちらも段差に座って、文字通り腰を据えて撮影してみます。
少し離れちゃったかと感じるくらいの位置からが、100mmくらいのレンズではちょうどしっくり来ます。
この辺の距離感は最初とまどいますが、1日撮っていれば感覚も掴めてくるでしょう。


遅くなりましたが、今回使用したレンズを紹介することにします。
英国ロス社の"A Doublet"と書かれた真鍮製のレンズをライカマウント化したものです。
シリアル番号から1872年前後に製造されたことが分かります。
明治4年です。

スペック不明ですが、F値はM8に他のレンズを少しずつ絞りながら同じシャッタースピードが得られたところからF11とします。
焦点距離の方が少し苦労しました。
レンズの販売者の説明では75mmくらいということだったので、このあたりで逡巡してだいぶ遠回りしてしまったのです。

あきらかにもっと長いことがピントの合ってないヘクトール135mmの鏡胴にテープで付けた状態から分かりました。
蛍光灯にあててあらためてバックフォーカスを確認し、それに近い鏡胴に付け替えて比較すると100mmレンズと画角が一致します。
厳密ではありませんが、100mmF11レンズと仮定することにしました。

しかし、昨日、今日とどうもピントがしっくり来ていないようです。
初日のふたりはどうにかなっていたので、近距離と無限はOKで中間距離がダメということでしょうか。
少なくとも、今のところは改造は完璧とは程遠いようです。
【M8/Ross A Doublet 10cmF11 F11】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Ross A Doublet 10cmF11 | trackback(0) | comment(1) | 2010/02/22 Mon

野点 Cantabile

M8/Ross A Doublet 10cmF11
小村井梅香園は、東武亀戸線の小村井駅から徒歩3分ほど、香取神社の一角にあります。
梅自体は、けっして多くはなく、名前から見ると小じんまりした印象を持ちました。

一方、神社もけっして大きくはないのですが、小さいながらも立派な神楽があって、尺八と箏の演奏を聴くことができました。
和楽器を生で聴く機会はなかなかないので、1杯100円で売られていた甘酒を手に、椅子にかけてじっくり演奏に耳を傾けます。

どちらも音量が出る楽器ではないので、できれば室内で聴きたいところですし、風で譜面台が乱れるなど演奏者にも気の毒なシーンがありました。
しかし、耳を澄ますと枯れた音のイメージだった尺八は、意外にも清涼な音が心地よく、所期の目的だったストレスの解消にもつながります。

写真では登場しませんが、ここでの梅まつりのもうひとつの企画が野点です。
野点は、ご存知の方はよく知っていると思いますが、野外で催す茶会のことで、のだてと読みます。
これは茶道の先生が野外でお茶を立てているシーンがきれいで、ここに採用したかったのですが、今回使用した100mmレンズでは無駄にアップになってしまって、結局採用見送りになりました。
はなやかな振袖も美しいですが、紬のような織物の着物を上品に着こなしている姿はより美しいと感じますので、紹介できなかったのは残念です。

紹介といえば、たぶんローカル局だと思うのですが、梅まつり全体をずっとテレビ撮影していましたので、これは近くお茶の間に紹介されると思います。
小さな小さな梅まつりですが、アイディアと地元の人の気持ちがこもっていましたので、ぜひぜひ機会があれば見てもらいたいものです。
【M8/Ross A Doublet 10cmF11 F11】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Ross A Doublet 10cmF11 | trackback(0) | comment(6) | 2010/02/21 Sun

看梅与感美

M8/Ross A Doublet 10cmF11
急遽、土曜日がヒマになってしまいました。
前日の予報では、好天気のようです。
新しいレンズを持って散策するチャンスですが、どこへ行ったら良いでしょう。
アイディアもないので、"2月20日 東京 イベント"と検索すると、都内のあちこちで梅まつりをやっていることが分かりました。
よし、それでは1日で梅まつりをいくつ回れるかに挑戦してみることにしましょう。


壮大な企画のわりには、朝9時に自宅を出発と呑気なスタートです。
というのも、梅まつり見学と言っても梅そのものに関心があるわけではありません。
あまり早くに出掛けても何かをやっているというわけではないので、関連した催しの時間と移動時間を調整して効率よく廻らないといけません。
催しを撮影して、合間に梅を鑑賞し、あまりに溜まってしまったストレスを発散させようという作戦です。

新宿を経由して、亀戸駅に11時に到着しました。
亀戸天神を通り抜けると梅が満開でかなりの人出でしたが、ここは梅まつりはやっていないので軽くスルーして近くの小村井香梅園を訪れました。

11時半から撮影会があるとの情報があったので、その時間に合わせたというわけです。
なんの撮影会とは書いてありませんでしたが、梅まつりだからといって梅の撮影会ではないでしょう。
梅だったらいつでも撮影できるのですから、時間指定するとは思えません。
着いてみるとやはり撮影の対象は、すみだ親善大使のお嬢さんでした。

個人的に、今日からリフレッシュの気持ちでしたので、新鮮なイメージの写真でスタートしたかったのです。
大使のおふたりは、それにぴったりのもぎたてフルーツのようで、出だしから幸先よいことこの上ありません。
【M8/Ross A Doublet 10cmF11 F11】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Ross A Doublet 10cmF11 | trackback(0) | comment(2) | 2010/02/20 Sat

歪斜的虚像

M8/Kinetal 37.5mmF1.8
押上駅からスカイツリーを眺めつつ歩いた散策会は、浅草にて終了しました。
隅田公園まで歩いて来て、見納めのスカイツリーはビルに映し出されたユニークな姿で、わたしはこれがいちばん気に入りました。
ちょっとガウディ風というところです。

キネタルでは周辺光量が落ちますが、というよりもケラレているようになってしまいます。
しかし、それを黙らせるほどの開放での解像力とシャープネスは圧倒的です。
かなり強い光源があってもゴースト、フレアの発生は認められず、表現が揺らぐことがありません。
F1.8開放の描写としては、抜きんでた存在です。

前日の犬のところで粘り過ぎたため、浅草では先に着いた人と後からの人がばらけて、流れ解散のようになってしまいました。
お世話になったみなさんにあいさつできないのが残念でしたが、他の方はそれほど気にしている風でもありません。
かたちばかりのあいさつをする必要はないし、好き好きに撮影しているのだから先に終了した人から帰ってもいい、そんな自由さ、あまり干渉したりしない的なところが好いようです。

個性的な人たちが集まる会では、自己主張が強過ぎたり、必要以上に他人に干渉してはスムーズなお付き合いがしにくくなります。
人付き合いのコツというものがあるというのをよくご存知です。

もちろん、より深い付き合い方をして親交を深めるのも良いでしょうし、それをも含めた自由があります。
しかし、自由を履き違えて馴れ馴れしい態度を見せたり、他人を中傷するようなことがあれば、関係は破壊されるのは明白です。
そして、そういうことは往々にして起こるものなのだということも、身を通して感じたりもしました。
【M8/Kinetal 37.5mmF1.8 F1.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Cooke Kinetal 37.5mmF1.8 | trackback(0) | comment(1) | 2010/02/19 Fri

技術点很低

M8/Serenar 5cmF1.9
話に夢中になったり、なかなか撮るものが見つけられなかったり、あげくにはレンズトラブルと、撮影を目的とした散策会としては不本意な内容です。
とはいえ、しゃかりきになってカメラを構えている必要もなく、はじめて通るルートを新鮮なメンバーと歩いているだけで十分に散策を満喫しています。

すでにゴールの浅草はすぐ目の前、もう散策は終わろうというところで、絶好の撮影チャンスがやってきました。
これは、むかし釣りをしていたころ、今日は潮が悪いのかぜんぜん魚の反応がない、もう納竿するかという時にがつーんとと大物のアタリが来たというのに似ているでしょうか。

と言っても、ご覧のとおりワンちゃんが2匹で戯れているに過ぎません。
しかし、このワンちゃんたちがなかなかのコンビネーションを延々と見せてくれたのです。

作例では、ダンスをしているように見えますが、別のカットでは大相撲、また別のではハグしているところ。
わたしたち以外にも適度にギャラリーが集まり、ポーズが変わるたびに歓声が湧き上がります。
小さく駆けて移動しながら次々とポーズを決めていくさまは、今にして思えばアイススケートに似ているような気がします。
さしづめ、ペアのアイスダンスというところでしょうか。

ここでも、細かくすばしっこい動きにピント合わせが難儀しました。
どちらか一方の鼻先目指して二重像を合致させようとしますが動きについていけませんし、先の動きが読めないので置きピンは不発です。
最後の手は、闇雲シャッターで、結果40枚ほど撮って3枚だけどうにか許容範囲のものが生まれました。

ということは、フィルムでは1本撮って3枚だけということですから、歩留まりが悪過ぎます。
デジタルならではと受け入れるか、こんなことでは上達しないと嘆くか、微妙な判定をくだす必要を感じました。
【M8/Serenar 5cmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Canon Serenar 5cmF1.9 | trackback(0) | comment(6) | 2010/02/18 Thu

祈願

M8/Serenar 5cmF1.9
散策は、スカイツリーを中心に角度を変えながら進んでいくというものです。
ルートは、適当というか、勘にしたがって進んでいっただけでした。
しかし、さすが散歩の達人たち、鋭い嗅覚で面白い家屋や不思議な路地などを次々と発見していきます。

作例は、飛木神社というローカルの神社です。
狭い住宅地に民家と肩を寄せ合うように建ちながらも、地元の人の信仰を受けているのがよく分かります。
空襲の出火の跡も痛々しい神木に手を触れ祈る人の姿がありました。
傍らで見ていても、木からエネルギーが流れている様子が感じられます。

使用したレンズについて。
キヤノンのレンジファインダーでも、セレナー名のついた初期のレンズ5cmF1.9です。
1948年に登場していますが、4年後には名玉として名高い5cmF1.8にとってかわっています。
性能的には凡庸なF1.9は、高性能のF1.8のつなぎだったという評価もあるようです。

設計した黒木正名氏は、正統テッサーの、5cmF3.5や3.5cmF3.5を始め、ダブルガウスの8.5cmF2、トリプレットの10cmF4、ゾナーの5cmF1.5と非常にオーソドックスな構成のレンズを世に出しています。
その後伊藤宏氏が、次々と改良タイプのレンズを出していったのとは対照的です。

この辺の事情は分かりませんが、あるいは黒木氏はベテランのレンズ設計者として、外国からもたらされるレンズを研究して国産化したのに対し、戦後に光学を学んだ若い伊藤氏が、オリジナリティと性能を追求していったようにとることができます。

伊藤氏が後日語ったところでは、やはりF1.8設計に際して徹底的にこのF1.9から解析研究したそうです。
両者はオーソドックスな4群6枚のダブルガウスタイプに見えますが、F1.9において第6面の曲率半径が小さかったためにコマ収差が取り除ききれなかったところを改善しました。

なるほど、F1.9では周辺部でコマフレアは顕著なようです。
しかし、開放では描写に差があるものの、F4あたりでは大きな違いがあるように思えませんので、この設計変更の差は、開放描写を好むわたしのような者に影響することだったように思えます。

さて、もう一度作例に戻りますと、どうもピントが怪しいようです。
実はこのレンズは沈胴なのですが、気付かないうちに少し沈した状態で撮影されていたようです。
しかもその後徐々に沈されていったらしく、ピントは後のコマほどずれていくのが笑えました、というか泣きましたというべきか。
沈胴レンズのミスの見本ですが、F1.8の方でしたらこんなことは起こり得ません。
【M8/Serenar 5cmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Canon Serenar 5cmF1.9 | trackback(0) | comment(4) | 2010/02/17 Wed

用薬草做菜

M8/Serenar 5cmF1.9
散策かスタートしました。
今回も10名ほどのメンバーが集まって、思い思いに撮影したり話に花を咲かせたりで歩を進めます。
コースはなかなか変化に富んでいて楽しいのですが、人物を取り込んだスナップを撮るにはなかなか厳しく、わたしはどちらかと言うとお話組に入ります。

写真組の中心は、あらゆる位置から顔を覗かせるスカイツリーをいろいろなものを前景に撮っている方が多いようです。
今日のニュースで303メートルに達したと紹介されていましたが、この時点でもスカイツリーは280メートルだったかと思います。
どこからでも見えるわけです。

わたしの話相手になっていただいたのはYさんです。
やさしいYさんは、わたしの面倒を見てくださるのはもちろんですが、庭の植物の手入れをしている女性に声をかけては、やさしく談笑していました。
それを見てメンバーきっての名手N氏も話に加わっていきます。
この日の天気のように、あたたかい散策が続きました。

ちょっと顔が分かってしまうでしょうか。
愛用のバッグや帽子でも特定できてしまいそうですが、どうかこの写真採用をお許しください。
他にあまりネタが無いもので…。

帽子と言えば、3人とも黒い帽子をかぶってますね。
メンバーの皆さんは、ファッションにはかなり気を配られているようです。
さすがに腰パンなんて人はいません。

耳をかたむけると、植え木がハーブだったためか、ハーブを使ったオープンで焼くカモ料理に話が及んでいました。
Yさんは、料理の名人で食通でもあるので、食べ物の話では俄然盛り上がる様子です。

とこんな具合に散策は超スローだったりするのですが、わたしはこのゆるさがかなり心地よく感じました。
【M8/Serenar 5cmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Canon Serenar 5cmF1.9 | trackback(0) | comment(0) | 2010/02/16 Tue

両個天空

M8/Kinetal 37.5mmF1.8
昨日までの中国日記と順番が前後しますが、1月の日曜日、田中氏らが主催する散策会に参加させていただいたものをアップいたします。
この散策会へは今回で3回目ですが、そのすべてで快晴に恵まれています。
日ごろの行いの好い方の集まりと言えそうです、わたしも含めて。

集合は押上駅で、写真のように建設真っただ中のスカイツリーをランドマークに、ぐるつと廻って浅草まで出る半日コースをたどります。
初めて出掛けるところですが、このような会に参加するなどでなければなかなか行く機会もないので、新鮮な目で楽しんでこれました。

もともと日本ローライクラブのメンバーの方々が中心になっているという事情もあって、わたしも中判で参加できないか検討しましたが、今回は機材が間に合わずいつもどおりのM8です。
ローライ・フレックスはさすがに厳しいですが、ちょっと変わった中判カメラ物色中ですので、いずれ笑いを誘う時がやってくるでしょう。

散策が始まるや撮った作例は、スカイライナー with スカイツリーとでも名付けましょうか。
凡庸な写真ですが、参加者でこれが撮れたのはわたしだけという自負ある1枚です。
というのは、このアングルは壁に囲まれていて、懸命に手を伸ばして撮ったからです。

スカイツリーのように背の高いものには親近感があります。
しかし、高所恐怖症なので完成しても登りたいとは思いません。
【M8/Kinetal 37.5mmF1.8 F1.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Cooke Kinetal 37.5mmF1.8 | trackback(0) | comment(0) | 2010/02/15 Mon

太模糊了

M8/Thambar 9cmF2.2
ちょうど1年ほど前、わたしはある秘密の方から希少なレンズをお借りしていたことがありました。
レンズはタンバール。
わずか3000本に満たない製造数のソフトフォーカスレンズは、触るのもおっかなびっくりのお宝的存在です。

しっかり使ってくださいとおっしゃっていただき、自分で買えるレンズではないだろうから後悔なきようにと、かなり図々しく深大寺から鎌倉、横浜と持ち出させていただきました。
そして十分に堪能できたとの満足を得て、感謝とともにお返ししたのでした。

すっかりタンバールのことは忘れていたはずだったのですが、先日、ふとしたきっかけで購入してしまいました。
かなりの超格安だったからなのですが、あの時お借りしていていてレンズの印象が良かったということが影響していることは間違いなさそうです。
90mmのソフトフォーカスレンズはポートレイト撮影専用じゃんなどと見下していたのが、明るいこととピントがあまくてもごまかせるということがあって、案外とスナップでがんがんいけることが分かりました。
そしてその結果は、すこぶる面白いものだったからです。

格安でコンディションのいまひとつなものでしたので、フィルターもフードも付いていません。
ですが、それらが無くてもタンバールならではの写真が撮れることは承知していましたので、とりあえずはサードパーティのフィルターなども不要です。
まずはテストと言うことで、お借りしたものでは絶対できない、中国への持参を試みることにしたわけです。

しかし、すっかり忘れていました。
こんなに重いレンズがバッグの中に入っていて気付かないはずはないのですが、まあ忘れてしまっていて帰国する直前にかばんを開けて、あいやー、タンバール使うの忘れてた、お願い撮らせてといつものカフェの女の子を撮らせてもらいました。

後ろのマンガ本を見るとどうも後ピンになっているような気がしますが、泣いても笑ってもこれだけですので、そのまま出すしかありません。
ソフトと前ボケが合わさって可愛らしく写っていると思ったのですが、模糊とし過ぎていると本人たちには不評でした。

あれ、冒頭にポートレイトと見下してたがスナップに活用できると買ったはずなのに、結局ポートレイト1枚だけですか。
安かったといっても壱萬元しています。
もっとがんがん活用しないといけません。
【M8/Thambar90mmF2.2 F2.2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Thambar 9cmF2.2 | trackback(0) | comment(10) | 2010/02/14 Sun

春節和情人節

M8/Furion 50mmF1.5
もうあと1時間ほどで新年です。
というのは中国の話でして、旧暦1月1日の春節が今年は2月14日になります。
毎年変わる春節ですが、今年はバレンタインデイの情人節とも重なっていい日取りなんだろうと思っていましたが、そうとはいえない人たちもいるようです。

中国ではほとんどの人が春節を家族とともに過ごします。
春節休暇が1週間ほどあって、中国中で大移動するのは日本のニュースなどでも報道されてもうお馴染みでしょう。
一方の情人節は休暇ではありませんが、恋人同志や若い夫婦などふたりだけで過ごすとても大切な日です。
男性から女性にバラやプレゼントしますが、日本のようなホワイトデイはないようです。

今年は、そのふたつの大切な日が一度に来るというわけですが、カップルでもお互い出身地が同じであれば問題ありません。
実家がお互い近くであれば、年明けから午前中いっぱい家族と過ごして、遅くとも夜に会えれば家族にも恋人にも顔が立つというものです。

困ってしまうのが、双方の田舎が別々の場合です。
両親をはじめとした家族をとるか、恋人をとるか。
日本であれば、圧倒的に後者だと思うのですが、中国は儒教的家族主義の影響なのか、前者でないと変人扱いです。
いや、でした、というべきか、現代の若者はやはり恋人をとるケースが増えているようなのです。
仕事だから帰れないとか、なんとか偽るのでしょう。


これは春節とか情人節とかは関係ないですが、もうひとつの問題について。
中国の休日は、春節のように旧暦によるものがありますが、5月1日の労働節や10月1日の国慶節のように新暦にもとづくものもあります。
そして、それは驚くべきことに誕生日も同様で、都市部に住んでいる中国人はグローバルスタンダードの新暦による誕生日ですが、農村部出身の、つまりは中国人の大多数は農歴の誕生日が採用されています。

ということは、毎年誕生日が違う日にやって来るということを意味します。
さらに言えば、農村部の人の身分証の誕生日が1941年1月1日だったとすると、それはその年の春節に生まれたことになるわけですが、その年のカレンダーでは2月○○日かも知れないのですが、それは無視されるということです。
本人だって、たいがいは自分の誕生日が今年は新暦のいつかなんて頭に入っているわけではないので、他人が把握するのはたいへんなことです。

もし都市部出身ではない中国人と交際されるようなことがあれば、どうかご注意ください。
中国で売られているカレンダーには旧暦の日付が必ず入っているので、しっかりとチェックすることが必要です。
ただ、先に書いたようにバレンタインデイは旧暦ではなく新暦ですので、間違いないように。
おふたりの幸運をお祈りいたします。


作例写真は、深圳滞在中見かけた春節の飾り付けの準備の様子です。
1月29日ですからもう2週間前の段階に入っていることを考えると、少し遅めな準備に感じます。
前に書いたように小学校は休みに入ってましたし、春節休暇の交通機関の混雑を嫌って、早めに帰省している人も出始めているからです。
年末の雰囲気というのは、日本の師走によく似ているようにも感じましたが。
【M8/Frilon 50mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Futura Frilon 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/02/13 Sat

薯片的失敗

M8/Furion 50mmF1.5
深圳のスーパーで、おもしろいポテトチップを発見しました。
上海の上好佳有限公司の「Oishi 上好佳 Potato CHIPS 薯片 魚香茄子味」とパッケージングです。
Oishi は、おいしい、つまり日本との関連を表現しているのだと思いますが、恐らくこの会社は日本とは縁もゆかりもなく日本のお菓子メーカーを研究しているという意味と捉えた方が良さそうです。
しかし、Oishi と書いても中国人には意味が分からないはずで、アピール度が低すぎです。
薯片は、ポテトチップの意味でしょうが、読んでははあと気付けるのが日本人の特権、漢字クイズ初級編くらいに出題できそうです。

わたしがあえておもしろいととりあげた理由は、次のOishi 魚香茄子味の文字にこそ意味があります。
中華料理に通じている方ならよくご存知かも知れませんが、魚香茄子は非常にポピュラーな中国料理で、実はわたしの大好物、中国へ行くと必ず食べるひと品なのです。
茄子や他の野菜をすっぱ辛く炒めて魚のような風味に仕立てたという料理で、かつて魚がなかなか食べられなかった時代の代用品だったようですが、いま食べてもこの料理から魚を連想するのは難しいでしょう。

分かったおまえは茄子が好きなんだなと言われれば首を横に振ります。
天ぷらとか焼きナスなど特にシンプルな日本料理での茄子は嫌いでまったく食べません。
以前、深川の工房主がわたしは茄子が嫌いでと言っていたのを聞いた時、わたしは大いに同意したかったのですが、反面でこの魚香茄子が大好きだったため、そしらぬ顔をしていたのを彼は知りますまい。

そしてこの魚香茄子は、肉類を使わないポピュラー料理のため、中国のレストランではいちばん安いのがまたよいのです。
快餐庁というそのまま訳すとファストフード、これだと誤解されるので大衆食堂くらいに考えればよいレストランですと、魚香茄子が120円、揚州炒飯120円、大瓶青島ビール80円が、わたしのランチの基本だったりします。
炒飯ではなく、白飯の魚香茄子飯だけ頼めば140円で、済んでしまいます。
こんなに美味しいのに、日本であまり知られていないのが不思議な料理です。

話がそれてしまいましたが、いまPCに向かって文字を入力しながら、まさにその魚香茄子味の薯片を食べているところです。
美味しければ、ぜひぜひ宣伝して、日本の中華食材店にでも置いてもらうなり、向こうに行くたびに大量仕入れするなりするつもりでした。
しかし残念、パッケージと違う製品が入っていたのではと考えたくなる、似ても似つかぬ味にただ絶句するしか手だてはありませんでした。
ふと、気付いたのですが、このポテトチップ、普通のレストランで食べる魚香茄子より高価なんですね。

こういう失敗を避けたければ、現地で食べるのに限ります。
比較的最近の流行では土家族焼餅とか重慶酸辣粉などは確かに美味しいです。
韓国鉄板焼、日本章魚丸(たこ焼きのことです)などは食べたことがありませんが、それなりに人気があるようです。

しかし、定番といえば何といっても串焼です。
孜然というクミンのパウダーをかけた羊や牛の肉は特に人気があります。
これは、遠くからでも香りで分かりますので、通りがかった人は吸い寄せられるように串焼屋さんの前に並ぶことになります。
香りといえば、臭豆腐も人気商品の筆頭だったはずですが、深圳ではあまり見かけなくなりました。
何故でしょ。

ウェストバッグにちょっとヤンキーっぽくてきれいな感じのお姉さんが串を焼くというのは、なにか日本の焼鳥屋台と状況が瓜二つのような気がすると言ったら偏見になりますでしょうか。
【M8/Frilon 50mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Futura Frilon 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/02/12 Fri

相機与鏡頭維修

M8/Furion 50mmF1.5
深圳に戻ったあくる日、すっかりなじみになった修理店を訪れました。
メンテナンスを依頼したレンズを取りに行ったのです。
2本のクリーニングとヘリコイドが固くなったレンズのグリスアップは3日間のうちに終えられていました。
うち1本は、小さなスポット状のシミがあって、これはどうしても取れなかったなどと説明してくれます。
このスポットは日本の修理店に持ち込めば直せるかも知れず、あるいは直らないかも知れませんが、3本の修理はわたしには十分に満足いくもので、費用は200元でした。

たまたまこの日はパルナック型のライカの修理も入っていたようです。
香港人が依頼したのかと聞けば、これは中国の若い愛好家のものだそうと言います。
深圳でもM型を中心にライカ・ユーザーはけっこういて、経済発展につれてこんな趣味性の高いカメラはさらに人気を得ていくだろうとのことでした。

趣味性が高いと言えば、こんなのが最近多くてと見せてくれたのが、マイクロフォーサーズ機にシネレンズをマウントしたものでした。
これは香港人でしょうと checkie さんかその仲間ではと思い聞きましたが、やはり深圳の人が持ち込んだものでした。
最近、Cマウントなどのレンズをマイクロフォーサーズへ改造できないかとの問い合わせが増え、そんな仕事も始めたのだそうです。
ちなみにレンズは、垂涎ものの Kinoptik Focare 75mmF2 が付いておりました…。

ところで、修理を依頼したりカメラ談義をしたりする時に困るのは、やはり言葉の問題です。
カメラ用語、撮影用語はほとんど専門用語ですから、仮に通訳の人がいたとしても、彼女に一定以上の撮影に関する知識がないと通じませんし、案外多くの通訳が簡単なカメラ用語すら解しなかったりするようです。
ですから、これはもう本人が覚えるしかないのです。

例えば、距離計連動とか焦点距離とか無限遠とか日中共通の用語もありますが(これとて発音は違うわけですが)、これらは少数派のようで、ほとんどの単語が残念ながら日中で異なるのが現状です。
以下にレンズ関連で聞きとってメモしたものを書き出してみます。

・カメラ → 相機、照相機
・レンズ → 鏡頭
・絞り → 光圏
・F2.8 → 最大光圏2.8
・4群6枚 → 6片×4組
・フィルター → 慮鏡
・マウント → 接環

鏡頭とか6片×4組は、漢字の意味から類推可能と思いますし、4群6枚の文字を見た順平さんはああなるほどと言うなど中国でも同様の反応になるようですが、光圏になるとどちらかというと露出関係の用語を連想させますし、慮鏡からフィルターを連想できる日本人はまずいないのではないでしょうか。
困ったことだなと思います。

順平さんは、この道30年の大ベテランで、ライカ、ハッセル、ローライの御三家は何度も修理したことがあるということでしたが、クラシックカメラ専門の修理屋さんというわけではありません。
むしろ、本業は最新のデジタルカメラの修理です。
中国の都会でカメラ修理の看板を掲げているのですから、中国で現在使われているデジタルの修理依頼がずっと多いのは当然のことです。

腕を買われていることなのでしょうが、わけてもプロのカメラマンの利用が多いそうです。
プロとは職業カメラマンということで、写真家ということではありません。
中国では結婚などの記念日には、誰もが必ず記念アルバムを作成します。
スタジオやロケで写真を何枚も撮り、豪華写真集のようなアルバムと大伸ばしの写真などを作るのですが、こんな写真スタジオというか結婚写真屋さんが中国にはたくさんあり大繁盛しています。
そんな店のカメラマンは案外いいカメラを使っていますし、カメラ好きからこの職業を選ぶ人たちはプライベートでまた好いカメラを愛用していますので、腕のいい修理屋さんとお付き合いが必要になるわけです。
そして、スタジオなどで使われる各社フラッグシップ機は酷使されるからでしょう、かなりひっきりなしに修理依頼が舞い込むようです。

順平さんがいちばん困るのが部品交換で、最新機種のパーツはなかなか入手困難な状況だそうです。
純正部品は、メーカーの息がかかった修理店には卸されてきますが、大手が独占しているため個人の修理屋さんにはまわしてくれないのだそうです。
ようやくの根回しで手に入れた部品は割高になってしまい、顧客に対して高い料金を吹っかけるようなのが納得できないと職人らしい不満を持っているのです。

彼は、状況を打破すべくわたしにたずねます。
日本から直接基盤などの部品を調達することはできないだろうか、と。
例えば、わたしが日本にカメラ修理店を登記してメーカー修理特約店になり、実際の修理は中国で彼がおこない、必要な部品を調達してもらえれば…。

何かこの点について、ご意見、アイディア等お持ちの方がいらっしゃれば、コメントいただけるとありがたいのですが…。
【M8/Frilon 50mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Futura Frilon 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(9) | 2010/02/11 Thu

交換電話号碼

M8/Sonnar 5cmF1.5(Grau)
仙塘鎮の大きな交差点でバスを降ろされると、ここで別のバスを待てと言われました。
どのバスに乗ればいいかは分かりません。
大きな交差点ですので、1分間に5台くらいは大小のバスが通ります。
大型のバスは違うでしょうからやり過ごして、仕方なしに小型バスが通るごとに手を振って停車させました。
しかし、ことごとくそこへは行かないと断られました。

まさか、こんな地方の路上に外国人がバス待ちしているなんて想像もしていないでしょうから、来るバスの車掌はことこどく冷たい態度で、バスを停めるのが辛くなってきます。
そこへ地元の少女がバス待ちに加わって来たので尋ねると、それなら○○番のバスだと教えてもらえ、ようやく窮地を脱することができました。

乗車して15分ほどで紅光村に着き、さっそく歩き始めます。
同時にレンズはフリロンからアリフレックス・ゾナーのライカ・マウント改造レンズに取り替えました。
そして最初に撮ったのがこの作例写真です。
このあと梯子を伝って屋根に上るかと思い、場合によってはわたしも上らせてもらおうかと目論んだのですが、老人はあっけなく左手のドアから梯子ごと室内に消えてしまいました。

思い通りにならないものだなとひとりごちていると、入場券は買ってますかと声をかけられました。
蘇家圍に比べてずっと無名で訪れる人も少なそうな紅光村でしたが、ここでも同じ30元の入場料が必要と聞いてあまりいい気持ちにはなれません。
しかし、受付するとここは無料のガイドが付いてくれるということでした。
中国語の勉強だと思って、20歳代前半と思しきあかぬけないお嬢さんの案内をお願いしました。

最初の自己紹介など簡単なやりとりこそスムーズでしたが、逆にそれがわざわいしてわたしの語学力は過大評価されてしまい、話す速度に配慮が無くなってしまって説明はほとんど理解できず困りました。
何度か分からない単語を聞き返したりしましたが、そのうち面倒くさくなって聞き流すようになってしまいます。
それはそれでよしとして、聞きたいことを質問するだけに留めることにしました。

狭い村でしたが、ぐるっと回って約1時間。
けっこう丁寧に説明してくれるのに感心しました。
これでリスニング力がついてくれればいいのですが、いい加減な態度で聞いていますのでそれは望めません。
この間写真も撮りませんでしたが、たまにはこういうツーリズム的に歩くのも新鮮さがありました。

ガイドにそこで待っていれば帰りのバスが来るからと言われた所では30分、待てど暮らせどバスは現れませんでした。
そこへひとりの女性がやって来ました。
他に誰もいないと思っていたのに、もうひとりだけ別のガイドと歩いている女性に会ったのですが、その彼女が追い付いてきたのです。

30分待ってるんだけどバスが来ないんだと言うと、近所のおばさんに確認してくれました。
どうも村の前まで来るバスは不定期で、この時間だともう終わっている可能性が高く、大通りまで歩いてそこでバスを待つのが確実とのことでした。
丁寧かつ親切だったガイドは最後に適当な案内をしたようで、裏切られた気分です。
大通りまで30分かかると言われましたが、ここで待っているよりはましです。
ふたり揃って歩き出しました。

女性は蘇州郊外の出身で、広州の大学を卒業後そのまま当地に就職しましたが、3年前に友人たちと建築資材の卸の商売を始めたそうです。
中国中で建設ブームですから、この商売は悪くないはずです。
今週1週間休みで近くを小旅行しているというのは、かなりゆとりがあるからと見ました。

20代後半で、金銭的に余裕あり、眼鏡をかけた頭の切れる優等生タイプと、わたしの目には映りました。
服装も中国人の同世代と比べるとかなり洗練されていて、日本のOLと少なくともわたしには区別がつきません。
こんなところにひとり旅しているところを見ると、いまお相手がいなさそうなのは想像できるところです。
当然ですが、携帯番号交換して、次回広州を訪れた時にはお食事でもという話になりました。
こういうケースでは、外国人相手でも、中国人女性は案外積極的です。

この日河源の街中のホテルにひとり泊まると言っていたので、本来なら夕食くらいまでお付き合いしたいところですが、残念ながら深圳に戻ってからの先約がありました。
そう言うと、実は彼女は東江ナイトクルーズ&ディナーのようなツアーをすでに申し込んでいるのだそうです。
かなり楽しみにしているようでしたが、もしかしたらこれは中国式の合コンだったりするのかも知れません。
バスを降りた彼女は、ずいぶんと早い足取りで人ごみの中に吸い込まれていきました。
【M8/Snnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar Grau 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/02/10 Wed

可能雲片糕

M8/Furion 50mmF1.5
バスターミナルに着きますが、バスはいません。
ターミナルという言い方は大げさで、ローカル小型バスの終点と表現すればいいのですが、それを英語で言えばやはりバスターミナルなのでしょうから、土地の人に敬意を払ってやはりバスターミナルと呼ぶことにします。
すぐバスは来るのか不安になります。

来たときに蘇家圍の村までバイクで連れて行ってくれた親父さんがまた同じところにいて、おう戻って来たかと椅子を勧めてくれます。
村はたいへん良かったです、愉しかったです、機会があればまた来たいです、などと正直に感想を述べた後にバスのことを尋ねました。
きっかり30分に1本あるそうです。
あと15分もすれば折り返しのバスが来るからとここで待っているように言われました。

ではと、このあと訪れる予定の紅光村への行き方を教えていただけないかと尋ねてみます。
紅光という地名は知りませんでしたが、それがある仙塘鎮はパスの通り道なので、運転手に鎮に着いたら降ろしてもらうよう声をかけてくれると言います。

これは大いに助かりました。
いなかのひとつの目的地へ行くのは、経験上比較的楽なことは分かっていますが、そこからまた別の目的地へ行くのに難儀するのがいつものパターンだったからです。
点と点が繋がることのありがたさを噛みしめます。

当面の不安が解消されたので、椅子に座っているよりも、バスが来るまでのわずかな時間をふらふらしてみたくなりました。
どうせバスターミナルが見える範囲より遠くへ行くつもりはないですし、バスが来れば来たであの親父さんが呼んでくれるでしょう。

案外、こんな思いつきでうろうろしても大したものは見れないことがほとんどなのですが、今回はラッキーでした。
人だかりがあって、近づくと路上菓子売りがまさに実演販売の真っただ中でした。
手前の鍋は何がなんだか分かりませんでしたが、奥で迷彩服のおっさんが切り分けているのは、中国でよく見かける日本で言うところの落雁系のお菓子です。

いい香りにつられて子どもたちが集まっていますが、実はおとなたちも暇にまかせてけっこうこの後ろを取り巻いていました。
きっと美味しいからでしょう。
かく言うわたしも焼きたてできたてをぜひとも賞味すべく、子どもたちに続いて買ってみようと思っていました。

しかし、轟音とともにバスがやって来ました。
それとともに件の親父さんがバスが来たぞーっと大声をあげてわたしに注意をうながしました。
群がる子どもたちを差し置いて、先に買うというわけにもいきません。
心残りを感じつつもバスに乗り込むと、親父さんがまさにこのお客さんを仙塘鎮で降ろしてやってくれと説明しているところでした。
【M8/Frilon 50mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Futura Frilon 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/02/09 Tue

就是徠卡

M8/Furion 50mmF1.5
散策を切り上げて、もうひとつの村に向かうことにしました。
公園で逃げ回っていた少女のひとりが村の出口にいて、やあっと声をかけると、まだいたの~と友好的な返事が返ってきました。
チャンス到来かと思いカメラを取り出すと、ああ、また走って逃げ去ってしまいました。

がっかりして、村の出口へ向かい歩きだすと、大型バスがやって来たのが見えます。
年齢層もさまざまな男女が吐き出されていました。
言葉は、客家語ではなく普通話が使われていて、どこか遠くから来たのだと分かります。
すれ違いざまわたしのカメラを見て「あや、ライカだ」と言っているのを耳にして、もしかしたら彼らは台湾人で、故郷の客家の村を見学に来たのかななどと思ったりしました。
たぶん、大陸中国人のほとんどは、ライカなんて知らないはずです。

出口のところでチケット売りの女の子たちに別れのあいさつをしていると、離れたところで逃げ去った少女がこちらを見ているのに気付きました。
帰る段になって、彼女に向かって手を振ると案外素直に手を振り返してきました。

もしかすると、本心では写真に撮ってもらいたかったのかも知れません。
ひっきりなしにやって来る観光客があちこちにカメラを向けているのを毎日のように目にしているうちに、拒否反応が自然と身に付いたのではと想像します。
安易に写真を撮ろうとするこちらにも問題はあるでしょうが、小さな子たちにはもっと素直でいてくれると旅人としては嬉しいと思います。

行きはバスターミナルから蘇家圍までバイクに乗っけてもらいましたが、帰りは1キロの道のりを歩いてみることにしました。
道中、何があるという訳ではありませんでしたが、そこここにある民家では軒先で作業していたり、遊ぶ子どもたちあったりで、中国のいなかの土曜午後の日常を見てとれたように思います。

前方を天秤の女性が歩いています。
これも、いかにもな中国の日常です。
ぴったり付いていくと、門を入って建物の方へ向かってしまいました。
同じく門をくぐってなおも図々しく後を付けると、人民公社という言葉を連想させるような時代がかった建物に入って行きます。
良い感じの後ろ姿に、地元で作られたに違いない竹製の籠の天秤が、大いに気に入る1枚になりました。
【M8/Frilon 50mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Futura Frilon 50mmF1.5 | trackback(1) | comment(0) | 2010/02/08 Mon

除了父母親以外

M8/Furion 50mmF1.5
竹やぶの脇を通り過ぎるとまた民家が立ち並ぶところに出て来ました。
ちょうど1周して、蘇家圍の中心部分に戻って来たところです。

建物の壁に未だ残されている「毛主席万歳!」などのスローガンを眺めながら歩いていると、窓枠に置かれたボロ布が突然動いてびっくりしました。
よく見ればそれは猫でしたが、写真の左から右に向かって歩いてきたので、お尻側から見た猫は布にしか見えないので、本当にどっきりしました。
もっとも、写真の顔を見ると、猫の方も昼寝から起こされて、びっくりしたのかも知れませんが。

それにしても日当たりが良いからなんでしょうが、金網と桟に囲まれたわずかの空間に無理に入り込んでいるのが不思議です。
その姿は、少し前まで広東省に普通に存在した、野生動物を食べさせるレストランの店先に設置された檻で小さくなっている動物を連想させます。
もちろん、わたしが見たレストランには猫なんていませんでしたが。

いま、中国では、犬猫食を法律で規制しようという動きがあるそうです。
犬や猫はいつも人間の身近にいる愛玩動物で、それを食べてしまうなんて文明的ではないからだと聞きました。
法制化を急ごうとする動きに対して、犬を食べているのは昔からの文化であるという反論の声が上がっていると言います。

4つ足では机以外、2つ足では両親以外何でも食べると言う広東人ですが、犬については美味だし体が温まるからと特別の思いがあります。
日本でも鯨を食べるのは日本の伝統的食文化という主張があるように、これは外部の人が感情論だけで云々する問題なのではないのかも知れません。

愛玩ということで思い出しましたが、別の客家の家で次のような話を聞きました。
多くの客家の家では犬を飼いますが、それはあくまでペットとして番犬として飼うのであって、それを食べたりはしない。
犬肉を食べるのは、あくまで専門のレストランや肉屋で買ってきてだということです。
愛玩動物としての犬と肉塊としての犬をしっかり区分けているということでしょう。

因みに先々月の開平で触れたように猫もごく一部で食されていますが、こちらは特別の思いと言うことはないようです。
窓の猫ちゃんも安心してください。
【M8/Frilon 50mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Futura Frilon 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/02/07 Sun

桃綳子

M8/Furion 50mmF1.5
蘇家圍は、東江という大河に面しています。
村を1周ぐるっと回ると20分ほどかかるくらいの広さがありますが、その後半は東江沿いの散策路になります。
川の流れを右手に鬱蒼とした竹林を左手に見るこのあたりは、夏の暑さをしのぐには最適の場所でしょう。
ふだんは、子供たちのかっこうの遊び場になっているようでした。

公園のように整備されたところを通りかかると、女の子が4人で遊んでいました。
動作を見て、おやっと思いました。
あやとりをしています。
声をかけて見せてもらうことにしました。

土曜日だから学校が休みなのかと思えばそうではなく、すでに春節前の休みに入っているのだそうです。
今年の春節は2月14日ですので、ずいぶん早くから学校が休みになるんだなと、これは日本の学生が聞いたら羨ましがるでしょう。

あやとりの方は、わたしがこどもの頃やったのと全く同じかたちで交互に取り合うものです。
日本のあやとりは中国から渡来したのかななどと考えましたが、後日ネット検索してみるとあやとりは世界各地に存在する実にインターナショナルな遊びなのだそうです。

作例の写真をパシャーンと撮ったところ、女の子たちが気付いて逃げ出してしまいました。
カメラをしまうとまた戻ってきましたが、またカメラに手をかけた途端再び叫び声とともに走り出して行きました。
観光客からさんざんカメラを向けられて、すっかりスレてしまったのでしょうか。
この子たち以外でも、カメラを向けるとほとんどの子供たちは逃げてしまいます。

何もない普通の所でも、やはりカメラを向ければ逃げてしまう子はいますし、ピースする子もいます。
こちらをおもんばかってか自然に振舞おうとする子がいれば、意識し過ぎで固くなる子もいて、人それぞれ千差万別の反応があります。
そういう部分を観察しながら撮るのが、スナップのひとつの愉しみとも言えます。

撮影する方の立場ではどうでしょう。
一般には、撮っているのに気付かれていない自然な表情がいちばんと言われます。
とはいえ、カメラを意識して固くなっているところがかえって新鮮だったり、レンズをびっくりして見つめる顔がユニークだったりもします。
結局、撮る側でも好い被写体は千変万化すると言うことだと思います。

しかし、逃げ回る子だけはどうにもなりません。
きゃーきゃー言って逃げ回るので、こちらも悪乗りしてカメラを構えて追い回したりしたのですが、おかげで足がぱんぱんになりました。
でも、帰りのバスですぐ爆睡できたのは、そのおかげだったでしょうから良かったかとも思っています。
【M8/Frilon 50mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Futura Frilon 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(6) | 2010/02/06 Sat

祖先的故事

M8/Futura Furion 50mmF1.5
昨日のレンズに続いて、今日は蘇家圍について簡単に紹介いたします。
名前から蘇さん一族が築いた村と分かりますが、「圍」というのは「囲」の繁体字で、過去に何度か紹介した客家の家と同様に石塀で村が囲われていることを意味します。

入場時に簡単なリーフレットをもらいましたが、それによると蘇さんとは、かの宋代の詩人にして書家、蘇東坡のことだそうでこれは驚きました。
蘇東坡の子孫が約800年前にこの地に移り住んだのだそうです。

蘇東坡(1036-1101)は四川省眉山出身で、官職に就くや左遷と復権を繰り返して、ここ河源の隣の恵州に長く暮らしていたようです。
まるで小平を思い出させる人生ですが、その時の子孫が蘇家圍の創始者だとすれば、時代的にも土地的にもマッチするようです。

蘇東坡は、詩人として北宋代最高と言われ、書家として宋の四大家ととの名を欲しいままにしたそうですから、たいへんな人物ですが、よほどの中国通でもない限りこんなことは知ったことではないでしょう。
むしろ有名なのは、食通、料理好きの方で、東坡肉(トンポールオ)と言えば中国でも広く食べられる料理ですし、日本にはブタの角煮として現在に伝わっています(実際には、彼が発明した料理という訳ではなく、彼の詩から命名されただけのようですが)。

現在の蘇家圍の村は、特に蘇東坡との関係を売りにすることもなく、地域の生活の一部である、古建築や竹細工、漁民の伝統的な歌など客家の伝統を披露することで、観光客を集めているようです。
実に素朴な村と言えます。

と書いて、村の説明がほとんどないことに気付きます。
実は、リーフレットにはこのくらいのことしか村の説明がなく、文章の大半を埋めるのはすべて毛沢東語録という意味不明の蘇家圍案内になっているのでした。


さて、作例の写真は、アダムスキー型円盤の模型が列挙しているように見えるかも知れませんが、どうもあぜ道沿いに麦わら帽子を並べた歓迎精神あふれた農民芸術のようです。
観光案内やサイトには、必ずUFO襲来もどきのここの写真が出ていて、村のシンボル的な存在になっていました。
30本ほどが並んでいますが、それぞれの木一本ずつに村の行事が書かれていて、毎月平均3回位は伝統行事があることを示していました。

中国南部の古村落はどこもそうですが、村の前面に塘と呼ばれる大きな池が張られ、魚やアヒルなどを飼っています。
建物が水面に写し出されていて、逆さ富士ではないですがなかなか絵になっています。
しかし、この日村の食堂での昼食の時、魚を勧められた時はきっぱり断りました。
塘での養殖魚だとしたら、何をエサにしているか、したくはないですが想像できてしまうからです。
【M8/Frilon 50mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Futura Frilon 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2010/02/05 Fri

不理論

M8/Furion 50mmF1.5
そろそろ今日は、レンズのことに言及したいと思います。
Frilon という名前を、これまでフリロンと表記してきました。
しかし、不理論と呼んだ方がこのレンズには相応しいかも知れません。
いわゆるゾナー・タイプのレンズですが、ゾナーの常識とは違ったゾナー・タイプになっているからです。

まず構成ですが、3群ではなく、4群6枚とこれだけ聞くとガウス・タイプではと思わせる枚数です。
しかし、絞りより後群は1群3枚でゾナーそのものの形です。
そして前群は、凸凸凹と1枚ずつ貼り合わせのないレンズが並んでいます。

こんな構成のレンズはたいへん珍しいのですが、実は前月使用した Xenon 5cmF1.5 がほぼ同じ形をしています。
恐らくこのクセノンは1930年代の設計で、フリロンはずっと時代の下った1960年代と思われ、両者に年代的なつながりが認められません。

そして、描写もかなり異なる印象です。
クセノンはピントの合った中央部はかなりシャープで全体にもしっかりと重厚な写りが安心感を与えますが、フリロンではシャープさはそこそこという程度でハロをともなった独特のふわふわした写りが夢の世界のようです。
繊細さ柔らかさなどに共通点がありますし、後ろボケは両者とも二線傾向のあまりきれいとは言えない点で同様ですが、フリロンはより特徴あるボケになるようです。

ここで勝手な推測ですが、シュナイダーは当時ライツに供与したガウス変形のクセノンの写りにがっかりして独自の高速レンズを目指しましたが、戦時中のこととて結局ライバルのツァイス・ゾナーから特許回避した同様の構成に落ち着かせるしかなかった。
一方のフリロンは、50mmF2のエヴァーというレンズでエルノスター・タイプを採用していることから、これを発展させて、前群エルノスター、後群ゾナーの折衷型を世に出したのではと想像してみました。

いずれにしても、最高峰の光学メーカーと南ドイツの弱小田舎メーカーという差があるとはいえ、同じ構成&スペックのレンズで、30年ほど後に設計されたはずのレンズがだいぶ劣るというのはなかなかに興味深い事実です。


さて、今夜の作例ですが、一心にスケッチする人を後ろから捉えたありがちなカットです。
なんだかソフトフォーカスレンズで撮ったような柔らかな写りになっています。
ちょうどタンバールをひと絞り絞ったようなイメージです。

独特なクセが出たボケはこのレンズならではのものでしょう。
ハイライト部分は、油彩画で荒々しく絵の具を乗っけたような味わいです。

すぐ脇に野外レストランがあって、団体の食事が始まろうとしていました。
中の何人かがスケッチしている男性に、いっしょに食べようよと声をかけていますが、男性は先に食べててくれと返事していました。
団体行動が苦手で、ひとり写真を撮っていたりする自分の姿とダブってしまいました。
【M8/Frilon 50mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Futura Frilon 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(6) | 2010/02/04 Thu

白昼酒

M8/Furion 50mmF1.5
主に中国南部の米どころでは、自家製の米酒を造ってみずから消費しているというケースが普通に見られました。
何度かご相伴にあずかって楽しませていただいた経験があります。

客家の米酒はたいへん高名で、大きな米酒の工場を梅州に持っていて大規模流通に乗せています。
家内工場的に製造して小売りするというのは、ごく普通にあるようです。
蘇家圍でも娘家酒坊という名前で、自家製の米酒を販売していました。

通りかかった時、わたしはいかにも物欲しそうな顔をしていたようで、女主から見学していきなさいと強く勧められました。
米酒と言っても日本酒のように洗練されたものではなく、かなりシンプルに製造していることが分かります。
写真にもあるような甕が建物の中にいくつか並んでいて、数タイプの酒を少量ずつ造っています。

いちばん簡単なものは、甕に水と米を入れて数日で発酵するのだそうです。
もろみとか発酵させる原理はよく分かりません。
試飲してみると適度な甘みと酸味とが調和していて、酒としてはともかく、韓国のマッコリを思わせる爽やかな味わいでした。

次はしばらく発酵を進めたものです。
これは加糖をしているかは聞き忘れましたが、1ヶ月ほどでアルコール度数は10度ほどになり、市販の中国の米酒の味に近いものです。
甘みは際立つものの、これは料理に合う味と感じました。

最後のものは、古酒まではいかないが、だいぶ時間をかけたものだという、色合いも琥珀のようになったフルボディタイプ(?)です。
アルコール度数は一気に40度を超えていますが、アルコールを混ぜたというわけではなく自然なものだと強調していました。
食前酒か食後酒か分かりませんが、甘みこそ好き嫌いが分かれそうですが、これなら酒豪の方には受け入れられるでしょうか。

価格は、500mlで、それぞれ130円、200円、260円くらいと安いものです。
どれにするかしばし悩んでいると、こんなのもお勧めとアルコールのいちばん高いもので梅を漬けた梅酒があり、これは健康によく女性にもいいと大きなビン詰を出してきました。
酒の甘みと梅の酸っぱさが、日本の梅酒をワイルドにしたような自然な趣のインパクトがありました。
これを1リットルもらうことにします。

お猪口のような小さなカップで少しずつ試飲しただけだったのですが、醸造所を出るときには酔いが廻りつつあったようです。
すっかりいい気分でした。
不思議なのは、レンズにそんな状態が乗り移ったのか、酒蔵を撮ると、妙に甘酸っぱいソフトな描写で表現されていました。
もともと甘口のレンズですが、さすがにここまで甘くとらえたのは、これ1枚きりです。
【M8/Frilon 50mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Futura Frilon 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/02/03 Wed

撮影展指南

M8/Futura Furion 50mmF1.5
今日は、業務連絡(?)から始めさせていただきます。
今月、偶然にもふたりのカメラの仲間から写真展に出展すると案内をもらいました。
おふたりともたいへんお世話になっている方ですし、それぞれにアプローチは違いますが、真摯に撮影やレンズに向き合われている方ですので、見に行かれることをお勧めできる写真展です。

ひとつ目が、JAPAN LEICA CLUB 第2回写真展「ライカつれてこ」です。
今日が初日で、7日(日)まで渋谷のギャラリー・ル・デコで開催しています。
このクラブの主要メンバーのひとりが、Kinoplasmat さんで、遠くロンドンから作品を出されているということですが、どのレンズの作品か気になって仕方ありません。
http://contax645best.web.fc2.com/event/2010/jlcphoto2nd/

もうひとつが、日本ローライクラブ写真展です。
会期は2月11日(木)~2月17日(水)、会場は新宿御苑のフォトギャラリー「sirius」です。
こちらは、T氏夫妻はじめ、多くのメンバーにお世話になっていて、6×6というわたしに無縁のフォーマットですが、それぞれに個性的なメンバーの皆さんがどんな作品を出されているか興味深々です。
http://news.livedoor.com/article/detail/4580312/

いずれも東京と近郊の方限定になってしまいますが、それぞれ渋谷と新宿御苑の駅からのアクセスが良く、ぜひとも気軽に立ち寄っていただきたい写真展です。
仕事帰りに、土日の散策にぜひ足を延ばしてみてください。


さて、今日の作例ですが、写真展のお話を出したからという訳ではないですが、フレーム・オン・フレーム的な絵を選んでみました。
石造りの堅固な建物に重厚な木の扉ふたつ越しに通りすがりの子供を撮りました。

蘇家圍は観光化されていると書きましたが、これはネガティブなことばかりではないと気付きました。
撮影したこの建物は、住む人がなく普通であれば廃墟になる運命でしたが、観光用に整備されたため展示館的に公開されています。
実際、古鎮を歩くと無残にも廃墟になって、朽ちていく途上の古民家をいくつも見てきましたので、これは良いことだと実感しました。
【M8/Frilon 50mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Futura Frilon 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2010/02/02 Tue

開始拍房子

M8/Frilon 50mmF1.5
今、これを書きながらトイレに立つと、外は一面の銀世界です。
サブタイトルにもあるとおり、自宅は一応湘南の一角にありますが、かなりの雪が降っているのが暗い中にも見てとれました。
地元では初雪です。

しかし、昨日までいた深圳や河源は日中25度くらいまで上がり、半袖シャツでじゅうぶんなくらいでした。
高速出口から歩き始めたわたしは、上着こそ着ていませんでしたがフリース製の厚手のシャツでしたので、早くも汗をかき始めていました。
シャツを脱いでしまおうかと思っていたところにバスが通りかかったので、手を広げて停めて、少し軟弱かなと思いましたが、そのバスに乗って蘇家圍に到着しました。

バス停から蘇家圍までは1キロほど離れていましたが、車掌が蘇家圍の観光案内のような男性に引き継ぎ、その彼がバイクでわたしを入口まで乗せていってくれました。
裏技と自分の脚力で辿り着くはずが、地元の方の好意にすがるかたちです。

いえ、ここ蘇家圍は、客家の古い民家が残るちょっとした農村という風情ですが、しっかり30元の入場料を取られるのでした。
好意というよりも、入場料に交通も含まれていたと見るべきでした。

昨日、蘇家圍は比較的有名と書きましたが、かなり観光化された少し俗っぽい古鎮でした。
村民のほとんどが、農業のかたわらで、観光客をあてにした土産物屋、食堂、ガイドなどを生業にしているようです。
申し訳ないですが、がっかりしたことは否めません。

しかし、そんなことを抜きにして、清代の古民家の美しさはやはり魅力がありました。
塀にちょっとよじ登って古民家の屋根を撮影していると、土産売りのおばさんたちが大笑いしていました。
笑いながらも、自分たちの家の美しさを評価して撮影しているのだということは伝わって、内心では喜んでいる様子が逆にわたしに届いたように感じます。

俗化していても、普通の人々が暮らす村のひとつに過ぎません。
入り口でもらった案内を見ながら、ここはじっくりと歩いてみることにしましょう。
【M8/Frilon 50mmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Futura Frilon 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(3) | 2010/02/01 Mon
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