祝您新年好

M8/Cine-Xenon 50mmF2
T氏が自信満々に予告していた天ぷらは、確かに最高のご馳走でした。
天ぷらは大好きなので、どんなものでもたいがい美味しくいただけるのですが、ここのコロモ、タレ、具のすべてが今まで食べた中でいちばんの美味です。

帰り際、優しく微笑んでいるご主人と少し話をすると中国通だということが分かりました。
日本の一級厨師として、中国に行けば国賓級の扱いで釣魚台に宿泊するような方で、中国各地をあちこち旅されています。
有名な敦煌よりも麦積山石窟のようなマイナーなところに素晴らしいところがあると話すので、そこなら一昨年わたしも行きましたと答えると、ご主人もびっくりしてちょっとだけ意気投合です。
今度は、じつくりお話を聞きにうかがいますと、店を後にしました。

天ぷら屋さんの前の直線の通りは、魚屋さんがずらーっと並んだ魚河岸通りという名前で、これはなかなかにユニークです。
朝3時とかがピークということで活気こそいまひとつですが、わたしには撮影にもつてこいの空間でした。
ただ、失敗だったのは、どうしても人物の顔がはっきり写ってしまうのですね。
いつもの激甘レンズだと誤魔化せたりもできるのですが、シネ・クセノンはあのりにシャープで何をしゃべっているかも分かるような口の動きの描写力までされては、採用をあきらめざるを得ません。

代わって採用するのがこちらです。
昨日紹介したようにカメラ散歩の名人たちですから、こんな被写体があればたちどころに次々と撮影されてしまいます。
それぞれが露出や角度、画面の切り取り方などで個性を発揮しているのがよく分かります。

わたしが撮るとすれば、こんなかっこうです。
写真を撮っている人は撮影に集中しますので、思わぬところにその人の個性が出たりするものです。
重たいコンタックスを提げたRさんの場合は、…。
いえ、これはやめておきましょう。

この日、もうひとつのハイライトだった鶴見川沿いの怪しげな空間は、時の流れとともに普通の公園に生まれ変わっており、そうそうにお茶をして解散になりました。
今回も、メルコンを筆頭に、長野のカメラ店でデッドストック状態で買ったヤシカの二眼レフ、マミヤ645、ゼンザブロニカ、ペンFTとクラシックカメラも数々登場して楽しい散策会でした。
次回も、ぜひ参加させていただきたく、よろしくお願いします。


というわけで、今年最後のブログを無事終了させることができました。
ご覧頂いた皆さまには、厚く感謝申し上げます。
少しふらふらと出掛けてから(すでに現地にいるはずです)、1月6日頃にブログ再開の予定です。

それでは、好いお年をお迎えください。
【M8/Cine-Xenon 50mmF2 F2】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Schneider Cine-Xenon 50mmF2 | trackback(0) | comment(18) | 2009/12/31 Thu

年末去生麦

M8/Cine-Xenon 50mmF2
今年最後の撮影行は、横浜市の生麦周辺になりました。
先月、子安周辺の鄙びた世界を歩いたT氏が主催する散策会に今回もちゃっかり参加させてもらいました。
11月の写真展をTさんに見に来ていただいたのが縁で散策会参加となったので、わたしとしては写真展の他のメンバーにも来てもらいたかったのですが、今回もひとり合流ということになってしまいました。

念のためお断りしておいた方が良さそうなのは、前回子安、今回生麦と来るとこのあたりが活動の拠点なのではと思われがちですが、毎回場所を変えて開催していてたまたま横浜市内が続いてしまっただけのことで、メンバー全員が都内からいらしています。
生麦にある鶴見線国道駅のレトロな構内見学と、近接して連なる魚河岸通りの見物、そして何よりその通りにある絶品の天ぷら屋さんで舌鼓を打つというのが今回の主要目的です。

参加メンバーに若干の変更があって、今回はプロ撮影家の方がふたりも参加されていたのですが、当初そうとは知らずに自己紹介の時知ったか振りのぞんざいな態度をさらしてしまい、後になって滝のような冷や汗を流しまくりでした。
しかし、プロのおふたりもこのような散策では、わしはプロじゃけんというような雰囲気は微塵も見せず、愛好家の一員のようになっていっしょにカメラ散歩していましたので、雰囲気は前回同様いたって和やかです。
どうぞ、不遜な対応はお許しください。

楽しい散策会ですので、参加させる方もそれぞれに楽しんでいるということは間違いありませんし、それだけでも意義あることです。
ですが、主催するT氏が熱っぽく語るところでは、単に散策ということだけでなく、それぞれに個性ある撮影をしているメンバーがともにコースを歩くことで、同じ被写体でも違った視線で撮影されたり、逆にみんなが撮ったものは見向きもせずに他のところでひとり撮影したりなどの差異がでてきます。
そういった部分をお互いに確認しあうことで、相手の個性を認め同時にこんな見方があったのかと自分の撮影スタイルにも刺激を与えるという意義があるのだという趣旨の説明をいただきました(誤解があったら申し訳ありません)。

作例は、国道駅構内の様子を撮ったものですが、映画やドラマのロケにもしばしば登場する古びた雰囲気が、鉄道を降りた瞬間のタイムスリップのように現れ驚かされました。

わたしのような凡人は、全体を撮って、それからディテールを見ながら面白いと思った部分を記録するように撮影していきます。
しかし、個性あふれるメンバー達はそういうかたちの人もいたでしょうが、ひたすらディテールに拘る人、造詣の面白さに固執する人、天井のアーチを教会のように撮ってしまう人、まったく関心を示さずとっとと通りに行ってしまう人とまったくてんでばらばらになるのが面白いところでした。

ここでは、メンバーと話するのはもちろん、その行動を観察するのも写真を撮ることと同様の愉しみになります。
【M8/Cine-Xenon 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Schneider Cine-Xenon 50mmF2 | trackback(0) | comment(4) | 2009/12/30 Wed

看紅葉太早

M8/Optimar100mmF3.5
昨日に続いて、もう一枚鎌倉からです。

鎌倉の紅葉はずいぶんと遅いところが多いのですが、円覚寺では12月23日にしてまだまだこれからという様相です。
一部が紅く、多くは黄色、そしてまだまだ青々としているのですから、すごい遅さに驚きます。

驚いたと言えば、ケムスティ氏の神通力には、また驚かされました。
氏は、鎌倉に来るとだいたい和服の女性を見かけるそうで、氏のサイトにはしばしばきれいな着物が登場します。
円覚寺を出る間際紅葉を前にして、今日は和服の女性を見ていないですねえ、こんな場面で現れてくれませんかねえと氏が言い終わらないかのタイミングで、その和服の女性が階段を上がってきたのでした。

残念ですが、この和服女性は露出が合いすぎてしまい、顔がはっきり分かる写真になってしまったので、ここに出すのを遠慮します。
代わりに上げさせていただくのが、微妙に顔が分からないだろうと判断したこちらの1枚です。

この後早めに山を下りて、まったりお茶でくつろいでから、横浜で静かな忘年会を開きました。
京都・奈良に精通している河内屋師匠にとって垣間見た鎌倉はかなり物足りなかったのではと思います。
しかし、人を批判したりすることを人前でしない師匠が、鎌倉を悪く批評することはありません。
撮影やレンズ知識で学ぶことの多い師匠ですが、人間性でも手本となってくれるのはさすがとしか言いようがありません。
【M8/Optimar 100cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Malkemus & Reinhold Optimar10cmF3.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/12/29 Tue

奈良、京都然后鎌倉

M8/Optimar100mmF3.5
昨日で終わったはずの京都の写真がまだ残っていた?
いえ、実はその翌週の23日、鎌倉までやって来ました。
大阪から河内屋師匠が、横浜からはケスムティ氏が午後の北鎌倉に集結したのでした。

時間が短いので、北鎌倉の東慶寺、明月院、円覚寺の3つをまわっただけです。
しかし、北鎌倉は西向きの寺院が多く、遅い時間まで愉しむことも可能です。

驚いたのは河内屋師匠の持参したレンズ群で、ちょうどブラック&ニッケルのコンタックス用ゾナー85mmF2 が欲しいが高くて買えん、でも実物を見てみたいと思っていた矢先、このレンズを中心に持参されていて、しっかり拝見することができました。
想像通り、金黒の太鏡胴は迫力ある姿をしており、これは何とかして手に入れなければとの思いを強くさせます。

また、ビオゴン35mmF2.8 はお互いがライカマウントのそれを奈良で持ち合っていましたが、今回はコンタックスマウントのオプトン製を持参いただき、後玉の違いなどを説明していただきます。
さらには製造数が50本未満の幻のレンズなども使われていて、またその写りが素晴らしいことも楽しく解説してくれるのでした。

一方のケムスティ氏は、ズマレックス85mmF1.5 を中心に使っているようです。
期せずして85mm対決のようですが、これがケムスティ氏はライカではなく、キヤノンの5Dで使われているのがノンライツ・ボディ対決でユニークです。
逆行下で紅葉にゴーストの虹を架けて、イヤなゴーストではないとコメントされるのが、また彼ならではのオリジナリティを発揮しています。

85mm であればキヤノンあたりを持参すべきでしたが、空気が読めなかったわたしは当然そんなレンズを持ってくることは無く、たまたま持参していた唯一の玉、ザルツブルク製の100mF3.5 で対抗します。
ほぼ順光にも関わらず、枝葉の西日の反射を拾ってしまったためでしょうか、全体にフレアが出てしまったのには驚きました。
逆光では丁寧に左手でハレ切りしていたつもりなので、こんなかたちで超ローコントラスト写真を撮ってしまう自分に不信感が募ります。

三者三様で静かに盛り上がる、愉しい鎌倉散策でした。

追伸。
ブログは年内いっぱい投稿の予定ですが、明日29日夕方からしばらく不在になり、コメントの返信ができなくなると思われます。
ご了承のほど、よろしくお願いいたします。
【M8/Optimar 100cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Malkemus & Reinhold Optimar10cmF3.5 | trackback(0) | comment(3) | 2009/12/28 Mon

下次見

M8/Cristar 5cmF2
奈良~京都シリーズの最終回です。
山科から地下鉄で速攻引き返し、京菓子のお土産を買いに走りました。
Gさんに教えていただいた京都の銘品ですが、日持ちが1日でけなので出発ぎりぎりで購入します。

しかし、店は簡単にみつかり購入もスムーズでしたので、逆に時間が1時間近く余ってしまいました。
そこで徒歩圏の祇園に戻り、また巽橋あたりをゆっくり散策しました。
朝と違って、平日にも関わらず観光客の流れはそこそこあります。

歩き疲れたところで、お手頃価格のランチをやっている店があるのに気付きました。
お昼は、山科で義士まつりの合間にたこ焼きで済ませていますので、お茶でもして人心地ついて岐路に就こうと思います。

ひとりですがいいですかと問うと、どうぞと招き入れてくれます。
店は町屋スタイルではなく、夜ライブの見られるバーにもなる洞窟のような不思議な空間です。
ランチには遅い平日の2時頃のことで、他に客は見当たりません。
まさに穴場というか、隠れ家というか、普段は分かりませんが、少なくともその時はそんなプライベート空間にすっかりリラックスさせてもらえそうです。

わたしは一人の時は決してお茶を飲みにお店に入ることはありません。
ただ落ち着いてお茶を飲みたければ、販売機で買って公園などに腰掛けて飲んだりします。
根っからのケチということがありますし、コーヒー等の味が分からないということもあります。
それよりも、喫茶店などでお茶を飲んで散在しないということは、レンズを次から次に購入するわたしにとってひとつの免罪符となっています。

このレンズを買う必要があるか、いや、ふだんお茶代も我慢しているのだから、レンズの1本くらいいいじゃないか。
レンズとお茶を比較すること自体どうかしていますが、こういう軽い緩衝材がところどころ存在してくれないと、急坂を転げ落ちていってしまいそうな不安があったりもします。
ですから、このとき抹茶をいただいたのは、かなりの贅沢をしたつもりでした。

さて、いかにもお話好きそうなマダムとここまで来た経緯などを話しているうちに、お茶屋さんと舞子さんについてのレクチャーを授かりました。
舞子さんの暮らしや遊び方、どこに行ったらいいか、祇園の成り立ち…、よくぞ短時間にこれだけのことをお話しいただけるものです。
祇園の地で客に接する仕事を長年続けるということは、どんな相手にも分かるように伝えるトークテクニックが必要だということなのでしょう。

朝一番の広東料理店の女将さんのお話もそうでしたが、ここ祇園で自分なりの愉しさを感じることができました。
将来、抹茶ではなく、ほんとのお茶屋さんで遊ぶという贅沢を目標に、それから舞子さんの暮らしのことなどを聞いて関心が高まったこともあり、京都再訪を誓いつつ名神高速のバス停まで猛ダッシュしたのでした。
【M8/Cristar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Fuji Cristar 5cmF2 | trackback(0) | comment(9) | 2009/12/27 Sun

小赤穂浪士們

M8/Cristar 5cmF2
唐突に子供の絵になって驚かそうということではないのですが、山科義士まつりを少々見たのでその時の様子も1枚お伝えします。

元禄15年12月14日は、忠臣蔵の討ち入りがあった日ですが、大石内蔵助は江戸を離れて京都山科の地に身を隠して想を得ていたということに因んで、この祭りが始まったようです。
祭りでは、大石内蔵助と義士たちが、山科の毘沙門堂から大石神社まで、なんとその距離10キロ近くを半日以上を練り歩きます。

途中、幼稚園の前では居並ぶ園児たちと「えいえいおーっ」と掛け声を合わせ、デパートではお昼休憩したりもあります。
作例は、そんな途中のひとコマで、別の幼稚園から選抜された若い義士たちの討ち入りの行進です。
大石内蔵助が少し緊張気味ですが(疲れた?)、みんな元気いっぱいですし、本格的メイクと衣装で、微笑ましい姿を見せてくれます。

このあと舞台でのこども歌舞伎にも出演するようだったのですが、残念ながら時間切れで見れませんでした。
ちびちゃんたちのしゃべる関西弁は可愛かっただけにもうちょっと見ていたかったのですが。


さて、レンズは、また Cristar 5cmF2 に戻しています。
シャープさとやわらかさの共存する魅力的なレンズですが、残念ながら資料のようなものを見つけることができません。
その主要なものは、「世界のライカレンズPart4」と「深川精密工房」ブログの2つでいずれも、博客友の charely944 のものになります。

わたしの Cristar 5cmF2 は、charely944 さんのType3の型に相当するようで、ズマール型ではなく一般的なズミタールのような形状をしています。
ただ、このレンズにもマウント部に謎の番号が刻印されていて、プロトタイプではないでしょうが、何か特殊用途的な匂いを感じさせます。

Fujinon L 5mF2 の時にも書いたのですが、富士写真フィルムのライカマウントレンズ群の資料がまったく集まりません。
神奈川県という地元にあって研究の対象にしたいのですが、レンズは高価ですし、スタートと同時に挫折したような状態になっています。
【M8/Cristar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Fuji Cristar 5cmF2 | trackback(0) | comment(7) | 2009/12/26 Sat

左辺右

M8/Biogon 3.5cmF2.8
ビオゴンは、レンジファインダー・コンタックス用レンズとして1937年に登場しました。
設計は、エルノスター、ゾナーで高名なベルテレです。
分厚いガラスが多用された4群6枚構成は、一般的に見られるゾナーやガウスと違った、第一印象では不思議な形状に思えます。

座右の書、キングスレークの"写真レンズの歴史"では、"メニスカス型アナスチグマット"の"V複合型"、つまりダブルガウスの変形のところに掲載されています。
なるほどレンズの並びを見ると、接合の違いなどはありますが、直後のライツ・エルカンやズミルックス35mmF1.4と同じ形状です。
これだけ見るとダブルガウス変形で納得できます。

しかし、文章を読むと意外な記述に面食らうことになります。
「…ビオゴンはF1.5ゾナーの変形と考えられる。内部のトリプレットは寸法を小さくし、後群のトリプレットは逆に大きくして空気間隔を入れるとビオゴンになる」。

構成図を見ながらこの説明を読んでもまったくピンと来ません。
確かに内部にあるトリプレットは寸法が小さいですが、これはF1.5ゾナーには無いものです。
それに構成図の後群には空気間隔は無い…。

以前は、分からないままに読み流していました。
ビオゴンに興味が薄かったのも原因かも知れません。
しかし、今回あらためて読み返すと、なんだとすぐ気付くことがありました。
空気間隔は、構成図の前群にある、つまりこの構成図は、左右が逆に印刷されていたのです。

本を天地逆にして構成図を見直せば、すぐに1-3-3と並んだF1.5ゾナーと同様な構成であることが確認できました。
と同時に今まで違和感を感じていたビオゴンの構成がすっきり頭に入ってきました。

すると不思議なもので、今まで本物かフェイクかが半ばどうでもよかったビオゴンでしたが、ゾナー張りのシャープさ、ボケの良さ、抜けの良さを感じるようになって、仮に鏡胴がフェイクだとしてもレンズ自体はビオゴン・オリジナルに違いないと思えてきました。

ちょうどそんな折、ある方から東西分断直後の西側ツァイスが、コンタックス用ビオゴンをライカマウントに仕立て直して販売した記録があるとの貴重な情報をいただきました。
それで確信しました。
きっとこのレンズは、その時にツァイスから供給されたビオゴンだと思いこむことにします。

もともとがマウント改造していろいろなレンズヘッドを楽しんでいるわけですから、オリジナルがどうこうということは拘りません。
描写さえ気に入れば、それで十分に愉しめます。
【M8/Biogon 3.5cmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Biogon 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(2) | 2009/12/25 Fri

石塀小路的木塀出口

M8/Biogon 3.5cmF2.8
朝から祇園で女将さんの好い話を聞けて、上機嫌で散策が続けられました。
写真を撮るためには、おしゃべりなんて時間のロスで、プラスになることもないかも知れませんが、旅しているということで言えばこれはたいへん重要なことです。
人のいない大自然の中ではないし、言葉の通じない辺境でもない、そんなところで会話のまったくない一人歩きというのは寂しいものです。
それに興味を持ったからこそ歩いた所の、土地の人の話を聞くのはより興味を駆り立てることになります。

心も豊かになると気持ちにゆとりができるのでしょう、コースを少しはずれたところに"石塀小路"というしゃれた一角を見つけました。
おかあさんが割烹着姿でごみ出しするのを見かけ、写真に収めようとそっと後を追うと、なんとも雰囲気のある小道に進んでいったのです。

おおっと驚いて、一軒一軒見ながら歩くと、京都に似つかわしい木塀ではなく石垣を高く巡らした塀が家を取り囲んでいます。
また、料亭や旅館をやっている家がかなりあり、もともとは観光地的にも有名なところだったのだと悟りました。

作例では小路を抜けた反対側で、玄関の手入れをしている方がおられたのが採用しました。
こちらはご覧の通り、京らしい木塀で、本当なら紹介したいのは反対側の石塀の雰囲気なので、これはぜひ実際に京都に出掛けて歩いてみていただきたいところです。

いえ、付近の味わいある旅館に滞在できればもっといいでしょう。
後で調べたら、ねねの道、高台寺、法観寺、それから少し歩いて清水寺と、この辺は風情あるエリアだということがよく分かります。
観光客の通り具合は分かりませんが、かなり静かな感じはあり、落ち着いた滞在ができそうです。


ところで、一昨日から Biogon 3.5cmF2.8 に切り替えて撮影したものを紹介しています。
ライカ・マウントの純正品ですが、どうもフェイク品が多いという話も聞いていたので、初日にお会いしたTさん、Gさんがツァイスレンズの研究家ということもあって鑑定をお願いするため持参したのです。

実はGさんもたまたまライカ・マウントの同じビオゴンを持参されていて、これは一発で答えが分かりました。
フェイクでした(ショック…)。
銘板も距離表示も刻印がまったく違います。
Gさんのレンズでは文字が上品で仕上げも美しいもので、わたしのはフェイクだと言われても大いに納得しました。

ただ、ジュピターの銘板だけビオゴン表記に変更したものもあれば、コンタックス用のビオゴンをジュピターの鏡胴に入れたものもあり、これは後者の可能性が高いということでした。
Tさんは親切にもシリアルナンバーを控えて、そのあたりの調査を約束してくれました。

そういう訳で、ここではビオゴンと表記していますが、ジュピター銘板替えの可能性もあり、そうなるとビオゴン表記はインチキになりますので、今回の使用がこのビオゴンのビオゴン銘での最後の登場になるかもと思い何枚か撮影しました。
翌日もう1枚使わせていただくことにしています。
【M8/Biogon 3.5cmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Biogon 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(7) | 2009/12/24 Thu

我也当鷺鷥了

M8/Biogon 3.5cmF2.8
まだまだ暗いうちに起き出して、早朝の京都を散策しました。
この日帰るのですが、午後3時のバスを予約したので、たっぷり半日ふらふらと歩くことにしたのです。
冷え込みは厳しいですが、朝の一時だけですので、刺すような冷たい空気が身をシャキッとさせ、むしろ心地よささえ感じる思いです。

この日初めて乗った地下鉄で三条京阪駅まで出て、祇園、花見小路、八坂、二年坂、三年坂、五条楽園と京ならではの町並みを通って京都駅まで歩きとおします。
かなりベタなコースと思いますが、早朝スタートなので観光客は少ないでしょうからたぶん快適に動けるでしょう。

祇園巽橋はもっとも祇園を感じさせるところで、隣接する白川南通り、新橋通りと合わせてほとんど映画の世界です。
これが朝の光を浴びると、何か現実離れした光景のように見え、逆に映画のセットのような張りぼてに感じてしまうのが不思議でした。

夜の町祇園のど真ん中ですので、早朝には人通りがほとんどありません。
そんな中、わたしを楽しませてくれたのが、料亭の女将さんでした。
白川にいるサギたちに朝食を与えています。
サギの方もこの時を待っていたかのように、どこからともなく二羽三羽と集まってきます。
サギってこんなに従順に餌付けされるものだったでしょうか。

思わず、女将さんにあいさつして話を伺いました。
突然の無礼でしたが、女将さんは気にすることもなく事情を説明してくれます。
もともとご主人が、伝書鳩の第一人者で、何羽も飼育した経験から鳥たちに馴染んでいたし、その思い出もあって店の隣の川にいるサギにエサをあげ始めたとのこと。

日課になっていることもあって、すっかりサギたちは慣れたもので、しまいには女将さんの足許にもよってきます。
白いのはゴイサギ、グレーのはアオサギだそうです。
彼らは人に慣れてしまったのかといえばそうではなく、自転車が比較的そばを通ればささーっと飛び立ってしまいます。
女将さんの愛情にだけ反応しているようです。

すっかり慣れたサギは真上の電柱に巣を作ろうとしたそうです。
しかし、遠巻きにはカラスがいっぱいいて、こんなところに巣を作ってもすぐヒナは食べられてしまうだろうと気付いた女将さんは、関西電力に依頼して巣を作らせないようにつきはなしてしまいました。
こんな話を聞けば、鳥たちのことをよく理解しているのが分かります。
深い思慮を持って接しているということですね。

女将さんとの立ち話はほかにもいろいろなことにおよび、本来、ここのお客さんだけが聞けるような面白い話もあって、突然の珍客にも優しく接していただいたことが、今回の京都いちばんの思い出になりました。
ありがとうございました。次回はぜひ食事させていただきます。
【M8/Biogon 3.5cmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Biogon 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(4) | 2009/12/23 Wed

還一個京都的風景

M8/Biogon 3.5cmF2.8
バスに揺られて北野白梅町まで来ました。
ここからは京のちんちん電車、嵐電に乗って嵐山を目指します。
ちょうど嵐電と我が江ノ電が姉妹提携をしていて、江ノ電カラーの嵐電が走っていたりなど親しみの湧く乗り物です。

嵐山は、京都郊外で修学旅行の定番のような位置づけかと思っていたら、すごい人出だったのでびっくりです。
もう3時になっていて、引き返して来る人が多かったのですが、哲学の道がかなりひっそりしているのと比べ、嵐山が人気を獲得しているようでした。

しかし3時ともなると、行程はかなり駆け足にならざるを得ません。
落柿舎、厭離庵と教えていただいた古建築はすばらしいものばかりです。
特に黄昏近かった訪れた時間帯は、陽光の美しさともあいまって、しばし息を飲むような面持ちを感じます。

この辺は、もうすでに嵐山ではなく、嵯峨野と呼ぶべきところのようです。
なおも人出はかなりありますが、静けさは京の町中や有名寺社とはだいぶ趣を異にします。
こちらだって十分に哲学の道と言っていいでしょう。

残念なのは、この日のハイライトになるはずだった、化野念仏寺の拝観時間に間に合わなかったことでしょう。
厭離庵も12月は閉ざされるようでしたので、いずれ嵯峨野へはまた訪れなくてはと誓いを立てます。

そうであれば、その時の拠点に宿泊したいと思ったのが、この鳥居本でした。
小規模ですが、茅葺の民家が数軒並んで、日が落ちる直前の最高の美しさを眼前にします。
化野念仏寺の無念を晴らすに十分な満足感が得られました。

近くの大通りにバス停があるとの表示を見て、バスで帰れればラッキー、なければまた1時間近く歩いて駅に戻らないといけないなと時刻表を見ます。
幸運でした。
1時間に1本のパスが5分後に来るようです。

密度の濃い散策でした。
定刻通りやって来たバスのシートに沈み込むように腰掛けて、今日1日の京都散策が終了を告げたことを実感しました。
【M8/Biogon 3.5cmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Biogon 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(6) | 2009/12/22 Tue

在釜

M8/Cristar 5cmF2
哲学の道は、南禅寺の北側を琵琶湖の疎水分流に沿って南北に伸びています。
1.5キロ程でしょうか。
よほどの哲学者でも30分もあれば、銀閣寺に辿りつくことができます。

しかし、それではもったいない。
せっかくカメラを持っているのですし、途中少し寄り道しながら歩いて行きましょう。
ノートルダム女学院は通称"ダム女"で八ツ場ダムを連想させますが、そこからすぐ先の霊艦寺、安楽字はなかなかに美しいたたずまいです。
残念ながら"参観謝絶"とあって外側を眺めるだけですが、紅葉や樹木と一体で写真に収めます。

少し歩いた先の法然寺は、Tさんお勧めマークを付けてもらった寺院です。
ここまで来ると銀閣寺は目と鼻の先ですが、ひっそりとしたロケーションのため静けさが心地よく感じました。
拝観料無料ながら、境内はピクチャレスクなものにあふれています。
和尚さんの法話がありせっかくの機会でしたが、時間の関係で拝聴できなかったのが残念でした。

また歩き始めると賑やかになって、銀閣寺の参道が見えてきました。
ここだけは時間を取ろうかとも思っていたのですが、団体さんがぞろぞろ歩いて静寂を破っているのに気付いて、やはりパスして、Tさんがマーキングしてくれた第2のルートを急ぐことにしました。

さすが訪問者の多い銀閣寺ですので参道の入り口にトイレがあって、さらにバス乗り場の案内にも助けられました。
Tさんからはパスがなければタクシーでとアドバイスを受けていましたが、大丈夫、ちゃんとパスはありました。
京都くらいの規模の町での移動は、できる限りバスや地下鉄などの公共交通機関を使いたいものです。
また、できればバスやタクシーも含めて車は進入禁止にして、路面電車と自転車だけが走る町にするのが、議定書に名を残す京都としては理想でしょう。

銀閣寺道から北野白梅町までは、20分ほどの短いバスの旅です。

さて、作例写真ですが、法然寺付近のどこかで撮ったいかにも京らしい1枚です。
"在釜"とは、茶道の言葉で茶席がありますよ、という意味だそうです。
釜はもちろんお茶を飲むためにはお湯が最低必要でしょうから、それがあるなしで茶席を意味させるのはやはり風流という気がします。

和服の女性が門をくぐるだけで十二分に美しい絵になりますが、在釜の文字がこの近辺で撮った他の写真を押しのけて採用に至らせた大きなポイントになったのでした。
【M8/Cristar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Fuji Cristar 5cmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/12/21 Mon

大家都哲学

M8/Cristar 5cmF2
このルートの出発点の南禅寺でも、終着点の銀閣寺でも、この後の寺院でも、参観する時間はとりませんでした。
スケジュールがタイトだったというのが主な理由でしたが、拝観料の高さとも関係ないわけではありません。

500円~1000円の拝観料は、本来十分にその価値のあるものとは思いますが、すべて支払っているとかなりの出費になります。
前日、奈良で2000円ほどお支払いしましたので、今日は無料コースとさせていただきました。

そういえば、途中こんな話を聞いたことを思い出しました。
祇園で舞子さんを上げて遊ぶとトータルで30万円はかかるそうです。
わたしの手取り月収以上なのでとてもわたしにはできないですが、京都では一般の人でも可能なのでしょうかと問いました。
その方曰く、方法はなくはないが普通は無理でしょう、やはりお寺さんがあるから祇園は成り立っているのでしょうとのこと。

拝観料とは関係ないのでしょうが、何とはなしに観光客の落としたものが循環している感じが良いのではないでしょうか。

そんなことは哲学とは無関係ですが、すたすたと歩いたここは有名な哲学の道です。
ここでは土地のおばあさんすら哲学しているように見えますし、おばあさんの後ろに従う愛犬まで哲学的な思慮深さを感じさせてくれます。

右側の植物の淡い色が気に入ったこの場所でしたが、冬のモノトーンの空気の中で不思議な雰囲気を出しています。
モノクロ彩色写真のような味わいです。
【M8/Cristar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Fuji Cristar 5cmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/12/20 Sun

水路閣殺人事件

M8/Cristar 5cmF2
お世話になったふたりとは別れ、宿へ移ります。
翌日は京都を1日散策の予定だったので、京都に泊まるのがベターですが、まさか紅葉がほとんど終わった12月の寒い休日に混雑するとは思ってもいなくて、気付いた時には安い部屋はすべてふさがっている状態でした。
京都人気恐るべしです。

結局、大阪市内で部屋を確保しますが、これは正解だったようです。
半年前にオープンしたばかりのぴかぴかの安宿で、設備は申し分なく、1拍3300円でした。
ロケーションは通天閣に近く、労働者が集まるエリアのようです。
もしかしたらと聞きましたが、やはり例の英会話教師殺害の容疑者が潜伏していたのは、この辺りということでした。

翌朝は、6時には起きて近くを散策したあと、そうそうに京都に移動しました。
昨日も書いたように、TさんとGさんが京都のコースを2つ設定してくれていました。
この2つを廻り切るには、そうとうテキパキ歩かないといけないでしょう。

最初に着いたのは京都駅から北東に上がった南禅寺です。
建築や庭園の美しい大きな寺院ですが、ここでの見ものはTさんがサスペンスドラマで必ず登場と称した水路閣です。
琵琶湖の水を京都市内へ運ぶための水路ですが、南禅寺付近では架橋させた位置を通しています。
普通、橋は水の上を通るためのものですが、ここでは橋の上を琵琶湖からやってきた水が高低差を利用して京都市内へと向かって滔々と流れているのです。

ただし、この日は好天の日曜ということで、すごい人出です。
サスペンスの気分に浸ることは難しい状況ですが、偶然ほんの一瞬人の通りがぴたっと切れた瞬間がありました。
しかし、そこはサスペンスですから、なぜか犯行現場付近に腰掛ける重要参考人の美女を絡ませております。
千葉県あたりで殺人を犯した男が、大阪に逃げて整形手術までして潜伏しますが、訳あって京都でむかしの彼女と待ち合わせますが、整形がアダになって落ち合うことができなかったというストーリーではいかがでしょう。

この後、事件は意外な方向へ展開しますということもなく、わたしは教えられたとおりに哲学の道へと進んでいきます。
ちなみにTさんだけにこっそり耳打ちすると、関東近辺でサスペンスドラマに必ず出てくるのは、伊豆高原の連着寺付近の吊り橋です。
たぶん、水路閣と伊豆高原で何百人もが亡くなっているはずです(もちろんドラマの話)。


追伸。
ついに、今日、FCバルセロナがクラブチームの頂点に立ちました。
いま、最高の気分に浸っています。
【M8/Cristar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Fuji Cristar 5cmF2 | trackback(0) | comment(10) | 2009/12/19 Sat

感謝您們

M8/Cristar 5cmF2
奈良は、車でないとなかなか効率よく回りにくいと聞いていました。
ありがたいことに車を出していただき、1日で動く奈良としては完全攻略で移動できました。
しかし、大阪出発はおふたりの普段の行動からはだいぶ遅く、かつ大阪まで夕方に戻るというスケジュールはかなり無理があったのかも知れません。
申し訳ないことに、最後の奈良公園はかなり駆け足でした。

それでも途次、お昼に三輪そうめんをいただき、初めて食べる温かいそうめんや笹の葉寿司に舌鼓を打ちました。
美食家でも知られるおふたりですから、時間がなくても旅先では旨いものに固執する姿勢は立派だったことを付記しておきます。

有名な奈良公園ですが、知られざる絶妙な撮影スポットがここです。
確か、二月堂だったと思いますが、高台にあるお堂は奈良市内を一望にする警官が素晴らしく、登る人は多くいます。
しかし、その参道は右手からがメインで、そのまま引き返す人が多いため、この土塀小路のようなこの道は案外知られていないとのことです。
そういうところをいっぱい知っているのに、今回何度も感心させられました。

ちょうど向かいから白い傘が歩いてきたので撮影しましたが、よく見れば外国人でした。
ひとり歩く彼女とは、翌日も京都の哲学の道ですれ違ってびっくりします。
声をかければよかったかも。

この後、車を飛ばし大阪市内に引き返しました。
関西の光学機器の発信基地、M光機を訪れるためです。
ライカや一眼レフから大判まで、レンズがこれだけ充実している店はそうないぞと驚きました。
けっして広いとはいえない店内ですが、入口付近に旋盤がどーんと置かれ、コリメーターやらなんやらと店名にもなっている光学機器が所狭しと並んでいるのも壮観です。

店主のMさんが、また気さくな方でした。
銀座の敷居の高い店とは違って、開放的な雰囲気がありますし、初心者・一見さんでももてなそうというとっかかりやすさに親しみを感じます。
ちょうど他の方の接客振りを聞くとはなしに拝聴しましたが、丁寧ではあってもへつらわず、フレンドリーではあっても馴れ馴れしくない、Mさんの性格がにじみ出るような対応に感心します。

ライカ・マウントのコーナーに興味深いレンズが2本ほどあり試写させていただきました。
かなり惹かれるレンズでしたが、ボーナスが出るとか出ないとかもめている時期で、申し訳なかったですが購入は控えました。
ただ、ちょこっとツバを付けさせていただきましたが。

わたしはMさんとレンズ話するよりも、ひょっこり現れた常連さんの娘さんとずっとゲーム話に聞き入る、歓迎されざる客だったかも知れません。
とはいえ、この店は、地下鉄出口の真上で、大阪駅からも徒歩圏とアクセスがいいので、関西に行く機会があればぜひとも顔を出したいところでした。
わたしがカメラ店に好印象を持つのは珍しいことなのですが…。

最後にお好み焼屋さんに連れて行っていただき、長い1日は終わりました。
おやつくらいにしか食べたことのないお好み焼を、夕食にしたのは初めての経験です。
いろいろな具材をひとくくりにまとめてシンプルに焼いて食べるお好み焼は、中国料理に通じるところがあるように思いました。
それでいて、中身のほどよい柔らかさと外側の薄いパリパリ感を両立させる芸の細かさは典型的な日本の技と感じます。

食事中、翌日ひとりで歩く京都の地図上の道しるべを作ってくださいました。
いちばんいいものを見てほしいという気概を感じます。
Tさん、Gさん、早朝から夜遅くまでたいへんお世話になりました。
また、いっしょに撮影に連れて行ってください、そう言って夜の通天閣そばでおふたりとは別れました。
【M8/Cristar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Fuji Cristar 5cmF2 | trackback(0) | comment(10) | 2009/12/18 Fri

牙籤的尖端

M8/Dallmeyer 2594 4 1/2inchF3.6
談山神社という名前は初めて聞きましたが、この神社には日本史に登場する次のような歴史があるそうです。
すなわち、ここで催された蹴鞠会で中大兄皇子に近づいた藤原鎌足が、蘇我入鹿の暗殺を持ちかけたのに因んで、談山神社と名付けられたということです。
ですから、大化の改新の発祥の地とも言われているようです。

世界で唯一の十三重の塔がそびえていて、ご紹介すべきところですが、なぜか参道の土産売りの写真を出します。
深い意味は無くて、今回持ち出した長玉で撮った、ほとんど唯一人物をテーマにした写真だからということだけです。

9月の中国行で使用した、Dallmeyer 2594 114mmF3.6 でしたが、色が濁るというか、渋い発色傾向があって古いレンズはやはりダメかとの感想もいただいていました。
また、このときにレンズがもげるというトラブルもあって、しばらく調整に入っていましたが、ようやく修理から戻ってがんがん使用できる状態になっています。

それと同時に、以前感じた発色傾向も払拭されたように思われます。
今回の発色やシャープネスを見る限り、江戸時代の真鍮レンズ改造ものには思えないでしょう。
オールドレンズを復権させることができた満足感も感じられます。

さて、作例ですが、売り子のお嬢さんが手にしているのは名産の奈良漬で、ぽりぽり齧ってみると、けっこういけるなと思いました。
お嬢さん自体がまた、いけてるなというルックスだったのですが、TさんもGさんも関心がなさそうで、その話題は出せません。
気に入った奈良漬も結局購入には至りませんでした。
【M8/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(1) | 2009/12/17 Thu

円光照射起来

M8/Cristar 5cmF2
続いて訪れたのは長谷寺です。

このお寺さんも、室生寺と同様に深く嘆息ひとつつかずにはいられない、絶世感を覚えずにはいられません。
それを言葉に置き替えるのは難しいですが、あえて言えば山一つが総本山のようにそびえる壮大なスケール感と、そんな中に絶妙に配される建築の圧縮感の同居ということなのかも知れません。
さらに奈良時代から続く古寺ということを考えれば時間軸もはるか昔から連なっているわけで、宇宙的な広がりを感じます。

敷地内を散策しているときには、ホラ貝が吹き鳴らされるのも耳にしました。
お昼を知らせるためだったようです。
それすらが山の地鳴りのようにも聞こえ、荘厳な音楽のように響いているのがずっと耳に残りました。

こんなに圧倒されていては、写真に撮るというのは不可能というか、無意味なことのようにも思えてきます。
Tさん、Gさんの案内に頼り、話を聞きして、社寺巡礼の趣になってきました。

わたしはデジタルですからかなり乱写癖があるのですが、おふたりは一枚一枚を慈しむように撮られていて、奈良での撮影の流儀を教わる思いです。
特に驚いたのは、4×5も持ち出されて三脚も据えられたのですが、これで撮ったのは1枚だけ。
本当に必要な場面を見極めて、その時だけのために重い荷を解くということのようでした。

今回紹介する写真は、いつものとおり人物スナップだったり、人物を点景的に取り入れたものばかりです。
古都のすばらしさを伝える写真にはなりえていません。
上述のようにスケールの違いを思い知って、その打破にチャレンジするより、背丈に見合った普段通りの作例をアップしていくことにしました。

ですから、ここ長谷寺でも天空へ続くかのような回廊も、本堂の展望から望める五重塔の孤高も登場しません。
関心のある方は、それらを紹介する写真をご覧になったり、それよりもぜひ実際にご自身の目で見ていただきたいと思います。

作例は、石垣の向こうに現れたふたりの僧侶ですが、その石垣と石段の美しさだけでも絵になる美しさです。
背後の木の枝がつくるゴースト状の半円が、僧侶に差す後光のような符号になっているのが気に入りました。
【M8/Cristar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Fuji Cristar 5cmF2 | trackback(0) | comment(8) | 2009/12/16 Wed

聴到尺八的声音

M8/Makro Plasmat 3,5cmF2.7
大事なことを紹介するのを忘れていました。
今回、案内をかって出ていただいたのは、大阪のTさんとGさんです。

TGというとオール阪神巨人のようですが、もちろんそうではありません。
おふたりとも、ライカをメインに中判や大判も得意にする、オールドレンズの愛好家です。
特にレンズの描写に高い関心を持たれていて、その特性がもっとも出る開放での撮影を中心にされている点で、深い共感を感じられる方です。

ただ、レンズ開放だけを良しとするという訳ではなく、ポリシーを持って撮影しているのであれば、それを批判することなくアイデンティティを尊重する懐の広い考えを持っていらっしゃいます。
わたしから見れば師匠にあたる存在ですが、おふたりはレンズ愛好仲間として接してくださいました。
そんな関係で屈託なくいろいろと話ができるのは愉しく、時間は瞬時に過ぎて行きました。

世界でもっとも希少なライカ・マウント・レンズと言えるマクロ・プラズマット3.5cmも、おふたりのご好意によりお貸しいただき、何枚か撮影する機会に恵まれました。
見たことがある人すらほとんどいないこのレンズを使えるのはたいへんな栄誉です。

似たような渋い作例で分かりにくいとは思いますが、恐ろしいまでに高解像で開放とは信じ難い描写をするレンズでした。
もうひとつは、立体感のすばらしさで、ルドルフ博士はプラナーやテッサーで物足りなかった立体感をマイヤー入社後に徹底的に研究したのではなどと想像逞しくしてしまいます。

発色はやはり地味かなと感じますが、それを補って余りある諧調表現が魅力的です。
モノクロ手焼きなら、より特徴が再現できるのではないかと思われます。
35mmでは、最高峰のレンズと実感しました。

わたしが短時間で感じるよりも、より的確な文章は「世界のライカレンズPart4」に見ることができます。
そのまったく同じレンズが登場しています。
【M8/Makro Plasmat 3.5cmF2.7 F2.7】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Makro Plasmat 3,5cmF2,7 | trackback(0) | comment(13) | 2009/12/15 Tue

古都之旅

M8/Makro Plasmat 3,5cmF2.7
もうほとんど紅葉が終わってシーズンオフを迎えた奈良・京都。
何年振りか思い出せないほど久し振りに、ライカを携えて出掛けてきました。

もともとは、大阪で知り合いの結婚式があり、せっかくなのでもう1泊して京都に行くつもりでいました。
しかし、大阪と言えば大御所が存在します。
せめて食事でもお付き合い願えないかと恐る恐る相談すると、それなら奈良か京都のどちらかをご案内しましょうと快諾いただきました。

ありがたい話です。
それならばと月曜に有給をとり、奈良を案内いただいた翌日、ひとり京都を歩いてみたいと思いました。
次にいつ奈良・京都に行けるか分からないとの思いがあったからです。

さらに言えば、奈良は中学の修学旅行以来ですし、そのときどこへ行ったかまったく覚えていないくらいですから、実質的に初めて赴くようなものです。
交通アクセスが京都ほどよくない奈良を案内いただけるのは願ったりかなったりでした。
そうお願いすると、さっそくスケジュールを組んでいただきました。


さて当日、朝一番のフライトで着いたわたしをわざわざ伊丹まで迎えに来ていただき恐縮してしまいます。
いえ、本来ならば、まだ暗いうちから出掛けて早朝の中の最高の光線と空気の中で撮影するところが、当日のこのこ神奈川県から出てきたために、すっかり遅くなってしまったことの方こそ申し訳なかったと言うべきでしょう。
そのためトラブルにも巻き込まれてしまい、ますますご迷惑をおかけしてしまいました。

しかし、最初に訪れた室生寺でわたしは打ちのめされてしまいました。
なんと美しいところでしょう。
下界とは別世界のような空気が流れています。
一瞬にして、それまでの反省も霧散して、来て良かった、連れてきてもらい良かったと内側から込み上げるものを押さえることができなくなったのでした。
【M8/Makro Plasmat 3.5cmF2.7 F2.7】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Makro Plasmat 3,5cmF2,7 | trackback(0) | comment(16) | 2009/12/14 Mon

又可愛又富裕

M8/Primoplan 5cmF1.5
最後は、お約束の中国小妹シリーズです。
4日前、満を持して東北の愛好家向けに登場させた子守シスターズでしたが、何の反応もありませんでした。
妹はあまりに幼すぎ、姉は愛好家にとって歳とり過ぎていたのかも知れません。
申し訳ないので、下町の愛好家にターゲットを切り替えたのがこの写真です。

例によって、お茶しに行ったコスプレ・カフェで、ひとり漫画を読んでいた女の子が彼女でした。
服務員にあの人日本人よと教えられて、わたしの向かいに来て自己紹介を始めたのです。

Akiと名乗った彼女は、典型的な日本の漫画で育った少女で、普通「シューイエユエン」と中国語読みされる秋葉原を「アキバ」と呼び、日本に行ってそのアキバで遊びたいと目を輝かせています。

ずいぶん日本に詳しいので聞いてみると、深圳生まれの都会っ子で、漫画、アニメなどかなり日本の文化に囲まれて育ったようです。
毎日、香港の学校まで通って英語を習っているというし、日本にも家族旅行したことがあるというので、完全に特権階級です。
残酷なようですが、ここで働いている地方の農村出身の女の子たちとは違うということです。

あまり広東人っぽいルックスでないと聞くと、お母さんは黒竜江省出身だそうで、北のはずれと南のどんづまりのふたりから生まれた混血児と言っていいのかも知れません。

カメラを向けるとお決まりのVサインをする割には、かなりシャイなようで顔が紅潮してピンクになっています。
それが、また可愛い。
しかし、しばらくすると待ち合わせた彼氏が現れ、何事もなかったのように腕を組んで立ち去っていったのでした。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(8) | 2009/12/13 Sun

打鋼琴的少女

M8/Primoplan 5cmF1.5
風采中学のキャンパス(?)を歩いていると、何とも不思議な旋律が聞こえてきました。
最初、何かオペレッタのシーンかと思いましたが、場所を考えれば中国の音楽だと考えるべきでしょう。
聞き流してもいいのですが、何だか気になってしまい、音に導かれるように教室の中へあがりこんでしまいました。

中では、いかにも華奢な少女が一心に鍵盤をたたいていました。
たぶんわたしの気配は感じたはずですが、同級生と勘違いしたようで、顔を上げることなく中国的リズムを奏で続けます。
悪いとは思いつつも、その姿にシャッターを切らせてもらいました。

その音に気付いて、初めて目をあげわたしの存在を認めたようです。
しかし、それでも演奏する手は休めませんでした。
音楽に集中するエネルギーを感じます。

しばらくして曲は終り、わたしは写真を撮った無礼を詫びました。
よそ者が入ってきたこと自体を非難されるかとも思いましたが、ぜんぜん気にしていません。
どこから来たのかとか雑談になり、こういうときにわたしがよく使う「東京(ドンチンに近い発音)」と答えました。
一般的ないなかの中国人なら、そんな町がこの中国のどこかにあるのだろうという反応だったりすることが多いのですが、若くて、しかもピアノを習うような女性は違うようです。
すぐ、日本人だと察して、大喜びし、握手までしてくるのでした。

これが今の学生世代の女の子の普通の反応なのかも知れません。
相手はどんな奴でも、自分の学校に外国人がやって来たというだけで、驚きと同時に喜びが込み上げてくるのでしょう。
わたしもつられて嬉しくなって、かばんの中に入っていた羽田で購入のどら焼きを進呈しました。

これは日本のお菓子かと聞かれそうだと言いつつもどんなものかは説明に窮しましたが、ふと思いつき、ドラえもんって知っていると聞き、大好きと答えたので、そのドラえもんが好物で食べているアレだと教えました。
その時の彼女の狂喜乱舞は忘れられません。
外国製アニメに登場する外国の未だ見ぬ食べ物を突然現れた人がくれた、どんなに美味しいお菓子なのだろう…。
わたしは、どら焼きだけでこれだけ喜ばれたことを、藤子不二雄に感謝せずにはいられませんでした。

練習していた曲は、やはり中国の伝統的な音楽だそうで、来年の音大受験のために頑張っているのだと言います。
中学生なのに音大を受けられるのと聞けば、中学と高中(日本で言う高校)がいっしょにあるそうで、中国では一般的な学校のスタイルのようです。
音楽専攻のクラスに所属していて、クラスは30人くらい、うち男子生徒は4人、ピアノは必修だけど、専門は声楽とか他の楽器もあっていろいろ。

モーツァルトとかは弾かないのと聞きましたが、モーツァルトという言葉が通じません。
トルコ行進曲を鼻歌で歌うと、うーん、聞いたことはあるけど、弾いたことは…。
音大志願なのにモーツァルトやショパンを知らないというのは驚きです。

わたしも音楽好きなので、こんな子とずっと話していたかったのですが、そろそろバスの時間が近づいてきました。
1本送らせて最終バスにしてもよいのですが、今夜食事する約束もあったので、堅実な道を選びます。

そう説明して、別れを告げるともう一度握手してきました。
これは日本の習慣だからとか言ってハグしようかなとか思いましたが、ここは学校の中で警察を呼ばれてはたいへんだと思いとどまりました。

急ぎ足でバイタクのところまで戻りました。
バイタクが飛ばしてくれてぎりぎりバスに間に合いましたが、そのバスの中で偶然の出合いがあったのは、先に記した通りです。
開平の旅は、あまりにドラマティックに終了したのでした。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(6) | 2009/12/12 Sat

在推鉛球的少女

M8/Primoplan 5cmF1.5
三門里ですっかり日がかげっていましたが、バイタクの運転手に無理を言ってもう1箇所寄ってもらいました。
風采中学という学校です。
現在は中学校として使われていますが、もともとは高級な洋楼として建設され、その後転用されたものです。
また、この日最初に訪れたのが風采村という名前でしたが、位置は10キロ以上も離れていて関係があるのかは分かりません。

風采中学は開平の中心に近い所にあって、バスターミナルからも遠くなく、深圳に帰る間際に寄るのに絶好のロケーションです。
バスの時間を意識しながら、少し慌しく見て歩きました。
ただ、入場料を20元もとります。
この手の施設としては破格の料金で、少し排他的な感じすらします。
それにお金を払って学校の中に入っていくというのも妙な気分にさせます。

夕方ということで、下校する生徒がぞろぞろと歩いています。
クラブ活動も盛んなようで、こういうところは日本と変わりません。
ただ、ここは1915年に完成した、あまりに中国的な建物がでーんと鎮座しているという違いがありますが。

バスケットボール部の練習はちょうど終了するところで、しーんとなった校庭で、唯一残っていた砲丸投げ部(?)の部員たちの姿が目につきました。
右側の切れている方にはいかつい男子部員が投てきに力を入れていましたが、やはりここは紅一点の彼女にスポットライトをあてましょう。

まだ片手で投げることは許されていないのか、サッカーのスローインのように砲丸を何度も何度も投じています。
もしかすると、昨年の北京オリンピックに触発されて、砲丸投げを志すようになったのかも知れません。
がんばれと声をかけたくなる少女でした。


話しは変わりますが、バイタクで移動中に恐るべきものを目撃したので、こんなこと書いて大丈夫かと少し悩みましたが、報告したいと思います。
それはレストランの看板に書かれた文字で、見間違いかと我が目を疑い、運転手にそこまで戻ってもらいました。

そこにはまぎれもなく「特色猫肉、狗肉」と書かれていました。
狗肉の方は、中国ではすごく一般的でわたしも何度か食したことがありますが、猫肉を食べるというのは俄かには信じられません。
運転手に確認しましたが、開平では猫肉を普通に食するそうです。
そればかりか、途中通りかかった市場に猫が売られていなかったのに気付かなかったとまで言います。
一般家庭でも調理するということのようです。

わたしが興味を持ったのは食べたがっていると思ったようで、そこで昼食にするかと勧められましたが、さすがのわたしも丁寧にお断りしました。
その店で食事をするということは、仮に猫をオーダーしなくても、猫肉解体に使った包丁とか猫肉が並んだ食器とかを使うということで、それはとてもわたしの心臓ではできることではありません。
ちなみに、猫肉は鍋で食べるんだそうで、柔らかくクセもないので、かなり美味しい!、のだそうです。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(5) | 2009/12/11 Fri

足底按摩店的故事

M8/Primoplan 5cmF1.5
昨日に続いて、偶然の話がもうひとつあるので、これまたご披露しましょう(調子に乗り過ぎ?)。

深圳に戻った晩、洗脚に行きました。
洗脚とはフットマッサージのことで、中国や台湾でお馴染みの足裏を強く押すマッサージで、別名、足底按摩とも言います。

深圳では洗脚が格安で、1時間で300円程度のため時間を作っては足繁く通っています。
効果も抜群で、洗脚後は体が宙に浮いていると感じるくらい足が軽くなります。
開平を歩きまわってへとへとになった足の特効薬と言えます。

店に入ってしばらくすると、マッサージの女の子がやって来ます。
足底を押し出してしばらくすると、またしても、わたしはあなたを覚えていると来ました。
少しはえっと驚きますが、前述のようにわたしはかなり洗脚に来ています。
忘れてしまいましたが、きっと以前にマッサージしてもらったことがあるのでしょう。

しかし、ちょっと予想に反して、意外なことを話し始めました。
彼女は以前別の店に勤めていて、そこでわたしを見かけたというのです。
外国人は珍しいし、長身だったのでよく覚えているといいます。

どこの店にいたのか聞くと、確かにそこはわたしが以前通っていた洗脚店です。
ですが、そこは1年ほど前に潰れてしまっていました。
聞けば、働いていた女の子たちは(もちろん男の子もいます)店が潰れるや周辺の洗脚店に分散していったそうです。

そういうことであれば、こうして出合うのは大した偶然ではありません。
話しはちょっとだけ続きます。

その潰れてしまった店には、お気に入りの女の子がいました。
なかなかの美少女で、それにも増してマッサージ技術が高く、そこへ行くたびに彼女を指名していました。
そう、洗脚店では、お気に入りの女の子(もちろん男の子も)を指名することができますし、指名がなければマッサージは男がいいか女がいいかと必ず聞かれます。
ほんとは、どちらかと言えば力のある男の子の方が、気持ちいいのですが。

1時間とか2時間とか洗脚してもらうとテレビを見ててもいいですが、普通は自然に会話するものです。
彼女の名前や年齢、出身、携帯番号等は聞き出していました。
23歳でもちろん独身です。
店が潰れる直前にいっしょに食事したこともあります。

それなのに、うかつにも携帯番号を失くしてしまい、直後に店が無くなって彼女に会うすべを失いました。
もう2度と会うこともないかと思っていましたが、いま目の前でマッサージしてくれている女性がその彼女と親しいということが分かりました。
彼女は、わたしの話を聞いて、じゃあ次回3人で食事でもしましょうと提案したのです。
こう聞けば、すごい偶然の出合いを感じさせます。

しかし、ここから話は暗転します。
いろいろと話したところ恐るべき事実が分かりました。
彼女は23歳ではなく、28歳だそうで、まあ、それはいいでしょう。
そして、すでに子どもがいるのだそうです。
独身と言っていたのにと聞くと、それは本当、だって離婚したからときっぱり。

バスでの偶然があったので、立て続けに幸運が舞い込むかと思ったのですが、急にぺしゃんこに萎んでしまいました。
マッサージのうまかった子で、いま働いている場所も聞きましたが、のこのこと出向いていいものか。
おとなしそうな女性でも案外したたかなのだと気付かされた出来事でした。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(6) | 2009/12/10 Thu

年軽姐妹

M8/Primoplan 5cmF1.5
開平から深圳に戻るバスで、けっこうすごい偶然を体験しました。
いや、大したことではないかも。
ネタも尽きてきたので、備忘録的に記すことにしましょう。

帰路、開平汽車總站という開平一のバスターミナルからバスに乗り込みました。
半分ほどの乗車率というところです。
深圳へ向けて出発したバスは、開平東部のバスターミナルにも5分ほど停車します。
何人かがまた乗車してきます。

ここからはノンストップですので、トイレに行っておこうと思い、通路を挟んで隣の座席の若い女性にこの席見といてねと言ってバスを降りました。
戻ってみると、7、8人乗客が増えていましたが、お願いしていたためわたしの席は空いたままです。
隣の女性に礼を言うと、わたしはあなたを知っていると意味不明な返事が返って来ました。

えっと聞いてみると、彼女は深圳のラーメン屋さんで働いていて、そこで以前わたしが食事したのを覚えているというのです。
いついつ頃あそこでラーメン食べてた日本人でしょう、なんでこんな所にいるのと驚いているようです。
わたしは、彼女に記憶はありませんが、そのラーメン屋に行ったことがあるのは事実です。

半信半疑状態でしたが、なんでここへと聞くので、開平の調楼を見に来たと答え、彼女の方こそなぜここへと聞き返しました。
家族で姉の旦那の実家がある開平に来ていたとのことで、後部座席にその姉夫妻が、前の座席に両親がいて、思わずそこで互いにあいさつすることになりました。

話好きな親父さんは、この滑稽なまでの偶然を自慢するべく、まわりの人にいきさつなどを説明しだしました。
この話はバス中に伝播したようでざわめきが広がるのが分かりましたし、後ろの方にかけていた老人が、あんたが日本人かとわざわざ見物に来る始末です。
ああ、恥ずかしい。

人口13億を超える中国ですが、広東省だけでも8千万人近くが暮らしています。
深圳の人口も8百万人くらいだったと記憶していますが、そのうちわたしを知っている人が何十人といる訳ではありません。
1回食事した時に給仕しただけの女の子がわたしを覚えていて、250キロ離れた土地から乗り込んだバスで隣合わせる。
しかも、トイレに立つために話しかけたおかげで、あっあの時のと気付いたと言いますから、恐るべき偶然と思います。

翌日、件のラーメン屋に行ってみました。
なるほど彼女はウェイトレスをしていて、来た来たと迎えてくれました。
こんなにも偶然の再会でしたから、何かの重要な縁があるのではとの期待が正直無くはなかったのですが、少し会話して、ラーメン食べて、また会話して、あれ~というくらい何事もなく帰りました。
ここまで呆気ないと、昨日の偶然の出来事の方が夢だったのではと思えてきます。


さて、少し戻って開平市三門里からの作例です。
おとといの麻雀している側でのものですが、年端もいかない少女が妹(?)を抱いていました。
親は博打に夢中で、子守は子どもたちに押し付けられているというところでしょうか。

小柄なのでまだ小学生と思いますが、なんだか少し大人びて見えます。
妹もやはり、レンズをじっと見つめて弱冠0歳にして、目力は大人並みというところでしょうか。
そうは言っても、このふたりも成人するころには、麻雀に夢中になったりするのかも知れませんが。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/12/09 Wed

声音非常好聴

M8/Primoplan 5cmF1.5
昨日、ミノルタCLEを買った話を書きましたが、もうひとつの選択肢と悩んだことを告白します。
オリンパスEP-1です。
ライカマウントレンズが使えるコンパクトなサブカメラで、できればデジタルということになると、最有力なのがこのカメラでした。

ただ、液晶を見ながらの所謂コンデジスタイルのピント合わせは生理的に受け付けないかなと引いたりもしたのですが、12月にライブビューファインダーが付けられるタイプも発売されると聞いて第一候補に再浮上しました。

そんな折に、昨日お話したTさんからCLEの勧めがあり、ちょうど同時期にやった写真展ではギャラリーのオーナーがプリンターだということもあって、やはりサブはフィルムカメラかなあと心変わりします。
優柔不断です。
両方所有できればそれがいちばんいいのでしょうけれど…。

結局は、35mmフォーマットよりずっと小さなEP-1では、ライカマウントレンズを使い続ける自信がなく、これは諦めました。
CLEのゴールドに幻惑されたということもあります。

優柔不断に悩んで確信したことは、M8の相棒のサブカメラとしていま出してほしいのは、CLDということになりそうです。
CLEとEP-1の折衷デジタルカメラで、フルフレームまたはAPSサイズのライブビューカメラ。
CLDは、コンパクト、ライト&デジタル。
無駄な機能を削ぎ落として、格安のMマウントデジタルをぜひお願いしたいところです。


今日の作例は、自転車でやってきたモノ売りと買いにやって来たシルエットおばさんです。
わたしが幼少のころ、近所を自転車で流す納豆売りのおじさんがいたのを覚えています。
子ども心に「なっ、とぉーっ」という発声があまりに美しく、心地良さにしびれていたのを未だに忘れることができません。

写真のおじさんが何を売っていたのか聞き取れませんでしたが、美声という共通項は国境を越え、自転車モノ売りの普遍的真実となっているようです。
光の先からすたすたとやって来たおばさんが絶妙で、良い絵になるはずでした。

しかし、おじさんの立ち姿につられてしまい斜めってますし、まばゆい光から現れたというようには表現されていません。
撮った瞬間の喜びとは裏腹に、凡庸な1枚になってしまいました。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(3) | 2009/12/08 Tue

開平的麻将荘

M8/Primoplan 5cmF1.5
今回の開平では、M8に Primoplan 5cmF1.5 だけで撮影しています。
遠く中国まで出掛けてレンズ1本だけというのは、究極の装備と言えるかと思います。
すごい思い切りのようですが、実はそうではありません。
ボディをもうひとつ持って行ったのです。
ミノルタCLEです。

もともと以前からカメラ1台で大丈夫てすかと心配いただいていましたが、先般のM8シャッター幕故障で、真剣に対策を打つ必要性を感じていました。
ミノルタCLEはコンパクトながら扱いやすい好きなカメラで、サブカメラの理想形と思っていましたが、あいにく電子シャッターが動かない状態になっていました。

先月子安に誘っていただいたTさんにそのことを話すと、CLEのシャッターは修理可能なので出されてはとアドバイスをもらいました。
調べてみるとなるほど修理は可能ですが、かつて高価だったCLEも相場はかなり下がっていて、修理代プラスαくらいで中古を購入可能ということも分かりました。

そういえば、中国で修理すれば安くつくかなどと逡巡していると、さらにレンズ付きのCLEプラスβくらいでCLEゴールドが売り出されているのを発見しました。
ゴールドと言えば中国です。
中国へのサブカメラでこれを持って行けば受けるし、好い写真も撮れるのではと、途方もない方向に想像が飛んでしまい、こうなると抑止力も働かなくなって、えいやで購入してしまいました。

ついに金ピカカメラに手を出してしまいました。
到着したCLEは並品よりちょっといいというような説明に反して、わたしの基準ではなかなかの美品です。
キズや手ズレといったものはありません。
これが、実は障壁となって、わたしの前に立ちはだかることになりました。
今まで、新品で買ったM6もR-D1も旅先で酷使して、たっぷり使用跡を付けて平然としていましたが、このCLEゴールドを同様に扱うことができないのです。

今回の海平ではタオルでぐるぐる巻きにしてバッグに忍ばせていたのですが、キズつけたりするのを恐れるあまり、なかなかバッグから取り出せません。
サブカメラとして持って行ったのですから、それはそれでいいと言えばそれまでですが、結局数枚撮っただけで、実質精神安定剤的な役割しか与えることができませんでした。
今後のCLEゴールドの扱いにも苦慮するところです。


またまた前口上が長くなりましたので、そろそろ作例について。
三門里には、とても有名な調楼があります。
迎龍楼と名付けられたこの調楼は、他の調楼に見られるような西洋の影響がまったくありません。
なぜかと言えば、苦力や華僑を輩出する前の15世紀に建てられた調楼だからで、純中国式の建築になっています。

住居が取り囲んでしまって、5cm レンズではその全貌を捉えられませんので、このような作例にしています。
迎龍楼の後側はちょっとした広場になっていて、バスケットボールや太極拳くらいは余裕でできそうですが、そんな広いスペースのど真ん中で雀卓を囲んでいるのが大陸的に感じました。
これぞ中華思想というものでしょう。

広場の中心で自摸!と叫ぶ、のも聞くことができました。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(6) | 2009/12/07 Mon

近代的古典農法

M8/Primoplan 5cmF1.5
先日ブログ中で、使用した Primoplan 5cmF1.5 の構成は分からないが、4群5枚の Primoplan F1.9 の2群目の貼り合わせ枚数が増えているのではなどと適当な推理をしてみました。
すると ksmt さんが構成図を探してくださり、F1.9 と変わらない4群5枚だと判明しました。
ksmt さんにお礼申し上げるとともに、自らの不明を恥じ入るばかりです。

Sonnar F2 と F1.5 との違いから、同様の構成変更を予想したのですが、そうではなかったようです。
よくよく考えれば、Sonnar では1枚増やした F1.5 タイプかその後主流になっていることを考えれば、Primoplan だって F1.5 のバリエーションが出てこなければいけないはずです。
他に見かけるのは、25mmF1.5 だけですから、やはり F1.9 こそが本流で、F1.5 タイプは何かしらの理由を持って同構成から少量製造されたとみるべきです。
本当は、その理由などを突っ込んでいかなければいけないところでした。

しかし、これ以上調べられることもなかなかないでしょうから、F1.5 への探求は行き詰まってしまったということになります。
残念ですが、このへんで打ち止めになりそうです。

ただ、5cmF1.5 というスペックのレンズはかなり出ていますが、そのほとんどがダブルガウス型かゾナー型に大別されるのに対して、このプリモプランだけが知りうる限り唯一のエルノスター型ということで、やはりずっと気になる存在です。
Hugo Meyer らしい偏屈さがそうさせたのか、とにかく希少なレンズとしてのプリモプランはしばらく使い続けたいと思っています。


さて、作例に行きましょう。
沃秀村と福和村は隣接していますが、有名な三門里もすぐ近くだったのには驚きました。
昨年開平を訪れたとき、いちばん最初に歩き始めたのが三門里だったので、懐かしくもあって立ち寄ってみました。

時差が日本とは1時間ある中国ですが、開平でも3時になるとけっこう夕方の気配です。
そのタイミングがよかったのか、刈りいれた米を自然脱穀(?)している風景が待っていました。
いえ、これはすでに脱穀が終わって、天日干しするのに不純物を取り除く作業でしょうか。

ご主人がモミをザルに豪快に放り込み、それを受けた奥さんが扇風機でゴミを飛ばしつつ、さらさらと路面に落としていっています。
あいさつすると写真を撮っているのがバレて、恥ずかしいとそっぽを向かれてしまいました。
シャイなお母さんです。

構図がパッとしませんし、絞り開放に固定していたので扇風機の羽根が止まってしまったのがいまいちですが、広東省でこんな風景を撮影できるのは嬉しいことです。
夜、深圳に戻ってからの食事でご飯を一噛みするとき、つい思い出しては米の味が深く感じられてしまうのでした。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/12/06 Sun

在故郷上装飾編錦

M8/Primoplan 5cmF1.5
未舗装路をよたよたとバイクは走り抜け、福和村というところまでやって来ました。
ここにもおとといの沃秀村同様、いくつかの調楼や西洋風建築が並んでいます。
それらを間近に見ながら村の小道を歩き進んで行きます。

小道が終わり切ったところで、運転手が「おおっ」と声をあげました。
木に覆われかけたこの調楼は、開平地元の彼が、以前から写真やテレビで見ていてどこにあるのか気にかかっていたその調楼だとのことです。

地元の農夫にあいさつして、調楼まわりを一巡りします。
刈り入れの終わった広い地面にぽつんと建つ調楼は、すでに主を失って久しく、孤独を滲ませているように感じられます。

今度は、「おおーぃ」と運転手が声を出します。
見れば彼は調楼の窓にいました。
扉が開放されていて、この調楼は登ることができました。
これは珍しいことで、いままで見た調楼は去年行った立園の有料のものを除き、すべて施錠されて侵入を許しません。

数日前の沃秀村の低い建物と違い、この調楼の最上階から見下ろす世界はなにか浮世離れしているように見えます。
突然のこのここの村にやって来て知らない土地をパノラマのように見た感覚というのは、瞬間移動で知り得た世界のように感じられたのです。
先ほどの農夫が、たくさんのアヒルを引き連れてエサをやっている姿が豆粒のように見えますし、はるか地平製の先には我々が通って来た国道上を何台かのバイクが通り過ぎるのも見えます。
100年前のここ開平の人が見ていた風景であり、見えない風景でもあるでしょう。

ところで、謎に満ちた調楼ですが、違和感いっぱいの建築にはこんな理由があります。
かつて新大陸と言われたアメリカでゴールドラッシュがあったとき、労働力として多くの中国人が渡っていったことは知られています。
そのうちの多くが広東人だったのです。

苦力と呼ばれた彼らは、安い労働力として酷使され、多くが志半ばにして挫折しました。
しかしなんとか頑張って現地に根を張るような人たちも少なからずいました。
そんな人たちの中には開平出身の人が多くいました。
彼らはアメリカ東海岸を中心にカナダやメキシコにまで広がり、生活を営みます。

それからしばらく経って暮らし振りは安定していたものの、帰国を決意する者も相次ぎます。
晩年は故郷でという気持ちが働いたのでしょう。
親戚が多くいるうちに故郷に錦をという気持ちも働いたと思います。

折しも清朝末期、彼らが戻った開平の治安は乱れに乱れていました。
防衛を兼ねた重厚な家を建てることにしたのですが、その建築様式に彼らの暮らしたアメリカ大陸のものが採り入れられます。
そして、それはいつしか開平での流行になり、平生が戻ってからも同様の建築が定着されるようになったようです。

以上は、以前に見たNHKの開平を紹介する番組から記憶を頼りに綴ったもので、少々の記憶違いがあればお許しいただきたいのですが、大筋ではこんな感じだったかと思います。
このような建築様式は、開平と一部周辺にしか無いと言われています。

広東の田舎にあって場違いな印象を与えた調楼ですが、樹木に覆われることで文字通り地元に根を張ることができたということになるでしょうか。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(8) | 2009/12/05 Sat

星星或者太陽?

M8/Primoplan 5cmF1.5
キノ・プラズマート、マクロ・プラズマートほどではありませんが、プリモプランもフーゴ・マイヤー(マイヤー・ゲルリッツ)を代表する人気レンズです。
プリモプランと言うと、M42やエクザクタ・マウントの58mmF1.9がたいへんポピュラーで、入手も容易です。
また、同スペックのライカ・マウントのプリモプランもあります。
これはかなりレアなレンズで以前300,000円ほどで売られていたのを見たことがありますが、おそらく10,000円くらいで売られているM42と同じレンズが、マウント違いでこんなに価格が違っていいものかの代表と言えます。

ライカ・マウントでは、75mmF1.9などというのもありますが、これはほとんど幻の世界でしょう。
有名ながら誰も見つけられないのが、50mmF1.9です。
先端がキノコのカサのように少し広がった、マイヤーの通称"毒キノコ"のうちの1本です。
これは、ある方のご好意で短時間使わせていただいたことがあるのですが、なんともふわーっとした柔らかさと中心のシャープさがあってボケの美しい魅惑的レンズでした。

この体験から、プリモプランへの憧憬が始まります。
一眼レフ用の58mmF1.9はあれだけあるし、75mmF1.9も高いですが市場にしばしば登場します。
それなのに、50mmF1.9は、どのマウントでもいいのに出てこない…。

1年以上逡巡するうちに、それは唐突に現れました。
50mmですが、F値は1.9を飛び越えてF1.5。
マウントは謎のシネ用と思しき正体不明のヘリコイド付きレンズです。
35mmフォーマットをカバーするかは定かではないし、かなり高価ですが、迷わず購入しました。
何しろ珍しく、このチャンスを逃せばもう2度と出合えないかも知れません。

到着したレンズは、そのままMSオプティカルに手渡されました。
ライカ距離計連動改造のためです。
そして、プリモプランはヘリコイドをそのまま生かす形で、見事にライカ・マウントとなって戻って来ました。
美しい姿を見て、これは絶対にすばらしい描写をしてくれるに違いないと確信しました。

ところで、このレンズの構成はどうなっているのでしょうか。
F1.9のプリモプランは、4群4枚のエルノスターの2群目を貼り合わせにした4群5枚で、典型的なエルノスター改良型、またはプリモプラン型とも称される構成です。

存在すら知らなかったF1.5プリモプランは、資料もなく、正確な構成は分かりません。
ただ、ゾナーがF2からF1.5に明るくするために後群を2枚から3枚に増やしたように、プリモプランでも改良が加えられている可能性があります。

レンズを蛍光灯に当てて見てみます。
絞りを挟んだ後群はやはり1枚だけです。
前群はやはり3群であるのも間違いなさそうですが、問題が貼り合わせの薄い蛍光灯の反射で、これが微妙に1つにも2つにも見えます。
どうしてもここが判定不能です。
もし貼り合わせ2枚なら、ゾナー型に限りなく近くなります。
ここは調査しなくてはいけない重要なポイントです。


さて作例は、めずらしく最短距離付近での撮影です。
これではボケのチェックは厳しいですし、明暗差が大き過ぎてハイライトが飛んでしまっていますが、網の描写がすばらしく気に入りました。

前方の人物は、昨日お話したバイタク・ライダーの朱さんです。
わたしに見せるものはないかと物色しているさまが分かるでしょう。

そうそう、書き忘れましたが、今回の中国行はこのプリモプラン1本で来ました。
わたしの信頼度が分かってもらえるでしょうか。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(8) | 2009/12/04 Fri

包摩托車的事情

M8/Primoplan 5cmF1.5
これまで3日間ほど、自身に関することばかり書き連ねて、肝心の旅のこと、レンズのことに触れていません。
こんなではいけないという反省で、今日は開平の旅の行程について説明いたしましょう。

開平は、広東省の中心からやや南西に位置しますが、滞在した深圳からは約250キロも離れています。
東京からだと浜松や郡山くらいの距離で、ずいぶんと距離があるのに驚きました。
香港から鉄道で深圳に行くと羅湖口岸というイミグレーションに出ますが、そこに大きなバスターミナルがあり、ここから7時半の朝一番のバスで開平に向かいました。

料金は80元で、これは邦貨にして1000円強。
バスガイドというか服務員のお姉さんが同乗して世話を焼いてくれますので、最初の目的地、沙崗に着いたら教えてねと依頼します。
これでひとまず安心、シートを倒してしばしの眠りに就きます。

3時間かかると聞いていましたが、2時間15分ほどとずいぶんと早く着いてしまいました。
土曜の朝ということで空いていたということもありますが、中国はじめアジアのバスは早く着けば運転手の休憩時間も長くなるからでしょうずいぶんと飛ばします。
ありがたいのと危険とが背中合わせです。

沙崗鎮の中心からバイタクを拾ってまずは風采村へ行きました。
風采村をしばらく歩いて、東渓里に向かうのですが、ここで拾ったバイタクはなかなかわたしの旅の要領を心得ていて、結局この後の行程をずっと共にすることになります。

小さな2輪に二人乗りするバイタクは、バスなんか問題にならないほど危険と隣合わせです。
過去に転倒も経験していますし、バイク事故を目撃したことも1度ではありません。
ドライバーの力量の見極めは重要で、若過ぎず歳行き過ぎずの40歳前後のがっちり体型の人が理想と思います。

2輪運転技術もそうですが、乗客が何を望んでいるかを理解する能力もまてた重要です。
わたしが、古建築はもちろんですが、遊んでいる子供や日向ぽっこの老人の写真をばしばし撮っているのを見て、廃墟に近い調楼よりも、その周辺にある住民の生活に関心があるんだなと見抜いたようです。

普通バイタクは、目的地で降ろしてここで待っているからと、乗客が勝手に歩くままにしますし、その方がわたしにとっても都合がいいのですが、彼の場合はこちらを歩いてみてはと古民家の間を案内するように同行し、人がいれば家がどのくらい古いかとか人口はどのくらいなどと聞いてくれます。
何よりまず、現地の開平語でこんにちは、調楼見学に来ましたとやわらかく話しかけて、不審人物でないことをたちどころに先方に理解させてしまうので、なるほど歩きやすくなりました。

そんな様子を見て、割高になるのを承知で彼のバイクをチャーターすることに決めたちいう訳です。
最終的に恐らく20キロほど走って6時間同行してもらい、言い値の100元支払いました。
連れて行ってもらった鶏飯屋(?)の8元のランチも御馳走したので、トータル108元です。


作例は、沃秀村付近の風景で彼のバイクに跨ったまま撮ったものです。
彼だってそこそこのスピードを出しますが、少し奥地に入ったこのあたりが未舗装だったため、慎重な運転をしてくれていたおかげで撮れた1枚でした。

刈り入れが終わった秋の田園風景の中、左に無骨な調楼、中央に優美な洋館が並んでいて、村の美しさが際立ちます。
ただ、建物が古色を増している今から見れば美しいと感じますが、100年前だかの建設当時は、牧歌的風景の中にあまりに唐突なものに見えたのではと想像します。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(10) | 2009/12/03 Thu

楼上的風景

M8/Primoplan 5cmF1.5
昨日は、中国までのコストは国内の長距離地域に行くよりも割安だということを書いたつもりでした。
しかし、それでもやはり、高収入だからできるのだと批判的なご意見もいただいています。
連日弁解で情けないですが、じつは苦労してるんですということをお断りしておきたいと思います。

まず、わたしが働いているのは、全国規模ながら給料が安いことで有名な、その末端の組織です。
毎月の薄給を慎ましくやり繰りしている訳です。
以前は、毎週末のように呑みに出掛けていたのを一切やめ、昼食は毎晩スーパーで半額に下がったお弁当を買って翌日こっそり食べ、休日はなるたけ車に乗らず自転車で移動してなどなどかなりの節制生活を課しています。

節約志向は旅先でも続いていて、ホテル代、食費はリーズナブルなところを利用していることは昨日書きました。
もともとわたしの旅のポリシーとして、旅先でも日本国内の生活と同じように旅し暮らす、というのがあるからです。
初乗り120円とリーズナブルなのタクシーもなるべく使わず、市民の足であるパスに乗りますし、ビールが飲みたくなってもバーなどへは行かず、コンビニで買ってホテルでさびしくコップを傾けます。

周囲の皆さんに申し訳ないのは、向こうではまずお土産を買ったりしないことがあります。
せいぜいスーパーでお菓子を買う程度で、行きも帰りも荷物はほとんど変わりません。
かつては、親しくなったお茶屋さんで高級鉄観音茶を買っていましたが、嗜好品は贅沢品と感じ、日本の税関でお茶に目をつけられて執拗なチェックを受けるに及んで、このお茶屋さんには足を向けなくなってしまいました。

何も買わないということは、荷物をコンパクトにすることにつながります。
空港チェックイン時に荷物を預けないと、到着して真っ先に移動できます。
以前に書いたように深夜/早朝便を使っていますので、荷物をキャリーオンにしたため最終バスに間に合ったりということもあったりして、これも節制に直結することになります。

荷物は、RIMOWA製のジュラルミン・スーツケースに入れていますが、毎度毎度使用してかれこれ5年になりました。
購入時にはこんな高いスーツケースが必要かと自問しましたが、これだけ使い込むと元を取ったのではと実感します。
完全防水のケースは雨の多い華南で重宝ですし、空港ではビジネスマン風に見えるせいか、職員の対応も丁寧に感じられます。
少しペコペコになってきていますが、まだまだ使い続けられるでしょう、わたしの旅のツールとしては最良の相棒になっています。


さて、開平の旅とは関係のない話が冗長に過ぎましたので、作例いってみます。
開平市塘口鎮沃秀村という所に移動しました。
2階建てと低くても、これも調楼で、村では道具置き場のようにして利用していました。

ちょうど梯子を片づけるところだったので、頼んで中を見せてもらいます。
部屋のひとつにカレンダーがかかっていて1996年になっていましたので、その当時までは暮らしていた人がいたのでしょう。
鏡や額がかかっていたのを除くと家具などはほとんど見られず、当時の暮らしの様子を想像することもできません。

上階のベランダに出てみると、さわやかな田園の風景が広がっていました。
ところどころに農作業する人の影が確認できます。
調楼はすっかり風化して主人すらも失いましたが、この風景は当時と変わっていないのだろうなと、漠然と想像しました。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/12/02 Wed
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