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第2次開平的旅

M8/Primoplan 5cmF1.5
先週末、またしても中国まで出掛けて来ました。
今年はほぼ毎月、というよりも完全に毎月彼の地を往復したことになります。
あいつは一体何をやっているんだとか、何かの運び屋らしい等の噂が立つに及んで、そのへんの事情を簡単に説明させていただきたいと思います。

まず、わたしは一介のしがないサラリーマンです。
仕事も中国とはいっさい関係ありません。
出張とか現地採用とかではなく、有給をとって自費で出掛けています。

土日にくっつけて有給を2日取れば、3泊4日の旅が成立しますが、やはり通常月で4連休は日本人のメンタリティ的な問題で難しいものがあります。
そこでありがたいのが、昨年就航した、往路羽田夜間発香港深夜着、復路香港深夜発羽田早朝着の便です。
これですと、例えば金曜日を有給にすると、木曜の仕事帰りに羽田に行って、金土日をほぼフルに滞在、それから月曜朝に羽田から勤務先にそのまま向かえば、通常の3泊4日の旅より現地滞在時間が長くなり非常に便利になりました。

ただ、まあ行きはいいとしても、帰りは4時間ほどのフライトで朝7時頃に羽田に到着してそのまま仕事をするわけですから、かなりハードなスケジュールだということは間違いありません。
老体に鞭打つ過酷な旅ですが、その分現地では緩~く過ごして相殺させているというところです。


と、前置きが長くなりましたが、今回は昨年6月に訪ねた広東省開平を再訪しました。
開平の有名ポイントは前回かなり訪れたので、今回はマイナーなところを選んで歩いています。
作例は、最初に着いた風采村という古鎮です。

調(正しくは石ヘンです)楼と呼ばれる、少し背の高い建物が6つほど見えています。
しかし、この村はかなり開けてしまったため、調楼が建物の中に埋もれてしまい、近くからはほとんど見えません。
この写真は、向かいの塀に建物の途中まで登って、ようやく頭が出ているところを撮ったものです。

わたしは正直なところ、この建物の連なりが到底美しいとは思えません。
調楼は、建物としてはかなり異質ですから、他の古建築と釣り合わないのです。
ですから、調楼が孤高の存在のようにそびえるような所は良いのですが、村の中に寄り添うように建っていてもわざわざ訪れたくなるような味わいは感じません。

風采村は、古鎮としても古建築の密集度として魅力に乏しいのですが、狭い路地が四通八達していて、散歩して歩くには愉しい村でした。
次回は広角レンズを活用して、調楼の異質さを強調した何かを表現したいと思いました。
【M8/Primoplan 5cmF1.5 F1.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Primoplan 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/11/30 Mon

介紹一下

M8/Sonnar 5cmF1.5
散策会の最終回になります。

5キロ近くも歩いてだいぶ着かれたので、ぐうぜん通りかかったしゃれたカフェで休憩しました。
日が短く、ここでしばし歓談してから横浜駅に出て、解散しました。
メンバーのほとんどの方はわたしより年上でしたが、足腰を鍛えているのか、たいへん健脚だったのが強く印象に残っています。

わたしを含めて参加者は7人でしたが、機材がバラエティに富んでいましたので、簡単にご紹介しましょう。
まずわたしは、M8にレンズ2本です。
ベテランの方が多いと聞いていたのでウケそうなレンズをと思い、六櫻社名のヘキサーとブラック&ニッケルのゾナーを持参したのですが、あまり関心を持たれませんでした。

ゾナーには鏡胴に「徳国制」と Made in Germany を中国語で表記した刻印があるもので、実はと言ってお見せしたのですが、それもウケとしてはいまひとつでした。
残念です。

他の方は順不同、匿名で簡単に記させていただくことにします。

まずはお誘いいただいたTさんですが、この日はライカR8と Zeiss Ikon で参戦されていました。
R8というのがわたしには新鮮で、おもしろい形態をしたカメラですが、これにお気に入りというズミルクス50mmを付けてかなり真剣に絵作りされていたのが印象に残っています。
ちなみに Zeiss Ikon の方は、エクトラ・エクター50mmF1.9 のマウント改造版を付けていました。
真面目と不真面目の2本立てでしょうか。

Tさんの奥さんは写真学校の学生さんで、課題作成も兼ねてとのことで、オリンパスのデジタルをお持ちでした。
課題が日中シンクロということで、ひなびた子安でピカピカさせていたのが印象に残っています。
M8に興味を示されていたので、ぜひぜひお使いいただけないかと願う次第です。

写真展でお会いしたKさんは超ベテランで機材も年季が入っています。
ボディだけでも130台以上お持ちだそうで、すごいのはそのすべてを臨戦態勢に調整されていていることで、ほぼ毎日違うカメラで撮影されているとのことでした。
この日は不思議なリコーの金色の銀塩一眼レフで楽しまれていました。

H氏は、型番こそ忘れましたが、ゼンザブロニカを使って渋く撮影に没頭していました。
譲り受けたカメラだそうで、まだ使いだして間もないようですが、ウェストレベルのファインダーを覗く様子がプロ写真家を思わせます。
ブロニカを使っている人をわたしは初めて見ました。

ウェストレベルと言えば、Wさんは何とディスタゴンの付いた二眼レフ、ワイドローライを使っておられました。
たいへん希少な、すごいカメラです。
こだわりも気合が入っていて、純正フード、革ケース、ストラップ、どれもピシッと決まっていました。
撮影姿勢も美しく、わたしは失礼ながら何枚か被写体にさせていただいています。

おおトリはNさんですが、使用機材はペンタックスの2台のデジタル一眼レフを両肩に撮影されていました。
液晶で見せてもらいましたが、金属ゴミ捨て場の柔らか毛のネコとかかなりすごい写真をたくさんものされていました。
もともと645を山登りに愛用されていたそうで体力と写真情熱が傑出していると感じます。


愉しい散策会は、冬至に近い日の短さもあってあっという間に終わってしまいました。
もし、またお誘いいただけるなら、ぜひ参加したい撮影会です。
メンバーが個性的かつ紳士・淑女で構成されていて、楽しいばかりでなく勉強になりました。
ここに深くお礼申し上げる次第です。
【M8/Sonnar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 50mmF2(Contax) | trackback(0) | comment(4) | 2009/11/29 Sun

廃船与廃線

M8/Sonnar 5cmF1.5
散策はお昼をはさんでだいぶ横浜駅側に進んできました。
いえ、そのお昼ですが、浦島町というおとぎ話のようなところに、どうしたわけか中国料理の店ばかりが4件も並んだプチ横浜中華街でとりました。

上海から来たという女性店員に、どうして中国料理店ばかり並んでいるのか聞きますが、回答は要領を得ません。
この辺も子安エリアの謎ということにしておきましょう。
ちなみに料理は量も多く、なかなか美味しかったです。

歩き進んでいくと、入江川に廃船が打ち捨てられていて、これはまた好い写真の材料ですが、ちょっとおどろおどろしい感じがして、ここには採用しません。
夜なんかだと、何かの住処になっていそうで怖いです。

それをさらに過ぎたのが作例の鉄橋です。
写真がまずくて分かりにくいですが、こちらは旧国鉄の廃線とのことでした。
船も線路も使われなくなれば、普通は役立たずでどこかへ隠してしまいたいものですが、この地域は逆に観光の目玉になります。

観光というとやはり大袈裟ですが、このあたり、散策会のメンバー以外にもけっこうカメラを持った人が歩いていて、意外に知られた撮影スポットなのかも知れません。
ローライSLだか6x6の一眼レフを持った若者を見ましたし、デジタル一眼の人はそこそこすれ違います。
E-P1に改造レンズの二人組にも出くわしました。
もう少し早ければ、彼らには写真展の案内をしたかったのですが…。

午後の太陽を浴びた鉄橋は、金属部分も石の橋げたも実にいい色でカメラマンたちを魅惑します。
水もにごりがあるためか、かえって橋や空をいい具合に反射していて、写真の演出に一役も二役も買ってくれます。

今回ご紹介できませんが、この近くには貨物線の駅があって、かつて操車場だったような跡地が魅力的でしたし、開国前後にできた砲台場の跡の石積みが史跡のように残っていました。
市場通りや周辺のバラックのような建物の並び、いずれも撮影に魅力的なものばかりです。
横浜駅まで、あと15分ほどの至近にも関わらずです。
【M8/Sonnar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 50mmF2(Contax) | trackback(0) | comment(2) | 2009/11/28 Sat

小猫和藍影

M8/Sonnar 5cmF1.5
ちょっと小休止。
今回は、撮影枚数が少なかったので、なかなか1週間分の写真を出すのがきつくもありました。
わたしはネコが苦手なうえに、ネコ写真を専門にされている方もいるので、ネコの写真はアップしない方針でしたが、背に腹を代えられない状況に陥りました。

この小ネコちゃん、体長20センチほどで、生まれたばかりなのかも知れません。
釣り人の脇で行ったり来たりと落ち着きがありませんでした。
ひもでつながれていて、ちょっとかわいそうな気さえしました。

コンタックス=ライカ・アダプターは最短撮影距離90センチなので、ライカ・スクリューマウントの純正レンズより寄れるのがいいです。
開放、90センチで、落ち着かないネコに奇跡的にピントが合っているように見えます。
しかし、このアダプター、ピント精度はいい加減で、実はMSオプティカルでかなり綿密に調整してもらっています。

アダプターは香港製だったり、南米製だったりというケースが多く、リーズナブルでもあるのですが、もし使用されていてピント精度に疑問を感じられたら、問い合わせられてはと思います。

先週の築地や写真展関連の写真で Nikkor 5cmF2 を使いましたが、これも同構成・同スペックです。
製造年代や硝材、あるいは未知の設計変更など両者の違いはあると思いますが、だいぶ描写に違いがあるように感じます。

まずはっきりと言えるのは、青みがかった発色です。
ここでは影が青っぽくなりましたが、他のカットでも青系という印象は強いです。
シャープネスは、このゾナーも十分にありますが、やはりニッコールの方がかなりピシッとしています。
あわせてコントラストも明らかにニッコールが上回ります。

ではゾナーはニッコールに比べてダメなのかと言えば、それもまた違う気がします。
ニッコール紹介時にボケがいいと連発していましたが、やわらかみあるなだらかなボケはゾナーのどのカットにもあって、ニッコールより美しさを感じさせる特長になっているようです。
それもあってボケの広がりが分かるネコのカットを選んだということもあります。

ベルテレが、エルノスターを発展させたゾナーを開発したのが1931年です。
それからわずかの時間でコンタックスI型の標準レンズに君臨しています。
これだけでも驚愕の事実です。
【M8/Sonnar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 50mmF2(Contax) | trackback(0) | comment(6) | 2009/11/27 Fri

黒色和金色

M8/Sonnar 5cmF1.5
今日もまた子安駅からほど近い富士見橋付近からです。

入江川に沿って長屋のように建物が並んでいました。
かつて船宿だったり、倉庫になっていたり、車庫だったりと様々です。
さらには、川に向ってはしけが渡してあったり、船に直接乗ることができたりなど、陸と川が一体化したこの土地ならではの風景を見ることができます。

その建物と建物の間を縫って、釣り糸を垂れている人がいました。
人ひとり分の細い路地を縫って釣りするさまは、ワカサギの穴釣りを連想させるものがあります。
狙っているのはハゼのようで、バケツに数尾泳いでいるのが見えました。
じっと見ていると手製(?)の和竿を振っていて、風情いっぱいです。
このへんも子安ならではでしょうか。

さて、レンズについてですが Sonnar 5cmF2 に替えています。
以前もコンタックス用のゾナーをコンタックス=ライカ・マウント・アダプターでR-D1で使ったことがありますが、その時は一般的な Jena 製のクローム鏡胴でした。
今回は違います。
ブラック&ニッケルの1930年代のコンタックス初期の鏡胴です。

後のクローム玉とはどう違うのでしょうか。
見た目はブラック&ニッケルの方がずっとかっこういいと思いますが、写りについてはよく分かりません。
ノンコートということもあって、少なくとも逆光にはかなり弱いことが分かりました。
そのまま写すと、画面の半分を覆うゴーストが出ました。

左手をレンズにかざしてハレ切りすると大幅に改善されます。
しかし、それでもコントラストはだいぶ落ちてしまっています。
高齢のレンズですから、大切に使って、好い条件下で試してあげないといけません。
【M8/Sonnar 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 50mmF2(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2009/11/26 Thu

莫奈的影響

M8/Hexar 10.5cmF4.5
おととい、昨日と同じ場所からになります。
地図を見ると、ここの橋は富士見橋とありました。
新たに埋め立てられた土地に作られた橋なので、任意にネーミングされたのだと思いますが、きっとこの橋からの富士山が素晴らしかったのではと想像できます。
もちろん、今では高層ビルが邪魔して富士山は見えませんが。

この富士見橋周りは、撮影ポイントに富んでいます。
おとといのあなご船、昨日の公園の他にも、すぐわきを貨物線が走っていてひなびた雰囲気があるところ、柿の木がぽつんと立っているところ、船宿が軒を連ねるところなどなど。
散策会一行も、このあたりだけで30分以上粘っていました。

わたしが気になったのは橋に接してあった小屋です。
小屋というよりは、屋根のある空間というべきもので、上から滑車とチェーンが吊り下がっています。
船を吊って修理するには華奢過ぎで、何のためのものかさっぱり分かりません。
かつて、ここから獲物を吊り上げて、橋にスタンバイしたトラックに詰め込んで、料亭などに猛ダッシュして新鮮なあなごを出していたのではなどと想像してみました。

作例は、かなりわざとらしいものですが、この露出オーバーな表現がわたしの好みです。
水面の白さが、モネの有名な睡蓮で表現されていた池の水面を彷彿とさせて、絵画的な味わいを感じるからです。
やはりここでも、望遠の圧縮効果が、平凡な構図を雰囲気豊かなものにしてくれているような錯覚があります。

ずっと50mmレンズばかり愛用してきて、ここのところ75mmの良さも堪能し始めたところでしたが、一気に100mm前後のレンズの良さを体感しつつあります。
【M8/Hexar 10.5cmF4.5 F4.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Rokuoh-sha Hexar 10.5cmF4.5 | trackback(0) | comment(0) | 2009/11/25 Wed

公園的故事

M8/Hexar 10.5cmF4.5
今回、案内役だったKさんを除くと、散策会のメンバーは新子安周辺は初めてだったようです。
しかし、横浜にもこんなところがあったんだ、と皆さんすっかり気に入られたのが分かりました。
もちろんわたしも、ここは好い、と愉快な気分です。
最初の入江川周辺エリアでメンバー全員散策を忘れて、すっかり長居してしまいます。

それぞれが思い思いに撮影に没頭しますが、わたしは子どもがいれば撮るのがお約束です。
橋のすぐそばに可愛らしい姉弟がいて、付けていたのが望遠ということもあって、遠めからナチュラルな雰囲気を撮らせてもらいます。

弟の方は、髪型が自己主張(親の主張と言うべきか)していますし、お姉さんは、肩出しルックにドットパターンのジーンズがおしゃれ度高しです。
明るくて、町内会みんなで見守っている雰囲気もある、天気が象徴するような心穏やかになる光景でした。

しかし、こんな土地にも辛い記憶というものがあったそうです。
今から50年前、ラジオ体操に向かう女の子が、まさにこの場所でトラックにはねられ亡くなったというのです。
その現場のあまりのむごたらしさに住民は一致団結して市役所に陳情に走り、その迫力に押された行政は2度とこんな事故が起こらないようにと、道路の半分をフェンスで仕切って公園にしてしまったといいます。

その後、女の子の供養のためお地蔵さんを祀りました。
わたしが、あれこんなところにお地蔵さんがと近づくと、上述の出来事が記されていて、この公園部分の由来を知ったのです。

女の子は尊い命を犠牲にしましたが、そのためここの子どもたちは、今いる姉弟のように安心して遊ぶことができるようになったという訳です。
写真も撮らせてもらった後でこの故事を読み、思わずお地蔵さんに手を合わせました。
【M8/Hexar 10.5cmF4.5 F4.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Rokuoh-sha Hexar 10.5cmF4.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/11/24 Tue

康吉鳗的故事

M8/Hexar 10.5cmF4.5
勤労感謝の日は、連休前の悪い予報が外れてすっかりいい天気になりました。
日中の気温は16度くらいと絶好の散歩日和です。
その名もずばり"散策会"という月例の行事があるとお誘いいただき、図々しくも仲間に入れていただいて小春日和の1日を楽しんできました。

散策会は、写真展にお越しいただいて知り合ったT氏が主宰する月1回の行事で、かれこれ10年ほど続いている"伝統的"な催しのようです。
総勢20名ほどのメンバーがいらっしゃるようですが、この日はわたしも含めて7名の参加で、撮影しながらの散策にはちょうどいい人数と感じました。

この日歩いたのは、新子安駅から横浜駅にかけての、国道15号の東側のエリアです。
そんなところを歩くと聞いた時は、工場地帯なのに撮るものなんかあるのかと少し不思議でしたが、実は東京下町にも似た雰囲気の古式と人情味にあふれたクラシックカメラがあまりに似合う土地でした。
国道15号は何度も車で通りましたが、1本内側の道にはあんな秘密が隠されていたとは!

さて作例は、望遠で撮ったために分かりにくくなってしまいましたが、入江川という恐らくは川というよりも運河のようなところに浮かぶあなご漁船を捉えたものです。
想像ですが手前にいくつも見える筒があなごを獲るための仕掛けで、漁を終えて船と仕掛けを掃除しているシーンを撮影しました。

いちばん奥に横浜駅に近い高層住宅の林立があって、その手前は一般道の橋、左側は首都高速の高架道路が走っています。
105mmの望遠でひとつに納めてしまったため、圧縮効果も手伝ってごちゃごちゃ感が出ているのが、かえって気に入っています。

漁師さんというと気の荒い人もけっこう多いですが、ここの方はカメラがあっても自然に振舞っていてくれるし、写真を嫌がるでもなしで恰好のモデルです。
この辺ののんびりした雰囲気そのままの人柄なのでしょう。

このあと、船宿の前をあいさつしいしい通り、水槽のあなごを見せていただいたりしました。
すると、メンバーのHさんが、どうぞ持って行ってとあなごを分けてもらっていたのにはたいへん驚かされました。
さすが、人徳者ですね。
この散策会のメンバーの人柄を伝えるエピソードです。
【M8/Hexar 10.5cmF4.5 F4.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Rokuoh-sha Hexar 10.5cmF4.5 | trackback(0) | comment(6) | 2009/11/23 Mon

本願寺之変

M8/Nikkor-HC 5cmF2
写真展と築地散策シリーズの最後の1枚です。
最後は少しインパクトのあるものを出したかったのですが、それがありません。
秋らしいちょこっと黄葉でお茶を濁すことにします。

ダブルヘリコイドによる寄りができるニッコールは、M8などのデジタルを使うとトライ&エラーを繰り返すことによって、それなりの近接写真が撮れます。
フィルムカメラですと、仮に距離を正確に測れてもパララックスを補正できないため、フレーミングがまず決まりません。
虫の近接撮影には成功しましたが、これはかなり生々しいものなので、ここでは採用しないことにしたのです。

結局、築地と言えば本願寺ということで、敷地内のイチョウを撮影します。
昨日に続いて、やはりボケの美しさにレンズの実力がうかがえます。
わたしの愛する収差レンズ群では、この背後の植物は格好の非点収差の見せ場となっていたでしょうから。

最後なのであらためまして、写真展にお越しいただいた皆さん、お世話になった方々、とりわけ会場で優しく接していただいたオーナー夫人のHさん、それに愉快な仲間たちにお礼申し上げます。
わたしは何をしたということでもなかったとの意味では、他力本願の本願寺を持ってきたのは、うまい符合だと我ながら感心する次第です。
【M8/Nikkor-H 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/11/22 Sun

愛吃生魚片

M8/Nikkor-HC 5cmF2
海外では、やや珍品という扱いになっているそうで、ライカマウント・ニッコール5cmF2の絞りリングのみが黒くなっている通称"黒だすき"は、入手が簡単なレンズではありません。
もともと沈胴だったこのレンズは、オールクロームの固定鏡胴になって性能が向上したようです。
それが晩年には、黒たすきにデザイン変更していますが、この時にもレンズの設計に改良が加えられたようで、ニッコールの中でも最高性能の1本と呼ばれています。

ライカの交換レンズとして製造された訳ではなく、ニッカ・カメラの標準レンズだったので相当製造されたはずですが、上述の3タイプの製造数ははっきりしません。

そういえば、メルコンなどの少しマイナーなライカ・コピー機もニッコールが標準でした。
レンズ性能を求めたライカ・コピー機の製造メーカーが、ニッコールを標準にしたと言われています。
もっとも、キヤノンだって50mmF1.8というすばらしいレンズがありますし、レオタックスはフジノンやトプコール、チヨタックスはヘキサノンですから、いかに当時の国産ライカマウントレンズのレベルが高かったかが分かります。

貴重な黒だすきは、ありがたいことに盟友M氏に譲っていただきました。
フィルター・スレッドに微小なアタリがあるためかなり格安です。
クロームメッキはかなり美しいもので、それゆえ絞りリングのみの黒だすきは違和感を覚えますが、無理に黒いスカイライトフィルターを付けると、たすき掛け状態(?)となって、なかなか良い外観です。
ゾナータイプは2群目、3群目が分厚いのと真鍮鏡胴のため、かなり重量感があるのもいいです。
アルミの本家ゾナーよりありがたみがあるというところです。

性能については、こんなところでは言及してはいけないでしょう。
ここではボケの良さだけを指摘したいと思います。
作例では、おじいさんの髪の結い目にピントを合わせて、中心のお父さんの頭や背中がボケになる掟破りな構図にしてみましたが、前後のボケの良さがすばらしいと思います。

築地の交差点で撮ったものですが、彼らはどうも観光客ではなく長く滞在していて、魚が食べたくなるとここまでやって来て食事しているという雰囲気でした。
わたしなぞより、よほどの築地通でしょうし、移転問題やひいてはオリンピックにも猛烈に反対したのに違いありません。
【M8/Nikkor-H 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(3) | 2009/11/21 Sat

市場的尽頭

M8/Nikkor-HC 5cmF2
写真展最終日、せっかく入船という馴染みがないながらも魅力あるエリアで開催しているのだからと、
早めに出掛けて会場周辺を歩いてみました。

12時に写真展オープンなので、10時ちょうどに築地駅着で散策を開始します。
出口への階段を上がっていくと、大粒の雨と突風が待ち構えていました。
撮影にはまったく不向きな条件ですので、築地市場の活気を味わう散策に切り替えました。

実は、築地に来たのは2回目で、様子がまったく分かりません。
一般人は場外市場を散策するしかないと思っていたのてすが、市場内の門には断り書きがなく、普通の人もぞろぞろ入っているように見えます。
入ってもよかったのでしょうか、それとも事前の許可とかもらうのか。
時間がないので、結局、場外周辺を歩くにとどめました。

時々、雨が止んで日が覗いたりして、カメラを取り出したりもします。
市場のやり取りにレンズを向けてみますが、なにか気合いが入っていきません。
中国で市場での買い物に慣れたわたしには、どうもここは様子が違って見えます。
売り子と買い手の丁々発止のやり取り、そこまで行かないまでも、東京の台所的雰囲気を味わいたいと期待していたのですが、わたしの方の勘違いだったかも知れません。

店は、一般的な商店と変わらないのがほとんどですし、客もいかにも観光客然としています。
お客さんがとまどわないように値札が大きく貼られていて、交渉する楽しみのようなものは排除されているようです。

着物のお姐さんが通りかかって、近くのお店の仕入れに来たのかとこっそり付いていきます。
いざ買い物が始まっても、これまた淡々と品物を注文してお金を手渡すばかりです。
いつものアレ入ったというや店主が椅子の下から何やら包みを取り出したとか、これだけ買うんだから負けなさいよと色仕掛けとかそんなのを期待したのですが。

結局、場外を離れて歩いたところの橋で撮影です。
同じようなパターンの連なり、同じような色彩の並びが、いかにもレンズテストにぴったりのような。

ここで思い出したのが、昨日紹介した「クラシックカメラ専科」やその後のライカ・ムック本のレンズ作例に、よくこんな橋が登場してたっけということです。
もしかすると、みんなこんな風に期待を裏切られた揚句に、歩き進んで橋を撮るしかなくなってしまうのでしょうか。
【M8/Nikkor-HC 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(5) | 2009/11/20 Fri

古典相機専科

M8/Nikkor-HC 5cmF2
ここ1年くらい前からこつこつと進めていることがあります。
惜しまれつつも2年前に廃刊となってしまった、季刊「クラシックカメラ専科」のバックナンバーを集める作業です。
もともと発行時に買うなどして30冊近く所有していましたので、残りの50冊あまりをこつこつと探してみようと考えました。

ライカのレンズをすべて所有するというのはわたしにはほぼ不可能ですが、クラシックカメラ専科の全冊踏破は何とかなりそうです。
仮に1冊2,000円とすると100,000円以上ですから、思った以上に費用はかかりそうですが、何年間かかかっても地道に続けようと思っていました。

クラシックカメラ専科は、1973年の創刊から2007年の廃刊まで全84冊が世に出ています。
内容については説明の必要はないでしょう。
もともと古いカメラについての記事からなっているので、本が古くなったとしても内容がそれほど陳腐化するということもなく、資料的価値はなかなか揺るぐことはないと思います。

ただ、執筆陣に疑問符を付けたくなるような人が少なからずいて、自慢話に終始する、内容があまりに凡庸等々、ページの無駄遣いでは、という部分も多々あるような気がします。
一方で、カメラやレンズの製造に携わっていて、今では物故されていたりかなり高齢になっているだろう方が書かれた記事もかなりあり、こういう貴重な文章が読めることがありがたいですし、実際、内容的にかなりおもしろく興味深く読めます。

こういう資料的価値からコレクションする人もそれなりにいるのでしょう、初期のバックナンバーはそれなりの値段が付いていることがほとんどです。
安くて5,000円、ひどいと10,000円くらいでもしばしば見ましたが、古書的な価値もあるのだなと逆に感心したものです。

安くてそれなりの状態のものを選んで買っていたところ、1年がかりでようやく50冊が書棚に収まりました。
それでも1号から12号までなどプレミアが付いている初期のものは、まったく集まりません。
やれやれと思っていた矢先、先日、格安で多くの欠番を入手することができ、一気に70冊の大台まで増やしてしまいました。
数えると、残り12冊です。

あとは時間の問題ですが、早く完結させてしまいたいという思いとは裏腹に、全部揃ってしまうと達成感よりも目標を失う虚無感の方が強いような気がしてきて、先延ばしにしないといけないかななどと考え始めています。

さきごろ到着したクラシックカメラ専科をぼちぼち読みはじめていますが、1994年発刊の28号におもしろい記事がありました。
「超大口径50mmF0.95レンズとキヤノン7」というタイトルで執筆は宮崎洋司氏、キヤノンに在籍(当時)されている方です。

キヤノン7の後継機の計画について記述があるのが興味深いですが、何よりもF0.95の比較として、アンジェニューとシュナイダーの同スペックレンズの構成図と硝材が書かれていました。
詳しい解説がないのは残念ですが、15年前にすでにこれらレンズが紹介されているのが新鮮な驚きです。
あるいは、これを見てマウント移植を思い立ったり、成功させた人はすでにいたかも知れません。

愛用のアンジェニュー50mmF0.95の構成は、以前ダブル・トリプレットと聞いていましたが、エルノスター基本型に凹レンズ凸レンズを1枚ずつ追加したようにも見えます。
キヤノンとシュナイダーがダブルガウスとたちどころに分かるのに比べて、想像力をかきたてる愉しい構成図です。
【M8/Nikkor-HC 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2009/11/19 Thu

我的撮影展X

M8/Super Rokkor 5cmF1.8
写真展に出した写真の説明は終わりましたが、なお、もう1枚ここに紹介させていただきます。
昨日、シネレンズでもスペシャルレンズでもないレンズを使用したため、ボツにしましたと書いた写真です。
少し旅の思い入れがあったものですから…。

これは7月に四川省を回った旅の最後に訪れた上里鎮での1枚です。
四川省のチベット人が住むエリアを旅して、彼らの質素な生活を見るとともに、虐げられているという訴えを生で聞く場面もありました。
かなり複雑な心境のままにチベット族の地域を脱して、漢族の観光地に入り、そこに何とも言えない違和感を感じます。
しまいには、現地で知りあった女性に口喧嘩を売ってしまうまでになり、自己嫌悪に落ち込みます。
そんなとき出合ったのが彼女たちでした。

学校は夏休みですが、彼女たちに休みはありません。
たまたま家が観光地にあるということで、訪れる観光客に目の前で草を折って花とか昆虫とかを作って売っているのです。
言うまでもないですが、アルバイトではなく、豊かではない家計を助けるためです。
観光客が帰って行って静かになると仕事を終えてみんなは集まり、日没までのわずかな時間、彼女たちのとても短い夏休みを過ごすのです。

そんな中にたまたまわたしを覚えていた女の子がいて、声をかけてきたため、小さな交流が始まりました。
みんなで写真を撮っては、液晶で確認して、あれこれと言い合ったり、時にひとりがおどけたポーズで写っていて大笑いしたり、そんな他愛もない遊びで盛り上がりました。
わたしも、一員に加えてもらって撮ったり撮られたりに熱中します。
いつの間にか沈んでいた気持ちが開放されていました。

やがて、日は落ちてしまい、彼女たちが家に帰るときが来ました。
それぞれに商売道具である草の入ったカゴを背負って別れを告げたのですが、その姿は今までの普通の小学生とは違う彼女たちの姿を伝えるものに思え、最後の1枚を撮らせてと頼みました。

みんなすごくいい笑顔ですし、みんなピンクのサンダルを履いていて、やっぱり女の子なんだなあと今になってまた新たな感慨がわき起こります。
アンダーな記念写真に過ぎない写真ですが、わたしにとって、この時の旅のすべてが詰まっているような思いがあるのです。
【M8/Super Rokkor 5cmF1.8 F1.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Minolta Super Rokkor 5cmF1.8 | trackback(0) | comment(7) | 2009/11/18 Wed

我的撮影展Ⅴ

M8/Alfinar 38mmF3.5
写真展最後の1枚は、自分自身をも裏切るようなものになりました。

①プラズマート型 ドイツ 浙江省
②エルノスター変形型 スイス 広西チュワン族自治区
③プレ・エルノスター型 アメリカ 遼寧省
④ダブル・トリプレット型 フランス 江西省
⑤ペッツパール型 イギリス 湖北省

これまでの5枚は、レンズタイプ(構成)、製造国、撮影地がすべて異なります。
①②③撮影時点でこのことに気付き、④と⑤はその流れに沿うようなレンズと撮影地を選択しました。
そして、今回採用されなかった、ダブルガウス型・日本製のレンズで、四川省にて撮った写真を採用すれば完結するはずでした。

ですが、これはシネレンズではありません。
シネレンズ以外でも、特別改造などのスペシャルレンズも例外的に認めることになっていましたが、一般的なノンライツレンズのため、これにも該当しません。
涙を呑むしかありませんでした。

10月第4週、写真展はもう直前ですが、もう一度中国に行くことになって、レンズの検討にとりかかりました。
該当するものなんて、もうほとんどありません。
選ばれた Old Delft Alfinar 38mmF3.5 は、テッサー型のオランダ製、撮影地広東省、これしかありません。

11月6日のブログにあげた惠州での写真も候補でしたが、寄りの甘さと、少女と壁の関係が意味不明に感じられてボツとしました。
本命は、コスプレカフェで撮ろうと暖めていたアイディアもあります。
カフェの服務員の女の子たち全員に協力してもらって、それは実行されました。

しかし、こんな悪だくみはわたしには向かないということのようです。
その場の液晶では気付かなかった、手ブレが出展を不可能にしました。
女の子たちにはお詫びしないといけません。

替わって浮上したのが今回採用した写真ということなのですが、高貴なテーマを掲げた写真展にあって場違いだったことは否めません。
自らに課したテーマに溺れて失敗した典型ですが、ブログという写真と文章を組み合わせた見せ方のスタイルを続けてきた落とし穴であったとも自己分析しています。
【M8/Alfinar 38mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Old Delft Alfinar 38mmF3.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/11/17 Tue

我的撮影展Ⅳ

M8/Dallmeyer 2594 4 1/2inchF3.6
写真展最終日は、通常より2時間早い午後5時に終了し、みんなで撤収作業をしました。
設営時にかなりあたふたしたのがウソのように、片づけはスムーズに終了しました。
各人の作業の連携が向上しているように感じられます。
グループ展を開催した、もうひとつの成果と言えそうです。

お世話になったギャラリーのマダムに心を込めたあいさつをして、打ち上げ会場に向かいます。
と言っても、オフィス街の土曜日にはなかなかいい場所がありませんし、禁酒中(?)のメンバーが複数いることもあって会場はファミリーレストランになりました。

内容も、打ち上げというよりは反省会でした。
そして、反省会は、途中から次回へ向けての作戦会議のようになりました。
パーっと酒に流してしまえ式ではなく、あくまで前向きな姿勢で取り組む真面目さは我がことながら心打つものがあります。
写真展は終わりましたが、同時に次回へ向けてのスタートを切った瞬間でした。


さて、今日のご紹介は5枚目の写真で、昨夜と同じ9月の連休に訪れた湖北省の羊楼洞鎮からの写真です。
使用したレンズは、Dallmeyer とシリアル番号だけが刻印された真鍮レンズをMSオプティカルにてライカに距離計連動するよう改造してもらったものです。
シリアル番号から1861年製造と分かる、恐らくはライカで使用されたことのある最も古いレンズのひとつと言えるだろうものです。

あまりに古いレンズですが、ペッツパール・タイプの構成はすでに近代の写りを確立しています。
周辺はかなり甘いはずですが、35mmフォーマットに対してはかなり余裕があり、あらゆる面で破綻のない描写であると言えます。

ペッツパールは、3群4枚で色ヌケの良さが特徴です。
そういう仕上がりの写真が多かったのですが、どうしたわけか何枚か色が濁ったように表現されたものがありました。
そのうちの1枚がこの写真で、ずいぶんと渋い色が出ていますが、逆にそこがこの古いレンズの特徴を出しているようにも感じられて、あえて写真展にはこれを出すことにしました。

もちろん、それ以上にふたりの自然な姿が気に入ったからという選択でもあります。
なんとも大人びた後ろ手を組む姿勢で語りかける少年に対し、少女の方は少しうつむきながらもやはり女性的な体のくねらせ方で、どちらも20代のカップルがとるポーズにすら思えます。

個人的にはいちばんのお気に入りでしたが、あまり話題にのぼることもなく終わってしまったのは、いかにも残念なことでした。
【M8/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(4) | 2009/11/16 Mon

我的撮影展Ⅲ

M8/Angenieux M1 50mmF0.95
写真展は、どうにか昨夜無事に閉幕することができました。
お越しいただいた皆さん、関心を寄せていただいた皆さんには、あらためてお礼申し上げます。
新宿西口写真修錬会の愉快な仲間たちにも、お礼を忘れてはいけないですね。
皆さま、どうもありがとうございました。


冒頭がこんな書き出しがいいのかは分かりませんが、そんな訳で写真展は終了したものの、個人的な総括として展示作品の説明は継続させていただきます。

4枚目の展示は、9月のシルバーウィークに訪ねた、江西省の安義鎮からです。
この時は、かなり写真展のことを意識していて、持ち出した Angenieux M1 50mmF0.95 を使ったものを1枚展示しなくてはと力が入った状態でした。
わたしの所有する標準レンズの中ではもっとも巨大で重たく、何かそういう理由がなければ、わざわざ外国のしかも僻地にまで持参する気にはなれない玉です。

それに、思い入れのあるレンズでもあります。
MSオプティカルを知って間もない頃、実はこんなレンズがありましてとこのレンズヘッドを送って半ば冗談のようにライカの距離計に連動する改造をして欲しいと依頼しました。
巨大なレンズ故に後玉も大きく、これではヘリコイドが付けられないので、マウントを付けるのすら難しいだろうと、結果にはさほど期待していませんでした。

しかし、それから約1か月、MSオプティカルは特殊ヘリコイドを外注してまんまとこのレンズの距離計連動化を成功させてしまいます。
ノクティルックスのF1より明るく、かつて存在したキヤノンのF0.95はライカマウントではなかったことから、ライカの距離計連動としては世界最速のレンズが誕生したと感動したものでした。

当時、レンズヘッドと改造費で10万円近くかかり、とんでもない出費と嘆いたものの、それでもノクティルックスに比べれば格段の安さですので、プアマンズ・ノクティルックスの称号には十分でした。
現在では、MSオプティカル改造のこのレンズが、eBayなどて4000ドルで売られていたりしますので、もはやノクティルックスと肩を並べる高価なレンズになってしまっています。

MSオプティカルの改造に不可能はないをわたしに確信させたレンズとして、今回の写真展には何としても登場させたかったという訳です(フランジバックやイメージサークルの問題など、実際には不可能はいっぱいあります…)。

さて、それに相応しい場面に、中国・江西省安義鎮で遭遇しました。
刈り入れた稲の脱穀に、牛に石のローラーを引かせているこの光景は、時代の変化とは無縁に続いている、まさに超大口径レンズのボケに通ずる世界です。

ピントがあまく、写真展に出すレベルの写真ではなかったようですが、思い入れという点で、どうしても外せない1枚だったという訳です。
【M8/Angenieux M1 50mmF0.95 F0.95】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Angenieux TypeM1 50mmF0.95 | trackback(0) | comment(4) | 2009/11/15 Sun

我的撮影展Ⅱ

M8/Ultrastigmat 50mmF1.9
写真展2枚目は、このブログで掲載したことがあるものを出しています。
3年半以上ブログを続ける中で、旅の内容の過酷さなどを褒められたことはありましたが、写真そのものをお褒めいただいた唯一の写真です。

出展にあたっては、写真の出来不出来よりもまずレンズありきで選んでしまったため、1枚だけでも客観的評価をいただいたものを出さなくてはいけないと考え、あえてブログとの重複を承知で出しました(たぶんにお世辞というものがあるのは承知していますが…)。
http://zunow.blog51.fc2.com/blog-entry-1134.html#comment

そういう訳で、今日は写真展3枚目の説明になります。
今年7月大連&瀋陽に旅した時のものです。
鉄道研究家の友人のお供として出掛けたので、歩き方も写真も相手に合わせる状態が続いていました。
しかし、最後の最後、帰国まで数時間前というときに再開発直前の魅力的なオールドタウンを発見し、喜々として歩き始めたところです。

庶民の暮らしの匂いが感じられるどころか、そのまま目の前で生活が繰り広げられる世界です。
接近戦すぎるため、かえって撮影しにくいくらいでした。
もちろん歩いているだけでも、楽しさがこみあげます。

そんな中、最大のシャッターチャンスが訪れました。
解体される運命の古い家屋の中にはだかの幼児がいます。
その前にスカートをはき忘れたのかパンツ姿の女の子、それにひだひだワンピースのおしゃれなお姉さん。
3人は窓の格子越しに何やらやり取りしていますが、何をしているかや彼らの関係はとんと分かりません。

お菓子をプレゼントしているところに見えますし、指きりげんまんしようとしているところにも見えます。幼少のキリストを描いた宗教画のようであり、愛煙家の幼児がタバコを買ってきてくれと小銭を渡しているブラックな絵ともとれなくありません。

幼児が真っ暗な背景からリアリティをもって浮かび上がり、女の子の足は背伸びしているという緊張感が伝わります。
それでいて、左上のカーテンや女の子の頭髪、衣類が妙に絵画的な描写をしています。

見る者の想像力を掻きたててくれる魅力を、わたしはこの写真に感じました。

今回、もっとも気に入っていた1枚でしたが、実は、とんだ手違いによって台無しにしてしまいました。
ラボでは、ブログ掲載用の縮小された画像を延ばしてしまったため、ジャミングだらけの鑑賞に堪えない仕上がりになってしまったのです。
指示及び確認ミスです。

キリストか天使だった幼児は、悪魔の子どものような怖い顔と言われただけで注目されないまま、本日の写真展閉幕を迎えたのは何とも残念なことでした。
【M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1,5 F1,5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Gundlach Ultrastigmat 50mmF1.9 | trackback(0) | comment(4) | 2009/11/14 Sat

我的撮影展Ⅰ

M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1.5
写真展「シネレンズで撮る日常」は、明日終了します。
そこで、今回出展した6枚について、1枚ずつ説明を書くことで今回の総括とさせていただきたいと思います。
ほんとうを言えば、シャープで高解像な作品が多く出品されている中で、そうではないものばかり出したことで、どうも言い訳しておかないと、と心配になったからなのですが。

最初は、今年1月に訪れた浙江省同里鎮の写真からです。
この時は、Cine-Xenon や Macro-Switar も持参していたので、シネレンズというテーマで言えば、そちらの写真を出展すべきところです。
しかし、Cine-Xenon の作品を他のメンバーが出すことは知っていましたし、Macro-Switar は他のものを出すことにして、あえて怪しげな写りのこちらを選択しています。

Kino-Plasmat といえば、かなりのクセ玉として名を馳せますが、一般に使用されるのは標準か望遠域のレンズです。
35mm は元来が16mmシネカメラ用のようで、周辺のクセ玉具合は尋常ではありません。
それどころか画面全体が暴れまくっています。

作例でも、まず右側のバイクや木が激しく流れているのが目につきます。
非点収差に典型的な同心円状のボケです。
また、左側の建物は激しく反ってしまっていて、これは糸巻型の歪曲収差とすぐに分かります。
その壁に沿って見えるブルーの滲みは、色収差です。
それと、分かりにくいですが、屋根の上や左側の電球付近などの光っている部分がクラゲ状になっているのはコマ収差と判定できそうです。

このように、ざっと見ても多くの収差が簡単に識別できる、とんでもない作例になっています。
写真展の来訪者は、それまでエッジの鋭いシャープな写真を多く見て、シネレンズ=超高性能レンズとの印象を植え付けられたはずです。
そうやって見てきたところでわたしの1枚目の前に立った時、何だこれは、と相当の衝撃を受けるのではないかと想像しました。

シネレンズは、いつの時代にあっても最高性能のものが求められ、実際、使用されてきたレンズは35mm判という小さなフォーマットのフィルムで撮影しても一般レンズとの差が歴然としています。
ですから現在販売されているシネ用レンズはあまりに高価で、とても一般の人が簡単に買って、はいライカマウントに改造、なんてできるような代物ではありません。
すでに過去のものとなったせいぜいが1970年代までの超高性能レンズが、すでに現役としての役割を終えて市場に出てきたものを使用しているのです。

しかし、そのシネレンズは揺籃の時代から高性能だったという訳ではありません。
1900年代初頭、ガラス材が今とは違う時代、設計にコンピュータも使えず、試行錯誤を続けながらも進歩していった時があります。
今作ろうと思っても作ることのできない、高性能とは違った美しい描写を見せる不思議なレンズ群が存在しています。

そういうレンズを紹介したいと思いまずは Kino-Plasmat を持ってきましたが、それはけっして奇を衒ったということではないということは理解いただけたらと考えます。
とはいえ、やはり相当なインパクトだったようで、ほとんど何これとスルーする方が多かった中で、何かの間違いではというように見入っている方がいたりしたのが、してやったりだったのでした。
【M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1,5 F1,5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Kino-Plasmat 3,5cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2009/11/13 Fri

還有両天

M8/Nikkor-HC 5cmF2
6日金曜日、写真展は静かに始まりました。
平日ですのでオープンから立ち会えず残念ですが、5時に仕事を終えてダッシュで会場に向かいます。
メンバーはほとんど集まっていましたが、お招きしていたゲストの方も集まっていました。
まがりなりにも写真展の初日ということで、ささやかなオープニングパーティを企画していたのです。

修錬会の顧問とも呼べるIさんをはじめ、わたしの関係では、MSオプティカルのMさん、ksmtを主宰するKさんらが遠路駆けつけてくれました。
お互いは初対面のみなさんでしたが、わたしの到着時にはすでに打ち解けています。
レンズや写真という共通テーマを通じて集まっていただいただけに、自然発生的に会話が進行していたのでしょう。

とくにわたしの出展はすべてMSオプティカルによるマウント改造レンズで、わたしがシネレンズやオールドレンズにずぶずぶ嵌まっていった回顧的意味合いと、これまで無理難題を聞いて改造いただいたMSオプティカルに対する感謝の意味合いを兼ねていました。
Mさんが来て、メンバーや他のゲストと交流していただいたことは、わたしにとってパーティの所期目的の達成を意味します。

その後も、多くの方に足を運んでいただいています。
土日はもちろん、平日もメンバーが交代で有給をとるなど時間をやり繰りして、いたらないながらもお越しいただいた方の接遇に努力しています。
写真やレンズの説明にあたるはずが、逆にいろいろと教わるというケースの方が多かったのですが。
お会いする方すべてが印象に残ります。

気付いてみると、もう明日と明後日で終了なんですね。
しつこくなりますが、よろしければお越しくださって、どうぞいろいろとおしゃべりでもしていただければと思います。
【M8/Nikkor-HC 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/11/12 Thu

準備好了

M8/Nikkor-HC 5cmF2
仕上がったプリントを持って、いよいよギャラリーでセッティングが始まります。

だいたい、半切または全紙サイズくらいにプリントした写真をまず裏打ちします。
半切以上の大きな写真は、会期中波打ったりする可能性があるので、補強する訳です。
これは写真用日の量販店で専用のものがサイズごとに売られていました。
面倒に思えましたが、説明通りにやると、案外簡単に裏打ちは完成します。

あとの手順は経験のある方でしたら言わずもがなです。
まずはテープでマットに固定し、フレームに差し込みます。
写真はフレームに付いている発泡スチロールの板で固定されます。

付属のガラスは、今回、原則使用しませんでした。
理由は聞きませんでしたが、恐らくガラスを使わない方がライティングの写り込みもなく、見栄えがいいということだろうと思います。

あとは独自のレイアウトにもとづき、必要個所に釘を打って写真をかければセッティング終了です。

こう書くと実に簡単そうですが、これはすでに経験豊富なH氏やN氏がどしどし進めてくれるからです。
特に写真の位置決めは、ほとんどひとりでは不可能で、フレームがまっすぐに架かっているかを確認するのも難儀しました。

しかし、どうにか全部が展示状態になって、ひととおりが終わった気でいると、まだ最後の仕上げが残っていました。
ライティングです。

ギャラリーは、壁一面が白く、フレームはシルバー、マットがホワイトと、全体が白を基調に統一されています。
写真の方は色が付いていて、どちらかと言えば、写真が沈んで壁の方が浮いているような関係になってしまいます。
そこをライティングによって、写真を浮かび上がらせなければならないのです。

非常にセンスが問われる、最後の総仕上げでした。
これは、わたしなぞの出る幕ではなく、経験豊富で、美術感覚に優れたメンバーが、技術と直感を駆使して絶妙な光を演出していきます。

かくして、数時間の設営作業は終了し、いよいよ本番を迎えるまでとなりました。

写真というものは、プリンターとの共同作業とという例外もあったりしますが、基本的には個人的な自己完結とばかり思っていました。
しかし、写真展という初めての経験を通じて、みんなの手作り的な共同作業や経験者が初心者をフォローするような一体感というものを強く感じることができました。
この時点で、まだ、写真展は始まっていないにも関わらず、なにかすごく得るものがあったように体で感じていたのでした。
【M8/Nikkor-HC 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(4) | 2009/11/11 Wed

委託洗相片

M8/Nikkor-HC 5cmF2
前に告知しましたように、新宿西口写真修錬会の愉快な仲間たちと写真展を開催しています。
先週の金曜日、不安の中ではじまりましたが、おかげさまで多くの方に足を運んでいただいているようです。
感謝の気持ちをお伝えするとともに、今週は、写真展にまつわるネタでブログを書いてみることにします。

ああ、忘れていましたが、写真展はまだ開催中です。
今週土曜日までやってますので、ご関心の向きはよろしければ、遊びにいらしてくださればと思います。
http://www.hit-on.co.jp/index.html


写真展1週間前の10月30日、ようやくわたしはプリントの依頼をしました。
他のメンバーからだいぶ遅れてしまっています。
本来ならば仕上がりをチェックして、納得いかない場合焼き直しなどの指示をしなければならないのですが、時間の余裕はありません。
月曜にピックアップして、火曜にはもう会場にセッティングです。

フレームとマットは会場からご好意で貸してもらえることになりました。
半切サイズになりますが、ラボでそのサイズでのプリントをお願いすると、長辺をかなり切らなければいけないことが分かりました。
半切サイズは、写真フォーマットとタテヨコ比が違うためです。

出展予定の6枚すべてに対して、どう切るかを指示しないといけません。
ラボに一任と言ってみましたが、トラブル回避のためでしょう、支持してもらわなければ受けられないとの返事です。
時間もないので、その場で紙に写真のイラストを描き、わきにカットの仕方を書き込みました。

よく考えれば、写真をそのままにマットをオーダーした方が良かったのですが、頭がまわらないものです。
そして、このことで後々後悔することになります…。


作例は、翌土曜日、ラボのそばの新宿御苑を友人と散策した際のものです。
ハイヒールでポニーテールという何とも素敵な女性が、木陰で熱心に読書していました。
芸術の秋、ですね。

いや、今あらためて見ると、読書ではなくケータイを操作しているだけでした。
さらによく見ると、ピントまでもが外れてしまっているのでした。
【M8/Nikkor-HC 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(3) | 2009/11/10 Tue

妹妹又可愛

M8/Alfinar 38mmF3.5
大芬油画村からバスを乗り継いで、深圳の商業の中心、東門まで急ぎ到着します。
アニーとアップルのコンビと仕事前に会う約束をしていました。
遅れて待ち合わせ場所に着いたわたしよりさらに遅れてやって来たのは、ふたりでなく3人でした。

潮州からやって来た、ティンティンだと自己紹介します。
たまたまコスプレ・カフェというのを知って、様子を見に来たところアップルと意気投合して、いっしょに働くことにしたそうです。
見た目で想像できますが、元気いっぱいの女の子で、ノリは日本人の同世代と変わらないのではないでしょうか、とてもついていけません。

日本食を食べたいという話だったのでそのつもりでいましたが、ティンティンたちはなぜか食事は済ましてしまっていて、仕方なしに近くの遊園地に繰り出しました。
小さな遊園地でしたが、わたしの存在はかなり浮いていたと思います。
いや、ハイテンション3人組の彼女たちも浮いていたので、なんとも言えない場違いカルテットを形成していたと言えそうです。
それでも、次回来訪の新たな楽しみができたことを素直に喜びたいと思います。
【M8/Alfinar 38mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Old Delft Alfinar 38mmF3.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/11/09 Mon

年軽芸術家

M8/Kino-Plasmat 5cmF1.5
とりに行った絵は、精緻さこそ良かったのですが、並んでいた絵に比べると大胆な着想がなくて、思ったほどの出来には感じられませんでした。
困ったのはそのサイズで、絵はだいぶ小さかったのですが、マットとフレームは少し大きめで、これでは持ち帰りに苦労しそうでした。
梱包等で工夫してみましたが、結局、今回は現地友人に預けることにしました。

しかし、この日はそんなマイナスを少し取り返すような出来事が待っていました。
林氏の店のとなりに目の大きくてショートヘアのよく似合う女性がいて、先日も少し会話をかわしていました。
その彼女が待ち構えていて、親しげに話しかけてきます。
理由はよく分かりませんが、どうも友達になってくれということのようです。

そういうことなら渡りに舟です。
ではと遠慮なく写真を撮らしてもらいました。

絵を学ぶために比較的最近、ここ大芬に来たそうで、先日わたしが熱心に写真を撮っていたので絵画と写真は共通するものがあり、ぜひそういった面での交流を計りたいと考えていたようです。
そういうことなら、わたしの方こそ自分の撮っている中国での写真が、絵画に通じる彼女にどのように感じられるか興味があります。

お互いの考えが一致していますので、メールアドレスを交換して今後も意見交換を続けることにします。
好い展開ですが、残念ながらこの夜日本に向けて発たねばならず、この日は立ち話だけで終わってしまいます。
次回の再会を約しました。

すでにメールのやり取りをしていますが、中国語で芸術について語るのは無理がありますし、それ以前すでに彼女の書いていることが悲しいかな、さっぱり分かりません。
【M8/Kino-Plasmat 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Kino-Plasmat 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/11/08 Sun

両天后再来

M8/Kino-Plasmat 5cmF1.5
惠州へ行った翌朝、また大芬油画村へ出掛けました。
なぜかと言えば、初日に行ったとき、つい、絵をオーダーしてしまったのです。
ここは油画村ですから、ほとんどが油彩画が展示販売されているのですが、めずらしくも印象的な水彩画を並べている小さな店がありました。

絵は、わたしが中国古鎮を訪れて撮っている写真とそっくりです。
古い街並みがあって、そこに生活する人も写りこんでいます。
彼の絵は、逆光を取り込んでいるものが多く、そのハイライトとシャドーを水彩で見事に描きこんでいました。

立ち止まって見とれていると、作者の林氏が話しかけてきました。
年齢的にも近い林氏とは、中国古鎮の美しさなどを論じあっているうちに意気投合して、わたしのつたない中国語を介してでも話が盛り上がって来ました。

彼の手法は、古鎮を訪れて何かインスパイアされるものがあると写真を撮るというもので、なるべく光線をいかすことでドラマ性を強調して、アトリエに戻ってから自分の印象と写真によって絵に仕上げています。
残念ながら、絵は少し大き過ぎて日本まで持ち帰るのは困難です。
眺めて愉しむのにとどめることにしました。

話しは旅のことに及ぶと林氏は過去のアルバムを持ち出し、写真を見ながらの思い出話に花を咲かせます。
そこに1枚印象的な写真があり、あっ、もしかしてと彼に聞いてみました。
この写真を少し小さなサイズに描くというオーダーはできないかと。
彼の答えはもちろんOK。
友人のような間柄になったから、ではなく、あくまで商売だからでしょう。

油彩の場合、絵の具が渇くのに時間がかかりますが、水彩は描いたときが完成した時です。
中1日もらえれば十分だというので、この日大芬油画村までオーダーした作品を取りに来たというわけです。

作例は、文章とはまったく関係ない、しばしば見かけるアメリカ人グループの買い物風景です。
チャイナ風衣裳のガイドに連れられて、中国的風景の絵を物色しています。
ガイドに鋭い質問を浴びせるショーン・コネリーが目を惹いたので1枚失礼しました。
【M8/Kino-Plasmat 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Kino-Plasmat 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2009/11/07 Sat

異空間小妹

M8/Alfinar 38mmF3.5
鎮隆鎮へ来たのは言うまでもなく、6月に世話になった家を再訪することにあります。
持参した手土産は羽田空港で買ったもので、大量にいただいたライチに比べあまりに貧弱でしたが、突然の訪問を熱烈歓迎で迎えてくれました。
かわりない夫妻とまたぞろ長くおしゃべりでき、少し回り道になったもののここへ来て良かったと実感します。

ここは何にもないところだけど、そう恐縮しながらしゃべるご主人ですが、春節には盛り上がるのでまた来てくださいと熱心に勧めてもらいました。
春節は難しいかも知れませんが、できれば、またあのライチの季節に再再訪したいものです。
深圳から1時間少々で来れる村に、歓迎してくれる人がいるというだけで心にゆとりを感じます。

村を去る直前に可愛らしい少女に出合えたのも、帰りの足取りを軽くさせます。
もしかしたらひとりっ子なのか壁に向ってさびしそうに遊んでいたので、そっと近寄ってこちらを向いた瞬間にぱっと撮影しました。
唐突なので一瞬怪訝そうな顔をしましたが、こちらが笑いかけると、まだ不可思議そうな表情を残しながらもつられて笑ってくれました。

客家の村にあって不釣り合いな西洋的顔立ちで、もしかすると東北か西方の血が入っているのかも知れません。
いかにも遊んでほしい的な甘えた眼を感じましたが、残念ながらバスの時間まで15分しかなく、後ろ髪を引かれつつサヨナラしました。

それにしても、この差は何だろうと気になります。
先に歩いた龍華ではあまり人に出合うことはなく、会話もほとんど皆無でした。
鎮隆では、紹介した他にもこっそりカメラを向けたら気付かれて、ピースサインで写真に収まってくれた女子高生ふたり組やサービス満点のレストランのおばさんなんかもいたりしました。
旅人に接する優しさのようなものがあって、また来たいという気分になるのです。

たまたまということかも知れませんし、あるいはやはりフィーリングが合う村というものがあるのでしょぅか。
帰りのバスの車窓の外はすでに真っ暗ですが、そんなことを考えながら長かった今日1日を振り返るのでした。


追伸。
本日より、いよいよ写真展が始まりました。
どうなることかと心配だったのですが、多くの方に見に来ていただき、盛況のうちに初日を終えることができました。
どうもありがとうございました。
このあと1週間ほどやっておりますので、銀座、日本橋、築地方面へお出かけの御用がありましたら、ついでにお寄りいただければ幸いに思います。
http://www.hit-on.co.jp/index.html
【M8/Alfinar 38mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Old Delft Alfinar 38mmF3.5 | trackback(0) | comment(2) | 2009/11/06 Fri

歓迎我家里

M8/Alfinar 38mmF3.5
崇林世居は2回目でしたが、前回は表面をなぞっただけの印象が残っていましたので、もう1歩だけディープに入り込みたいと考えていました。
入口間近、見覚えある親子がいて、井戸水を汲んだり、洗濯物を取り込んだりしているのを見ていると、何とはなしに話を交わすようになり、念願の建物内へ招じられることになりました。

男性陣は工事現場へ出掛けていて不在ですが、留守を守る彼女たちは遊んでいる訳ではありません。
やはり近くの工場から仕事をもらって内職に勤しんでいるのでした。

ですが、よく見ればテーブルは麻雀卓で、前回は卓を囲んでいたのを見ましたので、夕刻には賭博場へと変貌するのでしょう。
重慶からやってきた彼女たちは、ものすごく真面目に見えましたが、慣れない土地で息抜きは必要です。
いや、夕刻の麻雀に向けて、力を養うための内職なのかも知れません。

オレンジ服の女の子は10歳くらいでしょうか。
こんな環境で育っていますので、実にしっかりしています。
こまめに弟たちの面倒を見たり、おばあちゃんを助けたりと気の着くこと比類のなさがあります。

しかし、どこか陰りを感じるし、見ていてもまったく笑顔を見せません。
写真を撮った時もそうでしたし、みんなに日本の飴玉をどうぞと手渡した時もそうでしたが、表情を緩ませることはありませんでした。

他の家族は気にすることのない外国人の立ち入りでしたが、彼女にとっては見られたくないものを無理に見ようとするよそ者の侵入だったのかも知れません。
【M8/Alfinar 38mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Old Delft Alfinar 38mmF3.5 | trackback(0) | comment(2) | 2009/11/05 Thu

客家村再訪

M8/Alfinar 38mmF3.5
古鎮から龍華のメインストリートに戻るのに苦労しました。
ここまで連れてきてくれたバイクタクシーには、あらかじめ戻るときは電話するから迎えに来てくれと告げていました。
しかし、電話口では、いま忙しくてとそっ気ない態度で、どうにもなりません。
それではと村の入り口に立って、ヒッチハイクの要領で車やバイクが通るたびに手を横に伸ばしましたが、なかなか止まってくれないものです。

ようやく30分も待ったところで、人の良さそうなおじさんのパイクがピタッと停車してくれました。
事情を説明すると、やさしい微笑みでどうぞ後ろにと指し示します。
こういう時の微笑みというのが良いのですね。
いなかの人の好さ丸出しで、旅人の不安な気持ちをすべて蒸発させてしまうかのような優しさです。
降ろしてもらう時も、なにがしかを支払おうとポケットの方に手をやると、いいからいいからと、手を振って走り去ってしまいました。

こういうところは、村社会とか農作業における相互扶助ということと関係あるのでしょうか。
わたしは体験ありませんが、日本でも地方に行けばこんなことは当たり前のように起っていることでしょう。

来たときと逆方向のバスに乗って、惠州のバスターミナルに戻りました。
ここで深圳行きのバスに乗り換えれば戻れる訳ですが、路線バスに乗り込み、第2の場所を目指しました。
今年6月に訪れている崇林世居という客家の古建築のある村です。

囲屋と呼ばれる建物の中に入ろうとしたその入口。
客が選別したリンゴだかを、果物売りが天びん計りで重さを量っています。
6月に行った時も同じような位置から写真を撮っていました。
もちろん主題は違いますが、見比べれば、この門にできた染みは同じ模様を描いています。
【M8/Alfinar 38mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Old Delft Alfinar 38mmF3.5 | trackback(0) | comment(2) | 2009/11/04 Wed

不要説死了

M8/Speed Panchro 75mmF2
レンズを取り換えると、もういちど違う道筋で村を歩いてみました。
いまさっき通った小路も逆方向から歩くとずいぶん印象が変わりますし、見落としていたものを再発見したりします。
太陽の位置が微妙に変わって同じ位置の写真を違う場所に見せますし、昼寝中だった犬が起きてきてオレを撮ってくれとせがむかも知れません。

この時はラッキーなことに古建築が広がっているところを見つけ出すことができました。
おとといの労働する少女の建物の背後にそれはあったのですが、少女の働きぶりに感心する余り見落としていた訳です。

清代の建築はとても立派な反面、壁かあまりに重厚で中の生活感が伝わってこないきらいがあります。
依然として人通りもないので、なにか廃墟か映画のセットの中にでもいるような気分です。

少し歩くと洗濯物が干してあるので家は無人ではないことが分かります。
風にそよぐTシャツには美少女がプリントされていました。
仕方ないので彼女にモデルになってもらい、龍華での撮影を終えることにしました。
【M8/Alfinar 38mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Old Delft Alfinar 38mmF3.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/11/03 Tue

圓圓的背面

M8/Speed Panchro 75mmF2
だいたいここに着いて村の散策は一巡という感じです。
狭い村ですが、ゆっくり廻ってちょうど1時間くらいかかりました。
2時間半かけて来ていますから、このまま立ち去ってはちょっともったいない気がしますし、少し疲れましたので、どっこいしょと石のふちに腰掛けました。
休憩兼作戦会議です。

午後、市内の別のところにも寄る予定なので長居はしないつもりですが、もう少し休んでから見落とし箇所もあるかも知れないのであと30分くらいいることに決めました。
そうであれば、レンズを交換することにします。

そう思っていたところ、無人だと思っていた古民家が人が出てきました。
かなり高齢のおばあさんです。
野菜のようなものを抱えていて、軒先の石の上に置くや選別を始めました。
この家の玄関からこちらは死角になるので、おばあさんはこちらの存在に気付きません。

こちらは腰掛けたまんまですが、まさに写真を撮ってくれというシチュエーションです。
スピード・パンクロでの最後の1枚になりました。

それにしても、わたしが中国までやってきて撮るのは、老人か子どもばかりです。
30代40代の人はほとんど登場しません。
被写体として魅力がないかというとそんなことはなく、わたしが訪れるのが日中だからでしょう、働き盛りのこの世代に出合うことがないのです。

では、もう少し寄っておばあさんの表情に迫ってはどうか。
代わり映えのしない作例を見ながら、休み前の長い夜にそんなことを考えてみます。
【M8/Speed Panchro 75mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Cooke Speed Panchro 75mmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2009/11/02 Mon

惠州古鎮的事情

M8/Speed Panchro 75mmF2
龍華古鎮は、広東省中央南部の惠州市にあります。
惠州は、内外の製造業が多く進出しているところで、以前に訪れた惠東地区はケミカル関連の工場が多く、靴の工場がいくつかありましたが、このあたりは電子機器類の工場をあちこちで見ました。

もちろん世界の工場と言われる中国の広東省ですから企業の進出は当然ですが、惠州は客家人が多く、彼らのコネクションと労働力としての勤勉性が大きく影響しているのではと想像されます。
さらに中国内陸部各地からも労働力が集まりますが、地元の客家人によって規律ができていれば、工場側も管理しやすいという事情がありそうです。

龍華の村を歩いていて見かけた新しい家は、作業場になっていました。
近くの工場の、恐らくは最小単位の下請け企業というところでしょう。
建物の中ではお母さんたちが細かい作業をおこない、小学生の娘は庭先で刃物を使ったラフな仕事をこなしていきます。

わたしの存在に気付いた犬が起き上がって吠えだしましたが、これは弟がなだめておとなしくさせてくれました。
外の気配に、妹がどうしたんだろうと部屋から顔だけ出してこちらをうかがいました。

絶好のシャッターチャンスです。
すかさず1枚撮りましたが、どうも一瞬遅れたようで、妹の姿がなくなっていました。
三兄弟トライアングルの構図が歯抜けになってしまったのが残念無念です。

そういえば、散策していても全然人に出合うことなく、農作業してたり、子どもは学校に行っているからだろうと思っていたのですが、どうもそういうことではなかったようですね。
新しい建物だと言って避けていたら、見えてこなかっただろう事がらがあることに気付かされました。
【M8/Speed Panchro 75mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Cooke Speed Panchro 75mmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/11/01 Sun
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