没人遊泳

M8/Kino-Hyper 5,5cmF3
称名寺から歩くこと15分、八景島は意外に近くにありました。
ちょっと早く着いてしまったので、海辺を散策してみます。

横浜市内で唯一、海水浴ができる海岸といいますが、もちろんここは埋め立ててつくった人口の砂浜です。
潮の流れが緩慢なためか、水はどんよりしていて藻のようなものが大量に漂っています。
まだ海開きしていないので泳ぐ人はいませんが、ちょっと海に走るのがためらわれそうです。

集まった人は、潮干狩りかバーべーキューが目的のようです。
天気がいいので、午前中からけっこうな人出です。
お気に入りの水着でやって来た少女が、水の汚さに入るのをためらっている様子を撮影しました。(これはあくまで推測ですが)。

ここでは4隅の甘さが、露呈しています。
左側が流れているのに、右側はそれほどでもないのが気になるところです。
けだるい暑さと、紫外線いっぱいという空気感はよくとらえていると思います。
【M8/Kino-Hypar 5,5cmF3 F3】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Goerz Kino-Hypar 5,5cmF3 | trackback(0) | comment(10) | 2009/06/30 Tue

途中下車

M8/Kino-Hyper 5,5cmF3
この週末、日曜はたいへんな大雨でしたが、土曜は梅雨の中休みだったようで、なかなかの好天に恵まれました。
ノンライツRF友の会、6月の会合は、まずは八景島の撮影行からスタートします。

その前に。
八景島だけではブログ1週間分の撮影は厳しいかと考え、本来テスト撮影である八景島の前のテスト撮影を行いました。
と言っても、金沢八景からシーサイドラインで八景島へ出るところを、金沢文庫で下車して運賃を節約し、同時に途中の称名寺で30分ほど寄り道しただけなですが。

称名寺は、昨年の2月に紹介させていただきましたが、歴史ある庭園や金沢文庫を擁する美しい寺院です。
昨年修復中だった太鼓橋はすでにきれいな姿を見せ、萱葺きの釈迦堂はどっしりと変わることはありません。

今回持参のレンズは、ゲルツのキノ・ハイパー 5,5cmF3 1本です。
キノという接頭語からご察しいただけるように、シネ用レンズのライカマウントに改造していただきました。
レンズの詳細は、後日お伝えできたらと考えています。

意外に高解像のレンズで、モノクロ時代のレンズらしからぬ素直な発色を見せます。
シネ転用ということで、周辺が暴れるのは致しかたないところでしょうか、中央の木の枝は無収差に表現していますが、左端の幹はすごいことになっています。
周辺のボケは、同心円ではなく、放射状に広がるようです。

また、このサイズでは見えませんが、拡大すると屋根瓦の反射にコマ収差が見てとれます。
中央近くで分かるくらいなので、周辺ではかなり盛大と想像されます。
ノンコートのため、光が一部入るとフレアでコントラストが下がるのは仕方ないところでしょうか。
晴天のため、何枚もの写真に、つらいフレアの発生が見られました。

以上、テストのテストということで、液晶で分かったり、見えなかったりということはありましたが、かなり性格が露わになって来ました。
【M8/Kino-Hypar 5,5cmF3 F3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Goerz Kino-Hypar 5,5cmF3 | trackback(0) | comment(0) | 2009/06/29 Mon

美麗的手臂

M8/Planar 50mmF2
中国美少女を探せ! 深圳篇は、企画倒れのままに最終回を迎えます。
大芬に見切りをつけ、東門にあるコスプレ・カフェを久し振りに訪ねることにしました。
以前にもVサイン少女を登場させたコスプレ・カフェですが、名前のようなコスプレどうこうというのはなく、漫画喫茶のような存在です(ただし、もちろん国立ではありません)。
しかし、ウェイトレスの女の子が他と比べるとルックスに優れ、メイドのコスチュームに扮しているところが店名の由来であり、今回また訪れた理由でもあります。

Vサインの少女は、この日お休みで、代わりに四川出身のチェリー(左)と湖南出身のアップル(右)が、うわー、わたし外国人と話しするの初めてと対応してくれました。

メイド服ではなく、これは完全に日本の高校の制服のようです。
どうやって入手したのかと心配になりましたが、漫画を仕立て屋に持って行って、同じように作ってくれとやっているようです。
チェリーによれば、メイド服は冬用で、夏はセーラー服が涼しくてよいのだそうです。

カメラをテーブルの上に置いていたので、撮らせてと依頼するまでもなく、むしろ彼女たちにすれば撮って欲しいという雰囲気で、これは助かりました。
もちろん、こんな格好してと要求した訳ではなく、勝手にポーズをつけてくれるノリの良さもありがたい。
他の客の視線もあるので、たたたんと速攻で数枚撮影して、ほらと液晶で見てもらったりしました。

昨日の大芬の女性は、液晶上でもこれはダメだというのが分かりましたが、今日のふたり組はなかなか決まっているように見えました。
次回、プリントを進呈する約束もしました。
最後にやっと、プラナーらしい作例も撮れたしということで、深川精密工房にこれで報告できるという安心を得たということもあります。

しかし、帰国後PC上で確認してみて愕然、全部前ピンになってしまっていました。
作例では、色白の腕の美しさが強調されているので、そういう趣味の方には評価いただけるかも知れませんが…。

昨日は西東京地区の、今日は西東北地区のノンライツRF友の会所属女性写真家の趣味をついているかと自認していましたが、これではおふたりからお叱りを受けるだけの無駄骨です。
お世話になりながら、恩を仇で返してしまい、深くお詫び申し上げる次第です。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(16) | 2009/06/28 Sun

是服務員的服務

M8/Planar 50mmF2
暑さで気力を失い、わたしもカフェのテーブルにつくことにしました。
メニューをもってきてもらうと、途端に元気が復活してきました。
これぞという飲み物があったという訳ではありません。
メニューを見ても、中国ではあるまじき、日本並み観光プライスで力が抜けて行ってしまいそうです。
そうではなくて、メニューを持ってきたのが中国服を着こなした上品な美女に癒された、ということです。

ビールを注文。
ほんとは中国茶があって鉄観音がよかったのですが、前述のようにかなり高かったのです。
もともと複数人で飲む工夫茶なので、どこでも安くはないのですが、1000円以上していては、この暑い中でオーダーは見送られます。
では暑いからビールか、というとそればかりではなく、小心者のわたしが中国服美女に写真を撮らせてもらうための景気付けです。

炎天下のビールは効きます。
頭はぼんやり、目の前が蜃気楼状態で、会計時に写真をと申し出ます。
嬉しそうに承諾してくれました。
カウンターでポーズをつけてもらったのですが…。

結果はご覧のとおりです。
人間誰しもすごく好い表情をすることがあれば、反対のこともあるでしょう。
そのいちばんひどい表情のときにシャッターを押してしまうとは。
わたしはこの時酔っ払い顔だったかも知れませんが、ダメだ、この人にはわたしをきれいに撮ることはできない、という諦め顔をしてるように見えます。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(9) | 2009/06/27 Sat

空気微温

M8/Planar 50mmF2
Arriflex Planar 50mmF2。
ライカにマウンティングできるレンズとしては、もはや究極のように思います。
高い解像力で、あくまで自然なレベルの最高度シャープネスとコントラスト、そして恐ろしくリアルな表現力という分野において、このレンズは極めていると言えます。
それが分かる作例を撮ることがわたしの責務でしたが、今回は果たせず申し訳ないのですが。

明るさの究極では、Angenieux M1 50mmF0.95 があります。
暗闇から対象を感じ取り、日中ではアンジェニューらしいシャープさで被写体を浮かび上がらせます。
35mmフルサイズには欠けますが、M8ではぴったりフィットし、1/8000まであるシャッターが白昼の開放撮影も可能にしてくれました。

愛すべき収差を極めたのが、ふたつのプラズマット・レンズ、Kino Plasmat 5cmF1.5 と 3.5cmF1.5 です。
ものを実在感いっぱいに写し出す能力、立体的にとらえる能力は、球面収差の補正不足に由来するようですし、近距離で撮影した時に周辺に現れる同心円状のボケは愛おしくさえ感じるようになりました。
きつい収差だけが目立つレンズとは一線を画しています。

次に目指すべき道はどこにあるでしょうか。
広角を極めていくという方法が、まず真っ先に思いつきます。
しかし、これはゴールが決まった道のように感じられます。

わたしにとって、もっと身近な道筋はすでについていました。
キングスレークとオールドレンズ研究の第一人者である、ksmt さんが自身のサイトの日誌の中で、大昔のレンズ入門を連載しています。
ここにこそ、わたしが次に旅立つべき目的地が存在しているのではと、拝読しながらわくわくしてきました。

大昔のレンズへと言っても、いきなり大判を始めるとか、今までのレンズを売り払ってなどということではありません。
そのくらいの潔さが逆に欲しいくらいですが、実は考えているのは大昔のレンズをライカで楽しむという期待させながら肩透かしな発想です。
35mm判が出る前の時代のレンズですから、サイズは大きく、焦点距離もやたら長く、暗いレンズがほとんどです。
その中から、ライカに距離計連動可能な焦点距離のレンズを探し出して試してやろうと考えてみました。

詳細は、またおいおい記述することで意見をいただき、ひいては知識を広げていきたいと思います。
古く暗い歴史的レンズを35mmフォーマットで使うとなると、どうしてもどれもが同じような描写に見えて、あっけなく挫折してしまう予感もなくはありません。
すでに、やめた方がというささやきが聞こえてきているところでもあります。
しかし、こうやって宣言したことで、無理にでも進まざるを得なくなったので、何かしら結果を残してから自爆するなら自爆してしまうという逃げ道付きの旅を近くスタートさせようと思います。


さてさて、大芬を歩けど探せどこれぞに出合えません。

先月、黄姚古鎮を訪れたあと、次回の中国行では女性の写真を撮りますよと宣言したのですが、なかなかそういうチャンスは巡って来ませんでした。
日本には、そんな写真を首を長くして待つであろう人が何人か。
何とかしないといけません。

ようやく、カフェにくつろぐイケてる少女を発見。
しかも周囲は、揃いも揃ってくたーっとした空気を演出している人でいっぱいです。
おっと、連れの白人男性までが、くたーっ。
緩い空気、ここに極まれり、です。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2009/06/26 Fri

不可思議的縄索

M8/Planar 50mmF2
惠州の小さな旅は、昨日でひとまずおしまいということで、その前日に撮った何枚かを紹介することにします。

滞在した深圳は観光地という訳ではありませんので、少なくとも香港のようにはカメラを持って撮り歩く場所がありません。
そんな中で、以前にも登場した大芬油画村は、例外中の例外と言えます。
暑い日でしたが、M8+ブラナーを手に、出掛けてみました。

大芬は、相変わらず空気が緩みきっていました。
土曜の日中だというのに、全然歩いている人がいません。
客がいなければ、店の方でがんばっても仕方ないからか、軒先に椅子を出して昼寝してたりで緊張感のかけらもありません。

こんなだと撮るものもないなと思ってがっかりしていたところ、最初に見つけた働いていた店員が彼女でした。
絵が売れたのかも知れません。
このポーズの彼女こそが、店のどの絵よりも絵になっていると伝えたくなります。

F2開放で固定していたブラナーなのに、1/8000でもオーバーと表示されてあせりました。
深圳の日差しはそんなにも強いから?
いえ、冷静に考えると前夜ISO1600で設定したままになっていただけでした。
それで、粒子の荒い、またもやレンズの実力を発揮できていないカットになってしまいました。

そんなことよりも、まん中にだらんと下がったひもの方が気になって仕方ありません、ですか。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(0) | 2009/06/25 Thu

荔枝的味道

M8/Planar 50mmF2
崇林世居を見終わり門から外に出ると、レストランからここまで案内してくれた女性が笑顔で待っていました。
案内いただくだけで恐縮なのに、写真を撮ったり時間がかかるので待っていないでと言いましたが、うなづいたもののやはりずっとわたしを待ち続けていたのでした。
そして、わたしが戻るや、愉しかったですか、少しうちで休んでいってくださいと勧めます。

これは断るわけにはいきません。
以前知り合いの客家人は、何しろ客人をもてなすのが客家人だからと言っていました。
その日のうちに深圳に戻って、シャワーを浴びてから夜の便で東京を目指しますので、それに間に合いさえすれば招待は積極的に受けなければならないのです。

この女性の家はライチをはじめとした果物農家のようで、そのライチは6月が収穫期です。
まさに、絶好のタイミングで、わたしは訪れたのでした。
スーパーなどでも出回っていたようですが、何しろ採りたてを食べてほしい、自分たちのライチを味わってほしいという一心で招いたということでした。

ライチは、赤っぽい外観ですが、皮をつるっと剥がすと中はまっ白い果実が見るからにみずみずしく、ほのかな甘みが口に優しい食べやすい果物です。
味が上品ですししつこくないので、いくつ食べても飽きが来ません。
品種的に5種類ほどが存在するそうで、そのうちいちばん美味しいのものだよと言っていくつもいくつも食べさせてくれます。

束に放置されたのがあったので、これはと聞くと、甘味がなくて美味しくない種類だからわたしたちは食べないのだと言います。
試しにひとつ口に入れてみましたが、なるほど甘味がない代わりに酸味がまさる味は明らかに劣りますが、これはこれで案外いけるかなとも思います。

気に入ったのならぜひ持って行って、いまウラから採って来るから、というのでご一緒させてくださいと願い出ました。
ここまで来る途中にも庭にもライチがなっていたので、その辺で採るのかと思っていたのですが、これがウラはウラでもウラ山だったのです。
雨上がりでスリッピーな赤土を一歩一歩上がって、ずいぶんと見晴らしのいいところまで辿り着いてしまいました。

わたしだけ息も絶え絶えでしたが、みんなで20分も作業したでしょうか、歩くのが精いっぱいという大量のライチを3人で持って山を下りました。
下りは上りよりきつい、それを実感しつつ女性の家に戻ります。

さらい採りたてのライチを摘まみながら、いろいろと話をしました。
女性のご主人は事故で足が不自由となり、松葉杖をつきながら家で仕事をしているようでした。
ふたりの子供は市内の工場で働いているのですが、寮に入っているので月に何度かしか戻りません。
ほんとうは深圳などの都会で働ければ給料はずっといいのに、18歳未満だと市外で働けない規則があるのだと残念がっていました。
そして、彼女自身は、くだんのレストランで昼と夜にパートとして働いています。
農村でも、けっして生活は楽でないだろうことは想像がつきます。

ご主人が出てきて、日本のことなどいろいろと聞かれました。
外国人を自宅に招くといのは、誇りでもあるのかも知れません。
ウチにもひとつだけ日本製のものがあると大型の冷蔵庫を自慢げに指さしましたが、たしかに日本風のロゴが付いているものの聞いたことがないメーカーです。
騙されて買ったのかも知れませんが、さすがにそうとは説明できませんでした。

談笑そのものは、明るく楽しいものでしたが、ところどころに平均的な日本と中国農村の格差を感じて考えさせられる局面ができます。
彼らは、それを承知して話していたので、わたしも全然気にすることではないのですが、その分だけ親切が身に染みるというか、感傷的な気持ちになってしまいました。

そろそろバスの時間だからと、女性は袋いっぱいに今採ってきたばかりのライチを詰めてくれました。
気持ちは嬉しいですが、植物検疫を考えれば、日本への持ち込みは断念せざるを得ません。
少しでいいからと固辞しますが、ぜひ家族にも食べさせてあげてと言われ、その家族にという言葉にかなりじーんと来ました。
やはり日本持ち込みはあきらめましたが、これはあとで深圳の友人たちに配って、事情を説明して食べてもらったところ、口々に美味しいと言ってもらえ、少し誇らしい気持ちを得られたのが幸いです。

電話で呼んでくれたバイタクがクラクションを鳴らし、いよいよ暇を告げる時が来ました。
中国へ来たら必ずまた寄ってほしい、そう言って送り出してくれました。
ここを自分の家だと思ってとも。
帰りのバスを待っているあいだ、手に握っていたライチの袋がとても重く感じられました。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/06/24 Wed

最後的

M8/Planar 50mmF2
アリフレックス用のブラナーという完璧レンズを数日間使い、それをもとに2週間もブログを続けると、不完全主義の血が騒ぎ出すようです。
週末にRF友の会の撮影行があるがこれはクセ玉で参加しようとか、写らない珍しクセ玉はないかと検索したり、禁断症状が現れ始めました。

普段は満たされない禁断症状ですが、今日は、いつもと違う興奮をともなう薬物を発見してしまったのです。
製品化されているのも期待していなかった、ここ1年は探し続けていたレンズが、某サイトにて販売されていたのです。

それは、トリプレットがエルノスターへ発展する途上で生まれた、両者を繋ぐ架け橋、やがてゾナーが登場するのを予言する一滴のしずく、大口径レンズが登場するために避けては通れないパルナソスの頂きです。
しかも、光学の発展にまったく関係があるとは思えない、マンハッタンの地を故郷に生まれ育ったといいます。

このレンズがやって来た時、マウント改造を深川精密工房に依頼してみるつもりです。
恐らく却下されることは目に見えていますが、推定、世界初のこのレンズの35mm撮影の栄誉を得られるわけですから、あわよくば引き受けてもらえぬかとの淡い期待もなくはありません。


さてさて、作例に行きましょう。

案内してくれたレストランのおばさんを外に待たしていたので、あまりもたもたしている訳にもいきません。
ぐるっと1周して、ここが出口というところで運よく、いかにもお人好しな雰囲気の親父さんとすれ違いました。
こんにちはとあいさつすると、写真を撮りに来たのかいと話しかけてきます。

いかにも土地の人という体裁に見えましたが、言葉がちょっと広東風ではないような気がして、ここの方ではないのかと聞いたところ、貴州省からやってきたと言います。
四川省や貴州省から出稼ぎにやってきたが、ここが家賃が安かったので住み続けて、2年になるとのことでした。
麻雀の家族も、内職のおばさんも、みな遠方から出稼ぎにやって来た人々だったのです。

なんだか肩透かしを食ったような、そんな人たちをばしばし写真に撮ってしまって申し訳なかったような、重い気分を感じます。
だからといってそれを顔に出しては、目の前の貴州人には失礼でしょう、去年貴州を旅して美しい村々をまわったこと、貴州の女性はみんなきれいですねなどとくだらない話をしてつなぎました。

そんな折でした。
あれを写真に撮ったら、そう言って指差したのはひとりのおばあさん。
ここ崇林世居、唯一の客家人だそうです。
蒸し暑い中の厚着に厳しい表情、できればここでの昔話など聞ければよかったのですが、あいさつすらはばかれ、話しかけるきっかけはついぞ訪れません。
そんなわたしの弱気を見透かすように、扉の横の小穴から飛び出してきた猫が、こちらを一瞥しながら去っていきました。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(13) | 2009/06/23 Tue

看電影的奇遇

M8/Planar 50mmF2
今回の小旅行は、香港まで全日空機を利用しました。
全日空とキャセイ他の外国キャリアにわたしは特に差を設定していないのですが、全日空でありがたいのは映画を任意の時間に見れることです。
だいたいいつも搭乗するやひと眠りして、食事のときに起こされるというパターンが多いです。
外国のキャリア利用のときは、この時もう映画などのエンタテインメントは始まっていて、途中からぼけぼけ頭で見てもついていけまいと音楽を聴いて過ごします。
しかし、近頃全日空等は、映画も見たいタイミングでスタートさせることが可能になっています。
香港までは、片道5時間近くありますから(冬のスケジュールの場合)、根性あるファンは2本立てで映画を見ているようです。

この夜プログラムを見ると、"ワルキューレ"がありました。
以前、深川精密工房の工房主さんから、この映画はアリフレックス・システムで撮影して最高の画像を見られること、劇中でもアリフレックスで撮影しているひとコマがあることなどを教わっていましたので、これは見てみようという気になりました。

解説にブラナー云々の表記も見られました。
撮影レンズがブラナーだとすれば、こんな奇遇はありません。
今回持参したレンズがブラナーで、そのマウント改造を請け負っていただいたのが深川精密工房だからです。
工房と映画、それにアリ・レンズの関係の不思議を感じつつ映画鑑賞…。
いや、実は再度眠りに落ちてしまったようで、途中の展開の記憶がありません。
プラナーの文字も、後で見直すと、ブラナーという名前の出演者の見間違いでした…。


さて、お粗末過ぎる前置きで恐縮ですが、崇林世居の方も何だかパッとしません。
入口付近こそ、いくつかの家族で盛り上がっていましたが、それ以外は歩けど歩けど人気がほとんどありません。
建物を見ても荒れ模様で、廃墟化が進行しているように感じられます。

角の家には住人があるようで、ホッとしつつ1枚撮影させていただきます。
しかし、洗濯物がわずかにあるだけで、住人の数が少ないのが想像できます。
縫物をしているように見えた女性ですが、声をかけると手にしていたのは糸ではなく電子部品。
こんなところで内職していたのです。

閉ざされた廃墟よりはずっとましですが、この寂れた雰囲気はただごとではありません。
その理由は、この後判明することになります。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2009/06/22 Mon

坐着大巴到

M8/Planar 50mmF2
バイタクにもとのバス停まで戻ってもらい、秋長鎮を後にします。
次に目指すのは鎮隆鎮というところですが、行き方からすでに分かりません。
バイタクに行けないか聞いてみましたが、冗談はよせというように首を横に振られました。
後で調べると30キロは離れていましたから、運転手がOKしていたら先月の富川の時のようにとんでもない時間がかかったに違いありません。

街道に沿ってパスが頻繁に通っていましたが、そのどれに乗っても鎮隆までは行けるそうで、これは助かりました。
早速来たバスを停めほどなくすると突然の大雨が降りだします。
日本でも昨年からゲリラ雷雨というのが問題になっていますが、亜熱帯の広東省ではごく普通にある猛スコールです。
視界はほどんどゼロで、道は河に。
ああ、バイクでなくて良かったとホッとしました。

バスは淡水から惠州へ行く中距離バスでかなり頻繁に通っているようです。
秋長でも鎮隆でも乗降はわたしひとりで、他の乗客にはちょっと時間をとらせてしまい、申し訳ない感覚でした。
料金6元は約80円になります。

秋長でたくさん見た食堂は、鎮隆にはぜんぜんありません。
昼食時間は過ぎて、かなり空腹なのであせりました。
探せども聞けども街中に、食堂はなし。
暑いので冷房が効いているところと思っていましたが、それどころの騒ぎではなくなりました。
たまたま街道の先に風変りな建物があったので、なんだろうと向かったところその先にうまい具合に村唯一の食堂があったのは非常に幸運でした。
奇妙な建物はゴミ焼却炉か何かで、これは意味ナシでしたが。

そこは、客家の食堂で名物だというアヒル肉などをいただきました。
そして、崇林世居という目的地への行き方をたずねたところ、すぐ近くだが連れてってやろうということになりました。
やはり、客家の人は親切だとまた実感します。

さて、崇林世居も前日まで見たような客家の囲屋のひとつです。
しかし、ここは村の中心というロケーションにあるため、閉ざされた雰囲気はなく、どうぞ見てください的なオープンさがありました。
扉は文字通りのオープン、というか取り外されていました。
そんな違いが面白かったので、鎮隆での1枚目はその歴史を刻んだ門と壁を撮りました。

その先では、じゃらじゃらとお馴染みの麻雀の音が聞こえてきました。
庶民的な臭いが門を通ってこちらにやって来ているようでした。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/06/21 Sun

司機也是客家人

M8/Planar 50mmF2
そろそろバイクタクシーの運転手が痺れを切らしだしたかなと、バイクの位置に戻りましたが、案外彼はご機嫌で待っていました。
鉄門扇の他にもいくつか、囲屋があるので連れて行ってやるというのです。
なるほど、このまま戻れば15元で終わるが、まだ回ればもっと稼げるということでしょう。
少し心配になる展開ですが、彼だって、今日何度か親切にしてくれた客家の人たちのひとりだと思えば、それほど恐れることもないでしょう。

さて、残念だったのは案内してもらった、桂林新居と会龍楼はともに無人の状態で、特に桂林新居は廃墟に近く、外壁はきれいでしたが、中はかなり朽ちている様子でした。
この二つとも村から少し離れた位置にあるため、忽然と現れる囲屋は迫力もあって美しいと感じられるだけに何とか維持保存に努めてもらいたいものです。

そんな打ち捨てられたような囲屋に案内してもらえたのは、良いバイタクに乗れたからだと思います。
ここを知らなければ連れて来れない訳ですし、最初の鉄門扇で延々写真を撮っているのを見て、こいつは古建築に興味があるんだなと機転を利かせて回ってくれたのはラッキーと言えます。
それに、外れの囲屋までは途中舗装路がなく、午前中の雨でかなりぬかるんでいたので、重たいわたしをリアシートに乗せて、危険を感じるほど速くなく、いらいらするほどまで遅くなく運転できたのは、飛ばしてなんぼのバイタク業界にあって、すぐれて乗客本位だったと感謝したいです。

作例は、会龍楼です。
ごく部分しか写っていませんが、簡単に説明します。
正面の建物は立派に見えますが、メインの建築ではなく、あくまで城壁のような囲いに相当する部分の一部です。
ほぼ正方形に近い四角い囲いがあって、その4隅にご覧のような少し高い建物が東西南北の見張り台のような役目を担っています。
また、左端の剥がれかけた赤い対聯のある扉の少し右側に細長い穴が開いていますが、これは内側から銃口を向けるための穴です。

住宅は、昨日の屋根の連なりのように、囲いの内側に整然と機能的美しさをともなって並んでいます。
とても小さな中世の町を想像してもらえばよいと思います。

左側に見える建物は、まったく別になります。
想像ですが、もともと19世紀には囲屋内の生活は余裕あったものが、徐々に人口が増えて、どうしても囲いの外に家を建てざるを得なかったのでしょう。
万一、盗賊の襲来があれば地下でつながっていたりとか、そこまではないでしょうが。

中に入ることができないので、外側からかつての繁栄のよすがを感じつつ、また彼の後ろに跨ります。
桂林新居、会龍楼と回り、先にバスで出掛けていた葉挺故居まで行ってくれて、運転手の言い値は30元と、まったく納得がいく料金を支払うだけでした。
料金交渉はだいたい苦労するものですが、いつもこんなだと助かります。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(10) | 2009/06/20 Sat

還要相機嗎

M8/Planar 50mmF2
今回の小旅行には、ライカM8を1台に、深川精密工房改造によるアリフレックス用ブラナー 50mmF2 1本のみを持参しました。
自分としては、かなり思い切った、潔いシンプル装備のつもりです。
これは、工房がわたしのために作ったレンズに対する信頼の意思表示であって、けっして荷物軽量化の観点からの選択ではありません。
同時に、50mm の明るいレンズと高速シャッター付きのカメラがあれば、昼でも夜でも風景でもスナップでも何でも、多少の制約はあるだろうけど何とかなるものだということを体感してやろうという試みでもありました。

幸いというか当然というか、カメラも、レンズも、マウント改造部分も最高の技術を結集して作られたものですから、何らトラブルなく数日間のタフな旅を余裕でクリアしてくれました。
もっと厳しい条件で使用する、報道写真家や自然写真家などの酷使も想定しているのでしょうから、やはり当り前の結果です。

しかし、レンズ大量保有者としては、レンズはもっと持ち出したいという欲求があって、いつもは交換レンズを広角と望遠1本ずつ持って行っています。
望遠は、使う機会が全くないことも珍しくないのですが、まあ休憩のカフェとか宿とかでレンズ交換したりいじったりしているだけで、じゅうぶんご満悦だったりしている訳です。

これが1週間を超えるような中長期の旅だったらどうでしょうか。
レンズに加えて、やはり、予備のカメラがどうしても欲しくなります。
かつてM6メインだったころは、だいたいCLかCLEをサブカメラにしていました。
レンジファインダーと一眼レフを組み合わせた方が、撮影には幅が広がるでしょうが、荷物がかさばればフットワークも落ちるので、レンズ共有でメイン機よりずっと小さいサブ機のペアが最適に思われます。
そんなわけで、M6、CLE+30mm,50mm,90mm というのが旅の道連れになったのでした。

デジタルに堕した今では、M8とフィルムカメラの組み合わせは考えにくく、かといってM8&R-D1は重過ぎです。
理想としては、CLEデジタルのようなシンプルな小型機が出てくれるとベストです。
そんなところへパナソニックのG1が出たときは、入手を本気で考えましたが、一眼レフとしては小型軽量でも、形状などは思ったよりもコンパクトでなく、ぱーっと広まったこともあって見送ることになりました。
そうそうサブカメラまで持っての旅の機会もある訳ではありませんし。

さて、若干旧聞になりますが、オリンパス・ペンE-P1の登場です。
それほど関心を持っていなかったわたしは、G1に機能を追加したより一眼レフ然としたボディを想像していました。
それが、オリンパス・ペンというネーミングだと言います。
おやっと思ってホームページを見ると、何とも物欲をそそるデザインをしているのですね。
かつてのペンの雰囲気そのままにデジタル化したという味わい濃厚です。
外装は金属を多用したものだそうで、実際に手にした感触も期待できそうです。
何より、さらに進んだ小型軽量は、わたしの目的にはぴったりです。
どうやらファインダーが無いようなので、問題は液晶画像でアダプター介して取り付けたマニュアルレンズをピント合わせできるのかなということでしょうか。

ペンの話はこの辺で止めておこうと思います。
恐らく調べればすでにかなりの情報が溢れていて、そんなのを読んだりしたらすぐにも欲しくなってしまうという危険性を孕んでいるからです。
まずは冷静を保たねば、です。


作例は、人さまの屋上に登らせていただいて、鉄門扇の美しい屋根の連なりを撮影したものです。
3階建ての家の前を通ったとき、たまたま家の人が出て来たので、事情を説明したところ、快く屋上まで案内してもらったのです。
客家の人は家で客を持ちなすのが好きだから客家というのだよと聞いたことがありましたが、確かに客家人は親切な人が多いと感じます。

50mm 1本で十分だなんて書きましたが、ずっと広がる屋根を表現するには少し狭すぎます。
せめて35mm があればなあ、と思ったのは偽らざる事実でした。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(11) | 2009/06/19 Fri

涼帽其二

M8/Planar 50mmF2
客家といって一般の方にどれだけ馴染みがあるでしょうか。
普通の中国人である漢族の中で、客家は独特の存在です。
それは、もともと4世紀頃まで黄河流域に暮らしていた漢族の集団が、当時の反乱を避け南下して移住していき独自の文化を何世紀も守って暮らしたことによります。

例えば、言語は客家語という独自の言葉を持っていますが、これは中国古語に近いものと言われています。
食事は、野菜が多用されていますので、美味しいが不健康的イメージの強い中国料理にあって、もっともヘルシーなものです。
じっさい客家人の平均寿命は中国人の中で断トツの高さです。

著名人の排出でも特に知られています。
香港や台湾、シンガポールなどでの財界の多くは客家人ですし、政界では、中国の孫文や小平、台湾の李登輝、シンガポールの李光耀(リー・クァンユー)と少し前までのアジアの国家元首は客家人だったのです。
これは、客家の教育熱心さや勤勉さと無関係ではないでしょう。

さきほど客家語は中国古語に似ていると言われると書きましたが、ということは日本に伝わった漢字の読みなども似ているということのようです。
ここで詳述はできませんが、いろいろな単語に共通性があると言われています。

ところで、それとは関係ないと思いますが、わたしも日本語そっくりの言葉を聞きました。
以前、客家人の家庭で夕食を御馳走になったとき、もっと食べろとばかりに次々とおかずを取ってくれたため、たちまち満腹で食べられなくなりました。
もう、食べられませんということを普通話で伝えると、もういい? と聞き返されました。
えっ? と驚きましたが、日本語で「もういい」と断るのを、客家語でも「もういい」と発音するようです。
イントネーションも似ていて、これは楽しい発見でしたし、わたしが唯一覚えた客家語です。
どういう字を書くか聞き忘れましたが。

作例は、涼帽と呼ばれる暑さ対策の客家伝統的帽子を被った女性です。
麦わら帽子のふちを黒い襞のカーテンがぐるっと一周している、いかにも涼しげなデザインが印象的です。
歩いているのを見かけたので、もう少し寄って撮りたかったのですが、ひどい暑さで追いかける元気が出ませんでした。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(8) | 2009/06/18 Thu

鉄門扇的小妹

M8/Planar 50mmF2
今回訪れたのは、広東省惠州市淡水区の秋長鎮と鎮隆鎮です。
日本ではもちろん、中国や広東省内でも特に知られているような所ではなく、訪れる人もほとんどありません。

このエリア一帯の住民のほとんどが客家人で、彼ら独特の囲屋と呼ばれる城壁で囲まれたような主に清時代の集合住宅がいくつか点在しています。
客家の住宅と言えば福建省に多く見られる円楼の方がずっと有名で、ずっと地味な囲屋をわざわざ見に来る人は、せいぜい研究者か外地に渡って故郷を見物に来た華僑くらいなものでしょう。
少なくとも新しく入手したレンズのテストのために訪れる外国人は、後にも先にもわたしくらいなものと断言できます。

おとといと昨日の写真は秋長鎮のものです。
昨日の写真の囲屋は、クアラルンプール王と呼ばれる華僑の故郷の家だと説明がありました。
いっしょに写っている見学者の人たちは、恐らく深圳か広州の成功した客家人が祖先の地を訪れたというところでしょう。
エコカーに買い替えがとか騒いでいる世界をあざ笑うような、大きな低燃費車を連ねて訪れているのが印象的でした。

近くには同じような囲屋がもう二つあって、ひとつはかつての共産党幹部の故居ということで、ここのみ参観者が多少は訪れたりするようです。
しかし、その故居こそ拝観料を払えば入って行けましたが、他の囲屋は住む人なく鍵に閉ざされて、外観を見渡すだけしかできません。
少々がっかりしながら、次の目的地を目指しました。

葉挺故居の前からバスに乗って、秋長鎮内の次なる目的地、鉄門扇を目指しました。
車掌に行き方を相談すると、親切に対応してくれ、最寄りの路上に降ろしてくれバイタクと交渉して往復15元で行くようアドバイスまでくれます。
バイタクと交渉すると、少し高めを言われましたが、15元でというと納得してもらい、なるほど15元が適切な料金だと納得できます。

なぜ往復かと言えば、現地に交通手段がないので、バイクに待っていてもらうべきということでした。
待たせながら写真を撮っているのは気が引けますが、片道なら5元でしたので、3倍出せば30分程度は待たせて問題ないようです。
そうして着いた鉄門扇は、今回唯一の客家人が暮らしている囲屋でした(後で指摘されるまで鉄門扉かと思ってやり取りしていたら扉でなく扇だったのは大笑い)。

四角く囲われた中に入って最初に見たのが、ずっと愛想すら見せない女の子でした。
それでも、生活の匂いのある建物の中に入れて、嬉しさいっぱいに撮らせてもらいます。
画面の中央から隅まで均質で乱れないことを知っていればこそ、少女は端にあっても、わたしの喜び代弁してくれています。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/06/17 Wed

介紹鏡頭

M8/Planar 50mmF2
昨日の冒頭に"例のアレ"と表現した特別なレンズですが、紹介するのをすっかり忘れてしまっていました。
ツァイスがアリフレックスという映画撮影機のために設計した35mm用シネレンズ、プラナー50mmF2です。

スティル・カメラ用のレンズと違って、シネ用のレンズは資料が少ないのが現状です。
ブラナー50mmF2と聞いても、一眼レフレンズの転用ではないかとの疑いも以前はありましたが、基本の設計こそ4群6枚のダブルガウスを基にしている点で同じところからスタートしていると言えそうなものの、描写性能には明らかな相違を感じます。
シネ用が軍事用を意味するのか産業映画用を意味するのか分かりませんが、いずれにしても一般販売向けとは違ったコスト度外視の最高水準か求められていたわけで、当時のカール・ツァイスの技術の粋が結集されたレンズだったのだろうと想像されます。

そのアリフレックス・マウントのブラナーですが、あの深川精密工房がライカ・マウントへの改造を引き受けてくれました。
本当のところは、このレンズが売りに出ていることを教えてくださり、改造もかって出てくれたのもその深川精密工房だったのです。
アリ・ブラナーも長年にわたって製造され続けていますから、その間設計変更が何回か行われているようで、知りうる限りライカ・マウント化できる最高性能のヴァージョンが今回のタイプのブラナーということのようでした。

実は、このレンズはすでに深川精密工房が改造に成功していて、わたしの個体はその第2号機ということになります。
そんな特別なレンズを独占することなく、情報提供から自らの改造でわたしにもたらしてくれた工房主の心の広さに頭が下がりました。
ちょうど5月連休に工房主が同レンズを用いて、得意フィールドである沖縄を撮影してきたことから、それに応えるためにもわたしは中国に行って試してこなくてはと考えたのが今回の中国行というわけです(本当はわたしも5月連休使用予定でしたが微妙なトラブルがあって持ち出せませんでした)。

さて、レンズ入手から持ち出すまでの顛末がすっかり長くなってしまいましたが、もうひとつ付けくわえさせていただくと、今回、交換レンズは一切なしで、M8+ブラナーのコンビのみで参戦しています。
さらに言うと、このアリ用レンズは絞りが動きやすいという欠点があって、それを防止すると同時に開放のみで勝負との意思表示の意味も込めて、開放位置でテープ止めしています。
今回の滞在の撮影すべてが、Leica M8/Planar 50mmF2 開放のみ、ということです。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2009/06/16 Tue

那個第一張

M8/Planar 50mmF2
例のアレはどうなったのですか。
日増しにそんな声が高まり、いよいよプレッシャーも感じ始めていました。
アレを試すには、やはり中国まで行かなくてはいけないかなという訳で、週末超駆け足で香港経由広東周辺を回って来ました。

突然の決行でしたが、新型インフルエンザの影響は顕著で、航空券は簡単に購入できましたし、座席もかなり余裕でした。
ただ、6月の当地は、気候的にかなりきつく、日中は35度くらいまで上がりますし、突然のスコールが毎日のようにあるようです。

今回は、また深圳からバスで、淡水という街に出ます。
高速で1時間強、片道500円程です。
淡水からはローカルパスを2つ乗り継いで、知られざる客家古建築の点在する村を目指しました。

車掌からこの道をまっすぐ行けと降ろされてたどり着いた村の中心では、課外授業でしょうか写生をする中学生(?)たちが最初の撮影のきっかけを提供してくれました。
先週の横浜では、描かれた絵の方をモチーフにしましたが、ここではもちろん描いている女の子の方が主役です。
ただ、ふたりが同時に上を向いている瞬間はなかなか訪れず、彼女たちの可愛らしさがうまく伝えられないのが残念です。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(10) | 2009/06/15 Mon

The Lion Dance

M8/Apo Qualia 50mmF3.5
散歩もそろそろ帰宅の時間が近づいてきました。
中華街近くまで来ているので、当然、Cafe89 には顔を出さないわけにはいきません。
3時ぴったりに入ったところ、その3時までのランチはOK、まだ作れるとのことで、久し振りに生パスタをいただきました。
カルボナーラは、チーズの風味が強めのわたし好みの味付けで、美味しくいただけました。
これだとワインが欲しくなるところですが、水で我慢します。

社長はあいにく不在でしたので、最後に中華街で少し撮って帰ることにしました。

中華学院の前で、獅子舞を見ることができました。
これが6番目の、そして最後の無料イベントです。
鈴なりに人垣ができていましたが、獅子舞は学院の中へ向かってしまいます。
あれ、もう終わりかと思ったらそうではなく、観客を中に招じ入れて、校庭の特設ステージで演技を見せてくれたのでした。

趣旨は、ずばり、学院の校舎建替えに必要な資金のカンパのお願いです。
中華学院は、たぶん台湾では認可されていると思うのですが、日本では正式な学校として認められていません。
そのため、多くの運営費用は善意の寄付金で賄われていると聞きます。

常時行われているのかは分かりませんが、生徒たちも自らの学校のために獅子舞の演技を見てもらい、趣旨を説明したうえで、募金を呼び掛けていました。
募金というと、どうも怪しいイメージをともなうケースが多々ありますが、これは、目の前ですばらしい獅子舞を見せてもらい、がんばっている少年少女の姿も目の当たりにしますので、気持ち良くお金を投じることができました。
単純に言っていいのか分かりませんが、募金活動すること自体が学生の教育の一環として、良いことのように感じます。

さて、宮崎さんのレンズの紹介も、最後に夕方の太陽が低い位置の逆光の作例で終わらせていただきます。
悪条件下でこれだけ描き分けられれば、まったく問題ありません。
拡大するとかなりの解像度が確保されていることも分かりました。
色ヌケの良さが、ヘリアーらしさをもっとも表しているようです。
では、トリプレットやブラナーは、どんな特徴を見せてくれるのか。
未来に楽しみを残すというのは、宮崎さんらしいユニークなやり方だなとあらためて感心しました。
【M8/Apo-Qualia50mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
MS Optical Apo Qualia 50mmF3.5 | trackback(0) | comment(2) | 2009/06/14 Sun

静止的遊行

M8/Apo Qualia 50mmF3.5
第5番目の無料イベントは、パレードです。
横浜のパレードといえば、大規模なザよこはまパレードがあまりに有名ですが、こちらは日本大通りのみを行進する中区主催のパレードです。

しかし、先頭は米海軍第7艦隊の勇ましい行進に始まり、じゅうぶんに鑑賞に堪えるパレードです。
ここでは、もちろん第7艦隊だけで十分、などという人もいません。
勇壮あり、華やかさあり、フレッシュあり、コミカルありで、観客は座り込んだりして熱心に見ていますが、決して退屈させません。

わたしは通りがかりで、パレードを見るのは初めてでしたが、見方にもコツがあることを知りました。
見る場所が悪いと、写真のようにパレードが止まってしまって、演奏中、バトントワリング中の写真が撮れません。
じっとしているパレードという、禅問答のような不思議な作例を出さなくてはならなかったのは、いかにもお粗末ですが、お許しください。

確か、地元の高校生バンドだったと思いますが、初々しい緊張感は表現されていると思います。
ただ、パレード撮影の第一人者が見たら、怒り出しそうで、それだけが心配ですが。

報告だけですが、この後産業貿易ホールで骨董市を見学しました。
カメラ店が一軒だけ出ていて、一眼レフばかりでしたがキヤノンのレンジファインダー機は 50mmF1.8 付きで2万数千円だったのはやや惹かれました。
でも先週の渋谷の話の時も書きましたが、こういうイベント会場的なところはどうも苦手なんです。
第6番目の無料イベントでは、何も購入せずすごすごと退散しました。
【M8/Apo-Qualia50mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
MS Optical Apo Qualia 50mmF3.5 | trackback(0) | comment(2) | 2009/06/13 Sat

白色的亮妹

M8/Apo Qualia 50mmF3.5
今日は、前日の開港資料館を中庭側から見ます。
ちょっとイベントと言うのには無理がありますが、この日あちこちで見たのが、コスプレ(と呼ぶんでしょうか?)でした。
どういうわけだか、皆さん、カメラマン同伴でいたるところで撮影に勤しんでいます。

小さくてはっきりしないのが申し訳ないですが、こちらの女性はかなりきれいでした。
その他にも、胸元がガパーッと開いたのとか、足のスリットがウエストあたりまできてるの、髪も金銀銅赤青黄色、想像を絶する未来世界です。
1920年代のクラシックレンズで撮りますよ、と帯同カメラマンを申し出れば採用されないでしょうか。

さて、昨日告知しました、Apo-Qualia50mmF3.5 にかかわる驚きのアイディアをお教えすることにしましょう。
宮崎さんは、ねじひとつで鏡筒をすっぽり抜けるようにデザイン変更していました。
それが何のためかと言うと、現在設計中の2つのレンズをユニット交換式にとっかえひっかえできるようになるそうです。
では、その2つのレンズとは?

これもまた明日とやっていてはかつての巨人の星のコマ切れ連載のようではしたないので、こで公開します。
ひとつは、トリプレット50mmF3.5、もうひとつは、プラナー50mmF3.5 です。
えっ、平凡なレンズかとややがっかりされるかも知れません。
しかし、前者はクックのトリプレット、後者はパウル・ルドルフのブラナーといずれも1890年代に最初に設計されたレンズを再生させたものという、たいへん興味深い企画に基づいているんだそうです。

いまだ設計途上ですので、完成はまだ少し先のようです。
しかし、1本の鏡胴から、ヘリアー、トリプレット、プラナーとタイプのまったく違う歴史的レンズの撮り比べが楽しめます。
これは、素晴らしいアイディアと言えないでしょうか。
【M8/Apo-Qualia50mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
MS Optical Apo Qualia 50mmF3.5 | trackback(0) | comment(6) | 2009/06/12 Fri

脱胎換骨了

M8/Apo Qualia 50mmF3.5
4番目の無料イベントは、開港資料館からです。
ここは、旧イギリス領事館を改修してつくった資料館ですが、開港150年に合わせて領事室が公開されたり、特別展示として港都横浜の誕生をやっていました。

横浜で開港といえば、赤レンガの派手な開港記念館の方が有名ですが、こちらの資料館もこじんまりと雰囲気があり、いかにも港近くのたたずまいです。
この日はグループと思しきアマチュア画家が多く見られました。

さて、悪戦苦闘のクルミナー 85/2.8 でスタートさせた関内巡りですが、これは言わば前座で、メインは帰って来たアポ・クォリア 50/3.5 になります。
フルサイズで撮影すると周辺に難が出てしまうため、一旦納品されたレンズをダメ出しし、玉を改良して再組み上げして、ようやく出荷開始したようです。
当面フルサイズで使用予定のないわたしは交換不要と思っていましたが、宮崎氏によれば、ヌケはより良くなり、コントラストも上がって、後ボケも向上したとのことです。

こうなると 50mmF3.5 としては完璧なレンズということになるのでしょうか。
コントラストが高くてもシャドーの絵とハイライトの敷石の双方が、過不足なく描き上げられています。
これだけでも、どんなシチュエーションにも対応できるびっくりレンズですが、宮崎氏はもうひとつの驚くべきアイディアを用意していたのでした。
もったいぶりますが、このアイディアは、明日紹介いたします。
【M8/Apo-Qualia50mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
MS Optical Apo Qualia 50mmF3.5 | trackback(0) | comment(7) | 2009/06/11 Thu

看着地下騎自行車

M8/Culminar 85mmF2.8
シュタインハイル・クルミナーの冴えない写真を続けてしまったので、無料イベント紹介を小休止して、レンズの名誉のためシャープに写った作例を紹介しましょう。

線が太い印象は否めませんが、フレアはほとんどなく、好いコントラストのシャープ感のある絵も撮れるレンズということが分かります。
F2.8の割にボケ量が小さく、立体感にも乏しいかも知れません。
ですが、発色が派手にならず、諧調もありそうでこういう描写を好まれる方も多いのではないかと思います。
あと何より 85mmF2.8 ながら軽量なのがいいです。
前週使用した、Cine Anastigmat 50mmF1.6 よりも全長はかなり短いですし。

さて、作例です。
象の鼻公園と書いていましたが、実際は象の鼻パークというのだそうです。
しかも、この公園は6月2日にオープンしたばかりでした。
赤レンガパーク、象の鼻パーク、山下公園と公園がひとつながりになっています。
広く長い憩いの場です。

新しい公園の記号的空間と、味のある古いビルの裏面のとり合わせも、面白いですね。

親子が地面に見入っていますが、この公園を整備していたときに昔の遺構が発見されたので、それをガラス張りにして見せているようです。
昔と言っても金属のパイプの連なりが見えましたので、明治期の下水かなにかでしょうか。

しかし、自転車に乗りながら、そんなに見てたら危なくないですかねえ。
【M-8/Culminar 85mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Steinheil Culminar 85mmF2.8 | trackback(0) | comment(2) | 2009/06/10 Wed

不被看着

M8/Culminar 85mmF2.8
象の鼻公園から山下公園は、5分程度の距離ですが、またしてもイベントが。
ドラゴンボートレースの中華街カップという催しが行われていました。
もちろん、レースに参加するのは費用がかかりますが、通りがかって応援するのはタダです。
というわけで、本日3つ目の無料イベントになります。

ドラゴンボートというと舳先が龍の彫刻を施された、立派な立派なポートを連想しますが、恐らくあそこまでいくとめちゃくちゃ高価なのでしょう。
出場の船を見ると、シンプルな外装の船が使われているようです。

出場選手はそうとうに練習を積んでいるのか、オリンピックのポート競技並みに一糸乱れぬオール捌きを見せるチームもあって驚きます。
が、見どころはむしろ、参加することに意義、と主張しているようなチームで、かじ取りが難しいのでしょう左右にふらふらして真っ直ぐ進んでくれません。
これが笑いを誘い、それでも本人たちは必死でオールを掻いているので、しまいには頑張れーという声援に変わったりします。
これぞアマチュアスポーツです。

観客は、通りがかりの人が多いのですが、ところどころで「パパ、ガンバレー!」と家族の声援が飛んでいるところもあって、好い雰囲気です。

わしが見ていた中でふらふら度ナンバーワンの船がトップの倍の遅さで通過していきました。
みんなケタケタと笑っていましが、ひとり少女だけが、とても見ていられないという感じで辛そうな顔で背を向けています。
レースの楽しさと残酷さを同時に伝える一瞬のような気がしました。
【M-8/Culminar 85mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Steinheil Culminar 85mmF2.8 | trackback(0) | comment(2) | 2009/06/09 Tue

韓国農民四重奏

M8/Culminar 85mmF2.8
今年は、横浜の開港から150年ということで、開国博Y150というイベントが行われています。
ご存じでしたでしょうか。
わたしは地元のようなものなので知ってましたが、5ヶ月も続く大きなイベントとしては全国的知名度が低いような気がしますし、実際何があるのかと言えばほとんど知られていないのではと心配になります。

さらに知られていないだろう事実が、その高い入場料です。
大人普通入場券は、2400円もします。
何やっているんだか分らんのに、そんなに支払うヤツがおるのかのう、とは知り合いの弁です。

さらに心配なのは、横浜では折々に無料の催しが開催されているのです。
6月7日、横浜方面に用があったので、午後からその足で山下方面を歩いてみました。
無料イベント目白押しの1日でした。

関内駅を降りて、横浜スタジアム方面に歩きだします。
スタジアムより一本手前を港方面に歩きますが、そこはベイスターズ通という名前だそうです。
ベイスターズつう、ではなく、ベイスターズどおり、という道の名前で、なるほどこの日はロッテと試合があるそうで、観戦に向かうファンが大挙していたりします。
入場料無料でしたら無料イベントとして見に行きたいところですが、やはりタダではないようです。

そういえば、先日、監督が解任されて田代氏が後任に選ばれたと聞きましたが、その後の戦績はどうなのでしょう。
スポーツニュースを見たら、この日も負けていて、7連敗だそうです。
成績を見たら最下位独走中でした。
それなのに、スタジアムは満員に近く集客しています。
弱いからこそ、愛されるのか。
これではタダになんかなるはずがありません。

続いて、それから10分も歩いて着いたのが、赤レンガ倉庫です。
エコカー展示のイベントをやっていました。
この日の無料イベント第1号です。
ただ、この日は暑くてとても車やバスに乗ってみる気にはなれません。
自動車立国ニッポンでは車が売れてこそ経済がひいてはわたしたちの暮らしが成り立つのでしょうが、エコを叫ぶのなら、車は捨てて自転車や徒歩に移行するのが本筋なのではと感じます。
そんな訳で、エコバイクに跨る少年の写真を撮って早々退散です。

隣の象の鼻公園では、世界の音楽・舞踊の紹介のようなイベントが開かれていました。
早くも2つ目の無料イベントです。
わたしが通りかかったときは、民団の青年による韓国農楽の演奏でした。
手前の青年の説明では4を意味する韓国語由来の4つの楽器を使った農民に伝わる音楽だそうで、そのままコリアン・ファーマーズ・クワルテットと名付けたくなります。

あいにくソデからの柵越しでしたので、こんな写真になってしまいましたが、おかげで背景が赤レンガ倉庫になったのは、場所の説明としては最高でした。

韓国人の知り合いがいるので、農楽は何度か聴く機会がありましたが、ダイナミクスを付けて時に静かに時に激しく鳴らされる打楽器は、心までも揺さぶるもので、わたしは好きです。
それと、民団の人たちってみんな美男美女なんですよね。
かつて、いいなあと思う女の子がいたりしたのを思い出しました。
【M-8/Culminar 85mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Steinheil Culminar 85mmF2.8 | trackback(0) | comment(6) | 2009/06/08 Mon

和她等候

R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6
Cine Anastigmat 50mmF1.6 との散歩の最終回です。
昨日、渋谷に向かったということは書きましたが、その前に中目黒川周辺で撮った何枚かからこれを選んで結びにしたいと思います。

かつて工場廃水にまみれたドブ川だったに違いない、この川も住民と行政の努力の賜でしょう、鯉や亀が見られるまでに回復していました。
たぶん、みなそろって少年時代のような気持で川面の魚を見入っていたところ、待ち合わせ場所に現れたかのように美少女がやって来ました。

学校から少し離れたところで、仲間にばれないように放課後こっそり待ち合わせ。
中学生くらいに気分が遡っていたわたしには、そんなシチュエーションが自然に思いつきます。

周辺がすごく流れて、さらにその外側がブラックアウトするこのレンズは、過去の記憶を表現しているという設定にまさにぴったりです。
露出補正が簡単なR-D1ですので、色白の顔をさらに飛ばすべくオーバーにして他のハイライトもろとも判別不明にしたつもりですが、どうも中途半端になってしまったようです。

顔が特定できるか微妙なところなので問題あるかと心配しつつ、確信犯的にアップします。
状況設定としては、あくまで記憶の中の女の子ということで。
【R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6 F1.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kodak Cine Anastigmat 50mmF1.6 | trackback(0) | comment(6) | 2009/06/07 Sun

消費的弁法

R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6
この日は、渋谷で開催されていた世界の中古カメラフェアに向かいました。
正直なところ、気の重くなる世界で、足取りもまた重くなってきてしまいます。
体調が思わしくなかったということがあるのですが、カメラフェアというのは人とカメラがどどーっと渦巻いていて、人酔い、カメラ酔いしてしまうのです。

古本市などもそうですが、カメラフェアは足を運んだことはあっても、実際に購入したことがありませんでした。
今回も、節制するつもりでいたので、買う気はなかったというか、買わない気満々で会場入りしたという感じです。

ところが、同行いただいた Treizieme Ordor さんのアシストもあって、1本のレンズを購入しました。
キヤノンの 50mmF1.5、例のキヤノンにあっては珍しいゾナータイプの標準レンズです。
周辺部分にわずかなバルサム切れがあって、安い値札が付いていました。
Treizieme Ordor さんにも確認してもらって、少なくとも撮影結果に影響があるようなダメージはないだろうとの結論を得ましたが、実用するのが楽しみです。

もともと、安ければいつかは欲しいと思っていたレンズでしたが、 Treizieme Ordor さんが背中を押してくれたという理由の他に、ちょうど定額給付金が振り込まれて、その額と同程度の値札が付いていたということも大きかったです。
支給されて即消費ですから、政府の思惑通りの経済活動を実践してしまったということです。
【R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6 F1.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kodak Cine Anastigmat 50mmF1.6 | trackback(0) | comment(8) | 2009/06/06 Sat

午餐就是法国菜

R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6
ペッツパール、ペッツファールと騒ぎ過ぎました。
友の会は、それぞれのレンズを持って、撮影に集中し、カメラ話しに盛り上がっています。
中目黒の駅までもう目の前というところで、ランチタイムということになりました。

レンズに関しては、イギリス派、ドイツ派が多いのですが、食事に関してはこの2国は不人気で、フランス派、イタリア派が優位のようです。
この日はフランス料理。
気の利いた一品一品は、ふだん洋食を食べないわたしには新鮮ですし、量が少ないのもヘルシーで良いかと美味しくいただけました。

しかし、カウンターに怪しげな男が五人も並んで、同じ数のカメラがテーブルに置かれて一斉に食事する姿は注目度が高かったかも知れません。
前週のそば屋さんのようにカメラに関心を示されてるということもありませんでしたし。

店は、作例のような感じです。
若いご夫婦で切り盛りされているようでしたが、土曜のランチはなかなか繁盛していましたし、味はもちろん、接客や雰囲気など、がんばっている姿がよく伝わってます。
それに、カウンターの椅子からは、わたしたちがまさに今まで食事していた温もりが伝わってきそうですね。
【R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6 F1.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kodak Cine Anastigmat 50mmF1.6 | trackback(0) | comment(5) | 2009/06/05 Fri

Petzval on Petzval ?

R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6
ペッツパール研究家(?)の ksmt さんから、F1.6 のペッツパールは初めて見たと連絡をいただきました。
実は、その後に kinoplasmat さんからも、ペッツパールを改造してもらったとコメントをいただいているように、F1.6 ~ F1.9 のペッツパール・タイプのレンズは、プロジェクター用、シネ用など探せばそれなりに存在するようです。
MS-Opticalの宮崎さんは改造を完了させるや、 これはできるだけ早くブログに作例を発表してくださいと促しました。
3本の設計の異なるペッツパールをほぼ同時期に改造したので、撮影結果を比較することで、ペッツパール再興のムーヴメントを盛り上げようとしたのかも知れません。

ところで、ksmt さんからは、F1.6 ということであれば、キングスレークの書籍に紹介されているフラットナー付きのペッツパールではとの問い合わせをいただきました。
しかし、このレンズは2群4枚でフラットナーは付いていません。
残念ながら、このコダックのプロジェクター・レンズとは違うようです。
ペッツパールの発展形としてやはりキングスレークが紹介している、一見2群4枚ですが中間が空いている4群4枚のコダックの F1.9 をさらに発展させたものではと思い宮崎さんに確認したところ、貼り合わせが2個所あるので2群4枚で間違いないと返事がありました。

結局のところ、現時点では、このレンズがどのような形をしたペッツパールかは分かりません。
年代も不明です。
クローム鏡胴で、コーティングレンズですので、1940年代かと思われますが、コダックレンズのシリアルナンバーに使われる、例の製造年を特定できる CAMEROSITY の文字が使われていないのが残念です。

宮崎さんは、2群4枚ということがこのレンズの凄いところだとも強調されました。
後群が貼り合わせというのが、設計の自由度を失わせ、球面収差の補正が著しく難しくなるからです。
それでいながら Anastigmat を名乗るところが、このレンズの価値である、ということのようです。

さて、坂本竜馬は、1867年、33歳の若さで没しています。
この有名な写真は、調べれば撮影されたカメラとレンズが分かるのかも知れません。
しかし、当てずっぽうを言えば、ペッツパールで撮った可能性は十分にあると言えるでしょう。
それをまたペッツパールで撮るなんて、なかなか痛快なことです。
【R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6 F1.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kodak Cine Anastigmat 50mmF1.6 | trackback(0) | comment(8) | 2009/06/04 Thu

一只脚的鴿子

R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6
遠景、中間距離と続けましたので、今日は近接撮影の作例です。
クリアな描写と周辺の激しく渦巻くボケは、予想通りのものと言えるかも知れません。
目から首にかけての非常に精緻な描写と、胸にかけての前ボケの甘さは、レンズの実力を感じさせるものです。
少し置物っぽく見えますが、見た目通りの忠実な再現と思います。

さて、ここでペッツパール・タイプのレンズについておさらいします。
1840年頃、それまでF値が14くらいであったレンズは、ポートレートを撮影しようとしても感光剤の未発達もあって、30分以上じっとしていなくてはなりません。
そこへ弱冠31歳でウィーン大学の教授に就任していたペッツパールに、より明るく高性能なレンズ設計が依頼されます。

オーストリア政府が陸軍砲兵部隊の計算に優れた兵士を8名ペッツパールの指揮下につけることで、レンズ設計ははかどり、天才数学者が半年後に無事完成させたのが2群4枚の人物用レンズでした。
F値は3.6と飛躍的に明るくなり、テスト結果も上々だったため、さっそく当時ウィーンにあったフォクトレンダー社が製造を始めます。

最初の設計では色消し貼り合わせレンズ2組を間隔あけて並べていましたが、製品化にあたって改良が行われます。
後群の貼り合わせを分離し、それぞれペンディング(少しずつ曲率の違うレンズを当てはめて最良のものを選択する)によってより良好の結果を得ることができました。

非点収差を過剰なまでに補正した結果、画面中央はシャープになりましたが、周辺はボケてしまいます。
しかし、これは人物用の撮影にはむしろ好都合で、ペッツパールのレンズはたいへん好評を博し、多くのメーカーで同様のレンズが作られます。

人物用としてはすぐれたペッツパール・タイプですが、広角には設計できませんし、画面全体の均質性を求められるような撮影には適しません。
レンズ史上は、ダプレットをもとにしたウナーやテッサーの登場、トリプレット、ダブルガウスの発見など19世紀末までに違った発展を遂げていきます。

では、170年ほど前に設計された古典レンズのペッツパールは完全に廃れたかというと実はそうではありません。
中央がたいへんシャープで、単純な構成のため製造コストのかからない利点を活かし、現在の映写機用のレンズなどはほとんどがペッツパール型だといいます。

細々と続けられたペッツパール・タイプの製造と研究の過程で生まれたのが、今回使用した Kodak Cine Anastigmat 50mmF1.6 だと言えるでしょう。
16mmシネ用レンズということで、中央のシャープな部分だけをつかって撮影できるメリットが採用されたのだと思われます。

この1840年から現在を結ぶ線のどの地点にこのレンズを位置づけられるのか。
たいへん興味深いところですが、やはり資料はなく、特定は難しいようです。
コダックの資料は多く存在するでしょうから、何とかならないかとは思うのですが。
恐らく、コダックが最高級レンズに用いていた Ektar 銘が使用されていない点から考えれば、廉価なレンズとして製造されていたのではと考えるのが正しそうです。
この考察、続けられるとしたら、続きは明日に。

ハトに話しを戻しますと、よくご覧ください、このハトには片足がありません。
生活には相当不便なはずですが、飛んだり、着地したりは器用にこなし、普通に暮らしているように見えました。
あるいはこれだけ太っているくらいですから、障害を克服して今や不自由は何もないのかも知れません。
力強いその姿は、ちょっとした感動を与えてくれるものです。

非難されつつもパフォーマンス続けるハト、尊敬する祖父の精神を受け継ぎそれを連呼するハト、とハトにもいろいろあるようですが、地道に頑張るハトこそがいちばん心に響くということです。
【R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6 F1.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kodak Cine Anastigmat 50mmF1.6 | trackback(0) | comment(8) | 2009/06/03 Wed

死者面型

R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6
昨日初めて発表した作例で、このレンズに関心を持たれた方もいらっしゃるかも知れません。
中央部が恐ろしくシャープなのに、1/3くらいでは早くも流れ出しています。
周辺に行くにつれて甘さが強まり、ついに4隅はブラックアウトしてしまっています。
スペックは、50mmF1.6 とありますが、何でしょうか、これは。

レンズ名が、Kodak Cine Anastigmat となっているので正体は半分割れているようなものですが、これはCマウントレンズからの改造モノです。
MS-Opticalに依頼して、ライカに無限から80センチまで距離計連動するようモディファイしてもらっています。

鏡胴はたいへん長く、エルマー 9cmF4 よりも長いので、望遠レンズに見えます。
ピント合わせは先端のリングを廻す前玉回転式です。
このあたりで、勘のいい方はレンズ構成を読んでしまうかも知れません。
2群4枚のペッツパール型です。

1838年頃に設計され、過去のものとなっていたペッツパールですが、Kodak Cine Anastigmat は恐らく1930年代以降のレンズのようです。
なぜ170年前の設計のレンズが80年前に製造されて、現在使用されるのか、この辺の推察はまた明日以降述べたいと思いますが、MS-Opticalの正式コメントだけ記載しておくことにします。
「ペッツバール型の良さがばっちり出ている。中心部がたいへん良い。コントラスト、改造度とも非常に良い」

作例は、目黒川沿いのギャラリーと思われる店で、巨大デスマスクのようなオブジェに迫力を感じます。
シャープネスはかなりありますし、室内の柔らかな空気を捉えるのも得意のようです。

4隅の光量落ちを目立たないよう意識して撮ってみました。
これは樽型歪曲と言うのか、扉が上下でかなり内側に反ってしまっているのが、かえって目立つ結果となってしまいました。
【R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6 F1.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kodak Cine Anastigmat 50mmF1.6 | trackback(0) | comment(4) | 2009/06/02 Tue

為什麼也在這裏

R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6
柴又~浅草の下町散策に続いて、今週は、代官山~中目黒の上町(じょうまち?)散策をしてきました。
今回も、"ノンライツRF友の会"の例会ですが、このように2週続けて集まるのはたいへんに珍しいことです。
それというのも、渋谷で開催されている世界の中古カメラフェアに午後から繰り出す、一石二鳥企画だったのです。

カメラフェアはすでに前日から開催されていて、今回の友の会に参加した5人のうち4人(つまりわたし以外の全員)は、なんとすでにフェアに出向いていました。
フェアでゲットした、白エナメルカメラのアドヴォケイト持参で参加の猛者もいます。
いったい、この日の集まりって何なんだろうって感じです。

さて、代官山駅から散策をスタートした一行ですが、やはり柴又・浅草とは勝手が違います。
もともとが観光地でない代官山は、カメラを持っての散策、ましてや数名のグループでの活動に違和感を覚えてしまうのです。
これがたとえばライカの街撮りてあれば、見る人が見ればそれっぽさを感じるのでしょうが、件のアドヴォケイト、コンタックスⅡ型、それにR-D1が3人というのは、遠めからも怪しい集団に間違われないでしょうか。
のっけから警ら中のお巡りさんがやって来て、思わずカメラを仕舞ってしまいました。

ですが、こんな軟弱な行動をとっているのはわたしだけでした。
街中のスナップ撮影はけっして恥ずかしがることではありません。
堂々と撮影するメンバーの姿をみとめ、心強く感じると同時に、恥ずべきはこそこそ撮っている自分自身だと気付かされました。

ようやく撮影に集中できるようになったのは、洗練された旧山手通りの大使館やカフェを過ぎて、青葉台の住宅街に入ってからでした。
しゃれた建物を見ていると、またしても寅さん帽子の少女が…。
どうやら、この帽子がしばらくわたしのモチーフになるのかも知れません。
【R-D1/Cine Anastigmat 50mmF1.6 F1.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kodak Cine Anastigmat 50mmF1.6 | trackback(0) | comment(12) | 2009/06/01 Mon
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