在浅草又見了

M8/Angenieux M1 50mmF0.95
柴又で夜まで過ごしてもよいのですが、ここまで来ると浅草に出て詣でるのが"ノンライツRF友の会"の流儀のようです。
詣で先は浅草寺ではもちろんなく、早田カメラ店とハヤタカメララボです。
大人数で押し掛けて居座り、何も買わないという困った客ですが、暖かく迎えていただきました。

ここでは、Cマウントのおもしろいレンズがあってかなり悩みましたが、少し高い気がして見送りました。
このレンズは、後日、情報の庭師さんが入手されたようです。
一方で、M5を購入しようというお客さんがいましたが、誰かが余計なこと言って邪魔しないか心配でしたが、早田カメラ調整のM5は、無事お客さんの手に収まり、ライカ旅立ちの瞬間に立ち会う喜びを分かち合うことができました。

浅草も、新型インフルエンザの影響で観光客の往来は少なかったでしょうか。
それはよく分からなかったのですが、ちょっと異様な光景は見ました。
台湾から団体でやって来ていた観光客がいたのですが、全員そろってN95タイプの抗ウィルス性のマスクをして歩いています。
SARSのときは、確か台湾の医師が感染の疑いを自覚しつつもあちこち滞在したことで非難を浴びましたので、その時の遠慮が台湾一般市民にもあるのでしょうか。

そのSF的な異様な光景の写真も悪くはありませんが、最後ですので、それっぽい写真で終了します。
大口径では、平凡なカットですが、またしても女性が寅さん風の帽子で、これが採用の決め手になりました。
【M8/Angenieux M1 50mmF0.95 F0.95】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Angenieux TypeM1 50mmF0.95 | trackback(0) | comment(4) | 2009/05/31 Sun

老虎小妹

M8/Angenieux M1 50mmF0.95
都区内に単線の鉄道があったのですね。
京成金町、柴又、京成高砂のわずか3駅を結ぶ京成金町線は、京成金町、柴又区間のみですが、貴重な単線区間になっています。

この日「ノンライツRF友の会」は柴又駅に集合だったのですが、小田急線、千代田線と乗り継いで金町駅に早めに着いたわたしはどうせ一駅だからと柴又まで歩きました。
途中、住宅地を抜けたため方向を見失ったため線路沿いに歩けばいいと、ふらふら歩いてやっと線路を見つけたのですが、これが単線でしかも電車がまったく通らないので、これは貨物線か何かだろうかと不安な気にさせられました。
その結果、遅刻です。
それに、こんな鉄道なら乗ってくるべきでした…。

さて、一行は柴又から浅草に移動することになり、その柴又駅にやって来ました。
列車は20分に1本ですから、しばしホームで待つことになります。
退屈しかけますが、そこは柴又です。
寅さんばりの帽子の少女があらわれて、最後のシャッターの機会をいただきました。
【M8/Angenieux M1 50mmF0.95 F0.95】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Angenieux TypeM1 50mmF0.95 | trackback(0) | comment(12) | 2009/05/30 Sat

媽媽的肩膀上睡覚

M8/Angenieux M1 50mmF0.95
国民的映画といわれる"男はつらいよ"ですが、わたしはほとんど見たことがありません。
松竹の撮影所がある大船在住の級友がいて、駅前で寅さんがラーメン食っているのを見たと言うのを聞いてもいまひとつピンときませんでした。
寅さんのテーマ曲は知っていて、これは山本直純の作曲でしたから、寅さんと聞くと「戸締り用心、火の用心」と火の用心の先頭に立って練り歩くひげのおじさんが寅さんかと誤解していた時期があったくらいです。

実は、寅さんの舞台の葛飾柴又は、映画のみに出てくる、架空の町かと思っていました。
これも"太陽にほえろ"の七曲署や矢追町が架空の地名だと聞いたからで、子どもながらにテレビや映画で実際の名前を出しちゃうとファンがその地に殺到しちゃうからなんだろうなあ、と想像していたのです。
柴又の団子屋にファンが大挙すれば下町風情の撮影ができないでしょうし、わざと七曲署管内で悪いことして捕まり山さんはいなかったぞなんてヤツが続出してはたまりません。

しかし、わたしはかつて存在しないのだと思っていた柴又にやって来ました。
そして、その柴又は観光客が大挙していて、下町風情がどうのこうのといっていられるような状況ではなさそうだということを知りました。
この日は、新型インフルエンザの影響が大きく、土曜日としては観光客がかなり少なかったにも関わらず、です。

それでもわたしにとっては、けっこうな人ごみにどっと疲れを感じました。
だらーんと寝られるのが、なんとも羨ましいのですね。
【M8/Angenieux M1 50mmF0.95 F0.95】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Angenieux TypeM1 50mmF0.95 | trackback(0) | comment(8) | 2009/05/29 Fri

皮的手提箱

M8/Angenieux M1 50mmF0.95
昨日、おとといと「ノンライツRF友の会」の活動の様子を伝えるはずが、てんで関係ないことばかり書いてそうなっていません。
そればかりか、どこに行ったかも記述がありません。
反省しつつ、当日の模様を少し振り返ってみたいと思います。

行先は、寅さんて知られる葛飾柴又
高砂、柴又、金町と3駅間を往復する単線の京成金町線の柴又駅に集合します。
遅刻者がふたりもいて出足を挫かれますが、総勢5名、颯爽と散策開始です。

駅前から帝釈天までのわずかな距離は参道になっているようで、このあたりは昭和のよき時代の雰囲気をとどめているようです。
団子屋が気を引きますが、ここは帰りに寄ることにします。

帝釈天では、本堂をぐるりと囲んだ木彫が魅力的です。
有料なのに説明文すらもらえなかったので調べたところ、1922~34年に加藤寅之助発案で法華経の絵解き図をもとに10名の彫刻師によって制作されたとあります。
年代がライカやオールドレンズの歴史と一致しますし、発案者が寅さんと、ちょっとした符合がなかなか愉快です。

お昼は、日曜庵でおそばをいただきました。
ここのご主人は、かつてプロカメラマンとしてアリフレックスを回していた人で、ライカを持った人間がどやどややってきただけで親密でしたが、深川精密工房製造のブラナーを見るに及んでは、おおいに刺激を受けているようでした。
尚この店、営業が金土日のみで殿様商売かと思わせますが、石臼挽きの自家製粉をひとりでおこなうため月曜から木曜まではそちらにかかりきりになるためだそうで、実はとんでもなくこだわりのそば屋さんなのでした。

絶品の田舎せいろで腹を満たした後は、矢切りの渡し、寅さん記念館、山本亭と見物して(つまり利用しないで外から見るだけ)参道に舞い戻ります。
おっ、寅さんが行商していますね。
口上を垂れるというよりは、静かな語り口でトランクのいわれなどを説明しているようでした。
【M8/Angenieux M1 50mmF0.95 F0.95】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Angenieux TypeM1 50mmF0.95 | trackback(0) | comment(6) | 2009/05/28 Thu

祝巴塞羅那隊冠軍

M8/Orion-15 28mmF6
2009年5月27日、ローマ。
ヨーロッパの真の王者を決める決戦の時がやってきました。
そのわずか2枚のチケットを勝ち得たのが、前年覇者のマンチェスター・ユナイテッドと前々々年チャンピオンでありわたしが20年にわたって愛し続けるバルセロナ
両雄はすでに自国リーグでの優勝を決めており、王者の中の王者を決めるにふさわしい試合です。

キックオフから10分は、滑稽なほど両チームから固さが抜けず、試合が落ち着きません。
そんな中、クリスティアーノ・ロナウドは立て続けに3本のシュートを打って、主導権を握りかけようとします。
なおもボールが落ち着かない前半10分ころでしょうか、中央でボールを受けたイニエスタがするするとドリブルでかわしていきました。
そこで、一瞬左に開いてスペースをつくったエトーの前に絶妙のパス。
深い切り返しでヴィディッチをはずしたエトーは、タイミングをずらすようなトゥーキックぎみのシュートを放ちます。
ボールはファン・デル・サールのわきをかすめてそのままゴール。
あまりにあっけない、先制点になりました。

この失点でマンUは浮足立ち、一方バルサはこの機にペースをつかんでいきます。
予想されたバルサがポゼッションで支配し、マンUがカウンターからサイドを崩すという時間帯が続きました。
どうしたことかマンUのプレッシャーは弱く、中盤からボールを奪ってカウンターに行くことができません。
逆にバルサは悠々とボールを回しはじめ、ときどきエリアに侵入する場面が出始めました。
マンUは、ついに好機をつくれないまま、前半を終了します。

後半開始直後からマンUは高い位置からでもプレッシャーをかけにいくアグレッシブなスタイルに変更してきます。
しかし、その程度のことにはリーガで慣れきっているバルサはまったく動じません。
依然、ボールを支配し続け何度かゴール前に迫るチャンスをつくります。

そんな中、ようやくマンUにボールが収まるようになって来ました。
が、一瞬のミスからシャビにボールカットされ、右の深い位置まで持ち込まれます。
前線にはメッシひとりで、ディフェンスの陣形も整っているように思われましたが、シャビの狙いすましたクロスは完全にファーディナンドを外したメッシにピンポイントでぴたりと合って、これまたあっけないかたちで待望の追加点が入ります。
1点目もそうですが、鉄壁と言われたマンUのセンターバックが簡単に振り切られています。
いまひとつキレの悪さを感じます。

マンUにもチャンスが無いわけではありません。
両サイドバックを出場停止で欠くバルサのディフェンスを何度か突破しかけます。
パク・チソンもゴール前に入ったボールにわずかに頭が届かず得点機を逸する場面がありました。
しかし、それでもマンUの攻撃には、最高潮時の輝きが見られません。
ロナウド、テヴェス、ルーニー、ベルバトフの4トップのように前線に並べた時も、迫力を出し切ることはできませんでした。

逆に中盤を完全に支配したバルサは自在さをいや増します。
右サイドバックに入ったプジョルは、縦に突破というシーンこそなかったものの、2度も決定的なシュートを放っています。
センターバックに入っていたトゥーレ・ヤヤも、得意のドリブルでゴール前まで迫りあわやというシーンを作り出します。
エル・クラシコで初めて試して効果的だった、エトーを右サイドにはらせメッシが引き気味の中央にという戦術がここでもフィットします。
メッシの動きに中央の選手が引っ張られるため、シャビ、イニエスタ、ブスケツのトライアングルが比較的自由にボールを支配できるのです。

ここに来て盤石の態勢ができあがりました。
バレンシアやビジャレアルと引き分けたときに彼らが見せていた、2列目の早い飛び出しやすぐに前線にボールを入れるパワープレイ的な戦術が唯一の心配でしたが、マンUにはそんな力も残ってなかったのでしょうか。
あせりでプレイが空転し、ひとつひとつが雑になっていくばかりです。

そして栄光のホイッスル。
3年ぶりの歓喜です。
国王杯、リーガ、そしてこのチャンピオンズリーグとここ2週間で3度もの喜びをもたらしてくれました。
試合後、シウビーニョが号泣しているシーンが映し出されます。
気付くと、わたしも、いっしょになって泣いていました。
【M8/Orion-15 28mmF6 F6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Orion-15 28mmF6 | trackback(0) | comment(6) | 2009/05/27 Wed

假的F6

M8/Orion-15 28mmF6
ながなが続けてきた黄姚の旅も完結し、女の子の写真のネタも尽きました(1枚だけ?)。
今日からは、この土曜日に行われた「ノンライツRF友の会」の例会からお送りしたいと思います。

レンズは、ロシア製トポゴン・コピーのオリオン15 28/6 です。
ジュピターの各レンズと比べて製造数が少ないのでしょうか、なかなか見る機会のなかったレンズです。
たまたまコダックの怪しげなレンズを入手したところ、同じ店にこのレンズがあるというので一緒に送ってもらったというのが入手のいきさつです(コダックレンズの方は近日中に登場させます)。

トポゴンタイプですので、4群4枚の対称型です。
しかし、ジュピター12 35/2.8 やルサール MP-2 20/5.6 のように後玉が尻尾のように飛び出ておらず、わずか50グラムちょっとという超軽量ともあいまって、扱いの楽なレンズです。

さて、そこで作例ですが、このシャープさにはかなり驚かされました。
露出はわざとらしくアンダーにしてありますが、まさか文字がこれほど鮮明に出るとは思いませんでした。
やや糸巻き型の歪曲があるようですがそれほどひどくはなく、周辺はしっかりしていて画面全体に均質な描写といえます。
これで開放です。

いえ、開放というのは、半分ウソというべきでしょうか。
このレンズF6という不思議な開放F値ですが、実は開放の状態でも絞りがかなり露出していて、これを取り去ると実絞りF2.8くらいになりそうです。

思い出すのが、ベルティオのアンギュロール 28/3.3 で、このレンズもトポゴン型で、絞りが完全に開き切らない形状になっています。
「世界のライカレンズ」にアンギュロールの絞りを"全開"にした作例が出ていて、ぽわーんとした締まりのない画像にがっくりさせられたのをよく記憶しています。
全開ではどうにもならないので、絞りを途中で止まるようにして商品化したのだと結論付けられていたと思います。

この作例もF6開放ではなく、F6に絞った描写と訂正しておきましょう。
余計なことをせず、前回から使えるようにして欲しかった…。
【M8/Orion-15 28mmF6 F6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Orion-15 28mmF6 | trackback(0) | comment(20) | 2009/05/26 Tue

桂東古鎮○番外編

M8/Xenon 50mmF1.5
広西の旅は昨日で終わり、今日から一転、下町人情シリーズに入るつもりでした。
しかし、ひとり旅情に酔うばかりで、若い女の子が登場しないとか、お土産はどうしたとかの声が上がっているようで、受けがどうも良くないようてす。

黄姚で宿のみんなと朝食を食べに行ったとき、きれいな女の子が働いていました。
さすがにみんなの前で写真を撮るのは恥ずかしかったので、彼らを見送った後、再度出向いて撮らせてもらったものです。

ピントの補正と背景の処理が手いっぱいで、本来の可愛らしさを出し切れなかったうらみはありますが、まあこんなものと言うことで。

それはそうと、Xenon 5cmF1.5 のことに少し触れておきます。
ダルマクセノンの愛称どおり、ちょっとどっしりした中ぶくれの外観に特徴があるレンズですが、わたしが入手したものはかなり怪しい部分がありました。
まず、他では見られないコーティングがかかっていることがあります。
そして、Wartime Xenon という別名を有しているにも関わらず、シリアル番号がそれよりかなり後の付番になっています。
ニセモノではという疑惑すらあります。

しかし、その描写の美しさはどうでしょうか。
滲みかけて踏ん張るハイライトと、暗部の再現性が秀逸と思います。
肌のなめらかな表現が、レンズによるものか彼女が持ち合わせた魅力かは不明のままです。
【M8/Xenon 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Schneider Xenon 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(10) | 2009/05/25 Mon

桂東古鎮⑱晒黒瞼

M8/Macro Switar 75mmF1.9
龍井の地名の由来になったのが泉の伝説です。
この地には古来から、龍が横たわっていてその目が泉の位置にあたるのだそうです。
湧き出る水は龍の涙だそうで、村人は霊験あらたかな水として昔から水を大切にしてきたそうです。

この水場こそ、その龍の井です。
少し前までは、ものすごい水量で、こんこんと湧き出る水が目に見ることができたそうですが、最近はぐっと減ってしまい、いつか枯れるのではとの不安があるようです。

絵としてはかなり分かりにくいですが、奥に見えているのが橋で、川幅が30メートルくらいありそうな大きな川が流れています。
橋の上に集会所のような屋根があるのがユニークです。
この泉の水は、まん中の堤に沿って流れ、川へ注いでいます。

龍井村でも3時間ほど散策しましたが、まったく誰とも話をすることもなく寂しい滞在になりました。
結局、舞い戻った食堂で礼を述べたのが唯一の会話のようになります。
飴をまたあげたことがきっかけで日本人だということがばれてひどく驚かれました。
そこまで驚かなくてもと思いましたが、その理由は後に分かって来ます。

村の入り口にバス停があって(ここではちゃんとした龍井村というバス停があった)、すぐに賀州行きの路線バスが来ました。
車掌のおばさんに話しかけられたのですが、これがこの地方の言葉で何を言っているかさっぱり分かりません。
仕方なく、何でしょうかと中国語の普通話で答えると、あれこの人地元じゃないんだという顔でどこまで行くのか聞いてきました。

そのとき気付きました。
わたしは、わずか数日の滞在で、かなり現地人化していたのではないかと。
日中は30度くらいあって、顔や手はかなり日焼けしていましたし、着ているものはかなり煤けていましたので、ひと仕事終えた地元人に見えても不思議はないでしょう。

今までこんなことは意識したことはありませんでしたが、あるいは現地の人のような雰囲気で旅する術のようなものが自然に身についていたのでしょうか。
もしかしたら、あの宿で自然に振る舞えたことが、旅人から完全には抜け切れない力みや緊張感を取り去ってくれたということは言えるかも知れません。

賀州からは、来たときと同じバスで深圳に戻りました。
運転手や服務員が再会を驚きつつも、ごく自然にここに寝てくれと来たときと同じ寝台をセッティングしてくれたのがありがたく感じられます。
夜行ということもありますが、自分でも信じられないほどに爆睡してしまいました。
服務員の女の子に揺すられてやっと目が覚めます。
そこは、すでに見慣れた深圳の町並みでした。
【M8/Macro Switar 75mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Macro Switar75mmF1.9 | trackback(0) | comment(6) | 2009/05/24 Sun

桂東古鎮⑰別処者

M8/Macro Switar 75mmF1.9
江夏クンが交渉してくれた白タクは、購入3ヶ月の新車でたいへん快適な乗り心地でした。
しかし、感傷的な気持ちで村を去るというシチュエーションでは、やはりバスの方がずっと適しているようです。
運転手は早くひと仕事終えて戻りたいので、いきなりすっ飛ばしてあっという間に視界からすべてを消し去ってしまいます。
それにキンキンに効いた冷房が、握手した江夏クンの掌の感触をもすぐに失わせてしまいました。

村を出て1分も走ると、高速道路の入口があってびっくりしました。
しかし、これは工事中で、なんだと思っていたら、車1台通れる隙間が開いていて建築中の高速を平気で飛ばしていくので、またしてもびっくりさせられます。
これは快適と喜んでいたら、10分も走ったところにガードレールを無理やり押し広げたところがあって、ダート道に降りてしまいました。
またちょっと行くと一般道に合流してしばらくは下を走ります。
先ほどのは、村人手製のインターチェンジだったんだと納得です。

また10分くらいで今度は本物のインターチェンジがあり、ここからは正規料金の高速を走ることになります。
ということは、下を走った区間はまだ工事中ということなのでしょう。
ですが、もう間もなく全区間開通してしまい、黄姚は交通至便な名所としてすでに通俗化された古鎮陽朔同様、人々が大挙して訪れる観光村へと変貌してしまうのでしょう。
本来の姿に近い静かな村を楽しむのは、今がラストチャンスと言えそうです。

いえ、そうなれば江夏クンの宿はきっと大繁盛でしょう。
それは素直にいいことだと思いました。
待てよ、意外にもああ見えて江夏クン、高速の開通を見込んで宿をオープンしたのかもしれませんね。
さすがでした。
中国語の私家車とは、もともとは自家用車という意味だったのだと思います。
ところが一般には白タクのことをこう呼びます。
車を買った人はそれだけでステイタスが上がります。
しかし乗っていないあいだずっと停めたままではもったいないので、白タクで副収入を得ようとします。

車で運んでもらったのは、龍井という村です。
龍井茶で有名な龍井は遠く離れた杭州にありますが、こちらは同名ながらまったく無名の村です。
中国古鎮遊という本に紹介されていたので楽しみにしてやってきましたが、ちょっと期待は裏切られました。
龍井は、かつて経験したことがないほどの超排他的村だったのです。

小型のスーツケースをごろごろ転がしながら来たのでまずはどこかに預かってもらいたい。
そこで商店に入って、何か買ったうえで情報を得て、かつスーツケースを置かせてもらうというつもりでした。
そこで、店の外から声をかけて探りを入れるのですが、麻雀やらテレビやらに夢中かそのふりかで、誰もとりあってくれません。
商店は3軒ありましたが、なぜか申し合わせたようにどこもおんなじ対応です。

ならびに食堂があり子どもが遊んでいたのでこの雰囲気ならなんとかなるかと母親を呼んでもらい、空腹でもないのにそばを一杯食べて、実はスーツケースをと話して、ようやく預かってもらうことができました。
ただ、そばはわずか2元でしたので、邦貨で30円弱と、ちょっと申し訳なく子どもたちに飴を進呈したりしましたが。

それから最初の古民家を見つけて写真を撮ろうとしたところ、隣の家から意地悪ばあさんのような女性が出てきて、何しとるんじゃと威嚇するように迫って来ました。
写真を撮らせてくれとたのむとOKはしてくれますが、ずっと背後にくっついて来ます。
目つきが鋭く、いやな視線を感じたので1枚撮って即退散。

ほうほうの態で歩きはじめると立ち話しの女性がいて、場所を聞こうと近寄りかけたところ、向こうの方が一瞬先に話しを止めて、やはり強力な目力でこちらを見据えるので何か聞こうという状況ではありません。

ようやく旭升楼という清代の門楼を見つけたりで、写真を撮っているとタイミングよく中学生くらいの女の子たちが掃除している場面に出くわしました。
恐らく、学生たちが持ち回りでボランティア的に掃除しているのだと思われます。
これはチャンスと龍井最大の見どころと言える明代の橋の場所を聞くのですが、誰もが冷たく知らないと言い放つばかりで呆気にとられるほかありません。

その橋は、わすが500メートル先にありました。
川があっので、すぐに見つかったのです。
いったいこの仕打ちはどういうことなのでしょうか。
その理由は、今もって分からないままでいます。
【M8/Macro Switar 75mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Macro Switar75mmF1.9 | trackback(0) | comment(4) | 2009/05/23 Sat

桂東古鎮⑯不放開

M8/Xenon 50mmF1.5
女子大生ふたり組と瀋陽母子が朝8時のバスで帰路につくというので、バス停まで見送ることにしました。
いえ、バス停というのはなく、T字路のかどで適当に待っているだけです。
バスは道の下側からあらわれ、女子大生の目指す桂林方面は左に、母子が目指す賀州方面は右にそれぞれ分かれて進んでいきます。

ほどなく賀州行きがやってきました。
お世話になった母子は少し固い表情で去っていきました。
黄姚には思い入れが深そうでしたし、遠い遼寧へ戻ればここへ帰ってくることはないでしょう。
そんな感情が顔に映し出されているようです。
いつまでもお元気で。

今度は女子大生の番ですが、こちらは明るい。
バスがくるまでおしゃべりと写真の撮り合いで、待っていた30分があっというまに過ぎ去りました。
それに手にしていた大きなコンビニ袋の中が全部食べ物なのにはびっくり。
わたしがプレゼントした柿の種もしっかりストックされていました。
彼女たちとはハグしてお別れです。

わたしも、今夜のバスで賀州から 深圳まで戻らなければいけません。
それには、黄姚にぎりぎりまでねばって賀州を目指すか、賀州近くの村をもうひとつ見るために昼前には出てしまうかふたつの選択肢がありました。
結局、後者を選ぶことになりますが、バスだと3時間かかる賀州まで白タクで1時間150元で行けるという情報を得たというのが理由です。
それに、わたしはこの黄姚にいつかまた来るだろうと信じているということもありました。
また来るのであれば、そんなにぎりぎりまでいる必要はない。

考えつつ宿に戻ると、今度は深圳の一家が旅立とうとしていました。
彼らは昨日の夜来たばかりなので、午後くらいまでゆっくりすると思っていたのですが、夜と朝の散策で堪能できたので、次の目的地陽朔を目指して早めに出発するようです。
可愛い娘のお父さんが「サヨウナラ」と手を振っていました。
彼は、ETCカードの製造をする会社に勤めているそうで、日本のETC事情にも詳しかったので、カタコトノの日本語ができたのでしょう。

にぎやかだった宿は、気付いてみるとオーナー一家とわたしだけになってしまいました。
みんな感傷的になるのか、その後は沈黙の時間が続きました。
すると、よく気が付く奥さんが、旦那さんをうながしてわたしを案内して散策でもして来いと言います。
昼食を用意しておくからそれを食べてから出発してほしいとも。

彼とふたりの散策は、今までの散策とは違った体験になりました。
心配りの行きとどいた説明で、気付かなかったことや見逃しがちなちょっとしたことに関心を向けさせてくれるのです。

例えば、水草のこと。
今は1メートルにも満たないが、夏場は3メートルくらいにまで延びるんです。
食用にならなくもないですが、地元の人は食べないみたい、でもさらっと流れていてきれいでしょう。
ある祠堂では、この椅子は結婚式があるときに使われるもので、先祖に配偶者を伝える儀式があったりする、ここに彫られている名前は昨日食事した家のすぐそばの家の人です。
地元の人とすれ違った時では、あの人の背負っているのは電流が流せる箱ですが何に使うか分かりますか、そう川で電気を流して気絶した魚を捕まえるんです、着いていきましょう、漁の様子が見られますよ。
俯瞰の件では、知り合いになった家から村の全体が見えますが、景色はいまひとつなんです、新しい家も視界に入ってきてしまうからですが、それでも行ってみましょうか。

好いガイドです。
以前テレビで見た屋久島のエコツーリズムのガイドを思い出しました。
ガイドとしてはアマチュアですが、知りたいだろうことを引き出すすべを知っていますし、何より説明に土地に対する愛情が籠っていると感じます。

じつは、この機会にいくつかアドバイスをと考えていたのです。
絵がうまい江夏クンなので、暇なときにスケッチを書きためて売るとか、もう少し英語を習得して英語のサイトを開けば外国人がかなり来るのではとか浅はかなことばかりでしたが、余計なことを言うのはやめるべきときと彼と歩いて確信しました。
頼りなげなところもある江夏クンですが、これからどうやっていこうというプランは彼なりにしっかりと持って、すでに勉強し出しているということが伝わって来たのです。

この次訪れたとき、どんなふうに変わっているだろう。
それを確認するためだけでも、また来てみる価値があるのではないか、見送る彼らに手を振りながら、そんなことを考えてみました。
【M8/Xenon 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Schneider Xenon 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/05/22 Fri

桂東古鎮⑮己起来

M8/Xenon 50mmF1.5
無理かなあとは思っていましたが、やはり早朝に起きることはできませんでした。
薄暮の中で石の村を撮影し、村の生活が始まる様子を体感するつもりだったのですが。
そういえば、昨日だって美しい山間に沈む夕日を見に行きたかったのに、話に夢中ですっかり忘れてしまっていたのです。

それでも6時半に目が覚めました。
出遅れは出遅れですが、とにかく昨日と同じルートを歩いてみました。

村はもう起きだしています。
火を起こしたり、食器がぶつかりあったり、うんと背伸びして干してあった野菜をはずしたり、そんな音とか風景とかをそこここで聞いたり見たりしました。
以前西塘や烏鎮などで見かけた豆腐などの朝のモノ売りは、残念ながら見かけません。
なにかあれば、つまみ食いしながら小一時間も歩くつもりだったのです。

黄姚村の人口は3100人ほどということですが、古鎮エリアは規模からしてもっとずっと少ないはずです。
先日女の子たちが饅頭を売っていたところが門外、つまり古鎮の外側で、そこには商店街があって村政府、学校はじめ大きな建物は全部そちら側です。
感覚的には、こちらの人口が2800人で、古鎮側は300人というところではないでしょうか。
実際、商店街に朝ご飯を売るところが並んでいましたので、ここから売りに来るのではなく、古鎮の人が買いに行っているということです。

それにしても、朝の散策はいいですね。
あまり人を見かけることはありませんが、その分自分の村を歩いている感覚があります。
空気もひんやり新鮮ですし、低い位置から差し込む朝の光が、昨日とは違う光景を形作っています。
昼間はのっぺりした感じに見えた写真の建物も、光と影を映しこんでいい感じですし、それがまた水面に写ってラインの古城をも彷彿とさせます。

ぐるっとまわって7時過ぎに宿に戻ってみると、みんな起きてそれぞれの支度にかかっています。
瀋陽の母子も南寧の女子大生も、朝のバスでそれぞれの目的地に向けて去っていくのです。
わたしと女子大生たちは酔っ払ったあげく1時には寝てしまいましたが、瀋陽の女性と宿のオーナー夫妻は3時過ぎまで語り合っていたそうです。
たぶんそのせいでしょうか、彼女たちの表情が複雑そうに見えていました。
【M8/Xenon 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Schneider Xenon 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/05/21 Thu

桂東古鎮⑭特色菜

M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1.5
夜は何をつくりましょうか。
散歩の途中、奥さんがやさしく聞いてくれます。
じつは、そのことですが。
わたしは考えていたことを話しました。
せっかくみんなこうやって知り合ったのだし、今夜は外に現地の料理を食べに行きませんか。
それも、いいかも知れませんね、ということになって、とりあえず宿に戻って全員の意見を聞いてから決めることにしました。

戻ると女子大生ふたり組は大賛成、宿の主人江夏クンもいいですねえと乗り気です。
瀋陽の女性はすでに初日に外で食べていたそうで、ローカル料理といっても観光地のそれで種類が少なく高かったと言います。
江夏クンはすでにそういう評判のことは知っていて、では1軒チェックをいれていたところがあるので、実際美味しいかどうかは分かりませんが試してみませんかということで話はまとまりました。

そんなところへ新しいお客さんがやってきました。
ちょうど二部屋空いているところへ家族五人連れですから、ぴったりです。
深圳から来たとのことで、車をとばして8時間かかったそうです。
わたしもバスで深圳からですが、賀州まで8時間、賀州からここまでさらに3時間ですというと、賀州のずっと手前から黄姚近くまで高速道路が通っていてるとのことでした。

ひとり娘が可愛く、さっそく写真を撮らしてもらったり携帯番号を教えてもらったりしました(写真は例のピンボケ、申し訳ない!)。
高校生くらいかと思っていたのですが、深圳のイミグレーションで働いているとのこと。
いつも利用しているのとは違う遠いところですが、次回仕事が終わる直前に利用して、とはやくも次回の計画を建ててしまうのでした。

彼らは、これからゆっくり散策して、どこかで食事するからということでしたので、やはり私たちだけで食事に行くことになりました。
彼らが戻って来た時のために瀋陽のお母さんは残ると言いました。
もう70歳を超えているので、かなり疲れているのでしょう。
昼間はいっしょにかなり歩かせてしまい、申し訳なかったです。

7時頃。
まだうっすら明るさが残っていて、昼間何度も見上げた不思議な小山が前方にはっきり浮かび上がっています。
店もこの通り沿いで、入っていくと地元の人たちが小さな宴会の真っ最中でした。

メニューが無く何が食べたいと聞かれても分からないので、地元の料理をと言います。
説明してくれますが、よく分かりません。
料理用語として使われる中国語は、旅行者が真っ先に覚えるべきものと常日頃思っていますが、やはり聞くとよく分からないものです。
ここでも中心的役割の瀋陽の女性が仕切ってくれましたが、ついでに厨房を見学させてもらったり、みんなに対するサービス精神を発揮してもらいます。

いちばんの美味はみんな同意見できのこ料理でした。
今朝、山で取って来たというそれは、まさに野生菌で、やわらかさと味の濃さは今までに食べたことのない初めての味わいです。
それに揚げた小指大の川魚や野菜と炒めた鶏も絶品で、はずれはありませんでした。
6.5人で5皿、105元は、約1400円。
観光レストランとしてはかなり安く、地元の食事処としてはやや高いかという感じです。

しかし、ここでトラブルが発生します。
宿の主人の江夏クンが、ここはオレが払うといって聞かないのです。
あのなあ、1泊50元の部屋に泊まって御馳走されたら、宿代ただになったのといっしょになるじゃないか。
そういって真面目に叱るのですが、酒を飲んだわけでもないのに、江夏クンは気が大きくなってしまい、持前の気前の良さで訳の分からないことを言ってしまっているようです。
宿に戻ってから諭すように、わたしがお世話になったお礼をしたかったから、みんなを誘ったのだと
理解してもらいました。
昼間の奥さんの顔が思い出され、もっと叱咤しなくてはと考えますが、彼にはそんなことは分かっているでしょう。

一件落着で、みな口々にそれではビールをと盛り上がりました。
今夜は遅くなりそうです。
【M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Kino-Plasmat 3,5cmF1.5 | trackback(0) | comment(10) | 2009/05/20 Wed

桂東古鎮⑬不用跳

M8/Macro Switar 75mmF1.9
ひとり歩きなので誰に遠慮することなく村を見て歩きました。
見どころは案内してもらっているので、変わったところでもないかとさまよいます。
幼稚園があって、洟垂れ小僧たちがぞろぞろ下校していく姿がありました。

広場で豆腐花を売っている屋台があります。
黒砂糖たっぷりかけていただいていると、先ほどの子供たちがお姉さんといっしょに食べに来ます。
観光客用ではなく、地元の人のための屋台だったのが良かったですし、彼らと椅子を並べて食べるのもおもしろい。
小さな子は、となりで食べているのが外国人とは思わないでしょうし、日本人と知ったところで何のことかは分からないでしょう。
何か話しかけたいけど自重します。

また少し歩くと絵を描いているグループがいました。
桂林の美大生だそうで、課外授業で来ていると言います。
いろいろと雑談しながら、彼女たちが授業中だと気付いてその場を辞することにしました。
せっかくの機会ですから、好きな画家とか聞きたいことはたくさんありましたが、どうも彼女たちは西洋絵画より日本の漫画の方に興味があるようで、これらについて回答できないので逃げたというのが本音です。

気付くと約束の5時を大きく過ぎてしまい、あわてて宿に戻ります。
午前中案内してくれた瀋陽の女性と、午後も散策することにしていたのです。
宿の奥さんの蘇さんも連れてってとなって、娘の悦然ちゃんをともなって4人で散策再開します。

最初こそ、みんなで盛り上がりつつ狭い道を横一列に歩きましたが、しばらくすると女性同士で少し先に行くような展開になって来ました。
わたしの言葉の問題があったと思いますが、察するに奥さんの方が少し年上の瀋陽の女性にいろいろと相談をしているようでした。

宿を始めて半年ほどですが、傍からは軌道に乗っているように見えます。
ここ数日ずっと満室だと言いますし、宿泊客も経営者も楽しんでいるし満足もしています。
しかし、実際に聞いた訳ではありませんが、開業するにあたってそれなりの借金はしているはずですし、シーズンオフの収入が厳しいのは目に見えてます。
子どもが成長するにつれ、将来の不安は膨らむものでしょうし、あるいはよそ者の彼らが、コミュニティの中でうまくやっていくことだけでも気疲れしている状態なのではとも考えられます。

彼女たちの背中を追いながら、そんな会話が交わされているのではと想像させる雰囲気はありました。


「石跳」とした名前がついたこの橋(?)は、石そのものこそ新しくなっていますが、この場所に200年ずっと存在する村のひとつの名所です。
しっかりと記念碑があって、石は31個、全長19メートルとも記されています。

つまらない写真ですが、Macro Switar の特徴あるボケが水彩画的でおもしろく、採用することにしました。
それに、何より一歩一歩慎重に踏みしめて歩く奥さんの姿、その背中にしっかりつかまって遠くを見据える子どもの目が、これからの一家の進んでいく姿を象徴しているように思えたのももうひとつの理由です。
【M8/Macro Switar 75mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Macro Switar75mmF1.9 | trackback(0) | comment(10) | 2009/05/19 Tue

桂東古鎮⑫拍石板

M8/Macro Switar 75mmF1.9
どこの何かはいま思いつかないのですが、触ると病気を治すとか恋が実るとか言われがあって、長年にわたって撫で続けられたために独特の光沢を放っていて時には摩擦でへこんでしまったような石像とかブロンズ像が世界中にあります。
触られただけで、石や金属があんなになるのかと驚いたことは一度や二度ではありません。

黄姚の石畳にも部分的にそんなところがあります。
かなり大きめのつるつるした石が敷き詰められていて中国語で石板と呼ばれていますが、これらは数百年の時間がすでに経過しているそうです。
その間に、ただただ歩き去った人たちの足が作り上げた絶妙の光沢とくぼみは、人が意志を持って作り上げた芸術、自然が長年月をかけて作り上げた芸術とはまた違う第三の芸術と言っていいのではと思いました。

日が傾いてくると、その石板は表情を大きく変え始めました。
しかし、撮影しようといろいろと試しますが、なかなかこの魅力が表現できないものなのです。
石板自体がたいへん雄弁なので、これだけでも絵になるはずです。
結局、いつもの手法で少年を配してみました。

ハイライトはもっと飛ぶかと思っていましたが、さすが Macro Switar は余裕で踏ん張ります。
いえ、ホントは飛ばしたかったのですが。
【M8/Macro Switar 75mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Macro Switar75mmF1.9 | trackback(0) | comment(6) | 2009/05/18 Mon

桂東古鎮⑪青年宿

M8/Macro Switar 75mmF1.9
宿泊したのは泊客驛站というしゃれた名前の、去年10月にオープンしたばかりの宿です。
およそ300年前の古民家を改装して4つの部屋を提供しています。
部屋にはトイレ・シャワーはもちろん、テレビすらありません。
ですが、できたばかりですし、内装は手入れが行きとどいていて清潔感いっぱいです。
エアコンもないので真夏は辛いかもしれませんが、滞在した日は日中30度近くなったにも関わらず、夜は涼しくふとんを1枚かけた状態で快適に眠ることができました。

もらったネームカードには、免費上網、自助洗衣、自助厨房、免費自行車とあります。
つまり、無料のインターネット、ランドリーマシン、自由に使えるキッチン、自転車があると言うことです。
1泊50元は、約650円です。
わたしには安すぎですが、女子大生ふたり組でもひとりあたり300円ちょっとですから十分に安いと喜んでいました。

ネームカードに「江夏 蘇木」とあったので何かと聞けば、これがオーナー夫妻の名前なのでした。
江夏は名字ではなく、江が名字で夏が名前。
奥さんも同様に姓が蘇で名は木です(中国では結婚しても姓を変えない)。
江夏くんは太ったふてぶてしいおっさんではなく、20代後半と思しき真面目そうな青年で、蘇木も旦那さんより少し若そうなきれいな女性です。
悦然ちゃんという4歳になる宿のアイドル的存在の女の子がいます。

ふたりは実は、地元の人ではありません。
江夏くんは河南省の有名な少林寺のそば出身、奥さんは湖北省だそうです。
深圳に出稼ぎで来て働いていたときに知り合い熱愛の末結婚、そして、いっしょに旅行で来たこの村が気に入り、思いきってこの宿を始めたそうです。

そんなことを聞いているうちに、ここには香港人もよく来るようになったといいます。
へー、それでと聞くと、あれ香港人じゃなかったんですかと聞かれ、いや違うと答えるとシンガポールかと聞かれ近いがちょっと違うと再回答して、どこだか分かりそうにないので、日本人だと白状しました。
日本人が来たのはあなたが初めてと驚いています。
勉強熱心な彼は、以前に読んだ本やテレビ番組などで日本に対して羨望ともいえる好印象を持っていたそうで、突然に現れたその日本人に強い関心を寄せているのがよく分かりました。
外国人自体来たのかと聞くと、ガイドとともに来たイギリス人の老人とドイツ人の親父さんがいたそうです。
日本語で何か書いてと言われ、メッセージを認めると壁に貼ってくれました。
ユースホステルのメッセージ帳のようにいろいろな書き込みが壁を埋めているので、いちばん目立つところです。

こんなやり取りのうちに、ようやく食事が出てきました。
「自助厨房」を最大限に利用して、多彩な皿が並びます。
午前中ガイドしてくれた女性は遼寧の瀋陽、女子大生は広西の南寧、他に広東の広州の女性と宿の奥さんが湖北省で4つの地方の中国料理が勢ぞろいしました。
それぞれの料理自慢も聞きながらの昼食は賑やかで楽しいひと時になりました。

広州から来た若い夫婦は英語が堪能です。
みんなの関心事は、今は日本ですからいろいろと質問が飛び、英語と中国語が乱れ飛んで混沌状態になります。
あれ、件の女子大生梁さんは商業英語が専攻だったはずなのに、なかなかついていけずに黙り込んでしまいました。
そんな姿が可愛いですね。

このノリ、懐かしいなと思い出したことがあります。
卒業旅行のとき、友人とヨーロッパを旅したのですが、宿泊はほとんどがユースホステルでした。
最初、英語がしゃべれず、入って行けなかったわたしたちですが、オーストラリアの女性にうながされて会話に参加すると、みんな気遣いから分かりやすくしゃべるし、やはり日本人と接するのは初めての人が多くてあれこれ質問が集中して、気付いたら仲間として受け入れられていたという経験があったのです。
ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、イスラエル、韓国…、冬だったので夏休みで来ていた南半球勢が多かったですが、同世代の連中は話題性も共通で何を言っても盛り上がる独特のノリがありました。

先日、kinoplasmat さんがいみじくも青春小説に例えられていましたが、バックポーンはこのとおりありましたし、本人はまさにそんな気分で滞在しており、帰国後もその勢いでこれを書き続けていたという訳です。


さて、到着したときは涼しく、散策も快適でしたが、日が高くなると一気に気温が上がるようです。
今日発つという広州の夫婦たちを見送ってから、再度散策に出ようとすると、暑いからいまは昼寝でもして休んで、午後また出掛けましょうと言われます。
2泊とか3泊とかできればいいのだけれど、明日には帰らなくてはいけないので、もっと見ておきたいんですと答えると、時間はたっぷりあるんだしとやはり休憩を勧められます。

郷に入っては郷に従え、そう考えなおして学生時代なら昼寝していたかもしれません。
ですが、汚れた大人になった今は、どうも時間が大切とかもう2度と来れないかもとか邪念が優先して落ち着いていられないのです。
これが日本流だから、そう説明するや、みんなを残して外に飛び出してしまいました。
【M8/Macro Switar 75mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Macro Switar75mmF1.9 | trackback(1) | comment(4) | 2009/05/17 Sun

桂東古鎮⑩紅圍巾

M8/Xenon 50mmF1.5
昨日、初めて通称ダルマ・クセノン(注;形状がダルマのように肥っているための愛称でダルマイヤーとは無関係です)の作例を出させていただきました。
50mmレンズがメインのわたしにとって、満を持しての登場のように見えるかも知れません。
じつはそんな計算あってのことではなく、単にトラブルに見舞われていたのです。

もともと、今回の旅には最高のレンズを仕立ててもらっており、それをメインに撮り歩くつもりでいました。
しかしレンズに小さな不具合が出てしまい、大事をとって控えレンズを登板させることになりました。
どれにするか悩んでいたところ、前週に発注していたダルマ・クセノンが到着して、タイミングの良さも後押ししてこのレンズを連れて行くことになったのです。
もちろん、事前に簡単なチェックはしていたのですが…。

いつも50mmレンズばかりで他のレンズを全然使わないという自己批判から、今回は3つのレンズを各所でローテーションして使うことにしていました。
そして、結果的にこれが幸いすることになります。

秀水、福渓の村で撮った写真を賀州に向かうバスの中で見ていたとき、ビューワーを握っていた手の力がみるみる無くなっていきました。
ダルマ・クセノンの写真はすべて後ピンになっていたのです。
無限は問題なさそうなので、どうも距離計とのズレがあるようです。
キノの撮影結果も思うようではなく、マクロスヴィターで撮っておいてよかった。
しかし、多くのいい場面は多くダルマ・クセノンで撮っていて、それらは全滅です。

いつもであれば、ダルマ・クセノンはかばんに仕舞われ、もう登場させることは考えなかったでしょう。
ですが、黄姚へ着いてのんびり散策をしているうちに、このゆったりした時間の流れに体がフィットし始め、それにともなって考えも少し変わっていきます。
逃げてしまうような被写体はないのだから、液晶をチェックしながらダルマも使い続けてみようと。

ぐるっと黄姚を一巡して宿に戻って来ました。
お昼の時間になっています。
食事はみんなで食べようという話だったので、どこかへ行くのかと思っていたら、橋であった女子大生らが食材を買ってきていて、これから作るということでした。
どうやら、聞き違いで、みんなで食べようではなく、みんなで作ろうということで、女性陣が盛り上がっていたのでした。

時間がかかるからテレビでも見ててと言われましたが、さすがにそれはつまらないので、西門楼から古鎮の外に出てみました。
向かいに小学校がありましたが、その反対側で小学生が食べ物を売っていました。
制服代わりの赤いスカーフがかわいく、おもわず、少女が巻いていた真っ赤なスカーフ、誰のためだと分かっているのかと歌いながら撮らせていただきました。

液晶確認しながら何枚も撮ったので、どうにか採用できそうなのが1枚ありました。
またしてもローコントラストが好いですし、肌の質感や服などのテクスチュアの描き分けは秀逸だと思います。
それに中央に見えている西門楼の石のボケが美しいです。
文様が浮かび上がっているような表現です。
ピントに手いっぱいで、肝心の売り物が切れてしまいましたが。

売り物の白眉は、日本のそれと瓜二つの草饅頭。
味がより素朴で、少なくともコンビニで売っているものよりずっと美味しい。
2個で8円とさすが田舎の味に田舎の価格です。

それにしても少女たちは見ている間、にこりともしませんでした。
美味しいね、と話しかけても。
宿のそばだからと一旦は退散して、午後もう一度来てみましたが、店番は老人に替わっていて彼女たちの姿はありませんでした。
【M8/Xenon 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Schneider Xenon 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(8) | 2009/05/16 Sat

桂東古鎮⑨帯龍橋

M8/Xenon 50mmF1.5
まずは、昨夜の続きから。
富川発広州行きの夜行バスは、夜9時半に賀州に到着しました。
しかし、降ろされたのは郊外の辺鄙な交差点です。
街中にはどう行くんだと運転手に聞くと、あのバスに乗れと指さします。
なるほど、辺鄙ではあっても大きな工場があるし、どうやらバスの始発にもなっているらしい。

これなら間に合うかもしれない。
じつは、昨夜バスターミナルのそばにオープンしたばかりのレストランがあって、昨日食事した時にウェイトレスの女の子と仲良くなって、なぜか携帯番号の交換をしていたのでした。
また、行ったからといって何があるという訳でもないのですが、少なくとも美味しい現地料理は食べられます。
店は10時までだったはずです。

ここからバスでどれくらいかかるのだろうか、乗り込むとちょうど出発のタイミングだったようで運転手がエンジンをかけました。
しかし、雰囲気がヘンです。
となりの乗客と運転手がトラブっているようでした。
現地訛りの言葉なのでよく聞き取れませんが、乗客か持ち込んだ荷物が大きかったので、運賃1元に追加料金を払わされたようです。
そこへスーツケースを持ったわたしが1元しか払っていないものだから、なんであいつが1元でわたしは10元なのと抗議している模様。

これは嫌な予感です。
すごい剣幕で乗客のおばさんがくってかかりましたが、運転手がみんな出発を待っているからととりなして、おばさんも我に返り自分の座席に戻りかかりました。
予感外れたか、やれやれと思った瞬間、おばさん、捨て台詞的に何かひとこと(聞きとれず)。
すると、こんどは運転手が切れた。
なんだとみこのハバア、もう一度言ってみろ! お前なんか乗せてやるか、さっさと降りろ!(やはり聞き取れませんが、内容は正確である自信あり)。

けっきょく、おばさんは運転手から返金させてパスを降りて行ってしまいました。
目の前で観劇するかのような体験でした。
やり取りは幸いにも5分程度で、これは助かりました。
そして、バスは街中へも5分程度で到着し、昨日見知った道をレストラン目指して歩きます。
ああしかし、レストランは閉店15分も前だというのに、すでに閉まっていました。
それほど落胆することもないのですが、がっくり来てしまいました。
わたしは一体何に期待していたのだか。

翌朝は、早朝のバスで今回の旅の最大の目的地、黄姚へ向かったのですが、これも予定通りではありません。
ホテルの受付が寝坊して、モーニングコールは頼んでおいた1時間半後です。
おまけに謝りもしない…。
バスもバスで、2時間で着くと言っていたのに、悪路の連続で1時間遅れの到着です。
短い旅で、こうも遅れ遅れだといらいらしてしまいます。

宿は、下調べしてあったのですぐに見つかりました。
300年前の古民家をシンプルに内部改装した安宿です。
午前中に到着したため、まだ部屋は空いてないので、荷物をそこいらに置いて散歩してきてと言われます。
ちょうど滞在中の母娘が、これから散策に出るのでいっしょにいかがと誘ってくれました。
もう3日にもなるというので、いろいろと説明してくれいきなり無料のガイドです。

写真の帯龍橋は250年前にというので、ずいぶん古い橋ですねと答えると、いえ250年前に洪水で流されて修復された記録がありますが、それよりも何百年も前に作られたそうです、と説明されびっくりしてしまいます。
円弧と石積みの美しさは、当時の人々の美的感性をいまに伝えます。

ちょうど女性ふたりが通りかかったので、写真を撮っているとずんずんこちらにやってきました。
撮ったのを怒られるのかと思えば、じつは彼女たちも同じ宿に泊まっていて、お昼の打ち合わせに来たようでした。
ふたりは南寧からやってきた女子大生だそうで、すかさず仲良しに。

それにしても、ここは時間が止まったかのような村です。
人が、景色が、そして滞在している者までが、のんびりと世俗を離れて現代とは違う時間を過ごしているようです。
そんなことを徐々に感じながら、昨日今日と時間に翻弄されてかりかりしていた自分を思い出しました。
気付いたことで、自分も観光客からここに滞在する人になれたかなという気もしてくるのでした。
【M8/Xenon 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Schneider Xenon 5cmF1.5 | trackback(0) | comment(8) | 2009/05/15 Fri

桂東古鎮⑧又被騙

M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1.5
「そんなの聞いたことないなあ」
誰にきいても同じ答えで、絶望的な気持ちになります。
持参した「中国古鎮遊 広西」の福渓紹介の中に、宿はないが農家で泊めてもらえると記述があったので、あてにして来たのですが。
親切に聞いてくれる人もいましたが、みな知らないの一点張りで、少女の写真拒否問題もあったので、これは歓迎されている雰囲気ではないと悟りあきらめることにしました。

そこで、あらためて村を見て回ると、ひじょうに面白いところがあちこちあって、この村もすごいなあと感心させられます。
通りは、どの軒下にもツバメの巣があって、見ていると親ツバメがすーっと飛んできて、巣からひなどりが一斉に口を開けておねだりする様子が次々に見られます。
この村では水路が家を縫うようにしているところがあって、そこで数家族がいっせいに洗濯しているのはなかなかに壮観でした。
かと言えば、こちらでは子どもをおぶった母親が、トリを解体しようとしています。
初めて見ましたが、首をひねられたトリは体内のものを一気に排出してしまうのですね。
こう書くとなまなましいですが、生活のほんの一場面として見学しているとまったく普通の日常的な出来事で違和感すら感じません。
羽根をむしるのを手伝おうかと思ったくらいです。

福渓は、同名の泉から流れる水があって、そこを起源に広がった村とのことです。
渓流の渓の字がつくので、もとは渓流だったのでしょうか、ところどころ大岩が露出していて、建築物はそれを活かすかたちで壁を建てていっているようでした。
写真の家なんて、中がどうなっているのか見てみたいものです。


さて、この村の農家に泊まってみたくてやって来たものの、これでは仕方ありません。
すごすごと退散です。
翌日のことを考えて、一気に賀州まで戻ることにしました。
近くの朝東鎮までバイクに乗せてもらうよう手配してもらいました。

これが怖かった。
登場したのはまだ高校生くらいのにきび兄さんで、わたしと縦置きのスーツケースを荷台に載せて出発するのですが、ものすごいスピード狂です。
80キロ? 100キロ? スピードメーターが壊れていたので分かりませんでしたが、風の当たる手が痛くなってきます。

「スピード出過ぎじゃない、いつもこんな飛ばすの?」
「兄貴のバイク借りたからスピードがすごいんだ。オレのはこんなにスピード出ない」
「…」
「朝東だともうパスがないかも知れないから、富川まで行ってあげるよ」
「ああ、そう。それはありがたいが、もっとゆっくり走ってね」
「ゆっくりだと富川のバスも間に合わなくなっちゃうよ」
「わかった。だが運転しながら携帯で話すのだけはやめてくれ」
「じゃあ、ちょっと待って。停めて話すから」
「バスの時間がないんじゃなかったのか…」

こんなやり取りを繰り返すこと約1時間。
走行距離70キロで、どうにか無事富川に到着しました。
これだけ走ったのだから100元もらえるとありがたいと言われ、手膝をがくがく震わせながら無抵抗に支払いました。
あれっ、何かおかしい。
来るときはバスで20分程度だったはずなのに。
あとで地図で確認すれば、案の定、倍以上の距離を遠回りされていたのでした。

しかも賀州行きの最終バスは5分前に出たばかりとは。
幸いにも広州行きの夜行バスがあって、交渉で賀州まで乗せてもらえることになりました。
1時間半待たないといけませんが。
でも、本当の幸いはバイクが無事ここまでたどり着いたということでしょう。
【M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Kino-Plasmat 3,5cmF1.5 | trackback(0) | comment(8) | 2009/05/14 Thu

桂東古鎮⑦風雨橋

M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1.5
秀水村から20キロは走ったでしょうか。
午後やや遅く、この地域のもうひとつの古鎮福渓村を訪れました。
福渓村は、観光客に対してはオープンですが、小規模すぎるせいでしょうか、来訪者は少ないようでかなりローカルな雰囲気です。
村の入り口はパスが1日何本かの地方道から3キロは離れています。
さらに村の入口から古建築が並ぶ通りへは、分かりにくい小道を下ります。
偶然、見つけるのは不可能な古鎮です。

実際わたしも、到着後入口の雑貨屋でスーツケースを預かってもらい、道をたずねたうえでたどり着くことができました。
そして、ここはわずか数百メートルの通りだけとわずかですが、その分明清時代の雰囲気が凝縮しているようなところでした。

写真は、何か建物の中ということは分かると思いますが、実はこれが橋の上だというと不思議な感じでしょうか。
風雨橋といって、文字どおり屋根で雨風をしのぐ構造になっています。
そして橋の上はコミュニティの場となって、風通しのよい風景の好い場所として、お茶を飲んだり世間話をしたりして日がな一日を過ごすのに使われました。
いまでは、麻雀がその代わりをになっていますので、橋はもっぱら子どもの遊び場のようです。

橋の製造年代は残念ながら不明のようです。
この村自体は、12世紀からの歴史がありますし、最古の建造物と思われる霊渓廟は1413年の建立です。
風雨橋も数百年の歴史は持つのでしょう。
今回お見せしないのは申し訳ありませんが、威厳に満ちたすばらしい外観です。

さて、そんな歴史ある橋上のゴム飛びもおもしろい被写体です。
遠慮なしにカメラを向けましたが、気付いた女の子たちが怒り出すのです。
勝手に撮るなと言うので、まあまあとかまわず再度レンズを向けると走って逃げる始末です。
秀水村と同じ瑶族の村ですが、どうも勝手が違います。
外来の人間の来る頻度に由来するのでしょうか、どうもこの村では写真を嫌がる子どもが多い。

一度は隙を見てさっと撮ってえへへーと笑いかけたりしたのですが、すごく冷たい目で見返され、これには返す言葉も見つからず、情けなくも謝らざるを得ませんでした。
結局、カメラ目線の彼女だけが、わたしの撮影を許したのでした。
この娘がいなければ、相当につらい福渓村の訪問となってしまうところでした。
【M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Kino-Plasmat 3,5cmF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/05/13 Wed

桂東古鎮⑥斜皮帯

M8/Macro Switar 75mmF1.9
今日5月12日は、四川大地震からちょうど1年になるのだそうです。
現在の人々の暮らしについてなど、多くの報道が日本でもなされました。
遠い異国のできごとであって、わたしには関係ないと言えば関係ないのかも知れません。
ただ、これまで中国とかかわってきたなかで、画面上で四川の人々の生き様を見るに及んで、とても無関心ではいられないのも事実です。

報道では、やはり胸を打つ内容のものが多いですが、いまだに「おから工事」の問題が解決していないなど怒りを禁じえないことも少なくありません。
そんな怒りは当事者ではより強く募っているはずであって、親を失っても頑張っている少年のような話しは、その怒りをかわすための政府のプロパガンダなのではと思えてきます。
こんな補助までしてもらって政府には感謝しています、というセリフをはからずも数回聞いてしまったのが、その感を強くしました。


さて、話は旅先の広西チュワン族自治州富川県秀水村にとびます。
昨日、このあたりではまったく民族衣装を見ないと嘆きました。
しかし、飄々としたこの老人が着ている黒い服は、もしかしたら往時の民族服なのかも知れません。
詰襟の中山服(人民服)とは違いますし、こんなデザインの服は他で見たことがありません。

ひとりで歩いていましたが、恐らくは牛飼いなのではと思われます。
たすき掛けにしたかばんがそれっぽいですし、手にした木切れは牛を追う鞭に見えます。
ここは、いい村ですねえなどと他愛のない会話をした後、写真を撮らせてもらいましたが、非常に良い表情が得られたように思います。
温かみや優しさが感じられないでしょうか。

じゃあ、わしは仕事があるから、そう言って村の出口に向かってゆっくり去っていきました。
その背中を見送りながら、わたしもそろそろ次の村に行くかと、老人とは反対の方向へ歩き出しました。
【M8/Macro Switar 75mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Macro Switar75mmF1.9 | trackback(0) | comment(8) | 2009/05/12 Tue

桂東古鎮⑤挂健康

M8/Macro Switar 75mmF1.9
お昼になってすっかり空腹です。
予期してはいましたが、村には食堂などなく、たずねたところ隣町へ出るか、唯一の雑貨屋で何か買って食べるしかないとのこと。
その雑貨屋は、なんだか懐かしいような品ぞろえの店で、ラーメンとパンがあるのを確認してホッとしました。

ラーメン買ったら作ってもらえませんかとたずねると、ちょうど家族でそのラーメンを食べているところだから、食べていけと言います。
いい匂いにつられて遠慮なくいただくと、野菜とか卵とか入っていてインスタントながらこれがなかなか美味しいんです。
なんだか相当に美味しそうに食べてたようで、ぜんぶ食べちゃってと鍋からどんぶりに全部いただいてしまったのでした。

田舎ではどこでもそうかもしれませんが、この村は特にみな親切という気がしました。
ラーメン代を払おうとしても受け取ってくれません。
彼らは、わたしを店に来た客としてでなく、旅のゲストとして扱ってくれたようでした。
その自然さはたいへん心地よいものです。

また、こんなこともありました。
小学校低学年くらいの女の子が、家の前で洗濯をしています。
よい感じだったので写真を撮っていると、家の中からおじいさんが出てきます。
こらっと怒られるのかと思ったら、逆で、孫を撮ってくれてありがとうといいながら、家の中で休んでけといいます。
これまた遠慮なく入っていくと、土間の古い家はいかにも農家のそれという感じで、各所に農機具などが配されていて民芸博物館の風情です。

それだけでも感心しているところへ、息子夫妻が来て、これから食事なんで食べていきませんかと言います。
残念ながら、ちょうどいま食事を済ましたところなんです、それにしても娘さんは家の仕事を手伝っていて関心ですねとふると、家族一同ほんとに嬉しそうです。
今度来るときは、必ずウチで食事して行ってくれと送り出してくれます。

お気に入りの秀水村ですが、先日も書いたように、瑶族の村にも関わらずここでは民族衣装を見ることがありませんでした。
比較的近い広東省連州では村でも街中でも民族衣装を数多く見ました。
なぜここでは着られないのか、そんな大切な質問を忘れたことが、今になって悔やまれます。
【M8/Macro Switar 75mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Macro Switar75mmF1.9 | trackback(0) | comment(4) | 2009/05/11 Mon

桂東古鎮④前中后

M8/Macro Switar 75mmF1.9
秀水村が美しいのは、その環境の中にあるからと言えます。
なんと表現すればいいのでしょうか、山というには低く、丘と呼ぶには高い小山が、連なった奇観には強く印象付けられます。
そのうちの一座である秀峰を中心に、ぐるりと村が取り囲み二方を川が流れているのが秀水の村です。

そして山々の間は見渡す限りすべて田んぼです。

昨秋貴州省を訪れたときはまさに麦秋、刈り入れの真っただ中でしたが、今回の秀水村の周辺は田植えのピークを迎えているところでした。
眼前に見えている苗は、買ってくるのではなく、一から育てるのでしょうか。
整然と並んだそれをひと束に揃えてまとめ上げる作業をしていました。
家族総出のにぎやかな農作業です。

農繁期は、子どもといえども仕事を手伝う、いま、日本でも、こういう光景はあるのでしょうか。
機械化されてなくなってしまったか、もしかしたら子どもを働かすななんて児童福祉法違反だのなんだのと社会が障壁になっているとか。
しかし、何十年か前までは確実にあっただろう懐かしい風景のはずです。


ところで、家族一丸というかたちで、肩寄せ合うように作業していた一家でしたが、カメラをそれとなく向けていると様子が変わって来ました。
気付いてみると、撮られたくないお父さんがすすすっーと奥へ、撮られてみたいけれどお化粧してないしねえな具合のお母さんが中間距離に、カメラ意識しまくりの少年たちはじわじわ最前列へ。
素朴な人たちの心が透かし見えるような、見事なポジショニングです。
【M8/Macro Switar 75mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Macro Switar75mmF1.9 | trackback(0) | comment(6) | 2009/05/10 Sun

桂東古鎮③石与木

M8/Macro Switar 75mmF1.9
秀水村には門票といって、入場料10元を支払わなくてはいけません。
日本円で130円ですから、小さな村を見て回るのには適切な額に思えます。
しかし、現金収入が5000円とか10000円というこの地方の一般の人には、高価に感じるに違いありません。

どんなものなのかなと思っていましたが、後から来たグループは門票料を払っていません。
聞けば30分くらいのところの村から来たそうで、近隣の人からはお金をとったりしないようで、少し安心しました。
この人たちは寺にお参りに来たそうで、その姿を撮影していたところ親しげに話しかけてきたというわけです。
ここの村にも親せきがいるそうで、じゃあいっしょに歩きましょうということになりました。

女の子たちが明るく楽しかったですし、おばあさんは瑶族の民族衣装を着ています。
周辺はすべて瑶族の村ですが、民族衣装を見たのはこのときが唯一でした。
昨年秋に出掛けた連州はさほど遠いわけではないのに女性のほとんどが民族衣装だったので、これはちょっとがっかりしました。
もっとも、こちらが日本人だと知れるとビデオカメラを取り出して、どうも鮮明に写らないので直してくれと言われましたが当然どうすることもできず、瑶族の皆さんの方もそうとうがっかりしたようでした。

素朴な農民にしか見えない彼らですが、ソニーのデジタルカメラやビデオカメラを持参しているし、バイクを連ねてやってきています。
案外、裕福なのかもしれません。
それに、いっしょに歩いていただけですが、家屋の装飾や農産品のことなど適宜説明してくれ、こちらが知りたがるだろうことを理解するなど、少なくとも民度の高さを感じました。

この周辺から有名な桂林にかけて、初日の写真に見たような岩肌のごつごつした小山が無数に連なっています。
そのため、家屋は石でできているところがしばしば見られます。
ここでは、石と木を組み合わせていて、たいへん美しくがっしりした印象を与えます。
昨年、貴州省を訪れたときに見た苗族の家侗族の家などが木だけでできているのを見れば、その地勢などが見えてくるでしょう。

家がたいへん美しいと彼らに感想を言うと、石と木の家はそうとうに高価な家とのことで、現在いっぱんにはレンガなどで家を建てるということでした。
たしかにバスの車窓から見た村々は、そんなベージュの家ばかりでした。
それに、彼らの村の家もこんな古い家なので、ぜひ見に来ないかと誘われました。
残念ながら、午後は別の村に行くつもりで、時間がないと断わざるを得ません。
彼らの方でも非常に残念そうでした。

ぐるっと一周して、村の入り口に戻って来ました。
わたしは、もう少しつぶさに村を見たいので残ります。
彼らは、十数人が4台のバイクにまたがるや、手を振りながら去っていきました。
ほんの小一時間の交流でした。
【M8/Macro Switar 75mmF1.9 F1.9】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Kern Macro Switar75mmF1.9 | trackback(1) | comment(4) | 2009/05/09 Sat

桂東古鎮②炸面圈

M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1.5
賀州に着いた夜、わたしにはどうしてもしなければならないことがありました。
非常におとなげない話ですが、サッカーの試合を見ることです。
深夜2時半からの生中継で、今後の旅のことを考えると、体力的にかなり辛くなりますが、いや選手たちはもっと厳しい日程をこなしているんだと訳の分からない口実を押し付け眠さに耐え続けました。

その試合は特別なもので、スペイン語で"El Classico"、伝統の一戦です。
リーグ優勝をかけ頭一つ出た状況のバルセロナが宿敵レアル・マドリードのホームへ乗り込みます。
激しく攻撃的なサッカーは、まさしくスペインの伝統そのもので、先制を許したバルセロナでしたが、その後攻撃が火を吹いて6-2の記録的圧勝でわたしの眠気を吹き飛ばしました。
4日後のチャンピオンズリーグ準決勝でも、ロスタイムの起死回生弾で決勝進出を決め、これでスペイン国王杯、リーガ、チャンピオンズリーグの主要3タイトルすべてにリーチをかけたことになります。

旅とは関係ない書き出しですが、ここで旅程について触れておきたいと思います。
休暇は、カレンダー通りの5月2日~6日までの5日間。
日程節約のため、羽田~香港の深夜便を使いましたが、香港から深圳を経由しての賀州までが9時間かかりますので、現地滞在は実質3日間になります。

今回どうしても行きたかった古村落があります。
また、せっかく賀州まで来たのなら隣町にある瑶族の村は訪ねてみたい、あと時間があれば近隣の村を回るか、いずれにしても現地での交通事情がはっきり分からないので着いてから考えよう、と決めていました。
昨日も書きましたが、賀州までのバスに乗れない可能性もあって、あまり事前に計画しておいて行けなかったなんてことになってはショックも大きいので、柔軟に対応しようという作戦です。

結局のところ、バスは難なく乗れるし、バルセロナは圧勝だしで、これ以上は望めない滑り出しになりました。
それに到着後の情報収集で、行きたい場所へのバスも確認できました。
これなら余裕です。
まずは隣町の瑶族村・秀水を目指すことにします。

隣町といっても富川までは、バスで2時間かかるようです。
バスは約30人乗りの中型バスでかなり揺れますが、昨夜の夜更かしが効いて寝ているうちに到着しました。
そしてパスを降り立ったところが、昨日の写真の地点だったわけです。

すばらしい景色に呆気にとられながらも荷物を預けて、村を歩き始めます。
まず出合ったのが、モデルのようなポーズをとる少女。
これまた幸先がいいなと思っていましたが、後に確認すると、とんでもなく個性的な表現になっています。
今回レンズでそうとう苦労することになるのですが、すでに前兆は現れていたということのようです。
【M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Kino-Plasmat 3,5cmF1.5 | trackback(0) | comment(10) | 2009/05/08 Fri

桂東古鎮①五一暇

M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1.5
新型インフルエンザ。
SARSや鳥インフルエンザなどなど、ことあるごとに震源だったり流行の先端にいた中国でしたが、今回の豚インフルエンザでは今のところ被害は発生していないようです。

こんな時期に人が家畜と同居するような農村に行くことに不安はありましたが、無神経にもその中国でゴールデンウィークを過ごして来ました。
いつものとおり、東京から香港への航空券だけ予約を入れて、行先は出発前日まで悩み続けます。
行くという結論は早いのですが、それからが優柔不断癖が治りません。

数か所の候補地から結局出掛けたのは、賀州という街です。
中国でもゴールデンウィークが始まっていて、万一パスがとれない場合の補欠候補地も地図を揃えて深圳に1泊します。
翌朝バスターミナルに行くと、なぜだか賀州行きのバスはまったくがらがら。
乗客はたったの5人です。
乗務員は、ふたりの運転手と服務員の3人もいるというのに。

その服務員の女の子はなかなかの美人のうえに、はじめて外国人を乗せたと非常に親切に対応してくれました。
ベッドを連ねた寝台バスでしたが、ここがいちばん広いからと毛布置きになっていた座席を提供してくれ、賀州のガイドもしてくれます。
おしゃべりしたり寝たりで、9時間の道のりが短く感じられます。
幸先よいスタートです。

夕方到着なので、翌朝最初の古鎮を目指します。
路線バスで1時間半もかかりましたが、それくらいはすでに何てことはありません。
体質的に現地人化してしまっているということでしょうか。
到着した村はすばらしいところです。

てすが、昨夜香港0;40発、羽田5:25着でそのまま仕事をして、帰ってきたところでもう起きていられなくなりました。
イントロダクションとしては、内容があんまりですが、続きはまた明日ということにさせていただきます。
【M8/Kino-Plasmat 3,5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Meyer Kino-Plasmat 3,5cmF1.5 | trackback(0) | comment(8) | 2009/05/07 Thu

市花

M8/Flor 50mmF3.5
凧上げを見物して、自宅方面へ引き返しますが、久し振りに見晴らし台に寄ってみました。
このあたりは何やら大がかりな工事が行われていて、近づく気になれなかったのです。
工事はいつの間にか終わっていましたが、その結果として川岸の土手が立派な護岸に置き換わっていました。

洪水なんてありそうもなかった川辺ですが、この護岸工事にどんな意味があったのでしょうか。
こんな好天なのに小鳥を見かけません。
名物だったカワセミはやってくるのでしょうか。

行き場を失った憤りを鎮めてくれたのが、見晴らし台の小さな藤棚に咲いていたフジの花でした。
露出オーバーに感じられる方は、Treizieme Ordor に教えていただいた露出補正法をご伝授しましょう。
少し低い姿勢でディスプレイを見てください。
どうですか、任意の位置で見ると、好みの露出が得られませんでしょうか。


このレンズは、逆光に強いのではと山形さんから指摘いただきましたが、確かに逆光でも揺るがない写りに驚かされます。
そして、宮崎さんからいただいた高評価もここで紹介します。

「エルマー50/3.5と比べて2/3くらい収差が少ない。色収差も1/2以下。開放でフレアなく、コントラストも良い。解像力は相当高い。すぐれたテッサー型である」。

判定は微妙に補正不足ですが、枚数を使った高性能レンズを除いてこれだけ高評価のレンズはなかなかないです。
大衆カメラに付いていた、外観のパッとしないデザインのレンズですが、意外な高性能に大いに得した気分です。
これで、今回のベルティオ・シリーズを終了します。
明日よりしばし休みをいただく予定です。
連休明けに、お会いいたしましょう。
【M8/Flor 50mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
SOM Berthiot Flor 50mmF3.5 | trackback(0) | comment(6) | 2009/05/01 Fri
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