サン光機という国産レンズメーカーが存在していたことを知っている方は、けっして少なくはないと思います。
ライカマウントの交換レンズを作っていたこともあるレンズメーカーで、"LEICA COPIES"という有名なハードカバー本にも、巻末の一覧に50mmF2や90mmF4、135mmF3.8が記載されています。
この中では、90mmF4が"Sola"(空?)という名称とともに、たまに中古店やネット上に出てくるので、それなりに知られていると推測しています。
今回、某カタログに格安で出ていたレンズもそれに違いないと、ライカのアクセサリー等といっしょについでにオーダーしてみました。
使い込まれたというよりは、放っておかれたと見える古い鏡胴は、どこかデザイン上の欠陥というかアンバランスさを感じさせるものです。
ヘンだと思い、"世界のライカレンズPart2"に出ていた"Sun Sola 90mmF4"と比較してみたところ、随分と違っているところがあるのに気付きました。
まず、やはり鏡胴のデザインが、エルマー90mmのような革部分があるなどだいぶ違います。
そして部分的にアルミが使われているようで、重さも100グラム以上軽い。
決定的な違いは、名称に"Sola"が使われておらず、"SUN OPT."となっているだけなのでした。
さらにはシリアル番号の末尾3桁が"001"とあって、あるいはプロトタイプの可能性すら出てきました。
さて、肝心の写りですが、期待以上にシャープで繊細な描写なのに驚かされました。
コントラストは低めで、どちらかというと階調を求めるレンズなのかもしれません(ただしフードは不使用)。
しかしながら、ボケはいただけません。
恐らくテッサー型の3群4枚と思われるのですが、何故か2線ボケで、かつボケがベールかかったような滲みをみせます。
ポートレートには、たぶん向かないボケの汚い中望遠。
ではがっかりかと言うと、謎多きレンズのラッキーな入手に興奮を抑えられなかったりしているところだったりしています。