愛管閒事

Summilux 35mmF1.4
もともとの予定では、1泊はしてみようと考えていた西递でしたが、滞在したのは2時間あまりにとどまりました。
うち喫茶店に1時間、骨董品屋に半時間で、村の散策は30分にも満たないほどです。
白い建物が並んだ落ち着いたたたずまいは宏村より魅力的だと感じましたが、1時間に1本の宏村のバスの時間が5分後に来ると聞いて、散策を打ち切ることにしました。
体調が悪いままで歩くのがかったるく感じられるようになり、何はともあれ卢村に置きっぱなしの自転車を取りに行かなければいけません。

バスで宏村に着いていったん宿に戻ると自転車はどうしたのか聞かれ、事情説明したところ宿のおじさんがバイクで卢村まで連れて行ってくれました。
自転車は入場券売り場の脇にそのまま置かれていて、朝、チケットを手渡してくれた男性がどうしたのかと心配したよと笑って出迎えてくれました。
宿のおじさんもやれやれという感じで戻ろうとするので、おじさんの方が体力ありそうだから自転車でどうぞ、僕はバイクで先に戻るからと言うと、そういう冗談が好きそうなおじさんは笑いながら自転車は勘弁と行ってしまいます。

せっかく木彫村に戻ってきたのでそのまま帰っては勿体ないと、少しだけ卢村を散策してみることにしました。
再度、木彫のすばらしい建物を訪れてみます。
建物には名前が付いていて志誠堂と表示されていましたが、日本語読みすると化粧品でも売っていそうですが、恐らくは18~19世紀の塩の専売権により栄えた徽州商人の典型なのでしょう。
持ち帰った富を地元の木彫職人の腕に託して家を飾りたてたのだと思われます。
この作例では分かりづらいですが、幾何学的パターンの精緻さと美しさは、広い中国でも見た記憶がないものです。


この内装部分が撮影したくて、唯一持参した広角レンズであるM6に付いていたズミルクスに交換しました。
ちょうど家主のおばあちゃんが出てきたタイミングを縦位置で目一杯後に下がって捉えています。
レンズをやや上向きに振っているので、柱が内すぼみになっている素人臭い作例ですが、とにかくできるだけの全体像を撮っておきたいと思いました。
おばあちゃんの出てきたところの左側に玄関があって、すぐ部屋があり撮影した空間は屋根がぽっかり空いている天井というスペースです。
天井は文字通り天から雨が降ってくる井戸という意味で、日本語の家屋にはこのような場所が無いので屋根の下のスペースのことを誤訳して天井と呼ぶようになってしまったのではないかとわたしは考えています。
ここを塞いでしまうと真っ暗なので、明かり取りにもなっているわけですね。

その光が差し込んでいる部分こそ光が回析して縁を滲ませていますが、それを除くとズミルクス35mmの開放なのに何故と思うくらいフレア感の無い落ち着いた写りになっています。
右上にあるのは木彫を風雨から守るための布だと思うのですが、これが滲むのがズミルクスのはずですが、そんな気配はありません。
屋根瓦のかたちに木彫を照らす日の光も同様です。
ズミルクスらしい線の細さは十分に感じられて、α7では一定の味を残しつつも違う暴れレンズを優等生に変貌させるような不誠実さがあるのではないかと気になります。

デジタル全般にそうなのではとも思われるかも知れませんが、M8の作例では、全体にふわふわなフレア感があって強いハイライトはことごとく滲んでいます。
R-D1でもそれは同様で、かつてM3やM6で撮ったものも同様か、もっとひどいものも多くありました。
X-E1でズミルクスを使わなかったことが悔やまれますが、ライカのデジタルでズミルクス35mmを使っている人は多く、それらではわたしの見る限り今日の作例のようにフレア感や滲みの無いものばかりのような気がします。
最近になって優等生ズミルクスが増殖しているのでは…。

どういうことかはさっぱり分からないのですが、例えば、M8ならシャープネスをカメラ側で設定できるので、シャープに見せるために邪魔なフレア分や滲みが除去されるのではとの推測が思い浮かびます。
今日の作例もズミルクスファンにはこれだってズミルクスさと分かる表現なのかも知れませんが、一昨年にスペインで使ったときの作例を見ると、そちらは誰が見てもズミルクスだと即答できる描写をしていて、わたしのようないい加減な人間ならどちらが好きかは明白です。
sha-sindbadさんは、コントラストやシャープネスを落とすことでデジタル臭が抑えられたフイルム的な画になるとよくおっしゃってますが、同時にレンズの個性がよく分かると付け加えることができるのではと思えてなりません。

絞ってしまうとどのレンズも同様の描写になってしまい区別がつきづらくなることから、レンズの個性をより知りたくて開放での撮影を重視してきました。
そうでなければ、こんなにもレンズを集める意味が薄れてしまいます。
シャープネスを上げるとレンズの個性が失われるという推測が正しいとすれば、そうしてはならないというルールができるだけですが、初めからシャープに撮れるように設定されたカメラがあるとすれば、レンズ蒐集家にとってありがたくないカメラという言い方をせざるを得なくなります。
【Alpha7/Summilux 35mmF1.4 F1.4】
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Leitz Summilux 35mmF1.4 1st | trackback(0) | comment(2) | 2014/01/18 Sat

欧洲最后一天

M8/Summilux 35mmF1.4
カギとありがとうのメッセージを机に残して、ダヴィドのアパートを後にしました。
日曜、朝5時のバルセロナは、まだ眠ったような状態で、時おり通りかかるタクシーが徐行して乗らないかと誘いますが、首を振るとすごい勢いで去っていくというくらいしか私を相手にするものはありません。
空港行きの列車の入り口が分からずまごついていると親切なホームレスが、迷いながらそこまで案内してくれました。
手を出して来たので、一瞬金を寄こせと言っているのではと思いましたが、握手を求めていると分かり握り返すと、気を付けてと優しく声をかけてくれました。

案内の見つからない空港行き列車とは不親切だとは思いつつも、いざこれに乗ってしまうと後は表示に従ってチェックイン、荷物検査、入国審査、少し待って搭乗とあまりに機械的に進んで行くことに気付きます。
ちょっと分かりづらくて、旅行者をあせらすくらいの方が、本当はありがたいことなのかも知れません。

ローコストキャリアの小型機は来た時と同じくガトウィック空港へ到着しました。
まだ午前中ですが、ヒースロー発、香港経由、成田行きの便は夜のフライトです。
本当は、ロンドンの知り合いと会うつもりだったのでこんなスケジュールにしましたが、彼はドイツへ出張してしまい、この間をひとりで過ごすことになりました。

ガトウィックからの列車がヴィクトリア駅に着くので、ここのバスコーチに荷物を預けて身軽になって散策し、夜また戻って荷物をピックアップしてから空港行きのコーチに乗るというのがリーズナブルかつ効率的な方法です。
スーツケースを引いてずっと歩きたくはないので、どこにレフトラゲージがあるのか調べたら、空港への移動とかも同時に出てきて、自分としては珍しく完璧なスケジューリングができてしまいました。

完璧といってもそれは荷物の処理と空港へのアクセスだけで、その日何をするのかは全然決めていません。
サッカーでも観たいと思いましたが、残念ながらロンドンエリアでは試合が無いようです。
行き当たりばったりでいこうと考え、ビクトリア駅にツーリストインフォメーションで地図をもらって歩いて散策することにしました。
しかし、このインフォメーションは、観光バスの紹介所のような施設で、みんな何かを訊ねチケットを買っています。
非常に低姿勢になりながら、地図をもらうのが精いっぱいで近くに何かないかなどの質問はあきらめました。

地図は見ますが場所を確認するだけで、あてのない散策開始です。
とはいえ、すぐに観光客であふれるゴシック教会があり、さらに進むとテムズ川を挟んでビッグペンが現れます。
この間、名物バスのダブルデッカーやブラックキャブことロンドンタクシーのみならず、ヨーロッパらしい多くの自転車や馬にまたがった警官まで通って、ロンドンというテーマパークに来たかのようなにぎやかさでした。
そもそもが、ロンドンはバルセロナに比べてずっと涼しいに違いない、もしかしたら霧に煙ってるかもと考えて長袖にしていたのですが、スペイン以上に好天で暑く、自分がロンドンにいるとは信じられないくらいです。

実はロンドンではひとつだけやることを決めていて、ビリンガムのカメラバッグを買おうと考えていました。
今回会えなかった知り合いから、ライカ専門店を紹介してもらっていて、ウェブサイトを見るとビリンガムの特約店のようだったので、ここだけは訪れようと考えていました。
ですから、地図を見ながら気ままに歩いたとは言っても、方向的にはその店の方を目指して歩いていました。

途中サンドイッチとスープの昼食をとりながら2時間以上歩いたところで店は見つかりました。
さすがライカ専門店です。
赤いロゴの看板が目立つので、かなり遠くからでも、あったと見つけることができました。
お目当てのスモールハドレーはやはり日本の並行店の3分の2ほどと安く、ビリンガムのサイトでしか買えないとなっていたオリジナルの名刺入れもゲットできて満足です。

バルナック時代の中古品の品ぞろえもなかなかで、アクセサリーを何点か買い求めました。
店主も親切な方で、いろいろと教えてもらいましたが、もう少し早く来ればヘクトール7.3センチの新同品が見られたのに残念だったねと言います。
そのヘクトールは、つい先日、日本の超有名コレクターN村氏が来て買っていってしまったよと笑っています。
N村氏が来たのでロンドン中の中古カメラ店から、コレクティブルなライカ関連アイテムはなくなってしまっているだろうから、他店に行く手間が省けたんじゃないのと言われ、今度はふたりで大笑いしました。

ビリンガムはこのまま使いますか、と聞かれます。
さすが、この店主はよく分かっています。
ロンドンでビリンガムを買えば、そのまま肩から提げてスナップしたい気持になろうというものです。
使い古したカメラバッグはかっこいいものですが、生地がやわらかで馴染むビリンガムは新品でも肩、手、腰にフィットしてすぐさま自分のものになります。
ロンドンに寄った目的を完全達成した気分でした。

それは、今回のヨーロッパの旅が終わったことも意味していました。
まだ時間はだいぶありますが、ビリンガムを手にしてしゃかりきになって歩く意味を失いました。
少し歩きましたが、疲れも出てきて目についたカフェに入り、おすすめのビターをちびちびやることにしました。
あとは、戻りの時間を調整して、帰国の道を目指すだけです。

最後の作例ですが、いくつか候補が上がったものの、前々日、前日との関連で今回も自転車ものをチョイスしました。
ふたりの美女に惹かれたということもありますが、何となく象徴的な意味があるような気がしたということもあります。
今回の旅は、駆け足を避け、なるべくスローを心がけましたが、ゆっくり歩くという理想とはほど遠いものだったのが、徒歩ではなくさりとて車でもない、自転車の速度の旅だったように思えたのです。
歩くような旅が理想と考えながらも現実としては無理ですし、上り坂でゆっくりになり、下り坂は勢いよく降りてしまう自転車の特性も、自分の旅のスタイルそのものだったかなと妙な納得感がありました。
【M8/Summilux 35mmF1.4 F1.4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summilux 35mmF1.4 1st | trackback(0) | comment(0) | 2011/10/23 Sun

巴塞羅那之夜

M8/Summilux 35mmF1.4
バルセロナ到着時は、ダヴィドにとってもらったちょっと値の張るホテルに宿泊せざるを得ませんでした。
しかし、それを埋め合わせるようにダヴィドは自分がバルセロナに持っているアパートに泊るよう鍵を渡してくれました。
翌日は早朝の飛行機に乗るので、寝るためだけのベッドを借りれたのは助かりました。

なぜダヴィドがバルセロナの町中にアパートを1室持っているのかよく分かりませんでしたが、学生に部屋を貸して収入を得ているということのようでした。
女子学生が3人暮らしているので、君が1泊することは伝えておいたが、よろしく頼むと言われました。
その学生と仲良しになれるのではなどと、下心丸出しでバルセロナに向かいます。

スペイン版新幹線のAVEは料金が高いだけあって、乗車すると車内音楽を聴くようにと車掌がイヤフォンを配ります。
スペイン国鉄「Renfe」のロゴが付いた袋に入っていて、鉄っちゃん向けにはいいお土産だと思いますが、通常の感覚ならこんなもの要らないからその分料金を下げてほしいといいたくなります。
使わずに座席テーブルに置いていく人も多いので、5個くらいもらって帰りました。

到着駅からダヴィドのアパートまでは地下鉄を乗り継いで30分ほどかかりましたが、事前に確認しておいたのでスムーズです。
この移動の時に、翌日の空港へのアクセスも見ましたが、1番か2番の空港行きの鉄道に乗れば間に合います。
5時台の出発ですが、公共交通機関が使えるのでこれも助かりました。

駅到着からアパート探しは難儀するかと覚悟していましたが、これも案外あっさり見つかってしまいます。
コンセルから簡単スペイン語のレクチャーを受けたので、歩いている人に広場の場所と通りの場所まですぐに聞き出せました。
ヨーロッパの都会では住所が分かっていれば、あとは通り名と番地ですぐに見つけ出すことが可能です。
部屋は1階と聞いていましたが、ヨーロッパ式の1階は日本で言うところの2階です。
玄関のカギを開けて、部屋では呼び鈴を押しましたが反応なく、そこでも鍵を使って入って行きました。
やはり誰もいませんでした。

ここで困ったことがありました。
部屋はリビングの他に4つありますが、どの部屋で寝ていいのか分かりません。
ダヴィドの説明では3部屋は女子学生が使っていて、会いている1部屋をわたしにあてがってくれたようですが、誰もいなくてはそれがどの部屋だか自分で見てまわるしかないのですが、どの部屋もきれいに整理されていて使用中のようなそうでないような何とも判断できない状態です。

まずはシャワーを浴びたかったのですが、ヨーロッパのアパートでは夜遅くに使用するのは非常識と聞いたことがあるのを思い出して、部屋でジャグリングの練習をしていて下の階の住人にヘイヘイと箒で天井を叩かれるCMの映像が頭の中で広がってしまい、断念せざるを得なくなりました。
ちなみにバス・トイレの中は、実にきれいに女性用のシャワーアイテムやコスメ類が並んでいて、それらもわたしの使用を拒むかのような雰囲気がありました。

夜10時を過ぎていましたが、地図を頼りにサグラダ・ファミリア教会まで歩いてみました。
ここでも俄かスペイン語で時より道を訊ねては進み、ライトアップされた聖家族教会の威容に息をのみます。
今日の作例はその写真にしようと思いましたが、さすがに有名なこの教会の写真を出しても凡庸すぎるので、昨日の自転車つながりで、目の美しい少女たちの作例にします。

またダヴィドのアパートに戻りますが、学生たちは戻っていません。
結局、わたしはこのアパートの住民とは会うことがなかったのですが、わたしに気を遣って彼女たちは別のところに泊ったのか、逆にわたしを避けるためだったのか、あるいはバルセロナの女子学生の週末とはこういうものなのか、今度、ダヴィドに聞いてみずにはいられません。

遅い昼食でお腹が空きませんでしたが、さすがに12時くらいになって何か食べたくなります。
近くのパルへ行って、サンドイッチとビールが、スペイン最後の夕食になりました。
部屋が分からないのでリビングのソファで寝ることにしました。
4時までの3時間なのでベッドで熟睡するより、かえって安全でした。

大きな通りからやや引っ込んだ位置にあるとはいえ、古い石造りのアパートはたいへん静かで寂しさを感じないではありません。
女子学生でなかったとしても、ここの住民と会って何か会話した後にゆっくり眠れたらとも思いました。
しかし、短い時間とはいえバルセロナのアパートの住民になれたことで、1週間近く前に着いたときとは違うくつろいで気分で眠れたこの夜は、けっして悪いものではないなと考えたのも事実でした。
【M8/Summilux 35mmF1.4 F1.4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summilux 35mmF1.4 1st | trackback(0) | comment(0) | 2011/10/22 Sat

聖地巡礼

M8/Summilux 35mmF1.4
コンセルとの昼食は愉快なものでしたが、お互いにもたもたして時間も浪費してしまいます。
2時に昼食をとれば5時にはバルセロナへ到着できると見込んでいたのですが、結果的には8時になり、その夜は食事するのみで翌朝早々に帰国することになります。
コンセルが別れを惜しんで最後の晩餐ばりに昼食に2時間もかけ、わたしがバルセロナを散策したいので3時半の電車に乗りたいと恐縮のあまり言えなかったのが原因です。

さらに、飲みものはと聞かれて、最後なので地元の赤ワインにしようと言ったのもまずかった。
ハウスワインというイメージだったのですが、コンセルは平気な顔でボトルをオーダーしてしまいました。
困ったことにこのワインが濃厚で旨く、食事ともフィットしていて、ふたりでちょうど半分半分を飲みきってしまいました。
わたしは真っ赤な顔でふらふらしていましたし、コンセルは平気な顔でしたがやはり少し足元がおぼつかない状態です。
彼女は、無事、タウイまで帰れたのか…。

送ってもらった駅でもタッチの差で特急列車に乗り遅れてしまいました。
駅の表示では、5分後にバルセロナ行きがある絶妙のタイミングでしたが、もう間に合わないとチケットを売ってくれません。
後で分かったのですが、航空機の搭乗並みの荷物検査があるためチケットの販売は10分ほど前に締め切ってしまうようです。
次のバルセロナ行きは1時間半後のAVEのようです。
AVEはスペイン版新幹線ですが料金が高く、乗り遅れた特急AVANTより10分早いだけで、運賃は倍近くになってしまいます。

1時間半は、駅周辺で過ごさざるを得ませんが、レイダの駅前はすぐ旧市街となっていて散策時間はあっという間に過ぎてしまいました。

まず、中国人と思しき若いカップルが駅前で困ったようでしたので、声をかけました。
服装や物腰がスペインで何度も見ている中国人とは明らかに違ったので、台湾人か香港人とすぐ分かり英語で話しかけたのです。
彼らは台北から来たとのことで、すぐ中国語に切り替えて事情を聞くとホテルを探しているとのことで、名前を聞けば先ほど見かけたホテルだったので案内しました。
丁寧に礼を言うふたりは、やはり中国人というよりは日本人そのものです。
台湾には、日本の文化が生きているとよく聞きますが、わたしもそう思いますし、先週台湾旅行をしたのでそれは確信に変わっています。

もうひとつは、バルセロナからやって来た自転車野郎3人組みです。
これから1ヶ月かけて、サンチャゴ・デ・コンポステラを目指すのだそうです。
自転車による聖地巡礼の旅ですね。
写真を撮らせてくれと頼むと、えーっ、何でおれ達なんか撮るんだと照れながらも、なかなかいい表情をしてくれます。
わたしの旅はもうすぐ終わりますので、旅を始めたばかりの彼らにたすきを託した気持ちになりました。
【M8/Summilux 35mmF1.4 F1.4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summilux 35mmF1.4 1st | trackback(0) | comment(0) | 2011/10/21 Fri

筆記本与鋼筆

M8/Summilux 35mmF1.4
ライカの他に、今回の旅には大切な道具を持って出掛けていました。
手帳と万年筆です。
手帳の方は、ペンのクリップでホールドできるようになったポケットサイズ。
万年筆は、モンブラン262という1950年代のライカM3くらいに古いものです。
これは、もともと複写用、つまりカーボン紙に書くための固いペン先を持っていて、出入国カードの記入にも使える優れモノです。

航空機内やバス、列車の移動中はあまりすることがありません。
寝てしまうか、音楽を聴くか、さもなくばぼんやりと景色を眺めているかです。
カメラやレンズの手入れをすることもあって、こういう時間は楽しくないわけではありません。
特に今回は、久しぶりにM6も持って行っていたので、M8では味わえない空シャッターを各速度で切る楽しみを味わうことができました。

しかし、今回、手帳を初めて持参したことで、空いた時間の多くがこの手帳との格闘に費やされました。
ただでさえ字の汚いわたしは、揺れる車内で文字を書くのはかなりの難儀でした。
とはいえ、万年筆には不思議な力が宿っているようで、ソフトに筆を走らせることで、机に向かってボールペンで書くよりもよほどマシな文字になったりするものなのです。
それでも、ひどい乱筆であることに違いはありませんが。

普通に日記をつけたり、ちょっとしたメモを残したり、時には知り合った方に名前やアドレスを書いてもらったりもしました。
また、ペンケースサイズのスティックのりを持参していて、チケットとかレシート、飲みもののラベル、砂糖の袋に書かれたイラスト等々、紙類はばんばん手帳に貼り付けていきました。
もちろん、ワインやビールなどのラベルの横には、その特徴などを自分なりに書いて、ソムリエの真似ごとなどもしてみます。

字のみならず、絵もさっばりですが、それでも時間のある時にところどころイラスト風のものも描いてみたりしました。
鉛筆ならまだしも、線が太く(Mくらい)書き直しのきかない万年筆では、初心者にはどうにもならない世界です。
ただ、描いているときはまたけっこう楽しく、万年筆画という世界もあるようですので、今後はそれなりのものが描けるようレベルを上げたいと思わないではいられません。

ヘタ文、ヘタ字、ヘタ絵の三拍子そろったひどい手帳ですが、それでも帰国後に読み返すとその時のことがありありと思い出されて、また愉しい気分になったりします。
旅行中も、楽しそうに書き込んでいる手帳を覗かれることしばしばで、やはり、もう少し字や絵をどうにかしないといけません。
センスが問われ、自分にはけっして向いているとは思いませんが、ぜひ習慣化して継続してレベルアップしたいと考えています。

そういえば、バルセロナの近郊に城壁の町として知られるモンブランというところがあります。
このモンブランはカタルーニャ語由来のようで、カタルーニャ語とフランス語の近親性が分かると思いますが、そのモンブランから来ているという夫妻とエル・マラドールで知り合いました。
わたしはモンブランを愛好しているのでぜひモンブランへ行ってみたいと、持参の262を見せながら言うと、ぜひその時は遊びに来て下さいと、その262で手帳にアドレスを書いてもらいました。
手帳や万年筆と旅が最もつながった瞬間でした。

あと蛇足ですが、カタルーニャ語と書いて思い出したのが、当地の地名です。
タウイの拠点となる町、ポン・デ・スエルトですが、ポンはフランス語と同じく橋の意味で、スエルトの方も古いカタルーニャ語で橋という意味だと聞きました。
これは、ローマ人がこの地にやって来た時に現地人に地名を訊ねると、地名なんて無く大きな橋があるので「橋」と呼んでいるという意味でスエルトと答えたところ、ローマ人はスエルトを地名と誤解してスエルトの橋という風に命名してそのままこの地の地名に転じたということでした。
ある本にスエルトは塩と関係あるのではと書かれていましたが、そうではなく、橋の橋というような意味になってしまいます。
日本人が、チゲ鍋と言ってしまっているのと同じ現象ですね。

同様にアラン谷も、アランが現地の言葉で谷という一般名詞を表していたのに、それをローマ人が地名と誤解してアラン谷と名付けたそうです。
谷の谷ですね。
ちなみに、一昨年の夏わたしが訪れた四川省の奥地に美人谷というところがありますが、そこ出身の美人歌手でアランという女の子がいて日本語の歌を歌ったりもしています。
アラン谷と美人谷のアラン、関係ありそうで、全然の別物でした。

さてさて作例は、レイダのロマネスク教会です。
閉鎖されてしまっていてがっかりしましたが、、よく見ると鐘楼のてっぺんが不思議な携帯です。
盆栽かちょんまげのようですが、あっと思い出したのは、スペインの教会の鐘楼にはしばしばコウノトリの巣があるということでした。
たぶんそうだろうと思い、合流したコンセルに確認すると、まさに正解でした。

しかし、わたしが見ていた間、コウノトリは姿を見せませんでした。
コウノトリとはよく聞く名前ですが、どんな鳥なのかはまったく分かりません。
ところが、そこで連想したのがペリカンです。
そのペリカンがヒナに食事を与えるイラストが天冠に描かれたペリカンの万年筆を次回は持ってこようと、早くも考えたりしてしまいました。
【M8/Summilux 35mmF1.4 F1.4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summilux 35mmF1.4 1st | trackback(1) | comment(0) | 2011/10/20 Thu

西班牙語的練習

M8/Summilux 35mmF1.4
ダヴィドとは昨日のうちにお別れをいいましたが、姉のコンセルとのお別れはもう少し先のことになります。
彼女は、件のバー改装のための書類手続きに向けて県庁のあるレイダまで行かなくてはならなくなったので、そこまで送ってくれることになったのです。
レイダからバルセロナまでは国鉄やバスの幹線のため、1時間程度で到着できるというありがたい話でした。

それに、今になって気付きましたが、コンセルはわたしがバルセロナに戻る日を気にしていました。
PCに向かっている時間が長かったようでしたので、わたしに合わせて急ピッチで書類の作成を間に合わせていたのかも知れません。

コンセルとしては異例の早朝8時出発でしたので、バー改装のための意気込みが伝わります。
中年女性のコンセルの運転では、かなり時間がかかるのかと覚悟していましたが、意外にも平気な顔で100キロ前後のスピードを出しています。
タウイからレイダまでバスで2時間ほどの道のりでしたが、彼女の運転でもそれを上回る時間帯に到着することになります。

わたしはスペイン語がさっぱりで、彼女は英語がおぼつきません。
車内では長い沈黙が…、となることはなく、ずっと会話が尽きることはなく、あっという間にレイダに着いた感があります。
スペインとフランスの間のカタルーニャですから、静かにしていることなんてあり得ないのでしょう。
それにしても次から次へスペイン語と英語を混ぜて会話を続けるのはすごいバイタリティだと思います。

わたしも、このタイミングを利用して、スペイン語を教わることにしました。
これは、いくらですか。
○○は、どこですか。
××は、ありますか。
等々の、今までそんな文章すら知らなかったのかと言われそうなものです。

しかし、これらはレイダとバルセロナでかなり役に立つことになります。
それにしても、スペイン語は発音が比較的やさしいとはよく聞きますが、何度か聞いただけでそのまま通じたことでそれが実感できました。
逆に、ふだん使うことが多い中国語はしばしば通じないケースが非常に多いので、両者には顕著な差があるということですね。

さて、レイダには到着しましたが、その場でサヨナラというのも申し訳ないので、せめていっしょにランチでもとってお別れできないかと申し出ました。
コンセルもすっかりそのつもりだったらしく、なんとか昼までに手続きを終わらせるから、それから美味しいものでも食べましょうとなります。
これも、県庁職員相手に事情を説明して、早く終わらせるように進めさせたらしいようでしたが。

1時にレイダのメイン広場で待ち合わせということで、それまでひとりで歩くことにしました。
レイダのカテドラルは、古い王宮と隣接して高台の城壁の中にあって、いちばんの名所になっています。
巨大ゴシックのカテドラルを見て回るのはなかなかの重労働です。
平面が広い上にバーチカルにも広がっていて、ひとつひとつ見ていては、足と首がくだびれてしまうのです。

写真を撮るのも同じで、全体を撮るには35mmではとても抑えきれるものではありません。
しかし、どうしたことか、隅に大きな鏡が横たわっていて、それを低位置で見ると、高さが表現されているような気がしました。
ちょうどふたり組が歩いて来たので、ノーファインダーで低い位置から撮影したところ、首のところが切れてしまいましたが、それも奇妙な味の写真に一役買ってくれました。
【M8/Summilux 35mmF1.4 F1.4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summilux 35mmF1.4 1st | trackback(0) | comment(0) | 2011/10/19 Wed

到就宴会

M8/Summilux 35mmF1.4
いただいたビールを飲み終わろうという頃、友人は唐突にあらわれました。
お互いおおっという驚きを一瞬見せた後、がばっという激しい感じで抱擁を交わしました。
くだんのイギリス人夫妻に友人が来たのでと紹介してから、彼の家に向かいます。

教会前には少し離れてもう1軒レストランがあって、友人はてっきりそちらをいると思っていたら見つからず、こちらで歩道のテーブルでひとりいるのに気付いて駆けてきたそうです。
わたしは、一刻も早く迎えてもらうべく外にいたわけですが、ここから20キロ離れているので2~30分はかかるだろうとタカをくくっていて、わずか10分ほどでやって来るとは思ってもいませんでした。

早く着いた理由はすぐ分かりました。
10年前はフロントガラスが割れたゴルフだったのが、いま、新車のBMW・X3に乗っています。
ゆるやかな登りは120キロで飛ばせるのも、道がだいぶ良くなっているというという事情もありました。
20キロの道のりも、こんな調子で走れれば、久しぶりとあいさつしているうちに到着してしまいます。

友人の名は、ダヴィド。
スペインのカタルーニャ自治州、レイダ県のボイ谷にあるタウールという村で生まれ、いま、エル・マラドールというバー・レストランを経営しています。
経営といっても田舎の村で、観光のピーク時とランチの忙しいとき以外は、すべてひとりで切り盛りするオーナー券クック兼ウェイター兼バーテンダー兼掃除婦兼ちょっとした旅行ガイドといった存在です。

夜の9時ごろの到着でしたが、ペンションをやっている姉の部屋にわたしを案内してから、ディナーの客が来たのをさばいたりとかなり忙しく働いています。
しかし、それも落ち着くと腹が減ったろうと、ふたりでのディナーを手早くつくってくれました。
前菜はサラダとトマトとオリーブを塗ったカタルーニャ式パン、メインは大きな自家製チョリソーにポテトが添えられています。
飲みものはどうすると聞かれ、地元の赤ワインをたのみました。

いずれもたいへん美味です。
友人だからヨイショしているということではなく、掛け値なしに旨い。
料理のことについては、また後日書きますが、ちょっとした秘密があったのでした。
また、食後にデザートを食べるかと聞かれ、お腹いっぱいでいいよと遠慮しましたが、あきらかに失望しているようでした。
デザートも彼の自慢で、ぜひ食べさせたかったようで、以降はがんがんいただくことにしました。

そのうちに、4人組のブラジル出身の女性がやって来ました。
ずっとこの村に滞在していたが、明日、働いているバルセロナへ戻らないといけないのでこれからちょっとしたパーティをここでするのだそうです。
また、彼女たちとは別にやはりブラジル出身で、ワインで有名なリオハでアートクラフト活動をしている兄さんも合流して、女4人、男3人の饗宴が始まりました。

飲みものはカタルーニャ・シャンパンのカヴァで、わたしは冷静にカウントしていましたが4本も空けていました。
話は早口のスペイン語で大盛り上がりですが、当然、わたしにはちんぷんかんぷんです。
すると英語ができる誰かが、わたしが退屈しないよう気遣って訳してくれたり、わたしに話をふってくれたりします。
みんな地震のことを聞きたがったのでていねいに説明しましたが、何よりも世界中から支援があったことの感謝の気持ちを日本代表として伝えることは忘れませんでした。

それにしても困ったのは、彼女たちが薬を始めてしまったことで、室内に異様な臭いがこもってきます。
ちょっとハイになった英語のできるブラジル女性が隣でずっと話をして盛り上がっていたので、このままやばいことになるのではと半ば期待したりもしましたが、それは杞憂に終わり、ようやく4時になってお開きになりました。
わたしもうすうす気付いていましたが、翌日ダヴィドが説明したところでは、彼女たちは2組の同性愛者で男には全然関心がないのだそうです。
いずれにしても初日からハードな夜を過ごしてしまいました。

翌朝、というか、もう11時になってやっと目が覚めました。
軽くシャワーを浴びてエル・マラドールに行くとダヴィドの姿もまだありません。
かわりに姉のコンセルがいて、ダブルハグで久しぶりの再会を喜び合いました。
前回の滞在でたいへんよくしてくれた彼女は昨夜会えず少し心配しましたが、元気で良かった。

ちいさなタウール村の小さなレストラン、エル・マラドールですが、帰国までずっとここで過ごすことにしました。
【M8/Summilux 35mmF1.4 F1.4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summilux 35mmF1.4 1st | trackback(0) | comment(4) | 2011/10/06 Thu

俱楽部世界杯

M8/Summilux 35mmF1.4
世間での注目度がいまひとつだったようですが、昨夜(今朝?)クラブワールドカップの決勝が行われました。
欧州からインテル・ミラノが、南米からインテルナシオナルが出場していて、決勝はこのインテル対決になるはずでした。
4年前、わたしの目の前でバルセロナを決勝に沈めたインテルナシオナルでしたが、今年は準決勝でアフリカ王者のマゼンベに不覚をとり、決勝はそのマゼンベと順当勝ちしたインテルになりました。

冒頭書いたとおり、わたし自身も注目度の低い大会でしたが、理由は、単にバルセロナが出場していないことです。
思い起こせば、今年の4月でした。
欧州チャンピオンズリーグの準決勝にコマを進めたのは、バルセロナ、バイエルン、インテル、リヨンとバルセロナを倒せそうな強豪が姿を消していて、連覇はかなり確実性の高い状況でした。
しかし、インテルとのアウェイゲームのタイミングでアイスランドの火山噴火が起こり、航空便の欠航してバスで長時間移動するハプニングのためコンディション調整がかなわず、まさかの敗退を喫してしまいました。

このときの監督はポルトガル人モウリーニョですが、彼はあっさりインテルを捨てて10/11シーズンにレアル・マドリードの監督に就任してしまいました。
バルセロナとレアルは超ライバル関係にありますが、2年連続してバルセロナに優勝を許したレアルが財力を使って欧州制覇した監督を招聘したかったのと、かつてバルセロナに在籍していたとき不遇をかこったモウリーニョがインテルでも倒せたし復讐の絶好機と考えたのと、両者の思惑が一致したということかも知れません。

10勝2分無敗と絶好調でバルセロナのホーム、カンプ・ノウに乗り込んだレアルでしたが、あっさり0-5で玉砕しています。
まさかの大敗と言う人が多かったようですが、案外実力差を冷静判断してこのような結果になることを見抜いていた識者もかなりいたようです。

話はそれましたが、というよりは、書きたかったのはやはりバルセロナのことでしたが、クラブワールドカップはインテルが危なげなく勝利しました。
マゼンベも非常に面白いチームでしたが、まだ組織としてのまとまりが未完成のこれからのチームとの印象です。
スピードを活かしたサイドアタックや、速いサイドチェンジでインテルをあわてさせるようなプレイが見られなかったのが残念です。

一方のインテルには、実にユニークな特性がありました。
インターナショナルのイタリア語であるインテルナツィオナルという正式名のとおり、登録23選手中外国人が18人もいます。
自国選手である5人のイタリア人のうち、2人はゴールキーパー、3人はディフェンダーでしたが、試合に出場した選手はゼロです。

ここでも引き合いに出して恐縮ですが、バルセロナはプリメーラ(トップチーム)登録選手が27名いますが、うち15名はスペイン人です。
さらに言えば、最近の先発メンバーに定着している11名のうち8名はスペイン人ですし、バルセロナの下部組織出身のメッシはアルゼンチン人というよりバルセロナ人とみなされるべきかも知れません。

自国選手がひとりも出場していないインテルを、ミラノの人は、イタリアの人は自分たちのクラブと思っているのかが気になります。
バルセロナが、バルセロナ市民、カタルーニャの人々、スペイン人に広く愛されているのと対照的なのではと思います。
強引に例えるなら、今でさえ、何場所もの間、外国人力士が優勝している相撲界で、幕内力士全員が外国人になってファンが納得するかということを考えてしまいます。
それとも、これらもグローバル化、世界基準、ということなのでしょうか。
【M8/Summilux 35mmF1.4 F1.4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Leitz Summilux 35mmF1.4 1st | trackback(0) | comment(0) | 2010/12/19 Sun
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