ランチはイチジクのクレープ

E.Rokkor 50mmF4.5
ゲストハウスは新潟駅から萬代橋を渡ってさらに歩いた先の古町というかつての繁華街で、白山という駅の方が近いと分かり、この駅から今日の旅がスタートしました。
わたしがまだ訪れたことのない都道府県は15もありましたが、今回、北陸を駆け足で縦断したことで12となり、もうひとつ減らすためにこれから山形県酒田市を目指すことにします。
村上で酒田行きに乗り継ぎになりますが、20分後の各駅で行っても50分後の快速で行ってもあまり時間はかわらず、快速は指定席券500円ほど必要ですが青春18きっぷが使えると若い女性の駅員さんがお勧めしてくれたので、仰せのとおり快速で行くというと券売機で指定券を買うのを手助けまでしてくれました。
昨日書き忘れましたが、糸魚川の観光案内所の女性も質問するこちらが舞い上がってしまうような美女でしかも親切丁寧、こういう駅員や案内所職員が増えれば旅するおじさんは増えるに違いありません。

地方の主要駅には必ず観光案内所があって、どこでも駅周辺散策マップをタダでくれます。
ヨーロッパの町でも同様でしたが、中には有料の地図しかないところもあり、シンプルだけど工夫して分かりやすくした現地語・英語二ヶ国語表記の無料地図ばかりだったこれまでの町の努力に敬意を表したいです。
村上の地図もそんなひとつですが、他よりも広範囲を網羅していたため距離を見誤ってしまいました。
まばらに残る古民家や寺院を眺めながら教えてもらった酒蔵に着いて限定酒を試飲させていただいたうえで購入し、駅までの方向を聞くと歩いては電車に間に合わないことが分かりました。
タクシーを呼んでもらうか次の列車にするか悩んでいると、酒蔵の女性が自分の車で駅まで乗せていってくれると言うのです。
もちろん固辞しましたが、どうせ外に出る用事があるから気にしないでととても親切です。
村上には今度はじっくり滞在しないといけません。

酒田には日本を代表する写真家・土門拳の記念館があり、同時期の写真家・入江泰吉の写真美術館を擁する奈良市に暮らしているわたしとしては行ってみなくてはなりません。
駅からずいぶん離れていますが、酒田には無料のレンタサイクルがあり、同じ快速電車で着いた10人くらいが自転車を借りようと列をつくっていました。
土門拳は奈良の古寺や仏像を多く撮影した人ですが、なぜか入江泰吉とは面識すらなかったようです。
作風がまったく異なるので互いに距離を置いていたのでしょうか。
わたしには子どもを撮った写真などに同じ目線と意識を感じ、同時期に同じ場所にいながら交流がないというのは外からの圧力でもあったのではという気がしてなりません。
しかし、この記念館の建物はずいぶん立派で、初代館長がダンカンへのニッコールレンズ紹介でも知られるライフ誌カメラマンの三木淳氏、2代目が土門拳の奥さん、現館長は土門拳の長女であるにも関わらず、土門のオリジナルプリントを1枚も所有していないと聞いて驚いてしまいました。
展示している写真も少なすぎるような気がしますし、著名人の肖像、筑豊などの子ども、被爆者、仏像関連と土門拳の代表的なものを網羅していますが、まったくタイプの違う写真の関連付けの説明などがないので数人の写真家の写真を見たような印象が残ります。
記念館という以上は土門拳の生涯と作風の変化がシンクロするような展示にならないものだろうかと引っかかる部分が残りました。

記念館まで駅から30分かかりましたが、さらに20分自転車を走らせたところに有名な酒蔵があります。
試飲できるのが売りなのですが、ただひとりの客であるわたしはやって来るところを見られていて、申し訳なさそうに車、バイク、自転車の方は試飲できないのですと断られてしまいました。
ところが、ぜひ試飲させてほしい、自転車押して歩いて帰りますからと言うと、あっさり試飲を許可してくれるではないですか。
村上も酒田も酒蔵の人は好い人ばかりですね。
その帰り道、金沢に続いて骨董市をやっているのにばったり出くわしました。
酒を1本買ったばかりでこれ以上荷物は増やせないと適当に見て歩いていると、文久元年に購入と箱書きのあるメガネを見つけ、江戸時代の光学製品は見逃せないと購入してしまいました。
自転車は漕いでいましたが、まだ試飲の酔いは覚めてなかったのでしょう。

さて、本日の作例ですが、酒田でお昼代わりに食べたクレープの移動販売のお姉さんズです。
人通りのほとんどない土門拳記念館の前のあたりでしたが、逆に行政の要請で不人気の記念館に人が集まるようにと出店していたようです。
クレープの皮は庄内米で、中のフルーツはここの畑で採れたものを干してつくった、普通のクレープ屋さんとはレベルの違う、おいしくて腹持ちのよい主食になるような食べ物でした。
オーナーの横に可愛らしいバイトの子が働いていると思ったら娘さんで、そのうち様子を見に来たお母さんも混じって、山形方言のレッスンをしてもらいました。
山形と言っても地域によって違いがあるそうで、北前船の出港地だった酒田では、京都の産品とともに風習や言葉も入ってきて、京言葉のような酒田弁もあるんですよーと教えてくれます。
そういえばメガネの骨董商も船で伊万里の染付なんかがいっぱい入って来てるんで、焼きものファンがけっこう酒田まで来るって言っていました。
ネコちゃん入れると母子4代勢ぞろいの写真は、わたしにとって干しイチジクのクレープと同じくらいの甘さに包まれたものになりました。
【Alpha7II/E.Rokkor 50mmF4.5 F4.5】
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Minolta E.Rokkor 50mmF4.5 | trackback(0) | comment(1) | 2017/04/09 Sun

酒ではなく醤油で

E.Rokkor 50mmF4.5
富山駅の改札で青春18きっぷを差し出すと、駅員から使えませんと、そんなことも知らないのですかという非難を含んだような憐れみをもって突き返されてしまいました。
福井県の敦賀から新潟県の直江津のあいだはJRの北陸本線が一本走っているという認識でしたが、敦賀~金沢はJR、金沢~倶利伽羅はIR石川鉄道、倶利伽羅~市振はあいの国富山鉄道、市振~直江津はえちごトキめき鉄道という具合に細切れに第三セクター化されていたそうです。
2年前に北陸新幹線が金沢まで延伸されたときは関東でも話題になり連日ニュースで取り上げられていましたが、トレードオフで在来線が3セク化されたことは地元以外ではほとんど報道されてなかったのではないでしょうか。
その土地を旅する以上は事前に調べておくのが当たり前だ、そう言われてしまえばそれまでですが。

切符は直江津まで買いましたが、糸魚川で途中下車して郵便局で着用済みの衣類を自宅に送り荷物を軽くしました。
空いたバッグのスペースに先の大火で甚大な被害を被った加賀の井酒造の酒を買って入れるつもりでした。
数ヶ月の短期とは言えわたしも奈良の酒造メーカーで働かせていただき少しは日本酒のことが分かってきたときに、糸魚川で大規模火災があって名門加賀の井酒造が全焼したとのニュースがあり、「酒の方はどうにか無事でお客さんに迷惑を掛けずに済みました。また一から出直して頑張りたい」との社長の気丈なコメントを聞いて、酒を買うことで応援しようと訪れてみたのです。
しかし、すでに加賀の井の酒は売り切れていました。
在庫数百本が店頭に出ましたが、応援したいというファンが集まりその日のうちに完売したそうです。
観光案内所でその話を聞いて、酒が買えませんでしたが、なんだか嬉しくなってしまいました。

青春18きっぷと加賀の井酒造と空振りが2度続きましたか、それならばと腹案で行った長岡市宮内の某酒蔵は臨時休業でした。
検索して見つけた最安のゲストハウスは着いてみると4月から600円も上がっていて別の宿を探さなければならなくなるし、そうして探し当てたゲストハウスで親切に教えてもらった新潟名物たれかつ丼発祥の店も閉店時間前に着いたのに閉まっていて、代わりにご当地ラーメンでもと入った店は苦手な魚介出汁でしかも新潟ではなくガタ違いの山形のチェーン店でした。
なんともうまくいかないことばかりの1日になってしまいました。

ところが、期待せずに入ったゲストハウスがとてもすばらしく、この日の空振りをすべて帳消しにしてくれました。
アイドルのようなルックスの奥さんがほとんどしゃべれないという英語でフランス人と悪戦苦闘しているさまはご愛敬ですが、内装は古民家の趣を最大限に生かしながら計算しつくしたレイアウトが見事で、使い勝手の良さに感心させられるばかりでした。
とっておきの地酒を1合単位で飲めるのですが、オーダーするとガラスの徳利に注いでくれて、酒瓶からぐい吞みに直接よりもいいなと思わせるので、ガラス徳利が欲しくなってしまいます。
宿の方や常連さん、同宿の看護師さんと自分の歳を忘れて旨い酒を飲んで、昨日までのひとり部屋でとは違う楽しさを味わいました。

さて、本日の作例ですが、宮内の醤油蔵、越のむらさきさんの歴史ある外観です。
たまたま行き合った蔵の方とおしゃべりして、醤油のことや地域のことをいろいろ教わり、記念に小さな醤油を1瓶買って帰りました。
お酒だとこんなに小さいと一瞬で飲み干してしまいますが、醤油なら刺身やら豆腐やらに少量ずつ使って1瓶を長く楽しめて荷物にならないおみやげに最適です。
この辺りは中越地震で震度6の揺れがあったそうですが、一部外壁にひびが入ったりなどの損傷を受けたものの倒壊などのひどい被害はなかったそうです。
しかし、いくつかある酒蔵、醤油蔵、味噌蔵などの古建築を除くと、住宅の古民家は無く、町並みとしてはあまりおもしろく感じることができませんでした。
帰り道、駅前にあったミヤウチショウガカレー研究所という店を発見できたのが大収穫で、先の酒蔵のリベンジと合わせて再訪してみたくなる旨さと安さでした。
【Alpha7II/E.Rokkor 50mmF4.5 F4.5】
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Minolta E.Rokkor 50mmF4.5 | trackback(0) | comment(0) | 2017/04/08 Sat

厚労省は骨董市に注目すべし

E.Rokkor 50mmF4.5
奈良から藤沢の帰省はひとりきりの気ままなもので、旅しながらとはいうものの目的はただひとつ、家に帰るということに尽きます。
あえて言えば緩いルールは決めていますが、それもわたしにとって未踏の北陸経由で青春18きっぷの期限である10日までに家に到着しているということくらいのものです。
金沢の散策は楽しく、天気が悪くて見きれなかったしでもう1泊しようか悩みましたが、あらためて地図を見ると富山、新潟と1日1県を続ければ同じく未踏の山形県に行けそうだと気付き、今日は富山を目指すことにしました。
第2案は金沢2泊で五箇山を目指すもので、北陸に行くきっかけが五箇山訪問でしたが、残念ながら宿がまったく空いていなくて諦めたのでした。
車なら宿が離れていてもどうにかなりますが、鉄道・バスを乗り継いで合掌造りの村まで来て外観だけ見て移動というのではもったいないので、五箇山行きの楽しみは次の機会に残しておきましょう。

それならさっさと金沢を離れればいいのですが、今日から金沢で骨董市が開かれるという情報を得て朝から覗きに行ってしまいました。
会場が郊外の施設なので駅前から無料のシャトルバスを利用したのですが、ぎりぎりに行くとバスは満員で最前列の1席しか空いてなくてこの行事の人気のほどが分かりました。
隣席の80歳のおじいちゃんは落ち着いた感じの人で鑑定団の出張鑑定なら大トリに出てきそうな風格です。
焼きものの良さを熱心に語っていましたが、内容こそよくは理解できないものの、仲間とオールドレンズの話をしているのと同じようなものですから気持ちはよく伝わるのですね。
年に1度の骨董市に向かってるということもあって、とても楽しい感じが共感できました。
会場に着いてみてびっくりだったのは、満員というほどではないですがけっこうなにぎわいの人々のほぼ全員が高齢者で、お品もお客も年季が入っているなあと思わず口をついてしまいます。
平日の昼間なので働いている人は来られないでしょうから当然です。
隣席のおじいちゃんがあれだけ熱心に語っていながら、あまり購入意欲が見られずあちこちおしゃべりばかりなのを見て分かったことがあります。
彼らの多くは、骨董を買うためではなく、人との接触を求めに来ているのですね。

わたしは旅の途中で寄っていますので大きなショルダーバッグを提げていましたが、バスの中で出合った人からそんなカバンで来ていっぱい買って帰るつもりだなと冷やかされてしまいます。
さすがにそんなつもりはないですが、グラスでも湯呑でもそば猪口でも何でもいいので、昨日買ったお酒を注げる器を見つけようとは思っていました。
昨夜は、ひとり4合瓶をラッパ飲みしましたが、ちょっと風流に欠けますし、同室で親しく会話したポーランドの青年に酒を勧めることもできず、旅の友になるようなマイグラスが欲しくなったのです。
日本酒に合いそうな器はみな高かったので、高脚で厚手のシャーベットグラスを手に入れました。
店は京都の骨董商で東寺に出店していないのかと聞くと、あそこは野天で大切な売り物が傷むでしょ、逆にそれで時代が付いて良くなるようなものを売る人が出してるんですと教えてくれます。
帰りのシャトルバスは運転手の勘違いで1時間も待ちぼうけを食ったのですが、いっしょに待っていたおじさんと親しくなりました。
もと漁師で今は年金で酒呑んで釣り行って時々骨董買ってと人生を謳歌しているようです。
貴重だという小判を見せてくれたのですが、それは今日の収穫ではなく自慢のために持ち歩いているようでした。
朝から降ったり止んだりでしたが、山の方の雲や風向きを見て今日はもう降らないと予言した通り、曇ったままで雨にはならず、さすが元漁師だと感心させられました。

富山県では五箇山に行くつもりを止めたのでどこへ行ったらいいか分かりません。
ネットで県内の安宿を検索すると、富山市にスーパー銭湯のような施設に併設されたホテルが2900円とあったので予約しました。
北陸のホテルはこれまでどこも安すぎで心配になります。
部屋はありきたりなビジネスホテルのそれでしたが、お風呂には露店もあり旅の疲れを洗い流すには十分すぎます。
しかし、駅から20分も歩いた住宅地に位置していて近くに飲食店が見当たらず、スーパーでいろいろと買い込んで夕食にするしかありませんでした。
富山ならではのものはないのかと探すと、刺身用に氷見のふくらぎという魚の切り身がパックで売られています。
ふくらぎはブリの子どものことだそうで、氷見のブリなら旨いに違いないと買いましたが、固いゴムのような味のない身でがっかりです。
美味しい生酒を買ったので例のグラスでちびちびやりましたが、生臭いふくらぎを引き立ててくれることもありませんでした。

さて、本日の作例ですが、富山の前に2時間ほど寄った高岡の古民家・菅野家住宅です。
入館は有料ですが案内の方がいて、たいへん丁寧に説明してくれました。
明治末の家1軒建てるのに250円だった時代に10万円投じて贅を尽くしてつくった見事な建築でした。
高岡には奈良、鎌倉に次ぐ日本3大仏に数えられる高岡大仏がありますし、土蔵造りの山町筋と千本格子の金屋町という趣きの違う2つの古い町並みもあり、郊外の建築や資料館なども含めると1日では回り切れないくらいの魅力的な町だと分かりました。
富山市にも魅力的なところはあったようですが、第二次大戦で空襲被害が大きかったそうで町並みは期待できません。
高岡も明治に大火があり古い町並みはそれ以降のものだそうです。
先の糸魚川の大火事に見られるように北陸地方では台風こそほとんど来ないものの、災害と戦ってきた歴史があるということが理解できました。
【Alpha7II/E.Rokkor 50mmF4.5 F4.5】
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Minolta E.Rokkor 50mmF4.5 | trackback(0) | comment(0) | 2017/04/07 Fri

脚、悪くなかったんですか

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昨夜泊まった芦原温泉では団体を受ける大きな宿でしたが、施設はまだ新しい感じで、その団体客もなく、何より1泊3500円と安いことで、レセプションや駅の観光案内の態度の悪さも気にならないありがたい宿泊施設でした。
それに夜も朝も露天風呂が貸切状態で、格安でのひとりの宿泊にもかかわらず玄関にわたしの名前ご一行様と書かれていて温泉宿気分を高められ、中庭が臨める14畳の部屋は広過ぎて落ち着かないくらいでしたが、離れたJR駅からの無料送迎バスまで付いていて至れり尽くせりという感じです。
金沢が新幹線効果以降観光客で盛り上がっているのに便乗して、金沢からたったの50分と近いKanazAWARAというちょっと卑屈な感じのするキャッチコピーまでつくって、町が一丸で誘致活動しています。
芦原温泉がもっと賑わってほしいいなあと勝手に願う次第です。

さらに驚くべきことに、芦原温泉から無料バスが金沢駅まで出ていました。
昨日、疋田、今庄、三国と小さな町を見て歩いたので、今日は金沢に腰を落ち着けることにします。
先日、堺で自転車シェアリング的なレンタサイクルがあってそのすばらしさに感心したのですが、金沢にはさらに一歩進化したレンタサイクルのシステムがあり活用させてもらいました。
それは、1日の利用料300円で30分間利用可能、以降30分ごとに課金されるのですが、市内に縦横に設置されたサイクルポートに30分以内で返却すれば、最初の300円だけで以降追加料金無しに何度でも乗り降りできると言うシステムです。
東茶屋町を散策し、近くのゲストハウスに荷物を預け、近江町市場で高い海鮮丼を食べて、今度は西茶屋町を散策し、長町を歩き回り、再び近江町でお茶を飲んで買いものし、主計町を歩いてとレンタサイクルがフル稼働でした。

近江町市場というのは前週に京都へ行ったとき、金沢にそういうところがあると聞いていたので期待して向かったのですが、北陸新幹線効果でしょうかえらい混雑ぶりで、市場併設のレストランはかなり強気の商売をしていてがっかりでした。
駅や金沢城、兼六園から割合近くて、観光客が外国人を含めてあれだけ多いと市民の台所でなくなってしまっても致し方ないのでしょうね。
それでも意を決して入った店の最安1500円の海鮮丼は、ネタが地魚中心のせいかとても美味しく、おそらくはこの旅唯一の贅沢を楽しみました。
しかし、この市場でのハイライトはその海鮮丼ではなく、地下の惣菜屋さんで見つけた赤イカ・野菜の天丼とメギスの唐揚げで前者は明日の朝食に後者は夜のアテ(酒のつまみを関西の人はアテとう呼ぶ。わたしが覚えた数少ない関西弁のひとつ)にします。
酒のことを聞くと、金沢ではみなこれを呑むと吉田蔵という銘柄を紹介してくれました。
純米酒にこだわりたかったのですが、1500円と大吟醸にしては安く、なるほど旨かったので荷物になってもかまわずカバンに入れ毎晩飲むことにします。

おもしろいレンズ付けてるねえ、そう言ってわたしの提げているカメラを見つめたのは、その惣菜屋さんのお兄さんでした。
E.ロッコール50mmF4.5というミノルタの前身の千代田光学の引き伸ばしレンズと説明すると、そんなことは知らないというリアクションを予想したのに彼の目の輝きが増したのが感じられ、あれっとなりました。
聞けば、彼もオールドレンズを独学で研究していて、特に一眼レフ初期のロッコールを愛用していると言います。
商品撮影用に持って来ている自慢の28mmF3.5、50mmF1.8、135mmF2.8の1950年代後半のミノルタSR用レンズセットがレジ横に置かれていて思わず苦笑せざるを得ません。
彼もα7愛用で、中国製の革のケースまで同じで、ロッコールの付いた同じケースのα7という妙な一致に他の客をほったらかしで盛り上がってしまうのでした。

さて、本日の作例ですが、主計町の茶屋街の風景です。
金沢に着くとどうも雲行きが怪しかったのですが、午後になってからとうとう降り出してしまい、せっかくの金沢、せっかくのレンタサイクルでしたが写真はあきらめて、古民家の展示館や休憩所でもっぱら時間をつぶしました。
宿に近い東茶屋町付近で自転車を返却のとき、川沿いに古い建物が並んでいたのでなんとなく見に行ったらそこが主計の茶屋町でした。
裏通りを歩いていたら、町の美しさに吸い込まれるように迷い込んだと表現したくなるようなステッキのおじさんがいて好い雰囲気です。
そこへ足早に女性が追い越していきましたが、スーツケースを転がしているので旅行者かと一瞬思いましたが、セットした髪をMIREBAスーツケースに着物を入れた芸妓さんが出勤するところのようです。
小雨の中、あわててカメラを取り出し1枚。
カメラを仕舞いかけたらステッキのおじさんが悪いはずの足をものともせずに大胆な姿勢で靴紐を結びだしたのでまた1枚撮り作例にしました。
言うまでもなくわたしにはここの茶屋で遊行なんて夢の話ですが、雨の中を少し歩いただけでこんなシーンを見て、自分なりの楽しみを味わわせてもらいました。
【Alpha7II/E.Rokkor 50mmF4.5 F4.5】
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Minolta E.Rokkor 50mmF4.5 | trackback(0) | comment(0) | 2017/04/06 Thu

北周りで帰省します

E.Rokkor 50mmF4.5
酒造メーカーでの仕事が3月いっぱいで終了したので、すこしの間、帰省することにしました。
瓶詰機から出てきた一升瓶をケースに入れて何千本と運んだり、蒸しあがった米の桶を担いで仕込み蔵に走ったりのハードな仕事もあって体重が11kgも落ち、歳のせいか休息が必要になったのです。
新幹線でぴゅーっと帰ってしまってもつまらないので、先日買った青春18きっぷの残り4枚でのんびり戻ることにしました。
奈良から神奈川までJRのルートはいくつかありますが、北陸を通って1日1県巡る旅をスタートします。

敦賀、美浜、小浜といえば原発を連想しますが、そのあたりは古い町並み・集落が残るルートとしても知られています。
美浜、小浜は回り道で時間がかかり奈良からだと自動車の方が便利なので今回はあきらめて、敦賀市の疋田という集落が水路の左右に町並みが連なっていてなかなか魅力的だと聞いて最初の訪問地に選びました。
かつて北日本の物資を京都に運ぶために敦賀港まで船を使い陸路と琵琶湖の水運を利用していたのを、江戸時代になって敦賀から琵琶湖へ向けて水路を作ることで輸送能力を高めます。
しかし、水路によって仕事を失った陸運関係者の反対で水運は早々に姿を消してしまったそうです。
残った水路は洗濯などの家庭用に利用され続け、今ではきれいに整備し直されて豊かな水音とともに集落の真ん中を流れ下ってました。
わずかに古民家の残る家並みを散策していたら土地の女性から声を掛けられ、集落のことなどを教えてもらったのにはちょっと感激です。

続けて行った今庄は昔から敦賀までの峠越えの宿場で、かつての北陸本線最大の難所でもあってこの駅でどの列車も停車して最後尾にSLを連結してどうにか峠を登り切ったそうです。
旧街道筋に沿って本陣や旅籠跡などうだつのある古民家がかなり残っていて、疋田に比べて往時を思い浮かべる雰囲気に満ちています。
今庄はそばで有名なところだそうでわたしもお昼にいただきましたが、思いっきりボラレてしまいました。
単なる間違いにその場で気付かなかった自分の不手際でもあるわけですが、後味悪くそばでは腹持ち悪くでどうしようかと歩いていると、醤油屋さんに厚揚げがあってかじりながら散策を続けます。
今日訪れた3つの町の中ではいちばん気に入りましたが、他では見なかった観光客を2組見かけました。

芦原温泉の宿に荷を置いてから向かったのが三国の町並みです。
あまり期待せずに出掛けてすぐに暗くなって引き返したのですが、町並みが思いのほか広く下調べ無しで行って消化不良に終わったのが残念です。
三国は北前船の基地になっていたことから物流が盛んになると同時に、独自の港町の文化が花開いた地だそうで、町並みにおもかげがところどころ垣間見られます。
しかし、町のウエブサイトを見ると、東尋坊や海鮮料理のメジャーどころのみならず、龍翔館、旧森田銀行、町家館、思案橋等の古建築も見られず後悔しました。
えちぜん鉄道ですぐだったのですが、歩いて行ってしまったため1時間かかり、さすがに3つの町を歩き回ってへとへとですが、露天風呂に浸かって回復しました。

さて、今日の作例ですが、福井県の今庄の町並みです。
地方の小さな町を歩いて困るのは人がめったに歩いていないことで、浅草、京都、奈良のように観光客であふれているのも困るのですが、人物が入った写真を採用することを最低限のルールにしている当ブログでは、人気がないことの方がより大きな問題となります。
今庄では駅を出てしばらくは人っ子ひとり見なかったのですが、ちょうどうだつの古民家が並んだあたりで自転車の少女ふたり組が通り過ぎてくれて救われました。
ひとりは写真に撮られたくなかったのでしょう、猛加速して通り過ぎたのですが、ゆっくりな友だちがまだ来ないと振り返った時にレリーズしてしまったので、小さくとはいえ顔が写る結果になったのが写真の皮肉なのですね。
【Alpha7II/E.Rokkor 50mmF4.5 F4.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Minolta E.Rokkor 50mmF4.5 | trackback(0) | comment(0) | 2017/04/05 Wed
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