大正の錬金術

Sonnar 5cmF1.5
日本、荻窪
【Alpha7R/Sonnar 50mmF1.5 F1.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar(Opton) 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2016/01/02 Sat

下次在王子見

Sonnar 50mmF1.5
奈良シリーズの最後は、大和郡山の紺屋町か洞泉町の町並みの写真にしようと思っていたのですが、今井町の写真とあまり変わりばえがしないものなので、たこ焼き屋さんに登場いただくことにしました。
JR大和郡山駅前の店だったのですが、ちょうど小腹が空いて通りかかった時に作例のお姉さんと目が合ってご購入となったのでした。

関東では京たこというチェーン展開の店をあちこちで見ますが、なかなか美味しいという話です。
わたし自身は、昼食には物足りず他のものと一緒に頼むと割高になってしまうたこ焼きを滅多に食べたことはありません。
京たこは名前からして京都でしょうし、わたしはたこ焼きと聞くと大阪を連想しますが、明石焼きは知名度で言えばいちばんなのかも知れません。
京都、大阪、兵庫とたこ焼きの県境があるなら、この店で食べたたこ焼きは奈良県独特のものなのか、肝心のことを聞きもらしてしまいました。

はきはきしたお姉さんがソースが選べますと言うので、何でもお願いしたら応えてくれそうなお姉さんだったので、何がお薦めかと聞く味噌は他の店にはないと思うのでと即答してくれました。
多分ここ10年くらい食べたことがなかったたこ焼きですが、中がとてもクリーミーでタコの軟体のはずなのに固い食感とぴったりしていて味噌がまた好い風味でした。
いや、今思い出しましたが、おととし京都に行ったとき、伏見区の路上のたこ焼きを食べていました。
忘れていたくらいなので、不味くはなかったんでしょうけど味にはインパクトがなかったのかと思いますが、今回は次回も食べたいと言わしめるだけの味と評価します。

たこ焼きのことを記録に残そうとこっそり撮影していたら、後ろからお兄さんが来たのでさっとカメラを仕舞いました。
「なんで…」と言い出したので撮影をとがめられるのかと思えば、「撮るのをやめちゃうんですかもっと撮ってくださいよ」と笑っています。
うつむいてたこ焼きづくりに励むお姉さんもにっこりとカメラ目線です。

これが関西的なノリなのかと分かったような気でいました。
多分こちらの人はカメラを向けると撮ってくれ、撮ってくれとなるのかなと。
それなら、ぜひ美男美女のポートレイトをペッツバールで撮影してもらおうではありませんか。

しかし、shasindbadさんのブログを読むと、町中でロボグラフィ撮影していて、わたしの家を撮ったでしょうと難癖をつけられた話がありました。
結局、撮影した写真を見せて、撮ったのが家ではなく路傍にある普通の人にとってありふれたものに過ぎないことを教えてあげたことで冤罪が証明されることになったようです。
こんなことが数回あったとも書かれていましたが、関西ではよく起きることなのであれば、なんで撮らないのと言われて一瞬どぎまぎしているわたしはとても撮影になりません。
関西方面では、両極端のリアクションがあって、それが読めないということでしょうね。

大和郡山駅からはほぼ10分おきに大阪方面への快速電車が出ていることが分かりました。
それなら帰りの日航便の時間まで調整して、さっきの店で今度はお好み焼きでも食べていようかなと考えました。
今度はダルローでふたりのポートレイトを撮らせてもらおうとも考えたのです。
すると店はなぜか準備中になっていて、本日はパーティのため貸切になりますと張り紙がしてあり、がっくりです。
しょんぽりと駅の階段を上がっていると、件の女の子とすれ違いました。
今日は応援でここに来ているけど、普段は王寺で働いているので来てくださいねと教えてくれます。
次回の旅は王寺周辺の古鎮巡りと決定いたしました。
【Alpha7/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar(Opton) 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/12/22 Sun

壁和濠

Sonnar 50mmF1.5
今井町を離れて、午後はもう1か所別の古鎮をと考えていました。
ほんとうは五條に行きたかったのですが、ちょっと遠かったのと次回の愉しみに取っておくことにして、大和郡山に向かいました。
近鉄だと八木西口から近鉄郡山駅まで30分弱くらいだったでしょうか。
暖房の効いた各駅停車にことこと揺られていたらいつの間にか気持ちよく寝てしまい、気付いたら、あっ着いてる降りなくちゃという具合の一瞬の移動でした。

JRには大和郡山駅があって、近鉄の駅との間が徒歩10分くらい離れているのですが、この間に古い町並みが点在しています。
ただ、いずれも主要駅の周辺ですから、一定程度の開発が進行してしまっていて、さすがに今井町を訪れた後では大きく見劣りするのは致し方ありません。
それでも郡山に来たのは、稗田という古鎮があるからです。
駅からはちょっと離れますが、事前調査でJR駅の裏手の観光案内所でレンタサイクルがあると分かったので、自転車に跨って向かいました。

稗田は、当時の状態が残る環濠を持つ集落としてよく知られています。
環濠とは何かと言えば、わたしもまったく知らなかったのですが今井町の紹介のところで初めて目にした言葉で、外敵の侵入を防ぐために村の周りをぐるりと水路で囲ってしまったところのことのようです。
お堀のようなものですね。
奈良や関西にはいくつも存在していたらしいのですが、外敵の存在がなくなれば無用の長物ですのでほとんどが埋められてしまい、環濠が存在するところはもうほとんどないようなのです。

今井町が地図で見るときれいな四角い形を今でも残しているのは環濠で囲われていたことを如実に示します。
ヨーロッパや中国では城壁で囲われていた町は無数に存在しますが、多くは取り払われた後にも町が膨張するので今井町のような残り方はしていないと思われます。
ウィーンの町にはリンクと呼ばれる環状道路がありますが、これも環濠ではなく城壁跡で、ベートーヴェンの暮らした家を訪ねたことがありますが、すでにリンクの外側ではなかったかと記憶しています。

稗田の集落はとてもコンパクトで、全道路を歩き回っても30分とかからないだろうと思います。
そのすべてが古建築だとしたら夢のような空間が残されていると絶叫していたはずですが、残念ながら多くの家屋は新しいものでした。
とは言え、自転車ですと一気に環濠を一周できるので、当時の進入を果たせなかった外敵の無念を一瞬に味わうことができます。
もちろん現在では普通に集落の中を細い道路が貫通していて、ところどころに見かける古建築やかつての面影を愉しむことができます。

今井町は町並みがほぼそのまま残って環濠は消えたのに対し、稗田は町並みは環濠がそっくり残り町並みは新しくなっているのが面白いですね。
今井町+稗田を頭の中に描いてみると、完璧な環濠集落が完成します。
この日、このふたつの町を訪れたことは正解だったと確信しました。
【Alpha7/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar(Opton) 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/12/21 Sat

只有三万

Sonnar 50mmF1.5
宿泊した奈良町の宿からメールが届きました。
3月上旬の二月堂のお水取りはあまりに有名ですがやはり一見の価値がありますとか、5月の藤には隠れた名所がありますとか、ありがたいお誘いの言葉があります。
こんなメールをもらうと、今すぐにも飛んで行きたくなります。
旅先で出合った人とアドレス交換するとしばらくしてから、また来てくださいねなどとメールが届くことがありますが、それが海外だと簡単にハイと返事できる訳でないことを考えると、奈良と言う距離感がいいのですね。

季節の行事や自然を見に行くのは楽しいですし、奈良県内にはまだまだ行きたい古鎮がいくつもあります。
できれば2泊することで、その両方を欲張って見てきたいと考えてしまいます。
さらに、関西に行くとなるとTさんやGさんにお会いしないといけません。
レンズのことではいつもアドバイスしてもらっているレンズ仲間と言っては申し訳ないくらいの、レンズ研究者のおふたりです。

ところで、記憶違いでなければ今井町を訪れる人は年間3万人と聞きました。
3万という数字にはなかなかピンと来ませんが、1日あたりでは83人です。
大きなお祭りが年に2~3度ありますし、ゴールデンウィークや年末年始などの大型連休の存在を考えると、例えば平日なんかは一桁という日があるのでしょうし、土日でも来客数はたかが知れている数字と想像できます。
先日、極端な観光地化をしていないことを歓迎すると書いたばかりのところを恐縮ですが、日本を代表するであろう古鎮としては寂しいとしか言いようがありません。

京都を訪れる人は年間4000万人だそうです。
無理に土産物屋とか飲食店をオープンして観光化を進めることなく、京都を訪れた人で今井町の現状を魅力に感じて訪れるような人がわずかでも出てくるようなPRができないものかと考えてしまいます。
古い町並みは好きだけど今井町なんて知らなかったという人は多いと思うので、すばらしいところだと知ってもらいたいですし、昨日ご紹介したようにボランティアガイドで頑張っておられる人が励みになる程度の訪問者がいてほしいとも思います。

さて、ふらふらと歩いていて、これぞ今井町にぴったりという女性が歩いているのを見かけました。
慌てて、撮るものも撮りあえず1枚シャッターを切りましたが、何をどう操作したものかピントも露出もぐちゃぐちゃになってしまいました。
2枚目に行く前に、女性は建物の中に吸い込まれてしまいます。
α7についてあえて欠点を言えば、1枚撮るごとにインターバルが空いてしまい、思うように連写できないということがあります。
スナップでは連写なんて必要ないのではと言えばそうかも知れませんが、ひどいケースで言うと女性を撮影させてもらう機会ができたときに、数枚をテンポよく撮ろうと気持ちがはやるのに、1枚撮って若干の間が空いた時にもう終わりと思われてしまうことがあります。

このことは、あまりとやかく言うつもりはありません。
意見を出した方が後継モデルにユーザーの声として反映させるという意味でよいということはあります。
しかし、連写に弱いとう点は何よりもα7の開発設計陣が強く感じていることでしょう。
今井町もα7も課題がなくはないものの、気に入りであることに違いはありません。
【Alpha7/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar(Opton) 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2013/12/20 Fri

豚肉市場

Sonnar 5cmF1.5
旅の最後の夜は路孔古鎮らしいところへ泊まれないかと考えていましたが、涼麺を食べた店の割ときれいでかつ親切な女の子に聞いたところ、ここには小さなホテルが1軒あるきりだということでした。
選択肢が他にないのであれば仕方ありません。教えられたとおりにホテルに行くと、12室あるのに2室しか空いていないと言います。
見せてもらった部屋は悪くありませんでしたが、両隣が埋まっていたのでどんな人が泊っているのが効いてみると、全室とも若い男たちだとの答えでした。
何のことはない、テレビ撮影の若きスタッフたちがここでずっと寝泊まりしているということです。

彼らにばったり会ったことで、日中戦争ドラマの日本兵役で出演してくれと言われるかも知れないかもなどと冗談のように考えましたが、現実的なことを言えば、先ほどの涼麺屋にいた連中は撮影の合間だというのにみなビールをラッパ飲みしていたので、夜は夜で宴会とかはじめてうるさいかも知れないと考えると寝られなくなるかも知れないという心配が頭をもたげます。
正直にそう話してどこかほかに泊るところはないでしょうかと聞くと、数軒先の食堂が宿泊可能でしかも安いと教えてくれました。
わたしがこのホテルの1泊100元が高くて泊まれないと思って気を回してくれたのだとしたら情けないですが、比較して決めることにしました。

早速、そちらの宿を見に行くと、ちょっと太めのお母さんが調理の準備をする食堂で、空いている部屋を提供しているようでした。
当然宿泊者はなく、トイレ・シャワー付きの部屋が60元と安く、建物も200年近く前に建てられた古建築ということで、お世話になることを決めました。

この選択はひとつの失敗と2つの成功があります。
失敗はここのトイレが臭かったことで、トイレのドアを閉めても汲み取り式トイレの奥底からアンモニア臭が眠ろうともがくわたしの鼻をくすぐるように漂っています。
しかし、れは意外なことで解決します。
部屋に蚊が飛んでいたので、蚊取り線香をもらってきて付けたところ、線香の香りがアンモニアに打ち勝ってしまい、気にならなくなりました。
わたしの足先を刺した蚊のおかげでわたしは熟睡できたのですが、蚊取り線香にこのような効果があることは、このようなショボイ旅をしたことがある人間でないと気付かない事実でしょう。

成功の方のひとつめは、夕食のためにレストランを物色したのですが、どこも店の前のメニューには川魚しか書かれておらず入れずにいたところ、宿の太めの女主人がそれならウチでいっしょに食べたらどうと彼女の手料理をいただけたことです。
料理はとても美味しく、家族が食べるものをいっしょに食べただけなので料金もこれでは申し訳ないとおもうくらいの額でした。
ひとつ意味不明だったのは、目の前にどーんと殻付きのピーナツが置かれ、食事中にみんなかなり食べたことでした。
この家の習慣なのかこの地方の過程ではみなこうするのか分かりませんが、何とも不思議です。

もうひとつの成功は、その食卓で旦那さんと話していて知ったのですが、彼は市場で豚を売っているというので、見学させてもらってもいいかと聞いたところ、大歓迎だと連れて行ってくれたことです。
市場ですから朝は早く、5時ごろ出るぞと言われましたが、旅はもう終わりなので最後の記念に早起きしました。
もっとも何もないところなので、寝たのも10時くらいでたっぷり7時間眠ったのですが。

重慶は北京よりもだいぶ西にあるので、この時期、朝の6時半くらいにならないと明るくなりません。
カメラを持っていくか悩むところですが、X-E1には感度設定がかなり高いところまであるので、今回はISO3200で撮影すればどうにかなるだろうと持って行ってみました。
自分としては何かお手伝いができたらという気持ちだったのですが、豚の解体には出る幕など一切ありません。
少し前に果てたばかりであろう豚が、肉塊に変貌していく様を眼をそらさずずっと見学させてもらいました。
ほとんどの写真は作例よりもずっと明るく撮っていますが、やはりちょっと生々しく感じられますので、その時の現場の明るさ程度の露出で撮ったものを上げさせていただきます。
これならパッと見ると、溶接作業現場か何かに見えるでしょう。

恐らくこの現場を見た誰もが思う実直な感想は、肉を粗末に扱ったり食べ残したりしては絶対にいけないということです。
料理だけを見ていると忘れがちですが、長年月育てられ、売られ、屠殺され、解体され、パック詰めされ、調理されと多くのプロセスを経てわたしたちの食生活を充実させているのだということを再認識して、かつそれらにかかわる人や豚自身にも感謝の気持ちを持たなければいけません。
感謝すればそれで問題ないかといえば、それはどうなのかは分かりませんが、そうするとしないとでは考えられないくらいの大きな違いがあるのだと思わずにいられません。
最後の滞在地で大きなことを教えてもらいました。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar(Opton) 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/09/29 Sun

老鼠愛吃餐庁

Sonnar 5cmF1.5
困った連中がやって来ました。
そろそろ夕食の時間だと案内してくれた女性の食堂でオーダーしようとしていると、30代半ばと思しき3組のカップルがテーブルにつきます。
男性3人はすでにアルコールがかなり入っているのか上機嫌で、やたらとでかい声で何か言っては他の人も大笑いしていて迷惑甚だしい。
彼らがビールを飲み始めたので、わたしは女性とご主人にひとこと詫びて、あいつらの食事が終わるころまた戻りますと、すっかりうす暗くなった外に飛び出しました。

じつは、この食堂の隣の大きな古建築が宿になっているのですが、部屋は建物の大きさなりにいっぱいあるのにトイレ・シャワーが付いていなかったので、シャワーはないのかと聞くとないという返事でした。
シャワー付きの部屋は3部屋あるのだが、お客さんが3組来たので空いていないのだということです。
けっこう汗をかいているのでシャワーは浴びたかったので別のところへ泊まりますと断ったのですが、一端は了承したものの書道に戻って別の宿を探さないといけないなどと敬意を説明していたところ、宿の主人がやって来て以前使用していた離れのシャワーを使えるようにしたのでと言うので、結局泊まることになりました。

そんな矢先わたしが泊まるべきシャワーの部屋を独占した連中が戻って来て、大声でがなり立てるものですから怒りが込み上げてきて、それを紛らわすために外へ出ていったのでした。
ちょうど階段の上の民家の軒先で先ほどもおしゃべりした美女が夕涼みしていたので、また横に座らせてもらいます。
頭を冷やすには絶好のシチュエーションでした。
もっとも、この美女の膝の上にはかわいらしい1歳のお子さんが鎮座していたのですが。
旦那さんは重慶で働いているとのことでしたので、宿がダメだったので泊めていただけませんかと聞いたら、OKしてくれるのかななどと想像したりしてみました。

うるさかった連中の食事がどうやら終わったので食堂に戻ると、一転してわたしひとりの静かな宴が始まります。
五十台の夫婦が切り盛りする食堂というのは日本も中国もそう変わらないのかと思わせるような真面目な仕事ぶりで、6人用の料理にもわたしひとりのための料理にも手抜きは一切なしを印象付ける美味しい四川料理に舌鼓を打ちました。
心配していた宿も、うるさい先客から部屋を離してくれ、もともとが大きな建物ということもあってまったく静がでした。
食事はたいへん美味でしたし、宿だって清潔で静かとけっして悪くありません。
今日1日のドタバタを忘れて気付くと熟睡していました。

しかし、満足感を表明するのは出発の時まで待つ必要があるということを今回学びました。
朝起きてから、わざわざわたしのために復活させてくれたという離れのシャワーに行って、わたしは愕然としてしまいました。
お湯が出るようにすることにしか手が回らなかったのでしょう、壁に何か所か黒いひも状のものが垂れているのを見てやれやれと思ったのですが、よく見るとそれは大きなクモの死骸が巣から垂れ下がっているのだと気付きました。
4方の壁のうち3方からぶら下がっているのでうっかり大きく動くと体に触れてしまいそうです。
わたしは虫系が大の苦手ですが、ここまで来て裸になってスタンバイ状態でシャワーを浴びずに戻れるかと、意を決して唯一クモのいない壁を凝視するようにして頭や体を洗い、髭剃りまで済ませました。
よくやったわねと、やさしかったおばあちゃんが天国で褒めてくれていそうな気がしました。

ある意味もっと辛い出来事がこのあとあるとは、この時想像すらできませんでした。
その後いただいた麺の朝食もまた美味しくて、すっかりシャワーの悲劇を忘れていたのですが、ちょぅど食事を終えたときご主人が、あらあらこんなのがいたよと指でつまんで持ってきたのはネズミの死骸です。
食後に見たものとしてはあまりにショッキングでした。
ご主人にはわたしの気持ちは伝わらないようで、ニコニコしながらこちらに見せつけるようにして、ゴミ箱に放り込みました。
厨房のどこにいたのですかなどとはとても聞けず、ただわたしは胃を手でさすることくらいしかできませんでした。

さて、今日の作例は塘河古鎮の美しい建築群です。
この光景が見たくて、がんばって川の対岸まで歩いていって撮影したのですが、土曜の建築群は前にも書いたように先に訪れた福宝にもあってむしろそちらの方が有名です。
ただ、福宝のその写真ははわたしが訪れるきっかけになるほど美しいものですが、古鎮ファンには有名過ぎるのであえてマイナーなこちらを選択しました。
連日の大雨で川の色がチョコレートのようになっていますが、そんな中で選択する人がいたのには驚きました。
この村の生活哲学は、川が濁っていても洗濯物はきれいになるし、クモの死骸があってもシャワーすりゃすっきり、食事はネズミがやってくるくらい美味しいのだから文句言うな、というところなのかも知れません。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar(Opton) 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/09/24 Tue

電影古鎮

Sonnar 5cmF1.5
福宝での宿泊は叶わず、わたしは次の目的地と考えていた塘河という村を目指すことにしました。
地図上、両者はほとんど隣町のように見えるくらい近いのですが、山に寸断されているのでしょう大きく遠回りしなければ着くことができません。
福宝から近隣でいちばん大きな町である合江までのバスは20分間隔くらいで出ているようで、バスに乗り込むとものの5分でほぼ満員になり、すぐ出発しました。
このバスに乗り続ければ、40分ほどで外国人にも宿泊が許可された村まで行くことができますが、何としても今日中に塘河まで行きたいので、車掌に塘河への行き方を聞くと途中の白鹿で塘河方面行のバスに乗り換えられるが、夕方5時近いこの時間にまだバスがあるかは分からないということでした。
30分かからず白鹿に到着すると、親切な車掌は十字路のあちら側が塘河方面なのでそこで待つよう教えてくれました。

しかし、バスはすぐにはやって来ず、終バスが行った後だとすれば待つだけ時間の無駄なので、歩いていた人にバスはあるのか聞いたところ、そもそも塘河方面のバスなどないという困った答えが返ってきました。
十字路のところに停まっている面包車で行くしかないと言うので、仕方なくその運転手のもとに行き聞くと50元で行くと言います。
正直相場は分かりませんでしたが、反射的に高いとつぶやいて30元で行くだろうと少々強気に言い返してみます。
反応は悪く50元でないと行けないのでと交渉に乗ってくる気配もありません。
少なくとも50元出せばたどり着けるということが分かったので、本当にバスはないのか再確認しようと近くの商店で聞いてみるとやはりないとの返事。

そうこうしているうちに面包車に別の客が来て途中まで行くので、お前は40元でいいよとなってその言い値で面包車に乗ったのですが、その間にさらに客が3人増えて、同乗者がこんなに増えたのだからもっと安くしろと言ってみたものの、お前は40元で同意しているのだからダメだと相手も強気で結局そのまま車に乗っていくことにしました。
乗客は全員すぐそばの村で降りてしまったので、確かに10元の値引きは良心的だったと後で分かりました。
最初の50元も特にぼっている訳でもなく相場くらいだったのかもと考えていた矢先、塘河についたのですが、やられたと思ったのは降ろされたのはバス乗り場もある村の中心でしたが、さらに古鎮まで行くにはバイタクで5元払わないといけなかったことで、車でも行ける古鎮入り口で降ろせばよさそうなものをわたしがよそ者のくせに強気な態度だったので仕返しされたのかも知れません。

古鎮に入るとすぐに「酒」と古い看板を掲げた家があって、実際に甕を並べてお酒を売っていたのでとりあえず少量買うことにしました。
また荷物を短時間預かってもらって宿泊できるところを探すためですが、その心配はすぐになくなりました。
たまたまそこに居合わせた女性がすぐさきの家で食堂をやっているし、隣の建物に宿泊できるからと言ってそちらの方まで案内してくれたのです。
もっとも塘河古鎮には1つの通りがあるだけなので、どんなにぼんやり歩いていてもその食堂と宿を見逃す方が難しいくらいだったのですけれど。

1分かかるかかからないかでそこに到着したので、写真を撮りたいのだがもうこんなに日が傾いているのでひとまず荷物を置かせてくださいと頼むと、快く応じてくれじゃあ宿の人にも話をつけとくからと言ってくれました。
ヨーロッパでも日本でもそうですが、田舎へ行けば行くほどおおらかで心優しい人の割合が高くなると感じます。
わたしが田舎歩きが好きな理由のひとつです。

塘河は去年重慶を旅する前に買った本に重慶十大古鎮之一と紹介されていたので大いに期待したのですが、実際に歩いてみるとええっという感じでした。
ひとつは規模の小ささで、本当に1本の通りと左右の古建築があるだけで、それすらもそれほど長くはありません。そんなに小規模の古鎮ですので、住んでいる人もまことに少ない。
1泊2日で、わたしがあいさつしたり会話したりした人が20人ほどでしたが、それ以外にあと10人くらい、つまりは塘河古鎮の全人口は30人そこそこだと想像される規模なのです。
もうひとつは、その前に散策した福宝にあまりに似ているということでした。
坂があって階段があって同じ様式に見える古い建物…。
もっとも、古鎮なんてどこも似たようなものなのかも知れないのですが。

ここではよく映画の撮影が行われるとも話してくれました。
中国版の時代劇のようなものでしょう。
栄華の撮影ならもっと規模の大きなところでやればよさそうなものだと思いましたが、人口が少ないところなので野次馬もいなくて、住民の撮影同意がもらいやすいなどのメリットがあるのかも知れませんね。
何軒かの古民家の中に、中国の有名俳優と家族がいっしょに写る写真が家宝のように飾られているのを見せていただきました。
俳優の方はわたしはさっぱり知らないというのに、その隣の破顔の老人は無銘なのにいま話をしていたのでよく知っているというのが、実に不思議な感じです。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F2】
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Zeiss Sonnar(Opton) 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/09/23 Mon

西蔵女性的电话号码

Sonnar 5cmF1.5
朝の雨はいつの間にか上がったので、自転車を駆使して喜洲の村全体を見て廻ることにします。
村は、意外に大きな範囲に広がっていて、古建築も点在しているのであちこち廻っていても飽きることはありません。
惜しむらくは、やはり時間があまりに限られていることで、朝から自転車の西洋人たちがいて、大理古城に宿泊していて朝からツーリングしてやって来たと聞くとうらやましい限りです。
近くには景色の美しい洱海がありますが、すぐそばまで来ていながら目にすることができません。

ただ、喜洲といえばこれ、という食べ物があって、それだけはしっかり押さえることができました。
喜洲粑粑と書いてシーヂョウパパのように読みます。
粑粑は貴州省では日本のお餅のことをさしていましたが、雲南省ではお焼きタイプ、お好み焼きタイプ等々の主食のようなお菓子のような食べ物の総称のようです。

地元では朝食に食べる人が多いと言うので、さっそく村に何軒かある店で買ってみました。
麗江で食べた麗江粑粑は、お好み焼きタイプで外観から想像できる一般的な味は、まずくはないものの美味とも言い切れないものでした。
喜洲粑粑はサクサクのパイタイプで、こちらは見た目がぱっとしないのに食感よく味も抜群の名物に列せられているのが納得の味でした。
ひき肉と野菜が入ったものとあんこの入った甘いのと2種あってどちらも美味でしたが、2個とも食べると腹いっぱいになります。
ふたりで買って半分ずつシェアするのが理想ですね。

今回の旅では、麗江のさらに北がマツタケの一大産地になっていることから、マツタケをたらふく食べるという楽しみがありましたが、旅行中マツタケのマの字も見ることはありませんでした。
喜洲粑粑がマツタケの代わりになったとは言いませんが、日本にない食べ物を旅先で口にするというのはまた別の良さがあって、マツタケのマイナスを補ってあまりあるものを感じました。
鶴慶で食べた把肉餌丝という麺が今回の最高傑作でしたので喜洲粑粑は第二位ですが、そのうち大理食堂でもオープンしてこの2品だけで営業したら日本でも絶対はやるだろうと考えています。

さて、そろそろ雲南の旅も終わりを迎える時が近づいてきました。
大理の空港を飛び立つ瞬間こそ本当の旅の終わりなのでしょうが、実質的な旅はこの村から大理行きのバスに乗り込む時と考えることにします。
では、その前に旅の締め何かしないといけません。
また、喜洲粑粑をひとつ買って食べるというのでもいいのですが、今回の旅で地元雲南のコーヒーを何度か飲んだのですが、コーヒーが得意でないわたしでもその都度美味しく感じられたので、索や立ち寄ったカフェで旅の締めくくりと考えました。

店の前に自転車で乗り付けると、まだ準備中という雰囲気でしたが、昨夜のチベット族の女の子がわたしに気付いてどうぞどうぞと店の中に導き入れてくれました。
昨日と同じこーひへをと頼むと、今日も砂糖もミルクも要らないのかと聞かれます。
わたしはコーヒーの味のことはまったく分からないけれど、日本で飲む酸味の残るものに比べてずっと飲みやすいので、そのままの味で飲まないともったいない気がするからと答えます。

これから大理の空港に向かって、明日には日本に帰るんだと言うと、彼女は残念そうな顔をしました。
昨日の夜来てコーヒー、今朝もまたコーヒー、お昼と夜にもやって来るのかと思ったと言います。
じつは、わたしが雲南を旅するのは2回目で、6年くらい前の前回の旅では彼女の故郷の香格里拉まで足をのばし、小ホタラ宮とも呼ばれるチベット寺院の松賛林寺を訪問した際、若い修行僧と親しくなってダライラマの肖像写真をプレゼントしてもらったと話したところ、民族としての気持ちを揺さぶられたのか彼女のわたしに対する接し方が変ったように感じられました。
そこでわたしが帰国の途に就くと聞いて、あいにくダライラマ関連のものも渡せるものもないからと言いながら、次回来るときのために携帯の番号を教えてくれました。

いま、中国におけるチベットの人たちの状況は日本にも伝わっていて、彼女も何かしらの影響を受けているだろうことを考えると、何か力になれないだろうかと願わずにいられません。
ただし、店内でそんな話題で話をしようものなら彼女に迷惑をかけてしまう可能性があります。
四川を旅した時に直接話を聞く機会がありましたし、自身が警察に連れていかれる目にもあっています。
携帯番号までくれたということは、わたしに伝えたいことがあるのかも知れませんし、旅行者に対する単なる社交辞令かも知れないですが、何とか再訪して誰にも聞かれる心配のない場所で彼女の話を聞かなくてはいけないと思います。

今朝もごく普通に日本の話をしたり彼女の大学時代の話を聞いたりしながら、出発の時を迎えました。
カフェを出ると、朝の雨がウソのように雲ひとつない快晴に天気が変わっていて、宿までの道はまぶしくて目が開かないほどでした。
宿の近くに不思議な建築があったので、これがラストショットかと1枚撮ることにしますが、強い逆光で露出補正をかけ過ぎてえらいオーバーになってしまった上に、ピントも合っていませんでした。
現実離れしたような作例になってしまいましたが、旅の目的だって現実逃避のようなものですから、ちょうどそれを象徴するような1枚になったと言えなくもありません。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar(Opton) 50mmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/07/07 Sun
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