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現在的越前

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今週最後は、開高健記念館から車で北上し、自宅にもどる中間点ともいえる地にある浄見寺に立ち寄っての1枚とさせていただきましょう。
大岡越前の墓があることで有名な浄見寺ですが、足の便がよくないため茅葺の古民家ともども普段は地元の人の散策くらいしか訪れる人もいないようです。
しかし、ここにはなかなか見事な桜があって、公園にもなっているので、この時期はそれなりの花見客でにぎわいます。

作例では茅葺屋根をバックに撮ったはずの桜があまりに立派で、背景の屋根が見えないという頓珍漢ぶりになってしまいましたが、まあ、それも一興というものでしょう。
どんよりとして、予報も午後から雨だったのに、どういうわけか急に日がでてきて桜がきらきらと鮮やかです。
ここの桜の面白いところは、墓地側が高台になっているので、桜を見下ろすこともできるということがあります。
もう少し先まで行くともお墓の前から手を伸ばして枝をつかむこともできます。
つかんだからといって何がどうなるというものではありませんが、そのくらい近くで満開の花が見られるというくらい迫力があるということなのです。

非常に残念なのは、この作例のすぐ右側には車を停めることがるようになっていて、実際も、この時も車が停まっていたためこのような角度で撮るしかない状況だったということです。
公園側が広い駐車場になっているので、ちょっと考えればそこに停めればいいのにと誰もが思うところです、
そんなことにすら気が付かない、自分の車が花見の邪魔になっていることも分からない人が、花を楽しむ気持ちを持っているのだとすれば人類の大きな不思議のひとつと言えるでしょう。

そんなことを思っているとき、それを察するように車がじゃまですねえと声をかけられました。
近くに住むという男性で、その方のコンパクトデジタルはきっと広角が付いているのでしょうから75mm相当レンズで撮っていたわたしよりはるかに苦戦している様子です。
話をうかがうと、近くの老人ホームでボランティアの活動をされていて、なかなか花見も容易ではない入所者に今の花の様子などを見てもらってみんなで楽しんでいるとのことです。
アングルなどセンスを疑われたりするので、なるべくうまく撮りたいのですが、と渋い表情をしつつ笑われていました。

ボランティアされているくらいですから、心の広いお話し好きな方のようで、花見のポイントについてなどの情報をいろいろと教えていただきました。
近くにある穴場ポイントにはその場で連れて行ってもくれるような親切な方でした。
また、わたしのマイクロニッコールが気になったらしく質問もされました。
もともと特にカメラ趣味というわけではないようですが、ものごとをよく観察する目をおもちということなのでしょう、さすがです。

この周辺ではけっこうな枚数を撮ったので、前日の大和のものと合わせて構成するつもりでしたが、この男性から4月下旬の大岡祭ではここでも小さなパレードがあったりちょっとした盛り上がりなのでぜひ来てみてくださいと勧めていただいたので、その時のために今回はこの1枚で済ませることにしました。
茅ヶ崎は隣の市で地元と変わらないにもかかわらず、有名な4月の大岡祭り、6月の浜降祭りと一度も見学に行ったことがありませんでした。
今回もお世話になったことをきっかけに、また訪れることにします。
男性の名前を聞こうと思いつつもそのチャンスがなかったのですが、わたしは勝手に忠相さまと呼ばせていただいています。
来月、またお会いできると好いのですが。
【X-E1/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(4) | 2013/03/31 Sun

喝着紅酒

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久しぶりに開高記念館を訪れたのですが、それまで海岸を歩きまわったこともあってホール(?)のソファに腰を下ろしてしまいました。
そこでは大きなテレビで開高健のインタビューを放映しています。
作例の庭で、亡くなる2年前だったでしょうか、NHKのアナウンサーのインタビューがおこなわれ、恐らくいったん放送されたものが、NHKアーカイブスとして再放送された番組のビデオだったようです。
15分程度に編集されていたと思いますが、わたしにとっては時間以上に内容濃厚なインタビューに思えました。

庭でのインタビューなので日中の日柄の好い日に思えましたが、開高さんは(すみません、記念館の方がこう読んでおられたのでわたしも改めさせていただきます)赤ワインを飲みながら興に乗ってアナウンサーとのやり取りを楽しんでおられるようでした。
てくら大文豪相手とはいえ、天下のNHKが昼間っから酒を飲む相手にインタビューするというのも時代がなせる
わざか、当日のハプニングなのか、いずれにしてもそのことからして興味を惹かれます。

さすがにワインの銘柄まではでてきませんが、ボルドーグラスというのでしょうか、ずいぶんでかいグラスにそそがれたワインは濃厚な色付きで、フルボディのヴィンテージねのでございということを隠していないように見えます。
原因不明の腰痛に悩まされ最期は食道癌だった開高さんということを考えれば、酒やたばこを控えるよう進言したくなりそうなものです。
ところが、インタビューの中のセリフにそんな進言があってもそれには従わないという意思表示のような言葉が出てきてハッとさせられました。

男だけが好むものにギャンブルがある、それは次に負ければ生活のすべてを失うというような状況で緊張感を楽しんでいるというような意味の言葉でしたが(正確に覚えておらず申し訳ないです)、それを聞くと、医者や家族から命に係わると止められた酒やたばこを楽しみ続けることで緊張感を頂点に置くことがてき、「輝ける闇」などの晩年の傑作をものすることができたのだろうと考えずにはいられなくなります。
自分の命を天秤ばかりの上に乗せてつくりあげた作品。

先月出かけたキャパとタロー展でも両者は戦場に倒れました。
女性であるタローがなぜ戦場をめざしたのか、すでに富と名声を得ていたはずのキャパまでがなぜ。
沢田教一や一ノ瀬泰造といった日本の若者たちまでが、同じような運命をたどっています。
その理由は、各自さまざまなのでしょうが、開高さんのインタビューがもつとも的を射た説明になっているようにあとになって思いました。
戦争にはそういう人間の本能につながる何かがあって、悲劇ばかり生むことを知りつつも人類史から消えることがないのでしょうか。

さて、今日の作例は発色がニュートラルとは言いがたくなっているようです。
記念館内部での撮影でISO感度設定を1600に変更してそのままになっていたのですが、そのことと関係あるのでしょうか。
いままでとはまったく違う話ですが、開高さん自身が哲学の道と呼んだ小道が裏庭にありますし、ここの庭は非常に多くのことを語る庭なのだなと再度思いました。
【X-E1/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/03/30 Sat

他去越南了

X-E1/Micro-Nikkor.C 5cmF3.5
茅ヶ崎の海岸を散策してから開高健記念館です。
10時開館で、だいぶ時間があったので、砂浜を歩いたりしながら時間をつぶして10時きっかりに玄関に行きました。
当然いちばん乗りだと思ったのですが、タクシーで現れた女性ふたり組に先を越されてしまいました。
秋田から来られたとのことです。
ずいぶん熱心なファンだったようで、文献や部屋の様子、流されていたNHKのビデオを食い入るように見ておられました。
何度も来ているわたしは、いちばんを譲ってよかったかなと思いました。

記念館は生前の開高が晩年暮らした家を遺族が寄贈し、茅ヶ崎市が管理している小さな文学館ですが、すでに24年も前のこととはいえ、実際に執筆した書斎をそのままに見られるなど興味深い展示が何度足を運んでもあきさせません。
今回は、マイクロニッコール持参ということもあって、開高ベトナム取材の時のパーミットを近接撮影してみようと考えていました。

本当はエクステンションチューブを使って等倍撮影をするつもりだったのですが、チューブの準備が間に合わず、ヘリコイド最短の1.5フィートでの撮影になります。
また、解像度が最大になるといわれるF5.6付近で撮影しようと考えていたにも関わらず、日常絞りを使う習慣がないためそのことをすっかり忘れて開放のままでの撮影です、
やはりここでもこのレンズの解像力のすごさを伝えきるには至っていないのが申し訳ないところです。

その不甲斐なさをどうにかしようと考えてくださったのでしょうか、いえ、恐らくわたしの作例でマイクロニッコールが誤解されるのを心配されたから賀茂知れません、www.syarakuse.comにれんずまにあさんが、わたしにも理解できるようにとのご配慮もされつつ、マイクロニッコールと他の4本の高性能レンズとの比較のチャートを掲載してくくださいました。
わたしのご託や作例を何枚出したところで到底かなわない、ひと目見て理解できるマイクロニッコールの解像力の高さを示されたのはさすがです。
絞り値ごとのチャートになっていますのでも絞りすぎると解析現象により解像力が低下することまで示した完璧に近いテストです。

写楽彩の掲示板は、T-REXさん、ジオグラフィックさんのふたりの裏表店主さんにレンズ通の皆さんが丁々発止のやりとりで盛り上げる情報の泉ですが、ここのところ大判・中判の話題が中心になる子が多い中で、れんずまにあさんは、わかりやすく35mm版の解説もしてくださっていました。
とくにご自身のお気に入りであるマイクロニッコールでは、文章でいくら書くより一発で性能を知らしめられると多忙の中テスト撮影されたのだと思うと、感謝の言葉も見つかりません。
わたしがしたことはレンズファンにとってなんら役にも立たないことですが、あえて言うことができるとするならば、その無知加減のためにれんずまにあさんのテストを写楽彩画像掲示板にアップさせたことかも知れません。
皆さんには、ただただお礼申しあげるのみです。
【X-E1/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/03/29 Fri

零件找不到

X-E1/Micro-Nikkor.C 5cmF3.5
昨日までの作例は、土曜日に大和を散策したときのものでした。
藤沢一を南北に貫く引地川の水源があるいずみの森から大和駅に向かって歩いたのですが、近くには米軍基地がありますし、日本人の少ない小学校もあったりするためか、花見する外国人があちこちで見られたのが大和ならではと感じられました。
わたしは、大人数がひとところに集まって騒いだりする宴会式の花見は好きになれませんが、家族や仲間と静かに楽しむ花見はとても日本的な行事のように思います。
大和に住む外国人も、こんなところからぜひ日本を理解してもらいたいものです。

翌日は、早朝に辻堂で用事があったので、帰路に海岸や茅ヶ崎周辺をのぞきながら帰ってきました。
予報が悪くて午後には雨になりそうとのことで、お昼に自宅に戻るスケジュールを考えました。
まずは、車をどこかに停めなくてはとうろうろしているときに信号待ちで見かけたのが今日の作例です。
使いこまれたサーフボードと細めのウェットスーツがあまりに似合う女性サーファーが、髪をかきあげた瞬間をとらえました。
美しい後姿だと思います。

画面に白っぽいところがあってフレアのように見えるかも知れませんが、これはフロントガラスの映り込みです。
ピーカンでの使用はありませんが、これまでの印象では、マイクロニッコールはかなり逆光に強いレンズのようです。
太陽が入るような状況でなければ、逆光下でもゴーストやフレアが出たことはありませんし、コントラストの低下を感じた場面もなかったのはさすがだと思っています。
前にも書きましたが、このレンズには今ではたいへん高価な専用フードがありますが、これがなくても問題ないと言えます。

ただ、このレンズはライカ・エルマー用のフードを使うことができます。
レンズの保護にもなるので、比較的手に入れやすいエルマー用フードは付けた方がよいと思います。
日本製のライカコピーと言われるパルナック型ライカの50mmF3.5レンズは、ほとんどがエルマーコピーであり、エルマー用フードがそのまま使えます。
アクセサリー類が紛失する度合いはカメラやレンズの比ではないでしょうから、多く製造されたエルマー用のアクセサリーが汎用アクセサリーとなって併用できるのはたいへんありがたいことです。

もちろんオリジナルの愛好家は多く、ヘキサーやらトプコールやらにFISONフードを付けることに眉をひそめる人もいるかも知れません。
もし、オリジナルフードが2万円するとしたらそれでも嬉々として手に入れるか、その2万円をもとにまた別のレンズを手に入れるか、どちらの考え方も支持できます。
わたしはどちらかと言えば後者で、うまく安いフードやアクセサリーがでてきたらその時に買うようにしています。

以前に購入したKodak Lykemar 35mmF3.5というレンズは、コダックがエルマー風のレンズを作ったのでLike Elmarというネーミングにしたのではなどと揶揄されるレンズで、外観もエルマーに似ています。
ところが、どうしたことかエルマー用フードがわずかのサイズ違いで使えません。
設計上そうなったというよりは、あえて付けられないようサイズを変えてあるとしか思えず、これは現行でフードを買えた当時ならまだしも、入手困難となった今ではなんとも残念なことに思えます。

戦後すぐの日本の高級カメラはほぼすべてがライカに範をとったと思うのですが、ニコンは機構はライカだがシステムはコンタックスだと言われています。
レンズも同様ですので、マイクロニッコールもテッサーと同様のアクセサリーになってもおかしくないところが、どうした理由かエルマーと同サイズのレンズで大いに助かりました。
アメリカに比べて日本のメーカーにはユニバーサルデザインという発想が当時からあったということなのかも知れません。
【X-E1/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(1) | 2013/03/28 Thu

一半做好

X-E1/Micro-Nikkor.C 5cmF3.5
MSオプティカルにマウント改造いただくべく、ダルローのペッツパールを宮崎さんに送りました。
前回の改造が、確か昨年9月のアリマウント・ゾナーでしたので半年振りの依頼ということになります。
さて、送り先を書く段になって、MSオプティカルのホームページで確認しようとするとページが開きません。
何かあったのかと少々不安を感じて、急きょ宮崎さんに電話してみることにしました。

電話口の宮崎さんはいつもとなんら変わるところはなく、安心しました。
ただ、少々お疲れ気味のようで、聞けば、ゾンネタールの製造が未だ続いているとのことです、
ゾンネタール50mmF1.1は確か当初200本の製造だったはずで、その後注文が殺到したために、国内では宮崎さんが懇意にしている一部の人に頒布するようなかたちになっていました、
ところが、その後も発注が重なって、合計500本作らなければならないのに、まだ半分完成したところだと笑っていました。
どうやらそれでマウント改造の時間が取れず、ホームページを一時休止にしていたようです。

驚くべきはその納入先で、半数はヨーロッパとアメリカで、もう半数はなんと中国なのだそうです、
おそらく中国といっても香港や台湾も含んでのことではないかと思います。
しかし、日本国内へはわずか10本が、前述のとおり一部の熱心な宮崎ファンの手許に届いただけです。
宮崎さんの大口径レンズは、開放では甘くやわらかく絞り込んでシャープに変化していくという特徴で日本人の好事家たちの趣向にフィットしたことで人気を得たところがあったのではと思いますが、それが世界に広まるやもはや日本のマイノリティは発言力を失って国際的なレンズを逆輸入するような立場になってしまったのは残念なことです。

ゾンネタールのソフトバージョンはshasindbadさんがフィールドテストに活躍されていますが、宮崎さんはさらに研究を進めてレンズ間隔の調整でより大きなソフト具合を生み出すことに成功したようです。
焦点がズレる問題があるのでそのままの鏡胴では難しいのかも知れませんが、そのようなレンズへの変更も可能になるようです。
また、レンズを1枚増やす構成の変更で、収差が激減して性能が飛躍的に向上させることに成功したとの話もうかがいました。
当然コストも上がりますので、設計だけで終わってしまうかも知れませんが、宮崎さんのレンズはいまだ進歩する可能性をじゅうぶんに秘めていることをうかがわせます、

設計といえば、ゾンネタールの次のレンズもいくつか設計ができているとのことです、
たとえば、21mm、24mmといった広角レンズや、75mmF1.5などというレンズはじゅうぶんに商品化できるレベルです。
言うまでもなく、設計だけなら枚数を増やしたり高価なガラスを多用することで、高性能化のアイデア商品アイディアは豊富なようです。
それではガラス自体が高価で磨きやレンズをくみ上げるコストで、とんてもなく高いレンズになってしまい非現実的です。
宮崎さんのレンズにトリブレットが多く、ゾナータイプでも3枚貼り合わせは避けて5枚で済ませてしまう理由がそこにあります。

広角では、ええっとびっくりするような構成であることも教えていただきましたが、それを明かしてしまうのはどうかと思いますので、発表のときにみんなで驚いてもらいましょう。
また、もうひとつ、開放ではタンバー、一段絞るとキノプラズマート、もう一段絞るごとにたいへんにシャープになるというレンズも設計されたとの話でした。
わたしは広角には関心がそれほど高くないので、このレンズを最優先してもらえないかなと思っています。

宮崎さんは日中ゾンネタールの組み立てに忙しく、夜には疲れ切っていたかと思いますが、こういったレンズ話が大好きで、ついつい1時間近くも話し込んでしまいました。
それに、わたしも理解できないところも多いながらに宮崎さんの話が楽しく、実に勉強になってもっと聞いていたいくらいなのです。
はやくゾンネタールを終えて次のプランを実現してほしいと切に願わずにはいられません。
【X-E1/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(4) | 2013/03/27 Wed

有点髒

X-E1/Micro-Nikkor.C 5cmF3.5
先日、ふとしたきっかけで、久し振りに改造用レンズを購入しました。
海外のオークションの出品でダルローの真鍮レンズが出ていたのですが、焦点距離が75mmくらいだと説明があって、写真を見る限りベッツバールのようですし、前玉は2インチほどあるようなのでイメージサークルも35mm版はカバーしそうなので、ライカマウントにしてもらうべく入札してみました。
19世紀のベッツバールではダルマイヤーりもりをライカマウント化してもらっていますが、とても素晴らしい写りをします。
ただ、このレンズは114mmとライカで使うにはやや長くて使いやすいとは言えず、マウント部分が弱いこともあって十分に活躍できているとはいえません。

そこで、ライカのフレームもある75mmか90mmのベッツバールを探したのですが、ようやく念願のルルブールを見つけました。
焦点距離85mmと理想的に思えたフランスの老舗メーカーのレンズでしたが、ベッツバールの弱点である像面湾曲のためでしょう、画面中央以外ではピントがズレてしまいます。
後群が前後入れ代わっている可能性もあり現在確認中ですが、短焦点のベッツバールの問題を知ることになりました。

今回のダルローはさらに短い75mmですので、像面湾曲の影響はさらに強い可能性があります。
しかし、こういう焦点距離の19世紀のレンズはそうそう出てこないのです。
しかも、オークションなとに出品されると、しばしばかなり高価になることがあります。
その要因は、鏡胴がきれいなことで、金ニスがピカピカの同じダルローの90mmクラスが10万円ほどになってしまったことがありました。
もちろん鏡胴がきれいなことに越したことはありませんが、今回の出品はガラスにダメージはないものの鏡胴はいまひとつきれいでなかったため価格はあまり上がらず、結果的には2万円切って落札することができました。

到着したダルローはもともとは記載がなかったものの、分解するとやはり3群4枚のベッツバールとわかりました。
ところが、75mmではなさそうで、ルルブールと並べても焦点位置が長そうなので90~100mmくらいありそうです。
ベッツバールタイプは鏡胴が長くて、おおむね主点はその真ん中にあるものだと思うのですが、恐らく後玉あたりの位置から焦点面までの長さを測って75mmくらいだと書かれていたのでしょう。
これは仕方ないことと言うしかないですね。

それでも90mmであれば恩の字ですし、100mm以内で収まってくれていれば、ダルマイヤーよりは使い勝手が好いということになるでしょう。
なんとか好い具合にマウント改造されて戻って来ますようにと願いながら、MSオプティカルに送りました。
レンズがまたやって来て、宮崎さんのカルテを読み、最初の撮影をするまでの間は、楽しみで仕方ないひとときになります。

これは少なくとも、新しい製品で高性能だとしても、評価の定まったようなレンズを買う時には味わえないだろう興奮だと思います。
もちろん、楽しみが大きいだけに期待はずれだったときの落胆もまた巨大なものです。
オールドレンズ趣味は、宝くじとよく似ているのかも知れません。
宝くじよりははるかに確率が高いのは間違いないにしても。
【X-E1/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/03/26 Tue

今天拍櫻花

X-E1/Micro-Nikkor.C 5cmF3.5
先週は、M6とモノクロフィルムでマイクロニッコールの作例を見ていただきました。
これからしばらくは、フジフィルムのX-E1をメインカメラに据えるつもりなので、こちらで撮影しておかないといけません。
マイクロニッコールの発色も見たいですし、このレンズの真骨頂である近接での撮影もX-E1では容易におこなえます。
折りしも、桜開花のニュースが流れて来ましたので、土日で近場の散策にこのコンビを持ち出してみました。

そのニュースで常に出てきたのは、上野公園の桜です。
上野公園と聞いても、成田空港行きの京成線の駅の上の公園とくらいしか認識していないわたしは、テレビ映像で見る隙間のないほどに埋まる花見客のものすごさに驚いてしまいます。
賑やかなのも花見の良さなのかも知れませんが、昼間見る桜には優美さを求めたいと思い、しかも近場であることから大和の泉の森公園を訪れてみました。

着いてみてちょっと意外だったのは、ソメイヨシノの開花にはやや早かったということです。
五分咲きまでいっていないかも知れません。
桜前線北上と言いますので、東京が満開なら神奈川の県央も同程度かその近くまで咲いているのではと思うところですが、そうとは限らないのですね。
逆にヤマザクラは一部葉桜になっていましたし、桜が期待通りに咲いているタイミングで出掛けるのは、そう簡単ではないようです。

ただ、日当たりのとても好いところの桜は、かなり満開に近くなっていました。
これですと公園のなかでも時間差ができて比較的長い間桜を楽しめるのかも知れません。
桜がずらっと並んで咲き誇っているのを見たいという人向きではありませんが、ぽつりぽつりと好い場所に桜が咲いているのを歩きながら愛でるというような向きにはいい塩梅です。

泉の森には、移築された茅葺の古民家が2棟あって、そのまわりに何種かの桜が植えられています。
何本かが満開状態だったので、早速、最短1.5フィートの最短撮影距離による近接撮影を試みました。
微妙な風でピントがズレてしまったのが残念ですが、基本的にはMFアシスト機能を使うとわたしの視力でも最短のピント合わせが可能です。
基本的にはライカではできないことなので、楽しくなっていろいろと試してみましたが、これはどれも似たり寄ったりで後で見返してもあまり面白いものではないなと思います。

もうひとつ失敗は、ご覧のとおりのアンダーになったことです。
アンダーにしないと花びらが完全に真っ白で、ごく微妙なピンクを出すためにマイナス1段ほど補正したのですが、背景がずいぶんと暗くて、まるで夕方遅くのようです。
何か工夫が必要ですが、晴天であればこれはどうにかなるのかなとも思われます。
花の撮影はアマチュアでも専門にされている方が多そうですが、そうそうは簡単でない懐の深さがあって、ファンの多い分野になっているということなのでしょうね。
【X-E1/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/03/25 Mon

美麗的牛過蓢

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超解像力レンズに夢中になっているうちに1週間が経過してしまいました、
今日は、訪れた東莞の古鎮のことを記しておこうと思います。
誰も気付くことはなかったでしょうし、わたし自身も忘れかけいましたが、今日までの8枚の写真のうち前半4枚と後半4枚では撮影場所が違っています。
前半は開始時に書いた南社の古村落、後半は南社からほど近い牛過蓢という村です。

南社へは何度か行っていますがね、今回は今まで足を踏み入れていなかった小さな住宅などが並ぶ路地をゆらゆらと歩いてみました。
すると古村落を管理しているというおじさんに声をかけられ、日本から来たとあっさりばれてしまいます。
前日の恵州では日本人と知られるや尖閣のことでからまれたので身構えてしまいましたが、ここではまったく逆の展開でした。

ここには日本人、韓国人、アメリカ人などがよく来るが、いずれも団体かガイドに連れられて来ていてひとりで来る外国人は初めて見たというのです。
しかも下手くそながら中国語をしゃべるとは、これは恐れ入った、家の中も見てみたいんじゃないかと知り合いの門を叩いて、ほらどうぞと他人の家の生活感丸出しの部屋を強引に見せてくれるのでした。
家主のおぱさんの方も、家に押し入って来た外国人を嫌がるどころか、突然の珍客にとまどいつつも、お茶を出してごゆっくりどうぞと歓迎してくれます。
最後は、次に来たらまた必ず寄ってねと、手を振って見送ってくれました。

ここまでかなり駆け足で巡ったのは、午後に用事があったからですが、急遽思い立ってもう1箇所行ってみたいと考えたからでした。
実は東莞駅からタクシーに乗って南社に向かっていた時、南社古村落直進、○○古村落右折のように書かれた看板を見かけたのです。
ちょっと見覚えのない名前だったので運転手に聞くと、南社より規模は小さいが確かに古村落はあるよと教えてくれました。
ただ、公共交通機関はないようで、タクシーがないと行けないだろうと付け加えます。

タクシーがなければ行けないということは、タクシーを呼ばなければ戻れないということを意味します。
これはたいへん厳しいと思ったのですが、すぐに惠州でのバイクタクシーのことを思い出しました。
現地まで行ってもらって、また戻るときに携帯で呼び出せばいいのだと気付いたのですが、問題はバイタクが南社付近にいるかどうか。
大きな通りに出れば可能性はあるだろうと思って、前回と同様路線バスに乗り込んだのですが、2つ目のバス停にショッピングセンターがあって何台ものバイタクが客は来ないかと手ぐすね引いて待ちかまえているのが見えます。
思惑通り牛過蓢の古村落まで連れて行ってもらい、また帰りも電話してすぐに迎えに来てもらえました。

その牛過蓢の外観が今日の作例になります。
村の規模があまりに小さいですし電線がうるさいですが、池のあいだを小道が伸びているという村へのアプローチは、このあたりの古村落のなかではもっとも期待感が高まるものでした。
おばあちゃんやおじいちゃんの作例は出させていただきましたが、見て歩いた限り人が住んでいるのは5~6軒しかありません。
このままでは廃墟になるのは時間の問題で、人口の多い中国だけに何か手を打ってもらえないか強く願うものです。
【M6/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/03/24 Sun

架空相機店

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カメラがまだ写真屋さんとごくごく一部の愛好家のものだった時代、カメラ屋さんはどんなだったのでしょうか。
35mmが登場する前の1920年以前ではカメラ屋というよりは、望遠鏡や顕微鏡などの光学機器店があってカメラも片隅で売られていたという程度だったのではと想像します。
もうロールフィルムは開発されていたでしょうから最新のカメラ用にフィルムも売られていたのでしょうし、引き伸ばし機も置かれるようになったかも知れません。
そうなってくると、撮影機器の専門店も存在し始めていたと言っていいでしょう。

そんな店をもっと空想してみることにします。
店主は写真機や撮影術が好きでたまらず、自らの商売にしてしまった人です。
誰よりも撮影回数をこなしているし、研究熱心なので経験知識では業界に評判がたつほどです。
当時カメラはとても高価でしたからそうそう売れるものではありませんし、ほとんど手作りとあっては入荷することすら稀で、あちこち訪ね歩いてはようやくカメラやレンズを1個ずつ仕入れるのが当たり前のことでした。
それでも広いと言えない店内に大きなカメラ屋引き伸ばし機を置くことはできず、バックヤードに丁寧にしまわれています。

お客さんがやって来ました。
ここでは客は店主との対面販売ですので、自分の撮りたいものや好みを伝えてまずは相談からはじまります。
話しを聞きながら店主はやおら階段を上がって保管庫に行って、これはいかがですかと木製の組み立て式カメラを抱えて戻って来ます。
店主は手際好く組み立てながら説明するのですが、こうなると彼の独壇場で、客は引き込まれるばかり、もうカメラが欲しくてたまらなくなります。

もちろん、いつもカメラやレンズを買うお客さんが来る訳ではありません。
この時代のカメラは一生モノ、それどころか代々一家に伝えるものてすから、むしろ客のほとんどは店主から技術
を学んだりカメラやレンズにまつわる話しを聞くために集まっているようなのです。
店主だってカメラの整備に忙しいはずなのに、知己の客はもちろん初めての人にも楽しい話しを次から次へと披露します。
そんな噂を聞きつけた客がひとりまたひとりと訪れるようになり、店主の整備に使える時間はまた短かくなってしまいますが、、彼は幸福に感じこそすれ、苦痛に思うことはないように見えます。
時間がのんびりと流れていた、戦前の古き佳き時代の話しです。

以上は、他愛のない空想話しに過ぎません。
ただ、このようなイメージのカメラ店が存在しているのです。
ヨーロッパの田舎ですか? いえ、東京に!
実は、わたしのマイクロニッコールは、まさにこの店で買ったのです。

何回かレンズ仲間に連れてきてもらって、すっかり店と店主を気に入ったのに、カメラはもちろんですがなかなかレンズとの出合いもありませんでした。
そしてある日、店主にこのレンズを薦めてもらい、安いものではないし、解像力の高いレンズは使って気に入らない可能性もあったのですが、この店に魅かれていたわたしは一も二もなく譲ってもらったのです。

甘いレンズばかりで喜んでいてはいけないよ、もっと視野を広げないとね、と薦めてくれたのでしょうか。
今のところ、マイクロニッコールには前のめりになる一方です。
今日の作例は無限遠ですが、解像力が近接より劣るということを見出すことができません。
暗部の表現がすばらしいですし、正面中央の木の葉の緻密さには痺れさせられました。
20世紀前半の人が写真を始めて味わった興奮とは違うかも知れませんが、日々、何か発見を与えてくれるマイクロニッコールはほんとうにエキサイティングなレンズです。
【M6/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/03/23 Sat

他的全部

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マイクロ・ニッコールC5cmF3.5に関してネット検索してみると、その情報元の参考文献として、朝日ソノラマの「レンジファインダーニコンのすべて」をあげているものが散見されました。
やや古い本のようですが、入手可能でしょうか。
アマゾンで検索すると、1990年発行のハードカバー本で定価4000円のものが8000円くらいから売られています。
コレクター向けの本は、絶版となるや価格上昇してしまうのは致し方ないところですね。
さらに検索してみるともっと安いものもちらほらでてきました。
町田の古本屋さんで4000円というのが見つかり、電話すると取り置いてくれるというので、今日仕事の帰りに立ち寄って買って来ました。

カメラ、レンズにアクセサリーまで、紙数の都合もあるでしょうから概説というレベルかも知れませんが、初心者のわたしには参考になる内容に思えます。
まずは町田駅からの小田急の各駅停車に揺られながら、マイクロニッコール他、何本かのレンズのとこを読んでみました。
前夜に検索したプレミアが付くような絶版本がもう次の日の通勤電車の中で読めてしまうのですからありがたいことです。

マイクロニッコールでは、先日記載した製造数にどうやら誤りがありましたので、そのまま転載するかたちで訂正します。
「製品番号は523000番台から524500番台くらいまであり、欠番もあるので1200本くらいの製造といわれている。そのうち、約900本がニコン用で他はライカ用らしい」。
先般はライカマウント200本と書きましたが、300本にお詫びとともに訂正いたします。

また、フードの写真が大きく3つも載せられていて、かつ、このフードのちょっと特殊な取り付け方法まで丁寧な説明があるのがすごいです。
このフードは、絞りリングに連動させてフード側で絞り値を変更できる優れたアイテムであることからそれを強調したかったのだと思います。
ところが、このフードは希少品で、わたしも持っていませんし、これだけ単独で入手する可能性はほとんどないでしょう。
その写真を拝むことができるのはありがたいのですが、所有しないものの取り付け方法を読むのはむなしい気持でもあります。

ちなみにこのフード付きのマイクロニッコールが某サイトで4000ドル弱で売られていますが、さすがにこの値段ではいくらフード付きでもわたしには手は出ません。
ライカマウント版わずか300本だけの製造で、珍品フード付きの超高性能、35mm版初のマクロレンズとあれば、けっして高くはないかも知れないとは承知はしていますが。
【M6/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(2) | 2013/03/22 Fri

従第25夜

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マイクロニッコール5cmF3.5比較的新しいレンズですし、現存するメーカー、というより今でも世界最高の光学メーカーのひとつとして君臨することもあって、比較的豊富に情報を得ることができます。
加えて、熱心なファンやコレクター、研究者が多いのが日本光学、ニコンの特徴で、それはライカと双璧と言っていいのではないでしょうか。
問題は、ニコンF以降のレンズに関するものがほとんどで、S型以降の情報がなかなか見つからないということなのですが。

クラシックカメラ選書の「ニッコール千夜一夜物語」は全28夜からなる単行本ですが、この中でもニコンSレンズがテーマになっているのは3夜だけです(Sレンズ率10.71%)。
①3.5cmF1.8、②5.0cmF1.1、③8.5cmF1.5の3本で、残念ながらマイクロニッコール5cmF3.5はメインで扱われていません。
しかし、Aiマイクロニッコール55mmF2.8は二夜にわたって取りあげられていて、その前身のレンズとして5cmF3.5の方にも大きく言及があります。

中には、たいへん興味深い記載があって、例えば、なぜマクロではなくマイクロニッコールという名前になったのかが書かれています。
詳しくは実際に本を読んでいただきたいですが、マイクロニッコール開発等時、マクロ撮影という言葉が原寸大以上の撮影と定義されていたため、ニコンSではそこまでは無理だとマクロを冠することを謙虚に断念したと書かれています。
他のレンズとは違うというどちらかと言えば、傲慢な態度からひちり違う名前を付けたのかと思っていただけにこれは意外でした。

また、これはよく言われていることですが、先行したアメリカのマイクロファイルシステムの解像度はさほどでもなかったのは英文(cとeの区別)を判読できればよかったのが、日本では漢字を使っていたので(特に当時は画数の多い旧字が使われていた)、最高レベルの解像度が要求されたということで間違いないようです。
そこで面白かったのが、ドイツの基準はアメリカより若干厳しかったということで、その理由をドイツ語独特の点々であるウムラウトを判別する必要があるからではと推理しているところです。
このほか、往時のレンズ開発にはいろいろなエピソードが絡んでいて、興味は尽きません。

さて、今日の作例のおばあさんは、高解像力のすごさをいちばんに思い知らすものでした。
おばあさんのしわだらけでも艶々した顔や着古した服の質感は今までに体験したことのないリアルさです。
解像度が高いということはシャープに見せるというだけではなく、質感までも正確に伝えることなのだなとようやく気付かされました。

背景はややボケているので当たり前ですが、それを割り引いても立体感がないということはなさそうで、マクロレンズは平板に写るということでもないように思います。
解像力が高ければそれだけすべてを正確に再現するからでしょう。
心地よさすら感じるようになってきました。
【M6/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/03/21 Thu

蛋糕与泰国菜

M6/Micro-Nikkor.C 5cmF3.5
先週、鎌倉にイチゴ飴の屋台を見つけて、F1.5の甘い描写のレンズを連想して興奮したくらいですから、わたしは甘いレンズが基本的に好みです。
表現として面白いということはありますが、それよりも、それぞれのレンズがレンズ発展史の中で担った役割に強く惹かれます。
戦前の新種ガラスもコーティングもなく、コンピュータどころか計算機すら存在しなかった時代、設計者たちは持てる知識を駆使し、夢を追い求めて新しいレンズを完成させました。
F1.5まで口径を広げたのはオーバースペックで、どのレンズにも収差は残りましたが中心部の描写はすばらしく、その見返りとして補正できなかった収差はレンズの個性ととらえることができます。

もちろん収差はすべて補正されているのが理想です。
中心はシャープだが周辺の収差が犠牲になったのは仕方ないと受け入れられないのであれば、絞って使うか暗いレンズに切り替えるか、オールドレンズを無視すればよいだけの話しです。
オールドレンズの愛好者には心にゆとりのある方ばかりだと感じられるのは、そういう理由があるからだとも言えます。

では、解像度のあまりに高い今回のマイクロニッコールは、オールドレンズファンには受け入れがたいレンズなのでしょうか。
好みではないと一蹴する人があってもそれは仕方のないことですが、案外と受け入れられるのではないかと思います。
オールドレンズファンはけっして性能の悪いレンズを求めているという訳ではないからです。

高性能のレンズを設計することが困難だった時代においては、考えられうる限りの最高性能だったレンズが、ゾナーでありクセノンやセプタックであるわけで、収差の犠牲のもとに達成された美点とその収差の双方を楽しむ愛好家が、その当時、無収差のレンズがあったとすれば尊敬こそすれ、それを理由に嫌ったりということはないでしょう。
イチゴのケーキが好きで毎日食べている女の子が、ある日激辛タイ料理を食べて、案外激辛もいけると思うかも知れないというのはあまり的を射ていない例えかも知れませんが。

そういうわたしも、まだフィルム2本撮っただけでまだ先のことは分かりませんが、かなりの好印象を持ちました。
心配していた、某社の40mmF2.8とか75mmF2.5という新しいレンズを使った時のような拒絶反応は起こりません。
これらは、コントラストの高さによって画像をシャープに見せるようなレンズでしたので、解像度の高さによるよりストレートなシャープネスのマイクロニッコールはまったく異質でだからでしょう。

れんずまにあさんからの情報では、等倍においてマイクロニッコールの真価が発揮されるようです。
せっかくEVFの搭載されたX-E1や39mmのエクステンションチューブがいくつかあるので、等倍撮影には挑戦しなければなりません。
いきなり等倍とは言わなくても、1.5フィートの近接撮影は早速試してみなけれはと思っています。
【M6/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
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Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(2) | 2013/03/20 Wed

太貴不会売完

M6/Micro-Nikkor.C 5cmF3.5
今回お見せしている作例からでは、マイクロ・ニッコールのすばらしさは伝わらないかも知れません。
このレンズの最大の特長はずば抜けた解像力にあるのですが、圧縮させたディスプレイ上の作例ではそれはよく伝わらないと思われるからです。
撮影はT-Max100でおこないDVDに焼いてもらったプリントを等倍にて見ると、その圧倒的な解像度には驚かされました。
たいへんに緻密で、中判か大判の写真を縮小した作例のような感じすら覚えたほどです。

実は、自身のブログに出すよりもはやく、写楽彩画像掲示板に紹介させていただきました。
そこで、レンズ愛好家の中ではその博識において第一人者であるれんずまにあさんから、望外とも言えるコメントをいただきました。
名だたる高解像標準レンズとの比較で、等倍でダントツ、遠景でもほぼ最高レベルと評され、間違いなく最高の一本のひとつだと思うと結ばれています。
手前ミソになりますが、これ以上ない賛辞につい興奮してしまいました。

また、ノンライツにおいては右に出る者なしのT-REXさんからは、まだ使ったことがないとコメントいただきました。
それでも、いいレンズだと思うと直感されていて、小さな作例から情報を引き出すその眼力はさすがです。
このレンズをお貸しして、どのような感想を持たれるかうかがいたいものです。

さて、昨日書きもらしたレンズ構成ですが、4群5枚のクセノタール型が採用されています。
ダブルガウスの3群目の2枚貼り合わせを曲率の強い1枚で済ませている構成です。
なぜ、日本光学では、ダブルガウスではなくクセノタールを採用したのか、たいへん興味深いところです。
その理由までは分かりませんが、そもそもニコンS用のレンズでダブルガウスが採用されているレンズはほとんどないことに意味があるのかも知れません。

35mmF2.5は典型的なダブルガウスですが、50mmF1.4(後期型)や50mmF1.1は枚数を増やしたガウス変形で、恐らくそれ以外にガウスタイプのレンズはないのではないかと思います。
マイクロ・ニッコールでもダブルガウスで設計するところを、何かの理由からあえてそれを避けて1枚減らすことでクセノタールにしたという可能性はないのでしょうか。
たとえば、ライバルのキヤノンがガウスレンズを次々と投入する一方で、日本光学はゾナータイプで勝負しているイメージが強いので、ガウスタイプのレンズを出すことは日本光学の敗北を認めたことになるとの不文律が社内にあったとか…。

このレンズには、5枚のうち4枚で新種ガラスが使われているそうです。
1950年代では恐らく新種ガラスを使うこと自体が高級レンズであるということを意味していたはずですが、通常は1枚か2枚しか使っていません。
ズミクロン50mmも2枚だったと思います。
あるいは、新種ガラスを4枚使ったことにより、5枚構成で間にあったということがあるのでしょうか。

いずれにしても新種ガラスを4枚も使えばそうとうに高価だったはずで、実際、マイクロ・ニッコールは高性能にも関わらず高過ぎてまったく売れなかったと記録が残っているようです。
1500本製造が本当であれば、1ロットだけしか製造されなかったとも考えられます。
1500本作ってみたけれど全然売れずに倉庫に残ったまま。
仕方ないので、まだ売れるかも知れないライカマウントにつくりなおして見たものの、それでもやっと200本がどうにか市場に出ていっただけ…、ほんとにそんなだとしたらとても残念です。
【M6/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(2) | 2013/03/19 Tue

日本光学微鏡頭

M6/Micro-Nikkor.C 5cmF3.5
さっそくレンズのことを紹介させていただきましょう。
M6に付けていたのは、日本光学のマイクロ・ニッコール5cmF3,5です。
オリジナルのライカマウント版で、クロームの沈胴鏡胴なのですが、フォーカスリング部分だけブラッククローム処理された風変りなデザインをしています。
フォーカスリングの距離表示はフィートのみで、無限遠から3.5フィートまで距離計連動、ヘリコイドはさらに繰り出され、連動こそしませんが1.5フィートまで近接の撮影可能です。

その連動しない近接部分を分かりやすくするためか、距離表示の数字は白文字ですが、近接部分は赤い文字で目立たせています。
ところが、通常の遠距離の∞ 50 30 20 15 12 10…という表示はあまりに接近して刻印されているため、非常に見にくくなってしまっています。
少なくともわたしの目にはこの表示は役立たずですが、使用者にもマイクロな視力を要求するレンズだということなのでしょう。
ただ、ニコンSマウント版ではヘリコイドがカメラ側にあるので、当然レンズには距離表示がないことは申し添えておかなければなりませんね。

フィルターサイズもかわっていて、34.5mmというサイズのものが必要です。
さいわいにもライカにエルマーなど用に多く使われているA36サイズのものもフィットしますので、今回、ライカ用のSOOGZというレンズ側がA36サイズで39mmのフィルターを付けられるアダプターで代用しました。
このアダプターは12mmほどの高さがあるのでフード効果も期待できるので、わたしはよく使います。

ブラックのM6にフィルターアダプターのSOOGZがクローム、レンズ先端部もクローム、沈胴部分もクローム、フォーカスリング部分がブラック、マウント部分がクローム、M/Lリングがクロームと、すっかり外観はパンダになっています。
フォーカスリングだけ黒いレンズというのは、特殊なレンズだという雰囲気濃厚になります。
ニコンS用はフォーカスリングがない分細身でブラックになっておらず、普通の沈胴レンズにしか見えないのではないかと思われ、目立ちたい人はライカマウントを持つと好いでしょう。

発売は1956年で少なくとも1967年のカタログにも載っていたようですが、製造本数はわずかに約1500本と言われています。
うちライカマウントは、わずか200本というので、これは相当にレアなレンズだと言えます。
そんなレンズを幸運にも入手できたことで、一刻もはやく使ってみて、作例を見てもらいたいと異例のスピードで今回アップさせていただいたのです。
【M6/Micro-Nikkor 5cmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikon Micro-Nikkor.C 5cmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/03/18 Mon
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