特別招待

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
横浜開催のカメラ&フォトイメージングショーであれば、誰か知り合いに会ったりするのではと、期待半分心配半分で出掛けたのですが、来場者がものすごい数だったのでそんなことを気に留めている余裕はありません。
実際、ksmtさんも同じ日に行っていたようですが、時間がずれていたのか会うことはありませんでした。
金鏡胴のペッツパールで撮影していたようですので、見かければすぐに気付いたはずです。

www.ksmt.com にその作例が載せられていますが、皮肉なことにフォクトレンダーのペッツパールの説明で「これではシャープすぎて毛穴やシワが目立つので、ソフトフォーカスレンズが開発されたのだと思います」と書かれています。
では、そのソフトレンズはどうかと言えば、もちろんきちんと使いこなせば、女性のアラを消しつつ雰囲気のある絵をつくるのですから説明のとおりですが、作例のようにうまくいかないとモデルをがっかりさせるばかりです。

昨日も書いたように、カメラを持った人たちがモデルを中心に大きな人垣をつくっているので、広角ではこの大きさでしか捉えることができません。
リュオ・キノでは、かなり寄らないと球面収差が大き過ぎて、作例のように顔がかなりぼんやりになってしまいます。
左に入っている手前にあった緑の置き物は像面湾曲の影響でピントが合ってシャープに写っているので、なおのこと美女がボケでいるように見えます。
照明がきれいに当たっていれば結果も違ったのでしょうが、ドレスが美しく再現されているだけにちょっと残念です。

ところで、今回いただいた招待状はプレミア・チケットとなっていて、首から提げるパスにもはつきりそう記されていました。
ほとんどの人が一般と書かれたパスを提げていたので、VIP待遇があるのかと期待したもののそういうことはありませんでした。
ところが各メーカーのブースでモデル撮影しようと端の方で悪戦苦闘していると、モデルがこちらを向いて笑顔を作るということが1度ならずありました。
これが、プレミア・チケットの威光だったのかも知れません。

そういえば、知り合いと言ったらおこがましいですが、出展者側の方で知っている方に会いました。
カメラ雑誌の編集長をされていた方で、カメラメーカーの新製品や動向にたいへん精通されています。
ここに詳細を書けないのが残念ですが、短時間にいろいろな話を聞くことができました。
いずれもわたしには縁遠い話ですが、このとき聞いたことがCP+で得た最大の収穫だったのかも知れません。

この方のような立場だと言いたいことも含みを持たさないといけなかったり、メーカーとユーザー双方に気遣いしながら執筆しなければならずと、主張ばかりしている訳にはいかなくなるようです。
うまく撮れないとジタバタしつつも、勝手放題していることがなんて楽なのかと教わるようでした。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F1.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(39) | comment(0) | 2012/02/14 Tue

一片的招待卡

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
レンズの仲間から、よかったらどうぞと招待状をもらいました。
カメラ&フォトイメージングショー、通称"CP+"、カメラメーカーの展示会のようなものですね。
最新機種、話題の機種を手にとって楽しめるカメラファンならぜひとも足を運びたいイベントです。

ただ、わたしは新しいカメラに興味がないというか、無関心を決めこんで新製品の誘惑を断ち切っていますので、不参加のつもりでした。
しかし、せっかく招待状をいただいて、会場も横浜と近いので、深入りせずにちょっと覗く感じならよいだろうと、用事ついでに出掛けてみることにしました。
そんな具合なので、CP+の最新情報とか、そういうものは一切ないことをあらかじめ申し上げておきます。

向かったのは土曜のお昼でしたが、会場はものすごい人出で、もうこの時点で戦意喪失状態でした。
ここまで来たので、少しはカメラとかレンズとか触ってみて、最新の何かを感ずるくらいのことはしようとか考えていたのですが、人の多さに圧倒されてカメラやレンズには一切触れませんでした。
レンズアダプターメーカーが出展していたので、触れたのはそれらアダプターだけ、あとその責任者の名刺をもらったくらいです。

出掛けた目的は、前々週にとりあげた謎のレンズ、リュオ・キノで撮影することでした。
ソフトフォーカスレンズだということが分かったので、ぜひ美女モデルを撮影してみたいと考えたのです。
モデルがいるかどうか尋ねると各メーカーそれぞれに出ているとの情報が得られたので、これはリュオ・キノの活躍の場がやっと見出せると期待して向かったのです。
その情報では、これほどまでの人手になるなんてひとことも触れていなかったのです。

CP+に行くのは、みんな新製品が見たいからというのが第一の理由でしょうが、それ以上にモデル撮影が目的になっている人が多いようでした。
メーカーごとのステージにはカメラをかまえる人が取り巻いていて、まつたく近寄ることすらかないません。
みんなズームのついたデジタルカメラで撮っているので距離が開いていても問題ないようですが、広角のリュオ・キノではばーんとモデルの前に歩み出て2メートル以内での撮影を試みないといけません。

作例こそが、唯一できた接近戦で、ソフトレンズなので照明が強く当たっているとよいのですが、そんなわがままは言えません。
舞台の袖側から強引に身を乗り出してやっとこの程度なのですから。
暗く、地味な作例ですが、ようやくリュオ・キノ本来の描写のはずのポートレイト・ソフトフォーカスを撮ることができました。
でも、この麗しきモデルさんが、持っているのはなんなのでしょう、それにこのブースはどこのメーカーだったでしょう、まったく思い出せません。
やはり、わたしは、このような場に不似合いな人間だったようです。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F1.5】
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RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2012/02/13 Mon

広角THAMBAR

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
中国の甘味処で液晶をずっとチェックしていると、あることに気付きました。
リュオ・キノは広角のタンパールなのではないか。
ちょっと気付くのが遅過ぎという気もしますが、よく写らないことにあせって、最初からソフトフォーカスレンズとして設計されたレンズだと言うことを頭から排除してしまっていたのでした。

球面収差の補正について、リュオ・キノではまったくの補正不足と宮崎さんが書いていましたが、タンバールでは大きく過剰補正しているようです。
開放の場合、補正不足でも過剰補正でもその幅が同じであればボケ量も変わりません。
ちょっと絞った時には過剰補正の方が、解像力やコントラストが良好になります。

もうひとつ、補正不足では前ボケが小さく後ボケが大きくきれいに、過剰補正では逆に前ボケが大きくきれいに後ボケは小さく汚なくなります。
リュオ・キノでは思い切り寄った方がいいという理由がここにあるようです。
42mmF1.5と90mmF2.はボケ量などのスペックでは同程度と言えるので、両者の描写はかなり似て見えると思われますが、彼我の差を意識して違いを浮き彫りにしなくてはいけません。

ということで、今までのような距離を置いた人物スナップだけではダメで、ポートレイト風のものも撮らないといけません。
ミス大鵬とか、古鎮娘とかいないかと探したものの見つからず、清代のコスチュームでチケットのもぎりをやっていたおじさんにモデルをお願いせざるを得ませんでした。

このおじさん、写真を撮らせてと言っているのに、チケット拝見と言ってわたしが入場料を払っていることを確認してから、やおらポーズを決めてみせます。
仕事に忠実なことに感心せざるを得ません。
顔が小さくなってしまうと大きな球面収差でぼんやりし過ぎてしまうことが分かっていたので、おじさんにぐいっと寄ります。
おじさんが、おじさんににじり寄るシュールな姿を想像すると、今になって鳥肌が立つ思いです。

ちょうどスポットライトが当たっていたので、帽子を被った顔よりも、槍の方をそちらへ誘導してみました。
寄りがまだまだ足りなかったかなと思われるものの、おじさんが少年のように写っていて、これは思惑が当たったかなと感じました。
次回は、美人モデルで、もっと至近から撮るのが課題になりました。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2012/02/08 Wed

回看美人

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
リュオ・キノ4.2cmF1.5は、4群4枚のエルノスター型だと書きました。
エルノスターは、よく知られているとおりトリプレットの発展型で、ベルテレによって2種の4群6枚のエルノスターが商品化されて、エルマノックスという室内でも撮影可能な小型カメラに搭載されて普及したことで有名になりました。

エルノスターは、ベルテレ自らの手ですぐにゾナーに発展したので意外にも短命です。
しかし、同型のバリエーションが中望遠クラスの明るいレンズに多く採用され続けたことで、エルノスター型というカテゴリーは未だ現役のレンズ構成として生きています。

ところで、冒頭に書いた4群4枚のエルノスターは、トリプレットの1枚目と2枚目の間に凸レンズを配しただけのシンプルな構成のため、エルノスター基本形と呼ばれています。
このタイプのレンズで最初に世に出たのが、ガンドラック・ウルトラスティグマットで、この珍レンズを入手したときに嬉しさのあまり何度もそのことを書いています。
このタイプは、シネカメラ用にいくつかのメーカーで発売されているようですが、ようやく手に入れた2本目がこのリュオ・キノということになりそうです。

前述のようにエルノスターはずっと発展しましたし、ゾナーやプリモプランという弟妹も産んでいます。
エルノスター原型は、廉価版という位置付けではないかと思います。
ところが、この型でとても有名でかつほとんど知られていない高性能レンズがありました。
ライカKE-7Aの標準レンズ、エルカン2inchF2がそれです。

わたしも同じエルカン2inchF2を持っていますが、構成の違う別のレンズです。
KE-7A用のエルカンはわずかに500本ほどしか製造されていないため、わたしも見たことがありません。
ズミクロンに次ぐシャープなレンズとの噂ですが、実際はどうなのでしょう。


さて、作例ですが、大鵬所城にあるスィーツ屋さんからです。
去年は涼茶屋さんで体によいお茶をいただきながら店主と雑談に嵩じたりしたのですが、この時は春節休みで開いていません。
そこで見つけたのがこの中国伝統のお菓子を出す店でした。
お菓子は店の前の屋台で販売していて、普通はそのまま歩きながら食べるようですが、わたしは休憩が目的なので店内でゆっくり味わいました。

6~7種類のお菓子が並んでいましたが、ちまきを除くと見たことないものばかりです。
この地方の伝統的なものなので、一般の中国人にも知られていないようで、店内の壁に説明書きがありました。
日常的に食べるものではなく、中秋節で月餅を食べるように、祝日やお祝い事のあった時に家族総出でいっぱい作って家族や親戚などがみんなで食べるような類のものがほとんどでした。
縁起物ですね。

店番の女の子は、休暇で帰省した大学生風で、ちょっと慣れてない感じの仕草が可愛らしくて、スナップさせてもらいました。
今までのF2からF1.5開放に戻しています。
休憩中、今まで撮った絵を見ていて、開放でもピントが来ていると気付き、どうすれば良いのかというヒントも得られたので試してみたということもあります。
そのヒントは裏付けられたかと思ったものの狙った通りではなく、もう少しの突っ込みが必要なのだと確信にいたりました。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2012/02/07 Tue

快巴的故事

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
リュオ・キノの開放からF2では、強い球面収差の影響で激しいハロが出ます。
作例でも分かるように、原色のものもパステル調のように転じて、これはこれば面白い表現だと思います。

長い風船を膨らませてキュッキュッと曲げたりひねったりして帽子とか動物とかをその場で作っていて、子どもたちに人気でしたが、このシーンが今回、唯一のカラフルなシチュエーションでした。
楽しい場面ですが、子どもの顔もハロで霞んで画面の中に沈んでしまいます。
こんな中でポートレイトにするには、顔に太陽光があたるなどハイライトにする必要があるかと思います。


子どもにハイライトと言えば、思い出したことがあります。
ここ大鵬へ向かう急行バスに乗っていた時のことです。
これは路線バスですが、急行ということで観光バスのような車体が使われていて、完全座席制になっています。
つまり立ち乗りはできず、座席が埋まると途中のバス停は通過していってしまうのですが、しばしばこのことでトラブルが起きるようです。

この日は、どかどかと大人数が乗って来て、車掌の女の子と大もめになっていました。
どうやら彼らは15人で乗り込んできて、座席が14しか空いていてないので降りるように言われているようです。
ひとり床に座るからいいよと言い、それはできませんと押し問答になっています。

そういえば昨年、中国で定員をはるかに上回る人数の園児を乗せたマイクロバスが事故を起こし、何十人もの幼い命が一瞬にして奪われたとの報道がありました。
日本でも非難が巻き起こりましたが、中国国内でも大問題となっていました。
この事故が契機になって、政府が定員オーバーさせたら営業停止させるぞなどと各バス会社にお達しを出したのではないかと想像してしまいます。
以前なら平気で乗せてましたので。

ところが、15人組の乗客は勝手に席に付いてしまい、梃子でも動かんとばかりまだ17~8歳にしか見えない車掌とやりあっています。
バスの運転手も車を停めたまま成り行きを見守っています。
5分以上双方大声でやり合っていたのではないでしょうか。
まったく進展ないままに待たされていい加減うんざりしていると、次のバスがすぐ来るからとうながされた床に座っていた男性が、オレ、そうするわと降りていきました。
まわりは、そんな必要ない、戻れと言い続けますが、彼が降りたタイミングで運転手はドアを閉めてさっさと出発してしまいました。
やれやれです。

ところが、この発進が残った仲間たちの怒りに火を付けてしまったようで、次々と大声でまくしたて始めました。
訛りがきつくて何と言っているのかよく分からなかったのですが、たぶん、所謂放送禁止用語も混ぜて運転手を非難していたようでした。
この騒動の最大の被害者は、かくいうわたし自身だったのです。
中国ではバスの座席は前の方から埋まりますが、わたしは空いている後方に座席をとるのが常です。
このときもひとりゆったり座っていたのですが、そこへ例の15人組がやって来て取り囲まれるように座って、大声でがなりたてているのですからこれはたまりませんでした。

かれらは乗車中ずっと怒鳴り続けていました。
1時間近くも怒っていたのかと思えばそうではなく、いつの間にか15人全員でおしゃべりし出したため、ずっとわたしの頭上を大声が飛び交っていた状態だったのです。
最近、マナーの向上してきた中国のバスの車中ですが、これは、今まで経験したことのない苦痛をともなうバス旅になってしまいました。

そんな中、もうすぐ大鵬に到着という山間の道で、その事件は起こりました。
15人のうちの唯一の子どもだった幼稚園児くらいの男の子が突然大声で泣き叫び出したのです。
あららー、見ると、山道の揺れに耐えられなかったようで、朝食べたご馳走を全部ぶちまけていました。
しかも、かなり豪快にやったようで、隣のおじいちゃんは頭からそれをかぶって、ひきつったつくり笑いを見せています。

偉いおじいさんをこんな目に合わせてしまってと、みんなシーンと静まり返って頭から服から内容物を拭ってあげていました。
到着直前になって初めてパス内が静かになった瞬間です。
車内で他の乗客に迷惑をかけ続けた報いというものでしょう。
そう思って少しは反省してくれるといいのですが…。

さて、バスが大鵬に着いてバスを降りると驚くべきことが起こりました。
バスの外に15人組の一員の先にバスを降ろされた青年が待っていたのです。
後方を見るとわたしたちのバスの後方に同じ急行バスが停まっていて、どうやら次のバスがわれわれのバスに追い付いていたようでした。
後のバスは乗客が少なかったようですし、我々のバスはもめた時に何分も停車していたので、こんなことになったようです。
わたしの方が降りて次のバスに乗ればよかったのかと、このときになって気付かされました。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2012/02/06 Mon

裂開飛

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
昨日の野菜少女は順光でしたが、180度反対方向のシャボン玉少女はかなりの逆光になります。
ノンコートの収差レンズにはあまりに辛い条件ですが、レンズの写りを見るのには格好です。
もともと逆光にはたいへん弱いからということで、宮崎さんはサービスでフードまで作ってくれていたのですが、それがどれほど役立っているのかまでは確認していません。

というのは、そのまま撮ると作例以上に真っ白になります。
いつもどおり左手でハレ切りして、やっとここまでコントラストを取り戻しているのです。
壁や赤い服は、それなりにシャープに写っているようです。

面白いのは、シャボン玉そのものです。
このレンズの描写から、もっとふわっとしたものになってもよさそうなものなのに、ぼてっとした白玉になっているのが予想を裏切っています。
それに玉がすべて一対になっているのも奇妙です。
球面収差とコマによる大きな滲みが、本体を飛び越えて離れた位置で発生してしまったのでしょうか。

もつと違った理由に基づく現象の可能性も高いと思います。
こういう作例は、ぜひ宮崎さんに見ていただいて、原因究明したいと思っています。
ボケも幻想的な雰囲気ですし、少女の左手が不思議なハロとともなう、とてもユニークな1枚になりました。

連日、リュオ・キノは謎のレンズだと書いていたところ、ksmtさんから情報をいただきました。
Vade mecumのErnemann Ernostarの項目に興味深い記述があると言うのです。
そのレンズは、3枚のガラスを大きくすることによって、F1.5以上の明るさにできうと書かれています。
リュオがエルノスターより先にF2レンズを開発していたということです。
また、そのレンズは、トリプレットの変形だと言うことです。

こういった記載は少しあいまいで、上記の訳が正しいのかもよく分かりません。
ksmtさんは、リュオが4群4枚のレンズをエルネマンに卸していたものの、ベルテレはこのレンズに不満だった。
そこで、1群目2群目を貼り合わせに改良して、独自のエルノスターレンズを設計した可能性もあるとたいへん興味深い推測をしています。

なるほど、ksmtさんらしい鋭い読みです。
ベルテレは、エルノスターをひとり設計したことになつていますが、もともと畑違いの素人なうえに弱冠23歳で一から設計というのはいかにも不自然です。
トリプレットを研究したとしても、いきなりエルノスターまで飛躍できるものでしょうか。

エルノスターの原型が先にあって、それを改良してF2のエルノスターを完成させたのだとすれば、かなり納得できるところです。
あくまで推測の域は出ませんが、その可能性を探る価値は十分にあると言えます。
と、同時に、謎ばかりだったリュオ・キノに、それを解きほぐす作例のような光が一筋見えてきたように思います。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2012/02/05 Sun

好辣

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
訂正しなければいけないことがあるのに気付きました。
"Ruo-Optik"と刻印されていると書きましたが、厳密にはわずかに違っていました。
"u"の上に2つ点があって、これはドイツ語でウムラウトというそうです。
ドイツの都市、Dusseldorfのuの上にも付いていて、これはデュッセルドルフと表記するので、Ruoもリュオがより近くなるでしょう。
以降、リュオ・キノと呼ぶことにします。

もしかしたらと思い、RudersdorfではなくRuedersdorfで検索すると、Ruedersdorf bei Berlin という地名が見つかりました。
ウムラウトは、英語表記ではueになるので、まさにこれに違いないでしょう。
Frrankfurt am Meinと同様、ベルリン近郊のリューダーズドルフという意味なのだと思います。

ただし、分かったのはここまでです。
ツァイスレンズの電話帳と呼ばれる、"Produktionbuch Photooptik Carl Zeiss Jena"という細密なシリアル番号表がありますが、この著者(編者?)である Hartmut Thiele は、他にも何冊ものレンズに関する出版物を発刊しています。
そのうちの一冊が、"Deutsche Photooptik von A-Z"というドイツレンズの詳細な一覧です。
かなりマイナーなメーカーやレンズも掲載されていて、リュオのレンズも14種が出ているのですが、残念ながらキノという名前は見当たりません。

それでも、よく見ると"Caleinar"というレンズがヒントを与えてくれそうです。
F値F1.5-F1.8、焦点距離25-250mm、レンズ構成4群4枚、初出1930年、使用目的"lichtkstarkes objektiv"。
スペックや年代が一致しているので、このカライナー(?)とキノが同じレンズである可能性はそれなりに高いと思われます。

使用目的の"lichtkstarkes objektiv"というのがよく分かりません。
英語にすると恐らく strong light objcctive で、たぶん明るいレンズという意味になるのだと思いますが、これでは使用目的とはならないので、ここは単に備考としてそう書かれただけなのかも知れません。
Thiele氏にも何のためのレンズかは分からなかったのでしょうか。

ちなみにリュオでは、"Paritar"というレンズが、F値F1、焦点距離50、75、100mm、レンズ構成5群5枚、初出1933年、使用目的35mm映画または写真用として掲載されています。
貼り合わせのない5枚のF1の超大口径で35mmフルサイズのレンズが、1933年に発売されていたというのは脅威です。
4群4枚のエルノスター、つまりはこのリュオ・キノに1枚付加して改良したのでしょうか。
たいへん興味深いですが、こんなレンズほんとうに世に出たのか、検索しても手掛かりすら得られません。


さて、今日の作例ですが、お昼前に野菜を切って料理のお手伝いをする女の子です。
背中を向けていたので、すぐ隣に腰掛けてずっと観察させてもらいましたが、5~6歳と見える少女にも関わらず、慣れているのか手さばきが見事で、驚かされました。
なにより真剣な後姿に惹かれます。
ひとりっこ政策の中国では子どもは甘やかされてばかりですが、地方ではまだまだ家の仕事を手伝う小さな子たちの姿を目にすることが多く、ときに胸を熱くすることもあります。

レンズ描写も、F2になると開放よりはだいぶ先鋭ですが、それでもハイライトの滲みはだいぶ残っています。
また、これまであまり感じられなかった4隅の同心円状の流れがわずかに見えてきています。
しかし、この1枚は、このレンズの使い方についてある示唆を含んでいました。
それに気付くのはまだしばらく後のことです。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2012/02/04 Sat

媽媽的背上

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
開放ではあまりに頼りなく感じられ、F4に絞ってみるとシャープ過ぎてF1.5のありがたみがなくなります。
おまけにF4では、被写界深度が増したうえに例の像面湾曲も手伝って、パンフォーカスのような写りです。
その変貌ぶりは興味深いですが、コンデジで撮ったような画像を評価するのは難しいでしょう。

そこでF2に変更するのですが、少なくともM8の液晶を確認する限りではかなりいい線いっているようで、しばらくF2を続けることにしました。
今日と明日はそのF2の作例になりますが、フレアの出方などが、例えばセプタックの開放のような上品な雰囲気です。
ピントに芯はありますが、ハイライトに青い色収差がかなり目立ちます。
やはり描写としてはかなり問題があるようです。

今回もマウント改造を引き受けてくれた宮崎さんのカルテを読んでみましょう。
まず、「キノプラズマートよりさらに球面収差がマイナス補正」と強調されています。
グラフを見ると、補正なんてしてないのではと思うくらいカーブが左に反れていますので、これが開放のとんでもない写りになっているのだと理解できます。

また、F値別にコントラストとシャープネスの評価があるので転記します。
     コントラスト                       シャープネス
F1.5 フレアたいへん多く、コントラストひどく低い   良い-
F2   フレア1/2になるもまだ多く、コントラスト低い 良い-
F2.8 フレア1/4だが、まだねむい            良い
F4   あともう少し、コントラストまだ低い         良い++
F5.6 やっと良くなる                     たいへん良い

なるほど、F4で大幅に改善するのがよく分かります。
F5.6でさらに良いようですが、F4の画像でわたしにはじゅうぶんです。
また、色収差は多いとなつていますが、ガラス、みがき、組み立てはすべて良い、色もニュートラルとなっていて優れたつくりのレンズと言えそうです。
そこであらためて思うのは、球面収差の無補正に近い状態です。
これは一体どういうことなのでしょうか。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2012/02/03 Fri

柏林還是南方

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
"RUO Kino"の読み方は、ルオ・キノでよいのだと思いますが、ルオがメーカー名でキノがレンズ名なのかはちょっと自信なく、断言できません。
例えば、RUOとは、Rudersdorf Optikを略したものだと言われていますが(Rudesheimと勘違いして、今日まさにそう言ったのですが間違っておりました。お詫びの上、訂正いたします)、このレンズの名板部分には"Ruo - Optik G.m.b.H."と記載があり、頭痛が痛いではないですが、どうもRuoには別の意味がありそうです。

ベルリンにあった会社とされていますが、Rudersdorfを地図で探すとボンやレバークーゼンなどから100キロほど東にあって、ベルリンからは遠く離れています。
Rudersdorfという小さな村がベルリン近郊にあるのか、実は人の名前だったということかも知れません。
この4.2cmF1.5には、Berlinはもとより地名が一切入っていないのですが。

ルオ・キノには6.5cmF3,5というスペックのものがわりと知られていて、ひところはよく目にしたものです。
eBay等では150ドル前後が相場だったと記憶していますが、珍しさや名前の魅力はあってもライカマウントに改造しづらく、あまり魅力的なスペックとも言えないのでビッドを入れることはありませんでした。
もうひとつ知られていたのが5cmF2.5のルオ・キノで、これはライカ・マウントに改造されたものを持っている知り合いもいましたが、写りとしてはそれほど特徴あるものではないと言っていたような記憶があります。

そんな認識でいたところへ、ある日忽然と4.2cmF1.5がeBayに登場しました。
黒塗りのノンコートレンズでF1.5ということで、外観上、スペック上、キノ・プラズマート型ではないかとの憶測もあり、関心を持ったのですが、入札に挑戦するとわずか700ドルほどで落札してしまいました。
当時はまだ今のようにレンズ価格が高騰していなかったのと、レンズがマイナー過ぎて見つけられなかった人が多かったからでしょう。
今出せば、3000~5000ドルくらいにはなるのではないでしょうか。

到着したレンズは、すぐにキノ・プラズマート型でないことが分かりました。
まず後群が1枚のみと分かったからです。
また、前群も貼り合わせなしの3枚とすぐ分かりました。
4群4枚ですので、スピーディック型かエルノスター基本型のどちらかだろうとすぐに気付きます。
スピーディックの場合、絞りは真ん中のはずで、後群が1枚というのは不自然なので、エルノスターと断定しました。

ただ、情報はそれっきりです。
メーカー名ですら前述のとおり、何ら分かっていないので、ましてやこんなレンズのことなど、調べど調べどただひとつの光陰も差してくることはありません。
外観から戦前のものだろうと想像はつきますが、製造年代を特定するヒントもありません。
名前からシネレンズだろうとは察しは付きますが、どのカメラとまで予想させるヒントはありません。
ただでさえ謎だらけのレンズで、撮影結果から何か分かることがあるのではと期待しましたが、作例を見てご理解いただけるでしょう、何かが分かるどころか、謎がより深まるばかりでした。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2012/02/02 Thu

焦点在哪里

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
前日、前々日の作例はひどいもので、ピントが合っていません。
前々日では左端手前の壁に、前日では右上の樹にそれぞれピントが来ていて、狙っているはずのもっと遠方の人物はボケてしまっています。
M8のモニターをチェックすると、この2枚だけでなく、ほとんど、いやすべてがこんな調子でした。
連動に問題があるのか、レンズがわずかに前に取り付けてあって前ピンになっているのか、いずれにしても改造してくれたMSオプティカルのミスではないかと、その時は考えてしまいました。

いくらなんでもピンボケだけでブログを続けるわけにはいきません。
F4に絞って撮影を継続することにしました。
42mmF4になると、これほどまでに深度がひろがるものなのでしょうか、少なくとも被写体の前後は余裕でカバーしてくれます。
シャープネスは飛躍的に向上して、コントラストも大幅改善、解像度もどうやら上がっているようで、すばらしい写りです。

気を取り直してF4で撮り続けましたが、すぐに飽きてしまいました。
いつも開放一筋なのに、F4の画像は出来過ぎで、意味なく絞って撮っていても楽しくないのです。
それでF2に変更し、しばらくまた撮り続けることになります。
そして、途中の休憩時にモニター画面を見ていて、あることに気付きました。

それは、前日、前々日の作例の後方のピントを合わせた人物に、ちゃんとピントが合っているという事実です。
申し訳ないことにブログ掲載のサイズではよく分からないと思われますが、拡大された画像を見ると、上方を見つめる少年の瞳や横向きに飲むコップのお茶が写っています。
ところが、ヴェールのような帯が重なっているような状態のためあたかもボケているように見えます。

このヴェールこそ、レンズ特有の収差です。
外側に向かってやわらかく広がっていますが、大きな球面収差とコマ収差が原因でしょうか。
周辺の光源は例のクラゲのようなかたちが出ていて、激しいコマが認められますので上述の収差ということで大きく違うという事はないと判断しました。
意図したものではないと思いますが、ある種のソフトフォーカスレンズを思わせます。

では、手前にピントが合っているのはどういうことでしょうか。
とちらか一方にのみそういう現象が起きていれば偏芯という可能性がありますが、周辺はどこにも現れているので偏芯ではなさそうです。
とすれば、犯人は像面湾曲ということになりそうです。
平面上に結像せずに周辺の像が手前に来てしまう周差です。

休憩中にそんなことを考えながら、はて、どうしたものかと悩みました。
ピントが合う部分も滲む超収差レンズなどと呑気に構えて持ち出したレンズでしたが、ここまで扱いにくいだなんてまったく気付いていませんでした。
じゃじゃ馬? 暴れ馬? とてもわたしには乗りこなせそうもないな、いつになくそんな風に弱気になってしまいました。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2012/02/01 Wed

一家人消失

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
大鵬所城には昨年2月に訪れています。
それが4回目の訪問となっていたので、実に今回の滞在が5回目ということになります。
わたしは、ひとつところに繰り返し出掛けるのは好みではないので、かなり異例のことになります。
それでも訪れたのは、去年の訪問で大鵬所城に住む一家と知り合い、その家族をたずねみようと思い立ったからでした。

門を入ってすぐの古民家に住んでいたのですぐにも訪ねるつもりでしたが、ひと目見て愕然とさせられました。
なんと、家は跡形もなく消えていて、そこは入場券売り場とちょっとした広場に変貌しています。
なんということでしょうか。
怒りがこみ上げてきて、関係ないチケット売りのおばさんに、どうして家を壊したんだ、ここにいた家族はどうしたんだと詰め寄ってしまいました。
もちろん、おばさんはそんなこと知るよしもなく、いきなりいろいろ言われて当惑するばかりです。

あの一家に会えなかったのはかなりショックでした。
子どもたちにとチョコレートを買って持ってきたのですが、それを嬉しそうに頬張る顔が見られないのはいかにも残念です。
また、前回は3月の震災前で、彼らは夫婦揃って近くの原発で働いていたので、福島のことと絡めて聞いてみたいことなどいっぱいありました。
彼らは対岸の火事と考えているのでしょうか。

もうひとつの怒りの原因は、せっかくの古民家を平気でつぶして、意味のない広場に変えてしまう無神経さです。
中国では、オリジナルがないがしろにされ、センスのない改悪をするということをしばしば見かけます。
北京オリンピック前に市内の伝統的家屋や町並みを大破壊したり、山に緑を増やせとのお達しを受けて緑色のスプレーで山中を塗装した等は記憶に新しいです。
たのむからそのままにしておいてくれと、叫びたくなったこと枚挙に暇がありません。

ここで思い出したのは、少し前に小さく新聞に載ったニュースです。
中国の経済NGO団体が、ネパールにある仏教の聖地ルンビニを大規模開発しようと画策しているというものです。
ネパールには中国マネーが入ることで潤い、中国も鉄道を敷設して直通列車を走らせようという計画です。
そういったインフラ整備によって、ネパールの資源を持ち去り、インド近くまで大規模輸送ルートをつくるという軍事的意味があることが指的されています。

同時に、仏教の聖地がブッダ・テーマパークのような施設にされてしまうと、仏教界からは猛反対が起こっています。
ところが、ネパールの要人がすでに買収されていたりなど、余談を許さない状況のようです。
小さな扱いでご存知ない方も多いかも知れませんが、政略と文化的の二重の意味ではっきりNOを言わないといけないことに思います。
すべての仏教国がひとつになって反対していくべきでしょう。
せっかく知り合った家族が忽然と消えてしまったという次元の話ではありません。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2012/01/31 Tue

春節放暇

M8/RUO Kino 4.2cmF1.5
今日からまた、中国深圳の作例になります。
4日間滞在して、1日半の時間がとれたので、何度か訪れている大鵬所城と中国式の初詣に出掛けてきました。
行き先としては、新鮮味に欠けますが、それを補って余りある珍しいレンズを連れ出しています。
このレンズとの悪戦苦闘が、今回の滞在の全てだったかも知れません。

否、悪戦苦闘といえば、もうひとつありました。
今年の中国正月、春節は1月23日で、22日から28日までの1週間が公休日になっていたため、影響を受けることになりました。
影響の度合いとしては大したことはなかったのかも知れませんが、中国の巨大なスケールを考えるとわずかの影響でも個人にとってはかなりの大きさになってしまいます。

成田から香港までの便が、驚くほど空いていたので油断してしまいました。
香港から深圳へ入るには入国審査を受けなくてはいけません。
中国と香港の間では一国両制が生きているので、香港に到着して空港で入国し、香港から深圳へ入る際に香港の出国審査と中国の入国審査を立て続けに受けるのです。

日本の空港にある自動化ゲートのように、香港でも一定の条件を満たして手続きをおこなえば、入出国審査を機械でおこなうことができ、たいへんスムーズに行き来できます。
香港空港は、旅行から戻って来たと思われる中国人でごった返していましたが、前述の手続きは済ませていますので問題ありませんでした。

ところが、香港と深圳の出入国審査ではもろに影響を受けることになりました。
中国人や香港人とは違う外国人用レーンに並ぶので、ここでも影響なしと踏んでいたのですが、各国の華僑や台湾人が多かったらしいのと、中国人でも他国のパスポートに切り替えている人が相当多いようで、たいへんな長蛇の列ができています。
いつも1分から5分、長くて10分くらいで通過できるところが、1時間かかってしまいました。
それが香港の出国で、レーンの多い深圳の入国では30分並び、深圳に到着するまでにへとへとです。
そればかりか、その日の予定もキャンセルになってしまい、そのがっくり具合も疲労の蓄積に一役買うことになりました。

もうひとつの負の影響は、春節休みの店が多かったことです。
これは当然想定されていたことなので、覚悟はしていましたが、例えばいつも食べに行くそば屋さんとかがやっていないと寂しいですし、店はやっていたのにいつものちょっと可愛い女の子が帰省中でがっくりということもあって、なんだか滞在の密度が減ってしまったような気になりました。

大鵬所城のような観光地は、そんなことはありません。
住民の何割かは帰省してしまったのかも知れませんが、地元の人は変わらず生活していたでしょうし、観光客目当ての人には書き入れ時です。
混雑を心配して午前の少し早い時間に出掛けてみました。
ところが、いきなり残念なことを知らされることになります。
【M8/RUO Kino 4.2cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
RUO Kino 4.2cmF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2012/01/30 Mon
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