スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 | --/--/-- --

台湾的未来

M8/Pan Tachar 5cmF2.3
万年筆という共通の言語で買い物を愉しんだ後、台湾での最後の晩餐なので、値が張っても旨いものを食べようと意見が一致しました。
わたしたちは、ともにケチなのでいっしょに行動するとリーズナブルにかたよる傾向が顕著です。
お昼は基隆で海鮮をと考えましたが、見つからずに結局屋台だったので、せめて最後の夕食はリッチに行こうと考えました。

いったんホテルに戻って美人のレセプションに相談しました。
どこか近くでと聞いたのがまずかったのか、言われた店に行くと確かに雰囲気はよかったのですが、少し遅れて日本人の団体旅行客がやって来たので、団体を受け入れるような店はご免と店を飛び出してしまいました。
といってもどこへ行くかのアテはないので、またしてもホテルに戻り、あの店はひどい日本人の団体が来た、少し遠くてもいいからもっといいところを教えてとお願いしました。

そこで、教わったのが梅子という名前の台湾料理の店でした。
名前を書いてもらうとわたしはすぐに犬神家の一族を思い出しました。
好きこと聞く、だったでしょうか、きっとよい店でしょう、ポーターに梅子って知っていると聞くと台北ではいちばんの店ですよ、わたしは行ったことがないですがと言うので、外れということはないだろうとタクシーで向かうことにしました。

梅子はうめこではなく、メイズです。
ナショナルフラッグキャリアの中華航空の意匠にも使われているので、おそらく梅が台湾国花なのではないかと思うのですが、その名を冠するからには台湾を代表するレストランなのかも知れません。
実際、料理は今まで食べたなかでいちばん美味しい中国系の料理と言えました。
台湾料理は大陸のそれよりも小皿で食べさせるということもありますが、5皿頼んでビールを飲んでひとり3000円で済みました。
円高の恩恵もありますが、台湾は小額で胃袋をまんぞくさせられるすばらしい町です。
ただ、この店は周囲の客がすべて日本人なのが気にかかりましたが。

さて、わたしたちは翌朝と、じつは前の日の朝も、がんばって早起きして近くの公園に出掛けていました。
地元の人に混じって太極拳に参加するためでした。
2日間6時から8時まで(初日は遅れてしまった)、いくつかあるグループのなかで最初に見かけた太極拳に混ぜてもらったのでした。
弱冠の経験はありますが、まったくの見よう見まねで皆さんといっしょになって必死に体を動かしたのでした。
みなさんには邪魔をして迷惑をおかけしたと自覚していますが、わたしたちにとって旅行中いちばんの時間だったと感謝しています。

太極拳の先生には、電話番号まで教えていただき、次回の再会を約束して来ました。
なかなか書く機会はありませんでしたが、今回の旅で感じたのは台湾人との愉しい触れ合いです。
みないちように親切で、わたしたちを日本人と認めると日本式に頭を下げてあいさつしてから話し始めるという、台湾式の日本に対する礼節をともなった接し方をされていたのがたいへん印象的でした。

よく言われるように高齢者は日本語ができる人が多く、太極拳の場でも日本語で話しかけられ、最近の日本では佐賀県知事の対応はいけませんねと言われるなど、依然として日本に対する高い関心をうかがわせる会話をすることができました。
いつもながらの中国への気遣いからちょっとしか報道されませんでしたが、3月の震災のとき真っ先に多大な援助をしてくれたのは台湾の人たちです。
彼らの多くには日本に対する特別の思い入れがありますし、そうでない人も日本に対する理解は他の国を大きく凌ぎます。
そんなことを強く再認識させる旅でした。

先日のニュースで、パレスチナが圧倒的多数の支持を受けてユネスコに加盟されたそうですが、台湾も国際機関への加盟を申請したり検討したりしている最中です。
われわれの親しくできる隣国は、韓国ではなく、ましてや中国などでもなく、台湾であることは間違いありません。
彼らの力になることはできないものでしょうか。

ただ、これだけの緊張感の中で生活している台湾人は、自分たちの立場をよく分かっています。
よく言われていることですが、ほとんどの台湾人が政治的に望むことは中国へ併合されることではなく、台湾としてただちに独立することでもありません。
彼らは、現状維持を第一だと考えています。
理想を言えば独立なのでしょうが、中国という化け物を前に独立できないということは痛いほど分かっているのです。
そのためには実質的な独立状態にあって、中国とも一定の距離を保っている今の状態がベストではないもののベターな選択なのです。
太極拳の場を含めて何人かとこの話をしましたが、彼らが異口同音に語ったのが現状維持、でした。
【M8/Pan-Tachar 5cmF2.3 F2.3】
スポンサーサイト
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Astro Pan-Tachar 5cm F2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2011/11/06 Sun

和平分断

M8/Pan Tachar 5cmF2.3
バスで着いた基隆は港町です。
石垣島への定期船もあるそうで、地名ということであれば日本人にも馴染みのある名前かも知れません。
しかし、駅付近で海鮮レストランに行きたいのだがと何人かに聞いてもこの辺にはないなあと言われるばかりですし、結局屋台で食事するのですが、基隆で面白いところはないか聞いてもやはりないわねえと言われる始末です。

では、古い町並みとか古民家が並んでいるとことかそんなのでいいんだけどと訊ね直すと、あまり忙しくないおばちゃんが屋台仲間に声をかけて、あまり面白くはないと思うけどと言いつつ教えてくれたのが和平島でした。
タクシーに乗って和平島までと言うと、運転手はあからさまにあんなところに行って何するのお客さんと聞いてきます。
いや、古い家とかあるでしょうと答えると、そんなのないよと怪しい返事でした。

和平島は島と言えば島ですが、大きな橋でつながった造船所のある町で古ぼけた感じではありましたが、確かに運転手のいうとおり、古い町並みというような場所は見当たりません。
半分ヤケで道の終わるところで降ろしてもらい、ここで待っているからというタクシーには引き取り願って歩いてみます。
昨日の写真の坂は、この先に寺があると書いてあったので登ってみたのですが、どういうわけか和尚さんは留守のようで、番犬に吠えたてられてすごすごとそのまま下って来るよりほかない寂しい坂でした。

こんなとこいても仕方ないと互いに了解して、早くも戻ることにしましたが、タクシーを追い返した理由は途中パスを見かけたからでした。
やはり10分も歩くとバス停が見えてきたので、そのまま基隆に引き返します。
今日の作例は、バス待ちの間に撮ったものですが、通り名に注目です。
どうやら和平島の通りは、和二路と平一路の2つから成り立っているようですが、島の名称を分割したまったく芸のないネーミングにわたしたちの寂しさも募るばかりです。

基隆では名物のお菓子を買いましたが、戦果はそれだけという状況で、ふたりともうなだれるようにバスで台北に戻りました。
それからは、友人のおみやげ探しが始まります。
安くて持ち運びが楽でしかも安いというおみやげを求めて右往左往しますが、そもそもそんな虫のいいものは存在しません。
戦果はあがらず、翌日も同様の行動にはしることになります。

その後、寄らせてもらった店でわたしは思わぬ成果がありましたので、専門的になりますが記載させていただきます。
小品雅集という万年筆専門店があって、台湾製の万年筆があるという情報があったので出掛けてみたのです。
今年は孫文の辛亥革命から1世紀、つまり中華民国が設立されて100年ということで記念の万年筆があるとホームページにも記されていたので買いに行ったわけです。

ご主人ひとりが切り盛りする小さなお店で、わたしが集めている古い万年筆は扱っていませんが、店主の人柄の良さが凝縮されたような雰囲気があって、実に愉しい買い物ができました。
閉店間際でしたが、台湾のバドミントンチャンピオンだという若い常連客も来ていて、いろいろと話をしながらくだんのアニバーサリー万年筆と、日本の半額で売っていたドクトル・ヤンゼンのインクを数本買い求めました。
しかもこのインク、孫文や曹操はじめ中国人をテーマにした店オリジナルのインクまであってこれはいいおみやげになりました。

時間がなくて確認できませんでしたが、オリジナルのペンケースなどもあったようです。
日本でも店のオリジナル商品をよく作ったりしますが、台湾人もそういうことが大好きで、日本人と発想や好みが似ていると思います。
人件費が安かったり、中国製造などで安いオリジナル品を提供したりということもあるようです。
もしかしたら、古いカメラの専門店もあって、オリジナル皮ケースとかシャッターレリーズとか出しているのかも知れません。
無駄に移動するくらいなら、そういう探索をすればよかったと後悔しきりです。
【M8/Pan-Tachar 5cmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Astro Pan-Tachar 5cm F2.3 | trackback(1) | comment(2) | 2011/11/05 Sat

我的九份

M8/Pan Tachar 5cmF2.3
明けて3日目、友人が九份に行ってみたいと計画していたので、出掛けてみました。
九份と言っても台湾に縁のない方には何のことやらですが、一度でも台北を旅行したことがある人なら誰でも知っている有名観光地です。
もともと金鉱で栄えた集落でしたが、金が取れなくなると一気に寂れたため古い町並みがそのまま残ったという小さな町です。
ただし、前述のように台北に行ったことがあるひとなら誰でも聞いたことがあるくらいの有名な場所なので、前日にマイナーな内湾の俗化にむせかえっていた私たちは推して知るべしでした。

着いてみると、ここまですごいことになっているのかと喝采したくなるほどの、観光俗化地でこういうテーマパークなのではというくらいに入口からみやげ物屋や食堂が整列していました。
もはや訪れるのは、大陸中国人と日本人ばかりなりなのか、普通話と日本語が怒号のように飛び交っています。
恐怖すら感じて、わたしたちは人のかたまりをかき分けながら一気にお土産ゾーンを走り抜けました。

しばし進むと、台湾映画「非情城市」のシーンで有名になった急坂があります。
作例がそれですが、映画のひとコマそのもののなかなかの風情と言えます。
というのはウソで、本物の坂にはとんでもない人が鈴なりになって記念写真を撮っていたので、うっかりすると将棋倒しで坂から転落しかねないので、その後別の場所でよく似た坂があり撮影しただけです。

もう九份は十分です。
ここには九分か十分もいただけでうんざりしてしまい、たまたまやって来たバスを待ってくれと停めて飛び乗りました。
予定では九份で食事することになっていましたが、この状況で落ち着いて何かを味わうなんてできそうにありません。
みやげ物屋も観光客もこの地のキャパシティを大幅に上回ってしまっています。
内湾でがっくり来たというのは若干誇張が入っていると告白しますが、九份ではほとんどの人が失望するのではないかと思いました。

しかし、今考えるとあまりに性急な行動でした。
友人もかなり辟易していたので、もう移動しようと同意していたのですが、彼は彼でこのみやげ物屋で知り合いなどに配るみやげを買うことを目論んでいたらしく、それを果たせなかったために台北に戻ってからみやげ物探しに右往左往することになります。

それに2時間近い行程でわざわざやって来たのに10分の滞在で立ち去ることもなかったかなと思います。
じっくり見れば、何かが見えてきて、評価が一変するというのはわたしにもよくあることです。
と書くのは、バスで向かった基隆の町は、なんだか面白みを感じることができなかったからでした。
初日・2日目となんだかんだと楽しみのあった小旅行は、3日目で一気に急降下してしまったかのようでした。
【M8/Pan-Tachar 5cmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Astro Pan-Tachar 5cm F2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2011/11/04 Fri

柏林鏡頭

M8/Pan Tachar 5cmF2.3
今回持参したアストロ・パン・タハールはたいへん興味深いレンズです。
もともとはクックのリーが自社のデニス・テイラーが設計したトリプレットを改良してつくったスピーディックというレンズがありました。
1920年代のことですが、当時、トリプレットも改良されてF3までの明るさを獲得していましたが、スピーディックはF2.5と1歩前進しています。

アストロがスピーディック型のレンズを製造し始めた年や経緯はよく分かりません。
クラシックカメラ専科で「ドイツ・写真用レンズメーカーの全て」という連載がありましたが、その1回目にアスカニアとアストロが取りあげられていました。
ただし、この記事は非常に短く、資料的価値としては物足りないと言わざるを得ません。
アストロの紹介はわずか25行しかありませんし、スペースを大きくとったレンズ一覧も広く掲出されているものの、すべてを網羅しているとは言い難い中途半端さです。

紹介内容ですが、アストロ社は天体観測用の光学専門に設立されたが、すぐに写真用のレンズも製造するようになったとのことです。
そのような経緯から大口径の望遠レンズに定評があったという紹介がされています。
一覧表では、4枚4群のF2.3(F1.8も)レンズは1926年に世に出たことになっています。
スピーディックと同時期かわずかに遅れたくらいと言えそうですので、だとすればF2.5のスピーディックを改良してより明るくするなどの改良をしたということではないかと想像できます。

パン・タハールは1950年代にも作られたとありますので、意外に息の長いレンズだったようです。
並行してガウス・タハールF2も販売されていたので、明らかに性能で劣るはずのパン・タハールにもなにがしかの評価があったと思われます。

わたしのパン・タハールも製造年代不明ですか、ノンコーティングなので戦前の個体だと考えられます。
誰がやったのか少し素人っぽい改造でロシア製エルマーコピーの鏡胴にくっつけてあります。
ややくもりがあるし、また今ほどアストロのレンズがもてはやされていなかったこともあって数万円ほどで入手しました。
いつかクリーニングしてから撮影に出ようと考えていましたが、そのまま放置状態になってしまい、まずはこのまま撮ってみようと思い直して、レトロを見に行く台湾なら合うのではと今回持参した次第です。

今日の作例は、このレンズでこの状態のものの、想像しうるいちばんの味わいになったように思われます。
老街の空気を思い出させるには、これ1枚で十分と感じられます。
黄昏と薄暮のレンズでした。
【M8/Pan-Tachar 5cmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Astro Pan-Tachar 5cm F2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2011/11/03 Thu

在市場買東西

M8/Pan Tachar 5cmF2.3
新竹の北門老街は、期待にたがわぬすばらしい町並みでした。
有名な内湾が、完全に観光地になってしまったのに対して、こちらは観光で来る人はそう多くはなさそうです。
観光客に迎合することない丸腰の町が、ふっかけることもない普段着の市場が、横たわっていた、とそんな感じでした。

世には、観光地然としている方が好きという人も多く、にぎやかだったり、みやげ物屋がずらっと並んだりしているのを好んで出掛けたりするようです。
狭い通りに、ご当地名物と言いながらどこでも見かける煎餅を大声で売っていたり、ゆっくり歩く人には邪魔な人力車が何台も待機していたりというのを見ますが、それは迷惑なんかじゃなく観光地ファンの心を熱くするマストアイテムだったのだと気付きました。
そういうところを丸々批判してはいけません。

ただ、そういう場所を歩くと、かなりの疲れをともないます。
同じ場所で好きな人は、「元気をもらった」というのかも知れませんが、わたしは決まって精神的に疲れを感じます。
逆に、今回たどり着いた北門老街は、雑然としていて歩いていてよほど疲れそうなものなのに、リラックスしてしまい疲れを感じません。
ツボにはまった気すらします。

老街の北側は問屋街と小さな工場、古い住宅が並んだ迷路になっていました。
老街の名前通り戦前と思われる建物が多く、住宅の中には日本式の瓦屋根の平屋がいくつもあって懐かしい気持ちにさせてくれます。
人がすれ違える程度の路地が縦横に張り巡らされていて、迷路さながらです。

わたしは興奮しきって、今回、台湾に来た目的は十分に達成できたと友人に告げ、こんなものには興味なかったはずの友人もわくわくしながら歩いていることを隠しません。
何時間でも歩いていたかったのですが、来年以降も友人との旅は継続したかったのでほどほどにしました。
そのまま寺廟がある方へ戻ります。

この寺廟もまたかなり個性的なものでした。
いえ、寺廟自体は台湾や南中国でよく見る一般的なものなのですが、寺廟の入り口から内部スペースまで市場が侵略している、新竹の人にとって信仰とは何、という疑問を投げかける不思議な空間でした。
あるいは祀られているのが商売の神さまで、あやかりたいと商店がどんどん接近していった結果、このような携帯になってしまったのかも知れません。

そして、その寺廟の前の広場に、どういうわけかマーライオン像が鎮座(起立?)していました。
水こそ吹きませんが、シンガポールで見たそれとまったく同じのがでんと置かれていて、しかもその周りは地元の人が腰掛けてくつろいだりしていて、マーライオンはまったく存在感を示せていないいないというのも不思議でした。
こんな調子じゃ自由の女神もどこかにあるんじゃないかと友人が揶揄して、まさかと笑いましたが、なんとその自由の女神には翌日、基隆で遭遇することになります。

さて、作例は、北門老街の市場のひとこまですが、幅2メートルほどの狭い通りにバイクががんがん通るのに閉口していたところでした。
バイクに乗っているということは買い物しないのだろうから、市場はバイク乗り入れ禁止にすればいいのにと話していた眼前で、バイクに乗ったまま肉を買おうとするおばさんがいたのにびっくりです。
ヘルメットにマスクなので会話せずに、指差し注文なのも奇妙に見えました。

しかし、わたしはここであることに気付きました。
ミントタブレットのCMで、古代の人が手紙をいっぱい持たされてポストを発想したり、商品の壺を抱えて箱の中に入るときに梱包を思いついたりするのがあります。
たぶん、かつてこの地を旅したマクドナルドの幹部がバイクにまたがったまま買い物する姿を見て、ドライブスルーを発明したのではないでしょうか。
少なくともわたしは、ドライブスルーを利用するたびに、新竹のこの光景を思い出すはずです。
【M8/Pan-Tachar 5cmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Astro Pan-Tachar 5cm F2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2011/11/02 Wed

榻榻米

M8/Pan Tachar 5cmF2.3
在来線の新竹駅は日本統治時代の古い建物だそうで東京駅に似て今すし、その前にはそごうデパートがあります。
だからという訳ではなく、ごく普通の地方の町を感じさせることが、我々を落ち着かせてくれました。
観光地ではなく普通の町で、市井の人に混じって歩いている方が台湾ではずっと楽しいと感じるからです。

ですから城門史跡の迎曦門は素通りして、市場や寺廟のある北門老街方面に歩き出しました。
ちょうど日本の地方の町にもありそうな商店街というような通りで、しかしどこもシャッターが降りているということはなく、昭和50年代くらいの関東の町を歩いている雰囲気を感じます。

ほどなくアイスクリーム屋さんがあって、歩道にテーブルを並べていたので、少し暑くもあったので休憩することにしました。
おとこふたりでアイスクリーム屋というのも異様かも知れませんが、テーブルでは地元の男性ふたりが何か議論しているところだったので、夏暑い台湾では普通のことなのだろうと遠慮なく店に入りました。
すると、そのふたりはふたりとも店員で、はいはい、いらっしゃいませとカウンターの中に入って行くのが、また不思議な感じです。

アイスクリームはコーンではなくカップだというので、やはり歩きながら食べるのではなく歩道に腰掛けて休憩することにしました。
ダブルがお薦めのようで、一般的なラムレーズンともはや名前を忘れてしまった台湾のフルーツを頼みました。
手渡されたカップは球がふたつではなく、ハーフ&ハーフという感じでアイスがカップにきれいに詰め込まれていました。
商店で売られているカップのアイスのようでしたが、量的には間違いなく球ふたつより多いのでお得感があります。

続いておもちゃ屋があり、友人が子どもから何とかいう日本のゲームの台湾版を買ってきてと頼まれていたとのことで、中に入って訊ねてみます。
しかし、そこは模型やフィギュアを扱う店で、ざっと見る限りほとんどが日本製なのですが、やはりゲームは扱ってないとのことです。
すぐ先にもう1軒おもちゃ屋があるのでそこに行ってみなさいと言います。

友人は言葉がダメで、わたしはそのゲームがどんなものか分かりません。
そちらの店で、彼の説明を中国語にして訊ねますが、店員は首をひねるばかりでどうにもなりません。
友人と店員がいっしょになって探しますが、結局探し回ったあげく見つからずで、申し訳ないと立ち去ろうとすると、来てくれてありがとう、見つかるといいですねと、こちらがびっくりするくらい優しい言葉をかけてくれるのです。
友人にその言葉を訳すと、飛び上がらんばかりに恐縮して何度も礼を言っています。
彼らのおかげでしょう、翌日そのゲームを無事見つけることができました。

この通りでもう1軒面白かったのが、畳屋さんでした。
おそらく畳という字は和製漢字なのでしょう、台湾では畳を「榻榻米」と表記します。
日本人には何の事だか字面から判断できないのですが、読みは、ほぼ日本語と同じ「タタミ」になります。
わたし個人は、以前「多多米」と表記しているのを見たことがありますが、これだと「トォトォミ」で発音は少し遠くなってしまいますが、意味合いは米が多くて豊かさを表して縁起がいいのでしょう。

畳屋さんに足を止めた理由はほかでもありません。
実は、わたしの祖父が畳屋さんだったのです。
わたしが小学生のときに引退してしまったので、かすかな記憶しか残っていないのですが、畳の張り替えのときに狭い庭に畳を置いて作業する姿はとても格好良く見えていました。
古い道具を使って進める作業を後ろから眺めて、職人魂のようなものを身近に感じていたのでしょう。
この幼少のころの印象は今になっても、職人や手作業する人へのリスペクトとして、わたしの心の中に息づいています。

新竹での思わぬ光景に、台湾で畳の需要がさんなにあるのですかと話しかけました。
すると、意外なことに、新竹では畳の部屋で過ごしている人が多く、仕事が忙しくてたいへんだよと返事がかえってくるではないですか。
もちろん嬉しかったことは言うまでもなく、フローリングの部屋でPCのキーボードをたたきながら、このおじさんとやはりランニング姿で作業していたおじいさんのイメージを重ねるのでした。
【M8/Pan-Tachar 5cmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Astro Pan-Tachar 5cm F2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2011/11/01 Tue

用客家語説話

M8/Pan Tachar 5cmF2.3
日本にまつわる良い話からスタートした内湾でしたが、その後の印象は良いものではありませんでした。
ひなびた田舎の村を想像していって、実際ひなびていないこともなかったのですが、それ以上に俗化が激しくて、ザ・観光地とも呼びたくなるような不自然さに閉口することになります。
とくに駅前から続く老街と呼ばれる古い通りは、みやげ物屋から食堂までえらく賑やかで、鎌倉の小町通りか江の島の参道みたいだと笑ってしまうくらいでした。

日本時代の警察署や映画館なども内湾のウリですが、それらも映画のセットのように見えて感動がありません。
この地域に多くいるという客家のレストランで食事して満足を得たこともあって、次の村とか行くのはやめて、新竹の町へ向かおうかということになってしまいました。
客家料理は、わたしは深圳などで何度も食べていますが、友人は初めて食べて日本で食べる中華料理に近くて油っこくなくて食べやすいと好評でした。

食事と言えば、ホテルの朝食が今日一日の失敗の伏線になっていました。
ビュッフェになると貧乏症のわれわれは何でもかんでも取ってしまい、残してはいかんとすべて平らげてしまいます。
冷めた料理で別段旨いものもないのは承知しているのですが、どういうわけかいつも少量ずつ多くのものをとってしまういやしいクセが出てしまうのです。
そんなことをすれば、12時過ぎてもぜんぜんお腹がすかず、1日の予定を狂わしてしまうのは分かっているはずなのですが。

それにしても、この日は平日だというのにかなりの人出でした。
台北の近郊で、ガイドブックにも出ているようなところを訪れて、閑静でひなびた村を期待すること自体が大きな間違いだったのでしょう。
翌日はもっと、痛い目にあうことになるのですが。

作例は、ローカル線の車内のひとコマです。
一両編成でもワンマンではなく、車掌がいてその車掌は切符の受け取りなどがあるので、ドアに近い座席に陣取っていました。
印象的だったのは、こういうシチュエーションでは顔見知りの乗客とずっとおしゃべりしていそうなものなのに、乗客とではなく乗客の連れの犬とずっとにらめっこしていたことでした。
言葉こそ互いに発しませんでしたが、両者の間には会話が成立しているように見えました。
【M8/Pan-Tachar 5cmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Astro Pan-Tachar 5cm F2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2011/10/31 Mon

第三次蜂蜜

M8/Pan Tachar 5cmF2.3
明けて台湾2日目は郊外の旅に出ます。
台北から西南に100キロほど離れた新竹という町へ行き、そこから山側へ進んで行くと自然と古い町が点在する期待できそうなエリアがあります。
大雑把なところはネット検索で確認しておいて、現地の情報は前日書店の旅行本コーナーで、新竹とその周辺を紹介したガイドブックを購入しました。
観光情報はなくてもかまいませんが、周辺地図とアクセス方法が知りたかったからです。

台北から新竹までは台湾版新幹線の高鉄を利用しました。
昨日は地下鉄が安いということを書きましたが、高鉄の安さもそうとうなものです。
東海道新幹線であれば、東京~熱海相当の距離だと思いますが、それでたった700円ほどです。
東京~熱海は、在来線でも1890円しますが、新幹線だと特急料金が2190円追加されます。
5倍以上高いことになります。
日本の方が台湾よりも物価が高いのは間違いありませんが、さすがに5倍も違いません。

さて、台北の次の駅は板橋ですが、ちょうど東海道新幹線なら品川に停まるのと同じような感じです。
もし時間も金もないが台湾新幹線に乗ってみたいという向きには、この区間のみ乗車してみるのもよいでしょう。
台北~板橋間は所要6分、料金はわずか100円です。
当然、切符は当日駅で購入すれば問題ありません。

台湾高鉄と言って思い出すのが、中国高鉄が日本でも大問題になった事故を起こした時、すぐに台湾高鉄は記者を集めて我々の高鉄は日本の技術システムで動かしているのであんな事故は起こり得ませんと説明していたことです。
日本の新幹線は運航上では死亡事故を起こしていないし、3月の大地震でも初期微動を察知して新幹線は全停止していてひとりのけが人も出していないというと、記者たちはみな納得して台湾の高鉄が中国のそれのような事故を起こす心配はないと納得したということでした。
台湾が中国ではなく日本を信ずるエピソードです。

快適な新幹線では、もうひとつよい気持ちになることがありました。
下車する人は、みな自分で出したゴミは持ち去りますし、リクライニングしたシートは必ず元に戻します。
日本の新幹線でもみんなそうしている、途中駅から乗車する人へのマナーですが、台湾では車両や運行システムだけではなく、こういったマナーもしっかり受け継いでいるのです。
中国の高鉄では当然こんなことは実施されていません。
パクリだと言われ外観までそっくりな車両を中国独自の技術だと言いきる彼らに、乗客マナーのことまでが見えているはずもないのでしょう。

いろいろ感心しているうちに新竹に到着しました。
名前は新竹ですが、在来線の新竹駅からはずっと離れた郊外にあって、日本の感覚では新新竹と呼ぶべき駅です。
新竹の町中へ向かうにはバスやタクシーが多くありますが、わたしたちは山の方へ向かうので、竹東方面行のバスに乗り込みます。
竹東からは、ローカル線がとりあえずの目的地の内湾まで走っています。
これが1両のみのディーゼル列車で、のんびりと単線の線路を進んで行く姿はなかなかの風情でした。

さて、ここでようやく作例の紹介です。
内湾名物と思われる長い吊り橋を渡ってなおも細い道を進んで行くとハチがぶんぶん飛んできてびっくりさせられました。
その先には、養蜂している人が巣の様子をチェックしているようでした。
声をかけて写真を撮らせてもらいましたが、刺されないのかと聞くと、大丈夫、刺されたら針は取ってあげるよと呑気なことを言っています。

あなたたちは日本人でしょう、ちょっと待ってと蜂蜜を取り出しました。
ああ、買わされるのかなあと思っていると、われわれのミネラルウォーターのペットボトルを寄こすように言い水の中に自慢の蜂蜜を入れてしゃかしゃかゆすって蜂蜜ドリンクを作ってくれました。
続いて市販の蜂蜜でも別のボトルで同様のものを作ります。
自然の蜂蜜と加糖した市販のものと見分け方を教えるねと言います。

ペットボトルに蜂蜜を入れて30秒ほどボトルを振り続けると水と蜜が完全に混じり合いますが、表面にかなり泡が出ます。
それは自然なものも市販ものも変わらないのですが、1分も待つと市販ものは泡が完全に消えてしまいます。
一方の自然の蜂蜜はずっと泡は消えずにしばらくの間残ります。
さらに飲み比べると、味には大きな差がありました。
市販のものは砂糖水に近く、自然ものは蜜の澄んだ味がはっきり感じられます。

なるほどよく分かったと感心すると、美味しかったでしょうよければこの蜂蜜をどうぞと一ピン手渡されました。
こうやって買わされてしまうんだなあとある意味感心して、いくらなのかと聞くとお金はいらないと、あまりに想定外の回答がかえってきました。
ここからが、わたしたちを引きとめて話したかったことだと語りはじめました。

彼は、地元の人ではなく地方出身で、以前、台北に出てきて仕事を探してなかなか見つからなかったときに、養蜂でもやってみないかと誘われ、そんなことできるのかと思いつつも半信半疑で挑戦してみたのだそうです。
そのとき技術指導に来ていたのが、日本人の養蜂家だったのだそうです。
中国語ができない養蜂家は、その分必死になって指導してくれ、最初なにひとつできなかった我々が養蜂家として自立できるまでにしてくれたのだと最大限の感謝の気持ちを込めて語ったのです。
わたしは日本人にたいへん感謝し尊敬している、だから、今日久しぶりに見かけた日本人にぜひわたしの蜂蜜を食べて欲しいのでどうぞ持っていってくださいと、わたしの手の中にビンを押し込むようにしました。

ありがとう、分かりましたと言って蜂蜜を受け取りました。
わたしはこういう話には弱く、さすがに涙するまではいきませんでしたが、感動して胸が熱くなる思いでした。
そこで考えたのが、日本で台湾人旅行者にあったら、この話を披露したうえで、何かプレゼントを進呈しよう、そのひとも話に感動して、台湾に戻ってからわたしと同じ行為をおこない、それが日台間で永遠に続くかも知れない、と。
それにしても、今年は、オーストラリア、スペイン、台湾と旅行しましたが、そのいずれでも蜂蜜をもらっているというのが不思議な符合です。
自然の蜂蜜は何年でももつと言いますし、花の種類によって違う味が楽しめるのも実にいいです。
【M8/Pan-Tachar 5cmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Astro Pan-Tachar 5cm F2.3 | trackback(0) | comment(2) | 2011/10/30 Sun
| home |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。