癖之権

M8/Xenogon 35mmF2.8
昨年9月、10月と続けて使ったシュナイダーのクセノゴンですが、前玉にフキキズありで全体にフレアがかったような絵になってしまっていました。
いったんこれはダメだとなったのですが、よく見ると中玉にクモリがあって、フレアの原因はむしろそちらのように思えました。
わたしは分解清掃など一切できない不器用な人間なので、これは深圳の修理屋の順平さんにクリーニングを頼むべきだろうとお願いしていました。

先月、いちおうできたけどと順平さんから連絡があり受け取ったものの、クモリは完全には取れないとのこと。
もちろん、キズがなくなることもないので、写りがどれだけ改善したかは未知数でした。
あまり変わり映えしてないかも知れませんが、遠出する今回、試してみることにしたわけです。

作例は昨日と今日の2枚だけですが、かなりくもりの影響が減少していることは分かりました。
コントラストはややよくなりましたし、少なくとも合焦部分のハイライトは滲まなくなったようです。
しかし、昨日の作例では手前のバイクの金属パーツがわずかに滲んでいますので、ボケ部分は滲みが出るのは避けられないようです。
今日の作例はいわゆる腰だめのノーファインダースナップで、レンズの状態をみるものとしては不適切ですが、高性能のはずのこのレンズで背後の樹の流れが非点収差の流れを見せていてどうにも気になります。

数ヶ月待って数千円かかっての修理としてはちょっと微妙な結果になりました。
このレンズには、もうひとつフォーカスノブがM型ライカのフレームセレクターレバーに引っ掛かるという問題があるので、このまま所有し続けるかはさらに微妙です。
もともと広角レンズはあまり好きではないので、ちょっと考えたいと思います。

レンズを見る作例としてはパッとしませんがあえてこれを選んだのは、この狭い通りが気に入ったからでした。
昨日、この辺りは整備されてしまって面白くないと書きましたが、歩きまわって、唯一開発を未だ逃れている一角を見つけたのです。
恐らくはほんの200メートル四方くらいの狭いエリアでしたが、古い建物がそのまま残り、そこがクランクのような小道を形作っているのが好い感じでした。

短かい通りなので普通に歩いたら、あっという間に通りぬけてしまいました。
そこで、またUターンして今度はゆっくり歩き、すれ違う人をキャンディッド狙いです。
そういうときに限ってあまり人が通らなくなり焦りますが、ここで立ちどまってしまうのも不自然なのであとは運任せですが、またUターンはできればしたくありません。

そこへ運好くあらわれたのが作例の母子でした。
3メートルにピントをセットすると、だいたい頭から足がぴったり入るので、フレーミングガズレ無いようカメラをももにぐっと押しつけました。
あらためて見てもやはり採用するのに悩むスナップでしたが、子どもの手がママの腰を抱いているのがまあまあユニークなのでこれでいいかとしたわけです。
お母さんのボディラインはまだ保たれているようなのがそれとなく分かりますが、それは、湖南省が世界一とうがらしの消費量が多いことと関係あるのかも知れません。
【M8/Xenogon 35mmF2.8 F2.8】
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Schneider Xenogon 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(0) | 2012/06/10 Sun

過馬路

M8/Xenogon 35mmF2.8
湘譚、そう言っても、知る人はほとんどいないでしょう。
湖南省の省都の南西50キロほどに位置していることは、前夜、長沙の高速鉄道駅からの帰り道で知りました。
これといった名所のない退屈な町だとは、到着した夜のタクシーの運転手が教えてくれました。
また、毛沢東の故郷である韶山が近いとは、友だちが事前にメールしてくれていました。

湘譚で知るのはこれだけですが、それで十分です。
韶山に行きたいかと聞かれましたが、日本では毛沢東は悪人で人気が無いから行きたくない、できれば張谷英村に行きたいと言って、それなら2時間半くらいだからちょっと遠いけどと聞いたので出掛け、結局片道5時間もかかって時間を無駄にしたのはこれまで書いたとおりです。
湘譚という地名から、湘南と譚(物語の意)で湘南物語という言葉を連想したわたしはかなり愚かだったのだと気付かされました。

朝、ちょっと遅めに目を覚ましてホテル周辺を散策しますが、まったく楽しくありません。
町の中心地だつたこともあって、中途半端に整備され過ぎていてこの町らしさのようなものを感ずることができないのです。
作例は、ホテルの近く、脚が全然来なくて退屈し切る、バイタクと三輪車タクの運転手たちの姿です。

こんなならいっそそのタクシーに乗ってどこか古い町並みが残るところまで連れてってと頼むか、路線バスにでも乗って雰囲気の良さそうなところでぱっと降りるかすればよかったのですが、1時間後に友だちと待ち合わせしていたので近場で何か見つけようと歩いたのが失敗でした。

失敗といえば、こんなことがありました。
ホテルを出てまさにその前の通りを車が切れたところで横断したところ、いきなり笛がピーッと鳴って、老人ふたりに捕まってしまいました。
訛りのある言葉でよく聞き取れませんが、道路を横断することは違反だ、20元払え、と言っているようです。
老人はボランティアでしょうか、町の交通が乱れないよう監視しているようで、市政府発行の道路横断規程のような紙を見せて、罰金部分を読み上げています。

規程があるのてせあれば、わずか20元ですし罰金を払わざるを得ません。
が、片側一車線の危なくもない道路には、どこを見渡しても横断禁止の文字は見られず、旅行中の外国人かせそんなことを分かるはずもありません。
相手が警察ではないこともあって、あなたの言っていることが分かりませんと英語で返し、立ち去ろうとしてみました。
すると、老人が逃がしてなるかとわたしの腕を掴み、何やらまくしたてだしました。

わたしは半ば20元は払ってもいいかくらい思っていたのですが、思いの他強く腕を掴まれたのと老人がたばこを吸ったままだったのに腹が立って、その腕を振り払いまたホテル方向へ通りを渡って行きました。
振り替えると老人ふたりは、口をあんぐりと言う顔つきで追って来ることなく呆然としています。
何かがっくり来たような表情にも見えました。

その後の散策で、町のあちこちで同様に交通監視しているのを見かけました。
すべて老人で、かなりの人数です。
あれだけの人数では市も給料までは出せないだろうから、たぶん引退した老人たちがボランティアでやつているのだろうと想像したのですが、であれば、違反者からの罰金がそのまま彼らのお小遣いになるのではと連想できました。

規程を知っている地元の人が捕まるはずはなく、かと言って退屈な町を訪れる外来者は少ないので、罰金をとる千載一遇のチャンスがやって来たのに、そいつはなにか分からない言葉を吐きながら逃げてしまったと落胆したのかも知れません。
急にあの老人たちが気の毒になってしまいましたが、旅にあってこういう失敗はしばしば起こることで、後悔してももうどうにもならないのです。
これが、わたしの湘南物語だったのかも知れません。
【M8/Xenogon 35mmF2.8 F2.8】
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Schneider Xenogon 35mmF2.8 | trackback(1) | comment(0) | 2012/06/09 Sat

公交車還是地鉄

M8/Xenogon 35mmF2.8
わたしは、旅先の乗り物としてはパスを愛好しています。
どこへ行っても、運賃は安いですし、空港、駅、ホテルと目的地を結ぶ乗り物としてたいへん便利な存在です。
庶民的な乗り物で、車内が生活的な雰囲気に満ちているのは楽しいですし、走っているのも町中の人の多いところなので、車内を見ていても車窓を眺めていてもどちらでも旅を楽しむことができます。

難としては、乗車法や支払いなど地域によってさまざまで、路線が複雑なところが多いということもあって慣れないと乗りにくいというところがあります。
バスは避けて地下鉄やタクシーを推奨するガイドブックは多いようです。
バスが乗りにくいとすれば、利用しているだけで現地の人に近付いているとも言えるわけで、それだけでもバスに乗る価値があるように考えてしまいます。

バスに乗ると乗客と運転手に一体感が感じられることがしばしばです。
乗降の際に乗客が運転手にあいさつする姿は普通で、韓国のバスに乗ると乗客と運転手がみんなそうやっている姿を見て感心する旅行者も多いのではないでしょうか。
一方、あきらかに外国人で降りる場所が分からずに困っていそうな人がいると、かならず他の乗客が助けてくれます。
バス自体が、集合離散を繰り返す小さなコミュニティのようです。

ところが、地下鉄になると品位が落ちるような気がするのはなぜでしょう。
我先に座ろうと乗り込むものが目立ちますし、運転手にあいさつして乗降する人は皆無です(当たり前か)。
地下鉄が駅に到着するたびに大量の人が一度に降りて、同じくらいの人が乗っていく姿は個ではなく人間の塊が移動している風にしか見えません。
せっかく見知らぬ町に来たのに、町を見ながら移動せずに隠れるように地下に潜ってしまうのはもったいないとも言えます。

などと言っても地下鉄は旅行者にとって主要な移動手段です。
ホテル前のバス停からは1路線しか走っていなくて、目的地が合致していない時はわたしたちも地下鉄にはたいへんお世話になっていました。
最低区間は20元ですから、邦貨にして50円ほどと安く、やはりホテルから3分のところに駅があったので利用価値は高かったのです。

台北ではラッシュ時には3分間隔、日中でも5分間隔ほどの頻度で列車が来ますし、ホームや乗り換え通路に行き先別の列車が何分後に到着するというような表示が出ていて、電車待ちでいらいらするなどということとは無縁です。
ホームでもみんなきちんと整列乗車していて、台湾人のマナーの良さを実感しました。
改札を出てからの駅の表示は、東京の地下鉄と同様に出口番号と主要な建物、地図がリンクされていて迷うことはありません。
漢字と英文が併記されているので、特に日本人旅行者には使いやすく感じられると思います。
それは車内でも同じで、現在駅、次の駅、その次の駅が電光表示されているので、神経質にならなくても乗り過ごしたりなどの心配は不要です。

車内では、日本と違って本や新聞を読んでいる人はほとんどいません。
ましてや、いい大人が漫画を熱心に読むなどと言う姿は皆無でした。
寝ている人もあまりいなかったのですが、たまには作例のような人もいなくはないようです。
台湾人も疲れているのでしょうね。

ただ、撮りたかったのはこの人ではなく、実は吊革の方です。
ちょっと分かりづらいかも知れませんが、バーとバーの間には20センチほどの間隔に8本の吊革がずらーっと並んでいました。
これに全員が捕まるとしたら、かなり痩せぎすな人たちが8人、全員進行方向を向いてくっつくように列をつくるのだろうなあと、わたしは友人とまじめな顔で話し合いました。
しかし、当然のことながら、何度も乗った地下鉄の車内で、そんな奇妙な光景は一度として見ることがありませんでした。
【M8/Xenogon 35mmF2.8 F2.8】
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Schneider Xenogon 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(0) | 2011/10/29 Sat

台北再訪

M8/Xenogon 35mmF2.8
昨日までの青山シリーズとは時間が前後しますが、先日、友人と台湾を旅して来ました。
4年振りの訪台でしたが、そのときは男ふたり、女ひとりの不思議な3人組でした。
今回は、その唯一の女性がわたしを見捨てて結婚してしまい、メンバーはふたりに縮小されての台湾再訪です。
美人の脱退は大きな戦力ダウンですが、男性ふたりだけになってその分身軽な旅になりました。

4年前の台北はたいへん印象の好いものでしたが、今回さらにそれは高まりました。
いつも大陸の方に行っているので、それだけでも好印象なのは当然なのですが、やはり4年の間に変わっていることはあるようです。
4日間の滞在ではそれがどういう変化なのかを見出すことはできませんでしたが。

渡航に際して目に見えてありがたい変化がありました。
当時なかった羽田→松山便というのができていて、アクセスがかなり便利になったのです。
松山と言っても愛媛の松山坊ちゃん空港のことではなく、台北市内の国内線用の空港を一部の国際線にも利用できるようにしたため、羽田の国際線化に合わせて就航するようになったようです。
日本統治時代の名残でしょうか、この松山以外にも、板橋、府中、三重、松江等あれっと思うような地名があちこちにあります。
漢字の国だからあたりまえなのではと思うかも知れませんが、例えば、香港とか深圳、上海に行っても日本人の名前にありそうな地名とかまれに見つかりますが、東京と同じ地名はまずめったに見つかりません。

目に見える大きな変化は、有名な観光地に行くと大陸からの観光客があふれているということでした。
4年前に見た記憶はまったくないので、この間に日本と同様、団体に限って中国人の入国を認めたのだと思われます。
台北101という高層ビルがあって、ドバイのブルジュ・ハリファに抜かれるまで世界一の高さを誇っていたためここの展望台はたいへん人気があります。

わたしたちも登ってみたのですが、大声でがやがやしている団体をたくさん目にしました。
大陸からやって来た中国人のグループが何組もいたのですが、服装が垢抜けていないのでかなり内陸部から来たのだろうと想像でき、うるさくしないとか、国際マナーだとか言ってもしかたないことが分かります。
気にせず、ゆっくり眺望を眺めたりしていると、係員の若い台湾人青年が日本語で話しかけてきました。
せっかく来ていただいたのに、大陸の人がこんなにうるさくして申し訳ないと恐縮しているのでした。

この件ばかりでなく、全体に台湾人のマナーというか礼儀正しさのようなものが向上しているように感じられました。
日常から中国人を見かける機会が増えて、人のふり見て我がふりを直したのだということでしょう。
台湾が中国に統一されれば我々もああなってしまうんだと恐怖を感じたのかも知れません。
世界的にマナーが悪いことで有名な中国人と、同一視されてはかなわんという気持ちが起きたのは間違いない所だと思います。
少し極端な表現になりましたが、もちろん中国人でもマナーを身に付けている方は少なくありませんし、日本人でも礼儀知らずなのが少なからずいることも事実ですので、あくまで総花的な話です。

101の余談としては、展望階までのエレベーターの係りの女性がみんなすごい美少女ばかりだったことです。
高層ビルからの見晴らしではなく、彼女たちを写真に撮る日本人がわたしたちも含め少々いたことを報告しておきます。
あまり過剰になると、中国人から日本人のマナー云々という話が飛び出しかねないので注意が必要です。

101を降りると階下では、大量に行き来する大陸中国人に対して、天安門事件を思い出せとか共産党の犯罪とかの抗議活動をしているグールプがいくつかありました。
そんなことは承知でしょうし、それらの台湾人グループと接触していたなどと帰国後ばれたらたいへんなことになってしまいます。
残念ながら、そんなのを聞いているのはわたしだけのようでした。

さて、台北でも変わらないものはたくさんあって、その代表は名物のスクーターの群れです。
ホーチミンの無秩序振りには負けると思いますが、台北でも大通りが赤信号になると50台くらいが停止線のところにすらっと並んだりして迫力面でけっして劣りません。
それに前述のとおり、台湾人はマナーが良いので、旅行者に危険を感じさせることもないのがよいです。

台湾にはジャイアントという自転車ブランドがあって、日本も含め世界中に愛好者を集めています。
台北の町中にはジャイアントに乗った人たちがたくさんいることだろうと期待しましたが、涼しいこの季節でもその姿を目撃することはありませんでした。
自転車は週末のツーリング用であって、市内で通勤通学に使うためのツールにはなり得ていないようでした。
あるいは、台湾人には自転車なんて中国大陸のようにお金のない人が乗るものだという意識がまだ残っているのかも知れないなどと想像してみました。
【M8/Xenogon 35mmF2.8 F2.8】
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Schneider Xenogon 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(0) | 2011/10/28 Fri

瓦礫

M8/Xenogon 35mmF2.8
瓦礫を見ると忌まわしい東北の津波の被災地が真っ先に頭に浮かんでしまいます。
もともと瓦礫の山には、絶望感というか、希望をぺしゃんこにしたというようなことを連想させる力があると思うのですが、震災以降はテレビで繰り返し見た画像がその感を一層強くしました。

以前、何度か食事に来たことのある国貿エリアに通りがかったとき、この瓦礫の山を見てたじろがずにはいられませんでした。
前述の被災の場面が頭を掠めたことと、以前何度か食事した建物が焼失してしまった戸惑いからでした。
たしかに少し老朽化した低層ビルでしたが、しばらく来ないうちにこんな姿になっていたというのは驚きです。
再開発ということで立派な高層ビルが建つのでしょう。

さて、今回は広角のクセノゴンでスタートしましたが、今日までの3枚で終了です。
つい最近前玉にキズがあるというのを格安で買ったばかりでしたが、広角が性に合わない意識はかなり進行しており、初日は頑張って使ってみたものの、2日目以降はバッグから日の目を見ることはありませんでした。

ノンライツの35mmとしては、恐らく、ヘリゴンと双璧のシャープ&ハイコントラスト・レンズですが、クセノゴンの方には問題がありました。
M6などで使うとフォーカシングレバーがカメラのフレームセレクトレバーに干渉してしまってフォーカシングできなくなってしまうのです。
ぎりぎりのところであたってしまうため、よくこのレンズのフォーカシングレバーを削ったり、上に少し曲げたりしてある個体を目にするくらいです。

実はだいぶ以前にこのレンズを所有していたことがあるのですが、M6をメインに使っていた時代だったため、このレバーが邪魔で売却してしまいました。
当時、すごくよく写るレンズとして一目置いていましたが、やはり、写り過ぎることに興味を失いレバーを曲げてまで使おうとは思わなかったのです。

このレンズは、4群6枚のガウスタイプで、同じシュナイダーのレチナ用のクセノン50mmF2.8がそうだったようにF値を落とすことで開放からの高性能化を図っているようなところがあり、走り高跳びであとバーをちょっと上げれば世界記録が狙えるのに、無理せず大会での金メダルを狙ったというような超堅実性みたいなものを感じてしまい、どうもいまひとつ好きになれない嫌いがあったのです。
同じ設計で少し口径を拡大してF2までもっていって欲しかったし、その場合どんな描写をしたのかと残念でなりません。

天下のシュナイダーがそんなことする必要がないではないかという意見が聞こえてきそうですが、そのシュナイダーにクセノン5cmF1.5というたいへん面白いレンズがあります。
これも謎の多いレンズですが、ゾナー型でF1.5と頑張っていますが、これだってF2に抑えて開放から破たんのないすばらしい写りにしてしまうことができたのに、F1.5にしたおかげでたいへんなお気に入りレンズとなったのです。

そんな中、今回クセノゴンの安い出モノを見つけたことと、実はメインで使っているM8のセレクターレバーが取れてしまってレンズのレバーが問題にはならなくなったこともあって、久しぶりに購入したという経緯があります。
以前のはだいぶ固い印象がありましたが、デジタルでは違う写りになるのかもとの期待もありました。

プロからは高く評価されるシュナイダーのレンズですが、レンズファンからは意外に人気のないメーカーになって居るような気がします。
シュナイダーは、テッサー型のクセナー、ガウス型のクセノン、クセノタール型のクセノタール、広角のアンギュロンと名前を統一してしまったため、どこにでもあるレンズ、個性のないレンズのようなイメージを定着させてしまったことがあると思います。

クセノゴンという名称は、同じ35mmF2.8のクルタゴンとも名前を違えて、何か主張があるような雰囲気を出しています。
その個性を見極めたかったのですが、大雨と高湿度はしばしばレンズを曇らせます。
今日の作例はそのためにコントラストが落ちてしまいました。
やはりわたしにとって縁遠いレンズなのかも知れません。
【M8/Xenogon 35mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Schneider Xenogon 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(0) | 2011/09/07 Wed

艾滋病村

M8/Xenogon 35mmF2.8
四川地震や他の災害のときテレビで見かけたので、中国でも赤十字が活動していることは知っていました。
中国語で赤い色のことは紅と書きますので、赤十字ではなく、紅十字と表記することもその時知りました。
しかし、その赤十字が中国で献血をしているとは意外でした。
中国では、売血がまだ一般的にあると聞いていたからです。

かなり古い話で、たしかわたしが中国に関心を持ち始めた7~8年くらい前のことだったと思います。
河南省出身の方と親しくなったことから、馴染みのなかった河南省を調べるべくネット検索していて、ある記事に目がとまりました。
河南省のとある地域で、売血が原因のエイズが大流行しているというものでした。

河南省は、黄河の南側という意味で、南という字は付いていますが、中国では北部にあたります。
中国でいちばん人口の多い省です。
90年代から始まった改革開放は、華南エリアや沿海部で急速に進みましたが、河南省など内陸部の人口の多い省では、国営企業が幅を利かせていて、人民にも親方日の丸の気風が強かったため発展が遅れます。
企業倒産が相次ぎ、農業も生産効率が上がらず、他省が経済成長を続けるなかで大きく取り残されてしまいました。

他省への出稼ぎに行く大きな流れができました。
それすらできない最貧困の農村では、手っ取り早い現金収入の手段として売血する人が続出します。
血を買うのはもちろん赤十字ではなく業者ですが、その業者は経済発展の波に乗ろうと常識を逸した血液の買い方をしたようです。
詳しいことは忘れましたが、いったん採決して白血球だけを取り出し、その血を売血者に戻していたのですが、効率を上げるため何人もの血をひとつの容器に集めて戻したため、採血した人の血がすべて混じった状態でした。
中にHIVキャリアの人がいたようで、その血は他の人の血と混ぜて全員に戻されます。
売血したすべての人がHIVキャリアになってしまったのでした。

採決は何度も繰り返され、中には何も知らずに性行為に及んだ人もいたでしょう。
複数の村で、人口の50%、60%のエイズ発症率というとんでもないことが起こったのでした。
政府はどう対応したかは、先日の高速鉄道のことを思い出せば言うまでもないでしょう。
被害者を救済することは無く、さすがに感染者を穴掘って埋めることは無かったのでしょうが、こんなことはなかったかのように臭いものにふたをする策に出ました。

村周辺に公安を配置して立ち入り禁止にしてしまいます。
話を聞き着けた記者が取材しようとして拘留されて精神病院送りになったり、窮状を訴えた看護士が不当逮捕されるなどのもみ消しがいくつもあったようです。
わたしが、目にした記事は香港人記者の命懸けの取材がもとだったと記憶しています。
河南省の知り合いにこのことをそれとなく聞きましたが、やはり聞いたことは無いという返事でした。
さすがに当時から中国がまともな国だとは思っていませんでしたが、ここまですごいとはと絶句したのを思い出します。

いま、深圳で1日どのくらいの人が献血するのか分かりません。
しかし、門前の受付は、突然の大雨に雨宿りの場と化してしまいます。
恐らくは、申込用紙を記入するためのテーブルに座って足をブラブラさせる人まで現れる始末。
このおっさんは、生涯、献血などとは無縁でしょうし、ましてや何年も前に売血によってエイズが広まった村があることなど知る由もないことでしょう。
【M8/Xenogon 35mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Schneider Xenogon 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(0) | 2011/09/06 Tue

安静的地方

M8/Xenogon 35mmF2.8
台風12号が直撃した紀伊半島エリアを中心に大きな被害をもたらしました。
被災された方に謹んでお見舞い申し上げたいと思います。

先週末、その台風12号が日本に接近し、同時に台風11号が台湾から華南方面に上陸していたとき、のこのこと中国へ出掛けていました。
離陸と着陸で影響を受ける最悪のタイミングです。
実際、一回テイクオフをやり直すという初めての体験を味わいました。
機長の機内アナウンスで、異常がみられたのでいったん離陸をとりやめて、確認してから再度離陸しますと言いながら、そのまままた離陸したときは大丈夫かと不安になりましたが、特にトラブルなくほぼ定時到着しました。

旅客機は、台風よりも高い高度で飛ぶので、それほど影響がないと聞きます。
ですから大きな台風が接近していても、離着陸する空港が暴風圏に入っていなければ、器材さえあれば運休されることは少ないようです。
ただ、やはり離着陸時は激しい風の影響を受けて、期待が激しく揺れたり傾いたりと、かなりスリリングな体験を味わわなければなせないことが多いですが。

これは、大分以前のことですが、ヨーロッパ旅行をしたときチューリヒの空港へなかなか着陸できないという体験をしました。
もちろん台風ではなく、濃霧とかそんな理由だったと思いますが、着陸態勢に入ってから空港付近を何度も旋回しているのが分かりました。
機内にはかなりの緊張が張りつめたのが感じられます。

機長のアナウンスがありましたが、語学力の問題で正確に聞き取れません。
たぶん滑走路が霧で覆われているが、どうぞご安心くださいというようなことを言ったのだと思います。
すごく長く感じられるほど旋回しているように感じられるなか、意を決したように着陸に突入しました。
もちろん、着陸は無事成功。
乗客から一斉に拍手が起こりました。

もうひとつ思い出したのは、冬場、アメリカ経由でヨーロッパへ向かった時、到着予定のシアトルが大雪で着陸できず別の空港へ降り立ったことがありました。
シアトル乗り継ぎでアムステルダムへ行く予定だったので、フライトアテンダントにここからアムステルダムまで乗り継げるかと聞きましたが、あくまで給油のために臨時に着陸しただけで、あなたは連邦航空法の規定により降機することはできないときっぱり断言されました。

成田からシアトルまで燃料ぎりぎりで飛んでいたので、チューリヒの時のように上空で様子を見る余裕がなかったのでしょう。
結局、数時間遅れでシアトルに着きましたが、乗り継ぎ客でごった返していて、乗り継ぎできないと判明するまで1時間以上かかりました。
どうしてくれるんだと抗議すると、しぶしぶ翌日の便を抑えてくれましたが、航空会社が用意してくれたホテルは1拍40ドルのなんとも寒々しい安モーテルでした。

それで思い出したのは、やはりヨーロッパに行ったとき、帰りの日程で航空会社のストに合うという不運に見舞われたことがありました。
このときは、カウンターのスタッフがたいへん親切で、予約は乗り継ぎ便だったにも関わらず、翌日の他社直行便に振り替えてくれたうえ、空港ホテルのかなりいい部屋に案内してもらえました。
出勤が1日遅れてしまうので困ると言うと、欠航証明書のようなものを書いてくれましたが、これは英語でしたので、さすがに職場には提出しませんでした。

これらは、いまだから笑いながら思い出せる、旅の思い出になっています。

さて、作例は、深圳駅にほど近い陸橋下での光景です。
かの地では、仕事がない人が昼寝しているのはごく普通のことですが、商売道具をそのままベッドにしているのはなかなかにユニークです。
場所的にも、雨を避けますし、列車が通るたびに風が起きて少し涼しげです。

それでも、すぐ脇が芝生の公園のようになっているのに、そこではなくわざわざ歩道の真ん中に寝ているのが不思議です。
それに、リアカーを握ってた引っ張る部分にうまく足を乗せて、何ごともないかのように眠っているのは芸術的とすら感じられます。
台風の接近に動じないのは、なにも名パイロットだけではなかったようです。
【M8/Xenogon 35mmF2.8 F2.8】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Schneider Xenogon 35mmF2.8 | trackback(0) | comment(0) | 2011/09/05 Mon
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