坐無窮花回去

Soligor 35mmF3.5
わたしは中国にばかり行っていますが、もともとは韓国の方により縁がありました。
親しかった学生時代の友人がある日、実は、在日韓国人だと打ち明けたことがきっかけで韓国のことをとくに日本とのかかわりで知ろうとしたからでした。
インターネットのなかった時代のことで、調べごとと言えば図書館に行くことくらいしか思いつかなかったので、それほど理解が深まったとは思えませんが、それでも一般的な日本人よりは韓国や在日について知識を有していたと言えるでしょう。
この頃のことの話を書くことはあまりに重くて、とても気が進みません。

旅としての韓国ということでは、すぐさま思いつく2つの事柄があります。
ひとつは、わたしが初めて踏んだ外国の地が韓国だということです。
卒業旅行で友人とヨーロッパを1か月近く旅してまわったのですが、たぶん格安航空券黎明期と思われる当時、ヨーロッパ行きのチケットは、大韓航空かアエロフロートと相場が決まっていました。
ソ連航空機に撃墜された記憶がまだ生々しかった大韓航空とボーイングではなくイリューシンという怪しげな国産機を飛ばしていたアエロフロートは、危険度に於いて五十歩百歩といったところでしょうか。
そんなことよりも5000円くらい安くて、帰りにソウルに立ち寄れると聞いた大韓航空の方をわたしたちは選択しました。

今回の釜山行きでは、たぶんその時以来20年以上ぶりに大韓航空に搭乗したのですが、機内に入った瞬間に突如として思い出したことがありました。
韓国に行くと、すでに空港からキムチの臭いが立ち込めているという話を聞いていたのですが、それ以前に航空機内にキムチに臭いがしていたのです。
準備中の機内食にキムチが入っているからなのか、アテンダントや乗客がお昼にしこたま食べてそれらが共鳴して機内の空気を震わせてたからなのか分かりませんが、これはキムチの洗礼以外の何物でもないとかつても今回も考えたのでした。

もうひとつ思い出したことは、バンコクに行った帰りの航空機で韓国人の団体を率いていたツアーコンダクターが本来は日本旅行専門の人で日本語がうまく、彼はわたしを隣の席に来るよう誘ってくれ、いろいろと話をして今度ソウルに遊びに来てくださいと名刺をくれました。
その言葉を信じて半年後くらいにその旅行会社を訪れたのですが、驚くべきことに彼はわたしのことをまったく覚えていませんでした。
でもわざわざ来てもらったのだからと、食事に連れて行ってくれたのですが、その時一緒に来た同僚の盧さんとなぜか盛り上がってしまい、以降何度か彼と会うことになります。

盧さんは、自己紹介でイエス・ノーの盧ですと訳の分からない説明をするのでちょっと前の大統領だった盧泰愚の盧ですよねとフォローしたつもりですが、韓国ではこういうところで政治家を出してはいけないのか、これはあっさりかわされてしまいました。
2回目に会ったときに、夜、食事をして、これからナンパに行こうと男女の出会いの場カフェのようなところに連れて行ってもらいました。
オレがお前に韓国人のガールフレンドを見つけてやると意気込んでいます。
ちょっと可愛い感じの女の子が同じテーブルにやって来ました。
チャンス到来かと思われましたが、彼女は英語がまったくできず、盧さんはあれこれ話していましたが、いつの間にかわたしは蚊帳の外になり、さらに話は盛り上がったかと思うと、すまんがオレは彼女とちょっとなどと言いながら店を出るや、そのまま隣のホテルにふたり消えてしまいました。

フライト中ずっと会話して遊びに来いと言っていたのにもう覚えていなかったり、女の子を探してやると言ってその女の子とホテルに行ってしまう、どうも韓国人はなかなか掴みどころのない人たちなのかなあと悩まざるを得ません。
今回、お世話になったカメラマンの金さんとまた会うことができるのか、会ったとしても前とは別人のようになってしまうのか、その時が楽しみです。

さて、日曜日の早朝、釜山の安宿をチェックアウトして空港に向かいます。
釜山駅あたりから空港まで、案内によればタクシーでも1500円くらいだそうで、リムジンバスの便もあります。
地下鉄を乗り継ぐのがいちばん安いのですが、時間がかかりすぎるのが難です。
そこで考えたのが、釜山駅から韓国国鉄に乗って、空港行きの地下鉄駅でもある沙上で乗り換えというのを考えました。
沙上駅にはほとんどの国鉄は通過してしまいますが、時刻表を見ると空港に行くのにちょうどいい時間のムグンファ号が停車するとあります。

朝、釜山駅のチケット売り場で沙上までと言っても、沙上は地下鉄の駅で国鉄は停まりませんと若い女性駅員が強気の対応をします。
時刻表に出ていたので調べてみてくれと主張すると、そんなはずはないと渋々端末をたたいて、失礼しました、停車する列車がありましたと切符を発行してくれました。
釜山駅から沙上駅まではわずか10分ほど、列車を降りてから線路を歩いて渡るローカル線の駅のようなところで、乗車した人は何人かいましたが下車したのはわたしひとりだけです。
5分ほど歩いて地下鉄駅から空港に向かいましたが、こんなルートで空港に行く人は他にいないようです。
人類初の試みを成功させて空港まで到達したかのような優越感がありました。
順調すぎて空港で時間を持て余すかと思われましたが、椅子にかけていたらいつの間にか眠ってしまい、起きたときには搭乗が始まっていました。
機内に入った瞬間、来るときには感じられたキムチの臭いが、なぜか感じられなくなっていました。
【Alpha7/Soligor 35mmF3.5 F3.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Soligor 35mmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2014/04/06 Sun

可以住在這裡

Soligor 35mmF3.5
旅において誤解していたり思い込みで失敗することはときどきありますが、良洞村の宿もそれに該当するでしょうか。
アゴダという国際的な宿泊予約サイトで取った宿で、わたしは6000円のいちばん安い部屋でしたが、高い部屋は2万円以上したと思いますので、そんなところで英語が通じないはずがないと考えるのは自然なことです。
しかし、この宿を切り盛りしている奥さんは外国語はまったくダメですし、もともと基本的に宿泊はひと組しか取らない方針で、家族連れの予約が入っていたので、その後のわたしの予約などまったく見ていなかったそうなのです。
厄介なことになってしまったかと思われました。

しかし、旅では不運と幸運は交互にやって来るという法則があると言った人がいて、このときのわたしがまさにそうでした。
なぜか建物の中にいたカメラを提げた青年が、日本語をしゃべることができて、宿の奥さんとの間で翻訳してくれます。
青年の説明では、韓屋と言われる古い家屋は隣の部屋でしゃべる声が聞こえてしまうので、基本的に宿泊は1組に限定しているとのことですが、あなたはひとりだけだし、予約の確認をしていなかったのはこちらのミスなので、どうぞ泊って行ってくださいと、奥さんが言っていますと訳してくれました。

やれやれとホッと一息ついていると青年の説明が続きます。
青年はスタジオを経営するプロのカメラマンで、今回、企画会社の仕事でソウルから企画会社のふたりとともにやって来ました。
仕事は応募者の中から書類選考された家族が、いろいろな体験をしてそれを記事にするということでした。
今回の企画は、この500年前の古民家で韓国の伝統的な家族の礼儀作法を子どもに教えるというようなことだったようです。
よければ、いっしょに見学してくださいともお誘いいただきました。

この思わぬ展開にデジャヴのような感覚を感じました。
釜山経由でワールドカップ日韓大会を見に行ったとき、ソウルで1泊してから帰国したのですが、ちょうど光州で韓国がスペインをPK戦で破るという番狂わせを起こした夜のことだったので、ソウルの街中に赤いTシャツを着た若者が繰り出していてたいへんな盛り上がりで、レストランで隣のグループからいっしょに飲もうと引き込まれ、韓国焼酎をがんがん飲まされ、連れがそもそも在日韓国人だったということもあって、韓国のベスト4進出をいっしょにお祝いすることになりました。
彼らとは親交が続いて、その次に訪韓した時にリーダー格の青年の甥っ子が満1歳の誕生日のパーティに呼ばれ、子どもの目の前にお金や鉛筆、楽器その他が並べられ最初に手にしたものが、お金なら将来お金持ちに、鉛筆なら学者になどという韓国伝統の占いの様な儀式を眼にすることができたことを思い出したのです。

韓国では年上の人と盃を交わすときは、横向きになって手で覆いながら飲まなくてはならないというのはよく知られています。
今回の旅でもそのような場面を何度か見ましたが、韓国では伝統が重視されていることが理解できます。
奥さんの指導で子どもたちが礼儀作法を学んでいきます。
手の組み方や仕草にひとつひとつ意味があることを、青年が写真を撮りながら翻訳してくれました。
それにしても、子どもたちが何と可愛らしく、それを見つめる両親の表情に愛が満ちていることでしょう。
韓国の伝統が大切でこのような儀式が行われるのではなく、家族の絆を高めるために伝統を利用しているのではと、見学しながら思わずにはいられませんでした。
【Alpha7/Soligor 35mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Soligor 35mmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2014/03/28 Fri

小猫与姑娘

M8/Soligor 35mmF3.5
昨日の本覚寺から妙本寺は一直線です。
これまで通ったルートは、鎌倉駅周辺の平坦な道でしたが、妙本寺は山の上にあるというイメージです。
鎌倉の円覚寺や建長寺に次ぐ大きさがあるのではないかと思います。

そういえば鎌倉五山という言葉があるのを思い出したので、調べてみます。
建長寺、円覚寺、寿福寺、浄智寺、浄妙寺とあって、妙本寺は入っていません。
寿福寺、浄智寺はちいさいけどなあと思いますが、五山というのは大きな寺院ベスト5を言っているのではなく、禅宗の寺であって、いずれも国家が管理監督する官寺なのだそうです。

妙本寺は、駅から近く、たいへんに閑静、緑の深い地、由緒ある古刹、拝観無料などすばらしき条件を兼ね備えているにも関わらず、いつ行っても参拝者が多くない不思議な寺院です。
前述の五山の寺院や八幡さまに鎌倉宮などの人気と比べると不思議なまでに静かですが、テレビや雑誌で紹介されたレストランには行列ができるという、日本人の行動の志向から外れているというだけのことだと思われます。
観光客が少ないという意味では、これが本来の寺院の姿なのかも知れません。

作例写真は、日向ぼっこする子猫、それに語りかけるおばあちゃん、そして多分わたし同様に被災した方々をお見舞いし復興を祈願する女性の図です。
これぞ、日本がひとつに団結して、やがて平穏が訪れる姿を示していると感じられます。
いや、もうちょっと寄って、スポットライトのおばあちゃんと子猫の表情を捉えるべきだったか。

ソリゴールの作例は今日で最後になりますが、国産レンズシャッター機のソリゴールのオリジナルレンズ探しははかどらず、謎は解明できていません。
そうだと思い出して、クラシックカメラ選書のレンズテスト上下巻をチェックしましたが、35mmf3.5というスペックで紹介されているのはキヤノンのレトロフォーカス型レンズだけでした。
紹介されているレンズは1960年からで、5年後のものになりますし、このころになるとレンズシャッター機すら大口径競争の真っただ中という感じで、F3.5なんて相手にされてなかったのかも知れません。

無断で書かせていただき申し訳ありませんが、ミランダ研究会さんのサイトにたいすへん有力な情報が記載されていました。
まず、「ソリゴール製品はあまりにも品目、種類が多く収拾がつかないのである。ソリゴールの収集をコンプリートするのは、かなり壮大なプロジェクトになるのではないだろうか?」と記されています。
ソリゴール自体の研究があまりないことも示唆されているようです。

そして次です。
わたしのレンズのシリアル番号は4桁ですが、そのあとに「K」と入っているのがプロトタイプか何かを意味するのではと根拠のない仮説をしていました。
違っていました。
なんと、「1960年のオートメックスの記事ではKナンバーのレンズがコーワ製造であると紹介されていたことから、Kはコーワの頭文字と考えられる」とありがたくもたいへん貴重な情報です。

しかし、そのあとは行き詰ってしまいました。
コーワから発売されたカメラはレンズシャッター一眼レフ・レンジファインダーなどがあり、35mmレンズもあったのですが、固定レンズも交換レンズもF3.5ではなくF2.8だったのです。
有名な50mmF1.4大口径レンズを付けたレンズ交換式レンジファインダーカメラ、カロ(コーワ)140の広角も35mmF2.8でしたが、その写真を見るとやはり前玉が奥に引っ込んでいて、わたしのソリゴールによく似ています。
ただし、構成は未確認で、関連性もまったく不明です。
ようやく1歩進んでまた半歩下がったようなソリゴールの謎でした。
【M8/Soligor 35mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Soligor 35mmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/04/01 Fri

初一的月亮

M8/Soligor 35mmF3.5
ウィキペディアによれば、ソリゴールは1955年頃に始まっているレンズブランドのようです。
いちおうそれを信用すれば、時代は、ライカM3は前年に登場していて、ペンタックスやトプコンなど国産一眼レフが生まれる前夜という時期です。
ライカマウント(コンタックスも)の交換レンズを発売すべく立ち上がったものの、すぐに一眼レフが台頭したことでその専用レンズにシフトしたということかも知れません。

このころには本家のライカは別として、あまたあるコピー機は性能で行き詰まり、価格競争を経て淘汰されていくころですので、レンズは安価でそれなりに性能の高いものを供給しようとしたはずです。
一から設計して製造組み立てしていたのでは、コストも時間も後塵を拝しますから、OEM供給を受けるのは当然のことでしょう。

しかし、同じライカマウントの交換レンズをそのまま他社へ流すのは自分の首を絞めることになりかねず、乱立の時代になかなかそういう太っ腹なメーカーも無かったと想像します。
現実的なのは、レンズシャッターカメラのレンズエレメントの供給を受けて、自前の鏡胴に入れてしまうのが手っ取り早そうです。

35mmF3.5レンズを付けたレンズシャッターカメラはかなりありそうです。
ざっと検索して、最初に出たのがオリンパスのDズイコーで、1955年発売とあったので、おっと思いましたが、これはテッサー型でした。
天下のオリンパスがレンズを売るというのもちょっとあり得なさそうです。
まだ、それらしきものは見つかりませんが、こうやって調べていけば手掛かりが出そうなので、ただいま鋭意調査中です。


すっかり忘れていた鎌倉のルートを記しておきましょう。
風情ある大仏次郎旧邸の路地を抜けて、昨日の作例の蛭子神社で復興祈願しました。
かたわらのミニが落ち着いたベージュで、まわりの雰囲気に溶け込んでいるのがいいです。

そのままはす向かい方向へ進むと安産の大巧寺があるので、ここでも復興祈願。
さらに1分も歩かずに着くのが今日の作例の本覚寺です。
まずは、本堂に手を合わせ、この周辺では比較的広い境内を歩くと、早咲きの桜に人が集まっています。

この日は曇りがちでしたが、ちょうどまた日が射して来て、うまい具合に桜をぱっと明るくしました。
何も考えずに撮って液晶で露出確認すると、見事にフレアで真っ白になっています。
レンズが引っ込んだ位置にあってフードいらずなどと言っていましたが、実はかなり逆光に弱いレンズと分かりました。

わたしの所有するオールドレンズのほとんどが逆光に強いとは言えないので、ただ油断していたというだけで、驚くということはありません。
むしろ作例写真のように花に強い光が当たっている状態で、滲んだりしないことの方に驚いてしまいました。

作例の女性は、あの位置からの桜がそうとうに気に入ったのでしょう、なんとも美しいフォームで撮影しています。
その全身のポーズがメニスカスレンズのように見えてしまうわたしも、ちょっと危ない領域に片足が入りつつあるようです。
【M8/Soligor 35mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Soligor 35mmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/31 Thu

只幾個生産的

M8/Soligor 35mmF3.5
一眼レフの経験が無いわたしはソリゴールと聞いても、はて? という感じですが、意外とマニアックなファンの多いメーカーなのかも知れません。
ざっと検索すると一眼レフ用交換レンズが次々とヒットします。
ウィキペディアにもソリゴールという一項があったので、読んでみましょう。

ソリゴールはもともとメーカーではなく、日本のメーカーがOEMしたブランドとあります。
レンズだけではなく、中判や一眼レフなどのカメラ、ストロボ、露出計などのアクセサリーにもソリゴール銘を付けたものがありました。
前述の通りレンズは一眼レフ用のものがほとんどのようですが、マウント交換式をいち早く取り入れていて、タムロン、シグマなどのレンズメーカーの先駆となっていたようです。

ソリゴールミランダというミランダカメラ向けの一連のシリーズが合ったようです。
残念ながらここの部分の記載がわずかで詳細はまったく分からないのですが、ミランダはドイツの商社に買収されてしまって、そのときにソリゴールブランドもいっしょにドイツへ移転してしまい、以降のソリゴールレンズは製造国はともかくとしてドイツレンズの扱いでした。

ミランダの結びつきといって唯一思いつくのが、ズノーレンズとの関連です。
最初期のミランダTというカメラの標準レンズには、ズノー50mmF1.9が付いていたのはよく知られています。
その類推から、このソリゴールも帝国光学ないしはズノー光学が設計に関わっていると考えたくなりますが、両者を結び付けるものは何もないようです。

検索を続けると意外なところからおもしろい情報が出てきました。
写楽彩は、レアものレンズの掲載では右に出るもののないサイトですが、なんとコンタックス用レンズのページに、ソリゴール35mmF2.8が掲載されていました(http://www.syarakuse.com/Contax/solgol35.html)。
シリアル番号の桁数を見ると製造年代がだいぶ違うようですので、比較にはなりませんが、前玉が小さく引っ込んでいるところに共通点があって、これも対称型ではと思われます。
サイトの中でも、ガウス型のタナー35mmF2.8と形状がそっくりでOEMではと推測されています。

そうであれば、このソリゴール35mmF3.5もタナー35mmF3.5のOEMではないかとの仮説が成り立ちそうです。
しかし、タナーの方は、情報によれば3群4枚のテッサー型で対称型ではありません。
タナーではなく、別のレンズのOEMなのでしょうか。

ここで無理な推測を試みることにしましょう。
レンズのシリアル番号ですが、「11XXK」と4桁の番号の後ろにKという記号が付されています。
番号がたいへん若い上に「K」と付いているのが、なにかプロトタイプ、というよりは実験的に少数生産されたという雰囲気を醸しているように思います。

ソリゴールはもともとそういう名前の会社がレンズを製造していたわけではなく、レンズメーカーがOEMしたレンズをソリゴール銘で販売していたのです。
ここからかなり強引に推測すると、どこかのメーカーが試験的に少数製造したプロトタイプを、埋もれさせるのが惜しいとそのまま製品化したと考えることができなくもありません。

あるメーカーがレンズを数本作ってみたものの、どうも思ったような性能が出ずお蔵入りしてしまいます。
捨ててしまうのもなんなので、このたびスタートしたソリゴール銘にして売ってみてはどうか。
しかし、一眼レフ用にするには後群がミラーあたりしてしまうので、ライカマウントでいこう。
評判が良ければ量産してもいいし。

時すでに一眼レフの時代で、ライカコピーはほとんど姿を消し、ライカボディを使う人が怪しげなコピーレンズを欲しがるはずもありません。
どこからも引き合いが無いままに、当初の数本が残されたまま、結局のところお蔵入りとなってしまった…。
所有者の身勝手な空想ですが、もう少しましな情報が出るまでの間は、自作のこの説に固執しようかなと思っています。
【M8/Soligor 35mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Soligor 35mmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/30 Wed

未知的鏡頭

M8/Soligor 35mmF3.5
なんとも悩ましいレンズを入手してしまいました。
SOLIGOR 35mm f:3.5 No.11XXK と銘板に刻印されている、純正のライカマウントレンズです。
鏡胴に japan とも刻印されていて、国産ではあるのでしょうが、珍しいレンズであることは間違いなさそうです。
価格はノンライツレンズとしては異例の安さで1万円を大きく切っていました。

スペック的には地味でテッサー型っぽいですし、外観は、コムラーなどによく似た印象で、全体に価格相応の印象が強いです。
実は別のレンズを購入するときに、このソリゴールが同じカタログに出ていて安かったので、ついでにオーダーしてしまったのが事実です。
そのうち使おうと思ったまま棚に置かれ、すっかり忘れてしまっていました。

実は先月、大きな防湿庫を購入して、レンズを移していたときにひょっこりソリゴールが現れたのでした。
「Soligor」という筆記体のロゴのレンズキャップがずいぶんと主張していて、これなんだっけと手に取ると、購入時に気付かなかった不思議な点が見えてきました。
それでは、近々使ってみなくてはと思った次第です。

まず、35mmでも50mmでもF3.5(F2.8も)レンズのほとんどがライカ規格のA36(36mmかぶせ)のフィルター仕様になっていますが、このレンズは少し大きくて合うフィルターが見つかりません。
37mmのものが合いそうでしたが、少し緩かったので、テープで留めて使いました。
多くがアクセサリーの汎用性を利用したノンライツにあって、この規格外はかなり意外です。

レンズも前玉が1センチに満たない小さなもので、フィルタースレッドからずいぶんと引っ込んだ位置にあって、鏡胴がそのままフードにもなってしまうようです。
レンズ構成では行き詰ってしまいました。
レンズの反射面を見ればテッサー型でないのは一目瞭然で、貼り合わせ面が2つ見えましたので、オルソメター型かと思いました。

しかし、空気に接するレンズ面が4つしかなく、これでは間違いなくオルソメターではありません。
類例が思いだせないので想像ですが、貼り合わせが並んだ2群4枚対称型ということになるのでしょうか。
シュタインハイルのオルソスティグマットというライカマウントの隠れた名玉があって、これは3枚貼り合わせが並んだ2群6枚対称型ですが、これを簡略化したということになるのかも知れません。

こういう自分の乏しい知識を超える構成を見ると、俄然どういう写りをするのか気になります。
解像力は期待以上に高かったですし、対称型だからでしょう歪曲はありませんでした。
しかし、ひと目見て分かる特徴として、軸上色収差が顕著です(作例の画面サイズではほとんど見えないかも知れません)。
昨日の作例では木の葉の周囲に、今日のでは植物に覆われた建物の左側のラインに沿って青い色が滲んでいます。
わたしのオールドレンズ基準で言えば開放から十分にシャープで、コントラストも適当に感じられますが、設計自体には少し無理があったのでしょう。
【M8/Soligor 35mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Soligor 35mmF3.5 | trackback(0) | comment(2) | 2011/03/29 Tue

復興雲遊

M8/Soligor 35mmF3.5
毎日毎日被災地の映像を見て心を痛めるばかりですが、そうやって沈んでいるのがいちばん良くないことです。
技術を活かして被災地で活動できるのがいちばんですが、それができなければ、募金でも何でも支援したいと思います。
それ以外のことが思いつきませんが、積極的に行動することで、気持ちだけでも被災した方を引っ張るつもりでいるつもりになりたいと思います。

わたしの活動としては、日記ブログを休まず継続させるということがまずあります。
この日曜日で深圳シリーズも終了したので、どこか撮影に行って、1週間分のネタを撮って来なくてはいけません。
そこで思案したのが、鎌倉へ出掛けて、お寺さんや神社で撮影しつつ、そのすべてで復興祈願するという試みです。

子どものような発想ですが、土日も用事があって短時間しか外出できないうえに、そろそろと思われた桜の開花も関東では間に合わず、イベント類は震災を考慮してことごとく中止とあっては、鎌倉で撮影してくるほかありません。
まずもって鎌倉行きが決まり、せっかく行くのなら行く先々で被災者のための願掛けをしてくればというのが、普段とは少しだけ違う撮影の趣旨です。

日曜の午前中は用事があって、家を出たのは2時過ぎでした。
自宅のある藤沢は鎌倉市には隣接していますが、駅まで出てから、小田急、東海道線、横須賀線と乗り継がなければなりませんので到着はほぼ1時間後です。
わたしにとっても初めての3時からの散策開始になりました。

今日も人通りが多くてうんざりの小町通りは通らないで、若宮大路の真ん中を北上していきます。
開花が間に合えば、ここも多くの人でごった返すところですが、あいにくまだつぼみが見られるかどうかといい感じでした。
そのまま八幡さまには向かわず、宝戒寺方面に右折します。

そこで路地の先に見つけたのが、朱塗りも鮮やかな小さな小さな神社でした。
申し訳ありませんが、名前を忘れてしまいました。
いえ、名称の表記があったかも思い出せません。
写真を拡大してみましたが、「○○社」と読めるものの、○○の部分がどうにも読めませんでした。

まずは、ここから撮影と復興の祈りをスタートさせます。
小さな声が被災地まで届くことを願って。
【M8/Soligor 35mmF3.5 F3.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Soligor 35mmF3.5 | trackback(0) | comment(0) | 2011/03/28 Mon
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