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福倫達報告3

Voigtlander 100mmF2.3
今日が馬車道まつりの最後の作例になります。
文明開化期の服装かと思い声をかけて撮らせてもらったのですが、実はそうではなくて、おとといの作例の女性と同じスチーム・パンク愛好の女性でした。
撮らせてもらってもよいですかと尋ねると、1枚だけならと言う返事でしたので、シャッターを切るタイミングで背後に探偵風男性が被ってしまいました。
1枚の約束でしたが、申し訳ないですがと立て続けに図々しくもう1枚撮らせてもらい、本来なら探偵おじさんのいないそちらの方がよいのですが、最初の方が眼がきらりと光っているのがかっこうよく、悩んだ末にこちらを採用することにしました。

よく見ると左背後の腰掛ける女性も帽子をかぶっていて、3つの帽子に少女の左手の傘とで小道具が生きているという感じがします。
絵画であれば、何かのアレゴリー的な意味を見出せるかも知れません。
最大の意味は、少女の左目が放つ光にあるということになるでしょう。

さて、今日もレンズの話を少々書き加えることにします。
少し前に、"Voigtlander Report 3"というハードカバー本を購入しました。
ドイツ語なので内容がよく分からないのが残念ですが、フォクトレンダーのカメラを図解したカタログのような本です。
フォクトレンダー・リポート3は、レンズと蛇腹カメラが収録されているので買ってみたのですが、わたしはフォクトレンダーのレンズをほとんど所有していないので、なかなか役立てる機会がありませんでした。
オークションなどでコリネアやオイリュスコープが安く登場した時に、焦点距離やF値などを調べるのに2~3度調べるために使った程度です。

今回は、目次で調べて、Portrait Objectiv, Serie 1a 1:2.3というのを簡単に見つけることができました。
このシリーズは、焦点距離が5種類あって、それぞれ8cm、10cm、15cm、20cm、30cmとなっています。
8cmなんてさらに短いものもあるのがちょっとした驚きですが、20cmや30cmも本当にF2.3なのかが気になるところです。
3行ほどの説明書きがありますが、ドイツ語のため割愛させていただきます。
少なくとも製造数などの記載はないようです。

興味深いのは、構成図が1905年と1914年のカタログのコピーとして掲載されていることです。
ペッツバールの構成とよく似ていて、前群はほぼ同じものと考えてよさそうですが、後群は両凸・メニスカスの順に並んでいて通常のペッツバールとは逆になっています。
これで思い出すのは、ペッツバールを改良したダルマイヤーのレンズですが、キングスレークの本をみると、まさにそのダルマイヤーのレンズと型が同じです。
キングスレークによれば、ダルマイヤーの特許として、後群の間隔を開けることでソフト効果を変化させることができるとなっていて、フォクトレンダーのレンズもダルマイヤーの方法を利用していることが理解できます。

ペッツバールの後群を前後入れ替えるとソフトになることはよく知られていて、わたしがこれまでに購入したペッツバール型のレンズのうち少なくとも3本は、後群が入れ替わっていたためにソフトなレンズでした。
元のかたちに戻すととてもシャープになったので、オリジナルはペッツバールだったのだろうなと判定することが可能です。

なぜ手に入れたときに前後が入れ替わっていたかは、ソフトな描写が好まれていたからだろうと想像することができます。
ポートレイト用のレンズで、当時の撮影料金が高価だったことを考えれば、自ずと高齢の人がお金を払って写真を撮りに出向いたのであり、女性などが皺を目立たないようにしてと注文したことは想像に難くありません。
そこで写真屋さんは、後群を入れ替えるだけでシャープにしたりソフトにしたりを使い分けていたのでしょう。
やがて、それをソフト専門にしたのがダルマイヤーやこのフォクトレンダーのポートレイトレンズだということですね。
【α7/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
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thema:ペッツバール genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2014/11/10 Mon

中心最好吃

Voigtlander 100mmF2.3
フォクトレンダーのポートレイト・オブジェクティヴは久し振りに使用しましたが、確認してみるとやはりそれまではライカM8との組み合わせで使用しています。
それがどうかしたかという話ですが、M8とα7では描写が違って見えるということが気になっていました。
恐らく、その違いとはカメラによるものではなく、レンジファインダーによるピント合わせと、EVFの見た目でのピント合わせに差があるということを意味していると思います。

たしかタンバールの時も同じことがありましたが、光学上の焦点位置の前後に、実際にピントが来ているように見えるスポットがあるということのようです。
ソフトフォーカスレンズには、そのような美味しいスポットで撮影したり、スポットに惑わされずに正確な焦点位置で撮影したりと二重の楽しみ方ができるレンズということになります。

いずれにしても、被写体についてはハイライトで強い滲みをつくるとか、逆光で全体の雰囲気を出すとか演出を心掛けた方が面白いのは間違いありません。
作例は逆光で撮っていますが、そのままではコントラストの低い絵になってしまいますのでハレ切りが必須です。
そのハレ切りでは、M8と違って効果がはっきり分かり、手が写し込まれる心配もないα7は、ソフトフォーカスレンズでより威力を発揮してくれることを実感できます。

ソフトフォーカスレンズは全般にそうですが、このレンズも深度が深く感じられます。
とても10cmF2,3というスペックには感じられません。
そのため、背景の処理には気を遣った方が良さそうです。
今日の作例のように距離があれば気にしないで良さそうなものですが、昨日、一昨日の作例では品が好いとはいえ割と崩れないボケが50mmF2.8クラスのレンズのようです。

また、特に効果を愉しみたいというのでなければ、背景に樹木などを置かない方がよいようです。
他の作例では問題にならなかった非点収差が、今日の作例ではぐるぐるがとびまわっています。
それとソフトフォーカスレンズでは、光線状態でパステル調に色を転ばせることができますが、今回もややそんな調子が出ています。
背景の青や赤は好い感じになっていますので、もっと色が華やかな背景だとより面白かったかも知れません。

しかし、このレンズの場合は、中心部分のみが極度に好い描写をしますので、本当はここに顔が来るようにしなければいけなかったのですが、3日間とも作例は失敗しています。
とは言え、胸回りのファブリックの表現は絶妙で、こういう表現ができるレンズはなかなかないのではないかと思います。
この部分が小さすぎるては撮影時には使いづらいので、ど真ん中に顔を持ってきて、上の余白をすっぱり切り落とすのがよいということでしょう。
個性的レンズは、1枚の写真の中に好い部分とそうでない部分が混在していて、そういうところがまた好いと言えるのです。
【α7/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ペッツバール genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2014/11/09 Sun

蒸気主義者

Voigtlander 100mmF2.3
先日、渋谷区にある某店でレンズの話をうかがっていた時、ペッツバールの話になりました。
もちろん、わたしたちのようにデジタルで撮影している話ではなく、4X5など大判でペッツバールを愉しんでいる方々のことです。
そういう方に人気なのは、フォクトレンダーではなく、ダルマイヤーの3Aや3Bなどアルファベットが付くタイプのペッツバールだとのことでした。
理由を聞くと、フォクトレンダーはよく写り過ぎるのに対して、ダルマイヤーのアルファベットタイプはソフトタイプのレンズで収差が大きく大判で撮影してその個性を際立たせられるのでたいへんに面白いからだということでした。

ちょっと意外だったのは、大判で撮影する人は真面目に取り組んでいるのでシリアスなレンズを使うものだと思っていたのに、収差レンズの方が人気だということでした。
フォーマットが大きいほどレンズの個性がより際立つでしょうから、それも含めて撮影を楽しんでいる人がけっこういるのだと知って、こちらも楽しい気持ちになりました。

スペックを考えるともしかしたら大判に対応するレンズがないのかも知れませんが、今回、わたしが使用したフォクトレンダーのポートレイト・オブジェクティヴのシリーズは、フォクトレンダーにだってそういうファンを喜ばせるレンズがありますよと言える代表だと思っています。
某店の主の言葉ではないですが、フォクトレンダーはかっちり写る真面目レンズばかりだとの声を反映して、我々にだって遊び心はあるし、むしろフォクトレンダーと言えばユニークさが売りですと言わしめるレンズと言えるでしょう。

そんなレンズでの今日の作例は、文明開化の衣装ではありません。
スチーム・パンクと言う産業革命時代こそ黄金時代で電気が発明されなければこのような時代になったであろうということを歯車や真鍮部品てなどで表現する活動をしている方のひとりです。
真鍮と言えば、わたしに言わせればペッツバールを象徴する言葉なので、彼女たちの活動を直ちに理解したわけではないものの、納得するには十分なものがありました。

例えば、首から下がっている各種アイテムは真鍮らしい優しい金色に輝いていますが、これなどはペッツバールが好きな理由との共通項だと言えるものです。
さらに見ていただきたいのが、右手の甲を這うように貼り付くようにしている骸骨のような真鍮部分です。
このアイテム自体がすごいですが、こんな加工をやってくれる工房があるならば、ぜひともわたしのペッツバールのいくつかに無い、フードとかラックアンドピニオンとかを加工してもらえないものかと切に思うところです。

それはともかく、この日何枚も撮った写真の中で、この1枚を採用した理由は、彼女の優しさいっぱいに見える瞳によります。
なかなかこのような眼をした人を見かけることはありません。
スチーム・パンクと言っても、何か近寄りがたさや奇天烈なイメージが抜けませんが、彼女の優しき瞳がそれを打ち消してくれているように思いました。
そういう表現ができることが、フォクトレンダーのポートレイト・オブジェクティヴの本領といえるのでしょう。
しかし、ポートレイト・オブジェクティヴというネーミングは人物撮影用レンズと言う意味であれば、あまりにそのままの名称でもうちょっといい名前が無かったものかと少し残念な気持ちです。
【α7/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ペッツバール genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2014/11/08 Sat

第一個冰淇淋

Voigtlander 100mmF2.3
今日から数日は、11月3日の馬車道まつりの作例をアップすることにいたします。
このイベントも横浜地域の祭りとして30年以上の歴史を持っているようなのですが、まったく知る機会無く、与野大正時代まつりの参加者の方に教えてもらって、今年初めて見物に出掛けることになりました。
歩行者天国になるとはいえ、狭い馬車道通りにあまりに人が集まっては混乱しそうなので、宣伝をセーブしているということかも知れません。
馬車道商店街のPRには人を集めたいところなのでしょうが、なかなか難しい問題があるのではと想像してしまいます。

横浜発祥の物事はいろいろありますが、さらに地域を限定して馬車道通り発祥のものも、ガス灯、アイスクリーム、日刊新聞等知られています。
馬車道まつりでは、それらに因んでガス灯の点灯式やアイスクリームの無料配布などの催しもあったようです。
しかし、わたしたちが出向いた理由はそれらではなく、横浜開港期の文明開化時代のコスチュームに身を包んだ女性を撮影できるという話を聞いたので、愛用レンズを携えて撮影に臨みました。

横浜馬車道でドレスの女性撮影というとかなり若い人たちが集まるのかなと想像していたのですが、年配の方が多かったのが少々意外でした。
10時に開始するとあってその少し前に現場に着いてみると、わたしたちが最年少の部類に属するようです。
その時点で来ているのは30人程度だと思いますが、団塊の世代より上くらいの方がメインのようで、わたしもそのくらいの年齢になっても、若い女性のポートレイトを撮ることを愉しみにまだまだレンズライフを続けていられるのではとの自信になりました。

もっとも、自分たちもこの方たちと同世代に片足を突っ込みかけていますものねえと、knpmさんに振ると、何言っているんですが、もう十分にお仲間になっていますとの返事で、無自覚からようやく現実を突きつけられることになったのでしたが。
まあ、30代前半くらいと比較すれば、あきらかにそちらではなく、この日の皆さんのカテゴリーに括られるのは間違いないので、反論することはて゜きません。

文明開化スタイルの女性は6名いらして、いずれも甲乙付けがたい美人の勢ぞろいだったのですが、残念ながら3名は「横浜観光大使」という目立つたすきを掛けていて、ここでは紹介しないことにします。
大昔にどなただかのエッセイで、日本は駅伝にも使われているたすき文化の国で、たすきをつなぐというのは好い例えなのですが、何でもかんでもたすきを付ける煩わしい文化でもあり、レコードジャケットとか本についているアレがその典型で、いずれもデザイナーが苦心して作ったアートと呼べるものでも、平気で部分的に覆い隠すたすきを付けてしまうのだから、邪魔かつ無駄も甚だしい、等々という話を読んで共感したのを思い出したからです。
せっかくの衣装を台無しにしてしまうということは、「横浜観光大使」のたすきが観光にマイナスになっているということを
よく考えてほしいものです。

ですので、今日の作例は、観光大使ではない、一般公募から選出された女性にポーズを取ってもらいました。
紫のドレスは若い女性にはどうかなあという気がしないでもないですが、彼女にはピタッと合っているように思います。
せっかく背景を県立歴史博物館のクラシックな階段にしたのですが、スタートしたばかりで人でごった返していて、左右に余分なものが入り込んでしまうのは仕方ありません。
この衣装のモチーフは貴婦人なのではないかと思うのですが、彼女の顔立ちや雰囲気はどちらかというと令嬢というところでしょうか
わずかにあどけなさを感じられるところが素敵です。
【α7/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ペッツバール genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2014/11/07 Fri

又看奥運会

M8/Portrait1a 100mmF2.3
オリンピックには、さほど興味がありません、あまり見ていませんという接し方でしたが、昨日、今日とテレビ中継を観戦しました。
ひとつは、新体操団体で、この競技の日本代表にすごい美少女が出場しているぞとの噂を聞きつけたからでした。団体の競技中は、みな同じように美人に見えて誰が誰だか分からなかったのですが、インタビューのところで、あっ、この娘だと気付きました。

検索すると、スポンサーがポーラ化粧品なのか、この会社が公式ブログを作成していて、中に選手のプロフィールが出ています。
名前は畠山愛理選手、やはり噂に違わぬ美少女です。
新体操の日本チームは、フェアリー・ジャパンという愛称を冠していますが、彼女はその名にふさわしいと言えるでしょう。

新体操は、発祥の地であるロシアと東欧勢が強くて、日本は苦戦を強いられてきたようですが、今回、実力が開花して予選をぎりぎり8位で通過しました。
ただ、この予選12か国で争って8か国が決勝に進というのですから、予選・決勝という運営そのものに無理があるような気がします。
とはいえ、日本の演技もレベルが高くすばらしいものでしたので、明日の決勝はぜひ応援したいと思います。

公式ブログにはちょっと驚くような記載がありました。
フェアリー・ジャパンの強化本部長が、山崎浩子氏と写真付きで紹介されているのです。
山崎氏といえば、日本の新体操を実力・人気ともにリードして引退後もクイズダービーなどテレビでも活躍していたのに、新興宗教の集団見合いに参加して危ない女性と見做され、そのまま消えてしまったと記憶しています。
プロフィールの写真ではちょっと丸くなった印象ですが、テレビで見ていたときそのまま変わっていません。
懐かしくも、うれしい復帰ですね。

もうひとつ見たのが、いまさっき終わったサッカーの決勝です。
A代表といっても分からないほどのヨーロッパで活躍する選手ばかり集めたブラジルですが、国内リーグに所属する選手だけで立ち向かったメキシコ相手に力を出すことなく完敗してしまいました。
この大会で唯一見ていたスペイン対日本の試合でスペインが力を出せなかったのと同様の結果です。
予選敗退したスペインはそうですし、選手を集めたブラジルもチームを作れなかったということでしょうか。

残念ながらこの決勝戦もそれほど高いレベルには見えませんでしたし、あまり楽しめる内容ではありませんでした。
野球やソフトボールがどういう理由か分からないですが、オリンピックの競技から外されたのは記憶に新しいところです。
サッカーも23歳以下で構成され、レベル的にもこんなものではオリンピックから外してもよいのではと言ったらかなりの暴論になってしまうのでしょうね。
【M8/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2012/08/11 Sat

意大利之夜

M8/Portrait1a 100mmF2.3
今日、レンズ仲間のひとりを引っぱり出すようなかたちで、食事をしてきました。
ほんとうは、レンズ仲間とならいっしょに撮影に行くのがいちばんなのは承知しているのですが、レンズを肴に飲んだり食べたりも、また、別の楽しさがあります。
それと、彼がわたしのためにレンズを手配してくれていて、それが手渡せる状況になったとの報を受けたので、お忙しいのを無理いってお会いしたかたちです。

この珍品レンズについては、レンズテスト時にあらためて説明させていただきます。
これは、ユニークな構成のレンズで、わたしは同型のレンズを所有していませんし、それは彼についても同様なはずです。
それを昨夜目の前にするまでには、ドラマチックな展開があったということだけお伝えしておきます。

食事は、飛び込みで入ったイタリア料理でしたが、これが当たりでした。
わたしはイタリア料理というと、イタリア風創作料理というか、なんちゃってイタリアン的な店ばかりで、まったく料理のことなど分かりません。
メニューを見ながら何を頼みましょうかなどとやっていてもおぼつかない状態で、ここでも頼りになったのがこのレンズ仲間でした。

彼は、なんでもかんでも詳しくてということではなく、名前や説明から類推して的確にオーダーをする能力に長けているようです。
例えばですが、四川料理店に行って、はい、麻婆豆腐と回鍋肉、紹興酒をお願い、締めは担担麺ねとオーダーしてもなんにも面白くもありません。
好きな料理もあれば、知らないものもあってそのどちらも食べたいし、合うお酒は何か店員の説明を参考にちょっと冒険もまじえつつ頼んでみよう、そういったことを気負いこんで決めるのではなく、即興的に判断してバランス良くまとめてしまうのです。

その中でも彼の知識や推理力が発揮される場面もあって、感心させられるというか、楽しませてもらえます。
一例としてはビールで、名前も知らないイタリアビールがずらっと並んでいてどれを飲むか悩んでしまうところで、いち早くドッピオモルトという名前に目を向けて、ドッピオはたぶんドイツ語でいうドッペルでしょうから2倍のモルトということですね、濃厚で香りのいいビールではないでしょうかと推測して、まさにそのとおりのビールにふたり喉を潤すことができたのです。

前菜の生ハムも2種類あって、ふたりともパルマの方しか知らなかったのですが、あえてもう一方の方を頼みました。
これがまたしても大正解で、塩の加減が絶妙に効いていて、ビールにもワインにもよく合います。
去年、カタルーニャの田舎で食べたハモンセラーノに勝るとも劣らない美味です。
生ハムと言えばパルマのプロシュートですねなどと知ったかぶりをせず、彼の探求心と嗅覚がわたしたちに口福をもたらしてくれました。
名前は失念してしまいましたが、いま調べてみるとサンダニエーレだったのかも知れません。

ワインだピザだと書いて言ったらもう切りがありません。
最後にひとつ、これは彼に教えてもらったピザにちょちょっとかけるとより旨くなる魔法の調味料(?)のことを書いておきます。
イタリア料理では常識なのかも知れませんが、わたしは初めて知ったので自分への備忘録です。
それは、ちょっと辛いオレンジ色のオイルで、店員に頼むとうやうやしく特徴あるかたちの瓶に入れて持って来てくれたものです。

これも調べてみるとオーリオ・ピッカンテという名前の、オリーブオイルに唐辛子を漬けたシンプルなものでした。
これをピザにちょっと振りかけると、ちょうど沖縄のソーキそばに島トウガラシをかけたようなダイナミックな味の変化を楽しめます。
オーリオ・ピッカンテとは、イタリアの島トウガラシ、いや、イタリアは長靴型の半島なので、半島トウガラシとでも呼びたくなりました。

さて、この時レンズ仲間がもう1本のレンズを持っていました。
それはレンズシャッターカメラに付いていたレンズをMSオプティカルでライカマウント化してもらつたものとのことで、わたしが譲っていただいたレンズといっしょに宮崎さんから送られてきたとのことでした。
宮崎さんもかなりの高評価を出されていたこのレンズは、M8で試写してみると想像以上によく写って、その澄んだ透明感ある描写は印象的です。
そのレンズは偶然にもイタリア製のレンズでした。
イタリア嫌いのわたしが、かの国を少し見直すことになる一夜になりました。
【M8/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2012/08/10 Fri

她是160歳

M8/Portrait1a 100mmF2.3
ついにダゲレオタイプの写真を手に入れました。
古写真に興味を持ち出してまだ2ヶ月ほどですが、ネット・オークションを使えば容易に手に入ることが分かり、良いものがないかと探したのです。
ダゲレオタイプより12年遅れて登場したアンプロタイプ、さらに11年後に登場した廉価版とも言えるティンタイプは簡単に入手できたのですが、古写真の真髄と言うべきダゲレオタイプはなかなか落札することができません。

アンプロタイプも高価ですが、わたしが入手したものはサイズが小さかったのと、ケースの上ぶたが紛失してしまっていたため写真自体の状態の好さにもかかわらず、たいへん安価でした。
ガラスにポジ像を定着させるアンプロタイプも独特の魅力があって美しいと思います。
首をちょっと傾げたポーズの少女の愛らしさもあって、ルーペで見ていると彼女が生き生きと存在感を主張しているように思えてきます。

ティンタイプは、写真術が成熟して中産階級にも手の届くようになった時代のものなので、絶対数が圧倒的に多くそれにともなって価格もずいぶんと安く売られています。
古写真としての魅力は残りますが、アンプロタイプと比べるとフラットに見えますし、またブリキの性質なのか径年によってかやや黒っぽい印象があるのもマイナスです。

こうなると何としてもダゲレオタイプを手にしてみたくなりました。
銅板に銀を塗布して感光させるダゲレオタイプは、ストレートに銀板写真とも呼ばれますが、記憶を持つ鏡という詩的な表現が心を動かさせます。
美術館などで何度か見たことがありますが、直感的に透明な美とでもいうようなものを感じましたし、わたしには人物が鏡の中に閉じ込められたように見えました。

オークションではたくさんのダゲレオタイプが出品されていますが、コンディションと価格でふるいにかけるとだいぶ玉数が減ってしまいます。
写真はルーペでじっくり見るつもりなので、できれば魅力的な人物のものを手に入れたいと考え、意を決して少々高かったものの購入に踏み切りました。
美人とは言えないもののすっきりした顔立ちで、ちょっと自信に満ち溢れた顔付きの少女のものです。

やはりダゲレオタイプは不思議な魅力がありました。
以前感じた印象そのままに、鏡の中に閉じ込められた少女がそこにはいました。
自信に満ちた顔でレンズを見据えているため、ルーペで見ると彼女と対峙するかのような錯覚を覚えます。
美人でないと書きましたが、毎日眺めているうちにだんだんと彼女が美しく変貌しているような気もしています。160年前の少女(ということは170歳のお婆さん?)に恋をした気分ですね。

さて、作例ですが、エイサーの人ゴミに辟易していると合流してきたksmtさんが駅から離れれば空いているのではと提案し、移動したところ、信号待ちのミス沖縄を発見して撮影させてもらったものです。
至近距離で撮って見事にピントを外してしまいましたが、その後数メーター下がって撮ったこちらを見たものより魅力的だったのでこちらを採用しました。
MISSが、MISTAKEの意味になっているのがわたし流ということで。
【M8/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(2) | 2012/08/09 Thu

Miss(take4)秋田

M8/Portrait 100mmF2.3
ここ数年、月に3回以上のハイペースで撮影をしています。
何かのついでにカメラを持っていってちょろっと撮ったというのも含めてですが、その前は年に数回の旅行の時だけということを考えれば、飛躍的に撮影機会が増えた、あるいは増やしたということになります。

外に出ていくのは愉しいことですし、健康的でもあるので積極的に出掛けたわけですが、数あるレンズたちがわたしを外に連れ出したという方が正しいかなと思います。
奇妙な言い方に聞こえるかも知れません。
でも、念願のレンズを手に入れてそれが郵便で届いたという経験をお持ちの方であれば、その意味することは理解いただけるのではと考えます。

ひとりでの場合もあれば、今回のように仲間をともなうこともあります。
その場合は、自分のレンズを自慢したいという気持ちが多かれ少なかれ働きます。
また、同伴者の方でも、そんな自慢話を聞けるのを愉しみにしている側面があります。
ただ、自慢ばかりの人もいて、閉口させられることもありましたが。

レンズを使えないほど所有しやがってと批判する人がいて、無駄なことをするなともっともなことを言っています。
しかし、わたしはレンズ趣味を生涯の愉しみとするつもりです。
どれだけ生きられるのかは分かりませんが、仕事をしなくなれば一挙に時間ができます。
自由になるお金はほとんどなくなっているでしょうが、今のデジタルのシステムでもフィルムやDPEは不要でコストがかからないのですから、ありがたい趣味です。
そのころの器材がどのように変化しているかは、とんと分かりませんが。

いま、中将姫光学研究所などとふざけた名称を名乗っていますが、言うまでもなく光学研究などという高度なことはまったくできていません。
いつか実際に勉強して、光学を理解しその観点からレンズを語りたいという夢があります。
そのためにレンズを集めているのだという大義名分もあるのですから、それをとやかく言われても困惑するばかりです。
「良い写真」を撮りたくて写真をやっている人は多いのでしょうが、そういう人ばかりが写真を撮っている訳ではないことを理解すべきでしょう。

今週、収差位置に被写体を持っていって失敗してしまいましたという写真をこれだもかと出してきた理由がここにあります。
良い写真を目指す人にはあからさまな失敗作でも、レンズが好きな人には収差やレンズの特徴がよりよく分かります。
そんな写真は邪道ですが、カメラを持つ人全員が正道のみを歩いていく必要はないでしょう。
ソフトで修正したりトリミングしたり、写真をよく見せる手段はいくつかありますが、失敗作をそのまま出すというのはその対極として存在が否定されるほど無茶な考えとは思いません。

先日レンズをワインに例えましたが、もし開栓したワインがあまりに特徴的すぎたとしたら、ノーマルなワインとか調味料を足して味をよくさせるよりも、それがそのワインの個性だとそれを楽しむのがわたしの発想です。
ただ、保存状態が悪くて味が化けたり、料理と合わなくて特徴が活かされないなどのマイナス要素は排除しなくてはなりませんが。

さて、ksmtさんがミスあきたに話しかけているところを撮らせてもらいましたが、今まで後ピンの連続だったのが近距離ではなぜか前ピンになってしまいました。
そのため右の美女がソフトフォーカスにはぴたっときています。
等倍で見ると、しっとりと美しく、このレンズの特徴がいちばん出ている作例に見えます。
こういうレンズこそが、研究するに値します。
フィルターを落として割ってしまったので、買い直す頃にまた研究を再開することにしましょう。
【M8/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(4) | 2011/10/27 Thu

鏡頭就是葡萄酒

M8/Portrait 100mmF2.3
若き友人sumimomuさんにお貸ししたレンズにカビが発生していたという問題があって、今年になってようやく防湿庫を購入しました。
そのレンズのみ革ケースの中に長年入れっぱなしだったので、起こるべくして起きたカビ事件ですが、sumimomuさんはわたしのレンズ資産の全滅を心配したのか、強く防湿庫に保管することをすすめたので、わたしも重い腰を上げたという経緯があります。
防湿庫は高価ですし、狭い部屋のどこに置いていいのか考えただけで頭の痛い問題だったからです。

いちばん大きな防湿庫でも全レンズが収まるのか不安でしたが、トレイを追加することでどうにかなりました。
昨日も書きました通り、その後レンズはほとんど増えていないので、今のところどうにかなっています。
防湿庫がカビ防止のみならず、そのキャパシティがレンズの増殖の歯止めとなればいいというところでしょうか。

防湿庫を眺めていて思い出したのは、何年か前、友人の結婚祝いでプレゼントしたワインセラーでした。
この防湿庫とワインセラー、実によく似ています。
友人夫妻がそろってワイン好きということで、奮発してワインセラーを贈ったのですが、ふたりがレンズファンだったら防湿庫にすべきだったかはよく分かりません。

もちろんワインは防湿庫に入れてはいけません。
湿っているコルクが乾燥して、ビン内に空気が入ってしまう可能性が高まるからです。
防湿庫にワインは入っていませんが、中のオールドレンズは何となくヴィンテージのワインに似ているような気がします。
レンズの味とかボケ味という表現をするのですから、ワインと結び付けるのもあながち的外れとは言えないでしょう。

そんな風に考えていたことがあったのですが、つい先日、sha-sindbadさんのブログ『レンズ千夜一夜』の中で、

 とてもとても、老成し、熟成した、まったりとした描写
 (中略)
 思わず、このボルドーの味わいを思い出しました
 (ご本人には無断で抜粋)

とボルドーの貴腐ワインに例えてレンズを評価されました。
わたしは、この希少なワインを賞味したことはないですが、その言わんとするところ、自分なりに理解できたつもりになりました。
まさにワインを引き合いに出された表現は、我が意を得たり、とこぶしを握りしめたくなるものでした。


さて、大きく出た割には、あんまりな今日の作例ですが、レンズは変われどその性格は同じで、中央部はシャープ周辺は流れるレンズで、この使い方はいただけません。
昨日と同じ失敗例です。
中央女性の着物のウェストや三線のあたりはなんとかシャープですが、顔やスカートは面白い収差の形がはっきり出ていて、このレンズの特性がうかがえます。

久しぶりに聴いてうっとりできた沖縄民謡をこんな写真で表現したのは演奏者の皆さんには申し訳ありません。
ただ、レンズの特性を知ってそれを活かした撮影の仕方をすべきなのと同様、やはり沖縄民謡はお店の中や狭いホールでアンプラグドで聴きたいなと思いました。
その場合、もちろんワインでなく、泡盛で。
【M8/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(2) | 2011/10/25 Tue

相機放在包裏面

M8/Voigtlander Portrait 1a 100mmF2.3
レンズの話ばかり長々と長く続けてしまいました。
熱海の梅園を離れると、ksmtさんはシュバリエとペンタックス67を仕舞ってしまい、本日の業務はほぼ終了モードに入ったかのようです。

わたしたちは、雪の残る函南の峠を越えて、沼津インターからレンタカーを西進させました。
清水まで出て、漁港そばの河岸の市で昼食をとるためです。
なにもここへ来なくても他にも美味しいところはあるのでしょうが、この後、第2の目的地由井に向うには妥当な選択です。
ところが、もう3時近いというのに河岸の市は大混雑で、食事も以前食べた時の好印象に比べてがっくりきてしまうほどしょぼいものでした。

楽しみにしていた由井の旧東海道は、それ以上にがっかりだったかも知れません。
戦闘モードから離脱したksmtさんはもちろん、まだまだ撮る気満々だつたわたしも、いかにも冬の日の夕方という寂しい気配の通りになかなかカメラを構えるチャンスはありません。
たまに撮ったところで、すっかり日が落ちた状況では、ゆるい描写の心地よさは感じられるものの、今日ずっと求めて来たソフトフォーカスの意外性のようなものは皆無です。

しかし、それでも懲りずにところどころで無駄な撮影を続けるのが、ksmtさんとの違いのようです。
往生際が悪いのですね。
由井の旧東海道は新築の家も増えてしまっていますが、古い雰囲気は十分に残っていて味わいがあり、休日の日中はかなりのハイカーが歩いているそうです。
町の古い部分は、シュバリエやペッツパールの年代にしっくりくるのですが、写真を撮って歩くと言うよりも、歩くことが目的でたまに写真もという、そんな歩き方がふさわしいところでした。


ホロゴン158さんは、名前の通りホロゴン・ウルトラワイドをメインに関西方面で活動されているアマチュア写真家ですが、その写真展が東京でも間もなく開催されます。
グループ展ということですので、ホロゴンさんの写真だけではないですが、個性的な他のメンバーの方のバラエティに富んだ作品も楽しめるので、ぜひうかがいたいと思っています。
3月3日(木)から9日(水)までの1週間、神田小川町のオリンパスギャラリーで開催されるそうです。

わたしは土日に行こうと考えていたのですが、ダブルブッキングに気付きました。
この期間、行かなくてはいけないところがあって、お邪魔できるのは8日か9日しかありません。
どうもホロゴンさんにお会いするのは難しくなってしまいました。

じつは、わたしはホロゴンさんとは面識がありません。
活動するエリアが違いますし、写真への取り組み、撮影技術とまったく違っていてお会いするきっかけすらありませんでした。
もともとMSオプティカルの宮崎さんに以前からお話は聞いていて、わたしはわたしでホロゴンさんのブログを愛読していたのですが(写真ブログなので読と書くのはまずいのかも知れませんが)、そのホロゴンさんと宮崎さんの言うホロゴン名人の方が同一人物と結び付かなかったのです。
今回、ようやくお会いするチャンスがやっとと巡って来たのですが…。

わたしの替わりに、というわけではありませんが、よろしければ、足を運んでみてください。
http://olympus-imaging.jp/event_campaign/event/photo_exhibition/110217_rara/
【M8/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2011/02/28 Mon

看那里

M8/Voigtlander Portrait 1a 100mmF2.3
ポートレイト・オブジェクティブをMSオプティカルに送ってから2か月も経っていたでしょうか、ksmtさんが気にかけてくれて、EOSマウントに改造しましょうと申し出てくれました。
アダプターを介してNEX-3で使えばいいというわけです。
もちろんEOS5Dをメイン機にするksmtさんはそのまま使えるというメリットがあります。

ありがたい言葉だと思った、確か翌日のことです、MSオプティカルから荷物が届きました。
何事かと荷を解くと中にはそのポートレイト・オブジェクティブが入っていました。
以心伝心でこのレンズを返品してきたのかなと一瞬思いますが、すぐにそれは打ち消されました。
真鍮の鏡胴は途中から切断され、Mマウントがくっついていました。
マウント改造に成功していたのでした。

それがかなりの難工事だったことはひと目で分かりました。
まず、ペッツパール型の特徴であるフランジバックの短さを克服するため、後群レンズを外して、MS特製ヘリコイドにそのままとりつけてありました。
それでぎりぎりフランジバックを確保しています。

また、絞り位置から鏡胴を切断して、絞り値を設定できるようにされていたり、100mmF2.3が正確にライカに連動するようにかなり微妙なカムの加工がなされたりしているのが分かりました。
後群を埋め込んだ関係で、最短撮影距離は2メートルになっていましたが、ポートレイト撮影ならそれで十分です。
とにかく、すごいレンズが手元にやって来たのでした。

このレンズを試すのなら、いつものスナップよりも、できればポートレイトを撮らなくてはと思っていたところ、以前にも書いたとおり、ksmtさんがシュバリエを入手してやはりポートレイトを撮りたがっていると分かり、このジョイント・ベンチャー企画が行われたということです。
撮影のちょっとした失敗もありましたが、いろいろと声をかけられたり、みなさん快くモデルを引きうけてくれたりで楽しい1日になりました。
レンズが導き出してくれた楽しい楽しい日を過ごせたわけです。

昨日の作例では、ソフトレンズらしく露出オーバーで撮って背景をきらきらとさせましたが、それ以上にダイナミックなボケと手などのソフトな表現と全身のシャープな描写という相容れなそうな3つの特徴が同居した楽しさが描き出されています。
しかし、長躯清水まで移動して食事してからやってきた今日の油由井の作例では、日が傾いてきたため。微妙にソフトなそつのない写りの古典レンズのような描写になってしまっているのです。
この掴みどころのなさが、じつに愉しくて、19世紀レンズを使う喜びを味わわせてくれています。
【M8/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(0) | 2011/02/27 Sun

不像Thambar

M8/Voigtlander Portrait 1a 100mmF2.3
わたしは、古いレンズが大好きで、19世紀の歴史的なレンズを中心に集められないものかと画策しています。
インターネット普及の恩恵でレンズ探しは以前とは比較にならないほど楽になりましたが、それでも蒐集は遅々として進みません。
シネレンズの価格が高騰したおかげで、19世紀のオールドレンズたちは安く感じられるくらいなので、値段の問題ではありません。
ライカで使いやすい50mm~90mmくらいの焦点距離のレンズがほとんど見つからないからです。

もともとこれらオールドレンズには、焦点距離の記載そのものがないケースがほとんどです。
良心的な売主は、記録をあたったり、蛍光灯の光が結像する位置などから計測するなどして、おおよその焦点距離を記載したりしてくれています。
しかし、それを読むと短くても127mmや150mmくらい、大方が200mm以上の大きなレンズになってしまいます。

結局19世紀のレンズでライカマウント化まで成し遂げたのは、ダルマイヤーのペッツパール114mmF3.6とロスのAダプレット100mmF11の2本だけで、前者は1861年、後者は1875年の製造です。
その次はもう20世紀に入ってしまって、ツァイスのアナスティグマット90mmF8の1902年ということになります。
1920年代に入るとライカとコンタックスが発売されるし、オピック、エルノスター、ゾナー等各タイプが発展するのでレンズ数は飛躍的に増えるのですが。

以前、わたし自身が計画したように、焦点距離が150mmを超えたとしても簡単なマウント化により、少なくともNEX-3などのライブビューカメラでは使用可能になります。
NEX-3を購入した当初は、すっかりその気になって5inchと書かれたレンズをいくつか買ってみたりしましたが、5inchをNEX-3に付けて35mmフォーマットに換算すると200mmほどになります。
小さな液晶のライブビューで、200mm相応レンズを見てもプレプレになつてしまい、フレーミング困難です。

それでもレンズたちが個性的な表情を見せてくれれば、苦労して撮影した甲斐もあろうというものですが、現実にはウナーもセロールもアドンもターナーライヒも似たりよったりの写りで、挑戦しようと思うと同時に挫折感が襲ってくるのが現状です。
この企画には、もうひとつアイディアを重ねる必要を感じています。

そんな折に発見したのが、このフォクトレンダーのポートレイト・オブジェクティブ1a100mF2.3というレンズでした。
きんぴかの真鍮鏡胴ですがシリアル番号を見ると1900年製と割合新しいことが分かります。
ただ、説明では、3群4枚の典型的なペッツパールタイプとあり、昨日も書いたようにペッツパールはもともとフォクトレンダーが発売していたものなので、その後継レンズがどんなものかも気になりました。

ポートレイトと名前が付いているだけに少しソフトな描写をすることも記載があります。
F2.3というのはずいぶんと明るく進歩したスペックですが、このレンズには虹彩絞りが付いていますし、何しろ100mmという焦点距離なら、MSオプティカルの技術があればライカマウント化も可能だろうと信じて購入に踏み切りました。

100mmF2.3のソフトフォーカスレンズと言うと、90mmF2.2のタンバールを連想します。
後年のライツに何かしら影響を与えたのではと想像し、いつの間にか同じくらいのサイズのレンズと思いこんでしまっていたのですが、到着したレンズはタンバールより2~3まわりでかくて、ズマレックスを2倍近い長さにしたようなサイズでした。
これは偉いことになったかもなあとひとりごと言いつつ、MSオプティカルへ郵送しました。

翌々日、MSオプティカルから電話が入ります。
第一声は、スゴイレンズを見つけましたねえ、だったと記憶しています。
そして、次の言葉は、でも、これをライカにするのは無理じゃないかなあ…、でした。
がーん、恐れていた返事が帰って来てしまった、無理な買い物をするからこうなるんだ…。
ただただ、反省するしかありませんでした。
【M8/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(4) | 2011/02/26 Sat

他的失敗

M8/Voigtlander Portrait 1a 100mmF2.3
キングスレークは、シュバリエのフォトグラフ・レンズを性能はそれほど良いものではないとこきおろしています。
それゆえにペッツパールとの競争に敗れたと断じてもいます。
本当にそうだったのだろうか、ksmtさんは国民産業振興協会の審査では勝利しながらも、商業的に振るわなかった理由を探るべく、このレンズをEOS5Dだけではなく、ペンタックス67まで持ち出して探求を始めます。

キングスレークも、シュバリエのフォトグラフ・レンズを今ではほとんど残っていないと記載していますが、そのわずかに残った1本を見つけ出して撮影までこぎつけたksmtさんの探求心、ここに極まれり、です。
そして、性能はそれほど良くないと断じたキングスレークに、疑問を呈します。
それまでメニスカスの単玉か貼り合わせの色消しレンズしかなかった時代に、飛躍的にスペックの向上したレンズが登場したのです。
写りも想像以上にシャープで解像力が高く、何よりボケが個性的で楽しいです。

ペッツパールは、恐らくよりシャープで解像力が高いのでしょうし、F値はより明るく抜けの良さは現代レンズ並です。
審査が何を基準にしていたかは分かりませんが、人物用レンズの良否を判断したのだとすれば、写された側からすればシュバリエに軍配が上がったのも無理ないことなのかも知れません。
何しろ、それまでみんな写真なんてものを見たことがなかったのですから。

それでは、どうしてシュバリエのレンズは売れずに、ペッツパールは商業的に成功を収めることができたのかとの疑問が起こります。
ペッツパールの性能があまりにも良かったということはあるでしょう。
しかし、キングスレークの本を読むと、謎を解く鍵が示されているように思えます。

ペッツパールは人物用のレンズを設計すると、同じウィーンの友人フォクトレンダーに製品化を託します。
あまりにも有名な円筒型のカメラが製造されたりするのですが、やがてふたりの間には金銭トラブルが発生してしまい、ペッツパールはフォクトレンダーを離れてディーツラーにレンズ製造を委託します。
しかし、フォクトレンダーはまんまとペッツパールのレンズの製造を継続してしまいます。
ペッツパールの特許はオーストリアでしか申請しておらず、ドイツのブラウンシュバイクで製造したフォクトレンダーのペッツパール・レンズには力が及ばなかったからだとのことです。

ドイツのフォクトレンダーのみならず、シュタインハイルやブッシュが、イギリスではロス、ダルマイヤーが、フランスではエルマジー、ジャマン・エ・ダルロー他が、スイスではズーターが、アメリカでもハリスンやホームズ・ブース・アンドヘイドンズが次々とペッツパール型のレンズを製造販売し始めます。

一方のシュバリエは、祖父の代から望遠鏡や顕微鏡の設計製造もする販売店です。
プラチナメダルを取った労作レンズを、きっと各国の特許でがちがちに縛ったことでしょう。
自信満々に販売に望んだものの、恐らくはより安くていろいろな国で販売され、性能もよいとの評価が高かったペッツパールのレンズに歯が立たなかったのに違いありません。

大学教授だったペッツパールには、たかが写真レンズがこれだけの世界的広がりを見せるとは想像もできなかったのでしょう。
ペッツパールがもし、利に敏い人物だったならレンズの発展史はずいぶんと違うものになっていたはずです。
光学機器メーカーがこれほどまでに林立しなかったかも知れませんし、ペッツパールを凌ごうと各社が設計にしのぎを削ってレンズは19世紀半ばにして急速に発展したかも知れません。

上記国家には優れた光学メーカーがその後も育ったのに、オーストリアはほとんど何も花開かなかったのも、ペッツパールがオーストリアのみに特許の足かせを作ったからに違いありません。
ペッツパールが素晴らしいレンズを設計したこととオーストリアだけにしか特許申請しなかったことが、写真レンズ史を揺籃期から一躍百花繚乱期へ飛躍させたかのようです。
やはり、シュバリエはわき役で、レンズ史はペッツパールを中心に動いていたということなのでしょう。
【M8/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(3) | 2011/02/25 Fri

銀牌鏡頭

M8/Voigtlander Portrait 1a 100mmF2.3
シュバリエのフォトグラフ・レンズは、キングスレークの"写真レンズの歴史"の第3章「人物用レンズ」に紹介されています。
おもしろいのはレンズそのものよりも、エピソードの方です。
カメラが生まれた直後の1840年頃、すでに今日のレンズ発展史の端緒が表れていたことにも驚かされる話です。

ダゲールの写真術を後押しするかたちで、フランスの国民産業振興協会が、レンズのコンペディションを行うと発表しました。
そこで優勝候補となったのが、地元フランスのシュバリエのフォトグラフ・レンズでしたが、アウェーのウィーンから恐るべき対抗馬が現れました。
ウィーン大学教授のペッツパールです。

ペッツパールのレンズ開発については、以前にもキングスレークの本から転載しましたので、今回は触れません。
ペッツパールのレンズは1841年に完成して、いよいよ審査が始まりました。
選考委員会はかなりの長時間をかけて両者を比較したそうです。
そして、結果はペッツパールは銀メダル、シュバリエがプラチナメダルとなりました。

ホームタウン・ディシジョンということは多分にあったかも知れません。
祖父の代から顕微鏡や望遠鏡など光学機器を扱っていたシュバリエが、レンズに初挑戦の高等数学者に打ち勝ったことになります。
しかし、キングスレークは次のように記述しています。
「時代はペッツパールに味方し、1950年までに、ペッツパールのレンズは8000本近くも売れたが、シュバリエの方はまったく忘れ去られてしまった」…。

じつは、今回わたしが使っているフォクトレンダーのポートレイト・オブジェクティブ1aというレンズはまさに、ペッツパール・タイプのレンズになります。
ただし、年代はずっと下がり、1900年頃の製造のもののようです。

本来なら1840~50年代のフォクトレンダー制のペッツパールで、ksmtさんのシュバリエに対抗したかったのですが、その年代でライカに距離計連動で使える程度の焦点距離の短いレンズを見つけられていません。
100mmF2.3というスペックは明らかにずっと後の設計だろうと想像つくものでしたが、きんぴかの進駐鏡胴が美しく、F2.3と高速であることもあって入手してみたレンズでした。

今日の作例は、すばらしい経緯があってモデルになっていただいた夫人とお孫さんになります。
これまでの3枚は、期せずして絞りがF2.8あたりに動いてしまってぐっと締まったように見える絵でしたが、今日の開放でもまったく問題なく優しげに、しかしシャープに被写体をとらえる優れたレンズだと理解できます。
わたしがアンダーぎみな作例になってしまったので単純に比較はできませんし、シュバリエ対ペッツパールと言っても諸条件が違いすぎるので、当時の審査結果を云々するという意味でもありませんが、史実を歪曲して現代に蘇らせたなどと冗談っぽく見比べていただければと思ったりもします(ksmtさんの作例)。

梅園では、つねにシュバリエを手にするksmtのそばで、このレンズを付けたライカM8をぶら下げていたのですが、製造年が1900年と新しすぎるせいか(?)、まったく注目されることがなかったのは残念です。
シュバリエの方があれだけちやほやされていたのに、です。
プラチナメダルをとりながら、銀メダルのペッツパールに商業的成功を奪われた揚句に忘れ去られたシュバリエのフォトグラフ・レンズのまさに復興と言える1日でした。
【M8/Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 F2.3】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Voigtlander Portrait Objective 1a 100mmF2.3 | trackback(0) | comment(2) | 2011/02/24 Thu
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