F8或者F11

Sonnar 5cmF1.5
最後の作例は、またゾナーに戻りますが、このゾナーはまた新規に入手したものだと言えばきっと驚かれるでしょう。
このレンズが初期のブラック&ニッケルで、しかも最小絞りがF8の最初期型だと言えば、さらに驚かれることでしょう。
残念ながらこのレンズには前玉にキズがあって、逆光などでは影響が出る可能性を感じますが、オークションの出品者はその旨明記してくれていたおかげで、覚悟をもっての入札でしたし、落札額もたいへん安く助かりました。
オリジナルの写りが期待できないレンズには手を出さない方が良いのだとは知りつつも、F8ゾナーはたいへん珍しいので、心のいやしいわたしは安ければという条件付きで手に入れてしまうのでした。

F8ゾナーは以前にも購入していて、そちらはくもりやキズのない良好な状態ですので、もはやキズのあるゾナーが必要とは思わないところです。
しかも、両者はシリアル番号14158XXと同じ番号帯に収まっていて、当然同じロットです。
ツァイスの"電話帳"によれば、イチゴのゾナーは130万番台の最初の3本が単発で製造された後、55本という小さなロットで発売されたものが実質的に最初の量産品と思われます。
今回手に入れたF8イチゴゾナーは、その直後に製造された300本のロットの中の1本ということになります。
イチゴゾナーの199番目の製造で、先に手に入れていた方はそれより製造番号が39番後なだけです。

まったく同じに思われそうな2本ですが、実は決定的な違いがあります。
今回手に入れた方は普通に最小絞りF8なのですが、先に手に入れた方は刻印数字は8までで、その次に点のみが刻印されているのです。
絞りはその点のところまで動かすことができて、その位置はまさにF11と一致します。
F8イチゴゾナーとして手に入れたのに、実質的にF11イチゴゾナーだったという訳です。
ところが、今回手に入れたF8イチゴゾナーはF8より絞りは動きませんし、もちろん点は刻印されていません。
同じロットで製造番号が39違うだけの2本に、このような違いを発見して驚かされました。

これまでF8ゾナーだと思っていたのに、刻印はF8でもF11位置に点が打たれてそこまで絞れるとなればF8(F11)イチゴゾナーとでも表記しなくてはならなくなりました。
F8(F11)イチゴゾナーは、F8イチゴゾナーとF11イチゴゾナーの過渡期に少量作られたレンズなのでしょうか。
少し穿った見方をすれば、F8ユーザーがF11登場後にツァイスに改造させ、そのため"11"の刻印が入れられなかったということも考えられます。
それでもF8(F11)イチゴゾナーも他で見たことがありますので、たまたま刻印が漏れたエラーバージョンという訳ではなさそうですが、F8の製造数も含めてそれ以上のことは一切不明です。

カメラボディの方は研究が進んでいるのか、コンタックスI型のバージョン違いなどが細かく記されたサイトなどを見ることができます。
レンズの方がよほど簡単に見つかりそうなものなのに、全体の製造番号表である"電話帳"以外にレンズの資料が未だ発見できていません。
もし、資料がないということであれば、自らの手でイチゴゾナーバリエーション年表を作成したいですね。
実は、F8ゾナーを手に入れた直後西ドイツイチゴゾナーも立て続けに2本入手していまして…。


さて、今日の作例が大芬での最後のものになります。
ちょっと後ピン気味でゾナーのびしっとした絵にならなかったのががっかりですが、なだらかでうるさくならないボケがゾナーらしくて好きな1枚になりました。
ノンコートでも、ガウスタイプよりは影響を受けにくいはずで、太陽に向けて撮るような最悪の状態でもない限り、キズ有ゾナーもそのキズの存在をうかがわせることはなかったと報告しておきます。
問題はむしろカメラの扱い方で、この作例では光源を拾ったために青かぶりしてしまいましたが、レンジファインダーと違う一眼レフタイプの利点を活かせていない結果となったことをお詫びします。
同じところからもう3枚撮りましたが、それらは角度を微妙に下げることでナチュラルな発色になっていますが、残念ながら彼女の顔と手にしたスマートフォンがはっきり分かるこちらを採用いたしました。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/25 Sun

可以進来

Sonnar 5cmF1.5
大雨の恵州の帰り道に寄ったのは、深圳北部の大芬油画村でした。
推定で東京ドーム2個分のエリアにこれも推定で300軒の絵画屋や関連の店が集まる、中国らしい、でもそんな中国にもそうはないだろう不思議な町です。
北京近郊にも絵画村があるようですが、若いアーティストが集まって形成された村だと聞いています。
大芬の方は、アーティストと言える人も何人かいるのは間違いないですが、多くは模写や肖像画、あるいは自称アートの絵を廉価で売るような商業的絵画村と言った方が事情にあっています。

ゴッホやクリムトの模写はいたるところで見ますが、ちゃんと額装してあっても在庫がだぶついているせいか、500円程度から買うことができます。
本か何かを持ち込んでこれを模写してくれとオーダーすると、サイズや出来不出来にもよりますが3000円くらいで可能です。
一方で、中国の農村を背景にたたずむ民族衣装の美少女の絵が気に入っていくらかと尋ねると20万円相当の人民元をふっかけられたこともありました。
巨大な絵ですので持ち帰るのがたいへんですし、そもそも家には飾るスペースはありません。
でも、それが気に入ったのは自分が撮影しているモチーフに似ているからだと後で気付いて、思わず苦笑してしまいました。

こんな村が成り立っている理由を考えてみると、ひとつは香港に隣接して中国の南のゲートウェイと言える新鮮ですが、感光するところはほとんどないので、いかにも外国人が物珍しげに訪れる観光地になっているということがあります。
もうひとつは、華南地域の経済発展にともなってマンションが恐ろしい勢いで建築され続けましたが、家を購入した人が内装を考えて絵を購入に来るということがあると思われます。
また、オフィス、レストラン、ホテル等々の開業に合わせて絵を買いに来るということもあるでしょう。
100室のホテルをオープンすれば、似たような絵が100枚売れるという構造ができているということです。

北京の絵画村では、なんでこんな絵にこの値段という価格高騰があったようですが、ここ大芬でも同様の現象があって投機目的の購入などもあったのかも知れません。
その影響か分かりませんが、わたしには陳腐にしか思えないアートでござい風絵画を並べたところなどもなくはありませんが、多くの人が一瞥してバカにしたように通り過ぎているのが現状に見えます。
経済成長が失速している中では、そうそう甘い商売はないのかなあと思いました。

そんな中で、純粋に絵が好きで気に入るものを探して、部屋に飾って楽しむという中間層も現れているのではないかとも考えられます。
作例の女性などは、犬を連れてギャラリータイプの店を除いては次にという目立つ行動をしていたので観察させてもらいましたが、少しゆとりがあるので部屋にお気に入りの絵を飾って、休日は音楽を聴きながらゆったり過ごしているんじゃないかと想像させる雰囲気がありました。

日本でもバブルの頃、絵を買うのが一部の人に流行していたと聞いています。
都内ではあちこちに仮説ギャラリーみたいなものができて、最新技術を駆使したミュシャの子孫によるリトグラフの焼き直しとか、クジラなどの海洋リトや天然パーマのおじさんの気球リトなどの作られたアートが結構な値段で売れていたようです。
わたしの目にはクズにしか見えないものが、将来、何倍もの値段がつくからなどとの甘い言葉とともに判断力を失った若者たちに次々と買い取られたとか。

彼らはすぐに後悔したのでしょうが、いい社会勉強だったでしょう。
わたしの大学の友人も騙されてイルカのリトを買ってしまったのですが、この絵はたったの10万だったけど、5年経つと確実に30万にはなるんだってと目を輝かせていたのが、なんともむなしい気分にさせたことをよく覚えています。
犬を連れた彼女は、自分の目で気に入った絵を探しているところがバブルの友人とは一線を画します。
犬をギャラリーに立ち入らせているということは、彼にも少なくともバブルの友人以上の審美眼があるということなのでしょう。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(2) | 2013/08/21 Wed

義工的意思

Sonnar 5cmF1.5
豪雨の中を遠回りに回って深圳に戻ってきたのは、もう5時になっていました。
滞在中、空いている時間がもう無く、このままでは今回の旅のブログに使える写真は1枚で終わってしまいます。
いつものように東門まで行って適当にスナップして、せめて1週間分の写真は確保しようと考えました。
しかし、このバスは深圳市内に入ると数か所下車できるように停車してくれるのですが、実に都合の好いところで停車してくれたので、急遽、予定変更でバスを飛び下りました。

作例は、その近くの信号のある交差点でのひとコマです。
深圳では、というか恐らく中国全土でも、歩行者は信号を守る人はいません。
青でも赤でも関係なく、左右をよく見て車が来ていなければさっさと横断してしまいます。
それではいかんと考えたのか、信号の要所要所に赤いチョッキの人たちが立って、赤の時は渡らないでくださいねと札で制するなど交通整理をしています。
みんな従っているのがちょっと意外でしたが、中国人、やればできるじゃんと素直に思いました。

よく見るとチョッキには"Volunteer"と書かれていて感心もひとしおです。
ほとんどがおばちゃんボランティアでしたが、ここだけ兄妹でしょうかずいぶんと若い男女ががんばっていました。
あるいは夏休みの課外活動のような位置づけなのかも知れません。
ペットボトルの水が置かれていたのは、ボランティアとは言えこのくらいの配給はあったということであれば、熱中症を気遣ったと考えられ、ずいぶんとこの国も人間的になったものだとますます感心しました。

また、チョッキにはボランティアを示すのでしょう「布吉義工」と大きく書かれていました。
布吉は地名ですが、義には正しいことという意味があり、工には中国語では工業関係に限らず労働や労働力というような意味があります。
正しい労働力といえば、確かに何となくボランティアの意味だろうことが想像でき、いま調べてみると義工はボランティアだと中国語の辞書に出ていました。
日本の感覚ですと工には労働力の意味はないですし、義という字からは義理とか義務とか恩義といった熟語が連想できるので、積極的でないとか見返りを期待しているようなイメージになってしまい、自発的なボランティアとは結びつかないような気がします。

中国では、四川大地震での義援金を赤十字の役員が個人流用されたとの話が根強くありますし、商店街で車に挽かれた女の子が誰からも助けられずに放置されて亡くなったりと、ボランティアどころか人間としてどうなんだと日本では思われていることでしょう。
実際、人口が多いこともあってモラルの低い人はとてつもない数に感じられます。
ところが、そればっかりではないということもあることはあるのです。
深圳には、なんと50万人近いボランティアが登録されているということですし、バスに乗っていて老人や子供を抱いた母親に席を譲る若者の姿を見ない日はありません。

日本ではほとんど報道されなかったと思いますが、こんなニュースがあったことを思い出しました。
2年前の震災の時、世界中から記者が東北の取材に訪れましたが、中国の記者から中国国内に配信されたリポートで、記者が着の身着のままたいへんな取材を進め、現地で食事をもらいながらわたしもがんばっていますと書いたところ、読者たちから批判の嵐を受けることになります。
食事にことかく被災地でご馳走になるとはなにごとか、現地で役に立たないばかりか現地で迷惑をかけるとは等々のコメントが相次ぎ、この新聞のインターネット版はいわゆる炎上をしたということです。

ちっぽけなニュースやちょっとしたできごとから拡大解釈をするという気は毛頭ありませんが、正常な考え方をしている人はかの国にもちゃんといるということはどうやら間違いないのではと、感じ始めています。
先週、日中共同意識調査で中国に親しみを持っていないと90%の日本人が回答していましたが、これは当然のことですね。
この質問の仕方では、中国政府に対する快投を求めているようなものですので、わたしでも親しみを持てないと回答するでしょう。
中国も日本政府が右傾化しているとキャンペーンを張っているので回答は同様になっているのも当然です。
このような調査に何の意味があるのか、わたしにはさっぱり理解できません。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/20 Tue

70多歳的鏡頭

Sonnar 5cmF1.5
今回の深圳滞在シリーズの最終回です。
毎度、中国の最後は美女の作例でシリーズ全体のお茶を濁すのが通例なので、今回もそれに従いました。
77歳と聞きましたので歳は取られていますが、気品あるかつての美女ということは間違いないと思います。
よろしければ自分の写真が欲しいということだったので、僭越ながらも撮影させていただいたのです。

わたしはバカの一つ覚えのごとく開放でしか撮りませんし、ましてや女性ポートレイトでは開放で柔らかくとも思ったのですが、視力がやや落ちてと言うのを聞いていたのでくっきりとシャープなF4で撮る決断をしました。
というのはウソで途中から絞りのことを忘れて、昨日の作例では室内でもF4のままだったので手振れしていますし、今日のはこんなにシャープなのでしまった絞ったままだったかといま気付いて慌てている次第です。
ハレ切りを怠ったために頭髪あたりがフワーッとしてしまっていますが、今度渡した時にどうかこのおばあちゃんには気付かれませんように。

というのは、おばあちゃんに歳を聞いた時にこのレンズは1934年製造のレンズだから、ほとんど同級生みたいなものですね、と教えて驚かせていたからです。
そんな古いものでちゃんと写るのかしらという顔だったので、レンズはこれが登場した時にひとつの完成を見たのですよとたった今撮った液晶を見せるとしきりに感心していました。
次回は、この写真を届けるためにと、村を再訪する大きな理由ができました。

しばらくして、美蓉のお母さんが良かったら晩御飯を食べて行ってと誘ってくれました。
実は、前回も同様に誘っていただいたのですが、深圳行きの最終バスが惠東バスターミナル7時発だったので、残念ながらお断りして6時前に村を後にせざるを得なかったのです。
この地方の家常菜(家庭の日常料理)をいただく絶好の機会を逃したわたしは、食事後深圳に戻る手はないかと懸命に探してひとつの裏ワザを発見していました。
そこで、今回はええ、ぜひいただきますが、6時半くらいには出ないと間に合わないので急ぎ目でお願いしますと、ご馳走になる見ながらリクエストする図々しさでした。

食卓は4人掛けで、お母さん、美蓉、エンジェルちゃん、わたしと座りお父さんのスペースを空けて待ちましたが、お父さんは遠慮して店の方で食事を始めてしまいました。
その時は、まさに遠慮だと思いましたが、もしかしたら日本人かわたしのことが嫌いで、いっしょに飯なんか食えるかという気持ちだったのかも知れず、たいへん気になっています。
お母さんはずっと変わらずフレンドリーなので、家族全員が歓迎していると思い込む浅はかさだけはよく分かりました。

そのお母さんは客家人なので食事も客家料理だったのではないかと思います。
中国料理というと油が大量に使われるというイメージがあり、実際に脂っこい炒め物が非常に多いのですが、ふるまわれた料理にそういうものはありませんでした。
以前、客家のことを紹介するテレビを見たのですが、客家料理は一般の中国料理とは一戦を画していて、健康重視の調理法のため油はあまり使われないので日本人にもなじみやすいし、実際に健康を保つ客家人の平均寿命は中国の平均よりずっと高いとやっていました。
もちろん、いただいた料理はどれも美味しかったことを追記しておきます。

さて、深圳へ戻る裏ワザを披露することにいたしましょう。
皇思楊からはいつものようにバスで惠東に戻ります。
惠東ではすでに深圳行きのバスは終わっているので、8時まである惠州行きのバスに乗り、50分ほどで惠州に着きます。
ここからタクシーで惠州西駅に行って、8時50分発の深圳行きの列車で戻るという作戦でした。
惠州駅から列車が出ていることが分かっていたのですが、こちらは一足早く終電が出てしまうので一度はダメかと諦め、さらに検索したところ町はずれの恵州西駅から列車があることを突き止め、わたしは勝利の雄たけびをあげていました。

タクシーを降りたその駅は、夜だったせいもあってほんとに鉄道なんか通るのかと思えるほどの廃墟のようなところでした。
それでも切符売り場の窓口はしっかりあってホッとしました。
ところがでした。
切符売り場のおばさんが説明するには、わたしが乗ろうとしていた列車は数日前に廃止されたというのです。
深圳にどうやって帰ればいいのかと食い下がると、タクシーで町中に行って1泊して翌朝の恵州駅からの列車に乗ったらと言ったまま相手にしてくれません。

深圳のホテルに泊まっているので、惠州に1泊なんてしたくありません。
列車が廃止された不運を嘆くよりも、こんな廃墟のような駅にタクシーが1台停まっている幸運を喜ぶべきでした。
運転手を捕まえて深圳まで行けるか聞くと500元かかると言って譲りません。
そこで考えたのが深圳より近い東莞駅まで行って12時過ぎまで運行している高速鉄道で帰るというものでしたが、案の定、東莞駅までなら200元で行くと言います。
それでも悔しいので、粘りに粘って150元まで交渉して、無事、東莞経由で戻ってくることができました。
美味しかったお母さんの夕飯でしたが、高級レストラン並みの150元費用がかかることになってしまったのでした。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/06/09 Sun

她家是网吧

Sonnar 5cmF1.5
美蓉の家は皇思楊小学校の校門前にあって雑貨屋兼駄菓子屋のようなことをやっています。
中国の地方の村ではこのような形態はごく普通にみられるので、何にもないような田舎に行ってペットボトルの水が必要になりましたとかいうことになったら小学校を探すとよいです。

思い出すのは、10年近く前に上海出身で早稲田大学に留学していた女性と知り合って中国語を教えてもらっていたとき、上海で何か商売ができないか持ち掛けられました。
わたしは江南の古鎮にある古民家を借りて小さなホテルを経営する案を出しましたが、彼女はあっさり却下して当時上海に進出し始めたローソンのフランチャイジーになるべきだと主張しました。
元手がかからず信頼できる人がひとりいればマネージメントも日本からできるからだといいます。
なるほどと感心してどこに出店するのだと聞くと、新しくできる小学校の真ん前がいちばんと即答するので、学校

学校帰りの小学生がコンビニに入る姿を想像できなかったわたしは同意できませんでしたし、やがてやや具体化していたその話も立ち消えとなってしまいました。
しかし、いま思えば、中国の庶民レベルの生活パターンなどを理解してきたわたしには、あの時の彼女の発想は正しかった、ローソンを出店すればよかったと後悔しているくらいです。

美蓉の家の店は5坪くらいの狭さで、奥に椅子が置かれているのでそこに腰かけて雑談しているときが多いのですが、店にはひっきりなしに子供たちがやってきて駄菓子を買っていきます。
もっとも彼らが支払うのは1元か2元、客単価は平均20円というところです。
1日100人来たとしても売上2000円で、粗利4割だとしても1日の利益は800円に過ぎません。
超ド田舎の小さな小学校前ですから、これですごく儲かるということがないのは自明ですし、ましてやここにローソンをオープンという発想が起こるはずすらありません。

ところが、今回の滞在でネットカフェ(?)も経営していると知って驚きました。
美蓉の家は奥が古民家で、増築する形で比較的新しい店や住居部分がつながっているのですが、もともと倉庫だったように思える離れのような小さな建物の中に古いPCが10台も置いてあって、突然雨が降って来た時に美蓉がそこに入るように言って隠れ部屋のようなアンダーグラウンドなネットカフェの存在を知りました。
中では見るからに小学生という子供たちが夢中でゲームをしていて、さらにびっくりしました。

ここも1時間1元か2元で遊べるのでしょう(中国式ネットカフェは飲み物等オーダーする必要はなく、実使用時間で料金を払います)、子供たちの格好の遊び場のようでした。
しかし、こんな暗い部屋で小さなうちからゲームをやっていれば目は悪くなりそうだし、不良になっちゃうんじゃと余計な心配までしたくなります。
行っちゃダメと親から言われたりもしそうなものですが、そんなこともなく、中古のPCを買い揃えてまで子ども相手に遊ばせる美蓉一家の商売人ぶりには唸らされざるを得ません。

彼女は、わたしをここに案内して自身でやっているというブログを見せてくれました。
毎日の生活の中で写真を撮って、ポーズする学校の同級生、近所の家の誰が書いたのか分からない落書き、エンジェルちゃんのVサイン、自分で描いた得意のイラスト、家族旅行のひとコマなどをちょっしたコメントともに載せていっていました。
毎日更新しているそうです。
あまり見に来る人はいないようですが、日記のように日々綴るのが良いのだと自慢しています。

なんだ、やっていることがわたしと同じじゃないですか。
美蓉とは親子ほども年齢が離れていて共通の話題がそうあるわけでもないのに話が合うように感じていたのは、感性が似た者同士だったということなのかと思い苦笑してしまいました。
ちなみに彼女の夢はロンドン留学だそうです。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/06/08 Sat

日円減値

Sonnar 5cmF1.5
つい先日から株価の乱高下が話題になっていると思えば、ついに円相場も同様の動きを見せて大きく円高に振れているようです。
経済のことはこれっぽっちも分かりませんが、国の経済がよくなれば通貨もみんなが欲しがるのですから高くなると考えるのが普通でしょう。
意図的に作られた円安は、いずれ神の見えざる手が動き出すということなのでしょうか。
ライカMの購入を諦め、レンズも手が届かないものになっていただけに、個人的には元の円相場に戻ってもらえるならばありがたいと思います。

単に円が高ければ単に安く買えるということだけでなく、1ドルが85円とか90円という数字に心理的な効果があると考えています。
欲しいレンズがオークションに出品されていたとして、予算や相場、コンディションなどを勘案して3万円までなら買おうと考えるとします。
従来の1ドル90円以下なら、300ドルで落札すると送料も合わせて予算通りに収まり、いくらかお釣りも出たりするのでペイパルの日本円請求額を見て、成功裏に落札できたという勝利の気分を味わえます。

しかし、1ドル100円になると300ドルで落札すれば送料分まるまる足が出てしまいます。
ペイパルのレートが若干悪くなることも加味すると、請求書を見ると5千円以上の予算オーバーなどということも普通にあって、高く買ってしまったことへの後ろめたさも感じることがありました。
これは、1ドル100円なら落札ドル額の100倍の円額で購入できるという錯覚が根付いているからです。

この額まで出すと自分のリミットを設定するのは大切なことです。
今は、相場感のないお金持ちコレクターがあふれている状況なので、リミットを設定しなければ価格は青天井です。
かつて、eBayの初期ではこのオークションに参加している人が少なかったうえ、そのわずかの参加者の関心はほとんどレンズではなくカメラでした。
だからいくらで買おうなどと考えなくても、落札金額はいつもこんなに安くて出品者に申し訳ないというものばかりでした。

今では、オールドレンズは市場として確立しましたし、eBay自体も成熟したオークションというべきものになりました。
かつてとは同じ手法は通じませんし、何より自分より余裕のある見えない相手と真剣勝負しているという意識もできてきます。
だから、落札できたときは勝負に勝ったという喜びがあります。
また、滅多に落札できなくなったことで、お財布にも優しくなってきたというのが本当なのですが。

さて、作例は美蓉と散策してたまたま出合った彼女の同級生です。
村のはずれまで歩いてきたせいか、周囲の建物は廃墟で雑草が繁り朽ちる途上にあるようなおももちでした。
学校が休みで1日家の仕事を手伝う、とても感心な美少女です。
ほとんど寝巻のような恰好だったからでしょう、カメラを向けるとダメと怒られてしまいました。
隠し撮りのピンボケですが、次の機会にはペッツパール持参でヨーロッパの近代詩など語り合いながらポートレートをものしたいと思います。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F4】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/06/07 Fri

小天使

Sonnar 5cmF1.5
清渓にあまりにも失望して、急遽いつもの皇思楊村まで行ってみることにしました。
思い立って行くにしては、深圳から皇思楊村まで地図で見ると100キロ少々あるようで、これは自宅のある藤沢からですと静岡県の由比に行くのに相当します。
日本にいては、突然古い街並みを見て桜エビのかき揚げ丼を食べるためにちょっと由比まで、とはさすがにならないですね。
広い中国では、距離感覚が麻痺してしまうのでしょうか。

例によって、友だちの女子中学生の美蓉の家に行くと、いつものようにみんながよく来たと歓迎してくれ、それにしてもよく来るなと呆れてもいるようでした。
年に1回くらいの訪問なら大歓迎となるのでしょうが、年に3回4回と来ていると、ああ、またかと思われても仕方ありません。
しかし、それはわたしがお客さんから身内として認められつつあるということを意味するのかも知れないですが。

さっそく美蓉と姪のエンジェルちゃん(この子の名前は難しく何度聞いても覚えられないので、美蓉もシンプルにこう呼んでいる)とで近所を散策します。
美蓉の同級生の勝意は不在なのが残念ですが、最初、警戒感を発していたエンジェルちゃんが歩き始めるとわたしのことを思い出したようで、手をつないでと寄り添ってきて自分の娘のように思えました。

さて、作例では、いつもの場所で撮るので、いつもと違うことをしようと思い、F4に絞っています。
F1.5で完璧とも思える写りのレンズなのですから、F4に絞って悪いはずがありません。
木の質感の描写が特筆されます。
そんなもの普通に写って当たり前とも思えますが、白と黒の木が並んでいると白い木が飛び気味になるのか凹凸なくつるんとしてしまうのをよく見ることがあります。

それに、わたしがいちばん気に入っているのが、木の扉の上部で紙と下地の木と影が混然となってよいグラデーションを表現しているところです。
シャープ過ぎるレンズではできない表現だと思うのですがいかがでしょう。
また、いつものように開放で撮っていたら、この部分の表現は別モノになっていたでしょうから、たまには絞るのも面白いかなあと気付かせてくれました。

1932年の製造にしてこの完成度のレンズがあったというのは恐るべきことです。
いま、わざわざ高価なライカ・コンタックス・アダプターを購入してまで使う意味があろうというものです。
オリジナルのライカマウントがないものかと気になりますが、eBayを検索するとこのレンズと同時期のブラックのライカマウント・ゾナーが売りに出ているではありませんか。
例のツァイスのイエローブックを見るとライカマウントで製造された1本と製造番号が一致しています。
ただし、Buy it now価格が$6699で、出品が香港、鏡胴の刻印がかなり怪し気。
これなら、アダプターのゾナーの方が良いです。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F4】
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Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/06/06 Thu

買鏡頭還是汽車

Sonnar 5cmF1.5
今回使ったゾナーとはまったく関係ありませんが、久しぶりにマクロ・プラズマート5cmF2.7が売りに出ていて、製造番号も記載されていたので、以前のリストに加えました。
これまでインターネット上にあったもの、書籍や雑誌に出ていたものを全部合わせても、ライカマウントのマクロプラズマート5cmは下記の13本しか見つけられていません。

①580224 Nickel
②580659 Nickel
③580727 Nickel
④580736 Chrome
⑤580858 Nickel Fixed with Leica I
⑥580862 Nickel
➆582572 Chrome
⑧582635 ?
⑨582637 Chrome
⑩582738 ?
⑪58277X ?
⑫583079 Chrome
⑬583083 Chrome

外観が大きく違う何種かの鏡堂デザインが確認されているキノ・プラズマートに比べると、マクロ・プラズマートは細部に違いはあるのかも知れませんが、鏡胴はすべて同じデザインのようです。
違うのは、ニッケルメッキされたものとクロームメッキされたものの2種類があるということになります。

そこで上の一覧を見ると、580XXXというロットと582XXXおよび583XXXというロットの2つに分けることができ、前者がニッケルで後者がクロームだったと推測することができそうです。
④の580736は前者ながらクロームなのは、後日、オーナーが自分のクロームライカに合わせて再メッキしたのではと考えることができます。
クロームのカメラにブラックのレンズという組み合わせはそれほど違和感を感じませんが、クロームのカメラにニッケルのレンズは合わないなという印象が強いです。
当時、ライカを持つということは相当に裕福で、新しいものに貪欲だったと考えられ、同時に美意識の高さも持ち合わせていて、レンズ鏡胴のメッキにも拘ったとしても不思議ではありません。

さて、サンプル数が少なすぎるので、推定というよりは空想と言う方が近いくらいですが、製造本数はどんなものか特定できないでしょうか。
580XXXからをニッケルの前期、582XXXからをクロームの後期と呼ぶとして、このレンズはクロームの方が珍しいということも勘案すると、前期は582000から591999の1000本、後期は582500から583100600本くらいじゃないかと想像してみたいと思います。

合計1600本ですが、ライカのレンズで見るとズマールの固定鏡胴タイプが約2000本製造なので割合と近いと言えます。
出現数では固定ズマールの方がマクロ・プラズマートよりはるかに出てくるような気がします。
マクロ・プラズマートの製造数はもっとずっと少ないのでしょうか。
わたしは、マクロ・プラズマートは熱心なファンが半永久所有状態なのに対し、ズマールの方は沈胴のものが非常に多いので固定まで持つこともないかと手放されるケースが多いからではないかと考えます。

ところで、今回見つけたマクロ・プラズマートは、あるカメラ店のサイトに掲載されていたのですが、その値段、なんと驚きの43000ユーロです。
まさかの500万円超え。
キノ・プラズマートならいざ知らず、マクロ・プラズマートでは無謀な値段付けで、いくら金持ちの中国人でも買おうとはしないのではないかと思います。
いや、新興レンズマニアが現れて、世界一高いレンズとその次のレンズを売れといって豪快に買っていってしまうかも知れません。

さて、今日の作例は、マクロ・プラズマートですらそんなに寝あがっているのに、大口径にも拘わらず寝下がっている感すらあるイチゴ・ゾナーのボケを見ています。
鉄場では昨日の作例と今日のとで限界に達しました。
せっかく雨が上がったのですが、早々に引き上げることにします。
今後の古鎮巡りには、何かひとつ手を打たなと行けないと、帰りのバスの中ではそのことばかりずっと考えていました。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/06/05 Wed

還一個古村落

Sonnar 5cmF1.5
清渓にはもうひとつ古村落があるとの情報を持っていたので、当初の予定では足を延ばすつもりでいました。
しかし、降りしきる大雨と、最初に訪れた清渓があまりにもつまらなかったのとで、すっかり繊維消失していましたが、ここで帰っても中途半端なだけだとやはり向かってみることにしました。
行き方がよく分からなかったのですが、先ほど下車した文化広場のバス停に戻ると、ここからも直行のバスがあります。
バスに乗ると、いつのまにか雨が上がりました。
急に運が向いてきたような展開で、もしかするとすばらしい古村落が待ってるのではとの予感さえしてきます。

古村落の名前は鉄場となっていて、いかにも硬派な村落わ連想させます。
バスはぐんぐんとスピードを上げて、町中だった清渓から一気に郊外の道を爆走します。
20分くらい走ったでしょうか、道路から古い建物が見えたので運転手に聞くと古民家がいくつかあるということで、鉄場に到着しました。
清渓もそうでしたが、バス停に近い古村落はたいへんありがたい存在です。
ただ、近すぎるということは、古村落としてはあまり期待できないとの裏返しではないかとの予感もありました。

やや行き過ぎたところで降りたバスから早速古建築に向かいましたが、これはまったくの廃墟でした。
いわゆる客家の囲屋の建物で、石づくりの古民家のまわりを壁が囲んでいるのですが、長らく人の立ち入りないのでしょう壁と家の間のスペースには雑草が多い茂り、ゴミ捨て場にもなっていて立ち入る気にもなれません。
予感的中というよりは、これはもう誰が考えてもこうだっただろうという程度のものです。

やり過ごすと他にも小さな古民家がぽつりぽつりと見えますが、ここまでの達成感がないせいか感動指数はゼロに近く、あまり見て回ろうという気分になりません。
それら民家は人が暮らしてはいるようですが、みな出払ってしまっているようで、中に気配がありません。
遠くに一面畑が広がってて農作業の人がちらほら見えるので、雨があがったのを機にみんな畑に行ってしまったのでしょう。
話しかける相手も見つかりません。

いつも人物の入った作例を必ず採用するのが、このブログの暗黙のルールなのですが、たまにどうにもならずに犬猫など動物で代用することもあります。
今回は、それよりも寂しい3羽のハトにモデルとなってもらうことにしました。
建物は鉄扉の門に瓦屋根と一見立派に見えますが、全体に言えば造詣の美しくないどちらかといえば、みすぼらしい感じの古民家です。

ここのところ深圳から軽く日帰りできる古鎮・古村落の小さな旅もネタが尽きかけていましたが、それでも初めて行く村にそれなりに興奮したり、現地の人と触れ合ったり、それなりに楽しんでいるつもりでした。
それができなかった今回の清渓は村が悪かったというよりも、雨のせいで興に乗ることができなかったのだと思われました。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/06/04 Tue

専修楼房漏水

Sonnar 5cmF1.5
先日、撮影の名人とレンズの達人とともに散策するという機会に恵まれました。
普通であれば得られないような貴重な時間を過ごせて、たいへん興奮しています。
気分的には、ブレッソンとキングスレークとともに散策したようなものでした。

なにか最近の取り組みを見てもらわねばと考えましたが、かつてのようにおふたりを唸らせるようなレンズを入手していたわけでもなかったので、最近手に入れた数本のイチゴ・ゾナーを持参してみました。
1本のレンズではダメだと思い、合わせ技を狙ったわけですが、おふたりは次々出てくる怪しげなイチゴのゾナーのバリエーションに驚くというよりはあきれていたのではと今になっては思います。

逆にわたしの方が驚かされたのが、おふたりともイチゴのゾナーを所有していないということでした。
ペッツバールからツァイス・アナスティグマートまでを古典レンズの時代と呼ぶとすれば、プラナー・オピック・スピードパンクロと続くダブルガウスの流れと双璧なのが、トリブレット・エルノスター・ゾナーの系列で、このふたつの柱を近代レンズと呼ぶことができるのではないかと思います。
その後者の完成型であるイチゴのゾナーを両大家が持っていないというので、びっくり仰天したという訳です。

これまでにかなりの数が製造され続けて、今でも形を変えた現行レンズがあるイチゴ・ゾナーですから、何も慌てて買う必要はないと思っているうちに、未だ入手していないということかななどと想像しました。
しかし、持っていない理由を聞いて、ああっと、また驚いてしまいました。
ゾナーには、ニセモノや怪しいものが多くて手を付けにくいということでした。
わたしも有頂天で集めていましたが、確かにこれは危ないかもというイチゴ・ゾナーも何本も所有しています。

昨日書いたブラック&ニッケルのイチゴ・ゾナーはすべて本物ですが、それとてやれ研磨だ、あとコーティングだ、玉の入れ替えだなどといったオリジナリティに影響するようなことまで皆無かといえば、そこまではよく分かりません。
ましてやライカマウントになったイチゴ・ゾナーはあまりに怪しいものばかりで、純正である証明は素人にはとても困難です。
間違いなくオリジナルだというレンズを入手して、分解してもらったうえで比較することで、他のレンズがオリジナルか否かが判別できるだろうと思いますが、絶対のオリジナル・ゾナーがそもそも入手できないのです。

自慢たたっぷりにおふたりの前で開陳したレンズも、何本かはまさにその疑惑ゾナーです。
フェイクモノの研究も楽しいのですが、ふたりの大家を前にそんなものを持ち出したのもどうだったかなという反省をしなければなりません。
何せ困るのは、同じフェイクでもエルマーでは、どうにもならないような写りのものがたくさんあるのに、ゾナーでは同じロシア製フェイクでも写りはことごとく立派なことがあります。
ツァイスの技術が大戦直後にそのままロシアに渡ってしまったのですから、それも致し方ないことでしょう。

ただ、いろいろとイチゴ・ゾナーを見てきた中では、最初期型のノンコートの写りがいちばん好いのではと思っています。
とくに柔らがで素直なボケが、このレンズの真骨頂を表しています。
イスラムの女の子の作例での点光源もとても素直な輪を描いていて、ボケの好さが分かりましたが、ゾナーはガウス系と比較して、どの距離でとってもボケがひどくならず安定しているところがわたしは大好きです。

ちなみに作例の車は、看板にあるとおり建物の漏水修理専門をうたう個人業者の車の列です。
中国ではよく言われるように、ひとりが商売をして当てると、それを真似するものが次々と登場するのですが、彼らもそういう手合いなのでしょう。
しかし、看板は色や字体を変えているものの書かれていることは携帯番号を覗けば同じで、同じような車種、なのはいいとして、なぜにドアをちょっと開けてそこから傘を開くということまで同じにしなければいけないのかが理解できません。
ロシアも中国も、オリジナリティを尊重しないという共通点があることだけは分かりました。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/06/03 Mon

不増価

Sonnar 5cmF1.5
ここ何年かのレンズ価格高騰では、キノ・プラズマートなどの希少レンズなどF2以上の高速レンズの値段も大幅に押し上げてしまいました。
そのキノ・プラズマートは、某サイトで7.5cmF1.5が5万ドル、5cmも2万ドルと、もはや自動車を買う方が安いくらいです。
プラズマート系のレンズはもともとたいへん高価でしたが、そこから5倍6倍と値段が跳ね上がってもはや神格化の領域に入ってしまった感ありです。

ところが、同じドイツの同じF1.5レンズだというのにゾナーの価格相場はどうやら据え置かれたままのようです。
レンズ性能で比較すると圧倒的にゾナーの方が上だと思いますし、天下のカール・ツァイスが後進のフーゴ・マイヤーより下にみなすのはどうかということもあるのですが、やはり製造本数の多いゾナーは価格が安定するということなのでしょう。

これぞというレンズは入手できなくなっている昨今ですが、おかげでゾナーばかりを立て続けに手に入れてしまいました。
そのうちの1本が今回持参した、コンタックス・マウントのゾナーですが、先日入手した最小絞りF8のゾナーと同様、ブラックペイントとニッケルのコンビネーションが美しいコンタックスⅠ型当時の初期タイプです。
シリアル番号から製造年は1934年と分かります。

わたしはライカのレンズノンライツのレンズを集めるようになっても、早々にアダプターやマウント改造レンズにも手を染めた手合いですので、ライカ・コンタックス・アダプターもかなり早い段階で購入しています。
一般的なゾナーは早々に手に入れましたが、何と言っても欲しかったのがブラック&ニッケルのゾナーでした。
しかし、これが探せど探せど見つからない、ようやく見つかれば見つかったで手に入らないの繰り返しで、追いかけてからようやく手に入れるまで3年の時が過ぎていました。

続いて探したのが先に書いた最小絞りがF8までの最初期型のゾナーでした。
これは製造本数もかなり少なく入手困難と考えていましたが、懸命の捜索が実ってようやく手に入れることができました。
そのあらましについては、先般、自慢気に書かせていただいた通りです。
ブラック&ニッケルのイチゴゾナーについては、その後のクロームと同じデザインのものもあって、そちらの方が入手しやすいようでわたしも2本所有しています。
つまり前後期各2本ずつの4本のブラック&ニッケルのイチゴ・ゾナーがあるので、このシリーズは当然打ち止めにしていました。

ところがです、もういらないと思っていたブラック&ニッケルがまたもや目に留まりました。
当然要らないので無視なのですが、これが1万数円とすこぶる安く、状態もけっして悪くはありません。
それだったらと買ってしまいました。
前期型の2本はかなり苦労して購入したのですが、無欲になった途端、簡単にまた1本見つけてしまい、オールドレンズ探求の厳しさと優しさをあらためて知る思いです。

若干のくもりがあるレンズと書かれていましたが、素人クリーニングできれいにとれて、ノンコートながら抜けの良い、色味の濃厚な初期型ゾナーらしい写りを楽しめる好い個体だったと喜んでいます。
今回の作例も、お寺で雨宿りする老婆より前ピンになってしまいましたが、暗部の表現がすばらしくF1.5らしからぬ自然な描写の美しさを存分に愉しみました。
希少なブラック&ニッケルのイチゴ・ゾナーが、キノ・プラズマートのような値上がり方をしなかったことにも感謝しないわけにはいきません。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/06/02 Sun

冷気開放

Sonnar 5cmF1.5
文化広場のバス停は英国で言うところのラウンドアバウトの真ん中のようなところに位置していました。
6方向くらいに道が分かれていて、清廈の古村落はどちらへ向かったらよいか分かりません。
拾った傘はさしていますが、雨脚が強くてもたもたしていると足元から濡れてきてしまいます。
運好く人が通りかかって、清廈を探していると、あっちだよと指さして教えてくれました。
昨日の作例の塔が見えていて、道路を渡ってすぐととても近く助かります。

近いのはありがたかったのですが、予想通り古村落というにはあまりにしょぼいという表現が似合うところでした。
そもそも深圳から距離の近い古村落で、これはすばらしいというところであれば、もっと有名でしょうしもっと早く来る機会が訪れていたでしょう。
15分あれば全露踏破できるようなあまりにこじんまりとした古村落でした。

このパターンでいつも困るのが、人にまったく出会わないことです。
もともとの住民は不便で家を出てしまい、残った人は高齢化、町中でわざわざ100年も立つような家に住みたいという人はなく、どんどん廃墟になっていく、広東の多くの古鎮が抱える問題です。
おまけに大雨では、外で遊ぶ子どもには合うことは無し、出掛ける人がいても傘で顔まで分かりづらいと悪条件はそろってしまっています。

しばらく散策するも古村落というよりは汚い村という印象ばかりで、あまり楽しくありません。
その間すれ違ったのが2組3人の現地の人ですが、大きな傘をさしていて写真を撮りにくいし、足早に過ぎている彼らに話を聞こうと声をかけるのもはばかられます。
そんな中で、ありがたいことに扉をオープンで食事している女性がいました。
チラッと見れば、家の中は暗く、締め切っては暑さと湿気で汗が吹き出すような環境に見えましたので、通行人もないのだからドアを開け放って食事というのも当たり前のように思えます。

他人に撮られることを嫌う人はけっこういると思いますが、そうでなかったとしても食事中をこっそり撮られるのはあまり好い気持ちはしないでしょう。
いくらオープンに食事をしているからといっても、見つかって嫌な思いをさせてはいけないというのが撮影者のマナーであって、バレないようにこっそり撮る必要があります。
このケースではさきに近くにピントを合わせておいて、近くの壁に隠れて撮影してまた隠れるというヒットエンドラン作戦をとりました。

撮られることを嫌うと言えば、雨もそうで、現地ではとても困る雨が、写真では全然写っていない言うのが普通で言われなければ雨だと気づかれない写真は多くあると思います。
この作例も降りしきる雨は写っていませんが、トタンから落ちる水滴は写っていて、撮影は雨の中で行われたという証拠になっています。
雨の撮影が得意の人がいらして、先週そんな写真を拝見しましたが、やはりわたしは苦手としか言いようがありません。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/06/01 Sat

藍色的雨傘

Sonnar 5cmF1.5
滞在中1日は例によって古村落の訪問にあてます。
その日は予報は大雨、当日起きてみたら今にも泣き出しそうなどんよりした天気でしたが、運が良ければ降り出す前にひとまわりできるかもと出発しました。

行先は、東莞市の清渓鎮清廈という古村落です。
地図を見ると清渓は、東莞の最南端でほとんど深圳と接した位置にあります。
深圳からはもっとも近い古村落・古鎮と言えるでしょう。
深圳市内には大鵬所城という古鎮がありますが、ここは東のはずれのはるか遠方で市の中心からは清渓の方がずっと近いのです。
わざわざ遠方に出向いて大雨ではがっかりなので、近場で済ますのは止むを得ない選択です。

深圳駅から高速鉄道で25分、ひとつ目の樟木頭で下車します。
駅前から路線バスに乗り5分で着いた樟木頭汽車站で下車、ここが樟木頭のバスターミナルで清渓方面行きのバスはそれこそ3分くらいで頻発しています。
約20分で清渓汽車站着、最後は清廈へ行くバスに乗り換えですが、これは文化広場を通る路線バスに乗ればよくほとんどのバスがここを通るのでおよそ10分で文化広場には着いてしまいました。

乗り継ぎ自体は事前のリサーチが生きてすこぶる順調でしたが、近いと思っていた清渓まで1時間半近くかかってしまい、やはり大鵬へ行くのとどっこいどっこいでした。
通常、古村落は交通不便なところにぽつんと残っているという類のものなので、バスは1日数本とかむしろ公共交通手段はないというケースが多いのですが、清廈は町中にあるおかげで面倒な乗り継ぎが恐ろしいほどにスムーズで中国を移動しているとは思えないほどです。

予報は大雨で今にも降り出しそうな天気にも関わらず傘を持ってきてなかったので、雨にならないよう祈りつつ降ってきたらその場で買うつもりでいました。
しかし、あっけなく電車で移動中にはすでに霧雨のような状況に変わり、それでも傘がなくても大丈夫と移動し続けたところいよいよ樟木頭のバスターミナルで本降りになってきました。
ここでも傘は売られていたようで買おうと思ったのですが、バスがあっさり着てしまったのでそのまま乗り込むと、わたしの座った座席の真下に傘が転がっていました。
誰かが忘れていったものでしょうが、失敬することにしました。
中国で傘は安く、バスに忘れてもその場で気付かない限りみなわざわざ探そうとせずに諦めてしまうからです。

これは非常に助かりました。
傘が無いままでも、清渓のバスターミナルでもすぐに路線バスに乗っていたので文化広場のバス停付近で買えばよいと考えたと思うのですが、文化広場は中国式の広いスペースに数百メートル四方何もない広場になっているようなところで、バスを降りたら大雨の中最初の屋根を求めてダッシュしないといけないような状況だったからです。
また、雨はほとんど1日降り続いたので、その傘はずっと手放せず重宝しました。
とは言え、拾った傘をその後もずっと使い続けるのは忍びなく、その日最後に乗ったバスの中にそっと置いてきました。
傘を持たない誰かが気付いて、役立ててもらえればありがたいと、いちおうは考えたからです。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(2) | 2013/05/31 Fri

和田的小妹

Sonnar 5cmF1.5
夜、深圳の町中でなかなかの美女を見つけました。
作例の彼女は何歳くらいに見えるでしょうか。
体つきでも判断できるように、たぶん小学校2年生くらいです。
カメラを向けると誰が教えたのか妖艶ともいえるような顔でレンズを見つめる姿は年齢よりもずっと大人びて見え、光がうまくとらえきれずにアンダーなものの割とあどけない雰囲気で写っているこの写真が、前ピンなのを割り引いてもこの少女らしくて今日の作例として取り上げることにしました。

夜の路上で何をやっていたのかと言えば、お兄ちゃんといっしょに家の仕事を手伝っていました。
あふれるくらいのクルミや干しぶどうなどが満載された屋台で店番していたのです。
その干しぶどうと彼女の東部でピンと来る人がいれば鋭いと思います。
頭に巻かれたスカーフ状の布はいわゆるヒジャブで、彼女たち一家は新疆ウィグル自治区のホータンという町からやって来たトルコ系のイスラム教徒なのです。

ホータンは、現在の中国のほぼ西のはずれにあって、新疆ウイグル自治区首府であるウルムチよりもタジキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、パキスタンの国境の方がずっと近い場所に位置しています。
それらの国々の通商の要衝にあたる場所なので混血が進んで、美男美女が多く生まれる地なのではと想像されます。
しかし、もはや中国の一部だと言われても、民族の血も顔つきももはや漢族とは似ても似つかず、やはり中央アジアか中東、あるいはトルコ人と言った方がしっくりときます。

むかし、深圳で泊まったホテルのそばに新疆のラーメン屋があってそこの娘が飛び切りの美人でした。
向うも日本に興味があるようだったので今度映画でも見に行かないかと軽く言ってみたところ、イスラムの女の子をデートに誘うには父親の許しをもらわなきゃダメなんだけど言うだけの勇気はあるのといかつい親父を指さしながら言うので、もちろんあると余裕で答えました。
すると彼女は続けて、1回でもデートをするということは結婚を前提としたお付き合いだから、あなたはイスラム教に改宗することはできるのねと畳みかけてきました。
冗談だったのかも知れませんが、わたしはまじめに交際してから考えると答えたところ、いま、結論を出してと困惑するわたしをけむに巻いて厨房の中に消えてしまいました。

新疆女性とは遊びは絶対に許されないということのようです。
成人女性は、写真を撮ることも許されません。
彼女の家は、かなり厳格なイスラム教徒だったようで、近くの店で商売していた母親は例のヒジャブで顔をすべて覆っていて、その奥で大きな眼だけがじっとこちらを見据えるのが印象的でした。

新疆を旅できないものかと計画しましたが、このエリアは想像していた以上に広大でした。
首府のウルムチまでは中国国内線で6時間ほどですが、ウルムチから西端の聖地カシュガルまでまる一昼夜かかり、カシュガルからホータンまでまた1日の行程です。
1週間の旅では、それぞれの町に1泊してそのままとんぼ返りしなくてはいけません。
できることならシルクロードの街道に沿ってゆっくり西をめざし、国境も超えてみたいものですが、それは夢というものでしょう。
急ぎ足でも最低2週間なければ、旅する気分も味わえないくらい、新疆はあまりに遠く広く、その土地からやって来た女の子の瞳の中にそれを想像するしかありません。
【X-E1/Sonnar 5cmF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Sonnar 5cmF1.5(Contax) | trackback(0) | comment(0) | 2013/05/30 Thu
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