本願寺之変

M8/Nikkor-HC 5cmF2
写真展と築地散策シリーズの最後の1枚です。
最後は少しインパクトのあるものを出したかったのですが、それがありません。
秋らしいちょこっと黄葉でお茶を濁すことにします。

ダブルヘリコイドによる寄りができるニッコールは、M8などのデジタルを使うとトライ&エラーを繰り返すことによって、それなりの近接写真が撮れます。
フィルムカメラですと、仮に距離を正確に測れてもパララックスを補正できないため、フレーミングがまず決まりません。
虫の近接撮影には成功しましたが、これはかなり生々しいものなので、ここでは採用しないことにしたのです。

結局、築地と言えば本願寺ということで、敷地内のイチョウを撮影します。
昨日に続いて、やはりボケの美しさにレンズの実力がうかがえます。
わたしの愛する収差レンズ群では、この背後の植物は格好の非点収差の見せ場となっていたでしょうから。

最後なのであらためまして、写真展にお越しいただいた皆さん、お世話になった方々、とりわけ会場で優しく接していただいたオーナー夫人のHさん、それに愉快な仲間たちにお礼申し上げます。
わたしは何をしたということでもなかったとの意味では、他力本願の本願寺を持ってきたのは、うまい符合だと我ながら感心する次第です。
【M8/Nikkor-H 5cmF2 F2】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/11/22 Sun

愛吃生魚片

M8/Nikkor-HC 5cmF2
海外では、やや珍品という扱いになっているそうで、ライカマウント・ニッコール5cmF2の絞りリングのみが黒くなっている通称"黒だすき"は、入手が簡単なレンズではありません。
もともと沈胴だったこのレンズは、オールクロームの固定鏡胴になって性能が向上したようです。
それが晩年には、黒たすきにデザイン変更していますが、この時にもレンズの設計に改良が加えられたようで、ニッコールの中でも最高性能の1本と呼ばれています。

ライカの交換レンズとして製造された訳ではなく、ニッカ・カメラの標準レンズだったので相当製造されたはずですが、上述の3タイプの製造数ははっきりしません。

そういえば、メルコンなどの少しマイナーなライカ・コピー機もニッコールが標準でした。
レンズ性能を求めたライカ・コピー機の製造メーカーが、ニッコールを標準にしたと言われています。
もっとも、キヤノンだって50mmF1.8というすばらしいレンズがありますし、レオタックスはフジノンやトプコール、チヨタックスはヘキサノンですから、いかに当時の国産ライカマウントレンズのレベルが高かったかが分かります。

貴重な黒だすきは、ありがたいことに盟友M氏に譲っていただきました。
フィルター・スレッドに微小なアタリがあるためかなり格安です。
クロームメッキはかなり美しいもので、それゆえ絞りリングのみの黒だすきは違和感を覚えますが、無理に黒いスカイライトフィルターを付けると、たすき掛け状態(?)となって、なかなか良い外観です。
ゾナータイプは2群目、3群目が分厚いのと真鍮鏡胴のため、かなり重量感があるのもいいです。
アルミの本家ゾナーよりありがたみがあるというところです。

性能については、こんなところでは言及してはいけないでしょう。
ここではボケの良さだけを指摘したいと思います。
作例では、おじいさんの髪の結い目にピントを合わせて、中心のお父さんの頭や背中がボケになる掟破りな構図にしてみましたが、前後のボケの良さがすばらしいと思います。

築地の交差点で撮ったものですが、彼らはどうも観光客ではなく長く滞在していて、魚が食べたくなるとここまでやって来て食事しているという雰囲気でした。
わたしなぞより、よほどの築地通でしょうし、移転問題やひいてはオリンピックにも猛烈に反対したのに違いありません。
【M8/Nikkor-H 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(3) | 2009/11/21 Sat

市場的尽頭

M8/Nikkor-HC 5cmF2
写真展最終日、せっかく入船という馴染みがないながらも魅力あるエリアで開催しているのだからと、
早めに出掛けて会場周辺を歩いてみました。

12時に写真展オープンなので、10時ちょうどに築地駅着で散策を開始します。
出口への階段を上がっていくと、大粒の雨と突風が待ち構えていました。
撮影にはまったく不向きな条件ですので、築地市場の活気を味わう散策に切り替えました。

実は、築地に来たのは2回目で、様子がまったく分かりません。
一般人は場外市場を散策するしかないと思っていたのてすが、市場内の門には断り書きがなく、普通の人もぞろぞろ入っているように見えます。
入ってもよかったのでしょうか、それとも事前の許可とかもらうのか。
時間がないので、結局、場外周辺を歩くにとどめました。

時々、雨が止んで日が覗いたりして、カメラを取り出したりもします。
市場のやり取りにレンズを向けてみますが、なにか気合いが入っていきません。
中国で市場での買い物に慣れたわたしには、どうもここは様子が違って見えます。
売り子と買い手の丁々発止のやり取り、そこまで行かないまでも、東京の台所的雰囲気を味わいたいと期待していたのですが、わたしの方の勘違いだったかも知れません。

店は、一般的な商店と変わらないのがほとんどですし、客もいかにも観光客然としています。
お客さんがとまどわないように値札が大きく貼られていて、交渉する楽しみのようなものは排除されているようです。

着物のお姐さんが通りかかって、近くのお店の仕入れに来たのかとこっそり付いていきます。
いざ買い物が始まっても、これまた淡々と品物を注文してお金を手渡すばかりです。
いつものアレ入ったというや店主が椅子の下から何やら包みを取り出したとか、これだけ買うんだから負けなさいよと色仕掛けとかそんなのを期待したのですが。

結局、場外を離れて歩いたところの橋で撮影です。
同じようなパターンの連なり、同じような色彩の並びが、いかにもレンズテストにぴったりのような。

ここで思い出したのが、昨日紹介した「クラシックカメラ専科」やその後のライカ・ムック本のレンズ作例に、よくこんな橋が登場してたっけということです。
もしかすると、みんなこんな風に期待を裏切られた揚句に、歩き進んで橋を撮るしかなくなってしまうのでしょうか。
【M8/Nikkor-HC 5cmF2 F2】
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Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(5) | 2009/11/20 Fri

古典相機専科

M8/Nikkor-HC 5cmF2
ここ1年くらい前からこつこつと進めていることがあります。
惜しまれつつも2年前に廃刊となってしまった、季刊「クラシックカメラ専科」のバックナンバーを集める作業です。
もともと発行時に買うなどして30冊近く所有していましたので、残りの50冊あまりをこつこつと探してみようと考えました。

ライカのレンズをすべて所有するというのはわたしにはほぼ不可能ですが、クラシックカメラ専科の全冊踏破は何とかなりそうです。
仮に1冊2,000円とすると100,000円以上ですから、思った以上に費用はかかりそうですが、何年間かかかっても地道に続けようと思っていました。

クラシックカメラ専科は、1973年の創刊から2007年の廃刊まで全84冊が世に出ています。
内容については説明の必要はないでしょう。
もともと古いカメラについての記事からなっているので、本が古くなったとしても内容がそれほど陳腐化するということもなく、資料的価値はなかなか揺るぐことはないと思います。

ただ、執筆陣に疑問符を付けたくなるような人が少なからずいて、自慢話に終始する、内容があまりに凡庸等々、ページの無駄遣いでは、という部分も多々あるような気がします。
一方で、カメラやレンズの製造に携わっていて、今では物故されていたりかなり高齢になっているだろう方が書かれた記事もかなりあり、こういう貴重な文章が読めることがありがたいですし、実際、内容的にかなりおもしろく興味深く読めます。

こういう資料的価値からコレクションする人もそれなりにいるのでしょう、初期のバックナンバーはそれなりの値段が付いていることがほとんどです。
安くて5,000円、ひどいと10,000円くらいでもしばしば見ましたが、古書的な価値もあるのだなと逆に感心したものです。

安くてそれなりの状態のものを選んで買っていたところ、1年がかりでようやく50冊が書棚に収まりました。
それでも1号から12号までなどプレミアが付いている初期のものは、まったく集まりません。
やれやれと思っていた矢先、先日、格安で多くの欠番を入手することができ、一気に70冊の大台まで増やしてしまいました。
数えると、残り12冊です。

あとは時間の問題ですが、早く完結させてしまいたいという思いとは裏腹に、全部揃ってしまうと達成感よりも目標を失う虚無感の方が強いような気がしてきて、先延ばしにしないといけないかななどと考え始めています。

さきごろ到着したクラシックカメラ専科をぼちぼち読みはじめていますが、1994年発刊の28号におもしろい記事がありました。
「超大口径50mmF0.95レンズとキヤノン7」というタイトルで執筆は宮崎洋司氏、キヤノンに在籍(当時)されている方です。

キヤノン7の後継機の計画について記述があるのが興味深いですが、何よりもF0.95の比較として、アンジェニューとシュナイダーの同スペックレンズの構成図と硝材が書かれていました。
詳しい解説がないのは残念ですが、15年前にすでにこれらレンズが紹介されているのが新鮮な驚きです。
あるいは、これを見てマウント移植を思い立ったり、成功させた人はすでにいたかも知れません。

愛用のアンジェニュー50mmF0.95の構成は、以前ダブル・トリプレットと聞いていましたが、エルノスター基本型に凹レンズ凸レンズを1枚ずつ追加したようにも見えます。
キヤノンとシュナイダーがダブルガウスとたちどころに分かるのに比べて、想像力をかきたてる愉しい構成図です。
【M8/Nikkor-HC 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2009/11/19 Thu

還有両天

M8/Nikkor-HC 5cmF2
6日金曜日、写真展は静かに始まりました。
平日ですのでオープンから立ち会えず残念ですが、5時に仕事を終えてダッシュで会場に向かいます。
メンバーはほとんど集まっていましたが、お招きしていたゲストの方も集まっていました。
まがりなりにも写真展の初日ということで、ささやかなオープニングパーティを企画していたのです。

修錬会の顧問とも呼べるIさんをはじめ、わたしの関係では、MSオプティカルのMさん、ksmtを主宰するKさんらが遠路駆けつけてくれました。
お互いは初対面のみなさんでしたが、わたしの到着時にはすでに打ち解けています。
レンズや写真という共通テーマを通じて集まっていただいただけに、自然発生的に会話が進行していたのでしょう。

とくにわたしの出展はすべてMSオプティカルによるマウント改造レンズで、わたしがシネレンズやオールドレンズにずぶずぶ嵌まっていった回顧的意味合いと、これまで無理難題を聞いて改造いただいたMSオプティカルに対する感謝の意味合いを兼ねていました。
Mさんが来て、メンバーや他のゲストと交流していただいたことは、わたしにとってパーティの所期目的の達成を意味します。

その後も、多くの方に足を運んでいただいています。
土日はもちろん、平日もメンバーが交代で有給をとるなど時間をやり繰りして、いたらないながらもお越しいただいた方の接遇に努力しています。
写真やレンズの説明にあたるはずが、逆にいろいろと教わるというケースの方が多かったのですが。
お会いする方すべてが印象に残ります。

気付いてみると、もう明日と明後日で終了なんですね。
しつこくなりますが、よろしければお越しくださって、どうぞいろいろとおしゃべりでもしていただければと思います。
【M8/Nikkor-HC 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/11/12 Thu

準備好了

M8/Nikkor-HC 5cmF2
仕上がったプリントを持って、いよいよギャラリーでセッティングが始まります。

だいたい、半切または全紙サイズくらいにプリントした写真をまず裏打ちします。
半切以上の大きな写真は、会期中波打ったりする可能性があるので、補強する訳です。
これは写真用日の量販店で専用のものがサイズごとに売られていました。
面倒に思えましたが、説明通りにやると、案外簡単に裏打ちは完成します。

あとの手順は経験のある方でしたら言わずもがなです。
まずはテープでマットに固定し、フレームに差し込みます。
写真はフレームに付いている発泡スチロールの板で固定されます。

付属のガラスは、今回、原則使用しませんでした。
理由は聞きませんでしたが、恐らくガラスを使わない方がライティングの写り込みもなく、見栄えがいいということだろうと思います。

あとは独自のレイアウトにもとづき、必要個所に釘を打って写真をかければセッティング終了です。

こう書くと実に簡単そうですが、これはすでに経験豊富なH氏やN氏がどしどし進めてくれるからです。
特に写真の位置決めは、ほとんどひとりでは不可能で、フレームがまっすぐに架かっているかを確認するのも難儀しました。

しかし、どうにか全部が展示状態になって、ひととおりが終わった気でいると、まだ最後の仕上げが残っていました。
ライティングです。

ギャラリーは、壁一面が白く、フレームはシルバー、マットがホワイトと、全体が白を基調に統一されています。
写真の方は色が付いていて、どちらかと言えば、写真が沈んで壁の方が浮いているような関係になってしまいます。
そこをライティングによって、写真を浮かび上がらせなければならないのです。

非常にセンスが問われる、最後の総仕上げでした。
これは、わたしなぞの出る幕ではなく、経験豊富で、美術感覚に優れたメンバーが、技術と直感を駆使して絶妙な光を演出していきます。

かくして、数時間の設営作業は終了し、いよいよ本番を迎えるまでとなりました。

写真というものは、プリンターとの共同作業とという例外もあったりしますが、基本的には個人的な自己完結とばかり思っていました。
しかし、写真展という初めての経験を通じて、みんなの手作り的な共同作業や経験者が初心者をフォローするような一体感というものを強く感じることができました。
この時点で、まだ、写真展は始まっていないにも関わらず、なにかすごく得るものがあったように体で感じていたのでした。
【M8/Nikkor-HC 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(4) | 2009/11/11 Wed

委託洗相片

M8/Nikkor-HC 5cmF2
前に告知しましたように、新宿西口写真修錬会の愉快な仲間たちと写真展を開催しています。
先週の金曜日、不安の中ではじまりましたが、おかげさまで多くの方に足を運んでいただいているようです。
感謝の気持ちをお伝えするとともに、今週は、写真展にまつわるネタでブログを書いてみることにします。

ああ、忘れていましたが、写真展はまだ開催中です。
今週土曜日までやってますので、ご関心の向きはよろしければ、遊びにいらしてくださればと思います。
http://www.hit-on.co.jp/index.html


写真展1週間前の10月30日、ようやくわたしはプリントの依頼をしました。
他のメンバーからだいぶ遅れてしまっています。
本来ならば仕上がりをチェックして、納得いかない場合焼き直しなどの指示をしなければならないのですが、時間の余裕はありません。
月曜にピックアップして、火曜にはもう会場にセッティングです。

フレームとマットは会場からご好意で貸してもらえることになりました。
半切サイズになりますが、ラボでそのサイズでのプリントをお願いすると、長辺をかなり切らなければいけないことが分かりました。
半切サイズは、写真フォーマットとタテヨコ比が違うためです。

出展予定の6枚すべてに対して、どう切るかを指示しないといけません。
ラボに一任と言ってみましたが、トラブル回避のためでしょう、支持してもらわなければ受けられないとの返事です。
時間もないので、その場で紙に写真のイラストを描き、わきにカットの仕方を書き込みました。

よく考えれば、写真をそのままにマットをオーダーした方が良かったのですが、頭がまわらないものです。
そして、このことで後々後悔することになります…。


作例は、翌土曜日、ラボのそばの新宿御苑を友人と散策した際のものです。
ハイヒールでポニーテールという何とも素敵な女性が、木陰で熱心に読書していました。
芸術の秋、ですね。

いや、今あらためて見ると、読書ではなくケータイを操作しているだけでした。
さらによく見ると、ピントまでもが外れてしまっているのでした。
【M8/Nikkor-HC 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Nikkor-HC 5cmF2 | trackback(0) | comment(3) | 2009/11/10 Tue
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