大仏的后面

Dallmeyer 2594 114mmF3.6
鎌倉さくらの散策、最終回です。
更新がたいへん遅れてしまっていて申し訳ありません、執筆時点で鎌倉の桜は完全に終わっていて、桜前線は遠く東北の地を駆け上がってしまいました。
早くこのブログも世間並みの時間に追いつかなければいけません。

妙本寺で時間調整するようにゆっくりしたので、あとは鎌倉駅まで歩いて戻るだけだったのですが、道を間違えて駅への左折をせずにずっと真っ直ぐ歩いてしまいました。
途中で行き過ぎていることに気付きましたが、ここまで歩いたのなら大仏次郎の家が近いと思い出して、その前の板塀の路地を通って帰ろうと考え直しました。
すると、いつもは高級カフェのはずの大仏邸が、無料一般公開となっていました。
月一回くらい公開しているのですかと尋ねると、春秋年2回だけですとの返事で、道を間違えた失敗に感謝しました。

ここが大仏次郎の生家だと思っていたのですが、ここは次郎が購入した家で、茶室や客人の宿泊に利用されたと教えてもらいました。
彼は横浜生まれで鎌倉高等女学院の教師になったのをきっかけに大仏のすぐ裏手の家に暮らしたため、大仏次郎というペンネームを付けたのは有名な話なのだそうです。
大仏次郎という神奈川県出身の作家がいたことは聞き知っていますが、どんな作品があるのかも知りませんでした。
鞍馬天狗や赤穂浪士が代表作だとあるので、歴史に材をとった大衆文学が得意だったということのようです。
一度読んでみなくてはいけません。

さて、その庭園ではお抹茶がいただけるとあったので、時間を気にしていましたがいただくことにしました。
礼儀作法はまったく苦手ですが、中国茶も紅茶も抹茶も大好きなのです。
それに庭園に腰掛けて茶をすすりながら、庭の花々を背景に和服の女性を撮影しようとも考えたのです。
するとお茶をもてなしてくれたのは和服の女性ではなく、地元の高校の茶道部所属の高校生たちでした。
あれっと思ったものの、制服を着た高校生に初々しく接してもらうのは新鮮な気持ちですし、春の花に合うようにも思えました。
驚いたのは3人のうちひとりが男子学生だったことです。
これがますます新鮮な気分を盛り上げてくれます。

鎌倉の高校の茶道部であれば、このような課外活動の機会も多いのではと聞きましたが、必ずしもそうではないようです。
鎌倉には茶道の師範とか偉い人もたくさん在籍されているでしょうから、なかなか学生にまではお鉢がまわってこないということかも知れません。
我々には分からない厳しい世界があるのかも…。
しかし、5月末に大仏献茶式があって、市内の高校茶道部の面々と参加するのでと教えてもらいました。

大仏のある高徳院で江戸時代中期に荒廃した阿弥陀如来坐像を修復した時に、裏千家家元からの茶をご本尊に捧げたことに由来する歴史があるそうです。
それならば、ぜひ江戸時代のレンズを付けたカメラを提げて見学に行ってみましょうか。
裏手に大仏次郎が暮らした家も見つかるかも知れませんし。
【Alpha7/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
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Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(0) | 2014/04/13 Sun

Dallmeyer Archives

Dallmeyer 2594 114mmF3.6
残念ながら工事中でお参りできなかった本覚寺でしたが、その足で妙本寺に向かいました。
面白いことに、妙本寺は本覚寺のほぼ真向いの位置関係で総門まで徒歩1分しか離れていないのですが、どちらも日蓮にゆかりの深い日蓮宗の古刹です。
しかし、妙本寺は総門から最後方の祖師堂までは上り坂を5分歩く必要があります。
だから、元来とても静かですし、拝観料も不要だというのに、北鎌倉の有名寺院のように訪れる人は多くなくて、たいへん落ち着いているところが気に入っています。
駆け足で北鎌倉から歩いて来ましたが、ここで少しゆったりすることにいたしましょう。


ところで、ダルマイヤーのレンズに関する資料的価値の高い、サイトを発見しました。
http://www.thedallmeyerarchive.com/Records/Identification.html

ダルマイヤーのレンズ台帳が掲載されたサイトで、PDFになったファイルが閲覧できるだけでなく、膨大な量のレンズを"Portrait", "Rectilinear", "Stereo", "Triple Achromat", "Wide Angle Landscape", "Stigmatic"の6種類に分類してデータベース化しています。
データ量が膨大でPDFが開くのに若干時間を有することから、まだまだわずかしか見られていないので全体を把握していないのですが、台帳は製造番号順とレンズタイプ別の2種類があるようです。
ただし、非常に残念なことに創業した1860年から62年までのものが消失してしまっているそうです。

わたしは製造番号15696番のレクチニアというレンズを所有していますので、試しに調べてみることにしましょう。
番号順台帳を見ていくと、ありました、このレンズは1869年9月25日製造のようです。
通常では製造年まで特定できる製造番号表は見ますが、日付まで特定できるものは市販されている有名なツァイスのもの以外思い当たりません。
販売先も記載されていますが、恥ずかしながら手書きの筆記体がわたしには読めません。
同じ日付で同じレクチニア・レンズが3本同じ人または業者に販売されていますが、これだけでは受注生産なのか、製造後卸されたのかは分かりません。

続いてレンズタイプ別でもチェックしてみましたが、レクチニアは細分化されているので見落としがあったかも知れませんが、製造番号が飛んでいることもあって見つけることができませんでした。
台帳は手書きのものを見開き2ページずつ撮影したものをPDF化しているので見やすいとは言えませんが、年代を考えると紙の台帳がよくこれだけきれいに保存されていたなと感心させられるだけのものではあります。
それがきちんと公開されているのも素晴らしいことで、所有するレンズの識別や販売されているレンズの確認用に活用していきたいと思います。

製造番号順台帳では、1865~84年(№11727~35587)、タイプ別では1863~1902年が掲載されています。
ダルマイヤーで特に人気があるセプタックやスーパーシックスなど20世紀になってからのレンズは出ていませんが、一時人気があってシネマトグラフというペッツバールタイプのレンズは一部でしょうか記載がありました。
わたしが所有する2本のペッツバールとも1861年製造のため、残念ながら消失した台帳の方に載っているということになります。
どなたかその3年分の台帳を発見してくれないものでしょうか。
【Alpha7/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
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Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(0) | 2014/04/12 Sat

美国的故事

Dallmeyer 2594 114mmF3.6
おとといのサギの作例のときに、鶴も見かけた旨記載しました。
今日の作例がその鶴だと書けば、それはサギだとクレームをいただきそうですが、クレーンは鶴という意味なのでサギには当たらないと思うのですが、こんなんでご理解いただけますでしょうか。

クレーンとかクレーン車というのはこの機械固有の名称かと思っていたのですが、鶴を英語でクレーンと言って、クレーンの恰好が鶴に似ているのでクレーンと名付けられたと知ったのは比較的最近になってからのことです。
香港で知り合った女の子の名前が、許麗鶴のような名前で、メールにあったイングリッシュ・ネームがクレーンとあったので、華奢な女の子にクレーンとは奇妙だなと調べて遅ればせながら知ることになりました。
クレーンのような大きな重機と鶴のような優雅な姿の鳥がイメージとして結びついていなかったので、わたしとしては目から鱗が落ちたように感じたものです。

話は少々変わりますが、ウクライナの問題です。
前々から書いているように、わたしは政治のことはまったく疎いですし、ブログの中では政治問題について触れない方針です。
それでもロシアのクリミア半島に対するやり口はあまりに酷いと思います。
プーチンにはずっと黒い噂が付いてまわっていましたが、ずっと追求せずにいたら大きなことをしでかしてしまいました。

ヨーロッパがアメリカと完全な足並み一致をとれないのは、天然ガスの輸出を止められることを恐れてだと報道されています。
日本が尖閣の問題で中国に対立した時は、同様にレアアースの禁輸措置を取られましたが、その後日本は輸入元を拡大したり、日本の領海からレアアースの存在を確認したりと難曲を乗り切り、逆に中国のレアアース価格を暴落させるダメージを与えてしまいました。
折しもアメリカでシェールガスラッシュで湧いている時期なので、ヨーロッパにも同様の対処ができないものかと素人ながらに考えてしまいます。

一方のアメリカについては、たまたま読んでいた本で次のような記述があって驚かれました。
それはアメリカ独立直後の話です。
テキサス州は、もともとメキシコが領有していたのですが、スペインから独立したばかりのメキシコは、開発のために国籍を問わずに入植するよう勧めていたそうです。
当時のアメリカは北米大陸の東海岸13州のみしか国土を持っていなかったため、テキサスにどっとアメリカ人が押し寄せてしまい、ついには独立を宣言してしまいます。
直後に独立したテキサスはアメリカに併合するよう求め、アメリカはメキシコと戦争まで起こし、その勝利によってテキサスばかりかカリフォルニアとニューメキシコも併合してしまったというのです。

あまりにロシアとクリミアの話にそっくりなのには驚かされますし、そんな過去がありながらロシアを非難するアメリカの厚顔ぶりには感心するほどです。
ケリー長官は、ロシアの19世紀的帝国主義は許せないと非難したそうですが、19世紀なら許せるというのは、自分たちの過去の所業は許せて、同じことを現代にやれば許されないという、自国を正当化し同時に他国を非難するという、超名言ということになるのでしょうか。
とにかく政治のことはますます分からなくなったということだけははっきりしました。
ここでも、正当だと思えたアメリカの発言にこんな背景があったとは、目から鱗が飛び出して来るのを抑えることができませんでした。
【Alpha7/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(0) | 2014/04/11 Fri

法国的太陽

Dallmeyer 2594 114mmF3.6
由比ヶ浜から鶴岡八幡宮までの参道を若宮大路と言います。
現在は路線バスも走る自動車道ですが、八幡宮までの500メートルほどは中央部分が歩行者用にかさ上げしてあって、段葛という美しい名前が付けられています。
左右に背の低い桜がずらっと並んでいて、この時期に参拝する人の眼を楽しませてくれます。
しかし、鎌倉の混雑具合からすると滅茶苦茶な混み方をしてもおかしくなさそうなものなのにそうでもありません。
たぶん、並行して走る小町通りでお土産買いながらして通る人が圧倒的に多いからでしょう。
悪名高い小町通りも、少しは役に立つのだなと感心しました。

作例で見てのとおり、提灯も並んでいますがこれがとても気になります。
明かりを灯して雰囲気を盛り上げるためのものなのか、単に鎌倉祭りの協賛企業にPRの場を与えるためのものなのか、少なくとも日中に見る限りではとても邪魔なものに他なりません。
これこそ、小町通りの方に設置して欲しいと思うのですが、いかがなものでしょう。


話は変わりますが、わたしがレンズを集め始めてからの座右の書は常にキングスレークの「写真レンズの歴史」でした。
そしてペッツバールに惚れ込んでからは、それにD'Agostiniの"PHOTOGRAPHIC LENSES OF THE 1800'S IN FRANCE"が加わりました。
同署は、ペッツバールだけを扱っている訳ではありませんが、1800年代にペッツバールと並んで、あるいはそれ以上に評価されていたラピッド・レクチニアに対する扱いはほとんどなく、ペッツバールタイプのレンズの記述が中心になっていて、特にフランスではペッツバールが主役だったことと、恐らくダゴスティーニ氏自身がペッツバールに惚れ込んでいるのだろうことを証明しているようで、とても興味深いです。

この時代のレンズに関する資料はあまり見つかりません。
恐らく、日本語によるそれは皆無に近いと言えるでしょう。
ネットでの検索では、断片的な資料がいろいろとヒットするものの、重要と思われるものがフランス語であるケースが多く(ドイツやオーストリア製のペッツバールだとドイツ語が多い)、どうにも分からないことだらけです。
ダゴスティーニ氏の本がそのすべてを回答してくれる訳ではありませんが、記載されているレンズの豊富さや刻印の字体やアドレスなどから製造年を推測するなど、欲しい情報に近付く努力が手に取るようにわかるところなどがたいへん気に入っています。

この本は、いち早くksmtさんが見つけ、著者のダゴスティーニ氏と連絡を取りあって、わたしの分まで送ってもらったのですが、それを手渡ししてもらったのが、ちょうど2年前の鎌倉でのことでした。
確かそれは鎌倉祭りのときで、この本を見ると、鎌倉のことや重たい本を取り寄せた上に持ってきてくれたksmtさんへの感謝などを条件反射的に思い出します。
本の裏表紙に写る、自慢のレンズたちを背景にお気に入りの1本を手にしながら髭のダゴスティーニ氏の嬉しそうな顔も合わせて記憶に残りました。
レンズ愛好家独特の喜びに満ちた顔に感じられます。

同書は、"Berthiot Chevalier Darlot Derogy Hermagis Jamin Lerebours Soleil"と大書されていて、この8つのメーカーが副題のようになっていますし、それぞれに1章を割り当てるかたちにもなっています。
これらが、わたしのペッツバール探しの検索ワードになりました。
Darlot, Jamin, Lereboursのペッツバールは手に入れましたが、まだあと5つのメーカーのものは探し続けるつもりです。
ところで、Soleilはフランス語で太陽の意味ですが、カメラ用語としてはフランス語のフードを意味するようで、検索するとフードがいっぱい出て来てしまい、なかなかSoleilのペッツバールを探すことは難儀しそうです。
鎌倉でSoleilを検索すると、提灯提供のフレンチレストランばかりがヒットしてしまうのでしょうね。
【Alpha7/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(0) | 2014/04/10 Thu

白鷺

Dallmeyer 2594 114mmF3.6
午後には用事があるので円覚寺は駆け足で巡り、明月院はパスして一気に鶴岡八幡宮を目指しました。
途中、同じようなルートで建長寺や八幡様をお参りしようという人がかなりの数ぞろぞろと歩いていましたが、車が渋滞していて車道におりやすいということもあって、下り坂を利用して一気にごぼう抜きして進みます。
本人は箱根駅伝気取りでしたが、歩いた車道にはときどき自転車も通ったりで、危なっかしいことこの上なかったかも知れません。

言うまでもなく、鶴岡八幡宮もものすごい人出です。
そういえばここは、初詣の人出が全国第6位だそうで、そのときに比べれば全然たいしたことではないのでしょうね。
皇居の桜が一般公開されたことがニュースになっていました、テレビで見る限り鶴岡八幡宮の何倍もの人出のようでしたので、上には上があるものです。
帰宅後家族に皇居の桜はきれいだつたかと問われて、人がすごくてそれどころじゃなかったよ、疲れた~と会話する姿が目に浮かんでしまいました

お日柄が良いのでしょう、結婚式を見ることができました。
中国人の若いカップルが結婚式だと駆け寄ってその様子を嬉しそうに見学している姿が印象的でした。
以前、中国の披露宴にお邪魔したことがあり、衣装直しあり、食事や歌で盛り上がったところで花嫁が両親に涙ながらに手紙を読む場面がありで、恐らく日本のそれを真似たのではと思いましたが、伝統的な衣装とか厳かさのようなものはありませんでした。
ふたりが、日本の伝統的な結婚式に喜びを隠せないのは無理もありません。
短期間の滞在だと思いますが、結婚式に桜と日本を満喫した彼らはとてもラッキーでした。

鶴岡八幡宮入ってすぐの左右に池があって、源氏池と平家池というのだったと思いますが、どちらが源氏でどちらが平家なのか意味があるはずですがわたしは勉強不足で知りません。
いつ行っても景色が変わる不思議な池で、蓮が一面に咲いていることがあれば、水が枯れているときもあり、ここのところはふつうに水が張られているようなのですが、右手の大きい方の池は櫻が何本か並んでいるのとその花びらが水面に浮かんでいるのとの両方を楽しめるところとして人気があります。

この日も人が何重にも集まって桜観賞する姿が見られたのですが、視線の先にあったのは桜だけではなく1羽の鳥でした。
多くの人が見守る中で立ち尽くす姿は堂々たるものです。
鶴岡八幡宮なのでもしや鶴を飼っているのではなどと想像しましたが、近づいてみればサギでした。
この場所がどうやら気に入ったようで、ときどきポーズを変えながら飛び立とうとしません。
ところで、鶴が鎌倉にいるはずはないのですが、実は、このあと思わぬところで鶴を見かけることになりますが、それは後日の作例に譲ることにいたします。
【Alpha7/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
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Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(0) | 2014/04/09 Wed

復活鏡頭

Dallmeyer 2594 114mmF3.6
今年は花粉の飛散量が少ないと言います。
確かに、通勤列車の車内を見ていると例年に比べてマスクをしている人が少ないような気がします。
とは言ってもひどい花粉症の人には、量というのはあまり関係が無いそうで、ちょっとでも飛んでるともうダメなんですと知り合いがくしゃみを連発していました。
鎌倉でもマスクをしている人はそうは多くなかったと思うのですが、円覚寺を見終わって出ようかというタイミングで、向かいから来る人が見事なまでにみなマスクをしているのが面白くてシャッターを切りました。
顔が完全露出だとブログになかなか出しにくいのですが、これだったら遠慮はいらないというところがありがたいところです。

ところで、この作例は実にシャープで鮮鋭度の高い写りになっています。
もちろん何か加工したとかという訳ではなく、写ったそのままをいつも通りにブログサイズに圧縮しているだけですが、昨日や恐らく明日以降とは違うレンズで撮ったように見えないでしょうか。
3群4枚のペッツバールは、見様によっては凸レンズを2枚並べただけのようなとてもシンプルな構成ですが、それ故にでしょうかとてもセンシティヴなところがあって、光線状態に敏感に反応します。
ちょっとした逆光でコントラストが下がってしまう失敗が多数ですが、時に今日のような得も言われぬ表現をすることがあるのが堪りません。
それは逆光に近い斜光でダイレクトにレンズに向かう光が遮られているような条件で得られる現象なのではないかと思っているのですが、こういうセンシティヴな一面を見られるのがペッツバールを使う愉しみのひとつではと考えています。

今回使用したダルマイヤーは、わたしがいちばん初めに手に入れたペッツバールで、こんなに焦点距離の短いものも存在するのかとMSオプティカルに相談してライカの距離計に連動するように改造してもらいました。
しかし、この114mmという焦点距離は、当時の距離計連動の限界を超えてしまっていたのか、しばらく使うとヘリコイドが壊れてしまい連動が効かなくなってしまいます。
フォーカシングもままならない状態でしたが、ミラーレスならどうにかなると使ってはみたものの、ksmtさんに依頼して他のペッツバールと同じヘリコイドに接続できるよう再改造してもらいました。

今回、再改造後初めて使わせていただきましたが、ライカのファインダーの90mmフレームの少し内側などと、被写体を小さくフレーミングするよりも、焦点距離分拡大されて見える一眼レフタイプのファインダーの方がはるかに使い勝手のいいことを実感しました。
ただ、MFアシストを使用しない場合のピント合わせは、未だ不慣れなミラーレスのデジタルファインダーよりも二重像合致式の方が使いやすく、簡単にこのレンズでライカはダメだと決めつけることもわたしにはできません。
M6のファインダーに1.25倍マグニファイヤーを付けた場合には、その方が良いと感じるのではないかと思っています。

今年になってから古くてより焦点距離の短いダルマイヤーを見つけたと購入してみたのですが、届いてみれば、このレンズと焦点距離がまったく一緒だったようです。
というよりは、少しだけ製造時期がずれた同じレンズということでした。
2本並べればステレオ写真が撮れるなんて考えたりもしましたが、同じレンズを2つ持っていたって仕方ありません。
どちらもフードが付いていないのですが、後から手に入れた方がガラスも鏡胴もきれいでこちらを残すべきなのかなとも考えましたが、最初に手に入れたペッツバールの思い入れも強く、考えた末にksmtさんに改造してもらったという次第です。
その際ステップアップリングと汎用金属フードも手に入れて、フードに真鍮板を貼ってもらうことで、ずいぶんと雰囲気が精悍になりました。
ksmtさんから手渡してもらったレンズを見て、恰好いいじゃんと気に入り、鎌倉で撮影してこの作例にやったと思いで、最初のペッツバールを手放すことはできないなあと改めて考えているところです。
【Alpha7/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
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Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(0) | 2014/04/08 Tue

看櫻花去鎌倉

Dallmeyer 2594 114mmF3.6
4月の消費税増税と各種制度変更で、3月はきりきり舞い(死語?)の状況でした。
今月に入ってからも多忙状態は続いて、中旬に入ってくるところでようやく落ち着きだしたかなあという感じ。
多くの方も同様に、あるいはそれ以上にきつい3月4月を過ごしているのでしょう、お見舞い申し上げたいと思います。

多忙のあまり、拙ブログの更新が遅れに遅れてしまったことはお詫び申し上げなければなりません。
これまでも遅れたりということはしばしばありましたが、集中更新でさの都度取り返してきました。
ところが、この3月の遅れは取り返しが効くような滞り方ではなく、どうにかしようという気力も失せるほどです。
日常の仕事で疲労が蓄積していくのも、投げやりな気持ちを起こさせるもので、モチベーションの低下もともなって負のスパイラルが循環していくような1ヶ月でした。

ようやく落ち着いてきたこともあって、久し振りの友人と横浜で食事する約束をしました。
昼間、山手方面で撮影散歩して、夜は関内か中華街で食事のつもりだったのですが、行き違いが起こって食事が中止になってしまいました。
仕方ないので別途用事を入れて暇になった午前中は近場を散策することにします。
はて、どこに行くか、行き先に悩んだときは鎌倉と決めていて、京都や奈良ほどではないかも知れませんが、カメラ散歩スポットが比較的近くにあるありがたみを噛みしめました。

鎌倉駅を降りて朝からすごい人でごった返しているのに驚かされました。
櫻が満開で、快晴ではないですがそこそこの天気となると、鎌倉の名所はこのようなことになってしまうのでしょう。
10時過ぎに円覚寺を出たときは、入り口に30名以上の行列ができていたほどですが、前回、真冬の午後に来た時には他にふたりほどしか人を見かけなかったのを思い出しました。
ちょっとお客さん、ちゃんと並んで! いやわたしたちは法事で来たんですよ、などというやり取りも聞こえています。

前回は人がいなくて撮るものに困ったのですが、今回はどこを見渡しても人だらけでかえって撮影が困難になりそうです。
フランス人の初老のグループがガイドを従えて参観していましたが、賽銭箱の前で仏像の写真を撮ろうとじっと動かずで、後ろにお参りの人々がつかえるというような状況になっても全然動じなかったりで撮影ばかりかいろいろなところで障害が発生しているような塩梅でした。
トラブルが起きなければいいですが。

これだけ人が集まると、お寺に参拝に来ているのと、単なる花見に来ているのと区別ができていないグループがいたりするのも困りものです。
場所を考えずに大声でしゃべり続けて雰囲気を壊すこと甚だしいです。
中国にはそういう人たちが多くいますが、日本に来た中国人に、なんだ日本人も変わらないじゃないかと思われないよう、公共の場では周囲に気遣って行動していただきたいものです。
もちろん花見会場で酒盛りしながら大声出して盛り上がることには、なんら非難することはありませんので、静かなのが嫌ならそういう場所を選んで出掛ければよいのですから。

しかし、言うまでもありませんが、皆さんの参観のマナーは素晴らしいですし、聞こえてくる言葉は歴史についてだったり宗教についてだったり、楽しみに鎌倉へ来た人たちばかりなのだなあと感心します。
外国人も多く見られましたが、そういう日本人の姿は彼らの眼にとてもよく映っているはずです。
マナーをどうこう言える立場かと突っ込みたくなるような友人のダヴィド君が来日した時も日本人のすばらしさを絶賛していました。
お坊さんをこのように撮るわたしのような存在が、マナーのなっていない日本人もいるとして外国人の眉をひそめさせていたかも知れません。
【Alpha7/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
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Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(0) | 2014/04/07 Mon

認真的眼晴

Gaudin 10cmF3.5
江戸時代に製造ながら高性能に驚かされたダルマイヤーの114mmに始まって、ソフトフォーカスの超大口径フォクトレンダー90mm、写りに問題の見られるルルブール85mm、プロジェクター用かも知れないダルロー100mm、無銘のホロレンズが実は歴史的名玉だったゴーダン100mと、わたしのもとには5本のペッツパールレンズが集まりました。
いま、6本目として入手したペッツパールはksmtさんの手許にあって、マウント増築と撮影が行われているところです。撮影結果は想像以上にすばらしいもので、レンズ性能と100数十年間の保存状態の良さがとてもよく分かりました。

ペッツパールの設計は驚くほど完成されていたようで、19世紀中ごろに生産された同タイプのレンズは構成も使用ガラスもほとんど違いがありません。
そのためか、高いレベルで製造されたレンズ同志には、想像した以上に写りに差がないように思われました。
むしろ写りの違いは、コンディションによるところの方が大きいようです。
何しろ最初の製造からすでに170年の時が経過しているのです。

そんなことを考慮しつつも、ペッツパールにもレンズによる性能差はあるはずで、そういった差異を見出していければと考えています。
上述のわたしの5本では、ダルマイヤーの性能がやや他を凌いでいると感じていますが、ksmtさんの手許のレンズがそれを上回るのではと密かに期待も持っています。

とは言え、ノンコートでシンプルな構成のペッツパールは、ちょっとした撮影条件の変化で大きく写りが違ってくるというセンシティヴさを秘めています。
逆光では激しくコントラストを下げますが、うまくハレ切りできれば魅力的な逆光の画になり、その中間の写りということも当然ありうるので、常に安定してベストの状態で撮影できているとは言えず、単純にレンズの比較ができないのが実情となると、ち密な比較調査が必要となるでしょう。

また、ボケについても特に中間距離でのペッツバールのそれはとてもきれいと言えるものではありません。
周辺では、ぐちゃぐちゃになってしまいます。
ほーとレイトでは、今日の作例のように背景を溶かしてしまえば問題なくなります。
各レンズにはF値の差がそれほどないので焦点距離の違いを加味しながらポートレイト等に適切な距離を計測したいと思います。

さて、作例に戻りますが、前にも書いたようにミラーレスカメラで100mm以上の望遠を使って動くものを撮るのはなかなかのたいへんな作業です。
後方のボケを溶かす作例を1枚はものしたいと考えていたので、接近戦でのピントはさらに困難を伴います。
この作例は2枚目か3枚目だかのものですが、比較的ゆっくりな阿波踊りの歩調でも目の前を通り過ぎるのはほんの一瞬のことなので、意図も簡単にピントが合ったのは奇跡のようなものです。
置きピンにすればと考えますが、同じ位置を通ることはありませんでしたので、それでもやはり幸運に期待しなければならないでしょう。

数メートル以内のものでピントが合ったのはこれ1枚きりでした。
このくらいで撮ったものには、一瞬を切り取ったような緊張感もいっしょに写り込んでいるような気がしてなりません。
彼女が目を開いている瞬間だったのも幸運だったと言えるでしょう。
ビールがとても美味しく感じる見ているだけで暑い黄昏時でしたが、踊る方はもっと暑くてたいへんだろうと思っていたのに、意外なほどに涼しげな表情をしているのに気付かされた作例になりました。
【X-E1/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(4) | 2013/08/06 Tue

这条路最好的

Gaudin 10cmF3.5
今日の作例は、徳島ではなく、地元の大和阿波踊りのものです。
7月27日・28日と大和駅周辺の道路を通行止めにして行われた、参加団体30を超えるなかなかの人気イベントです。
人気というのは、参加者だけでなく見学者もかなりの数が繰り出しているからで、わたしも見に来たのは2度目ですが、見物しているだけでも意外にけっこう楽しめる催しと言えます。

子どもの頃、夏休みの地域的な活動というと、町内会レベルでは朝のラジオ体操と夜の盆踊りを思い出す程度です。
あとは自治体主体の花火大会くらいなものでしょうか。
もう大昔のことと比較してはいけないのかも知れませんが、今では、毎週末にさまざまな地域であまりさまざまでないイベントが開催されています。
どこを見ても、よさこい、エイサー、どんたく、サンバ、それとこの阿波踊りくらいなもので、7月8月は毎週末このどれかのイベントが関東だけでも複数開催されている盛況ぶりです。

本来が地域に根差している踊りをまったく違う土地でやって意味があるのかという否定的な意見も多くあるようです。
それはそれで一理ある考え方なのでしょうが、こと阿波踊りに関しては動きがあまりにユーモラスで、現代のダンスの洗練とは対極にある恰好を見るにつけ、お年寄りや子供でも気軽に参加できてそれこそ観衆が飛び入りすることもゆるされるところから、熟練の腰の座った幻術的踊りまで実に奥の深い世界が素人にも感じられて、参加してよし見てよしの類例無きスタイルを確立していると思えてなりません。
老若男女みんながみんな楽しんでますというチームがやって来ればば微笑みとともに見る側も楽しめるし、我々はこの日のためにたゆまぬ訓練の成果を見せるんだというチームにはそれを感じ取って大きな拍手を贈れる、そういう分かりやすさが好いかたちになったイベントと評価したいと思います。

大和阿波踊りでよいところは、会場が数か所あって駅付近では大勢の見物客で盛り上がっているのに対して、離れていくにつれて人もまばらになってじっくり見物できる場所に居座ることもできるということです。
人の多いところの方が熱気による相乗効果でより熱いパフォーマンスを愉しめるかも知れませんんが、わたしははずれでのんびり見る派です。
ちょっと奮発してコンビニでロング缶のプレミアムビールを買い、地べたに腰を降ろします。
ビールはちびちび飲んで、飲み終わったら潮時と退散することにしていました。
終わりまでいると帰りの電車が混雑しそうですし、7時以降は暗くなって、今回唯一持参したペッツパールレンズでの撮影には不向きだからです。

みんな歩道に用意された椅子や自ら持参した折り畳み椅子に腰掛けて見物しているので、撮影はちょっと前に乗り出すだけでよく、X-E1に100mmレンズを付けて動きのあるものを撮るよい練習になります。
しかし、時おり動きの激しいチームやユニークな動作で湧くシーンなどでは、みんなよく見ようと立ち上がってしまい、こうなると撮影は厳しくなります。
でも作例のように立っている人が映り込んでいるということは、パフォーマンスが盛り上がっているという証拠でもあるので、あえてそういう写真を作例に持って来ることにしました。

人物撮影用レンズながら無限遠あたりでも好い描写をすることが分かりますし、前ボケの具合も見て取れるので作例写真としては好適といえるでしょう。
とはいえ、この阿波踊りだけ手で1週間作例を出し続けるのはつらいものがあります。
1日のブログで阿波踊り写真を7枚並べることになんら不自然さはありませんが、7日間1枚ずつ出していくと途中からしつこくなってしまうでしょう。む
何か周辺の模様を混ぜ込むなど工夫をすればよいのですが、今回はこの位置以外で何も撮っていないので、明日の作例で阿波踊りシリーズ完了予定です。
【X-E1/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(0) | 2013/08/05 Mon

没名字的

M8/Dallmeyer 114mmF3.6
大鵬所城での最後の写真もペッツパールの作例です。

風変わりな帽子の女性ですが、実はこの帽子、わたしのブログにはすでに数回登場しています。
深圳とその周辺に多く住む客家女性の伝統的な帽子なのです。
直径50センチくらいのザルのような円盤の周囲から15センチくらいのひだひだのキレが下がった、他では見たことのない形状をしています。
少数民族の民族衣装のようにもはやお年寄りしか被らなくなってしまいましたが、夏涼しく冬温かい機能的なデザインで一度使うと手放せなくなるアイテムという話でした。

ところで、フレーミングがあまりにも失敗していますが、ライカには残念ながら114mmというブライトフレームがないので、動きの速い被写体でピント合わせに精いっぱいとなることで往々にしてこういうことが起こります。
と、言い訳しても仕方ないですが、この位置のまま縦で撮っていればフレーミングはばっちりだったのにと気付きました。
望遠は、被写体のポジショニングにさえ気を使えば、フレーミングはそれほど問題とならないケースも多いですが(昨日の作例なんてそうだと思います)、逆に失敗すると目も当てられません。

他にもこのレンズならではのことを書くと、大きな特徴として絞りが付いていないことがあります。
ペッツパールタイプのほとんどのレンズの絞りが、ウォーターハウス絞りを採用していました。
ウォーターハウス絞りとは、レンズ鏡胴の隙間に穴の空いた金属板を差し込むタイプの絞りで、大きさの違う穴の開いた板がレンズに何枚もセットされています。
この穴の大きさで絞り値が決まるのですが、このレンズには絞りが付いていませんでした。

わたしは開放のみで撮っていれば満足できるので、必要性を感じていませんでしたが、絞ったときの変化を見たくないかと言われれば、これはぜひ比較してみたいと思います。
ウォーターハウス絞りの入手は簡単ではありませんが、なんならボール紙で自作することもできるので、これは試す価値が十分にあると言えます。

付いていないと言えば、絞りどころか、このレンズには名前がありません。
ダルマイヤーというメーカー名とロンドンという地名、それにシリアル番号が刻印されているだけです。
一般にこの時代のペッツパール型のレンズは、そのままペッツパールと呼ばれますが、ペッツパールとはレンズを設計した人の名前であって、レンズの名前ではありません。
オリジナルのペッツパールの設計したレンズも人物用レンズと呼びましたが、正式名はなかったと思われます。

ペッツパールと覇権を競ったシュバリエは自身のレンズをフォトグラフ・ア・ヴェール・コンビネ・ア・フォワイエ・ヴァリアーブルと呼んだそうですが、可変焦点距離の組み合わせレンズによる写真術という意味だそうですので、それはレンズ名というよりも、用途とか目的といった方が近いようです。
その後、ラピッド・レクチリニアのようなはっきり名前の付いたレンズでも、鏡胴に名前が刻印されないのが一般的だったようで、レンズに名前が付けるのが普通になったのはいつか、それがきっちり刻印されるようになったのはいつのことなのか、確認してみるのも面白いかも知れません。
【M8/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(2) | 2012/02/10 Fri

快巴的故事2

M8/Dallmeyer 114mmF3.6
フォクトレンダー、ダルローそしてダルマイヤーと3本のペッツパールを同時に登場させたksmtさんに触発されて、大鵬にはペッツパールを持って行きました。
わたしのものもダルマイヤー製で、日本で言えば江戸時代にあたる1861年の製造です。
1世紀半も前のたいへん古いレンズですし、何よりよく写るので、望遠の中では比較的よく持ち出すレンズになっています。

ボケも美しいレンズなので、今まではほとんどが近距離の作例でしたので、今回は無限遠でのものを出すことにしました。
作例を見ると、左下の隅がやや怪しくなっていますが、それを除くとペッツパールの弱点である像面湾曲の影響も感じられないすばらしい写りを見せてくれます。
否、像面湾曲ということでいえば、右下の植物が手前にあるはずなのにピントが合っているのはその湾曲が原因かも知れません。
昨日まで使っていたリュオ・キノとはまったく共通点はないと思っていましたが、像面湾曲つながりの2本だったのです。

スペックの近いレンズを探すとコンタレックス用のテッサー115mmF3.5というのがありました。
ベローズを使う特殊なレンズのようでネット上で作例を見つけることができませんでしたが、1962年発売とほぼこのペッツパールから100年後のテッサーがどれほどの進歩を遂げているのか見てみたいものです。


さて、先日に続き、帰りのバスでもトラブルがあったので、そのことを書いておきたいと思います。
大鵬のバスターミナルまで出て、行きと同じバスの乗り場に着くとすでに十数人の人が待っていました。
バスは大鵬から先の海水浴場で有名な南墺が始発のため、乗り切れない可能性があります。
そこで、少々せこいですが、後ろドアから乗り込むべく下がって待つことにしました。
ほどなくバスはやって来ましたが、前のドアしか開きません。
考えてみれば、両方のドアを開けては席取り合戦になって混乱するので、そうするはずはなかったのでした。
あわてて前方に並びましたが、あとふたりというところで座席が埋まってしまい乗車できませんでした。

やはり真面目に並ばないといけません。今度は3番目なので間違いなく乗れるでしょう。
10分後バスは到着しましたが、その前に別の行き先のバスが停まったため、わたしが乗るバスはずっと手前に停車してしまいます。
あれっと思う間もなくその場でドアが開いたため、列の逆側から乗り込むという状態です。
ちゃんと並んでいた人から怒りの声が上がりましたが、定員になるとバスはそそくさと発車してしまいました。

結果的に待つ位置が裏目裏目です。
次のバスはなんとしても乗らなくてはいけないが、このまま前方で待つか、ひんぱんに別のバスが発着するこのバス停では後方が得策か、どちらにしてもギャンブルです。
どうすればよいか、わたしの答えは、その中間で待つ、でした。
その後も人が少しずつ増えましたが動ぜずに中間位置を保って待つことまた十分、現れたバスは別のバスの後方に停まりました。
予期できていたことなので、停まるやいなやするすると前へ躍り出て、3本目にしてようやくバスに乗ることができました。

俗に言う割り込みですが、もし文句を言われれば、わたしはすでに20分も待っているこの中ではいちばんの古株だと自虐的に言うつもりでしたが咎める者はいません。
中国では、乗り物の乗車に対して、早い者勝ち乗った者勝ちの伝統がありますので、敗者はうなだれるより他ありません。
わたしにすれば、いくら中国でも普通なら恥しくてとてもできることではありませんが、2回の失敗がわたしを中国人に変えたのです。
【M8/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(0) | 2012/02/09 Thu

志村的建築

M8/Dallmeyer 2594 4 1/2inchF3.6
バイクにまたがること数分、到着したのは入り組んだ路地に忽然と現れた古建築でした。
黄さんが大声で呼ぶと女性が出てきて、わたしを友達だと紹介し、わたしには女性を母親だと紹介してくれました。
彼がもっとすばらしいところと言ったのは、実家だったのでした。
確かに古く立派な家ですが、自画自賛してしまうのがさすがです。

そういえば、ここへ来るまで会う人会う人に、声をかけていましたが、きっと彼は村の名士であって、幼ななじみだったり、世話になったおばさんだったり、弟分だったりで、みな親戚のように親しい間柄なのでしょう。
実家を丁寧に案内してくれたあと、用事があるので戻らないといけないと言ったとき、万一何かあれば、わたしの名前を言えばみんな知っているから助けてくれるはずだし、それでダメならここに電話をしてくれと名刺を手渡してくれました。
体ががっちりしていて短髪なので、一見すると怖い人のように見えますが、実際に怖い人なのかも知れませんが、実に世話好きで頼りになる人です。
再会の機会があることを信じたいです。

黄さんはこの家から見て歩けばいいだろうと言ってわたしを降ろして立ち去りました。
その古建築も黄さんの家とそっくりの作りです。
外観の写真を撮っているとバイクに乗った青年が来ました。
どうやらこの家の人らしく、あいさつするとよければ中を見ていってくださいと案内してくれます。

去年結婚したばかりだという奥さんも出てきて、並んで見て歩きましたが、見れば見るほどそっくりです。
その青年、潘さんは大学を出た後地元の会社に勤めているそうで、英語もできるので会話がスムーズです。
しかし、彼にゴーゴーマポを見ると面白いですよと言われて、何のことかさっぱり分かりません。
何度聞き返しても分からないわたしに業を煮やして、手を引いて彼の部屋に導きました。
それは、グーグル・マップのことで、中国から撤退したはずのグーグルは中国語風英語でゴーゴーと発音するのかとやっと合点がいきました。

グーグルマップのどこが面白いかと言えば、どんどんと拡大していってこの僑郷に持ってくると、まさしく今いるこの古建築がはっきり分かるのです。
今いるのがここ、あと同じような建物が、ここにもあそこにもと示してくれ、驚いたことに同じ形の家がざつと15以上は見てとれます。

さて、その古建築ですが、形状があまりにも特徴的です。
まずおとといの写真を見ていただければ分かりますが、正面は中国の祠堂そっくりの立派な建物と左右にふたつずつ横向きになった建物が見えます。
ちなみに、これは黄さんの実家で、木陰にいる人は、カメラを構えたらちょっと隠れてしまったシャイな黄さんのお母さんです。

続いて昨日の写真ですが、これは部分なので分かりにくいですが、家の後部は半円になっていて、中央が高く盛り上がったような立体的な形状です。
写真は、潘さんのおばあさんが、野菜などを運搬するための天秤棒を井戸の水で洗っているところです。

そして今日の作例ですが、これまた別の家なのですが、やはりほぼ同じ形状をしています。
正面前方はフラットですが、後部が弧形で尻上がりになった全体像がなんとなくお分かりいただけるのではないかと思います。
以前に紹介したことのある客家円楼は完全な円形で、多くが2階建て、3階建てになっていますが、半分はこの客家円楼とそっくりです。
僑郷の古建築は、オーソドックスな祠堂タイプの古建築と客家円楼のハイブリッド建築なのかも知れません。
東京光学のシムラー5cmF1.5レンズは、前群がダブルガウスで、後群がゾナーという構成になっていることを思い出してしまいました。
【M8/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(0) | 2011/02/17 Thu

金牙与紅髪

M8/Dallmeyer 2594 4 1/2inchF3.6
雨は依然上がりませんが、祭りは始まったようです。
まずはお囃子の楽隊が先陣を切って歩いて行きました。
獅子舞が後を追います。
続いて神輿が。
しんがりは神馬の一行です。

高台にある神社で待っていると、お囃子に続いて見られた獅子舞がユニークでした。
わたしの獅子舞のイメージは、ふたりが唐草の中に入って獅子の口をぱくぱく動かしながら舞い踊るというスタイルです。
中国式はもっと大掛かりですが、やはり人が獅子の胴体に3人入っています。

この祭りの獅子舞は、大きな屋台車です。
中から人が操作して鐘を打ちながら、獅子を舞わします。
高い位置で舞うので、スケールの大きな獅子には威圧感が感じられます。
じっさい、小さな子どもはびっくりしたような目で、腰を引きながら見ている様子でした。

奈良井宿の家並みを背景に、この獅子舞を写したつもりですが、フレーミングが見事に失敗しています。
金色の歯並びと赤い剛毛から、獅子の顔を想像してみてください。

フレーミングがうまくいかなかったのは、114mmという焦点距離のレンズをM8の90mmのブライトフレームで適当に撮ったからということになります。
T氏夫妻と持参するレンズについて話していた時、広角、標準、望遠という組み合わせでもよいという話になり、歴史ある奈良井宿を撮るために1本は歴史的なレンズを持ち出したいという思いがありました。

たびたび使っているこのレンズを再紹介します。
1861年製造のダルマイヤー社の古い真鍮レンズです。
レンズ名はなく、ただ"J.H.Dallmeyer No.2594"とだけ手彫りの刻印があります。
この2594がシリアル番号で製造年が特定できます。
ただ、ダルマイヤー社の創設は1860年とされていますので、少し不自然なような、あるいはいきなり創設と同時に年産2000本以上の大量生産を達成していたのでしょうか。

焦点距離とF値は実測値によります。
レンズ構成が3群4枚のペッツパールですので、F3.6というのは一般的ですが、114mmという焦点距離はかなり短めです。
そのため、MSオプティカルでの精巧なマウント改造を経て、ライカに距離計連動するレンズとして、新しい生命を吹き込まれたことになります。

ペッツパール型は軽量ですが、長くて焦点距離もやっぱり長くて、フレーミングも正確にはできない使いにくいレンズです。
しかし、150年の時を経て再生してもらったレンズを使うことには、通常味わえない快感があります。
レンズ趣味のひとつの究極を感じることができるからです。
【M8/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(1) | 2010/08/14 Sat

去了奈良井旅遊

M8/Dallmeyer 2594 4 1/2inchF3.6
今日、12日、木曽の奈良井宿に行って、いま戻って来ました。
夏祭りを見に行くためです。
交代で夏休みをとるわたしの勤務先ではお盆休みはありませんが、さいわい残っていた代休を利用して日帰りしてきました。

2名の同行者がいます。
散策会でいつもお世話になっているTご夫妻です。
Tさんは祭りや街撮りで特に人物を撮影したら天下一品の方で、奈良井宿には何度も足を運んでいますし、夫人も写真学校を出られたたいへんな写真技量の持ち主ですから、おふたりにくっついて歩くだけでとても勉強になります。

ですから、正確にはふたりは同行者ではなく、よちよち歩きのわたしの手を引いてくれる幼稚園の先生のようなものです。
足手まといになるだけのわたしを、ぜひ奈良井の夏祭りの良さを体験して欲しいとお誘いいただいたご夫妻には、感謝の気持ちでいっぱいです。

さて、奈良井は長野県でも木曽地方ですから、少し名古屋よりの南信州という位置にあります。
東京方面からは直行できません。
中央線で塩尻まで出て、中央西線の各駅停車に乗り換えて奈良井駅で下車します。

この各駅停車がなかなかやってきませんでした。
7時に新宿を出発するスーパーあずさ1号で9時半には塩尻に着くのですが、接続の電車は10時50分となっていて、この間ひたすらホームで待つしかありません。
そのうち、1時間遅いあずさ3号が到着してしまって、なんだ8時新宿発でもおんなじだつたんだと気付く始末です。
こんなおっちょこちょいな感じの旅がまた愉しいのですが。

そうやって奈良井に着いたのは、もう11時20分ほどでしたが、ありがたいことに奈良井宿の有名な木造建築の町並みは徒歩1分の至近にあります。
ここでまたバスに乗ってとか徒歩20分とかなると、どっと疲れが吹き出してしまいそうですが、奈良井宿は日本有数の古鎮ながら、これほど交通至便な古鎮は世界広しといえどもここだけでしょう(いやなかなか電車が来なくて、こんなに交通不便なのかと顔を歪ませていたのを忘れていました)。

旅のイントロダクションとしては、もう1つだけ書いて終わりにしたいと思います。
天気についてです。
猛暑日が連日続いて、長野盆地もかなり厚いのだろうなあと覚悟していたのですが、着いてみると何と寒いくらいなのです。
冷え症だという夫人の方は、あまりの寒さに駅でホットの缶コーヒーを買ってカイロ代わりに体に付けて暖をとるような状態でした。

実際には25度以上あったのでしょうが、前日までの暑さとの落差が激しく体が順応できなかったのと、山間を吹く風が思いのほか冷たかったこと、それに降ったりやんだりの雨も寒さを感じさせる一因でした。
そうなのです、昨日危惧したとおり、ほぼ1日雨模様に近い天気になってしまいました。

やはりわたしは雨男ということのようです。
後日報告しますが、夕方、それを証明するに十分な出来事も体験しました。
もし、撮影旅行など企画されているようでしたら、ぜひわたしもお誘いいただけないかと期待しますが、それが大切な撮影であれば、わたしには声をかけない方がよろしいかも知れません。
【M8/Dallmeyer 2594 114mmF3.6 F3.6】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer 2594 114mmF3.6 | trackback(0) | comment(0) | 2010/08/12 Thu
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