盛暑詞候

M8/Fujinon L 5cmF2
手もとにクラシックカメラ専科№44"特集 富士写真フィルムのカメラ"があります。
タイトルのとおり、フジのカメラが網羅されていますが、残念ながらライカ・マウント交換レンズの説明はありませんでした。
6×6のスプリングカメラや一眼レフ、プロ用の645カメラ等の立派なラインアップはありますが、フィルムやらコンパクトカメラやらが誌面の大半を占めてしまっています。
資料としてはすばらしいですが、ここまで載せるならレンズにももっと光をあてて欲しかったとも思われます。

時間がなく、今ぱらぱらとめくっただけですが、設立に関しては簡単に引用させていただこうと思います。
富士写真フィルムは、戦前、大日本セルロイドが、セルロイドの需要を高めるため、映画用フィルムの国産化をめざして設立された会社です。
大量の良質な水ときれいな空気が必要とされたため、工場用地の検討がおこなわれ、箱根外輪山に位置する南足柄の地が選ばれています。

続いて、やがては写真関連総合メーカーとしての発展をめざして、光学工場が近隣の小田原に建てられます。
しかし、太平洋戦争に突入したことで、民生用のカメラやレンズの製造はできなくなり、軍用光学機器
製造することで、恐らくは光学技術を大幅に高めたものと思われます。
それが、戦後スプリングカメラの製造から始まって、1954年の Fujinon 5cmF1.2 という高性能の大口径レンズに繋がってったのでしょう。
このあたりは、わたしが神奈川県民として誇れる大きなひとつです。


さて、昨日の写真館のすぐそば、龍口寺にやって来ました。
ここは、以前にも紹介したことがありますが、鎌倉や江の島から近く、日蓮にゆかりがあって建築物がすべて素晴らしいにもかかわらず、なぜか訪れる人が多いとは言えない、静かな穴場的な存在です。
美しい五重塔がありますが、ずっと待っていても訪れたのは写真の女性ただひとり、何とももったいない話に感じます。

ややくもりのある Fujinon L 5cmF2 には少し厳しい条件でしたが、暗部の木組みが何とか再現されていて好ましい描写と言えます。
この女性も、あいさつを交わしてくれる明朗な性格で、せっかくですから話しのひとつでもできればよかったのですが、時間がせまっていたこともあり、そのまま帰路に就くことになってしまいました。


まだ梅雨明けして数日。
夏休みだなんて言うと、なんと気の早いとお叱りを受けてしまいそうですが、今日から1週間ほど早めの夏休みを取ることにいたしました。
その間、ブログの方もお休みをいただくことをお許しください。

これまた少し早いですが、暑中お見舞いのご挨拶に代えさせていただきます。
どうぞ、お体に気を付けてお過ごしください。
【M8/Fujinon L 5cmF2 F2】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Fujinon L 5cmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2009/07/17 Fri

奥林巴斯的山

M8/Fujinon L 5cmF2
ノンライツ・ライカ・スクリューマウント・レンズはライカの誕生とほぼ同時にあまりに多くの数が作られ、それは現在でも続いています。
いったい何種類あるのでしょう。
きっと数えた人は多いのでしょうが、何種類あったという報告は聞いたことがありません。
よくあるプロトタイプ、設計はされてるが製造されたかは不明、途中から設計が微妙に変わったといわれるが詳細不明等々、どうカウントしていいか分からないケースは多数あります。

ボディ中心の記述ですが、ノンライツ信者のバイブルと言える"LEICA COPIS/HPR"には368種のレンズが掲載されています(紅旗用のMタイプのものもあり)。
これでも明らかに漏れているものがあり、当然現行のレンズなども入ってませんので、不完全といえば不完全です。
これを補完するという動きはあってもよさそうですが、あまり聞かないところ鑑みると、どうもノンライツ完全化というのは聖域のように考えられているのかも知れません。

わたしにとっても、ノンライツに関する聖域と呼べそうなものがあります。
例えば、ノンライツの王者とも言うべき Hugo Meyer ですが、名玉である Kino-Plasmat や Makro-Plasmat の純正のスクリューマウントレンズは見たことがありません。
入手は難しいでしょうが、いつか触ってみたい、いえできれば使ってみたいものです。

国産ノンライツの聖域は、オリンパスがあげられます。
有名な Zuiko C.4cmF2.8 こそ所有していますが、それ以外にも
・5cmF1.1
・5cmF1.5
・5cmF3.5
・9cmF4
・13.5cmF3.5
の少なくとも5本の Zuiko レンズが存在したことが知られています。
恐らくは、オリンパスを名乗る前の高千穂光学時代のレンズのはずです。

"世界のライカレンズPart4"の巻末にその5cmF1.5が紹介されています。
Kino^Plasmat によく似た鏡胴デザインで、残念ながら作例はありませんが、文章からはなかなかの特徴を持つレンズだということがうかがえます。
ノンライツ全制覇は、到底不可能ですが、このレンズを探すのは今後の目標に据えても許されるでしょうか。


さて、作例ですが、江の島裏道から桟橋を戻り、江の電の江の島駅から少し腰越駅の方に歩いたところです。
ちょうど囃子の音が聞こえてきて、近いなと思い、有名な古い写真館の前で待ち伏せしました。
島の中でもお祭りの準備をしてまたが、島の中の神社と腰越の神社が合同でおこなう、伝統的な祭礼のようです。

こんなところで、カメラを構えて待つと、みんなそっぽを向いてしまいます。
角度を工夫し、ささっとスナップする術で対応すべきでした。
【M8/Fujinon L 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Fujinon L 5cmF2 | trackback(0) | comment(1) | 2009/07/16 Thu

露地的珈琲庁

M8/Fujinon L 5cmF2
2日続けて、新しく買ったレンズの話しを書きました。
実は、もう1本密かに購入していまして、今日はそのことを書こうか迷いました。
これも国産ライカ・マウントです。
このレンズは国産ノンライツのどん詰まりにあるようなレンズだからと聞いてしまったので、安易に出すのが躊躇われ、今回はやめることにしました。
もったいぶって恐縮ですが、来月には使ってみて、"秘宝館"として紹介させていただければと考えています。

なぜ立て続けにレンズを3本も買ったかと言えば、夏季一時金が出たからにほかなりません(わたしの会社では夏のボーナスをこう呼び習わす)。
従来であれば、海外のショップに目を向け、少々高価でも普段買えないようなもの、掘り出しものを探していました。
ですが、昨今の大不況や円高による割安感があるはずにも関わらず、そういった物件が激減してしまっています。

激減したというよりも、相場がばーんと跳ね上がったと表現した方がよいでしょうか。
その理由までは書きませんが、間隙を縫って超掘り出し物を発掘するか、そんな根性がなければ今は静観の時期のような気がします。

一方で、割安感を得られるものもあることに気付きました。
それが、国産ノンライツ・レンズ群です。
美品こそまだ値上がっているようなのですが、ちょっとしたキズがあったりなどという玉は、かなりの格安で市場に現れています。

これを機会に国産ノンライツ再見直しなんてやってみたのですが、意外にも国産レンズの方が資料が少ないことに気付きました。
おそらくこれらは、カメラ雑誌などで特集化するなどすでに取り上げられてしまっていて、何を今更という状況ということなのでしょう。
ならば、まずは自分で使ってみようということです。


今週の作例は、自転車で江の島までやってきた時のものです。
参道やら土産物屋の江の島ではなく、裏通りの江の島ともいうべきところで撮っています。
手作りケーキがウリのこの喫茶店は、1月に ksmt さんと訪れてましたが、今回はお祭りがあるようで、残念ながらお茶を飲むこともできませんでした。

白主体の地味な絵ですが、強いハイライトになることもなく落ち着いた諧調を表現していると思います。
色味は渋めのようで、派手なシネ系レンズに見慣れると新鮮な気がします。
また、中央部は距離があるにも関わらず立体感があるように見えるのは、少しエコひいきでしょうか。
絞り羽根欠落のショックからは、じゅうぶんに立ち直ってしまいました。
【M8/Fujinon L 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Fujinon L 5cmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/07/15 Wed

又買別的

M8/Fujinon L 5cmF2
先週末、香港からの友人 Checkie さんと会っていたとき、ノンライツRF友の会のメンバーは某所で会合を開いていました。
ゲストに写真工業前編集長の市川さんを招いていて、かなり濃密な内容だったようです。
さらには、クラシックカメラ関連の本をものされている写真家、萩谷さんも参加されたと聞きました。

萩谷さんは、国産ライカ・マウント・レンズ研究の大御所とも言える方で、その萩谷さんこそが、市川さんが編集された"世界のライカレンズ Part2"の中で、Fujinon L 5mF2 の記事を書かれてます。
ライカ・マウントのフジノンに関する資料を見つけることができなかったわたしにとって、この萩谷さんの記事はたいへん貴重なものです。
恐縮ですが、少し引用させていただきます。

フジノンのライカ・マウントといえば、5cmF1.2 があまりに有名ですし、国産大口径レンズの中では性能の高さでも定評があります。
わたしは、5cmF2 の方が先に開発されて、それを改良するかたちで、5cmF1.2 が開発されたのかと思っていました。
しかし、驚くべきことに、5cmF2 は1957年秋の発売に対し、5cmF1.2 はそれに先んじること3年の1954年にすでに発売されていたということです。

フジでは、ライカ・マウント・カメラを製造していません。
5cmF1.2 についてははっきりしたことは分かりませんが、ライカ・マウントの交換レンズとして発売されたということなのでしょう。
一方、5cmF2 は、レオタックスの標準レンズとして供給されていたとのことです。
しかし、発売からわずか半年後の1958年春には、標準レンズの座はトプコールに奪われてしまいます。
奪われたというと言い過ぎで、まあ何かの事情があって変更されたということのようですが。

この約半年の間にレオタックスの標準レンズとしては Fujinon L 5cmF2.8 も同時に販売されていますが、その2本のレンズが単独で売られてたという記録はないそうです。
レオタックスがかなりの売れ行きだったとしても、半年の販売では、この両フジノン・レンズの製造量はかなり少ないものと想像されます。

そんなこともあって、今回 Fujinon L 5cmF2 を少々強引に購入したのですが、性能自体の高さはよく理解することができました。
そこで、気になっていた 5cmF2.8 が新宿某店に売られていたのを思い出し、今日、見に出かけました。
これもかなり安い出モノで、見ればやはり前玉に拭きキズがありましたが、5cmF2 ほどではありません。
何より当然ですが、絞り羽根は全部揃っています。

即決できず、優柔不断モードが働きはじめました。
ここで店員が背中を押してくるでしょう。
と思えば、店員ではなく意外な伏兵が現れました。
店長と何やら話していた人がいきなり声をかけてきたのですが、それが何と1年近くも会っていなかったカメラの先輩だったのです。
久しぶりの再開でしたのですっかり話し込みましたが、ここで会うも何かの縁だからと、屁理屈一閃、レンズは持ち帰りの運びとなりました。

とまあ、たかだか中古レンズ1本買うのに、ブログ全編を費やしていますが、いろいろな人とのご縁が交錯して手元にやってきたという気分でいます。
なお、文末で恐縮ですが、フジノンの前身のライカ・マウント・レンズ、クリスター 5cmF2 の"世界のライカレンズ Part4"の記事は、ノンライツRF友の会主宰のチャーリーさんの手になるものです。
【M8/Fujinon L 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Fujinon L 5cmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/07/14 Tue

自爆物語

M8/Fujinon L 5cmF2
誰が呼んだか知らないけれど、黄色い手榴弾という別名を持つカメラ屋さんがあります。
意味あり気な呼び名ですが、先日この手ごわいネーミングの意味を痛感させられることになりました。

銀座に用事があった帰りに、久し振りに黄色い手榴弾に寄りました。
行き先は、中古の委託品売り場ですが、行ってもまず買い物をすることはありません。
しかし、その日はちょっと珍しいレンズが、かなり安い値札を付けていたので見せてもらうことにしました。
やはりと言うべきか前玉に拭きキズが多く、中玉にもわずかにクモリが見てとれます。
それでも価格を考えると、たとえばオーバーホールやレンズ研磨で再生できるのだし、やはりお得感があるように思われました。

そこへ、店員がそっと背中を押します。
この程度のキズやくもりは写りには影響ないですよ。
それに、このレンズは今日値下げされたばかりなんです。
ね、安いでしょう…。

結局、持ち帰ることになったレンズは、Fujinon L 5cmF2 というフジノンのライカマウント・レンズです。
超大口径の F1.2 ではありません。
クセノタール・タイプの隠れた名玉の F2.8 でもありません。
書籍やネットでもそれほど見ない、忘れられがちな F2 です。
どんなレンズか予備知識がなかったので、逆に興味津々で手に入れたという側面もあります。

もちろん喜々として帰宅します。
週末は、これ1本持ってテストに行こうと考えるのも楽しくなります。

帰宅後、あらためてレンズを見直して驚くべき事実に気付きました。
いや、気付くのが遅すぎたと言うべきか。
絞り羽根が1枚なかったのです。

そういえば、今日値下げしたということは、長らく売れずに置かれていたということです。
多くの人が見たものの、レンズ状態と絞り羽根欠落に購入意欲をそがされたレンズを喜んで持ち帰った。
そそっかしく情けない話、いえ、これぞレンズ愛好家のとるべきすばらしい行為と言えるでしょう。
みんなが敬遠する名玉を復活させようというのですから。
どうせ開放しか撮らないから絞りは関係ないし、だいいち写りには影響ない状態なんだから…、あっ、作例の右下の白い貼り紙のところが滲んでいる!

銀座で安全ピンを抜き、自宅でドカーン。
誰が名付けたか、黄色い手榴弾とは、なんとすばらしい名前でしょう。
【M8/Fujinon L 5cmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Fujinon L 5cmF2 | trackback(0) | comment(8) | 2009/07/13 Mon
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