中野的木桶

M8/Planar 50mmF2
昨日、日曜は、東京では梅雨前最後の好天気、かつ気温もそれほど高くならないという、絶好の撮影日和です。
メンバーの中に、そうとうな晴れ男(女?)がいるということでしょう。
そういうわけで、月例の散策会があって、ゲストも多数参加で中野近辺を歩いてきましたので、そのときの写真を何枚か出させていただきます。

中野は新宿から近いので小田急沿線在住のわたしにはアクセス便利ですが、なにがあるのかがよく分かりません。
サンプラザがありますが、スカイツリーのようには撮影の対象になるものか疑問です。
あと、お宅の殿堂みたいなビルもあったはずですが、紳士淑女の散策の対象になるはずがありません。
他に何かあるのでしょうか、あるからこそ中野になったと思いますのでこれは楽しみにすることにしましょう。

しかし、毎度いつものことですが、この散策会は撮影よりもおしゃべりが、というよりいつもわたしは聞き役ですが、メインとなってなかなか写真を撮っている暇がなかったりします。
しかし、これはよくよく考えてみると、多くのメンバーがローライクラブにも所属しているので、ロールフィルム1本ないしは2本を1日かけて撮る感覚だとすれば、皆さんこのくらいのおしゃべり時間でちょうどよいのかも知れません。

ここぞという時に集中して撮影、それ以外の時間は和気あいあいとおしゃべりを楽しむ。
デジタルだと枚数に制限がありませんので、しゃかりきになって何枚も何枚も撮影しようとしがちですが、ここは中判カメラを扱う気持ちでやろうよと教わるような気持ちです。

さて、中野駅の北口からいかにもごみごみしたような小道を進んでいくと飲食店街が広がっていました。
駅前から飲食店がたくさんあるのは当たり前ですが、狭い路地に小店が延々と続くさまは、早くも独特の雰囲気を感じます。
勝手に想像するならば、もともとヤミ市として始まって、それぞれの個人事業主が小さな店舗を持つようになり、やがてそれが先へ広がるだけではなく2階3階へと立体的かつ複雑に展開していったが、ある時点でその成長が止まってしまった…。

そのときのままの店なのか、中野の歴史を意識した小道具を演出させただけの店なのか、ちょうど撮影しやすいところで最初の1枚のシャッターを切りました。
初夏の日差しを浴びた道具たちがいい表情でしたが、逆光もものともしないレンズならではの表現をしてくれました。
もう少しタイミングを遅らせて、黒装束の女性を中央に置きたかったですが。
【M8/Planar 5cmF2 F2】
スポンサーサイト
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2010/06/14 Mon

美麗的手臂

M8/Planar 50mmF2
中国美少女を探せ! 深圳篇は、企画倒れのままに最終回を迎えます。
大芬に見切りをつけ、東門にあるコスプレ・カフェを久し振りに訪ねることにしました。
以前にもVサイン少女を登場させたコスプレ・カフェですが、名前のようなコスプレどうこうというのはなく、漫画喫茶のような存在です(ただし、もちろん国立ではありません)。
しかし、ウェイトレスの女の子が他と比べるとルックスに優れ、メイドのコスチュームに扮しているところが店名の由来であり、今回また訪れた理由でもあります。

Vサインの少女は、この日お休みで、代わりに四川出身のチェリー(左)と湖南出身のアップル(右)が、うわー、わたし外国人と話しするの初めてと対応してくれました。

メイド服ではなく、これは完全に日本の高校の制服のようです。
どうやって入手したのかと心配になりましたが、漫画を仕立て屋に持って行って、同じように作ってくれとやっているようです。
チェリーによれば、メイド服は冬用で、夏はセーラー服が涼しくてよいのだそうです。

カメラをテーブルの上に置いていたので、撮らせてと依頼するまでもなく、むしろ彼女たちにすれば撮って欲しいという雰囲気で、これは助かりました。
もちろん、こんな格好してと要求した訳ではなく、勝手にポーズをつけてくれるノリの良さもありがたい。
他の客の視線もあるので、たたたんと速攻で数枚撮影して、ほらと液晶で見てもらったりしました。

昨日の大芬の女性は、液晶上でもこれはダメだというのが分かりましたが、今日のふたり組はなかなか決まっているように見えました。
次回、プリントを進呈する約束もしました。
最後にやっと、プラナーらしい作例も撮れたしということで、深川精密工房にこれで報告できるという安心を得たということもあります。

しかし、帰国後PC上で確認してみて愕然、全部前ピンになってしまっていました。
作例では、色白の腕の美しさが強調されているので、そういう趣味の方には評価いただけるかも知れませんが…。

昨日は西東京地区の、今日は西東北地区のノンライツRF友の会所属女性写真家の趣味をついているかと自認していましたが、これではおふたりからお叱りを受けるだけの無駄骨です。
お世話になりながら、恩を仇で返してしまい、深くお詫び申し上げる次第です。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(16) | 2009/06/28 Sun

是服務員的服務

M8/Planar 50mmF2
暑さで気力を失い、わたしもカフェのテーブルにつくことにしました。
メニューをもってきてもらうと、途端に元気が復活してきました。
これぞという飲み物があったという訳ではありません。
メニューを見ても、中国ではあるまじき、日本並み観光プライスで力が抜けて行ってしまいそうです。
そうではなくて、メニューを持ってきたのが中国服を着こなした上品な美女に癒された、ということです。

ビールを注文。
ほんとは中国茶があって鉄観音がよかったのですが、前述のようにかなり高かったのです。
もともと複数人で飲む工夫茶なので、どこでも安くはないのですが、1000円以上していては、この暑い中でオーダーは見送られます。
では暑いからビールか、というとそればかりではなく、小心者のわたしが中国服美女に写真を撮らせてもらうための景気付けです。

炎天下のビールは効きます。
頭はぼんやり、目の前が蜃気楼状態で、会計時に写真をと申し出ます。
嬉しそうに承諾してくれました。
カウンターでポーズをつけてもらったのですが…。

結果はご覧のとおりです。
人間誰しもすごく好い表情をすることがあれば、反対のこともあるでしょう。
そのいちばんひどい表情のときにシャッターを押してしまうとは。
わたしはこの時酔っ払い顔だったかも知れませんが、ダメだ、この人にはわたしをきれいに撮ることはできない、という諦め顔をしてるように見えます。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(9) | 2009/06/27 Sat

空気微温

M8/Planar 50mmF2
Arriflex Planar 50mmF2。
ライカにマウンティングできるレンズとしては、もはや究極のように思います。
高い解像力で、あくまで自然なレベルの最高度シャープネスとコントラスト、そして恐ろしくリアルな表現力という分野において、このレンズは極めていると言えます。
それが分かる作例を撮ることがわたしの責務でしたが、今回は果たせず申し訳ないのですが。

明るさの究極では、Angenieux M1 50mmF0.95 があります。
暗闇から対象を感じ取り、日中ではアンジェニューらしいシャープさで被写体を浮かび上がらせます。
35mmフルサイズには欠けますが、M8ではぴったりフィットし、1/8000まであるシャッターが白昼の開放撮影も可能にしてくれました。

愛すべき収差を極めたのが、ふたつのプラズマット・レンズ、Kino Plasmat 5cmF1.5 と 3.5cmF1.5 です。
ものを実在感いっぱいに写し出す能力、立体的にとらえる能力は、球面収差の補正不足に由来するようですし、近距離で撮影した時に周辺に現れる同心円状のボケは愛おしくさえ感じるようになりました。
きつい収差だけが目立つレンズとは一線を画しています。

次に目指すべき道はどこにあるでしょうか。
広角を極めていくという方法が、まず真っ先に思いつきます。
しかし、これはゴールが決まった道のように感じられます。

わたしにとって、もっと身近な道筋はすでについていました。
キングスレークとオールドレンズ研究の第一人者である、ksmt さんが自身のサイトの日誌の中で、大昔のレンズ入門を連載しています。
ここにこそ、わたしが次に旅立つべき目的地が存在しているのではと、拝読しながらわくわくしてきました。

大昔のレンズへと言っても、いきなり大判を始めるとか、今までのレンズを売り払ってなどということではありません。
そのくらいの潔さが逆に欲しいくらいですが、実は考えているのは大昔のレンズをライカで楽しむという期待させながら肩透かしな発想です。
35mm判が出る前の時代のレンズですから、サイズは大きく、焦点距離もやたら長く、暗いレンズがほとんどです。
その中から、ライカに距離計連動可能な焦点距離のレンズを探し出して試してやろうと考えてみました。

詳細は、またおいおい記述することで意見をいただき、ひいては知識を広げていきたいと思います。
古く暗い歴史的レンズを35mmフォーマットで使うとなると、どうしてもどれもが同じような描写に見えて、あっけなく挫折してしまう予感もなくはありません。
すでに、やめた方がというささやきが聞こえてきているところでもあります。
しかし、こうやって宣言したことで、無理にでも進まざるを得なくなったので、何かしら結果を残してから自爆するなら自爆してしまうという逃げ道付きの旅を近くスタートさせようと思います。


さてさて、大芬を歩けど探せどこれぞに出合えません。

先月、黄姚古鎮を訪れたあと、次回の中国行では女性の写真を撮りますよと宣言したのですが、なかなかそういうチャンスは巡って来ませんでした。
日本には、そんな写真を首を長くして待つであろう人が何人か。
何とかしないといけません。

ようやく、カフェにくつろぐイケてる少女を発見。
しかも周囲は、揃いも揃ってくたーっとした空気を演出している人でいっぱいです。
おっと、連れの白人男性までが、くたーっ。
緩い空気、ここに極まれり、です。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2009/06/26 Fri

不可思議的縄索

M8/Planar 50mmF2
惠州の小さな旅は、昨日でひとまずおしまいということで、その前日に撮った何枚かを紹介することにします。

滞在した深圳は観光地という訳ではありませんので、少なくとも香港のようにはカメラを持って撮り歩く場所がありません。
そんな中で、以前にも登場した大芬油画村は、例外中の例外と言えます。
暑い日でしたが、M8+ブラナーを手に、出掛けてみました。

大芬は、相変わらず空気が緩みきっていました。
土曜の日中だというのに、全然歩いている人がいません。
客がいなければ、店の方でがんばっても仕方ないからか、軒先に椅子を出して昼寝してたりで緊張感のかけらもありません。

こんなだと撮るものもないなと思ってがっかりしていたところ、最初に見つけた働いていた店員が彼女でした。
絵が売れたのかも知れません。
このポーズの彼女こそが、店のどの絵よりも絵になっていると伝えたくなります。

F2開放で固定していたブラナーなのに、1/8000でもオーバーと表示されてあせりました。
深圳の日差しはそんなにも強いから?
いえ、冷静に考えると前夜ISO1600で設定したままになっていただけでした。
それで、粒子の荒い、またもやレンズの実力を発揮できていないカットになってしまいました。

そんなことよりも、まん中にだらんと下がったひもの方が気になって仕方ありません、ですか。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(0) | 2009/06/25 Thu

荔枝的味道

M8/Planar 50mmF2
崇林世居を見終わり門から外に出ると、レストランからここまで案内してくれた女性が笑顔で待っていました。
案内いただくだけで恐縮なのに、写真を撮ったり時間がかかるので待っていないでと言いましたが、うなづいたもののやはりずっとわたしを待ち続けていたのでした。
そして、わたしが戻るや、愉しかったですか、少しうちで休んでいってくださいと勧めます。

これは断るわけにはいきません。
以前知り合いの客家人は、何しろ客人をもてなすのが客家人だからと言っていました。
その日のうちに深圳に戻って、シャワーを浴びてから夜の便で東京を目指しますので、それに間に合いさえすれば招待は積極的に受けなければならないのです。

この女性の家はライチをはじめとした果物農家のようで、そのライチは6月が収穫期です。
まさに、絶好のタイミングで、わたしは訪れたのでした。
スーパーなどでも出回っていたようですが、何しろ採りたてを食べてほしい、自分たちのライチを味わってほしいという一心で招いたということでした。

ライチは、赤っぽい外観ですが、皮をつるっと剥がすと中はまっ白い果実が見るからにみずみずしく、ほのかな甘みが口に優しい食べやすい果物です。
味が上品ですししつこくないので、いくつ食べても飽きが来ません。
品種的に5種類ほどが存在するそうで、そのうちいちばん美味しいのものだよと言っていくつもいくつも食べさせてくれます。

束に放置されたのがあったので、これはと聞くと、甘味がなくて美味しくない種類だからわたしたちは食べないのだと言います。
試しにひとつ口に入れてみましたが、なるほど甘味がない代わりに酸味がまさる味は明らかに劣りますが、これはこれで案外いけるかなとも思います。

気に入ったのならぜひ持って行って、いまウラから採って来るから、というのでご一緒させてくださいと願い出ました。
ここまで来る途中にも庭にもライチがなっていたので、その辺で採るのかと思っていたのですが、これがウラはウラでもウラ山だったのです。
雨上がりでスリッピーな赤土を一歩一歩上がって、ずいぶんと見晴らしのいいところまで辿り着いてしまいました。

わたしだけ息も絶え絶えでしたが、みんなで20分も作業したでしょうか、歩くのが精いっぱいという大量のライチを3人で持って山を下りました。
下りは上りよりきつい、それを実感しつつ女性の家に戻ります。

さらい採りたてのライチを摘まみながら、いろいろと話をしました。
女性のご主人は事故で足が不自由となり、松葉杖をつきながら家で仕事をしているようでした。
ふたりの子供は市内の工場で働いているのですが、寮に入っているので月に何度かしか戻りません。
ほんとうは深圳などの都会で働ければ給料はずっといいのに、18歳未満だと市外で働けない規則があるのだと残念がっていました。
そして、彼女自身は、くだんのレストランで昼と夜にパートとして働いています。
農村でも、けっして生活は楽でないだろうことは想像がつきます。

ご主人が出てきて、日本のことなどいろいろと聞かれました。
外国人を自宅に招くといのは、誇りでもあるのかも知れません。
ウチにもひとつだけ日本製のものがあると大型の冷蔵庫を自慢げに指さしましたが、たしかに日本風のロゴが付いているものの聞いたことがないメーカーです。
騙されて買ったのかも知れませんが、さすがにそうとは説明できませんでした。

談笑そのものは、明るく楽しいものでしたが、ところどころに平均的な日本と中国農村の格差を感じて考えさせられる局面ができます。
彼らは、それを承知して話していたので、わたしも全然気にすることではないのですが、その分だけ親切が身に染みるというか、感傷的な気持ちになってしまいました。

そろそろバスの時間だからと、女性は袋いっぱいに今採ってきたばかりのライチを詰めてくれました。
気持ちは嬉しいですが、植物検疫を考えれば、日本への持ち込みは断念せざるを得ません。
少しでいいからと固辞しますが、ぜひ家族にも食べさせてあげてと言われ、その家族にという言葉にかなりじーんと来ました。
やはり日本持ち込みはあきらめましたが、これはあとで深圳の友人たちに配って、事情を説明して食べてもらったところ、口々に美味しいと言ってもらえ、少し誇らしい気持ちを得られたのが幸いです。

電話で呼んでくれたバイタクがクラクションを鳴らし、いよいよ暇を告げる時が来ました。
中国へ来たら必ずまた寄ってほしい、そう言って送り出してくれました。
ここを自分の家だと思ってとも。
帰りのバスを待っているあいだ、手に握っていたライチの袋がとても重く感じられました。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/06/24 Wed

最後的

M8/Planar 50mmF2
アリフレックス用のブラナーという完璧レンズを数日間使い、それをもとに2週間もブログを続けると、不完全主義の血が騒ぎ出すようです。
週末にRF友の会の撮影行があるがこれはクセ玉で参加しようとか、写らない珍しクセ玉はないかと検索したり、禁断症状が現れ始めました。

普段は満たされない禁断症状ですが、今日は、いつもと違う興奮をともなう薬物を発見してしまったのです。
製品化されているのも期待していなかった、ここ1年は探し続けていたレンズが、某サイトにて販売されていたのです。

それは、トリプレットがエルノスターへ発展する途上で生まれた、両者を繋ぐ架け橋、やがてゾナーが登場するのを予言する一滴のしずく、大口径レンズが登場するために避けては通れないパルナソスの頂きです。
しかも、光学の発展にまったく関係があるとは思えない、マンハッタンの地を故郷に生まれ育ったといいます。

このレンズがやって来た時、マウント改造を深川精密工房に依頼してみるつもりです。
恐らく却下されることは目に見えていますが、推定、世界初のこのレンズの35mm撮影の栄誉を得られるわけですから、あわよくば引き受けてもらえぬかとの淡い期待もなくはありません。


さてさて、作例に行きましょう。

案内してくれたレストランのおばさんを外に待たしていたので、あまりもたもたしている訳にもいきません。
ぐるっと1周して、ここが出口というところで運よく、いかにもお人好しな雰囲気の親父さんとすれ違いました。
こんにちはとあいさつすると、写真を撮りに来たのかいと話しかけてきます。

いかにも土地の人という体裁に見えましたが、言葉がちょっと広東風ではないような気がして、ここの方ではないのかと聞いたところ、貴州省からやってきたと言います。
四川省や貴州省から出稼ぎにやってきたが、ここが家賃が安かったので住み続けて、2年になるとのことでした。
麻雀の家族も、内職のおばさんも、みな遠方から出稼ぎにやって来た人々だったのです。

なんだか肩透かしを食ったような、そんな人たちをばしばし写真に撮ってしまって申し訳なかったような、重い気分を感じます。
だからといってそれを顔に出しては、目の前の貴州人には失礼でしょう、去年貴州を旅して美しい村々をまわったこと、貴州の女性はみんなきれいですねなどとくだらない話をしてつなぎました。

そんな折でした。
あれを写真に撮ったら、そう言って指差したのはひとりのおばあさん。
ここ崇林世居、唯一の客家人だそうです。
蒸し暑い中の厚着に厳しい表情、できればここでの昔話など聞ければよかったのですが、あいさつすらはばかれ、話しかけるきっかけはついぞ訪れません。
そんなわたしの弱気を見透かすように、扉の横の小穴から飛び出してきた猫が、こちらを一瞥しながら去っていきました。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(13) | 2009/06/23 Tue

看電影的奇遇

M8/Planar 50mmF2
今回の小旅行は、香港まで全日空機を利用しました。
全日空とキャセイ他の外国キャリアにわたしは特に差を設定していないのですが、全日空でありがたいのは映画を任意の時間に見れることです。
だいたいいつも搭乗するやひと眠りして、食事のときに起こされるというパターンが多いです。
外国のキャリア利用のときは、この時もう映画などのエンタテインメントは始まっていて、途中からぼけぼけ頭で見てもついていけまいと音楽を聴いて過ごします。
しかし、近頃全日空等は、映画も見たいタイミングでスタートさせることが可能になっています。
香港までは、片道5時間近くありますから(冬のスケジュールの場合)、根性あるファンは2本立てで映画を見ているようです。

この夜プログラムを見ると、"ワルキューレ"がありました。
以前、深川精密工房の工房主さんから、この映画はアリフレックス・システムで撮影して最高の画像を見られること、劇中でもアリフレックスで撮影しているひとコマがあることなどを教わっていましたので、これは見てみようという気になりました。

解説にブラナー云々の表記も見られました。
撮影レンズがブラナーだとすれば、こんな奇遇はありません。
今回持参したレンズがブラナーで、そのマウント改造を請け負っていただいたのが深川精密工房だからです。
工房と映画、それにアリ・レンズの関係の不思議を感じつつ映画鑑賞…。
いや、実は再度眠りに落ちてしまったようで、途中の展開の記憶がありません。
プラナーの文字も、後で見直すと、ブラナーという名前の出演者の見間違いでした…。


さて、お粗末過ぎる前置きで恐縮ですが、崇林世居の方も何だかパッとしません。
入口付近こそ、いくつかの家族で盛り上がっていましたが、それ以外は歩けど歩けど人気がほとんどありません。
建物を見ても荒れ模様で、廃墟化が進行しているように感じられます。

角の家には住人があるようで、ホッとしつつ1枚撮影させていただきます。
しかし、洗濯物がわずかにあるだけで、住人の数が少ないのが想像できます。
縫物をしているように見えた女性ですが、声をかけると手にしていたのは糸ではなく電子部品。
こんなところで内職していたのです。

閉ざされた廃墟よりはずっとましですが、この寂れた雰囲気はただごとではありません。
その理由は、この後判明することになります。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2009/06/22 Mon

坐着大巴到

M8/Planar 50mmF2
バイタクにもとのバス停まで戻ってもらい、秋長鎮を後にします。
次に目指すのは鎮隆鎮というところですが、行き方からすでに分かりません。
バイタクに行けないか聞いてみましたが、冗談はよせというように首を横に振られました。
後で調べると30キロは離れていましたから、運転手がOKしていたら先月の富川の時のようにとんでもない時間がかかったに違いありません。

街道に沿ってパスが頻繁に通っていましたが、そのどれに乗っても鎮隆までは行けるそうで、これは助かりました。
早速来たバスを停めほどなくすると突然の大雨が降りだします。
日本でも昨年からゲリラ雷雨というのが問題になっていますが、亜熱帯の広東省ではごく普通にある猛スコールです。
視界はほどんどゼロで、道は河に。
ああ、バイクでなくて良かったとホッとしました。

バスは淡水から惠州へ行く中距離バスでかなり頻繁に通っているようです。
秋長でも鎮隆でも乗降はわたしひとりで、他の乗客にはちょっと時間をとらせてしまい、申し訳ない感覚でした。
料金6元は約80円になります。

秋長でたくさん見た食堂は、鎮隆にはぜんぜんありません。
昼食時間は過ぎて、かなり空腹なのであせりました。
探せども聞けども街中に、食堂はなし。
暑いので冷房が効いているところと思っていましたが、それどころの騒ぎではなくなりました。
たまたま街道の先に風変りな建物があったので、なんだろうと向かったところその先にうまい具合に村唯一の食堂があったのは非常に幸運でした。
奇妙な建物はゴミ焼却炉か何かで、これは意味ナシでしたが。

そこは、客家の食堂で名物だというアヒル肉などをいただきました。
そして、崇林世居という目的地への行き方をたずねたところ、すぐ近くだが連れてってやろうということになりました。
やはり、客家の人は親切だとまた実感します。

さて、崇林世居も前日まで見たような客家の囲屋のひとつです。
しかし、ここは村の中心というロケーションにあるため、閉ざされた雰囲気はなく、どうぞ見てください的なオープンさがありました。
扉は文字通りのオープン、というか取り外されていました。
そんな違いが面白かったので、鎮隆での1枚目はその歴史を刻んだ門と壁を撮りました。

その先では、じゃらじゃらとお馴染みの麻雀の音が聞こえてきました。
庶民的な臭いが門を通ってこちらにやって来ているようでした。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/06/21 Sun

司機也是客家人

M8/Planar 50mmF2
そろそろバイクタクシーの運転手が痺れを切らしだしたかなと、バイクの位置に戻りましたが、案外彼はご機嫌で待っていました。
鉄門扇の他にもいくつか、囲屋があるので連れて行ってやるというのです。
なるほど、このまま戻れば15元で終わるが、まだ回ればもっと稼げるということでしょう。
少し心配になる展開ですが、彼だって、今日何度か親切にしてくれた客家の人たちのひとりだと思えば、それほど恐れることもないでしょう。

さて、残念だったのは案内してもらった、桂林新居と会龍楼はともに無人の状態で、特に桂林新居は廃墟に近く、外壁はきれいでしたが、中はかなり朽ちている様子でした。
この二つとも村から少し離れた位置にあるため、忽然と現れる囲屋は迫力もあって美しいと感じられるだけに何とか維持保存に努めてもらいたいものです。

そんな打ち捨てられたような囲屋に案内してもらえたのは、良いバイタクに乗れたからだと思います。
ここを知らなければ連れて来れない訳ですし、最初の鉄門扇で延々写真を撮っているのを見て、こいつは古建築に興味があるんだなと機転を利かせて回ってくれたのはラッキーと言えます。
それに、外れの囲屋までは途中舗装路がなく、午前中の雨でかなりぬかるんでいたので、重たいわたしをリアシートに乗せて、危険を感じるほど速くなく、いらいらするほどまで遅くなく運転できたのは、飛ばしてなんぼのバイタク業界にあって、すぐれて乗客本位だったと感謝したいです。

作例は、会龍楼です。
ごく部分しか写っていませんが、簡単に説明します。
正面の建物は立派に見えますが、メインの建築ではなく、あくまで城壁のような囲いに相当する部分の一部です。
ほぼ正方形に近い四角い囲いがあって、その4隅にご覧のような少し高い建物が東西南北の見張り台のような役目を担っています。
また、左端の剥がれかけた赤い対聯のある扉の少し右側に細長い穴が開いていますが、これは内側から銃口を向けるための穴です。

住宅は、昨日の屋根の連なりのように、囲いの内側に整然と機能的美しさをともなって並んでいます。
とても小さな中世の町を想像してもらえばよいと思います。

左側に見える建物は、まったく別になります。
想像ですが、もともと19世紀には囲屋内の生活は余裕あったものが、徐々に人口が増えて、どうしても囲いの外に家を建てざるを得なかったのでしょう。
万一、盗賊の襲来があれば地下でつながっていたりとか、そこまではないでしょうが。

中に入ることができないので、外側からかつての繁栄のよすがを感じつつ、また彼の後ろに跨ります。
桂林新居、会龍楼と回り、先にバスで出掛けていた葉挺故居まで行ってくれて、運転手の言い値は30元と、まったく納得がいく料金を支払うだけでした。
料金交渉はだいたい苦労するものですが、いつもこんなだと助かります。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(10) | 2009/06/20 Sat

還要相機嗎

M8/Planar 50mmF2
今回の小旅行には、ライカM8を1台に、深川精密工房改造によるアリフレックス用ブラナー 50mmF2 1本のみを持参しました。
自分としては、かなり思い切った、潔いシンプル装備のつもりです。
これは、工房がわたしのために作ったレンズに対する信頼の意思表示であって、けっして荷物軽量化の観点からの選択ではありません。
同時に、50mm の明るいレンズと高速シャッター付きのカメラがあれば、昼でも夜でも風景でもスナップでも何でも、多少の制約はあるだろうけど何とかなるものだということを体感してやろうという試みでもありました。

幸いというか当然というか、カメラも、レンズも、マウント改造部分も最高の技術を結集して作られたものですから、何らトラブルなく数日間のタフな旅を余裕でクリアしてくれました。
もっと厳しい条件で使用する、報道写真家や自然写真家などの酷使も想定しているのでしょうから、やはり当り前の結果です。

しかし、レンズ大量保有者としては、レンズはもっと持ち出したいという欲求があって、いつもは交換レンズを広角と望遠1本ずつ持って行っています。
望遠は、使う機会が全くないことも珍しくないのですが、まあ休憩のカフェとか宿とかでレンズ交換したりいじったりしているだけで、じゅうぶんご満悦だったりしている訳です。

これが1週間を超えるような中長期の旅だったらどうでしょうか。
レンズに加えて、やはり、予備のカメラがどうしても欲しくなります。
かつてM6メインだったころは、だいたいCLかCLEをサブカメラにしていました。
レンジファインダーと一眼レフを組み合わせた方が、撮影には幅が広がるでしょうが、荷物がかさばればフットワークも落ちるので、レンズ共有でメイン機よりずっと小さいサブ機のペアが最適に思われます。
そんなわけで、M6、CLE+30mm,50mm,90mm というのが旅の道連れになったのでした。

デジタルに堕した今では、M8とフィルムカメラの組み合わせは考えにくく、かといってM8&R-D1は重過ぎです。
理想としては、CLEデジタルのようなシンプルな小型機が出てくれるとベストです。
そんなところへパナソニックのG1が出たときは、入手を本気で考えましたが、一眼レフとしては小型軽量でも、形状などは思ったよりもコンパクトでなく、ぱーっと広まったこともあって見送ることになりました。
そうそうサブカメラまで持っての旅の機会もある訳ではありませんし。

さて、若干旧聞になりますが、オリンパス・ペンE-P1の登場です。
それほど関心を持っていなかったわたしは、G1に機能を追加したより一眼レフ然としたボディを想像していました。
それが、オリンパス・ペンというネーミングだと言います。
おやっと思ってホームページを見ると、何とも物欲をそそるデザインをしているのですね。
かつてのペンの雰囲気そのままにデジタル化したという味わい濃厚です。
外装は金属を多用したものだそうで、実際に手にした感触も期待できそうです。
何より、さらに進んだ小型軽量は、わたしの目的にはぴったりです。
どうやらファインダーが無いようなので、問題は液晶画像でアダプター介して取り付けたマニュアルレンズをピント合わせできるのかなということでしょうか。

ペンの話はこの辺で止めておこうと思います。
恐らく調べればすでにかなりの情報が溢れていて、そんなのを読んだりしたらすぐにも欲しくなってしまうという危険性を孕んでいるからです。
まずは冷静を保たねば、です。


作例は、人さまの屋上に登らせていただいて、鉄門扇の美しい屋根の連なりを撮影したものです。
3階建ての家の前を通ったとき、たまたま家の人が出て来たので、事情を説明したところ、快く屋上まで案内してもらったのです。
客家の人は家で客を持ちなすのが好きだから客家というのだよと聞いたことがありましたが、確かに客家人は親切な人が多いと感じます。

50mm 1本で十分だなんて書きましたが、ずっと広がる屋根を表現するには少し狭すぎます。
せめて35mm があればなあ、と思ったのは偽らざる事実でした。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(11) | 2009/06/19 Fri

涼帽其二

M8/Planar 50mmF2
客家といって一般の方にどれだけ馴染みがあるでしょうか。
普通の中国人である漢族の中で、客家は独特の存在です。
それは、もともと4世紀頃まで黄河流域に暮らしていた漢族の集団が、当時の反乱を避け南下して移住していき独自の文化を何世紀も守って暮らしたことによります。

例えば、言語は客家語という独自の言葉を持っていますが、これは中国古語に近いものと言われています。
食事は、野菜が多用されていますので、美味しいが不健康的イメージの強い中国料理にあって、もっともヘルシーなものです。
じっさい客家人の平均寿命は中国人の中で断トツの高さです。

著名人の排出でも特に知られています。
香港や台湾、シンガポールなどでの財界の多くは客家人ですし、政界では、中国の孫文や小平、台湾の李登輝、シンガポールの李光耀(リー・クァンユー)と少し前までのアジアの国家元首は客家人だったのです。
これは、客家の教育熱心さや勤勉さと無関係ではないでしょう。

さきほど客家語は中国古語に似ていると言われると書きましたが、ということは日本に伝わった漢字の読みなども似ているということのようです。
ここで詳述はできませんが、いろいろな単語に共通性があると言われています。

ところで、それとは関係ないと思いますが、わたしも日本語そっくりの言葉を聞きました。
以前、客家人の家庭で夕食を御馳走になったとき、もっと食べろとばかりに次々とおかずを取ってくれたため、たちまち満腹で食べられなくなりました。
もう、食べられませんということを普通話で伝えると、もういい? と聞き返されました。
えっ? と驚きましたが、日本語で「もういい」と断るのを、客家語でも「もういい」と発音するようです。
イントネーションも似ていて、これは楽しい発見でしたし、わたしが唯一覚えた客家語です。
どういう字を書くか聞き忘れましたが。

作例は、涼帽と呼ばれる暑さ対策の客家伝統的帽子を被った女性です。
麦わら帽子のふちを黒い襞のカーテンがぐるっと一周している、いかにも涼しげなデザインが印象的です。
歩いているのを見かけたので、もう少し寄って撮りたかったのですが、ひどい暑さで追いかける元気が出ませんでした。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(8) | 2009/06/18 Thu

鉄門扇的小妹

M8/Planar 50mmF2
今回訪れたのは、広東省惠州市淡水区の秋長鎮と鎮隆鎮です。
日本ではもちろん、中国や広東省内でも特に知られているような所ではなく、訪れる人もほとんどありません。

このエリア一帯の住民のほとんどが客家人で、彼ら独特の囲屋と呼ばれる城壁で囲まれたような主に清時代の集合住宅がいくつか点在しています。
客家の住宅と言えば福建省に多く見られる円楼の方がずっと有名で、ずっと地味な囲屋をわざわざ見に来る人は、せいぜい研究者か外地に渡って故郷を見物に来た華僑くらいなものでしょう。
少なくとも新しく入手したレンズのテストのために訪れる外国人は、後にも先にもわたしくらいなものと断言できます。

おとといと昨日の写真は秋長鎮のものです。
昨日の写真の囲屋は、クアラルンプール王と呼ばれる華僑の故郷の家だと説明がありました。
いっしょに写っている見学者の人たちは、恐らく深圳か広州の成功した客家人が祖先の地を訪れたというところでしょう。
エコカーに買い替えがとか騒いでいる世界をあざ笑うような、大きな低燃費車を連ねて訪れているのが印象的でした。

近くには同じような囲屋がもう二つあって、ひとつはかつての共産党幹部の故居ということで、ここのみ参観者が多少は訪れたりするようです。
しかし、その故居こそ拝観料を払えば入って行けましたが、他の囲屋は住む人なく鍵に閉ざされて、外観を見渡すだけしかできません。
少々がっかりしながら、次の目的地を目指しました。

葉挺故居の前からバスに乗って、秋長鎮内の次なる目的地、鉄門扇を目指しました。
車掌に行き方を相談すると、親切に対応してくれ、最寄りの路上に降ろしてくれバイタクと交渉して往復15元で行くようアドバイスまでくれます。
バイタクと交渉すると、少し高めを言われましたが、15元でというと納得してもらい、なるほど15元が適切な料金だと納得できます。

なぜ往復かと言えば、現地に交通手段がないので、バイクに待っていてもらうべきということでした。
待たせながら写真を撮っているのは気が引けますが、片道なら5元でしたので、3倍出せば30分程度は待たせて問題ないようです。
そうして着いた鉄門扇は、今回唯一の客家人が暮らしている囲屋でした(後で指摘されるまで鉄門扉かと思ってやり取りしていたら扉でなく扇だったのは大笑い)。

四角く囲われた中に入って最初に見たのが、ずっと愛想すら見せない女の子でした。
それでも、生活の匂いのある建物の中に入れて、嬉しさいっぱいに撮らせてもらいます。
画面の中央から隅まで均質で乱れないことを知っていればこそ、少女は端にあっても、わたしの喜び代弁してくれています。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(6) | 2009/06/17 Wed

介紹鏡頭

M8/Planar 50mmF2
昨日の冒頭に"例のアレ"と表現した特別なレンズですが、紹介するのをすっかり忘れてしまっていました。
ツァイスがアリフレックスという映画撮影機のために設計した35mm用シネレンズ、プラナー50mmF2です。

スティル・カメラ用のレンズと違って、シネ用のレンズは資料が少ないのが現状です。
ブラナー50mmF2と聞いても、一眼レフレンズの転用ではないかとの疑いも以前はありましたが、基本の設計こそ4群6枚のダブルガウスを基にしている点で同じところからスタートしていると言えそうなものの、描写性能には明らかな相違を感じます。
シネ用が軍事用を意味するのか産業映画用を意味するのか分かりませんが、いずれにしても一般販売向けとは違ったコスト度外視の最高水準か求められていたわけで、当時のカール・ツァイスの技術の粋が結集されたレンズだったのだろうと想像されます。

そのアリフレックス・マウントのブラナーですが、あの深川精密工房がライカ・マウントへの改造を引き受けてくれました。
本当のところは、このレンズが売りに出ていることを教えてくださり、改造もかって出てくれたのもその深川精密工房だったのです。
アリ・ブラナーも長年にわたって製造され続けていますから、その間設計変更が何回か行われているようで、知りうる限りライカ・マウント化できる最高性能のヴァージョンが今回のタイプのブラナーということのようでした。

実は、このレンズはすでに深川精密工房が改造に成功していて、わたしの個体はその第2号機ということになります。
そんな特別なレンズを独占することなく、情報提供から自らの改造でわたしにもたらしてくれた工房主の心の広さに頭が下がりました。
ちょうど5月連休に工房主が同レンズを用いて、得意フィールドである沖縄を撮影してきたことから、それに応えるためにもわたしは中国に行って試してこなくてはと考えたのが今回の中国行というわけです(本当はわたしも5月連休使用予定でしたが微妙なトラブルがあって持ち出せませんでした)。

さて、レンズ入手から持ち出すまでの顛末がすっかり長くなってしまいましたが、もうひとつ付けくわえさせていただくと、今回、交換レンズは一切なしで、M8+ブラナーのコンビのみで参戦しています。
さらに言うと、このアリ用レンズは絞りが動きやすいという欠点があって、それを防止すると同時に開放のみで勝負との意思表示の意味も込めて、開放位置でテープ止めしています。
今回の滞在の撮影すべてが、Leica M8/Planar 50mmF2 開放のみ、ということです。
【M8/Planar 50mmF2 F2】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Zeiss Planar 50mmF2 | trackback(0) | comment(2) | 2009/06/16 Tue
| home | next