名字的研究

M8/Velostigmat 90mmF4.5
ウォーレンサックやヴェロスティグマットについて情報はないかとキングズレークの「写真レンズの歴史」をめくりましが、ベリートやラプターなどレンズ名の記載はありますが、特記している部分は見つけられませんでした。

その代わりというわけではありませんが、同じロチェスターにあるレンズメーカーのガンドラックが、ヴェラスティグマット(Gundluck Verastigmat)というレンズを出していることが記載されています。
ヴェロスティグマット(Velostigmat)とやけに似ていて、紛らわしいネーミングです。
これは4枚貼り合わせのレンズで、これ単独でも風景用アナスティグマットとして使用できますが、前郡を組み合わせることで、焦点距離を短くし、F数も明るくできるようです。
コンバーチブルレンズのひとつということでしょう。

では、Velostigmat という名称の意味について調べてみましょう。
stigmat は、もうおなじみで、非点収差がない、という意味ですね。
Veloとは何かと調べてみると、Velocity(速さ), Veloce(早く演奏する)など速いということを意味する接頭語のようです。
非点収差を補正しつつ明るいレンズ、という意味が込められているということなのでしょう。
ちなみに、どうも Vera の方は、正確な、という意味があるようです。

ついでに、Raptar も見てみましょう。
rapt という英単語があります。
魂を奪い去られた、うっとりとしている、等の意味があります。
また、raptor となると猛禽類の意だそうで、これは関係なさそうです。
rapture は、rapt の名詞形でしょうか、有頂天や狂喜の意味です。
そういえば、むかしプロンディがラプチュアという曲をうたってわたしなどはデボラ・ハリーに狂喜していましたっけ。
まあ、Raptar は、うっとりさせるレンズということにしておきましょう。

もうひとつだけ、せっかくですから Verito も。
verify は、証明するの意味ですが、verity に真実性、真理等の意味がありました。
どちらかというと真実を隠すベリートですから皮肉が込められた名前で奇を衒ったのかもしれません。

材料に乏しいウォーレンサックのレンズでしたので、言葉遊びでお茶を濁してしまい恐縮です。
歴史あるレンズメーカーでありながら、著名な設計者を排出したり、後世に残るような特徴ある構成のレンズを世に出すということはなかったのでしょうか。
ウォーレンサック、ないしはヲーレンザック、この謎のレンズメーカーについては今後も継続して調べて行きたいと思います。
【M8/Velostigmat 90mmF4.5 F4.5】
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thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wollensak Velostigmat 90mmF4.5 | trackback(0) | comment(5) | 2009/03/27 Fri

従美国紐約州来

M8/Velostigmat 90mmF4.5
ロチェスターといえば、音楽が好きな人ならロチェスター・ポップス管弦楽団という名前を思い浮かべるでしょう。
わたしも、ルロイ・アンダーソンのアルバムを持っていたと記憶しています。

しかし、このブログでのロチェスターは、光学メーカーの集中する町と書かねばなりません。
コダックが筆頭でしょうが、ボシュ・ロムもありますし、そしてこのウォーレンサックで、わたしにはこの3つがロチェスター3大光学メーカーとの位置づけです。
しかし、まだまだあって、名のみ聞くガンドラックやエルジートなどのレンズメーカーもそうですし、センチュリーやグラフレックスなどのカメラメーカーも実はロチェスターにあったのです。

アメリカの光学機器メーカー大集結の感があります。

ウォーレンサックのことは、ほとんど知りません。
ライカ用のレンズに50mm、90mm、127mmのヴェロスティグマットというそれぞれがエルマーに似ているレンズがよく知られています。
それらレンズは後にラプターと名称変更していますが、そのヴェロスティグマットとラプターは引き伸ばしレンズや他のバレルレンズにもほとんど使われている名前で、レンズ名が構成や使用目的を表さない困った命名パターンになっています。

そういえば、ボレックスという16mmシネカメラにもヴェロスティグマット名のレンズ群を供給していました。
正式には、シネ・ヴェロスティグマットで、このシリーズの2インチF1.5をライカマウントに改造したレンズを所有していますが、フォーマット違いということもあってかなり特徴ある写りをするレンズです。
また、ボレックスと同じボルスキー氏が設計したボルシーのレンズも、表記こそありませんが、ウォーレンサック製と言われています。

ウォーレンサックドットコムというサイトがありました。
英文ですが、同社の歴史の記述もあります。
それによると、もともとはボシュ・ロム社の社員だったアンドリュー・ウォーレンサック氏がシャッターを製造するために1899年に興したのがウォーレンサック社の始まりだったようです。
レンズについては、誰が設計したとか、どういうラインアップだったかなど残念ながら記述がありません。
もう少し時間をとって調べてみたいものです。

さて、今日はなんだか分からない写真になってしまいました。
実はこれ、日本民家園にある水車です。
19世紀中ごろの建築だそうで、水車小屋の中では機械時計の中のように歯車が回転して、ひき臼を動かし続けています。

ウォーレンサック・ヴェロスティグマット90mmF4.5の最小絞りはF32まであります。
普通使うことのないその最小絞りにして、水が戯れる様子をとらえました。
歯車の回転から、ロチェスター・ポップス管が奏でるアンダーソンのシンコぺイテッド・クロックをイメージでしています。
【M8/Velostigmat 90mmF4.5 F32】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wollensak Velostigmat 90mmF4.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/03/26 Thu

裏面這様子

M8/Velostigmat 90mmF4.5
昨日見た富山の合掌造りの古民家に上がってみましょう。
すでに書いたとおり、古民家は毎日数軒ずつが公開されていて、内部を見学できるのです。
見学者へのサービスであり、同時に囲炉裏を使うことで萱を燻す建物への心遣いでもあります。

玄関から入るとたいがいは土間になっていて、農機具置き場になっていたり、厩になっているケースもありました。
この家は作業場のようになっていました。
囲炉裏にいる学芸員さん(だと思うのですが尋ねた訳ではありません)が、こんにちは、どうぞ上がってらっしゃい、と声をかけてくれます。

遠慮なしに上がり込みます。
囲炉裏傍に腰掛けて暖をとりつつ話をうかがうもよし、ここのように広い家ではぐるっと見て回るのも楽しいです。
300年前がそのまま漂っているかのような空気を思いっきり吸い込んだり、すっかり黒光りした柱がまっすぐではなくどれもが曲がったものを使っているのに感心したり、長い時間の中で模様が出来上がった漆喰壁に見入ったり、生きた博物館を体験できます。
南向きの板の間などは、日が射すあたりにごろりと腰かけてまどろんでいるだけで癒されてくるような、まさに時間を超越したくつろぎを堪能してもいいでしょう。

さて、そうやってごろりとしていると、向こう側でも本当にごろりごろとり音が聞こえてきます。
石臼を回しているのですね。
もう足に根が生えたような状態で、位置が悪くてもそのまま撮影させてもらいます。
35mmくらいの広角で撮ったように思われるかもしれませんが、この圧縮感は90mmならではの感じでしょう。
そう、望遠でも広角の位置のように写せる、この部屋の広さが実感いただけないでしょうか。
あ、いえM8ですから120mm相当ですね。
どうです、広いでしょう。
【M8/Velostigmat 90mmF4.5 F4.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wollensak Velostigmat 90mmF4.5 | trackback(0) | comment(4) | 2009/03/25 Wed

三百歳還精神好

M8/Velostigmat 90mmF4.5
日本民家園に行って驚いたのは、その広大な敷地と、古民家が23もあるということです(小屋や舞台も含めて)。
合掌造りの家も4棟あって、これはさすがに迫力を感じます。

これら古民家は、あくまでも古い民家であって、再現されたレプリカではありません。
写真は、富山県の南砺から移築されたものですが、さすがにこの状態でトレーラーで引っ張って来るわけにはいきません。
一度解体して川崎まで運びこんでから、再度組み立て直すのです。
骨組みたる柱がたいへんしっかりしていますから、そんなことも可能なのでしょう。
聞いて驚きましたが、この家は18世紀初頭に建てられたものだそうです。

萱はしょっちゅう葺き替えなくてはならなそうに見えますが、やはりしっかり管理すれば20年、30年と持つのだそうです。
ですから民家園では1年に1棟ずつ葺き替えていけばいいのです。
それでも、この合掌造りの家のように立派なものは、葺き替えだけで1千万円かかるというのでまたもや驚かされました。

萱を丈夫にするためには、囲炉裏を焚くことで煙から出る脂分を萱にコーティングするようにしていくのが良いそうです。
そういえば、人が住まなくなった茅葺の家はすぐに萱が駄目になっているのを見かけます。
人が生活してこそ、家が長持ちするということです。

民家園では、数棟ずつを順繰りに公開することで、囲炉裏を使って自然と萱が丈夫になって行っているようです。
合理的な管理法ですね。

ここで、言及しなくてはならないのは、最近頻発している歴史的建造物の焼失についてです。
神奈川県では、一昨年のモーガン邸に始まって、先週の旧住友家俣野別邸、今週の旧吉田茂邸と不審火による全焼が相次いでいます。
いずれも整備したうえで一般公開する予定だった歴史的建造物で、非常に残念な気持ちです。

人間が殺されるともう二度と生き返らないように、古民家も焼けてしまえばもとへ戻すことができないのです。
古い建造物に対する殺人ということです。
もし放火ならば、絶対にやめてもらいたいし、なんとしても阻止しなくてはと思います。
それにしては、マスコミの取り上げ方や一般の反応はいまひとつに見えます。
怒りの矛先をどこへ向ければいいのやら、空虚感へ置き換わろうとしてしまっています。
【M8/Velostigmat 90mmF4.5 F4.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wollensak Velostigmat 90mmF4.5 | trackback(0) | comment(8) | 2009/03/24 Tue

徠卡準純正

M8/Velostigmat 90mmF4.5
先週末は3連休ということで、気分転換に長浜への旅の話がありました。
古い町並みの美しいところだそうで、うまくあたれば桜の季節ともあたるということでした。
しかし、あっさりと企画は中止に。
仕方ないので、代替場所として、あまりに近場ですが、川崎の日本民家園へひとり出掛けてきました。

土曜日は天気も良く、写真を撮るにはわたしにとって好条件ではありませんが、のんびり散歩には最適の半日でした。
まさに所期目的の気分転換にぴったりでした。

もうひとつの気分転換はレンズです。
いつもはほとんど50mm標準レンズを使っています。
旅するときは、いちおう広角、標準、望遠と3本セットを持参しますが、広角はまだしも望遠の方は使う機会がなかなかありません。
使わない望遠をどうにかするには、半強制的な使用しか考えられません。
そういう訳で、今回は、この Wollensak Velostigmat 90mmF4.5 1本だけ持って散策します。
バッグが小さく軽くすむので軽快でした。

しかし、真鍮にブラックペイントのいかにもクラシックなこのレンズ、開放からずいぶんとシャープでびっくりしました。
戦後すぐのレンズで、レンズ・エレメントをウォーレンサックが、鏡胴をライツ・ニューヨークがそれぞれ供給してできたそうです。
どちらもアメリカの企業ながらドイツに限りなく近いところに位置しているところに、合作話が盛り上がったのでしょうか。

ウォーレンサック社は35mm判のレンズは案外少なく、このライツ・ニューヨークとの合作シリーズに50mm、90mm、127mmの3種がある以外、レンズシャッターカメラ用のレンズをいくつか作っている程度なのではと思われます。
ちょうど深川精密工房のサイトの最新レンズが偶然にもウォーレンサック製と思しきレンズで、拝読するに、案外知られざる高性能のレンズを製造していた可能性を感じました。

90mmF4.5というスペックは地味で、あまり面白くないと感じる方が多いかなと思います。
恐縮ですが、しばらく、このレンズにお付き合いください。
【M8/Velostigmat 90mmF4.5 F4.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Wollensak Velostigmat 90mmF4.5 | trackback(0) | comment(2) | 2009/03/23 Mon
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