性格相反的姐妹

M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5
龍湖古塞の門を入ると、そのひなびた町並みに早くも打たれました。
時が止まったかのような戦前の世界のようです。
しかし、困ったのは人気がほとんどないことです。
恐らく、葬式がまだ続いていて、どこかに村民みんな集まってしまったのではないかと思われました。

せっかくの古い商店の店構えも、これではラーメン博物館のつくりものの昔の街並みのように見えてしまい、わたしには面白くありません。
犬でも猫でも店番してたりとか、何かより生活感が出るようなものを求めてみますが、依然雨が降ったり止んだりの影響か歩くほどにうら寂しい空気が漂うようです。

そんな中で、広場のようなところに遊ぶ少女は貴重な被写体でした。
最初カメラを向けたときは逃げられましたが、撮る意思なしと見せかけてこっそりスナップです。
ねばった甲斐あってカメラは意識外の自然な表情になったかと思っています。

今回、この写真を採用したのは、kinoplasmat さんの最新の更新記事として、同様のレンズ、同様のスナップ作例があがっているからです(http://oldlens.com/raptar51mmf15.html)。
レンズの詳細は、kinoplasmat さんのサイトをご覧いただければと思いますが、Wollensac のほぼ同じスペックの約 2 inchF1.5 でありながら、まったく描写が違うことに驚かれるだろうと思います。

kinoplasmat さんの Raptar のピント面は、剃刀のようなシャープな切れ味で、鋭い表現を見せています。
わたしの Cine-Velostigmat の F8 と同様なのではないかと思いましたが、ボケ味は同傾向で同じ設計の可能性が見えてきます。
Raptar がシャープだと言いましたが、それ以上に解像力が高いだろうことも予測されます。
ディテールが恐ろしいまでにくっきりと出切っているからです。

ピント面だけ見れば、現代のレンズにこれだけの表現力を持つものもきっとあるでしょう。
しかし、こんなクセのあるボケ、つまりは収差が完全に残った状態の現代レンズはあり得ません。
これが無くなれば単に最新高性能レンズに化けてしまうわけで、そこまで行きつかないところでひとつの完成形を示しているところに、このレンズの良さが際立つのですし、オールドレンズを愛好する愉しみも同じところに見出せるのです。

掲載された31枚のスナップもたいへん魅力的です。
kinoplasmat さん独自の世界で、ロンドンの人々が実に表情豊かに捉えられています。
その手法のヒントは以前うかがったことがあるので、わたしも真似してみようと思っていますが、広角ならばまだしも 2inchF1.5 でやるには相当な熟練を要するはずです。
今はまだ、上の作例のように気配を殺しつつ一瞬に撮ってしまうという手法に頼らざるを得ません。

あらためて上述の kinoplasmat さんの写真を見てみると、スケートを10枚目の手をつないでスケートする少女では、レンズの驚異的な性能が出ていますし、7枚目の3人の女性や18枚目の人物配置の妙まで取り込まれた立体感あふれるものなど何度も繰り返し見たくなる傑作が目白押しです。
M8的発色が目立ってしまっているのが唯一残念ですが、わたしの目指すべき撮影の方向性に対するひとつの回答を教えていただきました。
【M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Wollensak Cine-Velostigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/06/10 Thu

汕頭潮州都有

M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5
咄嗟の判断でもうひとつの土楼に立ち寄ったものの、生活の内部を覗き見たような罪悪感を感じました。
すぐに切りあげて、再度、汕頭行のバスに乗り込みます。
汕頭に隣接した潮州にも、いくつか古鎮があるのは知っていましたが、道中購入した地図に汕頭から潮州へ向かう途中に龍湖古塞という有名な古鎮があることを確認できました。

今度のバスにも車掌がいて、行き先を聞いてきます。
またしても助かったと、まずは汕頭に行って、そのあと龍湖に行きたいと地図を示しました。
うまくバスなどを乗り継げるよう最適な場所で降ろしてもらうためです。
料金は15元。
100キロほどあるはずですがわずか200円以下ですから、日本の路線バスの初乗りとそう変わりません。

車掌がいて、運転手は雑事をする必要がないからでしょうか、来た時よりも30分近くも早く汕頭市内に入ったようでした。
大きな交差点を曲がったところで、車掌が龍湖に着いたと大声をあげています。
礼を言ってバスを降りながらここで潮州行きのバスを待てばいいのかと聞くと、いやここが龍湖だと言います。
えっ? と思ったものの半分バスを降りかけているので、確認がとれません。

すぐにバイクタクシーが寄って来たので、龍湖古塞へと頼みましたが、誰もそんなところは知らないと答えます。
地図を出してここなんだけどと、示したところで、バイタクが唖然としています。
理由を問うと、おまえが行こうとしているのは潮州の龍湖のようだが、ここは汕頭の龍湖でまったく違うところだと厳しい顔つきです。
今度はわたしが唖然とする順番でした。

そこまで行ってくれないか頼みましたが、遠すぎてイヤだし、そもそも龍湖古塞がどこにあるのか分からないと拒否されてしまいました。
ただ、汕頭方面へ行くクルマがある交差点まで行って、そこで乗り換えなさいと勧めてくれます。
ここではもはや交渉する気力もなく、言い値の10元で連れて行ってもらいましたが、純朴なバイタクのおやじさんはわたしの間違いに同情したのか、相当な距離を走りましたので、この10元は妥当な額に思われました。

交差点ではタクシーが客待ちしていて、龍湖までとバイタクの親父さんが説明してくれました。
50元だと言うので、高い40元と返すとあっさりOKでした。
これは失敗したかと少し後悔です(帰りは別のタクシーで30元)。
それでもタクシーで早く着ければ帳消しになるものの、これは確認しなかったわたしが悪いのですが、このタクシーが乗合タクシーで他に客をふたり拾ってまわり道したため、それなりに高いわりにあまり早くない中途半端な乗り物となってしまいました。

そうして到着した龍湖古塞でしたが、いきなりぶつかったのが奇妙な行列でした。
揃いの古びた服を着た人たちを先頭に何人もの人がぞろぞろと歩いています。
タクシーがやり過ごしたところで、わんわん泣く女性が見えてきてすべてを察しました。

葬列です。わんわん泣いているのは、たぶん家人とかではなく雇われたいわゆる泣き女でしょう。
何か書かれた紙を路上に撒きながら歩いている男性もいて、縁起がいいものではないことを忘れ、伝統的行事を目の当たりにできたことに少々感謝します。
人々の歩みに重々しさはなく、きっとピンピンコロリと大往生された方のお葬式だったのだろうと想像します。
【M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Wollensak Cine-Velostigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/06/09 Wed

她的位子

M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5
世界遺産クラスの道韻楼ですが、見どころがすごくいっぱいかと言えば、村単位で古い建築が並んでいるような古鎮にはかないません。
土楼は非常に大きいですが、ひとつの建築物にすぎないですし、円形にかたちが整い過ぎているので変化に乏しいということもあります。
その見た目のインパクトとは別に、ブログで何枚も写真をあげるには少し厳しい気がします。

それに暗くなりかけてから到着しましたし、滞在中ずっと雨で撮影がだいぶ制限されたということもあります。
えー、もう終わっちゃうのと不満の声も聞こえてきそうですが、道韻楼の紹介は昨日で終了です。

昨日の女の子たちが自分の家に招いてくれましたので、また少し部屋の中を見学しています。
古い家具とか鍋が階段に5個も並んでいるところなど、おもしろいところがありますが、そんなのばかりずっと見ているわけにもしきません。
少しいっしょにテレビを見たあと、8時半を廻ったのを機に彼らに別れを告げました。
もしかしたら、この間に王さん夫妻が戻るのではと期待しましたが、結局これもかなわずじまいでした。

仮にすべてを見尽くしたとしても、こんなところまで来る機会は二度とないかも知れず、もっともっとのんびり滞在するという選択もありました。
せっかく子どもたちとも仲良くなったし、さすがに昼くらいまでいればお世話になった王さん夫妻とも再会できるでしょう。
しかし、朝食抜きでお腹が空いてきたのと、むしろ帰り道に別の古鎮に寄ってみたいという気持ちがあったので少々早めに道韻楼を切り上げたということがあります。

道韻楼付近で朝食がとれればよかったのですが、あいにく見つけられませんでした。
止むなく来た道を戻って、バス停近くの食堂エリアに出ました。
昨日の夜、麺の専門店が一軒だけあるのを確認していたので、朝食はここでと決めだのでした。

おはようと声をかけて、ここの名物と思われたブタ肉団子の麺を頼みました。
女性がひとりで店を切盛りしているように見えていたのに、中では小学生の娘がワンタンを作っているのが微笑ましいです。
ワンタン麺にすればよかったか。

ちょうどわたしと入れ替わりに中にいた3人が出て行って、客はわたしひとりになりました。
そのタイミングを見計らっていた女性が、娘のためにそばをちょうど作り終えたところでした。
娘は、何か叫ぶと、それを合図に弟と妹が裏から現れました。

ひとりだけかと思ったのに、兄妹ふたりもいっしょに朝食をとるようです。
小椀にふたりの分を取り分けて与えています。
そして、小さな妹のためには専用の椅子もしつらえてあげています。
足をぷらぷらさせながら食べる妹の可愛かったこと。

今回主力で使用したウォレンサックのシネ・ヴェロスティグマットは今まで見てきたようにかなりのクセ玉です。
全体にコマフレアの影響が大きいですし、周辺部はかなり流れます。
それでいて、中心部は適度なシャープネスがあって全体のバランスをとるので、撮影時にはそれを活かした構図が求められます。
もちろん、ただ毎度日の丸構図では芸がないので、そういった面も考慮した工夫が必要です。

作例のケース、あどけない少女の表情の中で特にもぐもぐする口もと、それにぷらぷらと落ち着かないはだしの足、それが上下に分かれてしまって、これを納めるのはかなりの難問です。
どうすればよいのか。
はい、至近距離でこっそり撮影したわたしは、ただ、全身をぎりぎりに収めるのに精いっぱいで、何かアイディアを生み出す余裕などありませんでした。
【M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Wollensak Cine-Velostigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/06/07 Mon

茉莉花的香味

M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5
昨日、夕食をご馳走してくれた王さん夫妻は、自宅で子どもたちに授業をしていると聞いていました。
それは朝7時半からということでしたので、授業参観させてもらおうと目論んでいました。
しかし、よく考えてみれば今日は日曜日ですから、授業はないようです。

それにしても、王さんの家の玄関には閂がかかり、早朝から出掛けてしまっているようです。
来る時に田を突っ切って歩きながら、すでに働いている人々を見たので、もしかすると王さんたちも早くから田に出たのかも知れません。
昨日、ご馳走してくれた食事も彼ら自身で育てた野菜だとすれば、美味しいと食べたわたしに笑顔を向けた意味も理解できます。

しかし、この古い建物の中で、ふとくだらない空想をしたりもしてみます。

激しい雨の中、疲労困憊の旅人が飢えを感じて客家の土楼の門を叩くと、老夫婦が現れ旅人を不憫に感じたのか食事を与えてやりました。
感謝した旅人は、翌朝老夫婦の野良仕事を手伝うべく早起きして、昨夜の門をまた叩きますが返事がありません。
おかしいと思い、なおも門を叩いていると、隣の家の扉が開き老夫婦と同年輩に見える老婆が顔を出しこう言いました。
その家にはもう何十年も人はいないんだよ。
おまえが会ったのは、500年前この土地にやってきたわたしたちの祖先だったのだろう、昨日は命日だったからね…。

お世話になったふたりには失礼なようですが、むしろ敬愛の念でこんな空想にふけってしまったわけです。
それくらい翌日にお会いできなかったのは残念でした。


さて、道韻楼には100人強の人が暮らしているということでした。
作例の子どもたちは、昨日も会って雨の中いろいろと話相手になってくれましたが、写真を撮ろうとすると拒否されるのでした。

ですが、今朝もう一度わたしが来たことはかなり意外だったらしく、昨日以上に歓迎ムードで接してくれました。
道韻楼の門には机が置いてあって、そこで入場料を徴収するようになっているようでしたが、昨日も今日も誰もおらず、タダで出入りできました。
つまりは、入場する人はほとんどいないので、わざわざ徴収係をおくより、タダにしてしまえということでしょう。
そんな中で二日続きで来てくれたというのは、子どもたちにとって自分たちの住まいを認めてもらったというような誇らしさを感じさせるものだったのかも知れません。

カメラを向けると叫び声をあげながらダッシュで逃げていた右の少女も、今日は顔をそむける程度までに心を開いてくれていました。
彼女の肘の下に白い花が見えますが、その花を彼女は手折って、恥ずかしそうにわたしに手渡してくれました。
香りを嗅ぐようジェスチャーで示します。

懐かしいような澄んだ香りがしました。
これは茉莉花のようです。
ジャスミンですね。
彼女たちからの歓迎のプレゼントのようです。

わたしはそれをカメラバッグの中にそっとしまいました。
旅の間中、彼女たちや王さん夫妻の気持ちがこもったお守りのように大切にするためでした。
【M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Wollensak Cine-Velostigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/06/06 Sun

賓館的喝茶

M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5
道韻楼がある三饒は、東西に長い広東省の東のはずれ、饒平県の北の方にあります。
初日に紹介した饒平のバスターミナルは、ほんとうに東のどん詰まりのような所で、もう8キロほど進むと隣の福建省という位置です。

出発した深圳から乗り継いだ汕頭まで約400キロ、汕頭から饒平まで約60キロ、そして饒平、三饒間はおよそ50キロですから、だいたい500キロの道のりだったことになります。
東京から東名・名神と進んで京都南インターまでが504キロだそうです。
京都に1泊旅行したんだと思えば距離的には納得です。

今回惜しむらくは、高速の大渋滞と大雨で、運が悪かったのだと諦めるしかないですが、アクセスと天気に恵まれれば、東京から京都へ旅行する感覚で(ただしバスでの貧乏旅行)楽しめるはずです。
ただ、コスト対時間の関係でいえば、航空機で廈門へ飛んで、乗合タクシーで南靖の有名な土楼群を見に行く方がずっと良いというか、よほどまともな行動と言えそうです。

今回もできれば、道韻楼に泊まりたかったのですが、家の中は拝見できましたし、ロケーション的にも街中ということで無理に建物内に宿泊しようとするのは断念して、素直にバスを降りたあたりに見かけた安ホテルに荷を解くことにしました。

来る時は分からなかったので20元を10元に値切ってバイタクにまたがりましたが、やはり歩いても15分ほどで戻ってこれましたので距離にして2キロないでしょう。
3元ないしは5元の距離ということで、当然ボラレたことが確認できました。
大した損失ではないですが、親切そうな顔をしたバイタクの親父が知らん顔して4倍も7倍もふっかけているのだと知ると、少し悲しい気持ちになります。

宿は典型的な地方の賓館、つまりは安宿です。
アメニティ一式、テレビ、エアコン、お湯の出るシャワーなどはありますが、歯磨きの毛がごわごわで歯に悪そうですし、テレビがまともに写るのは3局くらいだけ、エアコン付けるより窓を開けた方が涼しいくらい、シャワーは自分でガスボンベのバルブを緩めて着火させる方式で爆発しないか不安いっぱいと、何に付け中途半端です。

1泊100元だというので、高いと一言言うと、じゃあ80元と即刻20%オフですが、実際は50元くらいまで下がりそうな雰囲気です。
身分証を出せと言われて、外国人なので身分証はない、パスポートでいいかと聞くと、露骨にしまったという顔をします。
100元から下げなきゃよかったということでしょうか。

近隣に安食堂が何軒もあって食事には困りません。
王さん家で夕飯はご馳走になっていたので、食べなくても良いのですが、まだ7時前ですることが何にもないので、冷やかし的に1軒で地元料理をと注文してみました。
海から50キロ離れた内陸部でしたが、大雑把な区分けで潮州料理にあたるここのローカル料理は海戦のようで、魚の胃袋とブタと野菜を炒めた料理を作ってくれ、なるほどこれは非常に美味でした。

土産屋も何もないところで、雨も降ってるしで食後はホテルに舞い戻るしかありません。
すると受付がおっさんから少女に代わっていました。
しかもおっさんが今日は外国人が泊まっているぞとしっかり引き継いだようで、わたしを見るやすぐに質問攻撃が始まります。
いつもなら面倒なだけですが、なにしろすることがないうえに、若い女の子相手とあっては願ってもない展開でした。

わたしがバックパックを背負っていて、下手くそな発音で話す言葉にいかにも外国人旅行者の典型を見たのでしょう、尊敬のこもった対応が何より快適です。
お茶までご馳走してくれたのですが、香港や台湾でよく見る小さな茶器で鉄観音茶などをすする工夫茶は、潮州が発祥と言われるくらい普及しているので、20歳くらいの少女でも実に見事な手さばきでした。

ずいぶんと長いこと雑談していましたが、それでもやっと9時です。
わたしももう少し若ければ、きっと何か別の展開が待っていたのかも知れませんが、そういう期待を持っていることを悟られるのが恥ずかしくなって、部屋に戻ることにしました。
客はわたし以外にももう1組2組いるようでしたが、わたし以上に退屈ですることのない少女は、仕方ないのでテレビでも見るからと言って、わたしに別れを告げました。
夜だけ働いている彼女にもう2度と会うことはありません。

わたしも部屋に戻り頑張ってニュース番組を1時間ほど見ましたが、退屈の限界でついに眠りに就きました。
たぶんまだ10時くらい。
実に健康的です。
実際、翌朝は5時に目が覚めてしまったくらいでした。
【M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Wollensak Cine-Velostigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/06/04 Fri

来我家吃飯

M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5
深圳を出たときには東側の座席にに座ったので強い日差しを直撃して、すっかり安心しきっていました。
しかし、饒平から三饒への道は内陸に入り込んで行くため、わずかずつ高度が上がると雲行きはにわかに怪しくなってきます。
そして、間もなく三饒というときに恐れていた雨がぽつぽつと落ちてきたのでした。

バスを降りた時はまだ傘がなくても問題ない状況で、群がるバイクタクシーと交渉して10元で念願の目的地までやって来ました。
その建物は、郊外に忽然と現れるというイメージだったのですが、村の中心からこそは外れるもののじゅうぶんに街中にあると言えるロケーションだったのが不思議でした。
門の上に大きく道韻楼と書かれていて、ここで間違いないとは分かりましたが、まわりは普通の民家だらけで案内でもしてもらわなければ気付かないようなところにぽつねんとしています。

道韻楼はいわゆる客家土楼という巨大古建築です。
円楼とも呼ばれるように大きなドーナツ状の建築を細かく仕切って部屋にした、集合住宅と言ってもなかなか理解してもらえないでしょうか。
福建省の永定や南靖には土楼が密集していて、世界遺産に登録されているので知る人も多いかも知れません。
数年前、その永定を訪れた感動は忘れ難く、また、いつか土楼への気持ちを忘れることはありませんでした。

永定よりアクセスのずっとよい三饒でしたが、それでも長旅の末にようやく道韻楼に入り込むと、ほどなく豪雨に変わりました。
折りたたみ傘は持参していましたが、撮影どころの騒ぎではありません。
到着が遅くすでに暗くなりかけてましたので、すっかり途方に暮れて屋根の下に立ちつくすばかりです。

そんな時でした。
買い物から戻った女性が、お上がりなさいと声をかけてくれました。
大雨の中の窮地から救ってくれたありがたさと、できれば見たいと思っていた土楼の生活の一端をいきなり拝見できるというありがたさの二重の感謝を感じる話しです。
お礼を述べて遠慮なく中へ招じ入らせてもらいました。

王さん夫妻は、小学校の先生をしていましたが数年前定年退職して、娘も結婚して家を出ているためふたりで暮らしています。
地元出身ですが、実は客家ではないというのが驚きでした。
三饒は、客家の多いエリアですが、潮州人ももともとのローカルとして多く存在していて、道韻楼の住人もけして客家だけではないのだそうです。

定年退職したということは年金や恩給で暮らしているのか聞くと、そんなものはもらっていないとのことです。
近所の子どもたちに勉強を教えて授業料をもらって生活しているということでしたが、なるほど部屋の奥に黒板があって子どもたちにやさしく教える夫妻の姿が想像できました。

まだ6時前でしたが、もう夕食なのだということで暇を告げると、何を言っている食べて行きなさいと強く勧めてくれました。
こういうときの食べて行きなさいは、中国の、それもいなかでは社交辞令ではないようです。
こちらもあらためて邪魔でしょうからと帰ろうとすると、王さん夫妻は少し悲しそうな顔をしたように感じました。

では遠慮なくいただきますよと食卓につき、夕食をご馳走になりました。
想像されるとおり、食事は白粥、キュウリの漬物をスープにした料理、卵と野菜の炒め物とたいへん質素なものでした。
しかし、味付けは素晴らしいもので、お粥はおかわりするし苦手のキュウリも美味しくがつがつといただきました。

言葉の問題もあるので賑やかな食卓にすることはできませんでしたが、想像するにふたりの単調な生活に多少の変化をもたらしたことでまったく邪魔な訪問ではなかったのではと思うことにします。
おふたりには、また明日朝来ますのでと告げて、道韻楼を後にしました。
【M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Wollensak Cine-Velostigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(1) | 2010/06/03 Thu

巴士遅到

M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5
今回、おおむね3日間滞在する日程で、中国に行きました。
うち2日間は所用に費やし、中日に比較的近い古い村を訪れて撮影する計画です。
しかし、前日になって初日の予定をドタキャンされてしまいました。
まる1日予定が空いてしまったかたちです。

当然困ってしまうわけですが、中国と付き合っているとしばしば起こることです。
逆にチャンス到来と考えることにしました。
日帰り予定の古鎮巡りを、1泊にしてなかなか行けないところまで足を延ばしてしまえと発想転換したのです。

とは言っても、すでに深夜に深圳到着していて、どこへ行ったらいいか熟考する必要がありました。
真っ先に浮かんだのが、連州の千年瑶寨です。
2度行ったことがありアクセスなどに不安がないからですが、村の素晴らしさにもかかわらずやはり3度目となると魅力がかげるのは否めません。

代わって浮上したのが、三饒という村です。
前々から広東省の古鎮を紹介する本の中で、いつかは行ってみたいという思いがあったので、この機会を逃す手はありません。
ただ、はっきりとした場所等は分からないので、ある程度手探りの旅になることは覚悟しなくてはなりません。

3時間ほどの睡眠をとって、早朝、深圳のバスターミナルに行くと最寄の饒平行きは9時台の1本だけでしたが、隣の都市と言える汕頭へは7時20分から20分おきにバスがあることが分かりました。
確認すれば4時間で着くというので、160元と高いチケットを即買しました。
11時半に汕頭に着くのなら、恐らく1時間程度で饒平まで出れるとして、まあ三饒まで遅くとも3時には到着できると計算しました。

高かったバスの理由は分かりました。
乗車したバスは、今まで利用した中で最も豪華なバスで、行き先表示のところに「航空商務座」と誇らしく書かれた、航空機のビジネスクラス並みの座席を売りにしているバスなのでした。
確かにたいへん快適ですが、前夜3時間睡眠のわたしは、即座に眠りに落ちたのでそのありがたみをそれほど享受したとは言えません。
それよりも、「航空」と自慢しながら普通のバスと変わらない大きな問題にがっかりすることになります。

バスは順調に滑り出して、高速に入ったのを合図に、わたしはすぐに爆睡モードに入りました。
そして、なにか怒鳴っている親父の声に目を覚まされました。
気付くとバスは停車していて、サービスエリアの休憩に入っているようです。

しかし、そうでないことはすぐに分かりました。
何分も微動だにしないような激しい渋滞にはまっているようでした。
怒鳴る親父は恐らく潮州語のようで何を言っているのかはさっぱりでしたが、恐らく高い金を払っているのに遅れやがって馬鹿野郎と運転手に噛みついているのは一目瞭然です。
これは想像ですが、航空商務座だったら、航空機みたいに飛んでさっさと目的地まで連れて行けとも言っているのではないかと思いました。

いつの間にかわたしはまた眠ってしまっていたのでどのくらいの渋滞だったかとか、その原因とかは確かめられなかったのですが、到着は2時半と3時間も遅れたのには驚きました。
7時間乗車していたことになるからです。

汕頭のバスターミナルから饒平までのバスは比較的多いようで10分後に乗り継ぐことができました。
むしろ乗り継ぎが良過ぎて、昼食がとれなかったくらいです。
そして予想通り饒平のバスターミナルには1時間後に到着します。
昨日の作例のところです。

汕頭バスターミナルの売店で地図を購入して、三饒を探したのですが、それはあっさり見つかりました。
それで饒平で三饒行きのバスはあるかと聞くと、ここでも10分後にあるとの返事でした。
ここでも乗り継ぎの良さに幸運を感じます。
なにしろ予定を3時間も遅れてしまっているので、無理してでも早く到着する必要があります。

地図で見て汕頭-饒平間と饒平-三饒間がほぼ同距離なので想像がつきましたが、やはり三饒までは1時間かかるとのことでした。
これならどうにか5時に目的地到着が可能のようです。
こんな地方なら渋滞もないでしょうし。

果たしてバスは快調に飛ばし、修正した予定通り5時前に三饒に到着しました。
ただ、予定通りではなかった重要な事態に見舞われてしまいます。
少し文章が長くなり過ぎましたので、その不測の事態については明日につづくとさせていただきます。
【M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Wollensak Cine-Velostigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(3) | 2010/06/02 Wed

7号窓口

M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5
上野駅やローマ・テルミニ駅など、ターミナル駅には旅情をかきたてるものがあると思います。
男女が抱擁して別れを惜しんでいたり、たくさんの荷物がその人の人生のスタートを暗示していたり、背伸びした少年の冒険だったり、実際に見たというよりは、映画のシーンでの印象なのかも知れませんが、確かにある種の駅には独特の旅情があると言えるでしょう。

中国の場合は、ターミナル駅のようなところは近代化され過ぎているか、ひどい雑踏で治安が悪そうとおもうばかりで旅情と結び付かないような気もします。
むしろローカルのひなびたバスターミナルにそれを感じました。
広い中国では、まだまだ鉄道よりもバスが人々の足だからということもあるからでしょう。

ここは、広東省のはずれもはずれの饒平という町のバスターミナルですが、旅情を誘うにはじゅうぶんな雰囲気に包まれています。

聞いたこともないような町の行き先が書かれた古いバスが整然と何台も並んでいるのが、どれでもいいから勘で飛び乗ってやれという気にさせます。
老夫婦がこれから乗る長距離バスに少し緊張の面持ちで、長椅子にかけているのが微笑ましかったりします。
入り口には、野菜売りのおばさんが、まったく売れないので投げやりになったのか、べたーっと座り込んでいるのに同情したりもします。

建物だって不思議に満ちています。

バスの切符売りといえば無愛想と相場が決まっているのに、妙に親身に対応する女性が頑張っています。
ここまででかい時計が必要かと訝しがらざるを得ない、巨大時計がコチコチと時を刻んでいます。
窓口の番号が左から右にではなくその逆に並んでいるのが、何故なのか理由を求め思考してしまいます。
それに、窓口は10番まであるのに、切符売りはひとりだけというのも、無駄と不思議のどちらかなのかを一考せざるを得ません。

そんな中、キーボードを提げた不思議な少女が現れました。
こんないなかのバスターミナルにはあまりに不釣り合いですが、誰も不思議とは思わないのでしょうか。
考えてみれば、そこにはライカをぶらさげてその少女をスナップする男がいたわけで、不思議と言えば土地の人にはわたしのことだったのかも知れません。

今回の旅は、こんなかたちでスタートしました。
【M8/Cine-Velostigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Wollensak Cine-Velostigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/06/01 Tue
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