草苺糖

X-E1/Anastigmat 5cmF1.5
確かこのダルマイヤー・アナスティグマットを使うようになってからのことだと思うのですが、50mmF1.5レンズを蒐集しますと宣言しました。
当時、キノプラズマート、ゾナー、ノクトン、シムラー、セレナー、ジュピター等の同スペックレンズをすでに所有していましたが、新たに加わったアナスティグマットも含めて、いずれも個性的で使っていて楽しくなるレンズばかりです。
構成も、プラズマート型、ゾナー型、ガウス変形型、ゾナー・ガウス折衷型とバラエティに富んでいるのが魅力的でした。
まだ他にも50/1.5というスペックのレンズは存在していましたので、これらを集めてみようと考えたのです。

よくよく考えればあまり意味のない発想でしたが、購入するレンズに一貫性がなく無闇に増殖していくなかで、今後の蒐集に方向性を持たせなければいけません。
折しもそのとき親交を深めつつあったksmtさんから、面白い発想ですねと言われ、すっかり舞い上がって背中を押された気持ちで50/1.5レンズを探し続ける人生を始めてしまいました。

もともとF1.5というF値のレンズはそれほど多くありません。
とくに戦後は、新種ガラスの登場とともに多くの収差の問題が解決したことで、無理してF1.5を達成していたところが余裕でF1.4まで引き上げられており、ルート2の系列に収まったことで1.5という数字が意味をもたなくなったからでしょう。
LEICA COPIESという本には16種の50/1.5レンズがあることになっており、わたしもトプコール、ニッコール、クセノン、SKなどを入手したもののそこでネタ切れになってしまいます。

そこで止めていれば健全な趣味ということで済んだのですが、わたしは自身の中にある暴走する機関車の停め方を知りませんでした。
主にシネ用レンズから同スペックのレンズを掘り起こしては、MSオプティカルに送ってライカマウントに仕立ててもらい続けます。
レンズ本体以上に改造費の方が高くついてしまいますので、最低限度の生活まで支障を来すようになってしまいました。

それすらも玉がなくなってしまい、必然のように続けたのが、焦点距離の縛りをとった上でのF1.5レンズ探しです。
1インチ(25mm)は4隅が大きくケラレるので対象から外し、35mmは2本しかなくその2本とももともと所有していたので、残すところは中望遠系だけになったのですが、これらもいくつもあるわけではなくもうほとんど網羅しつつあります。
いよいよ、こんなバカなコレクションも終焉のときが来たとホッとしたのも束の間、いま、ゾナー50/1.5のバリエーションを細々と集めることで必死の延命をはかっている状況です。
それも年内もつかどうかですから、次のシリーズのアイディアでも練らなければなりません。

さて、今日の作例に登場するは、八幡さまの参道に出ていたイチゴ飴の屋台です。
きっととても甘い飴なのでしょう、甘い描写のF1.5レンズを象徴していて、とても放ってはおけない親近感を覚えました。
イチゴは酸っぱいんじゃないのと言う人がいるかも知れません。
わたしはこう答えるでしょう。
酸っぱいのはイチゴではなくレモンです、ほら、作例をみてください、イチゴはこんなに甘いではないですか、と。
【X-E1/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2013/03/16 Sat

巴塞羅那復活

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ここ最近、体重が一気に5キロくらい減って、もともと体はダブついていたとは言え、少しだけスリムになることができました。
しかし、それはけっして喜ぶべきことではなく、実はつらい出来事が重なって食事がのどを通らなくなったためだということを知る者はないでしょう。
そのつらい出来事が何かを知るひとはましてや皆無のはずです。

それが何かと明かせば、先々週、先週と我が愛するFCバルセロナがたいへんな不調で大切な試合を3つも落としたからなのでした。
調子がよくて相手にやられたのであれば、ツイてなかったでもよくやったなどとヘコミつつも何とか立ち直れるのですが、内容がふるわず相手にコテンパンにあしらわれた、しかも重要な3試合で、なおかつレアルマドリードには連敗とあっては絶望の淵に叩き落とされて立ち直ることは叶いません。
すべてにおいて無気力になり、新聞やニュースを見るのが怖くなり、食欲がゼロになりました。

さらに連敗を続けていれば、このままいくと本当にわたしは病気になっていたかも知れません。
その後、リーガ最下位のデポルティボには勝ちましたが内容はけっして褒められたものではなく、少なくともわたしが立ち直るきっかけとはなりませんでした。
今期はこのままずるずるといってしまうのではと不安でなりません。

ところが、突然の朗報がもたらされます。
チャンピオンズリーグのベスト16第2戦の対ミラン戦で4-0で圧勝し、しかも内容は今期最高のものだったといいます。
バルサの時代は終わったと突き放され、守備だけに徹するはずのミランのカギをこじあける力はもうないと嘲笑され、恐怖で試合結果を見ることができなかったわたしに知り合いからお祝いの言葉がかけられてそのことを知ったのですが、その瞬間から体調はもとに戻っていままでがウソのようにすこぶる好調になってしまいました。

FCバルセロナの調子ももとにもどったのかどうかはまだ分かりません。
不調に陥った原因については、メッシに頼り過ぎだとか、他のフォワードが点の取り方を忘れたとか、グァルディオラがいなくなったからだとか、後任のビラノバが療養中だからとか、センターバックの布陣がいつも変わっていて守備が安定していないからとかいろいろと言われていますが、本当のところは誰にも分かりません。

わたしが敢えていうとすれば、上にあげた原因は少しずつあたっていて、それぞれにわすがな部分がズレていったために全体では選手たちにも気付きにくいところでのズレとなって影響したからなのではないかと思うのです。
ひとつふたつのことがらが大きく崩れてもそれを修正したり他で補うだけの力を持っていても、全体が少しずつ狂うとそれを解決させるには、FCバルセロナのサッカーはあまりにセンシティヴだということです。

さて、バルサがミランを破ってチャンピオンズリーグのベスト8に進出したことは、わたしにもうひとつの影響をもたらしました。
先日、休暇でチベットに行きたい云々と書いたのですが、その直前まではカタルーニャを旅してカンプノウでチャンピオンズリーグの準決勝を見ようと計画していました。
昨年末に日本を訪れたカタルーニャ人のダヴィドからいっしょに見に行こうと提案してもらつていたたからです。

ミランとの初戦を落としてこの計画を諦めてしまったのですが、ここへきてまた計画は復活を果たすことになります。
ちょうど今日ベスト8の組み合わせ抽選があり、FCバルセロナはパリサンジェルマンと対戦することになりました。
勝ち進めれば準決勝でその前にまた抽選があり、そこで第1戦がホームになれば計画を実行するつもりですが、第2戦がホームだとこれはゴールデンウィークの中日で仕事の関係で休むことができなくなります。

ベスト8を勝ち上がり(確率9割?)、抽選結果が吉(この確率はフィフティ・フィフティですね)とでれば、晴れてカタルーニャに行かなくてはと思っているところです。
そのときの要望が2つあります。
準決勝の対戦相手がレアルマドリードで、目の前でリベンジを果たしてほしいということがまずひとつ。
もうひとつは、そのときまでせっかく減った体重が増えていないようにということです。
【X-E1/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/03/15 Fri

入蔵的弁法

X-E1/Anastigmat 5cmF1.5
ストラップのオーダーと合わせてもうひとつ鎌倉での用事がありました。
和田塚駅近いレザーショップから鎌倉駅を過ぎてちょっと行った寿福寺に近いチベットグッズを扱う店に移動します。
店番していたのは、まぎれもなくチェンりーさん。
最初、あれというような顔をしていましたが、おや久し振り、2年かなと、ずくにわたしを思い出したようです。

チェンりーさんは、中国青海省出身の蒙古族の男性です。
チベット仏教を学んだ後にチベットのラサで旅行会社を起こし、その後日本人旅行者と恋に堕ちて結婚して、いま鎌倉でチベット関連のアイテムを扱う店を開いて5年という平坦でない人生を歩んできているようです。
少なくともこれまでの半生を文章にしたら、わたしのブログなぞよりずっと面白いものになることでしょう。

わたしの用事というのは、今年、念願のチベットを旅行しようと思い立ち、その相談をしにいったのです。
チベット人と中国政府の関係は未だ予断を許さないところがあって、個人に対する入蔵証(パーミット)が発給されないとの信憑性の高い情報があったので、パーミットを取る裏技はないのかずばり聞きに行きました。
さすがは、ラサで旅行社をやっていたプロです。
チベット入境手続きをするのは中国なんだから、裏技がないはずはないでしょと方法を教えてくれ、仲間の旅行社を紹介までしてもらいました。

ただ、何も知らないわたしには厳しい旅の話も聞きました。
パーミット取得には最低翌日までかかること、山の上にあるラサでは高地順応のために到着後2~3日はおとなしくしていた方がよいこと、聖地カイラスへは4駆のチャーターかツアーに参加が必要で片道3日かかること、等々。
つまり、1週間しか休みが取れないわたしには、カイラスまで行くのは絶望的だということです。
パーミットに賄賂を上積みして、事前高地トレーニングで到着時には順応していて、カイラスへはやっと着いたのに1泊だけでとんぼ帰りという強行軍を遂行するのが唯一の手段ということでした。

ラサと周辺だけを見て回るのもいいですよと薦めてもらいましたが、今年こそチベットへとの決意はかなりしぼんだのは事実です。
以前にも行きましたが、四川や雲南、青海などにもチベットエリアがあるので、費用的にはずっと安く済むそういった選択肢も考えられます。
これはかなり悩むことになりそうです。

その青海は、チェンリーさんの出身と書きましたが、数年前にわたしも青海湖や西寧には行ったことがあると話すと、では塔尓寺には行きましたかと聞かれました。
まさにその塔尓寺に行きたくて西寧まで行ったのだと答えると、チェンりーさんは若いころそこで4年ほど修業していたとのことです。
意外な接点があったことで少し盛り上がることができました。

塔尓寺はチベットの6大寺のひとつで、多くの若い僧がチベット仏教を学び、それよりもはるかに多い信者がはるばる巡礼にやってきます。
その由緒ある寺のお香があるよと見せてくれました。
薫香と書かれた箱に入ったお香はやわらかな薬草のような香りがして、現地では風邪をひいたときなどこのお香を焚いて治すのだとのことです。
修業僧はこのお香をつくるという日課があって、わたしもいっぱいつくったものですと懐かしそうに語っています。
風邪はひいていないわたしでしたが、塔尓寺を訪れたときのことを思い出せるかも知れないと1箱求めることにしました。
【X-E1/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/03/14 Thu

1/20鏡頭

X-E1/Anastigmat 5cmF1.5
鎌倉に持って行ったレンズは、アナスティグマット2インチF1.5です。
こう書いてもなんのレンズかは分からないでしょう。
製造メーカーがダルマイヤーと書いても、まだ分かりにくいかも知れません。
レンズ銘板には、Dallmeyer Anastigmat 2inch F1.5 としか書かれていませんが、セプタックと同じレンズです。
X-E1の2回目の使用にあたって、いちばん好きなレンズを試してみようと思っての選択でした。

5年と少々前のことですが、イギリスのカメラ店にこのレンズを見つけたのですが、外観はボロボロでダルマイヤー・アナスティグマットとだけ書かれたレンズヘッドは確か1万円以下にも関わらず誰も買おうとしないようです。
もちろん絞りはあるもののヘリコイドは付いておらず、さらに前玉がキズだらけとあって、素姓の分からないこんなレンズに手を出す人がいないのはむしろ当たり前でした。

しかし、このレンズの絞りリング部分がふくれたデザインはセプタックのそれとそっくりだと気付きます。
それに、日本には、レンズヘッドにヘリコイドを付けてライカに距離計連動で使えるようにする名人が、キズレンズを研磨によって再生する名人がいます。
間髪入れることなく購入しました。

早速MSオプティカルへ送ると、ライカマウント改造は簡単だが…、との返事です。
ただ、この前玉はひどいので山崎光学で研磨しないとダメでしょうとのアドバイスで、自分の目論見通りの展開になりました。
宮崎さんから山崎さんに送られたレンズですが、ここでも研磨は可能ですとの即答をもらいます。
ひとつ問題になったのは、コーティングをするかどうかということでした。
本来オリジナルを尊重する立場からはコーティングは避けるべきかなとも思いましたが、研磨の時点でオリジナルでなくなっていると考えれば、あえてコーティングするという道を悩んだ末に選びました。

ガラスの反射率は確か5%程度と言われているのではなかったかと思いますが、コーティングにより大幅に改善されたとすれば、5%性能が向上したのではと、このレンズのケースでは考えることにしました。
開放でフレアつぽさが顕著なセプタックですが、少なくともその点においては、わたしのレンズには有意差があるように思います。
しかし、コーティングが収差を軽減する訳ではないので、ボケなどはこれまで見た他のセプタックとそっくりなのが何とも言えず好きです。
結果的に、世界でいちばん使いやすいセプタックになったのではと思っています。

改造と研磨で6万円ほどかかりました。
トータルで7万円ですから、標準レンズとしてはとても安いとは言えません。
それでも外観がボロボロだったおかげで、日本に君臨する両名人のおかげで、また、当時はまだレンズのブームが起こっていなかったというタイミングのおかげで、今では入手の可能性のほとんどなくなったセプタックを手に入れることができました。
いま、eBayにセプタックが出ていますが、これも宮崎さんの改造になるレンズで日本円にして3百万円(!)です。
この値付けは強引すぎですが、少し前にも1万5千ドルで出ていたセプタックが売れたようでしたので、7万円から20倍の値上がりをしたということになりそうです。
セプタック恐るべし。

今日の作例は、コーティング・セプタックの面目躍如の1枚になっていると思います。
やや逆光ぎみながらフレアっぽさは最小限に抑えられ、一方でセプタックらしいハイライトの滲みとしっとり感溢れた描写を実現しているからです。
失敗だったのは、いかにも安っぽいデジタル臭い発色になってしまっていることでしょう。
ホワイトバランスをオートのままで撮ったのが敗因でしょうか。
X-E1に限ったことではないかも知れませんが、シチュエーション次第でホワイトバランス設定をまめに変更すべきなのだろうと思います。
【X-E1/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/03/12 Tue

梅花開得美麗

X-E1/Anastigmat 5cmF1.5
今日、3月11日は東日本大震災から丸2年を迎える日です。
昨年のこの日は、もう1年経ったのか早いものだと時間の経過の早さに驚いたことをよく覚えていますが、今年はまだ2年だったかとむしろ時が止まったかのような感覚になりました。
この感覚こそ、震災の風化に他ならないと思われました。
こんなことではいけない、復興がまったく進まないなかで、つねに被災地に対しては関心をもって見ていかなくてはと再認識した次第です。

さて、先週末はふたつの用事があって鎌倉に出掛けてきました。
予報がとてもよく、春らしい天気ということでしたので、絶好の散歩日和ともなったのですが、用事で会った人たちとすっかり話し込んで撮影の時間がほとんど取れませんでした。
いまみると撮影枚数はたったの30枚です。

フィルム時代ですとほぼ1本撮っているので、わたしの間隔では少ないとは言えないのですが、デジタルだとフィルムの3~4倍は撮る感覚なので少ないということになってしまうようです。
枚数が増えている分、写真の質ということでは個人的にはかなり落ちていると自覚しています。
はたから見れば、どちらも変わらないという判定かも知れませんが、1枚1枚の思い入れではまだフィルムてのシャッターの方に力が入っていると思っているのです。

ただ、スナップと言うことに関しては、ここぞというタイミングを見計らって重々しく撮るよりも、軽快に失敗覚悟で撮るほうが結果がいいということも言えます。
あまり上段に構えることなく、1枚を大切にという気持ちを意識するようにしたいと思います。

鎌倉は、どこを歩いても梅が満開で、目をとても楽しませてくれました。
それに、わたしは梅の上品で嫌みでないおとなしい香りが大好きで、目だけでなく花も楽しませてもらえたのがよかったです。
梅の香りの和菓子は聞きますが、梅の香水とか芳香剤と言うのはないのでしょうか。
香りが弱々しくてだめなのか、季節限定的なものを通年に使うのは風流でないという理由があってのことなのかも知れませんね。

2個所で話し込んでしまったため、遅い時間に寿福寺着いたことが幸いしてとても好い光線の中を歩くことができました。
ポスターがいつも邪魔になるのが気になるところですが、木、石、こけ、瓦、竹など枯れた色彩の中で西日を浴びたピンクの梅が浮かんで見えるところが素敵です。
鎌倉に限ったことではないですが、季節や時間を違えて訪れる鎌倉には必ずと言っていいほど新しい発見があります。
【X-E1/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2013/03/11 Mon

戏装玩

M8/Anastigmat 2inchF1.5
貴州の旅シリーズは終わりましたが、戻って1泊した深圳からおまけです。

心休まる喫茶店だったコスプレカフェは、オーナーによる事業仕分けによって馴染みのウェイトレスが次々解雇されてしまったことは先月お伝えしました。
写真展のモデルにまでなってもらい親しくしていた Cyndi も、突然の失業に泣いていましたが、ようやく仕事がみつかったようです。

新しい勤務先は、深圳でも指折りの高級デパートです。
見に来てくれというので、のこのこ出掛けてきたのでした。

まずは当たり前ですが、それまでのメイド服が、ありきたりの制服に変わっています。
それにデパートの接客業は、ゆるいカフェとは違う、背筋がピンとしているような緊張感があります。
そして、驚いたのは、デパートで何を売っているのか知らなかったのですが、覗いてみると女性下着売り場だったのです。

知らなかったでは済まされない、Cyndi があと30分で仕事が終わるから待っていてと言われて、下着に囲まれた椅子にかけて待っていた冴えない気持ちは筆舌に尽くしがたいものがありました。
しかし、店長や同僚の女の子が親切で、いろいろと気を配ってくれ、みじめな気持になることはなかったのがありがたかった…。

仕事がはねた後で、初対面の店長も交えて3人で食事に行くことになったのですが、着替えを待っている間、デパート前のスペースで撮ったのが今日の作例です。

なにか意味不明なパフォーマンスが行われていて、ひとりアニメチックな服を着ている女の子がいて何やっているのか声をかけました。
わたしが外国人ということで英語で対応してくれたのですが、Chinglish というのでしょうか、早口でおかしなイントネーションの発音はさっぱり聞きとれません。

分かったフリをして、それならぜひ写真を撮らせてくれ、ブログで紹介するからととぼけ気味にお願いしてみます。
するとまた訳のわからないことに、自信満々にご覧の決めポーズを見せてくれました。
それに、これはどうでもいいことですが、ラインがでてしまうからでしょう下着を着けていないようでした。
暑い生地のコスプレ衣装だったとは思うのですが、動くとちょっとかなり形状が鮮明に出て…、これ以上書くのはやめておきましょう。

パフォーマンスですが、普通の服でダンスする女の子たちの前を写真の女の子が走り過ぎると、ヒロイン登場とばかりダンスが止まってみんなが拍手喝采するが、女の子はそのまま走り過ぎるというものでした。
アニメか何かの一シーンの再現でしょうか。
いったい何を表現していたのか、凡人のわたしには理解を超えていました。

しばらく見ているとようやく Cyndi と店長がやって来ました。
そのときやっと思い出しました。
彼女たちは下着売り場に勤めているのだから、写真の女の子にプレゼントしてあげればよかったのではないかと。
【M8/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/05/24 Mon

只有一个不同的

M8/Anastigmat 2inchF1.5
小広は交通不便のために、伝統が色濃く残る村のように、少なくとも昨日は感じました。
しかし、明くる朝、世話になった家の若き主人に案内してもらって、一昨年旅した侗族の村々や正月滞在した革族の村、そして苗族の施洞とは決定的な違いがあることに気付きました。
小広では、日常、誰ひとり民族衣装を着て生活している人はいないということです。

もうだいぶ以前に民族衣装は脱ぎ捨ててしまったようでした。
捨てたというと言い過ぎで、実際には年3回ほど行事があって、多くの人はそのときだけ民族衣装に袖を通すようでした。
しかし、ある家で古い民族衣装を見せてもらったとき、その家の30代と思しき女性は着方が分からずに母親に手伝ってもらって何とか着れたという状況でした。

農耕の風景や食事はきっと何十年も、それほど変わらない伝統を引き継いでいるように見えました。
それなのに、なぜ衣服の伝統は日常から姿を消してしまったのでしょうか。
聞いてみてもよく分かりませんでしたが、あるいは交通不便のため生地が手に入らず、先日見たような機織りが先に消滅し、安価な衣服が出回るようになって民族衣装が特別なものに格上げされてしまったのではと推測してみます。
正解は謎のままですが、伝統を否定した結果でないことを祈りたいと思います。

たったこれだけのことですが、小広の印象が少し色褪せてしまったような気がしました。
今になって考えれば、衣服だけが一般になっただけのことなのですが、施洞で見た民族衣装のインパクトがあまりに強かったために感覚が麻痺してしまったのかも知れません。

小広は1414年にはこの地方の長官に属するようになったと記録が残る歴史ある村です。
風雨橋や古い石橋、寺院や劇場など古い建築物が多く残っていて、いずれも素晴らしいものでした。
けして衣装がどうこうということだけで、おもしろくないと片付けられるような村ではありません。
滞在時間があまりに短く、こけらを観光客そのままに見て歩いただけなのは残念でした。

さて、もう深圳へ向けて戻る時間になりました。
昨日と同じルートを逆走して、さらにバスを乗り継いで空港まで行くのはかなり面倒なことですが、旅とはそういうものでしょう。

道中、バスが故障して立ち往生してしまい、後から来た車に乗せてもらうハプニングのため、空港到着が大幅に遅れて航空会社職員に頭を下げてチェックインするハプニングがありました。
見せたからといってプラスに作用したわけではありませんが、未舗装路に停めたバスを運転手が必死になって修理している姿を撮影していたので、それをカウンター職員にこんなことがあったのでと説明に使わせてもらいました。

ぎりぎりのところで、不運と幸運の狭間を行きつ戻りつしたような旅の記録は内容や写真の質を無視して長期にわたってしまいました。
こんな旅にお付き合いいただいた皆さまには、あらためてお礼申し上げます。
【M8/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/05/23 Sun

找到一家古民居

M8/Anastigmat 2inchF1.5
長躯やってきた小広でしたが、到着してすべてが終わったという訳ではありません。
すでに6時になっていましたが、まずは宿を探さなければなりません。
村に入ってすぐに商店があって、よそ者が来たということでか声を掛けられます。
そこで事情を説明して、どこか泊めてくれるところはないだろうかとたずねると、じゃあ知り合いに聞いてやろうと言ってくれました。
こういうケースでは、農村の人はとても親切で、助けられることは多いです。

まだ日は落ち切っていないので、撮影のため散策したいが、それまでに聞いておいて欲しいとお願いしました。
当然、泊めてもらえるだろうと確信してのことです。

小広は谷合いにある村で、川に沿った低い位置にはもちろん、高い位置にいっても家は点在していますし、それに寄り添うように田んぼが広がっています。
美しい棚田の風景です。
商店の人たちも、ぜひ上の方に上っていって景観を楽しんでくれと勧めていました。

棚田のあぜ道は、あみだくじのようです。
少しずつ少しずつ高みに上がっていくことができます。
また、道すがら子どもたちが遊んでいたり、のら仕事から戻る農夫とすれ違ったり、少しずつ変化もあって退屈することもありません。

基本的には山登りですから、汗がどっと出てきました。
しかし、ある高さまで来ると爽やかな風が吹いていて、疲れも飛んで気分は最高潮です。
しばらくのんびりしてから、完全に真っ暗になってしまうと戻るのがやつかいになるなと件の商店めざして下山していきました。

その商店の店主が、さっそく話しかけてきましたが、なんとも残念な回答でした。
親戚に頼んでみたが、OKがもらえなかった、ついては店の上の部屋に泊まってくれないか…。
最悪それでもいたしかたないというか、突然の訪問ですのでその申し出でも感謝すべきところです。
しかし、なんとしても生活を体験しながら古民家に泊まりたいという気持ちがありました。
例を述べつつ、自分であたってみると言って再度、田んぼを上の方に上り出します。

もうすでに暗くなっていて、人がいることは分かりますが、顔までははっきり見えません。
それでも、たずねては申し訳ないと断られを数回繰り返したところで、ついに付いて来てといってくれる女性に出合いました。
そこは新婚夫妻の家で、旦那さんはすぐさま歓迎ムードでしたが、それ以上にお父さんが旧友が戻って来たような歓待をしてくれ、どうにか泊めていただけることになったのでした。

もう7時を廻っていて、ちょうど夕食の時間です。
お腹減ったでしょうと、家族一緒に食事を出していただきました。
苗族の石ちゃんの家ではお祭りということで、多くの料理が振舞われましたが、当然ここではふだんの食事がそのまま出てくるだけです。

しかし、泊めていただける感謝の気持ちとバスに揺られ山を上り下りした後の空腹で、食事はじゅうぶん以上に美味しく感じられました。
遠慮しないでどんどん食べてと、おじいさんが旦那さんがどんどんおかずをとってくれるのが、歓待振りを表していました。

そこで、なかなか宿が見つからなかったことを説明したところ、どうも村人は保守的で面倒ごとを嫌うので、見ず知らずの人を泊めるのは好まないとの説明でした。
その時は気付かなかったのですが、わたしがこの村に着いて最初に写真に撮ったのがさきほどの商店そばにいたこの若い奥さんだったのでした。
つまり、明るいうちにカメラを提げたわたしを見ていたので、警戒感も多少薄れてわたしを導いたのだろうと想像できたのでした。

おじいさんは、自分で飲みながらしきりにわたしに米酒を勧めます。
やはり断るわけにはいかないので、ありがたく頂戴しますが、息子がほとんど飲まない人なので、飲み相手ができたおじいさんは嬉しくって仕方ないと何度も言っています。
昨年の6月に奥さんを亡くしたばかりで、さびしかったということもあったようです。
わずかながらでも、何かの役に立てたという気持ちで、わたしも救われた気持ちです。

明日は午前中のうちに村を出発しなければなりません。
短時間だが案内するからという旦那さんの申し出をありがたく受けることにして、10時には寝床につきました。
以前、お姉さんが使っていた部屋でしたが、ベッドは清潔ですし、高台のせいか蚊がいるということもなく、疲れと米酒が深い眠りに引き込んでくれました。

翌朝6時半くらいでしょうか、まだ暗いうちに起き上がって家のベランダから眺めたのが作例の景色です。
昨夜到着したときにはすでに暗闇で気付かなかった、美しい農村風景が眼前に広がっています。
苦労してきた甲斐があった、そう思わせるにはじゅうぶん過ぎる目覚めになりました。
【M8/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/05/22 Sat

機之音

M8/Anastigmat 2inchF1.5
姉妹節の最終日は、ほとんど町内会の運動会というノリでした。
聞けばバスケットボール大会と綱引き大会が行われるとのことです。
いずれも女子の。
伝統的な祭りとどういう関連性があるのかはまったく不明です。

さすがにこれらを見物してもしようがないと思いつつも、通りがかりにちらっと見たら、これがけっこうおもしろかったのですね。
たまたまやっていたのが、中学生くらいの5人組美少女チームとおばさん軍団の対戦でした。

試合は、機敏な美少女チームがボール支配するのですが、シュートがなかなか決まりません。
そのリバウンドがおばさんの前に転がるとたちまち老獪なパスワークで、ゴール前にでんと構える巨漢おばさんにつながります。
このおばさん、恐るべき決定力でゴールを決めてしまいます。
その時の少女たちの悔しがりよう。

ルーズボールが転がっていくと、やはり瞬発力で少女が先に追い付きます。
しかし、体ごと迫るおばさん軍団が混戦に持ち込み、モール状態になったかと思うと、少女をなぎ倒してまたしても巨漢おばさんにボールが渡ってゴール。
倒れてほこりまみれの少女はまたも悔しそう。

こんな展開を見ている観衆は、全員が全員、美少女チームの応援にまわります。
いや、いじわるな女の子たちの中には、ライバルの女の子がやられるのを見て喜んでいたりする子もします。
美少女が美少女としてこの村で生きる厳しさということでしょうか。
目の前で行われている必死の試合と、それを感情を隠すことなく応援する観衆の反応が、プリミティブな興奮を呼び覚ますようで、はしたないほど集中して試合にのめり込んでしまいました。

姉妹節の踊りよりも、バスケットの方を楽しんでいる自分に気付いて、これはいかんと散策を再開しました。
バスケ会場は昨日踊りがあった学校の校庭で、路地の先に魅力的な木造建築の連なりが見えています。

幸運にも、朝、川辺であった女の子にまた会って、案内してもらいます。
ちょっとインテリっぽい雰囲気の女の子がいたので声をかけると、貴陽の大学で経済を勉強する学生で、姉妹節なんてまったく興味がないと言い放ったりしています。
また別の女の子にカメラを向けると、親指と人差し指で顎を支える不思議なポーズをとります(アデランスのCMそっくりですが、これって世界的にはやっている?)。

ちょっとした散策が実に楽しかったりするのですが、今回とりあげるのは機織りです。
かたんかたんと澄んだ響きが室内から聞こえてきたので、声をかけて入ってみると一見シンプルなようで複雑な動きをする機織り機をつかって生地を織っているところでした。

推定70歳くらいのおばあちゃんでしたが、残念ながら苗語しかできず会話はできませんでした。
ただ、複雑な動きを小気味よい機の音をたてながら淡々とこなしていくのを見学するばかりです。
いままで華美な銀の飾りにばかりに目が行っていましたが、その銀の美しさが映えるのも下地の織物の美しさあってのことだと気付くべきでした。

声をかけても、写真を撮っても動きを止めることのなかったおばあちゃんは、苗族の伝統を途絶えさせないためだと手足が主張しているかのようでした。
案内してくれた少女、伝統に背を向ける女子大生、パワーみなぎるバスケおばさん、ひたすら機を織るおばあちゃん…。
短時間にして世代の異なるいろいろな女性を目にしましたが、それぞれに個性的な彼女たちも苗の姉妹ということなのでしょう。
【M8/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
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Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2010/05/20 Thu

如果嬰児泣了

M8/Anastigmat 2inchF1.5
この日もみんなで朝食をとりましたが、展開が少し違ったものになりました。
昨日で姉妹節のメインのプログラムが終了したため、ゲストで来ていた人たちや一部親戚は帰ってしまっていました。
もともと男性陣の何人かは都会で出稼ぎしていて、地元のお祭り程度では帰郷できないでいたということもあります。

そんなわけで、朝食をとった男性は、わたしの他は石ちゃんのお父さんといとこ、最後まで誰の子か分からなかった男の子の4人だけです。
一方女性陣は、メンバーが変わらないばかりか、石ちゃんの友だちや近所のおばさんなども加わって総勢11名、史上最強の美女たち中国編のようなすごいことになっていました。

今日は姉妹節の後夜祭のような内容だそうで、踊りはなく、石ちゃんの家からは誰からも参加しないということでした。
その言葉がこれから始まることを予告するには十分です。
朝から酒盛りが始まったのでした(実際は11時くらい)。

お祭りだからとかお祝いだからといって、特別なお酒を飲むということはありません。
昨日までと同様、自家製の米酒を甕からプラスチックのコップになみなみと注いでいただきます。
ただ違うのは、今日は食事が終わっても酒を飲み続けたということでした。

観察すると、みんなかなりちびちび飲んでいるようです。
しかし、誰かがコップを前に差しだして、みんな飲みましょうとか姉妹節を祝してなどと声をかけると、全員それに合わせて飲まないといけなくなります。
ただ、これは所謂乾杯ではないので、飲み干す必要はありません。

それが、アルコール量が増えるにつれて、待ってましたとばかり乾杯も始まり出します。
誰かがコップを掲げて「カンペイ」と言えば、みんなコップをぶつけ合って「カンペイ」と答えます。
カンペイは乾杯ですから、さかずきの中身全部を飲み干さないといけません。
これが中国式の泥酔への道なのです。

最初のうちこそみんなで和気あいあいムードでしたが、気付くとお父さんといとこが消えています。
またしばらくすると、石ちゃんとその友だちも付き合い切れないと言って、出て行ってしまいました。
それを合図のように中国語の普通話だった会話が、苗語に変わって大盛り上がりしています。
さすがに苗語の会話はちんぷんかんぷんで、もはや付いていける状況ではなくなりました。

このままなら、単なる酔っ払いの馬鹿騒ぎです。
しかし、苗族の呑みは少し違っていて、ここからおもむろに民謡歌唱大会が開会を宣言したのでした。
ひとりが歌い始めると、みんなが合わせて合唱したり、対歌のように相互に歌うようなデュエットも飛び出します。

これは、冷静に考えれば、すばらしい場所に居合わせたことになります。
酔ってふらふらしながらも、カメラを取りに行って彼女たちにレンズを向けました。
雰囲気だけは伝わる写真になったかなと思っていましたが、撮影時に気付かなかったチビちゃんがいい味を出しているではないですか。
はじめチョロチョロ、中カンペイ、赤子泣いても歌止めぬ、の世界でした。
【M8/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(5) | 2010/05/19 Wed

旅遊的感傷

M8/Anastigmat 2inchF1.5
食事の後、今日もいっしょにでかけようと龍クンたちに背中を押されました。
石ちゃんにうかがいをたてると、今日も2時過ぎくらいから踊りがあったりするけど、それまで何もないし行ってきたらいいんじゃないのとのことで、またバイク3人乗りでよたよたと出発していきました。

郊外を少し案内しようと山道を登っていきますが、申し訳ないことにわたしが体重オーバーのためか坂道がのろのろでさえないツーリングになってしまいます。
何より野郎3人がまたがる小型バイクというのが、すでにパッとしない存在です。

もたもた走っているうちに峠に着き、駐輪して景色を眺めます。
けっして優れて美しい眺めと言うほどのものではありません。
しかし、はるかかなたに何キロか先の隣村が見えていて、谷あいの狭い土地に家が密集するさまに、施洞とはまた別の暮らしがあるのだろうかとの想像をたくましくさせてくれます。

それと、もうひとついいなあと思うのが、高台に立つと1本の道が大きく蛇行しながら切れ目なく次の山まで連なる姿を追えることです。
終わりなき道、です。
ただ、その道をこのまま降りて行っても景観的にはあまり面白そうには見えません。
したがって、我々もここでUターンして戻ることにします。

左手にはげ山が見えたので尋ねると、よく意味が理解できたとは言いかねますが、聖なる山のようです。
年1回、仏に祈りに上るとのことでした。

こんなやり取りをしている中で、わたしは密かに気をもんでいることがありました。
実は、昨夜、踊りを見ているときに、施洞から半日近くかかる町から来ていた女子大生3人組と知り合っていたのです。
貴陽の教育大学に通っているが、ゴールデンウィークの休暇で実家へ戻る途中、ここ施洞の姉妹節を見学に来たと言います。

そう言えば、去年のゴールデンウィークも、わたしは黄姚という古鎮に行って女子大生と仲良くなったりしました。
ゴールデンウィークは女子大生と、がわたしのキーワードなのかも知れません。
君たちも苗族なのと聞くと、土家族という少数民族とのこと。
土家族も独自の文化があるが、こういうお祭りもあって、今度ぜひ見に来てくださいと勧めてもらいます。

去年と同様、日本人と会話するのは初めてと、その場で全員と記念撮影になりました。
龍クンたちがオランダ人と撮影したときほどではありませんが、わたしも少しシャイになって写真に収まります。
明日の午後には、実家に向けて出発すると言うので、龍クンは携帯番号を聞いて、ではまた明日と彼女たちをゲストハウスまで送りました。

土家族女子大生が次の旅のディストネーションになるかも知れない、そんな予感を抱きつつ今日の再会をかなり楽しみにしていました。
しかし、いつまでたってもアポイントをとる様子が見られないので、遠回しに昨日、土家族に会ったねえなどと振りますが、反応はいまひとつです。

信じられないことですが、シャワーを浴びたときに携帯を落っことしてしまい、故障してしまったのだと言います。
何やっているんだ、このタコ! くらい怒鳴りたい気持ちでしたが、今さらどうにもなりません。
橋を渡るときに怖がるわたしの手を引いて先導してくれた可愛い女子大生たちとの再会は永遠に訪れなくなってしまいました。

さて、その龍クンですが、わたしの落胆を知ってのことか、道すがら踊り会場に向かっていた少女に声をかけて友だちの日本人のモデルになってくれと頼んでくれたのでした。
彼女たちは女子高生とのことでしたが、歩いていていきなり声をかけられ、それも外国人がカメラを構えるとあってかなりの緊張がこちらにも伝わりました。
笑ってよと語りかけて左の子は笑顔を見せてくれましたが、右側の少女はついに最後まで顔が引きつったままです。

何枚も撮った苗族の少女たちでしたが、正装している全身像はほとんどこれが唯一です。
やはり50mmレンズでは、ある程度の引きが必要でしたが、スナップ的に撮るケースでは他のカメラマンが邪魔だったりスペースそのものが狭くて、どうしても上半身から上となってしまっていました。

そういう訳で衣装がよく分かる貴重な写真として掲載しますので、銀の飾りや刺繍の模様が辛うじて分かるいちばんアンダーなものを採用しています。
少しオーバーくらいの方が、彼女たちが可愛く際立つし背景も明るくなるので、できればそちらでいきたかったのですが、銀飾りや刺繍が全部飛んでしまうのがどうにもならなかったのです。
ただでさえ、滲むレンズでしたし。


昨夜、いっしょに吊り橋を渡ったり、アイスを食べたりした女子大生たちでしたが、暗闇の中で顔までは確認できませんでした。
印象では、写真のふたりのようにフレッシュな可愛い子だったのではと思えて残念でなりません。
ただ、橋の上で触れた小さな手の温もりだけ記憶の片隅に残るばかりでした。
【M8/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/05/16 Sun

豪華早餐

M8/Anastigmat 2inchF1.5
農村の朝はどこも早いです。
朝日が昇るか昇らないかのうちから起き出して、1日の営みがしずかにスタートします。
1年のサイクルが農歴にしたがうのと同様、1日の暮らしは太陽とともにあるかのようです。

ですが、祭りのときはだいぶ様子が違ってきます。
9時過ぎにのこのこと起き出して来る人がいるのに驚いていると、それから1時間もして石ちゃんが寝巻きで現れたのにまたびっくりします。
祭りの夜、彼女になにか素敵なできごとでもあったのでしょうか。

朝食がはじまったのは、すでに11時を廻っていたと思います。
いや、こうなると朝食とはいえず、昼食ないしはブランチになってしまいます。
この時間は決まったものだったのか、気付くと龍クンたちもやって来ていて、やはり昨日の夜と同じメンバーが勢ぞろいしていました。

メニューは、昨日の晩とどこか違っていますが、大雑把なところではほとんど変わらないとも言えます。
やはりブタ肉と鶏肉がメインになって、野菜類が少ないことが理由です。
朝獲れたのでしょうか、卵の料理が追加されていたのが新鮮に感じられました。

写真ではお皿が20以上並んでいますが、料理は確か5品でしたから、小分けしてみんなに料理が行きわたるよう配慮されています。
またコップの中は米酒で、午前中からがんがん呑むのはお祭りだからか日常的なことかは聞き忘れました。

作例に写りこんでいるのは女性がほとんどですが、テーブルを囲んでいるのはちょうど男女半々です。
この食事風景で気に入っているのは、この女性陣がいかにもがっつりとご飯を食べている雰囲気がそのまま写っているということです。
特に中央の石ちゃんの前のめり加減と集中具合は、本領発揮というところでしょう。

右側のたくましい女性がお母さんです。
豪快で頼りになる人で、滞在中はたいへんお世話になりました。
勢いある食べっぷりはこのお母さん譲りなのですね、石ちゃんの将来を暗示しているようでもあります。
【M8/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(4) | 2010/05/15 Sat

早一点起来

M8/Anastigmat 2inchF1.5
ギシッ、ギシッという物音で目が覚めました。
壁の隙間のそこここから光が漏れていて、もう朝なのだと気付きます。
わたしも同様にギシッ、ギシッと音を立てながら階下に降りて行きました。
洗い物をしているおばちゃんに笑顔で「早(ツァオッ)!」とあいさつしつつ目的地を目指します。

そのまま庭を突っ切った先がトイレです。
幸い先客は無く、小さい方を豪快に放出します。
そのまま肥溜直結になったトイレはかなり強烈な臭いが立ち上って来ました。
長居はしていられないと考えるばかりか、使用したくない心理が働いたためか、この滞在中は便秘になってしまいました。

田舎へ泊まるのが大好きなわたしですが、苦に思うこともないわけではありません。
その四大苦行は、食事、睡眠、トイレ、シャワーです。
油っぽいものがそれほど苦手でないわたしは食事で苦労したことはほとんどありません。
そして、今回運の好いことに、ベッドはたいへん清潔・快適でじゅうぶんに熟睡することができました。
トイレは説明の通り少し辛かったのですが、シャワーも荒行に近いものになりました。

そもそもがシャワーはなるものはなく、住民は軽く水浴びするか体を拭くだけのようです。
郷に入れば郷に従うべきなのですが、昼間の気温はかなり高かったので、できれば体と頭を洗いたかったのです。
朝は恐らく15度くらいまで下がっていたと思うのですが、豪快に上を脱いで短パン一丁になると頭と体をごしごし洗って、甕に入った水をざぶっとかぶりました。

寒さはかなりこたえましたが、さっぱりしたところで朝の散策に出てみました。
この時期毎日そうだといいますが、遠くの山が朝霧で霞んでいて良い雰囲気です。
見た目も美しければ、空気がますますおいしく感じます。
トイレの臭いのことはすっかり忘れました。

さて、1時間も歩いたでしょうか。
石ちゃんの家に戻ると、となりの家のおじいさんが家の前の塀に腰掛けて、なかなかニヒルなポーズで決めています。
今までお伝えした通り、写真を撮ったのは女性ばかりで、村の男性を撮影する絶好のチャンスでした。
カメラを意識してか虚空を見据えた姿がチョイ悪親父風に決まっています。

しかし、その時でした。
わたしたちの目の前を農作業に向かうと思われるトラックが、轟音を立てながら通り過ぎて行ったのでした。
ものすごい土煙りに、チョイ悪親父も思わず咳き込みます。

それが上の作例ですが、どういうわけか村の男性の写真は決まったものより、ズッコケものの方がしっくりくるような気がします。
それに、この村では、朝霧よりトラックの立てる土埃の方が、やはり似合っているようです。

もうひとつ付け加えると、後で気付いたのですが、チョイ悪の背中のところにあるのは船だったのです。
きっとニヒルでチョイ悪が売りの船乗りだったのでしょうね。
【M8/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(0) | 2010/05/14 Fri

在飛的荷蘭人

M8/Anastigmat 2inchF1.5
施洞村の中心、そこには2軒のゲストハウス、1軒のバーを除いて商店があるだけのまったくの典型的田舎でした。
電気屋さんの中が盛り上がっているのでどうしたのと聞くと、龍クンたちは首を横に振りながらも中に入るよううながしました。
いいおとなたちが集まって打ち昂じているのは、ドミノを使った賭博でした。

掛け金は一回100元以上という決まりがあるのか、あるいは負けが込んだ人誰もがたどる道なのか、1分間の勝負でこの親父さんの月収以上の賭け金が人々の頭上を往復しています。
昼間見た優しく素朴な笑顔も、夜には別の顔つきに変化してしまうのでしょうか。

やはり踊りを見に行きましょうということになって、会場を目指すと、場所こそ違えまた河原だったのが驚きでした。
山間のこの村では、人が集まれる平坦な土地がそうとうに限られてしまうということでしょう。
当然灯りはありませんので、薪を焚いてキャンプファイヤーの雰囲気を出しています。

昼間ずっと踊りが続いていたのに、この時間になっても大きな踊りの輪ができているのが姉妹節の姉妹節たるところなのでしょう。
昼間メインだった少女は減り、どちらかというと高齢の女性が多く見られます。
そして、この時間はあきらかに観光客と思われる人もかなり交じっています。

しばらく龍クンたちとぼんやり踊りを眺めていると、長身の西洋人カップルが隣に現れてやはりのんびりと踊りを見つめています。
自然な空気のうちに話しかけました。

ふたりは、ユトレヒトから来たオランダ人で、ここのところ毎年中国を訪れているといいます。
たったの3週間だがというので、どんな仕事をしているとそんなに休めるのか聞きました。
もともとは細菌研究所で働いていたが、ワーカホリックがいやで数年前退職して、いまは室内装飾の商売をやってるんだとのことです。
何年か前にした中国やベトナムへの旅行が退職のきっかけだったと。

このやりとりは、都度龍クンたちに翻訳して伝えますが、ふたりとも熱心に聞いてくれます。
じゃあ、龍クンの方からなにか質問とかないのと聞きますが、ふたりとももじもじしてしまって、うーん聞くことはないなあと返事します。
今度はこれをオランダ人に通訳して、あんなに好奇心いっぱいなのに中国人でも少数民族はシャイですねと言って3人で笑いました。

そういえばアイスランドの噴火の影響はなかったのか聞くと、まさに1日遅れの出発になったとのことで、たったの3週間の1日遅れは痛かったと言っています。
また行程中ずっと現地旅行社のガイドを雇っているので費用もひとりあたり2万ユーロかかっているとのことでした。
これは現地の一般的な年収よりも高いはずで、失業中の龍クンたちに翻訳することができませんでした。

龍クンがもじもじしながら、ふたりに頼んでくれないかと言いました。
何をと聞くと、オランダ人カップルといっしょに記念写真を撮りたいのだそうです。
そんなのは一も二もなくOKでリラックスしたオランダ人と緊張して小さくなった龍クンたちがいっしょに収まった写真は、とても国際的に見えることでしょう。

お礼を言わなくっちゃとうながすと、謝謝と言うので、サンキューだよサンキューとひじで小突きました。
ああ、そうかとサンキューとオランダ人に礼をするや、わたしに初めて英語を使ったとはにかむ姿がますます苗族の優しい青年の姿でした。

しばらくそんな風でしたが、おばちゃんたちの何度か目の踊りの誘いを受けて輪に加わることになりました。
今度は龍クンにうながされて、オランダ人たちもいっしょに踊りましょうと誘いました。
しかし、こう言って彼らは断ります。
「わたしたちはシャイなので」。
【M8/Anastigmat 2inchF1.5 F1.5】
thema:ライカ・マウント・レンズ genre:写真
Dallmeyer Anastigmat 2inchF1.5 | trackback(0) | comment(2) | 2010/05/13 Thu
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