
奈良でぼんやりと日々を過ごしていると、絶妙なタイミングでksmtさんから連絡があり、これから奈良へ行くので散策でもいかがですかと声が掛かりました。
いちおう奈良でも毎日真面目にアルバイトしていましたが、ちょうどその日はくたびれて休息日にしていたので、この日以外でしたらお会いできなかったでしょう。
ただ、ksmtさんはいつもの大判カメラと古典レンズを持参されいるわけではなく、最初期型のローライフレックスは持って来ていたようですが、それを使うこともなかったようです。
わたしはもともと撮影散歩に出るつもりでカメラをバッグに入れていたくらいなのでいくらか撮影しましたが、せっかく奈良まで立ち寄ってもらったksmtさんが撮らなかったと思うと身勝手だったかも知れません。
勘定していないので正確な数は分かりませんが、どうやらレンズの総数が400本を超えたようです。
そのうち国産レンズのすべてと、外国製レンズの一部を奈良に持って来ています。
藤沢の実家も狭いですが大きな防湿庫にトレイを買い足して、レンズをそっくり収納しています。
奈良の家はさらに狭くレンズの置き場に苦慮していましたが、恐らく戦前の古いガラスケースを見つけてきてレンズを製造元別に並べ直しました。
かなり黒ずんではいますが木目の細かい欅と思われる木と歪みや気泡によってゆらぎを生み出すガラスの質感が素晴らしく、中に仕舞うと薄暗い中にゆらゆらと佇んで、古いレンズや染付けの器がより美しく存在感を示してくれます。
防湿庫の方はライカとコンタックス用レンズ以外、広角、大口径標準、F2クラス標準、その他標準、長焦点のように分けて入るだけトレイに乗せていますが、この美術品のようなガラスケースでは美しくレイアウトして並べなければなりません。
元来がレンズの置き場に困って手に入れたものですが、めいっぱいレンズを突っ込む訳にもいかず並べ方にあれこれ悩む日々です。
4月のレンズテーマは「同名異曲のレンズ対決」のタイトルで同じレンズ名なのに違う構成のレンズを比較する趣向ですが、2回目の今回も前回と同名のキノン50mmF2です。
前回のライカマウントに対して、今回はスーパーパクセッテという距離計カメラの標準レンズをMSオプティカルでライカマウントに改造してらったものです。
その改造は12年前にしてもらったのですが、直後に使用した後ヘリコイドを外したところ距離計との連動にズレが出てしまいライカでは正確なピント合わせができないため、すっかり防湿庫の奥に置きっぱなしになっていたのですが、α7を使う分には関係ないからと今回久し振りに持ち出しました。
レンズは4群6枚のダブルガウス型で、淡いシアン系単層コーティングがあり、スーパーパクセッテは1956年発売のようですのでその頃の製造と思われます。
さて、本日の作例ですが、氷室神社の桜の風景です。
盛んに背伸びして撮影するおじさんのお尻が破れていてやれやれと思っていたところ、それを笑っていた若ではないと思いますが、大笑いしながら横切る女性がいてそのタイミングでシャッターを切りました。
それよりも破れてますよとおせっかいな一言を掛けてあげるべきだったでしょうか。
氷室神社と言えば枝垂れザクラでしょうというくらい立派なサクラが愉しみで來てみたのですが、台風にやられたのでしょうか、幹に近いところで折れてしまっていて3分の1くらいになってしまっていた印象でした。
とても残念なことですが、自然とはこのようなものなのでしょう。
前週のゾナータイプのキノンより見劣りするのではと思っていたガウスキノンですが、等倍で見た解像力の高さが確認でき、それがゾナーとはやや一線を画する繊細でやさしさに満ちた表現に感じられ、どちらが優れているかは判断に悩むところです。
ゾナーキノンで気になった周辺光量落ちですが、ガウスキノンでもやや気になるもののそれほどひどくはありません
相対的な比較で分かるのはこのくらいで、中央部のシャープネス、周辺部の乱れ方などは同じものを撮影して比較しなくては判定困難です。
奈良市氷室神社
【Alpha7II/Quinon 50mmF2 F2】